四半期報告書-第99期第3四半期(2023/07/01-2023/09/30)

【提出】
2023/11/07 10:02
【資料】
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【項目】
41項目
(1) 経営成績
当社グループは、2021年2月に長期経営戦略「2030年のありたい姿」を策定しました。この戦略では、長期安定的な収益基盤となる「コア事業」と高成長分野である「戦略事業」を両輪として、最適な事業ポートフォリオへの転換を図り、継続的に経済的・社会的価値を創出することを目指します。この長期経営戦略「2030年のありたい姿」を確実に実現するため、中期経営計画 AGC plus-2023 を策定しました。当計画においては、コア事業の深化と戦略事業の探索を実現する“両利きの経営”を更に追求するとともに、サステナビリティ経営の推進とDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速による競争力の強化を主要な戦略として設定しました。当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年9月30日まで)においては、日本でのフッ素関連製品、EUV露光用フォトマスクブランクスの製造能力増強を決定しました。一方で、ロシアでの建築ガラス、オートモーティブ事業について譲渡の検討を開始するとともに、ディスプレイ事業において関西工場高砂事業所における液晶用ガラス基板製品の生産を終了するなど、最適な事業ポートフォリオへの転換を着実に実行しています。
当第3四半期連結累計期間の業績においては、戦略事業では、エレクトロニクス製品は、オプトエレクトロニクス用部材の出荷は減少したものの、EUV露光用フォトマスクブランクス等の出荷が堅調に推移しました。ライフサイエンス事業は、バイオ医薬品の受託売上減少の影響を受けました。コア事業では、オートモーティブは、半導体を中心とした部品供給不足の影響の緩和により自動車生産台数が緩やかに回復し、当社グループの出荷も増加するとともに、販売価格も上昇しました。一方で、エッセンシャルケミカルズで塩化ビニル樹脂等の販売価格が下落しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、為替のプラス影響を受けたものの、前第3四半期連結累計期間比150億円(1.0%)減の14,838億円となりました。営業利益は、原燃材料価格が下落したものの、製造原価の悪化や塩化ビニル樹脂等の販売価格の下落により同566億円(37.2%)減の955億円となりました。税引前四半期利益は、同660億円(40.0%)減の992億円、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は、同412億円(41.7%)減の575億円となりました。
<当第3四半期連結累計期間の業績>(億円:千万円単位四捨五入)
売上高14,838億円(前第3四半期連結累計期間比 1.0%減)
営業利益955億円(前第3四半期連結累計期間比 37.2%減)
税引前四半期利益992億円(前第3四半期連結累計期間比 40.0%減)
親会社の所有者に帰属する四半期純利益575億円(前第3四半期連結累計期間比 41.7%減)

なお、営業利益(前第3四半期連結累計期間比△566億円)の主な増減要因は以下のとおりです。
販売数量・売値・品種構成△423億円
原燃材料価格+340億円
コストその他△482億円

<報告セグメント別の概況>(億円:千万円単位四捨五入)
売上高営業利益
当第3四半期
連結累計期間
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前第3四半期
連結累計期間
建築ガラス3,5473,503269291
オートモーティブ3,6623,004162△154
電子2,2542,25898123
化学品4,2554,9784791,074
ライフサイエンス9181,066△77155
セラミックス・その他6016482634
消去又は全社△400△469△1△2
合計14,83814,9899551,521

前第3四半期連結累計期間のセグメントにつきましても、変更後の報告セグメント区分に基づき作成したものを開示しております。
当第3四半期連結累計期間における各報告セグメントの業績は、以下のとおりです。
① 建築ガラス
欧米は、景気減速の影響を受けた欧州で出荷が減少し、販売価格が下落した結果、前年同期に比べ減収となりました。アジアは、日本を除く地域で出荷が減少しましたが、販売価格の上昇により前年同期に比べ増収となりました。
以上の結果から、当第3四半期連結累計期間の建築ガラスの売上高は、前第3四半期連結累計期間比44億円(1.3%)増の3,547億円となりました。営業利益は、製造原価の悪化の影響などにより同22億円(7.5%)減の269億円となりました。
② オートモーティブ
自動車用ガラスは、自動車生産台数の増加により、当社グループの出荷も増加しました。また、販売価格の上昇や品種構成の改善、為替の影響もあり、当第3四半期連結累計期間のオートモーティブの売上高は、前第3四半期連結累計期間比658億円(21.9%)増の3,662億円となりました。営業利益は、製造原価の上昇などの影響を受けたものの、上記の要因により、同316億円増の162億円となりました。
③ 電子
ディスプレイは、液晶用ガラス基板の出荷は増加したものの、連結範囲の変更などから、前年同期に比べ減収となりました。電子部材は、スマートフォン市場減速の影響によりオプトエレクトロニクス用部材の出荷は減少したものの、EUV露光用フォトマスクブランクス等の半導体関連製品の出荷が堅調に推移したことに加え、為替の影響などにより、前年同期に比べ増収となりました。
以上の結果から、当第3四半期連結累計期間の電子の売上高は、前第3四半期連結累計期間比4億円(0.2%)減の2,254億円となりました。営業利益は、前述の減収要因および原燃材料高などの影響により、同24億円(19.9%)減の98億円となりました。
④ 化学品
エッセンシャルケミカルズは、塩化ビニル樹脂等の販売価格が下落したことから、前年同期に比べ減収となりました。パフォーマンスケミカルズは、フッ素関連製品の出荷は減少しましたが、販売価格の上昇や為替の影響により売上高は前年同期並みとなりました。
以上の結果から、当第3四半期連結累計期間の化学品の売上高は、前第3四半期連結累計期間比722億円(14.5%)減の4,255億円となり、営業利益は、同595億円(55.4%)減の479億円となりました。
⑤ ライフサイエンス
ライフサイエンスは、為替の影響があったものの、新型コロナウイルス関連製品の特需消失、バイオベンチャーへの資金流入減や、米国での新規ラインの立ち上げ遅延および設備改善のための稼働調整等によりバイオ医薬品の受託売上が減少したため、当第3四半期連結累計期間のライフサイエンスの売上高は、前第3四半期連結累計期間比148億円(13.9%)減の918億円となりました。営業利益は、前述の減収要因に加え、バイオ医薬品分野における能力増強に伴う先行費用の発生により、同232億円減の77億円の損失となりました。
各報告セグメントに属する主要な製品の種類は以下のとおりです。
報告セグメント主要製品
建築ガラスフロート板ガラス、型板ガラス、網入り磨板ガラス、Low-E(低放射)ガラス、装飾ガラス、建築用加工ガラス(断熱・遮熱複層ガラス、防災・防犯ガラス、防・耐火ガラス等)等
オートモーティブ自動車用ガラス、車載ディスプレイ用カバーガラス等
電子液晶用ガラス基板、有機EL用ガラス基板、ディスプレイ用特殊ガラス、ディスプレイ用周辺部材、半導体プロセス用部材、オプトエレクトロニクス用部材、プリント基板材料、照明用製品、理化学用製品等
化学品塩化ビニル、塩化ビニル原料、苛性ソーダ、ウレタン原料、フッ素樹脂、撥水撥油剤、ガス、溶剤、ヨウ素製品等
ライフサイエンス合成医農薬中間体・原体、バイオ医薬品等

上記製品の他、当社グループは、セラミックス製品、物流・金融サービス等も扱っています。
(2) 財政状態
○資産
当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末比1,736億円増の29,876億円となりました。これは主に、有形固定資産が増加したことによるものであります。
○負債
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末比835億円増の13,120億円となりました。これは主に、有利子負債が増加したことによるものであります。
○資本
当第3四半期連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末比901億円増の16,757億円となりました。これは主に、前期末比で円安になったことにより在外営業活動体の換算差額が増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より459億円(21.9%)減少し、1,639億円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,462億円の収入(前年同期は1,580億円の収入)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,293億円の支出(前年同期は791億円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出等があったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、753億円の支出(前年同期は395億円の支出)となりました。これは、有利子負債の借入による収入があった一方で、自己株式の取得や配当金の支払等があったことによるものであります。
(4) 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。また、当第3四半期連結累計期間において新たな課題も発生しておりません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は414億円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。