四半期報告書-第125期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当第2四半期連結累計期間における連結売上高は、バイオCDMO事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、ドキュメント事業、フォトイメージング事業、グラフィックシステム事業等の売上減少により997,389百万円(前年同期比11.9%減)となりました。営業利益は、56,471百万円(前年同期比38.6%減)となりました。税金等調整前四半期純利益は99,569百万円(前年同期比2.1%増)、当社株主帰属四半期純利益は67,606百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末では、総資産は受取債権の減少等により13,484百万円減少し、3,308,208百万円(前年度末比0.4%減)となりました。負債は社債及び借入金の減少等により77,755百万円減少し、1,250,180百万円(前年度末比5.9%減)となりました。純資産は当社株主帰属四半期純利益等により64,271百万円増加し、2,058,028百万円(前年度末比3.2%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(事業セグメント別の連結売上高)
(事業セグメント別の営業利益(△損失))
① イメージング ソリューション部門
イメージング ソリューション部門の連結売上高は、113,898百万円(前年同期比26.1%減)となりました。新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の流行拡大によって、世界各国の多くの都市での外出規制や、店舗の休業、各種イベントの自粛・中止が生じたこと等の影響を受けて、製品・サービス全般にわたって販売が減少しました。営業損失は、2,146百万円となりました。
フォトイメージング事業では、COVID-19の流行拡大によるイベント自粛・中止の影響等により、売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、自宅での時間を充実させる“チェキ”の新たな楽しみ方を、SNSを通じて提案し、オンライン販売を強化しており、欧米を中心に販売が回復基調となっています。スマートフォン用プリンター「instax mini Link」の販売が好調で、2020年5月には、スマートフォンで撮影した画像の中からイラスト等を抜き出し別の画像と合成して“チェキプリント”できる新機能「Sketch, edit & print」をアプリに追加搭載し、新たな楽しみ方・付加価値を提供しています。2020年3月に発売したインスタントカメラ「instax mini 11」も順調に売上を伸ばし、第2四半期ではインスタントカメラ合計で前年を上回る売上となりました。また、2020年4月には、「Year Album」に、AI技術を活用しユーザーの趣味嗜好に合った画像選択とレイアウトを自動作成、提案するパーソナライズ機能等を新たに搭載しました。今後も多様化するお客様のニーズにお応えし、便利で付加価値の高い商品・サービスを提供するとともに、「撮る、残す、飾る、そして贈る」という写真本来の価値を世界中で伝え続けていきます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、COVID-19の流行拡大影響による店舗休業や撮影機会の減少を受け、売上は減少しました。デジタルカメラ市場全体が大変厳しく、総需要が前年比で大きく減少する中で、2020年2月に発売した高級コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」と、2020年4月に発売し、高速AFや高い動画性能を評価されているミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T4」の販売は好調に推移しました。また、2020年7月には「GFXシリーズ」用交換レンズとして、圧倒的な描写力を実現するコンパクトな単焦点広角レンズ「フジノンレンズ GF30mmF3.5 R WR」を発売しました。2020年9月には「Xシリーズ」用交換レンズのラインアップとして、大口径中望遠単焦点レンズ「フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」を発売する等、豊富なレンズラインアップでシステムとしての魅力を高めてきました。今後も特長ある魅力的な製品を供給して市場の活性化を図るとともに、写真を撮影する素晴らしさを提供していきます。
光学デバイス分野では、スポーツ・イベント及びドラマ・映画の撮影中止に伴う放送・シネマ用レンズの販売減や世界的な自動車需要減による車載レンズの販売減等によって、売上は減少しました。セキュリティ用レンズでは底堅い需要があり、第2四半期では前年を上回る売上となりました。同分野では、超短焦点プロジェクターや長焦点監視カメラの開発・発売のほか、マルチスペクトルカメラシステムを新たに開発する等、事業の領域拡大を進めており、多様な市場ニーズに応える画期的な製品を開発し続けることで、事業成長を図っていきます。
② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、473,321百万円(前年同期比3.9%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、メディカルシステム事業では病院への商談・設置の遅延、ライフサイエンス事業では店頭イベントの中止や直営店の休止、グラフィックシステム事業ではイベントの自粛・中止等による印刷需要減の影響を受けました。営業利益は、45,756百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大影響により売上は減少しましたが、抗菌材料分野では、アルコールによる除菌効果に加えて、銀系抗菌剤と超親水コートによる持続除菌を兼ね備えた当社独自技術「Hydro Ag+(ハイドロ エージー プラス)」を応用した薬用ハンドジェルや抗菌シート等の販売が急増し、売上が大幅に増加しました。X線画像診断分野では、病室内の病床を移動しながら撮影可能な回診用デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」及び「FUJIFILM DR CALNEO Go PLUS」の旺盛な需要が継続し、欧米・アジア・中南米・中東アフリカでの販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、2020年7月に米国、同8月に欧州で販売を開始したハイエンド超音波画像診断装置「Sonosite PX」の販売が好調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本と米国を中心に堅調に推移しました。2020年8月に、AI技術を活用し設計した、臓器自動抽出機能等のアプリケーションを搭載した3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Ver.6.1」の販売を日本で開始しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が中国において堅調に推移しました。体外診断(IVD)分野では、国内の血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が堅調に推移しました。2020年5月には、全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコーg1」用に、新型コロナウイルス遺伝子を全自動で簡便・迅速に検出する研究用試薬「ミュータスワコー COVID-19」を日本で発売しました。
医薬品事業では、2020年6月に、COVID-19治療薬として期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の海外展開に向けて、インド大手製薬企業Dr. Reddy's Laboratories Ltd.、及び世界的な医療物資・医薬品提供会社Global Response Aidとの提携を行い、当提携によるライセンス収入等により、売上は増加しました。COVID-19患者を対象とした「アビガン®錠」の国内臨床第Ⅲ相試験については、主要評価項目を達成し、2020年10月に製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。また、バイオテクノロジー企業VLP Therapeutics JAPAN合同会社とCOVID-19ワクチン候補の製剤の製造受託契約を締結しました。本ワクチンはドラッグ・デリバリー・システム技術の一種である脂質ナノ粒子を用いた製剤で、当社グループが保有する製造設備・インフラを活用して、製剤のプロセス開発から治験薬製造まで受託していきます。放射性医薬品分野では、2020年8月に、膵臓、消化管及び肺の神経内分泌腫瘍の新規放射性医薬品「F-1515」※の国内における製造販売承認申請を行いました。当社グループは、高付加価値な医薬品の提供を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。
※ 海外製品名「Lutathera®(ルタテラ)」。2015年にAdvanced Accelerator Applications International S.A.
より国内開発・販売に関するライセンス契約を締結。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2020年6月に、バイオ医薬品のさらなる生産能力増強を目的に、デンマーク拠点に約1,000億円を投じて製造設備を大幅に増強することを発表しました。2022年から2023年に順次稼働させ、デンマーク拠点におけるバイオ医薬品の原薬生産能力を倍増させるとともに、同拠点にて原薬から製剤・包装までワンサイト・ワンストップで製造受託ができる体制を構築します。また、同拠点では2021年4月より、Eli Lilly and Companyが開発している、COVID-19向け抗体医薬品の商業生産に必要な原薬の製造を受託することが決定しました。同社のCOVID-19向け抗体医薬品の低・中所得国における普及に貢献していきます。米国拠点においては、米国バイオテクノロジー企業Novavax, Inc.(以下、「ノババックス社」と記載します。)より、同社が開発しているCOVID-19のワクチン候補の原薬製造を受託しました。また、米国政府がCOVID-19のワクチンの開発を目的として立上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」(以下、「OWS」と記載します。)の一環として、製造設備拡張等を使途とする約270億円の拠出を受け、ノババックス社を含む、OWSが支援するCOVID-19ワクチン候補の原薬製造を行っていく計画です。英国拠点においては、英国政府が調達するCOVID-19ワクチン候補の原薬製造をノババックス社より受託し、2021年初より製造を開始する予定です。また、同拠点では、設備投資を行い、遺伝子治療薬専用のプロセス開発及び原薬製造の施設を新設します。今後、本施設を順次稼働させ、2021年春に生産プロセス開発、同年秋に原薬製造の受託を開始する予定です。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、及びヘルスケア産業の発展に貢献していきます。
再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開する培地販売、及びFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国)が展開する、次世代がん免疫治療薬に使用する他家iPS細胞の開発受託事業が好調に推移し、売上は増加しました。2020年9月には、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)の製造販売承認申請を行いました。今後も、当社グループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、店舗販売はCOVID-19の流行拡大影響を受けましたが、通信販売を中心にサプリメント「メタバリアEX」等が好調に推移し、全体の売上が増加しました。2020年4月には、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」機能を持つ、機能性表示食品「アスタリフト サプリメント ホワイトシールド」と「アスタリフト ドリンク ホワイトシールド」を、2020年9月には、水分を保持し肌のうるおいをキープする成分を配合したベースメイクアイテム「アスタリフト ルミナス エッセンス」、弾ける泡で肌を引き締める美容液「アスタリフト スパークル タイト セラム」を発売しました。今後もお客様のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。
ディスプレイ材料事業では、スマートフォンの需要減の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、位相差フィルムの販売が好調に推移しました。
産業機材事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けて非破壊検査用機器等の販売が減少しましたが、在宅勤務・在宅学習向け需要が増加したことにより、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調で、全体の売上は増加しました。
電子材料事業では、COVID-19の流行下での在宅勤務拡大を背景としたデータセンター用サーバー向け材料や、先端ロジック向けにCMPスラリーや先端レジスト等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。
ファインケミカル事業では、COVID-19の流行拡大影響により大学や企業の研究活動が停滞し、試薬の需要減等の影響を受けましたが、需要が増加した消毒用エタノール等の販売が堅調に推移し、売上は増加しました。
記録メディア事業では、COVID-19の流行拡大に伴う企業活動の停滞に加え、テレワーク等に対応する通信インフラの能力増強が優先され、データアーカイブへの投資が延期されたこと等を背景にテープ需要が減少し、売上は減少しました。中長期的なデータ量の増加傾向及びテープの優位性に変化はなく、データアーカイブへの投資も回復が見込まれる中で、ビッグデータ時代の顧客ニーズに対応する製品やサービスの拡充によって、事業成長を図っていきます。
グラフィックシステム事業では、刷版材料分野において、COVID-19の流行拡大影響による需要の減少を受けて売上が減少しました。今後、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、引き続き画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売は中国での顧客の稼働が再開し復調傾向にありますが、インクの販売は欧州でのワイドフォーマット市場の需要落込みが激しく、全体の売上が減少しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。
③ ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、COVID-19流行拡大の影響を受けたこと、アジア通貨安による為替のマイナス影響等により、410,170百万円(前年同期比15.5%減)となりました。営業利益は、28,316百万円(前年同期比48.4%減)となりました。
オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、日本・中国・その他地域でいずれも販売台数が前年を上回りました。また、国内では感染対策として在宅勤務が広がったことで、全国のセブン-イレブン店頭に設置されたマルチコピー機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。オフィスプリンター分野は、販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業では、COVID-19流行拡大による経済の先行き不透明感からお客様が投資を抑制したことで、販売台数は前年から減少しました。
ソリューション&サービス事業では、COVID-19流行拡大を受けて、営業活動が制限されたこと等により、全体の売上が減少しました。一方で、在宅勤務が拡大したことにより、強固なセキュリティと簡単・便利なネットワーク環境を実現するサービス「beat」や、オフィスに届くファクス文書を自宅で確認が出来るペーパーレスファクスソリューション等、新たな働き方を支援するソリューションの販売が増加しました。今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、お客様の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より61,442百万円増加し、当第2四半期連結会計期間末においては457,533百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は194,558百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して37,006百万円(23.5%)増加しておりますが、これは「(5)その他」に含まれる、前払費用その他の流動資産が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は62,170百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して101,331百万円(62.0%)減少しておりますが、これは前第2四半期連結累計期間においてBIOGEN(DENMARK)MANUFACTURING ApSを買収したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は74,543百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して71,971百万円(2798.3%)増加しておりますが、これは当第2四半期連結累計期間において長期債務による調達額が減少したこと及び短期債務の返済額が増加したこと等によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、74,409百万円(前年同期比6.6%減)であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員の状況
① 連結会社の状況
当第2四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。
② 提出会社の状況
当第2四半期累計期間において、提出会社の従業員数は前事業年度末から395名増加し、623名となりました。この従業員数の増加は、富士フイルム㈱及び富士ゼロックス㈱間でのポリシー・業務プロセスの統一、重複業務廃止・人材相互活用による当社グループ全体視点でのガバナンス強化などの更なる推進を目的に、両社のコーポレート部門について富士フイルムホールディングス㈱へ統合する組織改定を実施したためです。
(7) 重要な会計上の見積り
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当第2四半期連結累計期間における連結売上高は、バイオCDMO事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、ドキュメント事業、フォトイメージング事業、グラフィックシステム事業等の売上減少により997,389百万円(前年同期比11.9%減)となりました。営業利益は、56,471百万円(前年同期比38.6%減)となりました。税金等調整前四半期純利益は99,569百万円(前年同期比2.1%増)、当社株主帰属四半期純利益は67,606百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末では、総資産は受取債権の減少等により13,484百万円減少し、3,308,208百万円(前年度末比0.4%減)となりました。負債は社債及び借入金の減少等により77,755百万円減少し、1,250,180百万円(前年度末比5.9%減)となりました。純資産は当社株主帰属四半期純利益等により64,271百万円増加し、2,058,028百万円(前年度末比3.2%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(事業セグメント別の連結売上高)
セグメント | 前第2四半期 連結累計期間 (百万円) | 当第2四半期 連結累計期間 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) |
イメージング ソリューション | 154,070 | 113,898 | △40,172 | △26.1 |
ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション | 492,745 | 473,321 | △19,424 | △3.9 |
ドキュメント ソリューション | 485,319 | 410,170 | △75,149 | △15.5 |
連結合計 | 1,132,134 | 997,389 | △134,745 | △11.9 |
(事業セグメント別の営業利益(△損失))
セグメント | 前第2四半期 連結累計期間 (百万円) | 当第2四半期 連結累計期間 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) |
イメージング ソリューション | 10,144 | △2,146 | △12,290 | - |
ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション | 45,025 | 45,756 | 731 | 1.6 |
ドキュメント ソリューション | 54,921 | 28,316 | △26,605 | △48.4 |
全社費用及び セグメント間取引消去 | △18,051 | △15,455 | 2,596 | - |
連結合計 | 92,039 | 56,471 | △35,568 | △38.6 |
① イメージング ソリューション部門
イメージング ソリューション部門の連結売上高は、113,898百万円(前年同期比26.1%減)となりました。新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の流行拡大によって、世界各国の多くの都市での外出規制や、店舗の休業、各種イベントの自粛・中止が生じたこと等の影響を受けて、製品・サービス全般にわたって販売が減少しました。営業損失は、2,146百万円となりました。
フォトイメージング事業では、COVID-19の流行拡大によるイベント自粛・中止の影響等により、売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、自宅での時間を充実させる“チェキ”の新たな楽しみ方を、SNSを通じて提案し、オンライン販売を強化しており、欧米を中心に販売が回復基調となっています。スマートフォン用プリンター「instax mini Link」の販売が好調で、2020年5月には、スマートフォンで撮影した画像の中からイラスト等を抜き出し別の画像と合成して“チェキプリント”できる新機能「Sketch, edit & print」をアプリに追加搭載し、新たな楽しみ方・付加価値を提供しています。2020年3月に発売したインスタントカメラ「instax mini 11」も順調に売上を伸ばし、第2四半期ではインスタントカメラ合計で前年を上回る売上となりました。また、2020年4月には、「Year Album」に、AI技術を活用しユーザーの趣味嗜好に合った画像選択とレイアウトを自動作成、提案するパーソナライズ機能等を新たに搭載しました。今後も多様化するお客様のニーズにお応えし、便利で付加価値の高い商品・サービスを提供するとともに、「撮る、残す、飾る、そして贈る」という写真本来の価値を世界中で伝え続けていきます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、COVID-19の流行拡大影響による店舗休業や撮影機会の減少を受け、売上は減少しました。デジタルカメラ市場全体が大変厳しく、総需要が前年比で大きく減少する中で、2020年2月に発売した高級コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」と、2020年4月に発売し、高速AFや高い動画性能を評価されているミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T4」の販売は好調に推移しました。また、2020年7月には「GFXシリーズ」用交換レンズとして、圧倒的な描写力を実現するコンパクトな単焦点広角レンズ「フジノンレンズ GF30mmF3.5 R WR」を発売しました。2020年9月には「Xシリーズ」用交換レンズのラインアップとして、大口径中望遠単焦点レンズ「フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」を発売する等、豊富なレンズラインアップでシステムとしての魅力を高めてきました。今後も特長ある魅力的な製品を供給して市場の活性化を図るとともに、写真を撮影する素晴らしさを提供していきます。
光学デバイス分野では、スポーツ・イベント及びドラマ・映画の撮影中止に伴う放送・シネマ用レンズの販売減や世界的な自動車需要減による車載レンズの販売減等によって、売上は減少しました。セキュリティ用レンズでは底堅い需要があり、第2四半期では前年を上回る売上となりました。同分野では、超短焦点プロジェクターや長焦点監視カメラの開発・発売のほか、マルチスペクトルカメラシステムを新たに開発する等、事業の領域拡大を進めており、多様な市場ニーズに応える画期的な製品を開発し続けることで、事業成長を図っていきます。
② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、473,321百万円(前年同期比3.9%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、メディカルシステム事業では病院への商談・設置の遅延、ライフサイエンス事業では店頭イベントの中止や直営店の休止、グラフィックシステム事業ではイベントの自粛・中止等による印刷需要減の影響を受けました。営業利益は、45,756百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大影響により売上は減少しましたが、抗菌材料分野では、アルコールによる除菌効果に加えて、銀系抗菌剤と超親水コートによる持続除菌を兼ね備えた当社独自技術「Hydro Ag+(ハイドロ エージー プラス)」を応用した薬用ハンドジェルや抗菌シート等の販売が急増し、売上が大幅に増加しました。X線画像診断分野では、病室内の病床を移動しながら撮影可能な回診用デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」及び「FUJIFILM DR CALNEO Go PLUS」の旺盛な需要が継続し、欧米・アジア・中南米・中東アフリカでの販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、2020年7月に米国、同8月に欧州で販売を開始したハイエンド超音波画像診断装置「Sonosite PX」の販売が好調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本と米国を中心に堅調に推移しました。2020年8月に、AI技術を活用し設計した、臓器自動抽出機能等のアプリケーションを搭載した3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Ver.6.1」の販売を日本で開始しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が中国において堅調に推移しました。体外診断(IVD)分野では、国内の血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が堅調に推移しました。2020年5月には、全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコーg1」用に、新型コロナウイルス遺伝子を全自動で簡便・迅速に検出する研究用試薬「ミュータスワコー COVID-19」を日本で発売しました。
医薬品事業では、2020年6月に、COVID-19治療薬として期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の海外展開に向けて、インド大手製薬企業Dr. Reddy's Laboratories Ltd.、及び世界的な医療物資・医薬品提供会社Global Response Aidとの提携を行い、当提携によるライセンス収入等により、売上は増加しました。COVID-19患者を対象とした「アビガン®錠」の国内臨床第Ⅲ相試験については、主要評価項目を達成し、2020年10月に製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。また、バイオテクノロジー企業VLP Therapeutics JAPAN合同会社とCOVID-19ワクチン候補の製剤の製造受託契約を締結しました。本ワクチンはドラッグ・デリバリー・システム技術の一種である脂質ナノ粒子を用いた製剤で、当社グループが保有する製造設備・インフラを活用して、製剤のプロセス開発から治験薬製造まで受託していきます。放射性医薬品分野では、2020年8月に、膵臓、消化管及び肺の神経内分泌腫瘍の新規放射性医薬品「F-1515」※の国内における製造販売承認申請を行いました。当社グループは、高付加価値な医薬品の提供を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。
※ 海外製品名「Lutathera®(ルタテラ)」。2015年にAdvanced Accelerator Applications International S.A.
より国内開発・販売に関するライセンス契約を締結。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2020年6月に、バイオ医薬品のさらなる生産能力増強を目的に、デンマーク拠点に約1,000億円を投じて製造設備を大幅に増強することを発表しました。2022年から2023年に順次稼働させ、デンマーク拠点におけるバイオ医薬品の原薬生産能力を倍増させるとともに、同拠点にて原薬から製剤・包装までワンサイト・ワンストップで製造受託ができる体制を構築します。また、同拠点では2021年4月より、Eli Lilly and Companyが開発している、COVID-19向け抗体医薬品の商業生産に必要な原薬の製造を受託することが決定しました。同社のCOVID-19向け抗体医薬品の低・中所得国における普及に貢献していきます。米国拠点においては、米国バイオテクノロジー企業Novavax, Inc.(以下、「ノババックス社」と記載します。)より、同社が開発しているCOVID-19のワクチン候補の原薬製造を受託しました。また、米国政府がCOVID-19のワクチンの開発を目的として立上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」(以下、「OWS」と記載します。)の一環として、製造設備拡張等を使途とする約270億円の拠出を受け、ノババックス社を含む、OWSが支援するCOVID-19ワクチン候補の原薬製造を行っていく計画です。英国拠点においては、英国政府が調達するCOVID-19ワクチン候補の原薬製造をノババックス社より受託し、2021年初より製造を開始する予定です。また、同拠点では、設備投資を行い、遺伝子治療薬専用のプロセス開発及び原薬製造の施設を新設します。今後、本施設を順次稼働させ、2021年春に生産プロセス開発、同年秋に原薬製造の受託を開始する予定です。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、及びヘルスケア産業の発展に貢献していきます。
再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開する培地販売、及びFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国)が展開する、次世代がん免疫治療薬に使用する他家iPS細胞の開発受託事業が好調に推移し、売上は増加しました。2020年9月には、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)の製造販売承認申請を行いました。今後も、当社グループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、店舗販売はCOVID-19の流行拡大影響を受けましたが、通信販売を中心にサプリメント「メタバリアEX」等が好調に推移し、全体の売上が増加しました。2020年4月には、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」機能を持つ、機能性表示食品「アスタリフト サプリメント ホワイトシールド」と「アスタリフト ドリンク ホワイトシールド」を、2020年9月には、水分を保持し肌のうるおいをキープする成分を配合したベースメイクアイテム「アスタリフト ルミナス エッセンス」、弾ける泡で肌を引き締める美容液「アスタリフト スパークル タイト セラム」を発売しました。今後もお客様のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。
ディスプレイ材料事業では、スマートフォンの需要減の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、位相差フィルムの販売が好調に推移しました。
産業機材事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けて非破壊検査用機器等の販売が減少しましたが、在宅勤務・在宅学習向け需要が増加したことにより、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調で、全体の売上は増加しました。
電子材料事業では、COVID-19の流行下での在宅勤務拡大を背景としたデータセンター用サーバー向け材料や、先端ロジック向けにCMPスラリーや先端レジスト等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。
ファインケミカル事業では、COVID-19の流行拡大影響により大学や企業の研究活動が停滞し、試薬の需要減等の影響を受けましたが、需要が増加した消毒用エタノール等の販売が堅調に推移し、売上は増加しました。
記録メディア事業では、COVID-19の流行拡大に伴う企業活動の停滞に加え、テレワーク等に対応する通信インフラの能力増強が優先され、データアーカイブへの投資が延期されたこと等を背景にテープ需要が減少し、売上は減少しました。中長期的なデータ量の増加傾向及びテープの優位性に変化はなく、データアーカイブへの投資も回復が見込まれる中で、ビッグデータ時代の顧客ニーズに対応する製品やサービスの拡充によって、事業成長を図っていきます。
グラフィックシステム事業では、刷版材料分野において、COVID-19の流行拡大影響による需要の減少を受けて売上が減少しました。今後、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、引き続き画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売は中国での顧客の稼働が再開し復調傾向にありますが、インクの販売は欧州でのワイドフォーマット市場の需要落込みが激しく、全体の売上が減少しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。
③ ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、COVID-19流行拡大の影響を受けたこと、アジア通貨安による為替のマイナス影響等により、410,170百万円(前年同期比15.5%減)となりました。営業利益は、28,316百万円(前年同期比48.4%減)となりました。
オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、日本・中国・その他地域でいずれも販売台数が前年を上回りました。また、国内では感染対策として在宅勤務が広がったことで、全国のセブン-イレブン店頭に設置されたマルチコピー機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。オフィスプリンター分野は、販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業では、COVID-19流行拡大による経済の先行き不透明感からお客様が投資を抑制したことで、販売台数は前年から減少しました。
ソリューション&サービス事業では、COVID-19流行拡大を受けて、営業活動が制限されたこと等により、全体の売上が減少しました。一方で、在宅勤務が拡大したことにより、強固なセキュリティと簡単・便利なネットワーク環境を実現するサービス「beat」や、オフィスに届くファクス文書を自宅で確認が出来るペーパーレスファクスソリューション等、新たな働き方を支援するソリューションの販売が増加しました。今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、お客様の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より61,442百万円増加し、当第2四半期連結会計期間末においては457,533百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は194,558百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して37,006百万円(23.5%)増加しておりますが、これは「(5)その他」に含まれる、前払費用その他の流動資産が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は62,170百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して101,331百万円(62.0%)減少しておりますが、これは前第2四半期連結累計期間においてBIOGEN(DENMARK)MANUFACTURING ApSを買収したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は74,543百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して71,971百万円(2798.3%)増加しておりますが、これは当第2四半期連結累計期間において長期債務による調達額が減少したこと及び短期債務の返済額が増加したこと等によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、74,409百万円(前年同期比6.6%減)であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員の状況
① 連結会社の状況
当第2四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。
② 提出会社の状況
当第2四半期累計期間において、提出会社の従業員数は前事業年度末から395名増加し、623名となりました。この従業員数の増加は、富士フイルム㈱及び富士ゼロックス㈱間でのポリシー・業務プロセスの統一、重複業務廃止・人材相互活用による当社グループ全体視点でのガバナンス強化などの更なる推進を目的に、両社のコーポレート部門について富士フイルムホールディングス㈱へ統合する組織改定を実施したためです。
(7) 重要な会計上の見積り
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。