四半期報告書-第146期第2四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
2.当第2四半期連結累計期間より、ハマタイト事業を非継続事業に分類しております。これに伴い、当第2四半期連結累計期間並びに前第2四半期連結累計期間の売上収益、事業利益、営業利益、税引前四半期利益に関しましては、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。
当第2四半期連結累計期間(2021年1月1日~2021年6月30日)における当社グループをとり巻く環境は、国内では、半導体不足の影響を受けた自動車や新型コロナウイルス感染症の影響が大きい非製造業では悪化が続いたものの、海外経済の回復に伴う輸出の増加などを背景に製造業を中心に景気が持ち直しつつあり、全体としては改善傾向となりました。
一方、海外においては、景気回復が継続して個人消費も堅調な中国に続き、米国においてもワクチン普及や雇用環境の改善が加速したことで経済活動は回復傾向となりました。欧州でも、新型コロナウイルス感染症による活動制限が段階的に緩和されて経済活動も回復傾向にあります。
こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当第2四半期連結累計期間の連結売上収益は、ハマタイト事業を除いた継続事業ベースで3,038億88百万円(前年同期比27.7%増)、利益面では、連結事業利益は263億22百万円(前年同期比1,186.8%増)、本社ビルの譲渡益計上等により、連結営業利益は486億49百万円(前年同期比1,513.2%増)、また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は369億33百万円(前年同期比2,838.4%増)となり、物流費の悪化や原材料の高騰といった要因があったものの、いずれも、過去最高となりました。
なお、2021年4月28日にスイスに本社を置くSika AGとの間で、ハマタイト事業の譲渡に係る契約を締結いたしました。これに伴い、ハマタイト事業を「非継続事業」に分類しており、前年同期につきましても遡及して組替を行っております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① タイヤ
売上収益は2,110億15百万円(前年同期比26.7%増)で、当社グループの連結売上収益の69.4%を占めており、事業利益は162億74百万円(前年同期は事業損失20億19百万円)となりました。
新車用タイヤは、世界的な半導体不足の影響があったものの、国内・中国における市況の回復により、全体では前年同期を上回りました。
市販用タイヤは、積極的にグローバル・フラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」シリーズ、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」シリーズ、乗用車用スタッドレスタイヤブランド「iceGUARD(アイスガード)」シリーズ等の高付加価値商品の拡販や、旺盛な需要への生産対応等、各種戦略に努め、国内では年初の降雪により冬用タイヤの販売が順調だったほか、海外でも特に北米、欧州およびアジア地域での販売が増加したことで、国内・海外ともに売上収益は前年同期を上回りました。
② MB(マルチプル・ビジネスの略)
売上収益は402億38百万円(前年同期比4.7%増)で、当社グループの連結売上収益の13.2%を占めており、事業利益は21億10百万円(前年同期比81.6%増)となりました。なお、非継続事業のハマタイト事業は売上収益は99億23百万円、事業利益は6億57百万円となりました。
ホース配管事業は、半導体不足等の影響があったものの、市況の回復により建機向けおよび自動車向けホース販売が好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が好調であったものの、海洋商品が振るわず売上収益は前年同期を下回りました。
航空部品事業では、民需・官需ともに需要減退の影響が大きく、売上収益は前年同期を下回りました。
③ ATG
売上収益は482億33百万円(前年同期比60.5%増)で、当社グループの連結売上収益の15.9%を占めており、事業利益は71億20百万円(前年同期比119.7%増)となりました。
農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤはともに好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、360億2百万円となり、前連結会計年度末に比べて52億42百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は326億10百万円(前年同期比134億3百万円の収入増加)となりました。
これは、主として税引前四半期利益の増加並びに売上債権の回収によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の増加は40億77百万円(前年同期比230億67百万円の支出増加)となりました。
これは、主として有形固定資産の売却によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は335億4百万円(前年同期比458億89百万円の収入減少)となりました。
これは、主として有利子負債を返済したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB、ATG及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、76億31百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究先行開発本部の当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、4億66百万円であります。
・AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自開発
2020年12月、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自に開発し、タイヤ用ゴムの配合設計において実用を開始しました。この予測システムにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者による配合設計が容易になることが期待できます。
今回のシステムは当社のAI利活用構想「HAICoLab※(ハイコラボ)」に基づいて開発しました。人がゴムの配合設計パラメーターを入力するとAIが予測される配合物性値を出力します。さらに人が予測された結果を判断しやすくするために予測値の確からしさを表示する機能や、目標とする配合物性値に近しい配合を探索する機能を付加しました。また、人とAIが協奏しながら新たな知見が得られるシステムを設計しました。今後はタイヤのみならずホースやコンベヤベルトなど多岐にわたるゴム商品開発での利用を開始します。
※Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語で、人とAIとの共同研究所という意味合いも込めました
・バイオマスからブタジエンを生成する新技術を開発
2021年4月、国立研究開発法人理化学研究所、日本ゼオン㈱と共同で設置している「バイオモノマー生産研究チーム」により、バイオマス(生物資源)から効率的にブタジエンを生成できる新技術を開発したことを発表しました。
ブタジエンは、自動車用タイヤなどの原料として使われる合成ゴムの主原料として使用されており、現在はナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されています。バイオマスからのブタジエン生成技術を確立することにより、石油への依存度を低減することができ、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献することが可能となります。
今回、同チームはバイオマスからの優れたブタジエン生成方法の創製に成功しており、これまで開発してきた知見も取り入れることで、ブタジエンの発酵生産でのコストを大幅に削減することができると期待されています。また、本技術によって世界初の発酵生産により生成したブタジエンを用いてブタジエンゴムを得ることにも成功しました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
1)タイヤ
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、58億48百万円であります。
①タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES4」がUDトラックス㈱の大型トラックに採用
2021年1月、トラック・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)「HiTES4(ハイテスフォー)」が純正オプションとしてUDトラックス㈱のフラッグシップ大型トラック「クオン(Quon)」に採用されました。対象は4軸車CG、3軸車CD、2軸トラクターヘッドGKの3モデルの国内向け車両です。
「HiTES」はタイヤ内部の空気圧と温度をリアルタイムで確認することが可能で、管理値から外れた際には警報を発するモニタリングシステムです。今回採用された「HiTES4」は2020年9月より販売している第4世代モデルで、異常が検知された際に音と色点滅で伝えるインジケーターやスマートフォン・タブレットでタイヤ状態を確認できる機能により空気圧の見える化を図りました。また、IoTを活用してタイヤ点検情報などを管理する当社のタイヤマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」と連携させることで、車両から離れた場所からでもタイヤ内部の空気圧と温度や車両の位置をモニターすることができます。
②乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン 「SensorTire Technology Vision」を発表
2021年2月、乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision」を発表しました。
「SensorTire Technology Vision」とは、センシング機能を搭載したSensorTire(IoTタイヤ)から得られる情報をドライバーや外部の様々な事業者に提供することで、新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、人々の移動を足元から支え、安心・安全に持続的に貢献することを目指すものです。
具体的にはセンシング機能とリアルタイム性を指標として提供するサービスを分類して、それぞれに適したセンシング機能やデータ分析・予測技術を段階的に構築し、センシング機能の利活用範囲の拡大を行います。
まずは個人向けや車両運行管理会社を対象とした空気圧通知サービスの実証実験から開始し、2023年までに摩耗検知機能を追加します。これにより、タイヤローテーション時期のお知らせやフリート(複数の車両を所有する企業や官公庁など)向けの効率的なタイヤ点検計画などの提案が可能となります。
さらに将来的には、地図情報や様々なプローブ交通情報(渋滞情報、天候情報)などとタイヤデータを関連付けて分析することで、安全な運行ルートの提案といった新たな付加価値情報を提供し、自動運転車両やMaaS※に関連したサービスを提供する会社などの安心・安全な車両運行管理をサポートすることも目指します。
※Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス
③タイヤ・路面検知システムの実証実験を開始
2021年2月、当社はアルプスアルパイン㈱、㈱ゼンリンと路面検知システムを搭載した「IoTタイヤ」で得たデータを地図情報と紐付ける実証実験を行い、新たなタイヤビジネスの検討を開始したことを発表しました。
本実証実験では、当社とアルプスアルパイン㈱が共同開発する先進タイヤセンサーを実験用車両に装着して路面検知を行います。タイヤセンサーが有する路面検知情報とゼンリンが有する豊富な地図情報との紐付けを行うことで、様々な路面のデータの分析・蓄積とシステム構築を加速させ、新たな付加価値を提案するタイヤビジネスの実現を目指します。
本実証実験によるデータ分析を通じて、将来のソリューション提供を目標としています。例えば、摩耗状態や空気圧不足を検知し、急勾配・急カーブ道路を避けるナビゲーションや路面凍結・陥没道路などの情報提供による安全運転支援、自動運転車両の制御など様々なソリューションを検討・提案します。
④国内農機メーカーへのOE納入を開始
2021年5月、ヤンマーアグリ㈱の農耕用トラクター「YT4A」シリーズの「YT460A」「YT465A」の新車装着(OE)用タイヤとして、「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ(アライアンス・アグリスター・ツー)」の納入を開始しました。当社が国内農機メーカーへOE納入するのは約50年ぶりとなります。
当社は中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」のタイヤ生産財事業において、農業機械用・林業機械用・産業車両用・建設車両用などを扱うオフハイウェイタイヤ(OHT)事業をさらなる成長ドライバーと位置づけております。従来の「YOKOHAMA」の他、今回OE納入を開始したOHT事業の「ALLIANCE」「GALAXY」「PRIMEX」、愛知タイヤ工業の「AICHI」といったマルチブランド戦略によりに事業拡大を進めています。
2)MB
「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、10億41百万円であります。
3)ATG
革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく以下のような活動をしました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、1億36百万円であります。
①各種展示会への出展
2021年1月から6月にかけては、世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受け、展示会への参加は見送りましたが、各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品及びサービスを理解していただく場を設けました。
②新商品の発売
多くの商品を市場に投入し、販売拡大に努めております。当期において、主に次の商品のサイズラインナップ拡充を行いました。
[GALAXYブランド]
・EarthPRO RC(アースプロ アールシー)
65km/hまでの高速走行が可能な上、トラクション性能を高める深溝パターンを採用しており、作業効率向上に貢献。セルフクリーニング性にも優れたスプレーヤー、作業機向けロークロップラジアルタイヤ。
・LHD 510 SDS(エルエイチディー 510 エスディーエス)
耐チッピング・チャンキング性と耐熱性を両立するコンパウンド、超深溝パターンの採用によりタイヤライフの長期化を実現。サイドまで溝を配した独自設計パターンによりトラクション性やクッション性にも優れ、オペレーターの作業効率、快適性向上に貢献するホイールローダー用超深溝クッションタイヤ。
・MGSR 210(エムジーエスアール 210)
オールスチール構造で耐久性に優れ、独自のスノーパターン設計によって雪上やぬかるんだ路面で高いグリップを発揮。セルフクリーニング性も優れたラジアルタイヤ。
[PRIMEXブランド]
・Mine Star(マイン スター)、Mine Blastar(マイン ブラスター)
主に地下鉱山での使用を想定し、耐チッピング・チャンキング性や耐熱性に優れたトレッドコンパウンドを採用。タイヤライフの長期化により、ダウンタイムやコストの削減に貢献するホイールローダー用超深溝タイヤ。(2021年6月発売)
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が1億40百万円あります。
(1) 業績の状況
前第2四半期 連結累計期間 | 当第2四半期 連結累計期間 | 増減率 | ||
百万円 | 百万円 | % | ||
売上収益 | 238,035 | 303,888 | 27.7 | |
タイヤ | 166,577 | 211,015 | 26.7 | |
MB | 38,447 | 40,238 | 4.7 | |
ATG | 30,059 | 48,233 | 60.5 | |
その他 | 2,952 | 4,402 | 49.1 | |
事業利益 | 2,045 | 26,322 | 1,186.8 | |
タイヤ | △2,019 | 16,274 | - | |
MB | 1,162 | 2,110 | 81.6 | |
ATG | 3,241 | 7,120 | 119.7 | |
その他 | △387 | 754 | - | |
調整額 | 49 | 64 | - | |
営業利益 | 3,016 | 48,649 | 1,513.2 | |
税引前四半期利益 | 403 | 50,406 | 12,422.6 | |
親会社の所有者に 帰属する四半期利益 | 1,257 | 36,933 | 2,838.4 |
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
2.当第2四半期連結累計期間より、ハマタイト事業を非継続事業に分類しております。これに伴い、当第2四半期連結累計期間並びに前第2四半期連結累計期間の売上収益、事業利益、営業利益、税引前四半期利益に関しましては、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。
当第2四半期連結累計期間(2021年1月1日~2021年6月30日)における当社グループをとり巻く環境は、国内では、半導体不足の影響を受けた自動車や新型コロナウイルス感染症の影響が大きい非製造業では悪化が続いたものの、海外経済の回復に伴う輸出の増加などを背景に製造業を中心に景気が持ち直しつつあり、全体としては改善傾向となりました。
一方、海外においては、景気回復が継続して個人消費も堅調な中国に続き、米国においてもワクチン普及や雇用環境の改善が加速したことで経済活動は回復傾向となりました。欧州でも、新型コロナウイルス感染症による活動制限が段階的に緩和されて経済活動も回復傾向にあります。
こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当第2四半期連結累計期間の連結売上収益は、ハマタイト事業を除いた継続事業ベースで3,038億88百万円(前年同期比27.7%増)、利益面では、連結事業利益は263億22百万円(前年同期比1,186.8%増)、本社ビルの譲渡益計上等により、連結営業利益は486億49百万円(前年同期比1,513.2%増)、また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は369億33百万円(前年同期比2,838.4%増)となり、物流費の悪化や原材料の高騰といった要因があったものの、いずれも、過去最高となりました。
なお、2021年4月28日にスイスに本社を置くSika AGとの間で、ハマタイト事業の譲渡に係る契約を締結いたしました。これに伴い、ハマタイト事業を「非継続事業」に分類しており、前年同期につきましても遡及して組替を行っております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① タイヤ
売上収益は2,110億15百万円(前年同期比26.7%増)で、当社グループの連結売上収益の69.4%を占めており、事業利益は162億74百万円(前年同期は事業損失20億19百万円)となりました。
新車用タイヤは、世界的な半導体不足の影響があったものの、国内・中国における市況の回復により、全体では前年同期を上回りました。
市販用タイヤは、積極的にグローバル・フラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」シリーズ、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」シリーズ、乗用車用スタッドレスタイヤブランド「iceGUARD(アイスガード)」シリーズ等の高付加価値商品の拡販や、旺盛な需要への生産対応等、各種戦略に努め、国内では年初の降雪により冬用タイヤの販売が順調だったほか、海外でも特に北米、欧州およびアジア地域での販売が増加したことで、国内・海外ともに売上収益は前年同期を上回りました。
② MB(マルチプル・ビジネスの略)
売上収益は402億38百万円(前年同期比4.7%増)で、当社グループの連結売上収益の13.2%を占めており、事業利益は21億10百万円(前年同期比81.6%増)となりました。なお、非継続事業のハマタイト事業は売上収益は99億23百万円、事業利益は6億57百万円となりました。
ホース配管事業は、半導体不足等の影響があったものの、市況の回復により建機向けおよび自動車向けホース販売が好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が好調であったものの、海洋商品が振るわず売上収益は前年同期を下回りました。
航空部品事業では、民需・官需ともに需要減退の影響が大きく、売上収益は前年同期を下回りました。
③ ATG
売上収益は482億33百万円(前年同期比60.5%増)で、当社グループの連結売上収益の15.9%を占めており、事業利益は71億20百万円(前年同期比119.7%増)となりました。
農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤはともに好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、360億2百万円となり、前連結会計年度末に比べて52億42百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は326億10百万円(前年同期比134億3百万円の収入増加)となりました。
これは、主として税引前四半期利益の増加並びに売上債権の回収によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の増加は40億77百万円(前年同期比230億67百万円の支出増加)となりました。
これは、主として有形固定資産の売却によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は335億4百万円(前年同期比458億89百万円の収入減少)となりました。
これは、主として有利子負債を返済したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB、ATG及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、76億31百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究先行開発本部の当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、4億66百万円であります。
・AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自開発
2020年12月、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自に開発し、タイヤ用ゴムの配合設計において実用を開始しました。この予測システムにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者による配合設計が容易になることが期待できます。
今回のシステムは当社のAI利活用構想「HAICoLab※(ハイコラボ)」に基づいて開発しました。人がゴムの配合設計パラメーターを入力するとAIが予測される配合物性値を出力します。さらに人が予測された結果を判断しやすくするために予測値の確からしさを表示する機能や、目標とする配合物性値に近しい配合を探索する機能を付加しました。また、人とAIが協奏しながら新たな知見が得られるシステムを設計しました。今後はタイヤのみならずホースやコンベヤベルトなど多岐にわたるゴム商品開発での利用を開始します。
※Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語で、人とAIとの共同研究所という意味合いも込めました
・バイオマスからブタジエンを生成する新技術を開発
2021年4月、国立研究開発法人理化学研究所、日本ゼオン㈱と共同で設置している「バイオモノマー生産研究チーム」により、バイオマス(生物資源)から効率的にブタジエンを生成できる新技術を開発したことを発表しました。
ブタジエンは、自動車用タイヤなどの原料として使われる合成ゴムの主原料として使用されており、現在はナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されています。バイオマスからのブタジエン生成技術を確立することにより、石油への依存度を低減することができ、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献することが可能となります。
今回、同チームはバイオマスからの優れたブタジエン生成方法の創製に成功しており、これまで開発してきた知見も取り入れることで、ブタジエンの発酵生産でのコストを大幅に削減することができると期待されています。また、本技術によって世界初の発酵生産により生成したブタジエンを用いてブタジエンゴムを得ることにも成功しました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
1)タイヤ
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、58億48百万円であります。
①タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES4」がUDトラックス㈱の大型トラックに採用
2021年1月、トラック・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)「HiTES4(ハイテスフォー)」が純正オプションとしてUDトラックス㈱のフラッグシップ大型トラック「クオン(Quon)」に採用されました。対象は4軸車CG、3軸車CD、2軸トラクターヘッドGKの3モデルの国内向け車両です。
「HiTES」はタイヤ内部の空気圧と温度をリアルタイムで確認することが可能で、管理値から外れた際には警報を発するモニタリングシステムです。今回採用された「HiTES4」は2020年9月より販売している第4世代モデルで、異常が検知された際に音と色点滅で伝えるインジケーターやスマートフォン・タブレットでタイヤ状態を確認できる機能により空気圧の見える化を図りました。また、IoTを活用してタイヤ点検情報などを管理する当社のタイヤマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」と連携させることで、車両から離れた場所からでもタイヤ内部の空気圧と温度や車両の位置をモニターすることができます。
②乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン 「SensorTire Technology Vision」を発表
2021年2月、乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision」を発表しました。
「SensorTire Technology Vision」とは、センシング機能を搭載したSensorTire(IoTタイヤ)から得られる情報をドライバーや外部の様々な事業者に提供することで、新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、人々の移動を足元から支え、安心・安全に持続的に貢献することを目指すものです。
具体的にはセンシング機能とリアルタイム性を指標として提供するサービスを分類して、それぞれに適したセンシング機能やデータ分析・予測技術を段階的に構築し、センシング機能の利活用範囲の拡大を行います。
まずは個人向けや車両運行管理会社を対象とした空気圧通知サービスの実証実験から開始し、2023年までに摩耗検知機能を追加します。これにより、タイヤローテーション時期のお知らせやフリート(複数の車両を所有する企業や官公庁など)向けの効率的なタイヤ点検計画などの提案が可能となります。
さらに将来的には、地図情報や様々なプローブ交通情報(渋滞情報、天候情報)などとタイヤデータを関連付けて分析することで、安全な運行ルートの提案といった新たな付加価値情報を提供し、自動運転車両やMaaS※に関連したサービスを提供する会社などの安心・安全な車両運行管理をサポートすることも目指します。
※Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス
③タイヤ・路面検知システムの実証実験を開始
2021年2月、当社はアルプスアルパイン㈱、㈱ゼンリンと路面検知システムを搭載した「IoTタイヤ」で得たデータを地図情報と紐付ける実証実験を行い、新たなタイヤビジネスの検討を開始したことを発表しました。
本実証実験では、当社とアルプスアルパイン㈱が共同開発する先進タイヤセンサーを実験用車両に装着して路面検知を行います。タイヤセンサーが有する路面検知情報とゼンリンが有する豊富な地図情報との紐付けを行うことで、様々な路面のデータの分析・蓄積とシステム構築を加速させ、新たな付加価値を提案するタイヤビジネスの実現を目指します。
本実証実験によるデータ分析を通じて、将来のソリューション提供を目標としています。例えば、摩耗状態や空気圧不足を検知し、急勾配・急カーブ道路を避けるナビゲーションや路面凍結・陥没道路などの情報提供による安全運転支援、自動運転車両の制御など様々なソリューションを検討・提案します。
④国内農機メーカーへのOE納入を開始
2021年5月、ヤンマーアグリ㈱の農耕用トラクター「YT4A」シリーズの「YT460A」「YT465A」の新車装着(OE)用タイヤとして、「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ(アライアンス・アグリスター・ツー)」の納入を開始しました。当社が国内農機メーカーへOE納入するのは約50年ぶりとなります。
当社は中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」のタイヤ生産財事業において、農業機械用・林業機械用・産業車両用・建設車両用などを扱うオフハイウェイタイヤ(OHT)事業をさらなる成長ドライバーと位置づけております。従来の「YOKOHAMA」の他、今回OE納入を開始したOHT事業の「ALLIANCE」「GALAXY」「PRIMEX」、愛知タイヤ工業の「AICHI」といったマルチブランド戦略によりに事業拡大を進めています。
2)MB
「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、10億41百万円であります。
3)ATG
革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく以下のような活動をしました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、1億36百万円であります。
①各種展示会への出展
2021年1月から6月にかけては、世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受け、展示会への参加は見送りましたが、各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品及びサービスを理解していただく場を設けました。
②新商品の発売
多くの商品を市場に投入し、販売拡大に努めております。当期において、主に次の商品のサイズラインナップ拡充を行いました。
[GALAXYブランド]
・EarthPRO RC(アースプロ アールシー)
65km/hまでの高速走行が可能な上、トラクション性能を高める深溝パターンを採用しており、作業効率向上に貢献。セルフクリーニング性にも優れたスプレーヤー、作業機向けロークロップラジアルタイヤ。
・LHD 510 SDS(エルエイチディー 510 エスディーエス)
耐チッピング・チャンキング性と耐熱性を両立するコンパウンド、超深溝パターンの採用によりタイヤライフの長期化を実現。サイドまで溝を配した独自設計パターンによりトラクション性やクッション性にも優れ、オペレーターの作業効率、快適性向上に貢献するホイールローダー用超深溝クッションタイヤ。
・MGSR 210(エムジーエスアール 210)
オールスチール構造で耐久性に優れ、独自のスノーパターン設計によって雪上やぬかるんだ路面で高いグリップを発揮。セルフクリーニング性も優れたラジアルタイヤ。
[PRIMEXブランド]
・Mine Star(マイン スター)、Mine Blastar(マイン ブラスター)
主に地下鉱山での使用を想定し、耐チッピング・チャンキング性や耐熱性に優れたトレッドコンパウンドを採用。タイヤライフの長期化により、ダウンタイムやコストの削減に貢献するホイールローダー用超深溝タイヤ。(2021年6月発売)
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が1億40百万円あります。