有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済を概観すると、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制されており、急速に減速しています。日本の景気についても、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。先行きについては、COVID-19の影響による厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済を下振れさせるリスクを十分注視する必要があります。
当連結会計年度における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、光学・電子映像事業、ドキュメント事業の売上減少等により2,315,141百万円(前年度比4.8%減)となりました。営業利益は、186,570百万円(前年度比11.1%減)となりました。税金等調整前当期純利益は173,071百万円(前年度比18.7%減)、当社株主帰属当期純利益は124,987百万円(前年度比9.5%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(事業セグメント別の連結売上高)
イメージング ソリューション部門の連結売上高は、前年度の386,914百万円に対し、COVID-19の影響等でインスタントフォトシステムやデジタルカメラ等の販売が減少したことにより54,311百万円減少し、332,603百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,038,966百万円に対し、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、電子材料事業等で対前年増収となるもののCOVID-19の影響等により14,757百万円減少し、1,024,209百万円となりました。ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,005,609百万円に対し、為替の円高影響やCOVID-19の影響等により47,280百万円減少し、958,329百万円となりました。
(事業セグメント別の営業利益)
イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の51,128百万円に対し、為替やCOVID-19の影響等により26,052百万円減少し、25,076百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の営業利益は、前年度の97,579百万円に対し、為替やCOVID-19の影響等により5,177百万円減少し、92,402百万円となりました。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の96,366百万円に対し、収益性の改善や構造改革効果により8,679百万円増加し、105,045百万円となりました。
当連結会計年度末では、総資産は現金及び現金同等物の減少等により、93,000百万円減少し3,321,692百万円(前年度末比2.7%減)となりました。負債は社債及び長期借入金の増加等により158,084百万円増加し、1,327,935百万円(前年度末比13.5%増)となりました。純資産は非支配持分との資本取引等により251,084百万円減少し、1,993,757百万円(前年度末比11.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、為替変動による影響等を合わせて、前連結会計年度末より258,656百万円減少し、当連結会計年度末において396,091百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は255,667百万円となり、前連結会計年度と比較して6,324百万円(2.5%)増加しておりますが、これは受取債権が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に使用した資金は244,850百万円となり、前連結会計年度と比較して36,265百万円(17.4%)増加しておりますが、これは事業買収による支出や固定資産の購入等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に使用した資金は250,943百万円となり、前連結会計年度と比較して97,421百万円(63.5%)増加しておりますが、これは非支配持分との資本取引による支出等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(連結キャッシュ・フロー指標)
ⅱ)財務政策
当社グループの資金需要には、運転資金需要及び投資を目的とした資金需要、株主還元のための資金需要が含まれます。
運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収を含む投融資等によるものであります。また、株主還元の方針は以下の通りであります。
(株主還元方針)
配当につきましては、連結業績を反映させるとともに、成長事業のさらなる拡大に向けたM&A、設備投資、研究開発投資等、将来にわたって企業価値を向上させていくために必要となる資金の水準等も考慮した上で決定いたします。また、その時々のキャッシュ・フローを勘案し、株価推移に応じて自己株式の取得も機動的に実施していきます。株主還元方針については、配当を重視し、配当性向25%以上を目標としております。
これらの資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。また、COVID-19の感染拡大やそれに伴う経済活動停滞による緊急の資金需要に備えるため、短期資金借入枠を設定しています。
なお、当連結会計年度末の残高の内訳は、短期の社債及び借入金120,998百万円、長期の社債及び借入金503,171百万円となっております。
② 経営成績
ⅰ)売上高、営業費用及び営業利益
当連結会計年度の売上高は、前年度の2,431,489百万円に対し、116,348百万円減少し、2,315,141百万円(前年度比4.8%減)となりました。国内売上高は1,004,076百万円(前年度比0.2%減)、海外売上高は1,311,065百万円(前年度比8.0%減)となりました。実績為替レートは109円/米ドル(前年度比2円高)、121円/ユーロ(前年度比7円高)となりました。
販売費及び一般管理費は、前年度の631,557百万円に対し21,514百万円減少し、610,043百万円(前年度比3.4%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は26.3%でした。
研究開発費は、前年度の156,132百万円に対し1,748百万円増加し、157,880百万円(前年度比1.1%増)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.8%でした。
セグメントの業績は次のとおりであります。
「イメージング ソリューション部門」
本部門の連結売上高は、332,603百万円(前年度比14.0%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、当社グループ中国工場において、春節休暇の延長による稼働再開の延期や、稼働後の従業員確保の問題等による操業率低下があり、一部の新製品発売が2020年度の販売となりました。また、小売店の来客減や閉鎖等による、インスタントフォトシステム「チェキ」シリーズやミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」等、コンシューマー製品の販売が影響を受けました。営業利益は、25,076百万円(前年度比51.0%減)となりました。
フォトイメージング事業では、カラーペーパーの需要減や、COVID-19の流行拡大影響により、売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、2020年3月より、世界中で特に人気の高いエントリーモデルの新製品「instax mini 11」を欧米等で販売開始しました。今後も“アナログからデジタルまで”幅広い分野において多様化するお客さまのニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続けます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、デジタルカメラのエントリーモデルの販売減や、COVID-19の流行拡大影響により売上は減少しましたが、2019年6月に発売した、世界最高※11億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」や、2020年2月に発売した高級コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」の販売は好調に推移しました。
光学デバイス分野では、主に中国景気の減速による車載レンズ等産業用レンズの需要減の影響を受け、売上は減少しました。2020年3月より、世界最高※2125倍ズームを実現した4K対応放送用レンズと、世界で初めてAF機能を搭載した4K対応放送用レンズの販売を開始しました。また、独自の二軸回転レンズで投写の自由度を広げる新プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」や、レンズ一体型の遠望監視カメラ「FUJIFILM SX800」等、事業成長に向けた新製品の展開を強化しています。
※1 民生用ミラーレスデジタルカメラとして。2020年5月18日時点。富士フイルム調べ。
※2 50倍以上のズーム倍率を持つ箱型タイプの放送用レンズとして。2019年11月13日時点。富士フイルム調べ。
「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門」
本部門の連結売上高は、1,024,209百万円(前年度比1.4%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、メディカルシステム事業では病院への営業活動自粛や商談遅延、ライフサイエンス事業では店頭イベントの中止や直営店の休止、グラフィックシステム事業ではイベント等の自粛による印刷需要減等の影響を受けました。営業利益は、92,402百万円(前年度比5.3%減)となりました。
メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けましたが、医療IT、内視鏡、体外診断(IVD)等の分野で販売が堅調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、デジタルマンモグラフィシステムの販売が最大市場である米国や、中南米、中東等の新興国で好調に推移しました。また、COVID-19の流行により、複数の病床を移動しながら撮影可能な回診用X線撮影装置の需要が急増し、欧州、米国を中心に販売が伸長しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本を中心に好調に推移し、売上が増加しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が海外を中心に好調に推移しました。超音波診断分野では、COVID-19の流行による肺炎検査や処置の需要が急増し、病床への持ち運びが容易な携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」等の販売が伸長しました。体外診断(IVD)分野では、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が堅調に推移しました。また、2019年12月に㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収を発表しました。本買収により、これまで以上に質の高い豊富なソリューションを提供し、医療の質の向上に向けて先進的な役割を果たすとともに、世界屈指の「ヘルスケア・カンパニー」としての事業基盤を確立します。
医薬品事業では、収益性の改善を目的にジェネリック医薬品販売を縮小したこと等により、売上は減少しました。2020年3月よりCOVID-19の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の国内臨床第Ⅲ相試験を開始しました。米国では2020年4月より臨床第Ⅱ相試験を開始しています。既に増産を開始しており、政府とも連携し、COVID-19の流行拡大抑止や流行の終息、さらには今後の公衆衛生の向上に貢献していきます。また、2020年2月より、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の一つであり、薬剤を選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤専用の新工場が稼働を開始し、開発・製造受託サービスをスタートしました。アンメットメディカルニーズに応える新薬開発を進めるとともに、これまで培ってきたDDS技術等を活用し医薬品創出をサポートすることで、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2019年8月に連結子会社化した、バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社BIOGEN (DENMARK) MANUFACTURING ApSも売上の増加に寄与しました。また、2020年3月に、バイオ医薬品のさらなる生産能力増強を目的に、英国拠点に約90億円を投じ、微生物培養タンクを備えた新規製造ライン等の導入を発表しました。2022年以降の稼働を予定しています。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業の発展に貢献していきます。
再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開する培地販売、及びFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国。以下、「FCDI」と記載します。)が展開する、iPS細胞を用いた創薬支援事業が好調に推移しました。また、2020年3月よりFCDIでは、治療用iPS細胞の新生産施設「Innovation Facility for Advanced Cell Therapy(i-FACT)」の稼働を開始しました。今後も富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けましたが、リニューアル発売したジェリー状先行美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA(アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」や、サプリメント「メタバリアEX」等の販売が堅調に推移しました。今後もお客様のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。
ディスプレイ材料事業では、パネルメーカーの生産調整や「WVフィルム」の需要減等の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、有機EL向けの製品販売が堅調に推移しました。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が顧客の在庫調整の影響を受けたこと等により、全体の売上は減少しましたが、非破壊検査用機器の販売が堅調に推移しました。
電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料において半導体市場低迷の影響を受けたものの、CMPスラリー等の販売が引き続き堅調に推移し、売上が増加しました。
ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における試薬販売が堅調に推移しました。全体の売上は前年並みとなりました。
記録メディア事業では、2019年9月に発売した、最大記録容量30TBを実現したデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium8 データカートリッジ」の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスを提供し、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、刷版需要の減少や、COVID-19の流行拡大影響を受け、売上が減少しました。刷版材料分野では、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国景気の減速等による需要減の影響を受け、売上が減少しました。2019年11月より、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェア等のインクジェットコンポーネントを「Samba(サンバ) JPC」として販売開始しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。
「ドキュメント ソリューション部門」
本部門の連結売上高は、アジア通貨安が進んだことによる為替のマイナス影響、欧米向け輸出の減少及びCOVID-19流行拡大影響等により、958,329百万円(前年度比4.7%減)となりました。営業利益は、業務改革による収益性の改善等により、105,045百万円(前年度比9.0%増)となりました。
オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、主にCOVID-19流行拡大影響を受けて全体の販売台数は前年を下回りました。アジア・オセアニア地域や欧米向けの販売は減少し、主力A3カラー複合機「ApeosPort-VII C」シリーズが好調の国内販売も、第4四半期は前年を下回りました。一方で、感染対策としてリモートワークが広がったことで、全国のセブン-イレブン店頭に設置された複合機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。オフィスプリンター分野では低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小等により、販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業では、基幹システム向けプリンターの販売が減少したものの、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が、豊かな色表現を実現する特殊トナーを追加してお客様のカスタマイズバリエーションを増やし、各地域で好調でした。また、国内ではDTP(Desktop Publishing)向けカラープリンター「DocuColor 1450 GA (Model-NE)」の販売が堅調に推移し、全体の販売台数は対前年で増加しました。
ソリューション&サービス事業では、オーストラリアで獲得した大型BPO(Business Process Outsourcing)契約に加え、国内市場ではオフィスのIT環境の設計・導入・運用・管理をサポートするサービスの販売が堅調に推移し、全体の売上が増加しました。強固なセキュリティ・簡単・便利なネットワーク環境を実現するサービス「beat」等の販売も強化しつつ、今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、お客様の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。
ⅱ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益
営業外収益及び費用は、持分証券に関する評価損の計上等により、前年度2,935百万円の営業外収益に対し16,434百万円減少し、13,499百万円の営業外費用となりました。
税金等調整前当期純利益は、前年度の212,762百万円に対し39,691百万円減少し、173,071百万円となりました。
ⅲ)法人税等
法人税等は、前年度の56,056百万円に対し19,942百万円減少し、36,114百万円となりました。
ⅳ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益
持分法による投資損益は、前年度418百万円の利益に対して923百万円増加し、1,341百万円の利益となりました。
非支配持分帰属損益は、主として富士ゼロックス㈱及びその子会社の非支配持分に帰属する利益です。前年度の19,018百万円に対し5,707百万円減少し、13,311百万円となりました。
なお、2019年11月8日付で富士ゼロックス㈱を完全子会社化したため、同日付で富士ゼロックス㈱の非支配持分はなくなっております。
ⅴ)当社株主帰属当期純利益
当社株主帰属当期純利益は、前年度の138,106百万円に対し13,119百万円減少し、124,987百万円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の326.81円に対し、306.18円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の325.82円に対し、305.22円となりました。
③ 次期の見通し
2020年度業績につきましては、COVID-19が世界規模で流行拡大している影響により、現段階では合理的な予想の算出が困難であるため、未定とさせていただきます。
④ 重要な会計上の見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす見積り及び仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
COVID-19の影響については、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、今後の当社への影響を予測することは極めて困難ではありますが、最善の見積りを行う上での一定の仮定として、翌連結会計年度の一定期間に亘り当該影響が継続するとの前提で、会計上の見積りを行っております。
なお、COVID-19による経済活動への影響は不確実性が高いため、上記仮定に変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ)企業結合
企業結合は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての資産及び引き受けた全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。
企業結合の処理における公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化に伴い公正価値が修正され、取得した資産の将来における減損損失の計上、引き受けた負債の増加につながる可能性があります。
なお、当事業年度に実施した事業買収については、連結財務諸表注記「22 事業買収」に記載しております。
ⅱ)営業権の減損
営業権は償却せず、毎年1月1日時点で減損の有無を検討しております。営業権の減損テストは、当社の報告単位毎に見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値に基づいて行われており、使用される割引率は、報告単位のWACC(加重平均資本コスト)に基づいて算出しております。また、客観的事実や状況の変化により当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る可能性がある場合には、その都度減損の有無を検討しております。
見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値の算定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。
営業権の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において営業権の減損損失を認識することになる可能性があります。
なお、オペレーティングセグメント毎の営業権の残高については、連結財務諸表注記「8 営業権及びその他の無形資産」に記載しております。
ⅲ)長期性資産の減損
営業権及び耐用年数を確定できないその他の無形固定資産を除く、保有及び使用予定の長期性資産について、客観的事実や状況の変化により当該資産の帳簿価額の回収可能性に疑いのある場合には、減損の有無を検討しております。減損の兆候があると判断されるときは、その資産に関連する見積割引前将来キャッシュ・フローとその資産の帳簿価額を比較し、帳簿価額の減額が必要かどうかを検討しております。この結果、帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを超過すると判断される場合は、当該資産の帳簿価額を見積公正価値へ減額処理しております。公正価値を決定するにあたり、当社は市場取引価格又はその他の評価方法を使用しております。市場取引価格を利用できない場合には、主に資産の使用や最終的な処分から生じる見積将来キャッシュ・フローに基づく割引現在価値法、ロイヤルティ免除法又は超過収益法を使用しております。
これらの手法は、将来見積利益又はキャッシュ・フローの予測及び割引率等多くの見積りを伴います。
長期性資産の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において長期性資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
ⅳ)退職給付引当金及び退職給付費用
当社の一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しており、当該制度にかかる退職給付引当金及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待収益率、退職率、死亡率等が含まれております。
数理計算上の仮定は、最善の見積りにより決定しておりますが、見直しが必要となった場合には、退職給付引当金及び退職給付費用が増加する可能性があります。
なお、数理計算上の仮定については連結財務諸表注記「10 退職給付制度」に記載しております。
ⅴ)貸倒引当金
営業債権、リース債権及びその他の債権に対する貸倒引当金は、過去の貸倒実績、延滞状況及び問題が生じている取引先の財政状態に基づき決定しております。裁判所による決定等によって、回収不能であることが明らかになった場合は、その時点で帳簿価額を直接減額しております。
貸倒引当金は、過去の実績や評価時点で利用可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で見積りを行っていますが、相手先の財政状態が悪化した場合等見積りの根拠となる仮定又は条件等が変化した場合には、貸倒引当金を積み増すことになる可能性があります。
なお、貸倒引当金の残高については、連結財務諸表注記「20 金融債権の状況」に記載しております。
ⅵ)繰延税金資産
資産及び負債の財務会計上の金額と税務上の金額の差異に基づいて繰延税金資産及び負債を認識しており、その算出にあたっては差異が解消される年度に適用される税率及び税法を適用しております。また、繰延税金資産のうち回収されない可能性が高い部分については、評価性引当金を計上しております。
回収可能性の検討にあたっては、評価時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っておりますが、見積りの前提とした仮定や条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
なお、繰延税金資産の残高については、連結財務諸表注記「11 法人税等」に記載しております。
ⅶ)棚卸資産
棚卸資産については、原則として移動平均法による低価法により評価しております。また、当社は定期的に陳腐化、滞留、又は過剰在庫の有無を検討し、該当する場合には正味実現可能価額まで評価減しております。
評価損の見積りにあたっては、過去の出荷実績や評価時点で入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が下落する場合には、追加の評価損計上が必要となる可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済を概観すると、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制されており、急速に減速しています。日本の景気についても、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。先行きについては、COVID-19の影響による厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済を下振れさせるリスクを十分注視する必要があります。
当連結会計年度における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、光学・電子映像事業、ドキュメント事業の売上減少等により2,315,141百万円(前年度比4.8%減)となりました。営業利益は、186,570百万円(前年度比11.1%減)となりました。税金等調整前当期純利益は173,071百万円(前年度比18.7%減)、当社株主帰属当期純利益は124,987百万円(前年度比9.5%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(事業セグメント別の連結売上高)
| セグメント | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) |
| イメージング ソリューション | 386,914 | 332,603 | △54,311 | △14.0 |
| ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション | 1,038,966 | 1,024,209 | △14,757 | △1.4 |
| ドキュメント ソリューション | 1,005,609 | 958,329 | △47,280 | △4.7 |
| 連結合計 | 2,431,489 | 2,315,141 | △116,348 | △4.8 |
イメージング ソリューション部門の連結売上高は、前年度の386,914百万円に対し、COVID-19の影響等でインスタントフォトシステムやデジタルカメラ等の販売が減少したことにより54,311百万円減少し、332,603百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,038,966百万円に対し、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、電子材料事業等で対前年増収となるもののCOVID-19の影響等により14,757百万円減少し、1,024,209百万円となりました。ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,005,609百万円に対し、為替の円高影響やCOVID-19の影響等により47,280百万円減少し、958,329百万円となりました。
(事業セグメント別の営業利益)
| セグメント | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) |
| イメージング ソリューション | 51,128 | 25,076 | △26,052 | △51.0 |
| ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション | 97,579 | 92,402 | △5,177 | △5.3 |
| ドキュメント ソリューション | 96,366 | 105,045 | 8,679 | 9.0 |
| 全社費用及び セグメント間取引消去 | △35,246 | △35,953 | △707 | - |
| 連結合計 | 209,827 | 186,570 | △23,257 | △11.1 |
イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の51,128百万円に対し、為替やCOVID-19の影響等により26,052百万円減少し、25,076百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の営業利益は、前年度の97,579百万円に対し、為替やCOVID-19の影響等により5,177百万円減少し、92,402百万円となりました。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の96,366百万円に対し、収益性の改善や構造改革効果により8,679百万円増加し、105,045百万円となりました。
当連結会計年度末では、総資産は現金及び現金同等物の減少等により、93,000百万円減少し3,321,692百万円(前年度末比2.7%減)となりました。負債は社債及び長期借入金の増加等により158,084百万円増加し、1,327,935百万円(前年度末比13.5%増)となりました。純資産は非支配持分との資本取引等により251,084百万円減少し、1,993,757百万円(前年度末比11.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、為替変動による影響等を合わせて、前連結会計年度末より258,656百万円減少し、当連結会計年度末において396,091百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は255,667百万円となり、前連結会計年度と比較して6,324百万円(2.5%)増加しておりますが、これは受取債権が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に使用した資金は244,850百万円となり、前連結会計年度と比較して36,265百万円(17.4%)増加しておりますが、これは事業買収による支出や固定資産の購入等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に使用した資金は250,943百万円となり、前連結会計年度と比較して97,421百万円(63.5%)増加しておりますが、これは非支配持分との資本取引による支出等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(連結キャッシュ・フロー指標)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
| 株主資本比率(%) | 59.7 | 58.8 |
| 時価ベースの株主資本比率(%) | 60.3 | 65.4 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 2.1 | 2.5 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 75.2 | 110.4 |
| (注)株主資本比率 | :株主資本/総資産 |
| 時価ベースの株主資本比率 | :株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産 *自己株式を除く |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | :有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フロー |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | :営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息) |
ⅱ)財務政策
当社グループの資金需要には、運転資金需要及び投資を目的とした資金需要、株主還元のための資金需要が含まれます。
運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収を含む投融資等によるものであります。また、株主還元の方針は以下の通りであります。
(株主還元方針)
配当につきましては、連結業績を反映させるとともに、成長事業のさらなる拡大に向けたM&A、設備投資、研究開発投資等、将来にわたって企業価値を向上させていくために必要となる資金の水準等も考慮した上で決定いたします。また、その時々のキャッシュ・フローを勘案し、株価推移に応じて自己株式の取得も機動的に実施していきます。株主還元方針については、配当を重視し、配当性向25%以上を目標としております。
これらの資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。また、COVID-19の感染拡大やそれに伴う経済活動停滞による緊急の資金需要に備えるため、短期資金借入枠を設定しています。
なお、当連結会計年度末の残高の内訳は、短期の社債及び借入金120,998百万円、長期の社債及び借入金503,171百万円となっております。
② 経営成績
ⅰ)売上高、営業費用及び営業利益
当連結会計年度の売上高は、前年度の2,431,489百万円に対し、116,348百万円減少し、2,315,141百万円(前年度比4.8%減)となりました。国内売上高は1,004,076百万円(前年度比0.2%減)、海外売上高は1,311,065百万円(前年度比8.0%減)となりました。実績為替レートは109円/米ドル(前年度比2円高)、121円/ユーロ(前年度比7円高)となりました。
販売費及び一般管理費は、前年度の631,557百万円に対し21,514百万円減少し、610,043百万円(前年度比3.4%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は26.3%でした。
研究開発費は、前年度の156,132百万円に対し1,748百万円増加し、157,880百万円(前年度比1.1%増)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.8%でした。
セグメントの業績は次のとおりであります。
「イメージング ソリューション部門」
本部門の連結売上高は、332,603百万円(前年度比14.0%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、当社グループ中国工場において、春節休暇の延長による稼働再開の延期や、稼働後の従業員確保の問題等による操業率低下があり、一部の新製品発売が2020年度の販売となりました。また、小売店の来客減や閉鎖等による、インスタントフォトシステム「チェキ」シリーズやミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」等、コンシューマー製品の販売が影響を受けました。営業利益は、25,076百万円(前年度比51.0%減)となりました。
フォトイメージング事業では、カラーペーパーの需要減や、COVID-19の流行拡大影響により、売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、2020年3月より、世界中で特に人気の高いエントリーモデルの新製品「instax mini 11」を欧米等で販売開始しました。今後も“アナログからデジタルまで”幅広い分野において多様化するお客さまのニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続けます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、デジタルカメラのエントリーモデルの販売減や、COVID-19の流行拡大影響により売上は減少しましたが、2019年6月に発売した、世界最高※11億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」や、2020年2月に発売した高級コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」の販売は好調に推移しました。
光学デバイス分野では、主に中国景気の減速による車載レンズ等産業用レンズの需要減の影響を受け、売上は減少しました。2020年3月より、世界最高※2125倍ズームを実現した4K対応放送用レンズと、世界で初めてAF機能を搭載した4K対応放送用レンズの販売を開始しました。また、独自の二軸回転レンズで投写の自由度を広げる新プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」や、レンズ一体型の遠望監視カメラ「FUJIFILM SX800」等、事業成長に向けた新製品の展開を強化しています。
※1 民生用ミラーレスデジタルカメラとして。2020年5月18日時点。富士フイルム調べ。
※2 50倍以上のズーム倍率を持つ箱型タイプの放送用レンズとして。2019年11月13日時点。富士フイルム調べ。
「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門」
本部門の連結売上高は、1,024,209百万円(前年度比1.4%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、メディカルシステム事業では病院への営業活動自粛や商談遅延、ライフサイエンス事業では店頭イベントの中止や直営店の休止、グラフィックシステム事業ではイベント等の自粛による印刷需要減等の影響を受けました。営業利益は、92,402百万円(前年度比5.3%減)となりました。
メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けましたが、医療IT、内視鏡、体外診断(IVD)等の分野で販売が堅調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、デジタルマンモグラフィシステムの販売が最大市場である米国や、中南米、中東等の新興国で好調に推移しました。また、COVID-19の流行により、複数の病床を移動しながら撮影可能な回診用X線撮影装置の需要が急増し、欧州、米国を中心に販売が伸長しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本を中心に好調に推移し、売上が増加しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が海外を中心に好調に推移しました。超音波診断分野では、COVID-19の流行による肺炎検査や処置の需要が急増し、病床への持ち運びが容易な携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」等の販売が伸長しました。体外診断(IVD)分野では、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が堅調に推移しました。また、2019年12月に㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収を発表しました。本買収により、これまで以上に質の高い豊富なソリューションを提供し、医療の質の向上に向けて先進的な役割を果たすとともに、世界屈指の「ヘルスケア・カンパニー」としての事業基盤を確立します。
医薬品事業では、収益性の改善を目的にジェネリック医薬品販売を縮小したこと等により、売上は減少しました。2020年3月よりCOVID-19の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の国内臨床第Ⅲ相試験を開始しました。米国では2020年4月より臨床第Ⅱ相試験を開始しています。既に増産を開始しており、政府とも連携し、COVID-19の流行拡大抑止や流行の終息、さらには今後の公衆衛生の向上に貢献していきます。また、2020年2月より、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の一つであり、薬剤を選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤専用の新工場が稼働を開始し、開発・製造受託サービスをスタートしました。アンメットメディカルニーズに応える新薬開発を進めるとともに、これまで培ってきたDDS技術等を活用し医薬品創出をサポートすることで、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2019年8月に連結子会社化した、バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社BIOGEN (DENMARK) MANUFACTURING ApSも売上の増加に寄与しました。また、2020年3月に、バイオ医薬品のさらなる生産能力増強を目的に、英国拠点に約90億円を投じ、微生物培養タンクを備えた新規製造ライン等の導入を発表しました。2022年以降の稼働を予定しています。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業の発展に貢献していきます。
再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開する培地販売、及びFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国。以下、「FCDI」と記載します。)が展開する、iPS細胞を用いた創薬支援事業が好調に推移しました。また、2020年3月よりFCDIでは、治療用iPS細胞の新生産施設「Innovation Facility for Advanced Cell Therapy(i-FACT)」の稼働を開始しました。今後も富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けましたが、リニューアル発売したジェリー状先行美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA(アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」や、サプリメント「メタバリアEX」等の販売が堅調に推移しました。今後もお客様のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。
ディスプレイ材料事業では、パネルメーカーの生産調整や「WVフィルム」の需要減等の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、有機EL向けの製品販売が堅調に推移しました。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が顧客の在庫調整の影響を受けたこと等により、全体の売上は減少しましたが、非破壊検査用機器の販売が堅調に推移しました。
電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料において半導体市場低迷の影響を受けたものの、CMPスラリー等の販売が引き続き堅調に推移し、売上が増加しました。
ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における試薬販売が堅調に推移しました。全体の売上は前年並みとなりました。
記録メディア事業では、2019年9月に発売した、最大記録容量30TBを実現したデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium8 データカートリッジ」の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスを提供し、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、刷版需要の減少や、COVID-19の流行拡大影響を受け、売上が減少しました。刷版材料分野では、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国景気の減速等による需要減の影響を受け、売上が減少しました。2019年11月より、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェア等のインクジェットコンポーネントを「Samba(サンバ) JPC」として販売開始しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。
「ドキュメント ソリューション部門」
本部門の連結売上高は、アジア通貨安が進んだことによる為替のマイナス影響、欧米向け輸出の減少及びCOVID-19流行拡大影響等により、958,329百万円(前年度比4.7%減)となりました。営業利益は、業務改革による収益性の改善等により、105,045百万円(前年度比9.0%増)となりました。
オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、主にCOVID-19流行拡大影響を受けて全体の販売台数は前年を下回りました。アジア・オセアニア地域や欧米向けの販売は減少し、主力A3カラー複合機「ApeosPort-VII C」シリーズが好調の国内販売も、第4四半期は前年を下回りました。一方で、感染対策としてリモートワークが広がったことで、全国のセブン-イレブン店頭に設置された複合機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。オフィスプリンター分野では低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小等により、販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業では、基幹システム向けプリンターの販売が減少したものの、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が、豊かな色表現を実現する特殊トナーを追加してお客様のカスタマイズバリエーションを増やし、各地域で好調でした。また、国内ではDTP(Desktop Publishing)向けカラープリンター「DocuColor 1450 GA (Model-NE)」の販売が堅調に推移し、全体の販売台数は対前年で増加しました。
ソリューション&サービス事業では、オーストラリアで獲得した大型BPO(Business Process Outsourcing)契約に加え、国内市場ではオフィスのIT環境の設計・導入・運用・管理をサポートするサービスの販売が堅調に推移し、全体の売上が増加しました。強固なセキュリティ・簡単・便利なネットワーク環境を実現するサービス「beat」等の販売も強化しつつ、今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、お客様の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。
ⅱ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益
営業外収益及び費用は、持分証券に関する評価損の計上等により、前年度2,935百万円の営業外収益に対し16,434百万円減少し、13,499百万円の営業外費用となりました。
税金等調整前当期純利益は、前年度の212,762百万円に対し39,691百万円減少し、173,071百万円となりました。
ⅲ)法人税等
法人税等は、前年度の56,056百万円に対し19,942百万円減少し、36,114百万円となりました。
ⅳ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益
持分法による投資損益は、前年度418百万円の利益に対して923百万円増加し、1,341百万円の利益となりました。
非支配持分帰属損益は、主として富士ゼロックス㈱及びその子会社の非支配持分に帰属する利益です。前年度の19,018百万円に対し5,707百万円減少し、13,311百万円となりました。
なお、2019年11月8日付で富士ゼロックス㈱を完全子会社化したため、同日付で富士ゼロックス㈱の非支配持分はなくなっております。
ⅴ)当社株主帰属当期純利益
当社株主帰属当期純利益は、前年度の138,106百万円に対し13,119百万円減少し、124,987百万円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の326.81円に対し、306.18円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の325.82円に対し、305.22円となりました。
③ 次期の見通し
2020年度業績につきましては、COVID-19が世界規模で流行拡大している影響により、現段階では合理的な予想の算出が困難であるため、未定とさせていただきます。
④ 重要な会計上の見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす見積り及び仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
COVID-19の影響については、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、今後の当社への影響を予測することは極めて困難ではありますが、最善の見積りを行う上での一定の仮定として、翌連結会計年度の一定期間に亘り当該影響が継続するとの前提で、会計上の見積りを行っております。
なお、COVID-19による経済活動への影響は不確実性が高いため、上記仮定に変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ)企業結合
企業結合は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての資産及び引き受けた全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。
企業結合の処理における公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化に伴い公正価値が修正され、取得した資産の将来における減損損失の計上、引き受けた負債の増加につながる可能性があります。
なお、当事業年度に実施した事業買収については、連結財務諸表注記「22 事業買収」に記載しております。
ⅱ)営業権の減損
営業権は償却せず、毎年1月1日時点で減損の有無を検討しております。営業権の減損テストは、当社の報告単位毎に見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値に基づいて行われており、使用される割引率は、報告単位のWACC(加重平均資本コスト)に基づいて算出しております。また、客観的事実や状況の変化により当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る可能性がある場合には、その都度減損の有無を検討しております。
見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値の算定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。
営業権の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において営業権の減損損失を認識することになる可能性があります。
なお、オペレーティングセグメント毎の営業権の残高については、連結財務諸表注記「8 営業権及びその他の無形資産」に記載しております。
ⅲ)長期性資産の減損
営業権及び耐用年数を確定できないその他の無形固定資産を除く、保有及び使用予定の長期性資産について、客観的事実や状況の変化により当該資産の帳簿価額の回収可能性に疑いのある場合には、減損の有無を検討しております。減損の兆候があると判断されるときは、その資産に関連する見積割引前将来キャッシュ・フローとその資産の帳簿価額を比較し、帳簿価額の減額が必要かどうかを検討しております。この結果、帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを超過すると判断される場合は、当該資産の帳簿価額を見積公正価値へ減額処理しております。公正価値を決定するにあたり、当社は市場取引価格又はその他の評価方法を使用しております。市場取引価格を利用できない場合には、主に資産の使用や最終的な処分から生じる見積将来キャッシュ・フローに基づく割引現在価値法、ロイヤルティ免除法又は超過収益法を使用しております。
これらの手法は、将来見積利益又はキャッシュ・フローの予測及び割引率等多くの見積りを伴います。
長期性資産の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において長期性資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
ⅳ)退職給付引当金及び退職給付費用
当社の一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しており、当該制度にかかる退職給付引当金及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待収益率、退職率、死亡率等が含まれております。
数理計算上の仮定は、最善の見積りにより決定しておりますが、見直しが必要となった場合には、退職給付引当金及び退職給付費用が増加する可能性があります。
なお、数理計算上の仮定については連結財務諸表注記「10 退職給付制度」に記載しております。
ⅴ)貸倒引当金
営業債権、リース債権及びその他の債権に対する貸倒引当金は、過去の貸倒実績、延滞状況及び問題が生じている取引先の財政状態に基づき決定しております。裁判所による決定等によって、回収不能であることが明らかになった場合は、その時点で帳簿価額を直接減額しております。
貸倒引当金は、過去の実績や評価時点で利用可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で見積りを行っていますが、相手先の財政状態が悪化した場合等見積りの根拠となる仮定又は条件等が変化した場合には、貸倒引当金を積み増すことになる可能性があります。
なお、貸倒引当金の残高については、連結財務諸表注記「20 金融債権の状況」に記載しております。
ⅵ)繰延税金資産
資産及び負債の財務会計上の金額と税務上の金額の差異に基づいて繰延税金資産及び負債を認識しており、その算出にあたっては差異が解消される年度に適用される税率及び税法を適用しております。また、繰延税金資産のうち回収されない可能性が高い部分については、評価性引当金を計上しております。
回収可能性の検討にあたっては、評価時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っておりますが、見積りの前提とした仮定や条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
なお、繰延税金資産の残高については、連結財務諸表注記「11 法人税等」に記載しております。
ⅶ)棚卸資産
棚卸資産については、原則として移動平均法による低価法により評価しております。また、当社は定期的に陳腐化、滞留、又は過剰在庫の有無を検討し、該当する場合には正味実現可能価額まで評価減しております。
評価損の見積りにあたっては、過去の出荷実績や評価時点で入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が下落する場合には、追加の評価損計上が必要となる可能性があります。