四半期報告書-第118期第1四半期(平成29年1月1日-平成29年3月31日)
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2017年1月1日~2017年3月31日)の国内における景況感は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続いています。国内化粧品市場も同様に回復基調が継続したことに加え、増加傾向が続く訪日外国人によるインバウンド需要もあり、堅調に推移しました。海外化粧品市場では、欧州、米州が緩やかに伸長した一方で、アジア、中国が堅調な成長を持続しました。
このような環境において、当社は中長期戦略「VISION 2020」のもと、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」をめざし、「Think Global, Act Local」の考え方に則り、すべての活動において“お客さま起点”を軸に据え、ブランド価値の向上に取り組んでいます。
当期は、現3カ年計画の最終年度であり、「事業基盤の再構築」の完遂に向けた取り組みに注力しています。具体的には、売上の成長加速をめざし、成長機会を大きく期待できる領域への投資をさらに強化するとともに、成長性や収益性に課題を残しているブランドや領域においても解決に向けた取り組みを開始しました。また、収益性改善に向けて、事業やブランドごとの利益管理の徹底、注力する事業やブランドの大胆な組み替え、売上・利益への貢献度が低い商品の大幅な削減などにも着手しました。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、すべてのセグメントにおいて前年を上回り、現地通貨ベースで前年比10.7%増と高い成長モメンタムを引き続き継続しました。既存ビジネスがプレステージ領域を中心に高い成長を維持し、特に中国のお客さまを対象とするボーダレスマーケティングを積極的に実施した日本、中国、トラベルリテール事業が成長を牽引したことに加えて、新ブランドが着実に上乗せとなりました。円換算後では、前年比9.0%増の232,457百万円となりました。
営業利益は、原価率の低減、日本、中国、トラベルリテール事業における収益性向上、コスト構造改革や費用の効率運用などにより、前年比9.3%増の24,133百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、主に前期に知的財産権の譲渡益や工場跡地の売却益を特別利益に計上したことが影響し、前年比48.7%減の13,999百万円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1ドル=113.6円、1ユーロ=121.1円、1中国元=16.6円となっています。
各報告セグメントの概況は次のとおりです。なお、当第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分方法を変更しており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は変更後の区分方法に基づいています。
① 日本事業
日本事業では、ブランドイノベーションを実施した中高価格帯のブランドが引き続き好調を続けていることに加え、中国のお客さまに対する積極的なボーダレスマーケティングの実施により拡大するインバウンド需要を着実に獲得したことなどから、売上高は前年比2.5%増の101,123百万円となりました。営業利益は売上増に伴い人件費及び経費の比率が低下したことに加え、プレステージブランドのROIの向上、パーソナルケアの育成ブランドの絞り込みにより収益性が向上したことなどから、前年比11.5%増の19,920百万円となりました。
② 中国事業
中国事業では、「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「イプサ」などのプレステージブランドがEコマースの構成比拡大もあり高成長を維持したほか、パーソナルケアブランドもEコマースの拡大が寄与し売上を大きく伸ばしたことにより、売上高は現地通貨ベースで前年比21.0%増、円換算後でも前年比14.9%増の35,457百万円となりました。営業利益は、プレステージ領域の売上拡大に伴い原価率が低下したことに加え、マーケティング投資効率の向上などにより、前年比88.6%増の6,584百万円と、大きく収益性を改善しました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」などプレステージブランドがいずれも大きく成長したことに加え、引き続き国ごとに異なるお客さまの嗜好や生活習慣に合わせたマーケティングが奏功した「SENKA」を中心としたパーソナルケアブランドも寄与し、売上高は現地通貨ベースで前年比11.5%増、円換算後でも前年比14.3%増の13,278百万円となりました。営業利益は、プレステージブランドの売上拡大によるプロダクトミックスの好転などにより、前年比108.4%増の2,679百万円となりました。
④ 米州事業
米州事業では、前期に取得したブランド「Laura Mercier」の上乗せがあったものの、競争激化や市場成長鈍化に加え、サプライチェーンの問題も影響し、売上高は現地通貨ベースで前年比4.9%増、円換算後では前年比3.4%増の31,065百万円にとどまりました。営業利益は、既存ビジネスの減収の影響に加え、「Laura Mercier」の統合に向けた先行投資が発生したことなどから、前年同期に対し3,323百万円減の3,708百万円の損失となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、既存ブランドの売上が伸長したことに加え、昨年ライセンス契約を締結した「Dolce&Gabbana」の売上が上乗せとなったことにより、売上高は現地通貨ベースで前年比23.1%増、円換算後では前年比17.6%増の26,496百万円となりました。営業利益は、マーケティング費用の先行投資などに伴い、前年同期に対し2,110百万円減の2,127百万円の損失となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業では、積極的なマーケティング投資の奏功により店舗あたりの売上が拡大し、中国や韓国、タイなどアジアの主要な空港免税店の売上が前年を大きく上回って伸長したことから、売上高は現地通貨ベースで前年比81.0%増、円換算後では前年比77.8%増の10,956百万円となりました。営業利益は売上増に伴う差益増に加え、店舗あたりの生産性向上などにより、前年比130.7%増の3,701百万円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業では、米州を中心に展開するゾートス社が好調なことから、売上高は現地通貨ベースで前年比5.8%増、円換算後では前年比4.7%増の10,753百万円となりました。営業利益は売上増に伴う差益増などにより、前年同期に対し724百万円増の444百万円となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4,488百万円(売上高比1.9%)です。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から変更ありません。なお、当第1四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
2017年4月30日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
③ 資産及び負債・純資産
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、主に売上債権やたな卸資産の増加があったものの、円高による為替影響を受け、前連結会計年度末に比べ1.3%減の922,177百万円となりました。負債は、主に借入債務の増加があったものの、為替影響により、前連結会計年度末に比べ2.9%減の505,627百万円となりました。なお、当第1四半期連結会計期間末現在の有利子負債残高(リース債務を含み、ライセンス契約の締結に伴う未払金及び長期未払金を除く)は133,433百万円となりました。純資産は、為替換算調整勘定が減少した一方で、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ0.6%増の416,550百万円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の42.0%から0.8ポイント上昇し42.8%となりました。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(7) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(8) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(9) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(1) 業績の状況
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 親会社株主に帰属する 四半期純利益 (百万円) | 1株当たり 四半期 純利益 (円) | 潜在株式調整後 1株当たり 四半期純利益 (円) | |
2017年12月期第1四半期 | 232,457 | 24,133 | 23,885 | 13,999 | 35.05 | 35.01 |
2016年12月期第1四半期 | 213,264 | 22,089 | 21,956 | 27,302 | 68.40 | 68.31 |
増減率 | 9.0% | 9.3% | 8.8% | △48.7% | △48.8% | △48.7% |
外貨増減率 | 10.7% | ― | ― | ― | ― | ― |
当第1四半期連結累計期間(2017年1月1日~2017年3月31日)の国内における景況感は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続いています。国内化粧品市場も同様に回復基調が継続したことに加え、増加傾向が続く訪日外国人によるインバウンド需要もあり、堅調に推移しました。海外化粧品市場では、欧州、米州が緩やかに伸長した一方で、アジア、中国が堅調な成長を持続しました。
このような環境において、当社は中長期戦略「VISION 2020」のもと、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」をめざし、「Think Global, Act Local」の考え方に則り、すべての活動において“お客さま起点”を軸に据え、ブランド価値の向上に取り組んでいます。
当期は、現3カ年計画の最終年度であり、「事業基盤の再構築」の完遂に向けた取り組みに注力しています。具体的には、売上の成長加速をめざし、成長機会を大きく期待できる領域への投資をさらに強化するとともに、成長性や収益性に課題を残しているブランドや領域においても解決に向けた取り組みを開始しました。また、収益性改善に向けて、事業やブランドごとの利益管理の徹底、注力する事業やブランドの大胆な組み替え、売上・利益への貢献度が低い商品の大幅な削減などにも着手しました。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、すべてのセグメントにおいて前年を上回り、現地通貨ベースで前年比10.7%増と高い成長モメンタムを引き続き継続しました。既存ビジネスがプレステージ領域を中心に高い成長を維持し、特に中国のお客さまを対象とするボーダレスマーケティングを積極的に実施した日本、中国、トラベルリテール事業が成長を牽引したことに加えて、新ブランドが着実に上乗せとなりました。円換算後では、前年比9.0%増の232,457百万円となりました。
営業利益は、原価率の低減、日本、中国、トラベルリテール事業における収益性向上、コスト構造改革や費用の効率運用などにより、前年比9.3%増の24,133百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、主に前期に知的財産権の譲渡益や工場跡地の売却益を特別利益に計上したことが影響し、前年比48.7%減の13,999百万円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1ドル=113.6円、1ユーロ=121.1円、1中国元=16.6円となっています。
各報告セグメントの概況は次のとおりです。なお、当第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分方法を変更しており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は変更後の区分方法に基づいています。
① 日本事業
日本事業では、ブランドイノベーションを実施した中高価格帯のブランドが引き続き好調を続けていることに加え、中国のお客さまに対する積極的なボーダレスマーケティングの実施により拡大するインバウンド需要を着実に獲得したことなどから、売上高は前年比2.5%増の101,123百万円となりました。営業利益は売上増に伴い人件費及び経費の比率が低下したことに加え、プレステージブランドのROIの向上、パーソナルケアの育成ブランドの絞り込みにより収益性が向上したことなどから、前年比11.5%増の19,920百万円となりました。
② 中国事業
中国事業では、「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「イプサ」などのプレステージブランドがEコマースの構成比拡大もあり高成長を維持したほか、パーソナルケアブランドもEコマースの拡大が寄与し売上を大きく伸ばしたことにより、売上高は現地通貨ベースで前年比21.0%増、円換算後でも前年比14.9%増の35,457百万円となりました。営業利益は、プレステージ領域の売上拡大に伴い原価率が低下したことに加え、マーケティング投資効率の向上などにより、前年比88.6%増の6,584百万円と、大きく収益性を改善しました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」などプレステージブランドがいずれも大きく成長したことに加え、引き続き国ごとに異なるお客さまの嗜好や生活習慣に合わせたマーケティングが奏功した「SENKA」を中心としたパーソナルケアブランドも寄与し、売上高は現地通貨ベースで前年比11.5%増、円換算後でも前年比14.3%増の13,278百万円となりました。営業利益は、プレステージブランドの売上拡大によるプロダクトミックスの好転などにより、前年比108.4%増の2,679百万円となりました。
④ 米州事業
米州事業では、前期に取得したブランド「Laura Mercier」の上乗せがあったものの、競争激化や市場成長鈍化に加え、サプライチェーンの問題も影響し、売上高は現地通貨ベースで前年比4.9%増、円換算後では前年比3.4%増の31,065百万円にとどまりました。営業利益は、既存ビジネスの減収の影響に加え、「Laura Mercier」の統合に向けた先行投資が発生したことなどから、前年同期に対し3,323百万円減の3,708百万円の損失となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、既存ブランドの売上が伸長したことに加え、昨年ライセンス契約を締結した「Dolce&Gabbana」の売上が上乗せとなったことにより、売上高は現地通貨ベースで前年比23.1%増、円換算後では前年比17.6%増の26,496百万円となりました。営業利益は、マーケティング費用の先行投資などに伴い、前年同期に対し2,110百万円減の2,127百万円の損失となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業では、積極的なマーケティング投資の奏功により店舗あたりの売上が拡大し、中国や韓国、タイなどアジアの主要な空港免税店の売上が前年を大きく上回って伸長したことから、売上高は現地通貨ベースで前年比81.0%増、円換算後では前年比77.8%増の10,956百万円となりました。営業利益は売上増に伴う差益増に加え、店舗あたりの生産性向上などにより、前年比130.7%増の3,701百万円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業では、米州を中心に展開するゾートス社が好調なことから、売上高は現地通貨ベースで前年比5.8%増、円換算後では前年比4.7%増の10,753百万円となりました。営業利益は売上増に伴う差益増などにより、前年同期に対し724百万円増の444百万円となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4,488百万円(売上高比1.9%)です。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から変更ありません。なお、当第1四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
2017年4月30日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
ムーディーズ | S&P | |
長期 | A2(見通し:安定的) | A-(見通し:安定的) |
短期 | P-1 | A-2 |
③ 資産及び負債・純資産
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、主に売上債権やたな卸資産の増加があったものの、円高による為替影響を受け、前連結会計年度末に比べ1.3%減の922,177百万円となりました。負債は、主に借入債務の増加があったものの、為替影響により、前連結会計年度末に比べ2.9%減の505,627百万円となりました。なお、当第1四半期連結会計期間末現在の有利子負債残高(リース債務を含み、ライセンス契約の締結に伴う未払金及び長期未払金を除く)は133,433百万円となりました。純資産は、為替換算調整勘定が減少した一方で、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ0.6%増の416,550百万円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の42.0%から0.8ポイント上昇し42.8%となりました。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
有価証券報告書(2017年3月28日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(7) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(8) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(9) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。