四半期報告書-第147期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結累計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
2.前第1四半期連結累計期間の売上収益、事業利益、営業利益、税引前四半期利益に関しましては、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。
当第1四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年3月31日)における当社グループをとり巻く環境は、国内では、昨年後半からの原材料の高騰に加え、物流の混乱、オミクロン株の感染者の急増による工場停止や半導体の部品不足により、生産調整の実施を余儀なくされた自動車などで景況感が悪化いたしました。
一方、海外においては、米国は半導体不足などを背景に自動車生産が減少した一方で、食品等の非耐久財の生産が増加したことにより雇用指数が改善したことが全体のマインドを押し上げ、個人消費・雇用・住宅着工件数なども底堅さを維持しました。中国はウクライナ情勢の悪化により、輸出が下振れ要因であることと、個人消費がゼロコロナ政策で低迷し、欧州でもウクライナ情勢を受け、景況感が大幅に悪化しております。
こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた、中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当第1四半期連結累計期間の連結売上収益は1,855億90百万円(前年同期比28.4%増)、利益面では、連結事業利益は136億68百万円(前年同期比2.5%減)、連結営業利益は135億32百万円(前年同期比62.7%減)、また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は101億56百万円(前年同期比63.5%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度において、タイヤ生産財戦略の一環として当社のオフハイウェイタイヤ(OHT)事業とグループ会社であるATG(アライアンスタイヤグループ)を対象とし、「Yokohama Off-Highway Tires」(YOHT)を冠する新組織を立ち上げ、新たな経営管理体制での運営を開始しました。
今後の更なる事業拡大を図るにあたり、顧客及び製品特性の類似性等を勘案した結果、当第1四半期連結累計期間より、従来、事業セグメントとしていた「タイヤ」「MB」「ATG」のうち、「ATG」につきまして名称を「YOHT」に変更するとともに、「タイヤ」に集約しております。これにより、報告セグメントにつきましては「タイヤ」「MB」に変更しております。
① タイヤ
売上収益は1,628億86百万円(前年同期比31.4%増)で、当社グループの連結売上収益の87.8%を占めており、事業利益は140億31百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
新車用タイヤは、世界的な半導体不足による生産調整の影響を受けたものの、中国等の販売増もあり全体では売上収益が前年同期を上回りました。
市販用タイヤは、国内で乗用車用タイヤ「ADVAN Sport V107」「ADVAN Neova AD09」「BluEarth-RV RV03」を発売、降雪による冬用タイヤの好調や、値上げ前需要の取り込みなど、国内外において高付加価値商品の拡販や、旺盛な需要への生産対応に努め、北米やインドなどアジア地域での販売も伸ばし、売上収益は前年同期を上回りました。
YOHTは、農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤはともに好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
② MB(マルチプル・ビジネスの略)
売上収益は204億86百万円(前年同期比9.3%増)で、当社グループの連結売上収益の11.0%を占めておりますが、未実現利益の消去に伴い事業損失は2億42百万円(前年同期事業利益 10億19百万円)となりました。
ホース配管事業は、国内外の建機向け油圧ホース販売が好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
工業資材事業は、海洋商品の需要減少の影響を受けましたが、コンベヤベルトの国内販売が好調に推移したほか、航空部品も民間航空機向けの補用品需要回復により、売上収益は前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、579億23百万円となり、前連結会計年度末に比べて154億円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は40億33百万円(前年同期比166億11百万円の収入減少)となりました。
これは、主として売上収益増加による売上債権の増加、季節要因に加えて物流網混乱等に伴う運中在庫増加による棚卸資産の増加及び法人税等の支払いによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は97億21百万円(前年同期比235億62百万円の収入減少)となりました。
これは、主として保有する有価証券を売却した一方、YOHTを中心とした有形固定資産を取得したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は267億90百万円(前年同期比499億34百万円の収入増加)となりました。
これは、主として配当金への支払をした一方、コマーシャルペーパーを中心に有利子負債が増加したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足頂くべく努力を重ねています。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、38億30百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究先行開発本部の当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、2億11百万円であります。
・炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択
当社と日本ゼオン㈱が実施する「炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」として採択されました。
グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度です。この目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するものです。
本実証事業では、使用済タイヤやバイオマスなどの再生可能炭素資源から、炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品であるブタジエン、イソプレンを高い収率で製造する、2つの高度な技術を確立し、2030年代に社会実装することを目指します。これにより、タイヤ・ゴム産業における資源循環性の向上、カーボンニュートラル化に貢献していきます。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
1)タイヤ
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、31億70百万円であります。
①ミニバン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03」、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03CK」を新発売
2022年2月より低燃費タイヤブランド「BluEarth(ブルーアース)」のミニバン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー)」を日本およびアジアにて発売しました。また、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03CK(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー・シーケー)」を2022年2月より日本で発売しました。
「BluEarth-RV RV03」はミニバン専用の低燃費タイヤで、当社のミニバン専用タイヤとしては7年ぶりの新商品となります。従来品「BluEarth RV-02」から高い評価を得ている国内タイヤラベリング制度のウェットグリップ性能最高グレード「a」と転がり抵抗性能「A」※に加え、優れた耐ふらつき性能や耐偏摩耗性能を踏襲しつつ、新たな付加価値として「さらに長持ち、ますます快適なミニバン専用タイヤ」をコンセプトに耐摩耗性能と静粛性を一段と高めました。
「BluEarth-RV RV03CK」はコンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用の低燃費タイヤで、従来品「BluEarth RV-02CK」の発売から5年ぶりの新商品となります。「BluEarth-RV RV03」同様の性能を追求しつつ、全サイズにおいて従来品のウェットグリップ性能「b」を「a」にグレードアップしました。転がり抵抗性能は「A」を獲得しています。
※:全29サイズ中、7サイズは転がり抵抗性能「AA」を獲得しています。
②高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」を新発売
2022年2月よりストリートスポーツタイヤの新商品「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エイディゼロキュウ)」を日本、アジア、北米地域で発売しました。
「ADVAN NEOVA AD09」は従来品「ADVAN NEOVA AD08R」の後継モデルとして9年ぶりとなる新商品です。「ADVAN NEOVA」シリーズの特長である“一番速く、一番楽しい”を継承しながら、当社商品中最強のストリートタイヤに相応しいドライグリップ、コントロール性、耐摩耗性能のさらなる進化を追求しました。部材から見直し再設計した新構造や強さとしなやかさを追求した新プロファイルにより、YOKOHAMA史上最高レベル※のケーシング剛性を実現しています。また、緻密に最適化した専用の非対称トレッドパターンと粘弾性のバランスを追求した新コンパウンドを採用。これらにより、ラップタイムの短縮が期待できるドライグリップに加え、アマチュアドライバーを助ける優れたコントロール性、サーキット走行でも長く使用できる耐摩耗性能を実現しています。
※ 市販向け夏用タイヤにおける比較です。
③グローバルフラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V107」を新発売
2022年3月よりグローバルフラッグシップタイヤの新商品として、ウルトラハイパフォーマンスタイヤ「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」を全世界で発売しました。
「ADVAN Sport V107」は「ADVAN Sport V105」の後継モデルとなるグローバルフラッグシップ・ウルトラハイパフォーマンスタイヤです。「プレミアムハイパフォーマンスカー」、「プレミアムハイパフォーマンスSUV」、そして「プレミアムEV」の3つのプレミアムカーカテゴリーをターゲットとし、プレミアムカーメーカーとの共同開発や世界一過酷なテストコースと言われるニュルブルクリンクでのテストで鍛え上げ、すでに昨年よりメルセデスAMGやBMW Mなどのプレミアムカーでもさらに特別なモデルを中心に納入を開始しています。今回この新車用「ADVAN Sport V107」をベースに、市販向けサイズを開発しフルラインアップ化します。
2)MB
「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、3億85百万円であります。
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が64百万円あります。
(1) 業績の状況
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減率 | ||
百万円 | 百万円 | % | ||
売上収益 | 144,576 | 185,590 | 28.4 | |
タイヤ | 123,952 | 162,886 | 31.4 | |
MB | 18,737 | 20,486 | 9.3 | |
その他 | 1,887 | 2,218 | 17.5 | |
事業利益 (△は損失) | 14,015 | 13,668 | △2.5 | |
タイヤ | 12,735 | 14,031 | 10.2 | |
MB | 1,019 | △242 | - | |
その他 | 243 | △136 | - | |
調整額 | 18 | 15 | - | |
営業利益 | 36,317 | 13,532 | △62.7 | |
税引前四半期利益 | 37,057 | 14,463 | △61.0 | |
親会社の所有者に 帰属する四半期利益 | 27,824 | 10,156 | △63.5 |
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
2.前第1四半期連結累計期間の売上収益、事業利益、営業利益、税引前四半期利益に関しましては、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。
当第1四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年3月31日)における当社グループをとり巻く環境は、国内では、昨年後半からの原材料の高騰に加え、物流の混乱、オミクロン株の感染者の急増による工場停止や半導体の部品不足により、生産調整の実施を余儀なくされた自動車などで景況感が悪化いたしました。
一方、海外においては、米国は半導体不足などを背景に自動車生産が減少した一方で、食品等の非耐久財の生産が増加したことにより雇用指数が改善したことが全体のマインドを押し上げ、個人消費・雇用・住宅着工件数なども底堅さを維持しました。中国はウクライナ情勢の悪化により、輸出が下振れ要因であることと、個人消費がゼロコロナ政策で低迷し、欧州でもウクライナ情勢を受け、景況感が大幅に悪化しております。
こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた、中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当第1四半期連結累計期間の連結売上収益は1,855億90百万円(前年同期比28.4%増)、利益面では、連結事業利益は136億68百万円(前年同期比2.5%減)、連結営業利益は135億32百万円(前年同期比62.7%減)、また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は101億56百万円(前年同期比63.5%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度において、タイヤ生産財戦略の一環として当社のオフハイウェイタイヤ(OHT)事業とグループ会社であるATG(アライアンスタイヤグループ)を対象とし、「Yokohama Off-Highway Tires」(YOHT)を冠する新組織を立ち上げ、新たな経営管理体制での運営を開始しました。
今後の更なる事業拡大を図るにあたり、顧客及び製品特性の類似性等を勘案した結果、当第1四半期連結累計期間より、従来、事業セグメントとしていた「タイヤ」「MB」「ATG」のうち、「ATG」につきまして名称を「YOHT」に変更するとともに、「タイヤ」に集約しております。これにより、報告セグメントにつきましては「タイヤ」「MB」に変更しております。
① タイヤ
売上収益は1,628億86百万円(前年同期比31.4%増)で、当社グループの連結売上収益の87.8%を占めており、事業利益は140億31百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
新車用タイヤは、世界的な半導体不足による生産調整の影響を受けたものの、中国等の販売増もあり全体では売上収益が前年同期を上回りました。
市販用タイヤは、国内で乗用車用タイヤ「ADVAN Sport V107」「ADVAN Neova AD09」「BluEarth-RV RV03」を発売、降雪による冬用タイヤの好調や、値上げ前需要の取り込みなど、国内外において高付加価値商品の拡販や、旺盛な需要への生産対応に努め、北米やインドなどアジア地域での販売も伸ばし、売上収益は前年同期を上回りました。
YOHTは、農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤはともに好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
② MB(マルチプル・ビジネスの略)
売上収益は204億86百万円(前年同期比9.3%増)で、当社グループの連結売上収益の11.0%を占めておりますが、未実現利益の消去に伴い事業損失は2億42百万円(前年同期事業利益 10億19百万円)となりました。
ホース配管事業は、国内外の建機向け油圧ホース販売が好調で、売上収益は前年同期を上回りました。
工業資材事業は、海洋商品の需要減少の影響を受けましたが、コンベヤベルトの国内販売が好調に推移したほか、航空部品も民間航空機向けの補用品需要回復により、売上収益は前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、579億23百万円となり、前連結会計年度末に比べて154億円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は40億33百万円(前年同期比166億11百万円の収入減少)となりました。
これは、主として売上収益増加による売上債権の増加、季節要因に加えて物流網混乱等に伴う運中在庫増加による棚卸資産の増加及び法人税等の支払いによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は97億21百万円(前年同期比235億62百万円の収入減少)となりました。
これは、主として保有する有価証券を売却した一方、YOHTを中心とした有形固定資産を取得したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は267億90百万円(前年同期比499億34百万円の収入増加)となりました。
これは、主として配当金への支払をした一方、コマーシャルペーパーを中心に有利子負債が増加したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足頂くべく努力を重ねています。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、38億30百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究先行開発本部の当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、2億11百万円であります。
・炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択
当社と日本ゼオン㈱が実施する「炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」として採択されました。
グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度です。この目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するものです。
本実証事業では、使用済タイヤやバイオマスなどの再生可能炭素資源から、炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品であるブタジエン、イソプレンを高い収率で製造する、2つの高度な技術を確立し、2030年代に社会実装することを目指します。これにより、タイヤ・ゴム産業における資源循環性の向上、カーボンニュートラル化に貢献していきます。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
1)タイヤ
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、31億70百万円であります。
①ミニバン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03」、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03CK」を新発売
2022年2月より低燃費タイヤブランド「BluEarth(ブルーアース)」のミニバン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー)」を日本およびアジアにて発売しました。また、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03CK(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー・シーケー)」を2022年2月より日本で発売しました。
「BluEarth-RV RV03」はミニバン専用の低燃費タイヤで、当社のミニバン専用タイヤとしては7年ぶりの新商品となります。従来品「BluEarth RV-02」から高い評価を得ている国内タイヤラベリング制度のウェットグリップ性能最高グレード「a」と転がり抵抗性能「A」※に加え、優れた耐ふらつき性能や耐偏摩耗性能を踏襲しつつ、新たな付加価値として「さらに長持ち、ますます快適なミニバン専用タイヤ」をコンセプトに耐摩耗性能と静粛性を一段と高めました。
「BluEarth-RV RV03CK」はコンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用の低燃費タイヤで、従来品「BluEarth RV-02CK」の発売から5年ぶりの新商品となります。「BluEarth-RV RV03」同様の性能を追求しつつ、全サイズにおいて従来品のウェットグリップ性能「b」を「a」にグレードアップしました。転がり抵抗性能は「A」を獲得しています。
※:全29サイズ中、7サイズは転がり抵抗性能「AA」を獲得しています。
②高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」を新発売
2022年2月よりストリートスポーツタイヤの新商品「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エイディゼロキュウ)」を日本、アジア、北米地域で発売しました。
「ADVAN NEOVA AD09」は従来品「ADVAN NEOVA AD08R」の後継モデルとして9年ぶりとなる新商品です。「ADVAN NEOVA」シリーズの特長である“一番速く、一番楽しい”を継承しながら、当社商品中最強のストリートタイヤに相応しいドライグリップ、コントロール性、耐摩耗性能のさらなる進化を追求しました。部材から見直し再設計した新構造や強さとしなやかさを追求した新プロファイルにより、YOKOHAMA史上最高レベル※のケーシング剛性を実現しています。また、緻密に最適化した専用の非対称トレッドパターンと粘弾性のバランスを追求した新コンパウンドを採用。これらにより、ラップタイムの短縮が期待できるドライグリップに加え、アマチュアドライバーを助ける優れたコントロール性、サーキット走行でも長く使用できる耐摩耗性能を実現しています。
※ 市販向け夏用タイヤにおける比較です。
③グローバルフラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V107」を新発売
2022年3月よりグローバルフラッグシップタイヤの新商品として、ウルトラハイパフォーマンスタイヤ「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」を全世界で発売しました。
「ADVAN Sport V107」は「ADVAN Sport V105」の後継モデルとなるグローバルフラッグシップ・ウルトラハイパフォーマンスタイヤです。「プレミアムハイパフォーマンスカー」、「プレミアムハイパフォーマンスSUV」、そして「プレミアムEV」の3つのプレミアムカーカテゴリーをターゲットとし、プレミアムカーメーカーとの共同開発や世界一過酷なテストコースと言われるニュルブルクリンクでのテストで鍛え上げ、すでに昨年よりメルセデスAMGやBMW Mなどのプレミアムカーでもさらに特別なモデルを中心に納入を開始しています。今回この新車用「ADVAN Sport V107」をベースに、市販向けサイズを開発しフルラインアップ化します。
2)MB
「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、3億85百万円であります。
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が64百万円あります。