四半期報告書-第144期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/08 16:13
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【項目】
13項目
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減率
百万円百万円%
売上収益309,677311,1060.5
タイヤ213,598210,095△1.6
MB57,33459,5283.8
ATG34,78537,2527.1
その他3,9594,2316.9
事業利益23,79517,250△27.5
タイヤ15,6807,459△52.4
MB3,4824,00415.0
ATG4,2975,16720.3
その他35355055.8
調整額△1769
営業利益26,36925,123△4.7
税引前四半期利益24,57524,354△0.9
親会社の所有者に
帰属する四半期利益
17,83216,721△6.2

(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
当第2四半期連結累計期間(2019年1月1日~2019年6月30日)における当社グループをとり巻く環境は、国内では、雇用・所得環境が良好で、個人消費は、緩やかに伸長したものの、中国向けを中心とした輸出の減少等を背景に生産活動が低調で、景気は横ばいとなりました。
海外においては、米国では良好な雇用・所得環境を背景にした堅調な個人消費などにより景気回復が持続したものの、欧州では一部地域の経済指標に鈍化傾向が見受けられるほか、中国では米国による関税引き上げ等による輸出の低迷に加え、内需においても回復が遅れていることから、景気の低迷が続きました。
なお、今後の世界経済においては、米中通商交渉の動向や英国の欧州連合(EU)離脱問題等、懸念材料が多く、先行き不透明な状態が依然として続くものと予想されます。
こうした状況の中、当社グループは、中期経営計画GD2020に基づいた成長戦略と経営基盤強化に取り組んだ結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上収益は3,111億6百万円(前年同期比0.5%増)と過去最高となりましたが、利益面では、連結事業利益が172億50百万円(前年同期比27.5%減)、連結営業利益が251億23百万円(前年同期比4.7%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は167億21百万円(前年同期比6.2%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① タイヤ
売上収益は2,100億95百万円(前年同期比1.6%減)で、当社グループの連結売上収益の67.5%を占めており、事業利益は74億59百万円(前年同期比52.4%減)となりました。
新車用タイヤは、国内では納入車種の切り替えなどにより販売が低調だったほか、海外においても、中国での景気減速に伴う自動車生産の調整を主因に販売が低調で、新車用タイヤ全体としては、売上収益は前年同期を下回りました。
市販用タイヤは、積極的にグローバル・フラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」シリーズや低燃費タイヤブランド「BluEarth(ブルーアース)」シリーズ等の高付加価値商品の拡販に努めたほか、中期経営計画GD2020に沿った各種戦略を進めました。
国内では、暖冬の影響により冬用タイヤの販売が低調だったものの、春以降は夏用タイヤの販売や、海外、特に北米での販売が堅調だったことにより、市販用タイヤ全体としては、売上収益は前年同期並みを確保いたしました。
以上の結果、タイヤ事業の売上収益は前年同期を下回り、事業利益については販売数量の減少、生産量減少に伴う製造原価の悪化、物流関連費用の悪化などの影響により減益となりました。
② MB(マルチプル・ビジネスの略)
売上収益は595億28百万円(前年同期比3.8%増)で、当社グループの連結売上収益の19.1%を占めており、事業利益は40億4百万円(前年同期比15.0%増)となりました。
ホース配管事業は、国内の建機需要が引き続き堅調だったことに加え、海外においては、新規の自動車向け受注を獲得するなど好調で、売上収益が前年同期を上回りました。
工業資材事業は、国内外でコンベヤベルトの販売が引き続き好調で、前年同期を上回りました。
またハマタイト事業は、国内の建築用シーリング材の販売が好調で売上収益が前年同期を上回ったほか、航空部品事業も、官需、民需とも好調で前年同期を上回りました。
以上の結果、MB事業としては、売上収益、事業利益とも前年同期を上回りました。
③ ATG
売上収益は372億52百万円(前年同期比7.1%増)で、当社グループの連結売上収益の12.0%を占めており、事業利益は51億67百万円(前年同期比20.3%増)となりました。
農業機械用・産業車両用タイヤを始めとするオフハイウェイタイヤは、売上収益、事業利益とも前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、220億63百万円となり、前連結会計年度末に比べて96億82百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は286億13百万円(前年同期比10億円の収入減少)となりました。
これは、主として売上債権の回収や、税引前四半期利益の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は208億14百万円(前年同期比34億90百万円の支出増加)となりました。
これは、主として有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は171億90百万円(前年同期比94億42百万円の支出減少)となりました。
これは、主として借入金の返済や、配当金の支払によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。

(4) 研究開発活動
当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB、ATG及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、76億23百万円であります。
当社研究本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究本部の当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、4億65百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
1)タイヤ
当社の強みである独自の特性コントロール技術とグローバルな開発体制の拡充により、卓越した性能と品質の商品を作り出し「GD2020」の事業戦略を支えていくことを目標とし、以下のような活動を行いました。当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、57億11百万円であります。
①グランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」新発売
2019年2月、低燃費タイヤブランド「BluEarth」からトータルパフォーマンスに優れたグランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51(ブルーアース・ジーティー・エーイーゴーイチ)」を発売しました。
「BluEarth-GT AE51」はミドルクラスセダンをメインターゲットに「走行性能、快適性能、環境性能の全てに優れるグランドツーリングタイヤ」をコンセプトとして開発し、長距離移動することを語源とする「グランドツーリング」に相応しい力強くしっかりとした走行性能を追求したほか、従来品(BluEarth-A)で定評のあった優れたウェットグリップ性能を確保しながら、低燃費性能を一段と向上させ、国内ラベリング制度においては全サイズで最高グレードのウェットグリップ性能「a」、ころがり抵抗性能では31サイズで「AA」、26サイズで「A」を獲得しました。
また専用開発の非対称パターンにより快適な乗り心地と優れた操縦安定性を両立するとともに、トレッドパターンに施した「ライトニンググルーブ」や「ブレードカットサイプ」が優れたウェット性能に貢献します。
さらに、専用のチューニングを施した高剛性構造や接地圧を均一化したトレッドプロファイルが力強く、快適な走りを実現するほか、発熱によるエネルギーロスを抑える2層構造の「低燃費レイヤードゴム」や歪みを低減するサイドプロファイル、放熱効果を生む「ディンプルショルダーデザイン」により低燃費性能を向上しています。
②新次元ハイウェイテレーンタイヤ「GEOLANDAR X-CV」新発売
2019年4月、SUV用タイヤブランド「GEOLANDAR」からハイパフォーマンス・クロスオーバーSUV向けのハイウェイテレーンタイヤの新商品「GEOLANDAR X-CV(ジオランダー・エックスシーブイ)」を発売しました。
「GEOLANDAR X-CV」は、近年増加しているモノコック構造の中・大型輸入車に代表される高速性能と運動性能を重視したハイパフォーマンス・クロスオーバーSUV向けに開発した新次元ハイウェイテレーンタイヤで、同SUVに相応しい安全性、快適性、経済性を備えながら、急な降雪にも対応する「M+S(マッド&スノー)」規格を獲得しており、さらに全サイズで最高速度270km/hに対応するスピードレンジ「W」を実現しています。
安全性及び経済性では「4本ワイドストレートグルーブ」や「2-3Dコンビネーションサイプ」などを採用した専用開発の非対称パターンと新開発の「ハイシリカ・コンパウンド」が優れたウェット制動性能と耐摩耗性能を発揮するほか、快適性では非対称トレッドパターンに加え、高剛性・高耐久の専用構造が高速走行時の安定感を高め、ハイウェイでのアクティブな走りを生み出すとともに、快適なロングドライブを実現するほか、トレッドのブロックに施した「5ピッチ・バリエーション」が耳障りなパターンノイズを抑え、静粛性の向上に貢献します。
③世界的なタイヤ技術会議「Tire Technology Expo 2019」で技術プレゼンテーションを実施
2019年3月、世界で高い注目を集めるタイヤ技術会議「Tire Technology Expo 2019(ドイツ ハノーバー開催)」にて、横浜ゴムからタイヤ解析や材料に関する技術を3件、グループ会社のATG(アライアンスタイヤグループ)からタイヤリサイクルに関する技術を1件、横浜ゴムグループとして合計4件の技術を発表しました。
<発表した技術の概要>[逆畳み込み手法によるタイヤの振動解析]
乗心地の良いタイヤを作るために必要な解析項目である「路面の凹凸がタイヤに与えた振動が車体側にどのように伝わるか」について、画像解析や信号処理に用いられている「逆畳み込み」手法をタイヤの振動解析に適用した結果を報告しました。
[セルロースナノファイバーによるSBR(合成ゴム)の補強]
従来から使われているカーボンブラックによるSBR(合成ゴム)の補強と、木材を原料としゴムの補強材として将来有望なサステナブルマテリアルであるセルロースナノファイバーによる補強とを比較し、その特徴について報告しました。
[濡れた平滑路面上を滑るゴムの接触挙動解析]
タイヤのウェット性能向上のため必要な調査事項である、「ゴムが濡れた路面の上でどのように接触しているか」について、摩擦中のゴムが非常に速い周期で密着と滑りを繰り返していることを明らかにした結果を報告しました。
[リサイクルゴムの持続可能性と最適化]
地球環境を保護し持続可能な社会を実現するための重要な課題である、使用済みタイヤの再利用について、使用後のタイヤゴムを粉末化した粉ゴムをタイヤのゴムに少量添加して再利用するための最適な手法を報告しました。
④舗装路・非舗装路用ダンプ向けラグタイヤ「302C」新発売
2019年6月、ダンプ用クロスラグタイヤ「LY317」の後継となる、舗装路・非舗装路用ダンプ向けラグタイヤの新商品「302C(サンマルニ・シー)」を発売しました。
「302C」では、耐外傷性能の向上によりタイヤ寿命を延ばすことで、お客様の求める経済性を追求しつつ、安全性や利便性の改善を目指して開発しました。
センター部に耐カット・チッピング性能に優れるトレッドコンパウンドをベルト付近まで配置し、走行により発熱しやすいベルトエッジ部周辺には、発熱を防ぐアンダートレッドゴムを配置(セパレートアンダートレッド構造)することで、摩耗末期までカット・チッピングを防止するよう設計しました。
またサイドプロテクターを設けることでサイド部のカットを防止するなど、耐外傷性能の向上によりタイヤ寿命を延ばし、経済性を改善しています。
安全性においては、トレッド幅を従来品比4%アップしたワイドトレッドデザインが、優れた操縦安定性を実現するほか、トレッドパターンに偏摩耗を抑制する「センターブロック千鳥配列」やウェット性能を向上する「センタージグザグ溝」などを採用し、それらの配置を最適化することで、耐カット・チッピング性能やウェット性能、悪路でのトラクション性能を向上させています。
さらに、従来品では、非舗装路向けと舗装路向けに分かれていた仕様を統一し、両路面に対応可能な商品とすることで、利便性も改善いたしました。
⑤日本ゴム協会の優秀論文賞を受賞
2019年5月、当社技術者によるゴム技術に関する研究論文「加硫過程におけるゴム中での気泡発生機構の解明」が、一般社団法人日本ゴム協会の「第66回優秀論文賞※1」を受賞しました。
これまで、タイヤ加硫時に気泡が発生するメカニズムは十分明らかになっていませんでしたが、本研究において、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムにシリカやカーボンブラックを充填剤として配合し、加硫した後にゴム内部の発泡の様子を大型放射光施設「SPring-8」を活用したX線イメージング法※2により観察する方法を開発したことで、ゴムに存在する水分を主とする揮発成分量及び架橋剤の配合量とそれらの発泡状態の関係を明らかにしました。
今回は、こうした気泡生成における発生機構の解明が、信頼性の高いゴム製品を製造する際の条件設定の一助となったことが評価されました。
※1 「優秀論文賞」は今年で66回目となる歴史ある賞で、過去3年間に日本ゴム協会誌に発表された論文の中から毎年優秀なものに対し最多で2件に授与されます。
※2 高輝度X線を用いて透過像を短時間で多数取得する方法。これにより加硫中のゴム内部で気泡
が発生する様子を観察することが可能になった。
2)MB
お客様の満足と環境への貢献を念頭に置いて、幅広い産業分野での高機能新商品の開発と、新規事業を目指した技術開発を積極的に行いました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、11億29百万円であります。
3)ATG
革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく以下のような活動をしました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、1億40百万円であります。
①各種展示会への出展
2019年1月から3月にかけては、欧州最大級の農業機械展示イベントであるSIMA(シマ)、米国における主要な屋内農機展の一つであるIowa Power Farming Show(アイオワ パワー ファーミング ショー)などの展示会へ出展しました。
2019年4月から6月にかけては、世界最大級の建設車両関連展示会Bauma-Munich Germany(バウマ ミュンヘン ドイツ)や国際環境展示会Waste Expo2019(ウェスト エクスポ2019)などの展示会へ出展しました。
また、大手農機メーカーDEUTZ-FAHR社主催のイベントDEUTZ-FAHR Power Tour(ドイツ-ファール パワーツアー)にオフィシャルタイヤパートナーとして参加しました。
②新商品の発売
多くの商品を市場に投入し、販売拡大に努めております。当期において発売した商品は、主に次のものとなります。
[ALLIANCEブランド]
・398 MPT(398 エムピーティー):
高負荷かつ高速での走行が可能な上、舗装路と非舗装路の両方で優れた走行性能を発揮するフローテーションラジアルタイヤ。 (2019年1月発売)
[GALAXYブランド]
・Lifter SDS(リフター エスディーエス)
耐久性に優れたコンパウンドと、耐摩耗性の高いトレッドデザインを採用。比較的強度が低い作業を行うフォークリフト向けに設計された高コストパフォーマンスクッションタイヤ(2019年1月発売)
・Super Severe Double Width Lug(スーパー シビアー ダブル ウィドゥス ラグ)
耐熱性コンパウンドと広い接地面積を確保するトレッドデザインの採用により、発熱を最小限に抑え、耐磨耗性、耐久性に優れながら同時に高い走行性を発揮する港湾荷役機械用タイヤ。(2019年1月発売)
・S-300(エス 300)
優れた牽引力、安定性と耐久性を発揮し、軟弱な路面から小石が転がる硬い路面まで幅広く対応する建設車両向けタイヤ。(2019年2月発売)
・LIFTOP SDS IND(リフトップ エスディーエス アイエヌディー)
強固な3層構造とユニークなトレッドデザインにより、優れた耐久性とともに高いグリップ性能を発揮するフォークリフト・特殊カート向けタイヤ。(2019年4月発売)
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が1億78百万円あります。