半期報告書-第102期(2026/01/01-2026/12/31)
(1) 経営成績
当中間連結会計期間の業績について、売上高は、前年同期比1,051億円(10.6%)増の11,006億円となりました。営業利益は、106億円(19.7%)増の647億円となりました。
売上高は、円安効果に加え、エッセンシャルケミカルズ東南アジアやインテグレイテッドケミカルズ、電子部材の出荷増、インテグレイテッドケミカルズや欧州建築ガラスの価格政策が寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、上述の出荷増や価格政策効果に加え、ライフサイエンスの損益改善が寄与したことから、前年同期を上回りました。
<報告セグメント別の概況>(億円:千万円単位四捨五入)
当中間連結会計期間における各報告セグメントの業績は、以下のとおりです。
① 建築ガラス
当中間連結会計期間の建築ガラスの売上高は、前年同期比185億円(8.8%)増の2,293億円となりました。営業利益は、同55億円(170.8%)増の88億円となりました。
売上高は、欧米では出荷が減少したものの、欧州での価格政策の効果や円安により、前年同期を上回りました。アジアでは、日本での出荷減少と東南アジアでの販売価格下落があったものの、東南アジアでの出荷増や円安により、前年同期を上回りました。営業利益は、欧州での価格政策の効果や東南アジアでの出荷増が寄与し、前年同期を上回りました。
② オートモーティブ
当中間連結会計期間のオートモーティブの売上高は、前年同期比246億円(9.6%)増の2,803億円となりました。営業利益は、同18億円(11.8%)減の133億円となりました。
売上高は、中東向け自動車輸出減少の影響は軽微にとどまり、日本・欧州・北米での販売数量増及び品種構成の改善に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、販売数量増や品種構成改善による増益要因があったものの、欧米での製造コスト上昇により、前年同期を下回りました。
③ 電子
当中間連結会計期間の電子の売上高は、前年同期比62億円(3.7%)増の1,744億円となりました。営業利益は、同57億円(23.4%)減の187億円となりました。
売上高は、ディスプレイでは、液晶ディスプレイ用ガラス基板の販売価格が上昇したものの、事業撤退を決定している化学強化用特殊ガラスの出荷減少により、前年同期並みとなりました。電子部材は、EUV露光用フォトマスクブランクスの出荷が回復途上にあるものの、その他の半導体関連部材及びオプトエレクトロニクスの出荷増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、電子部材の出荷増による増益要因があったものの、製造コストの上昇に加え、ディスプレイで円安がマイナスに影響したことから、前年同期を下回りました。
④ 化学品
当中間連結会計期間の化学品の売上高は、前年同期比462億円(16.1%)増の3,320億円となりました。営業利益は、同56億円(25.0%)増の282億円となりました。
売上高は、インテグレイテッドケミカルズでは、販売価格の上昇や半導体等エレクトロニクス向け製品等の出荷増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。エッセンシャルケミカルズ東南アジアでは、タイの設備増強による出荷増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、原燃材料価格が上昇したものの、販売価格の上昇や出荷増が寄与し、前年同期を上回りました。
⑤ ライフサイエンス
当中間連結会計期間のライフサイエンスの売上高は、前年同期比88億円(13.8%)増の723億円となりました。営業利益は、同59億円増の61億円の損失となりました。
売上高は、合成医農薬CDMO事業の受託が減少したものの、バイオ医薬品CDMO事業の受託増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、コロラド拠点閉鎖等による固定費削減施策の効果に加え、バイオ医薬品CDMO事業の受託増及びコペンハーゲン拠点の生産性改善により、前年同期に比べ改善しました。
(2) 財政状態
○資産
当中間連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末比562億円増の30,063億円となりました。これは主に、棚卸資産や営業債権が増加したことによるものであります。
○負債
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末比307億円増の12,491億円となりました。これは主に、有利子負債が増加したことによるものであります。
○資本
当中間連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末比255億円増の17,572億円となりました。これは主に、在外営業活動体の換算差額や利益剰余金が増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より71億円(7.5%)減少し、876億円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,049億円の収入(前年同期は1,171億円の収入)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、948億円の支出(前年同期は877億円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出等があったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、209億円の支出(前年同期は338億円の支出)となりました。これは、有利子負債が増加した一方で、配当金の支払等があったことによるものであります。
(4) 対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。また、当中間連結会計期間において新たな課題も発生しておりません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費は288億円です。なお、当中間連結会計期間における研究開発活動の状況は次のとおりです。
また、以下の項目は、前連結会計年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 6 研究開発活動」の項目に対応したものであり、変更の無い項目については記載を省略しています。
[研究開発活動]
当社グループは長期経営戦略「2030年のありたい姿」として、「独自の素材・ソリューションの提供を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとともに継続的に成長・進化する」ことを掲げています。また、その実現に向けた中期経営計画 AGC plus-2026 では、「“両利きの経営”の進化」「サステナビリティ経営の深化」「価値創造DXの推進」及び「経営基盤の強化」を主要戦略としています。
研究開発においては、「両利きの開発」「DXの加速による競争力の強化」「サステナビリティ経営の推進」「オープンイノベーション」の4つを主要施策として取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、「コア事業の強化と戦略事業の推進」「サステナブルな社会の実現」「次世代の事業領域(戦略事業候補)の探索」を目指し、中長期的な企業価値向上とCX(コーポレート・トランスフォーメーション)の加速に貢献していきます。
〇両利きの開発
当社グループの“両利きの開発”において、「右利きの開発」とは、「生産・基盤技術の革新」と「お客様と共に次世代品・新商品を開発すること」を指し、現状の課題を起点に改善を積み重ねていくアプローチです。この取り組みにより既存事業の本質的な競争力強化及び進化・拡大を目指します。一方、「左利きの開発」とは、「保有能力(既存の生産・基盤技術)を再定義し、新市場を開拓すること」を指します。将来起こり得る大きな時代の変化を見据え、新事業を創出するアプローチです。
「右利きの開発」と「左利きの開発」は、いずれも持続的な成長に不可欠な取り組みです。当社グループは、両アプローチをバランスよく推進することで、既存事業の競争力強化と新たな価値創造を両立し、将来にわたる成長・進化を実現していきます。
〇デジタルトランスフォーメーション(DX)
当社グループでは、価値創造DXの推進に向け、デジタル技術とモノづくり力の融合を通じて、各事業の競争力強化に取り組んでいます。2017年からDX実現の基盤づくりに着手し、その後、生産性革新など競争力強化に向けたDX推進を本格化させるとともに、デジタル技術を用いたイノベーションにも取り組んできました。これまでに、素材・製品開発の加速、商流・物流の変革、サプライチェーンをまたいだ業務プロセスの改革などを進め、ビジネスモデルの変革につなげています。2024年からはお客様と連携したデータ基盤の構築に加え、生成AI等の活用による業務改革を推進するなど、DXのさらなる深化と定着を進めています。
また、DX人材の育成にも注力しています。当社グループでは製造現場や管理業務における専門性に加え、デジタル技術を活用して自ら業務改善や革新を推進できる「二刀流人財」の育成を進めてきました。2025年時点で、基礎・応用レベルのDX人財は約7,700名、最新のデジタル技術を開発・展開できる上級者は約120名に達しています。2030年には、それぞれ10,000名、300名に拡大することを目標としています。
〇サステナビリティ経営の推進
当社グループがサステナビリティ経営において取り組む重要課題のうち、技術面から大きく貢献できるテーマの一つとして、温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量の削減が挙げられます。
特に板ガラスの製造では、ガラスを溶融する燃焼工程において大量のエネルギーを使用するため、GHG排出量の削減に向けた技術開発を継続しています。その成果の一例として、2025年2月には、当社グループの100%子会社であるAGC Glass EuropeとSaint-Gobain社との協業により、CO2排出量の大幅な削減を目指した型板ガラスパイロットラインの稼働を開始しました。
さらに、GHG排出量の削減に加え、CO2を原料として回収し、化学合成により有価物として再利用するカーボンリサイクルなど、他社との連携による脱炭素技術の開発にも取り組んでいます。加えて、環境負荷低減や環境規制への対応を新たな事業機会と捉え、GHG排出量削減に貢献する製品の開発にも取り組んでいます。
〇オープンイノベーション
社会や産業を取り巻く環境変化が加速する中、脱炭素社会の実現、資源循環の推進、デジタル化の進展など、企業が取り組むべき課題は高度化・複雑化しています。また、お客様のニーズも多様化しており、単独企業のみで必要な技術やソリューションのすべてを創出することは難しくなっています。こうした中、社外の知見や技術を積極的に取り込み、新たな価値を共創するオープンイノベーションは、当社グループの研究開発において重要な取り組みの一つとなっています。その中心拠点として、2021年に新たな研究開発拠点であるAGC横浜テクニカルセンター(以下、「YTC」という。)を開設し、材料開発からプロセス開発、設備技術開発までを一体的に推進する研究開発体制を構築しています。また、YTC内にオープンイノベーションを促進する協創空間「AO(AGC OPEN SQUARE)」を設け、「つなぐ」「発想する」「ためす」をコンセプトに、社内外の多様なパートナーとの活発な交流や共創活動を推進しています。
具体的な取り組みとしては、産学連携の進化形として、東京大学、名古屋大学、東京科学大学などとの大型連携による新技術領域の創出が挙げられ、既にいくつかの成果が生まれています。また、2026年6月には、最先端エレクトロニクス産業を支える協創研究所を東北大学内に設置しました。さらに、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業とのコラボレーションを推進し、新技術・新市場の探索と新事業の育成にも取り組んでいます。
加えて、北米、欧州、中国及び東南アジアのコーポレート海外拠点に駐在員を配置し、一部ではローカルスタッフも起用しながら、グローバルな体制でオープンイノベーションを推進しています。
当中間連結会計期間の業績について、売上高は、前年同期比1,051億円(10.6%)増の11,006億円となりました。営業利益は、106億円(19.7%)増の647億円となりました。
売上高は、円安効果に加え、エッセンシャルケミカルズ東南アジアやインテグレイテッドケミカルズ、電子部材の出荷増、インテグレイテッドケミカルズや欧州建築ガラスの価格政策が寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、上述の出荷増や価格政策効果に加え、ライフサイエンスの損益改善が寄与したことから、前年同期を上回りました。
<報告セグメント別の概況>(億円:千万円単位四捨五入)
| 売上高 | 営業利益 | |||
| 当中間連結会計期間 | 前中間連結会計期間 | 当中間連結会計期間 | 前中間連結会計期間 | |
| 建築ガラス | 2,293 | 2,108 | 88 | 32 |
| オートモーティブ | 2,803 | 2,557 | 133 | 151 |
| 電子 | 1,744 | 1,681 | 187 | 244 |
| 化学品 | 3,320 | 2,859 | 282 | 225 |
| ライフサイエンス | 723 | 635 | △61 | △119 |
| セラミックス・その他 | 243 | 280 | 15 | 6 |
| 消去又は全社 | △120 | △166 | 2 | 0 |
| 合計 | 11,006 | 9,955 | 647 | 540 |
当中間連結会計期間における各報告セグメントの業績は、以下のとおりです。
① 建築ガラス
当中間連結会計期間の建築ガラスの売上高は、前年同期比185億円(8.8%)増の2,293億円となりました。営業利益は、同55億円(170.8%)増の88億円となりました。
売上高は、欧米では出荷が減少したものの、欧州での価格政策の効果や円安により、前年同期を上回りました。アジアでは、日本での出荷減少と東南アジアでの販売価格下落があったものの、東南アジアでの出荷増や円安により、前年同期を上回りました。営業利益は、欧州での価格政策の効果や東南アジアでの出荷増が寄与し、前年同期を上回りました。
② オートモーティブ
当中間連結会計期間のオートモーティブの売上高は、前年同期比246億円(9.6%)増の2,803億円となりました。営業利益は、同18億円(11.8%)減の133億円となりました。
売上高は、中東向け自動車輸出減少の影響は軽微にとどまり、日本・欧州・北米での販売数量増及び品種構成の改善に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、販売数量増や品種構成改善による増益要因があったものの、欧米での製造コスト上昇により、前年同期を下回りました。
③ 電子
当中間連結会計期間の電子の売上高は、前年同期比62億円(3.7%)増の1,744億円となりました。営業利益は、同57億円(23.4%)減の187億円となりました。
売上高は、ディスプレイでは、液晶ディスプレイ用ガラス基板の販売価格が上昇したものの、事業撤退を決定している化学強化用特殊ガラスの出荷減少により、前年同期並みとなりました。電子部材は、EUV露光用フォトマスクブランクスの出荷が回復途上にあるものの、その他の半導体関連部材及びオプトエレクトロニクスの出荷増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、電子部材の出荷増による増益要因があったものの、製造コストの上昇に加え、ディスプレイで円安がマイナスに影響したことから、前年同期を下回りました。
④ 化学品
当中間連結会計期間の化学品の売上高は、前年同期比462億円(16.1%)増の3,320億円となりました。営業利益は、同56億円(25.0%)増の282億円となりました。
売上高は、インテグレイテッドケミカルズでは、販売価格の上昇や半導体等エレクトロニクス向け製品等の出荷増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。エッセンシャルケミカルズ東南アジアでは、タイの設備増強による出荷増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、原燃材料価格が上昇したものの、販売価格の上昇や出荷増が寄与し、前年同期を上回りました。
⑤ ライフサイエンス
当中間連結会計期間のライフサイエンスの売上高は、前年同期比88億円(13.8%)増の723億円となりました。営業利益は、同59億円増の61億円の損失となりました。
売上高は、合成医農薬CDMO事業の受託が減少したものの、バイオ医薬品CDMO事業の受託増に加え、円安も寄与したことから、前年同期を上回りました。営業利益は、コロラド拠点閉鎖等による固定費削減施策の効果に加え、バイオ医薬品CDMO事業の受託増及びコペンハーゲン拠点の生産性改善により、前年同期に比べ改善しました。
(2) 財政状態
○資産
当中間連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末比562億円増の30,063億円となりました。これは主に、棚卸資産や営業債権が増加したことによるものであります。
○負債
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末比307億円増の12,491億円となりました。これは主に、有利子負債が増加したことによるものであります。
○資本
当中間連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末比255億円増の17,572億円となりました。これは主に、在外営業活動体の換算差額や利益剰余金が増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より71億円(7.5%)減少し、876億円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,049億円の収入(前年同期は1,171億円の収入)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、948億円の支出(前年同期は877億円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出等があったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、209億円の支出(前年同期は338億円の支出)となりました。これは、有利子負債が増加した一方で、配当金の支払等があったことによるものであります。
(4) 対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。また、当中間連結会計期間において新たな課題も発生しておりません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費は288億円です。なお、当中間連結会計期間における研究開発活動の状況は次のとおりです。
また、以下の項目は、前連結会計年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 6 研究開発活動」の項目に対応したものであり、変更の無い項目については記載を省略しています。
[研究開発活動]
当社グループは長期経営戦略「2030年のありたい姿」として、「独自の素材・ソリューションの提供を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとともに継続的に成長・進化する」ことを掲げています。また、その実現に向けた中期経営計画 AGC plus-2026 では、「“両利きの経営”の進化」「サステナビリティ経営の深化」「価値創造DXの推進」及び「経営基盤の強化」を主要戦略としています。
研究開発においては、「両利きの開発」「DXの加速による競争力の強化」「サステナビリティ経営の推進」「オープンイノベーション」の4つを主要施策として取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、「コア事業の強化と戦略事業の推進」「サステナブルな社会の実現」「次世代の事業領域(戦略事業候補)の探索」を目指し、中長期的な企業価値向上とCX(コーポレート・トランスフォーメーション)の加速に貢献していきます。
〇両利きの開発
当社グループの“両利きの開発”において、「右利きの開発」とは、「生産・基盤技術の革新」と「お客様と共に次世代品・新商品を開発すること」を指し、現状の課題を起点に改善を積み重ねていくアプローチです。この取り組みにより既存事業の本質的な競争力強化及び進化・拡大を目指します。一方、「左利きの開発」とは、「保有能力(既存の生産・基盤技術)を再定義し、新市場を開拓すること」を指します。将来起こり得る大きな時代の変化を見据え、新事業を創出するアプローチです。
「右利きの開発」と「左利きの開発」は、いずれも持続的な成長に不可欠な取り組みです。当社グループは、両アプローチをバランスよく推進することで、既存事業の競争力強化と新たな価値創造を両立し、将来にわたる成長・進化を実現していきます。
〇デジタルトランスフォーメーション(DX)
当社グループでは、価値創造DXの推進に向け、デジタル技術とモノづくり力の融合を通じて、各事業の競争力強化に取り組んでいます。2017年からDX実現の基盤づくりに着手し、その後、生産性革新など競争力強化に向けたDX推進を本格化させるとともに、デジタル技術を用いたイノベーションにも取り組んできました。これまでに、素材・製品開発の加速、商流・物流の変革、サプライチェーンをまたいだ業務プロセスの改革などを進め、ビジネスモデルの変革につなげています。2024年からはお客様と連携したデータ基盤の構築に加え、生成AI等の活用による業務改革を推進するなど、DXのさらなる深化と定着を進めています。
また、DX人材の育成にも注力しています。当社グループでは製造現場や管理業務における専門性に加え、デジタル技術を活用して自ら業務改善や革新を推進できる「二刀流人財」の育成を進めてきました。2025年時点で、基礎・応用レベルのDX人財は約7,700名、最新のデジタル技術を開発・展開できる上級者は約120名に達しています。2030年には、それぞれ10,000名、300名に拡大することを目標としています。
〇サステナビリティ経営の推進
当社グループがサステナビリティ経営において取り組む重要課題のうち、技術面から大きく貢献できるテーマの一つとして、温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量の削減が挙げられます。
特に板ガラスの製造では、ガラスを溶融する燃焼工程において大量のエネルギーを使用するため、GHG排出量の削減に向けた技術開発を継続しています。その成果の一例として、2025年2月には、当社グループの100%子会社であるAGC Glass EuropeとSaint-Gobain社との協業により、CO2排出量の大幅な削減を目指した型板ガラスパイロットラインの稼働を開始しました。
さらに、GHG排出量の削減に加え、CO2を原料として回収し、化学合成により有価物として再利用するカーボンリサイクルなど、他社との連携による脱炭素技術の開発にも取り組んでいます。加えて、環境負荷低減や環境規制への対応を新たな事業機会と捉え、GHG排出量削減に貢献する製品の開発にも取り組んでいます。
〇オープンイノベーション
社会や産業を取り巻く環境変化が加速する中、脱炭素社会の実現、資源循環の推進、デジタル化の進展など、企業が取り組むべき課題は高度化・複雑化しています。また、お客様のニーズも多様化しており、単独企業のみで必要な技術やソリューションのすべてを創出することは難しくなっています。こうした中、社外の知見や技術を積極的に取り込み、新たな価値を共創するオープンイノベーションは、当社グループの研究開発において重要な取り組みの一つとなっています。その中心拠点として、2021年に新たな研究開発拠点であるAGC横浜テクニカルセンター(以下、「YTC」という。)を開設し、材料開発からプロセス開発、設備技術開発までを一体的に推進する研究開発体制を構築しています。また、YTC内にオープンイノベーションを促進する協創空間「AO(AGC OPEN SQUARE)」を設け、「つなぐ」「発想する」「ためす」をコンセプトに、社内外の多様なパートナーとの活発な交流や共創活動を推進しています。
具体的な取り組みとしては、産学連携の進化形として、東京大学、名古屋大学、東京科学大学などとの大型連携による新技術領域の創出が挙げられ、既にいくつかの成果が生まれています。また、2026年6月には、最先端エレクトロニクス産業を支える協創研究所を東北大学内に設置しました。さらに、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業とのコラボレーションを推進し、新技術・新市場の探索と新事業の育成にも取り組んでいます。
加えて、北米、欧州、中国及び東南アジアのコーポレート海外拠点に駐在員を配置し、一部ではローカルスタッフも起用しながら、グローバルな体制でオープンイノベーションを推進しています。