有価証券報告書-第123期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 9:06
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(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
2018年度の世界経済を概観すると、中国及び欧州の一部に弱さが見られるものの、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費や設備投資が増加し、着実な回復が継続しました。欧州の景気は、一部に弱さが見られるものの、緩やかに回復しています。中国では、消費の伸びが低下する等、景気は緩やかに減速しています。その他アジア地域の景気は、一部に弱い動きも見られるものの、緩やかに回復しています。日本では、雇用・所得環境の改善により個人消費が持ち直しており、緩やかな回復基調が続きました。
当社グループの2018年度における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、ドキュメント事業の売上減少等により2,431,489百万円(前年度比0.1%減)となりました。営業利益は、ドキュメント事業における収益性の改善や構造改革効果等により、209,827百万円(前年度比70.1%増)と大幅増となりました。税金等調整前当期純利益は212,762百万円(前年度比7.6%増)、当社株主帰属当期純利益は138,106百万円(前年度比1.8%減)となりました。
当連結会計年度末では、総資産は現金及び現金同等物の減少等により、78,248百万円減少し3,414,692百万円(前年度比2.2%減)となりました。負債は社債を新規発行したものの、未払費用、支払債務等の減少等により24,383百万円減少し、1,169,851百万円(前年度比2.0%減)となりました。純資産は自己株式の取得等により53,865百万円減少し、2,244,841百万円(前年度比2.3%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
「イメージング ソリューション部門」
フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズやチェキ用フィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムの販売を中心に売上が増加しました。インスタントフォトシステムでは、instaxグローバルパートナー契約を締結した「テイラー・スウィフト」さんを起用したグローバルプロモーションが奏功し、欧米を中心に世界各地で売上が増加しました。付加価値プリントビジネスでは、写真をスタイリッシュなインテリアとして壁に飾って楽しめる「WALL DECOR(ウォールデコ)」の販売が好調に推移しました。また、写真クラウドサービス「FUJIFILM PhotoBank(フォトバンク)」を、2019年春よりスタートすることを発表しました。写真の共有やプリント注文に加え、2020年初頭には、保存した写真からAIがユーザーの嗜好性を推測し、興味に合った製品等が購入できるサービスを開始し、写真を活用した新しいライフスタイルを提案していきます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、高速・高精度のオートフォーカス機能と、高い動画性能を搭載した「FUJIFILM X-T3」や、2019年3月に発売した小型軽量・高性能「FUJIFILM X-T30」の販売が好調に推移しました。中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX 50R」は、大型センサーによる超高画質と、レンジファインダースタイルの採用が好評で販売が好調に推移し、2018年度はデジタルカメラ市場が縮小する中、ミラーレスカメラ全体の売上が対前年で増加しました。また、好調なミラーレスカメラの販売により、交換レンズの売上も増加しました。
光学デバイス分野では、車載用など各種産業用レンズを中心に販売が堅調に推移しました。2019年2月に「FUJINON レンズ」の光学技術を結集した「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」を発表し、プロジェクター市場へ新たに参入しました。ビジネス領域を拡大し、さらなる事業成長を図っていきます。
本部門の連結売上高は、全ての事業の売上が堅調に推移し、386,914百万円(前年度比1.0%増)となりました。営業利益は、販促・宣伝費や研究開発の投資等により、51,128百万円(前年度比8.4%減)となりました。
「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門」 メディカルシステム事業では、X線画像診断、医療IT、内視鏡、超音波、体外診断(IVD)等全ての分野で販売が好調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、軽量・小型で、在宅医療等、スペースが限られた場所での簡便なX線検査をサポートする携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair(カルネオ エックスエアー)」の販売を2018年10月より日本国内で開始しました。本商品を含むDR機器の販売が好調に推移し、売上が増加しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本・米国を中心に好調に推移しました。内視鏡分野では、当社独自の特殊光観察が可能な7000システム等の販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、フルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」や携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」等の販売が、米国をはじめ、欧州、日本、中国等の主要市場で好調に推移しました。体外診断(IVD)分野は、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が、海外を中心に好調に推移しました。
医薬品事業では、低分子医薬品における後発医薬品の影響等を受け、売上は減少しました。関連会社である協和キリン富士フイルムバイオロジクス㈱が、2018年9月に欧州委員会からヒト型TNF-αモノクローナル抗体製剤「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品「Hulio®」の医薬品販売承認を取得し、販売提携先であるMylan社を通じて欧州での販売を開始しました。また、一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し、調剤薬局等での薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D」の販売を2019年1月より開始いたしました。2019年3月には、国立研究開発法人国立がん研究センターと、ドラッグ・デリバリー・システム技術の一つであるリポソームを用いた新たながん免疫療法の共同研究を開始しました。今後、革新的かつ高付加価値の医薬品を開発し提供することで、社会課題の解決に貢献していきます。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移しました。2019年3月に、米バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社であるBiogen(Denmark)Manufacturing ApS社の買収を発表。バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業の成長スピードを一段と加速し、さらなる事業拡大を図っていきます。
再生医療事業では、2018年6月に連結子会社化した、培地のリーディングカンパニーであるIrvine Scientific Sales Company,Inc.(現FUJIFILM Irvine Scientific,Inc.)が展開するバイオ医薬品向けの培地販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、米国子会社FUJIFILM Cellular Dynamics,Inc.は、2019年1月より、アルツハイマー型認知症等の神経疾患領域において、ヒト生体に近い環境で新薬の評価が可能な創薬支援用iPS細胞由来分化細胞「iCell® Microglia(アイセル ミクログリア)」の販売を開始しました。富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、2019年3月に、アスタリフトシリーズで最も高い紫外線カット効果を持つ「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」、美容効果をさらに強化しリニューアルした「アスタリフト ホワイト エッセンス インフィルト」の販売を開始しました。また、サプリメントではメタバリアシリーズを中心に販売が堅調に推移し、売上が増加しました。
ディスプレイ材料事業では、TAC製品に加えて、有機EL、及びタッチパネル分野の製品販売が堅調に推移し、売上が増加しました。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売好調に加えて、圧力測定フィルム「プレスケール」の販売も堅調に推移しました。
電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料、CMPスラリー、イメージセンサー用カラーモザイク、先端パッケージ用ポリイミド等の販売が引き続き好調に推移し、売上が増加しました。
ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における研究機関向け試薬販売や、検査・分析等の受託サービスが堅調に推移し、売上は前年並みとなりました。
記録メディア事業では、高容量データストレージ用磁気テープの在庫調整等の影響で売上が減少しました。「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスの提供等、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、製版・刷版材料の総需要減等の影響を受け、売上が減少しました。2019年3月に商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップとして「Jet Press 750S」の販売を開始しました。デジタル化が加速する商業印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が顧客の在庫調整等の影響で売上が減少しました。これまで注力してきた商業印刷分野、サインディスプレー分野に加え、テキスタイルやパッケージ等、新たな領域へ独自の製品を展開し、事業を拡大していきます。
本部門の連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等で売上を伸ばし、1,038,966百万円(前年度比3.6%増)となりました。営業利益は、収益性の改善等により、97,579百万円(前年度比6.8%増)となりました。
「ドキュメント ソリューション部門」 オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、全体の販売台数は対前年で減少しましたが、2018年12月にセキュリティ機能を強化したカラー複合機「ApeosPort-Ⅶ C / DocuCentre-Ⅶ C」シリーズの販売が堅調に推移しました。オフィスプリンター分野では低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小により、販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業は、全体の販売台数は対前年で減少しましたが、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が欧米を中心に引続き好調に推移しました。また、2019年1月にオフセット印刷の画質に迫る商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」を発表しました。2019年2月より国内で販売を開始し、商業印刷市場のデジタル化を拡大することで、さらなる成長を目指します。
ソリューション&サービス事業は、国内のBPO(Business Process Outsourcing)契約の新規獲得や業種業務別ソリューションの販売等が堅調に推移し、売上が増加しました。2019年2月にはEsker社(フランス)と提携し、クラウド型買掛金管理業務サービスの提供を開始。仕入先ごとに異なる請求書のデータをAIの活用により自動で抽出することで、煩雑な請求書処理業務を大幅に改善します。今後も新しい価値戦略「Smart Work Innovation」のもと、お客様の多様化する働き方を支援するサービスを順次提供し、サービス領域でのさらなる成長を目指します。
本部門の連結売上高は、低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小による影響等により、1,005,609百万円(前年度比4.0%減)となりました。営業利益は、収益性の改善や構造改革効果等により、96,366百万円(前年度比11.5倍)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)は、為替変動による影響等を合わせて、前連結会計年度末より113,499百万円減少し、当連結会計年度末におきまして654,747百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は249,343百万円となり、前連結会計年度と比較して11,809百万円(4.5%)減少しておりますが、これは未払法人税等及びその他負債の支払額が増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に使用した資金は208,585百万円となり、前連結会計年度と比較して96,799百万円(86.6%)増加しておりますが、これは事業買収による支出や固定資産の購入等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に使用した資金は153,522百万円となり、前連結会計年度と比較して105,439百万円(40.7%)減少しておりますが、これは長期債務の返済額が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
・連結キャッシュ・フロー指標
前連結会計年度当連結会計年度
株主資本比率(%)59.559.7
時価ベースの株主資本比率(%)52.360.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.72.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)57.175.2

(注)株主資本比率:株主資本/総資産
時価ベースの株主資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産
*自己株式を除く
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息)

ⅱ)財務政策
当社グループの資金調達の手段は、社債の発行、銀行借入金等であり、2019年3月31日現在の残高の内訳は、短期の社債及び借入金170,579百万円、長期の社債及び借入金353,533百万円となっております。
これらの資金調達は設備投資資金、投融資資金、運転資金等の資金需要に対応しております。
② 経営成績
ⅰ)売上高
当連結会計年度の売上高は、前年度の2兆4,334億円に対し、19億円減少し、2兆4,315億円(前年度比0.1%減)となりました。国内売上高は1兆65億円(前年度比増減なし)、海外売上高は1兆4,250億円(前年度比0.1%減)となりました。実績為替レートは111円/米ドル(前年度比増減なし)、128円/ユーロ(前年度比2円高)となりました。
イメージング ソリューション部門は、為替の円高影響を受けたものの、全ての事業の売上が堅調に推移したこと等により、対前年増収となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門は、為替の円高影響を受けたものの、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等が好調で対前年増収となりました。ドキュメント ソリューション部門は、為替の円高影響や低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小による影響等により、対前年で売上は減少しました。
ⅱ)営業費用及び営業利益
販売費及び一般管理費は、前年度の6,778億円に対し462億円減少し、6,316億円(前年度比6.8%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は26.0%でした。
研究開発費は、前年度の1,679億円に対し118億円減少し、1,561億円(前年度比7.0%減)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.4%でした。
営業利益は、前年度の1,233億円に対し、ドキュメント ソリューション部門における収益性の改善や構造改革効果等により865億円増加し、2,098億円(前年度比70.1%増)となりました。
イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の558億円に対し47億円減少し、511億円となりました。これは、販促・宣伝費や研究開発の投資の増加等によるものです。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の営業利益は、前年度の914億円に対し62億円増加し、976億円となりました。これは、収益性の改善等によるものです。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の84億円に対し880億円増加し、964億円となりました。これは、収益性の改善や構造改革効果によるものです。
ⅲ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益
営業外収益及び費用は、前年度投資有価証券売却益を計上したこと等により、前年度745億円の営業外収益に対し716億円減少し、29億円の営業外収益となりました。
税金等調整前当期純利益は、前年度の1,978億円に対し150億円増加し、2,128億円となりました。
ⅳ)法人税等
法人税等は、前年度の544億円に対し17億円増加し、561億円となりました。
ⅴ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益
持分法による投資損益は、前年度9億円の利益に対して5億円減少し、4億円の利益となりました。
非支配持分帰属損益は、主として富士ゼロックス㈱及びその子会社の非支配持分に帰属する利益です。前年度の36億円に対し154億円増加し、190億円となりました。
ⅵ)当社株主帰属当期純利益
当社株主帰属当期純利益は、前年度の1,407億円に対し26億円減少し、1,381億円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の322.62円に対し、326.81円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の321.55円に対し、325.82円となりました。
③ 次期の見通し
(単位:億円)
2019年度
(次期の見通し)
2018年度
(実績)
増減率
(%)
売上高24,80024,3152.0%
営業利益2,4002,09814.4%
当社株主帰属当期純利益1,5501,38112.2%
ROE(%)7.56.70.8ポイント増
為替レート(円/米$)110円
125円
111円
128円
△1円
△3円
為替レート(円/Euro)

2019年度業績は、当社グループの重点事業である「ヘルスケア・高機能材料の成長加速」「ドキュメント事業の抜本的強化」に加え、各事業における収益性の改善などにより、連結売上高は2兆4,800億円(前年度比2.0%増)、営業利益は2,400億円(前年度比14.4%増)、税金等調整前当期純利益は2,450億円(前年度比15.2%増)、当社株主帰属当期純利益は1,550億円(前年度比12.2%増)を予想しております。
なお、ドキュメント事業において、構造改革等の一時費用として100億円、構造改革の効果として180億円を見込んでおります。
通期での対米ドル円為替レートを110円、対ユーロ円為替レートを125円で想定しております。

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