有価証券報告書-第82期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、海外経済の減速に伴う輸出低迷を背景に横這い圏での推移が続いてきたものの、2019年秋の消費税率引き上げに加え新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、年度末にかけて急速に悪化し、政府は2020年3月の月例経済報告で、これまでの「緩やかに回復している」との景気基調判断を「厳しい状況にある」と下方修正しました。
住宅市場におきましては、金融機関のアパートローンに対する慎重姿勢を背景に、貸家が年度末まで19ヶ月連続の長期にわたって前年同月実績を下回る状況が継続したことに加え、持家が消費税率引き上げに伴い、年度初めにおいては旧税率の適用が受けられることによる緩やかな駆け込み需要の影響が窺えたものの、その後年度末までに8ヶ月連続で減少する等、全体としては厳しい情勢が続き、2019年度の新設住宅着工戸数は883千戸(前年度比7.3%減)と5年ぶりに900千戸を下回りました。
石こうボード業界におきましては、低調な住宅市場の動向とやや異なり、2019年度における製品出荷量は500百万㎡(前年度比0.1%減)と前年度と同水準となりました。これは、出荷量の動向が新設住宅着工戸数の増減より数ヶ月程度遅れる為、消費税率引き上げによる駆け込み需要の影響が一部当期の押し上げ効果として表れたことや、非住宅分野における底堅い動きによるものと推察されます。
一方で業界全体の石こうボードの出荷量が前年度とほぼ変わりがなかったにもかかわらず、当社グループの主力事業である石こうボードの出荷量は、前年度比で減少しており、業界内での当社シェア低下が窺われます。新設住宅着工戸数が将来的に頭打ちとなる見通しも踏まえると、当社取扱いが相対的に小さい非住宅分野で、製品の認知度向上は喫緊の課題であり、建設業界の就労者数減少や高齢化という構造的な悩みが聞かれる中で、現場の手間削減等に繋がる製品開発に注力しております。他の建材への代替が利かない石こうボードに、現場の声を拾い上げ付加価値を高めることができるよう一層の取り組みを進めてまいります。
当連結会計年度においては、販売面では数量減とともに価格引き上げを予定通りに進展できず、製造面では低調な販売量に合わせた生産調整を実施した結果、原価低減策を十分に推進することができませんでした。加えて急激な景気落ち込みに直面したことから、室蘭工場と下関工場について、他工場への生産シフトを段階的に進めて他工場の効率化を向上させつつ、大幅減産を図ることを決定したことから、2工場の固定資産の減損損失を計上するという極めて不本意な結果に終わりました。しかしながら一方で、経費負担の最も大きい物流費の対策にも着手しており、配送を担う運転手の確保や作業効率化と合わせ、配送サービスの適正な対価確保を関係者の皆様にご理解頂くことを要請しており、業績改善に向けた取り組みを着実に進めております。
この結果、当社グループにおける業績は、売上高は288億91百万円(前年同期比4.2%減)となりました。また、営業損失は4億29百万円(前年同期は営業損失3億円)、経常損失は1億39百万円(前年同期は経常損失84百万円)となりました。減損損失の計上等により親会社株主に帰属する当期純損失は20億84百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失90百万円)となりました。
当社グループは、単一セグメントであるため、セグメントの業績は記載を省略しております。
また、事業部門等の区分による記載は「石膏ボード」と「その他」の区分により記載しており、業務区分については記載が困難なため記載を省略しております。
財政状態の状況
(資産)
資産合計は、307億76百万円(前年同期比46億49百万円減)となりました。
流動資産の減少(前年同期比19億39百万円減)は、現金及び預金の減少(前年同期比13億78百万円減)、受取手形及び売掛金の減少(前年同期比6億38百万円減)が主な要因であります。
固定資産の減少(前年同期比27億3百万円減)は、減損損失の計上等による機械装置及び運搬具の減少(前年同期比14億13百万円減)、建物及び構築物の減少(前年同期比2億96百万円減)、リース資産の減少(前年同期比4億41百万円減)、土地の減少(前年同期比1億68百万円減)、時価の下落等による投資有価証券の減少(前年同期比2億36百万円減)が主な要因であります。
(負債)
負債合計は、178億94百万円(前年同期比49億91百万円減)となりました。
流動負債の減少(前年同期比44億29百万円減)は、短期借入金の減少(前年同期比17億91百万円減)、支払手形及び買掛金の減少(前年同期比11億94百万円減)が主な要因であります。
固定負債の減少(前年同期比5億61百万円減)は、社債の減少(前年同期比3億30百万円減)、長期借入金の減少(前年同期比1億8百万円減)が主な要因であります。
(純資産)
純資産合計は、128億81百万円(前年同期比3億41百万円増)となりました。
これは、配当金の支払、親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少(前年同期比21億35百万円減)、第三者割当による株式発行の資本金の増加(前年同期比12億86百万円増)及び資本剰余金の増加(前年同期比12億77百万円増)が主な要因であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、15億50百万円と前連結会計年度末に比べ13億70百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、減損損失の計上(18億67百万円)、減価償却費の計上(13億4百万円)等の資金収入がありましたものの、税金等調整前当期純損失(19億69百万円)、仕入債務の減少(10億77百万円)等の資金支出により1億4百万円の支出(前連結会計年度は10億28百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形固定資産の取得による支出(8億円)、貸付による支出(1億96百万円)等の資金支出がありましたものの、貸付金の回収による収入(1億26百万円)等の資金収入により6億62百万円の支出(前連結会計年度は2億50百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、株式の発行による収入(25億66百万円)、長期借入れによる収入(10億43百万円)等の資金収入がありましたものの、長期借入金の返済による支出(19億92百万円)、短期借入金の減少(16億51百万円)等の資金支出により6億3百万円の支出(前連結会計年度は1億79百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
(注) 1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
年度末にかけて新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の停滞に伴い、一部特定業界において、急激に需要が落ち込む等の影響が出始めております。住宅・建設業界に及ぼす影響に関しても極めて不透明で見通し難い状況にあり、報道で伝えられている通り、ワクチン開発による根本的な対応策が確立するまでは、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束の動向を見極めながら、安全配慮を意識した事業活動を慎重に進めざるを得ず、少なくとも2020年度内いっぱいは事業活動に及ぼす影響が続くものと予想しております。
具体的には、施行現場の職人不足が続く中、感染拡大予防の観点から、更に職人のやり繰りが厳しくなることで工期が長引き、当社グループの主力商材である石こうボードの納入時期が遅れることが想定されます。また、雇用面の不安定に起因し、住宅建設を予定していた方が建設を見合わせることで、昨年秋の消費税増税に加えて住宅市場の頭打ち状態を長引かせ、本来予定されていた需要が繰り越されていくこともあり得ます。
こうした不安定な事業環境にあっても、安定した収益を計上できるよう、当社グループの課題をしっかり認識しソリューション活動を推進してまいります。
①重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項」の「追加情報」に記載しております。
② 財政状態の分析
当社グループは、2015年3月に当社が第三者割当増資を実施の際、流動比率や固定長期適合率等の財務指標の改善ならびに有利子負債の圧縮など財務体質の改善という課題を明確にして、取り組んでまいりました。
また、2020年1月に、当社はクナウフ・グループとのより一層強固な提携関係を構築することを目的に、筆頭株主であるKnauf International GmbHを引受先とする第三者割当増資を実施しました。
この2020年1月の増資に至る背景として、建設業界では職人不足による建築コストの高止まりが続く中、建築資材を納入するメーカーの販売価格引き上げをご了解頂くことが難しかったという事情があります。販売単価の是正ができない状況下にあって、原材料等の仕入れ価格や物流コストの上昇に迫られ採算が急激に悪化したことを主因に、2018年3月期決算で連結・単体ともに営業損失を計上し、2019年度に入っても会社の置かれた状況に改善の兆しが見られませんでした。住宅市場の規模が縮小して行くことが見込まれ、トップラインを伸ばしていくことがなかなか容易でない中、経費抑制の取り組みは急務であり、一層の業務改善を強力に進めて行くには、省力化投資や生産設備の更新を通じた生産性向上やIT技術活用による業務の大幅な効率化に従来にも増して取り組まねばならず、それを進めるには相応の資金力が必要であると判断したことが増資の一因です。
但し増資により調達した資金使途について、当社と提携先のクナウフ・グループとの間で、具体的な研究開発や生産設備更新、および業務改善に向けたIT投資を策定し執行するまでは、全額借入金の返済に充当し、財務基盤の強化を図ることが今後の資金調達を進める上において最も有効であると判断しました。すなわち、増資資金を戦略的な投資に備え財務基盤の改善の実現に資することで、今後策定する投資計画に合わせて機動的に資金調達が可能となるよう財務基盤の構築を進めました。この結果、これまで取り組んできた財務指標の安全性分析で活用される流動比率(標準値として100%超が望ましい)、固定長期適合率(標準値として100%未満が望ましい)が目標とする標準値を2020年3月期末において達成することができました。
[流動比率・固定長期適合率]
2014年3月期末の貸借対照表(連結)で流動比率が68.3%、固定長期適合率が127.0%と調達資金のアンバランスが生じており、これは市場金利連動型の短期資金を低利で借入可能なことを背景に、本来長期性資金で調達すべきところを金利の低い短期借入で賄ってきたことが要因の一つでした。
2015年3月の第三者割当増資により調達した資金約10億円を短期借入返済に充当した後も、資金需要の要因や投資計画のキャッシュー・フローを検討しながら調達資金の長短アンバランスの是正に取り組んできました。その結果、2019年3月期末の貸借対照表(連結)で、流動比率が88.9%、固定長期適合率が106.1%まで徐々にではありますが改善してきたところであります。
そして2020年1月の増資資金約25億円を全額短期借入の返済に充当した結果、2020年3月期末の貸借対照表(連結)で、112.2%、固定長期適合率95.2%と目標としてきた標準値を達成するところまで改善を果たすことができました。
今後予定する設備投資は、個別の投資効果を慎重に検討の上、その効果の発現期間を考慮して長期性資金で調達をすることが適当と考えており、今後とも長短の資金調達アンバランスを生じさせないよう留意してまいります。
[有利子負債]
有利子負債の総額は、2014年3月期末(連結)において147億円であり、この圧縮に向けた取り組みも課題に挙げていました。必要な設備投資を適切に執行しつつ、事業収入によるキャッシュ・フローを高めながら、有利子負債の抑制に向けたコントロールに努めてきた結果、2019年3月期末(連結)の有利子負債の総額は130億円となりました。
そして2020年3月期末(連結)では、増資資金の借入返済実行により、98億円となり、この6年間で約50億円の有利子負債を削減することができました。増資資金という資本コストの高い資金を活用しての有利子負債削減ではありますが、財務基盤の安定に資するものであり、ステークホルダー各位のご理解が頂けるものであると考えております。
③ 経営成績の分析
当連結会計年度の業績は、売上高は288億91百万円(前年同期比4.2%減)と前年に比べ大幅な減収となり、営業損失は4億29百万円(前年同期は営業損失3億円)、経常損失は1億39百万円(前年同期は営業損失84百万円)と前年比減益となりました。
この主な要因は、石こうボード事業で、2019年秋の消費税増税の影響により、2019年7月から年度末にかけて9ヶ月連続で新設住宅着工戸数が前年同月対比で落ち込んだ結果、販売数量が計画を下回り、予定した販売価格引き上げも計画通りに進展せず、原材料等の仕入れ価格や運送コストの経費増加を吸収できなかったことに因ります。
また、販売数量の減少に伴い、工場では出荷動向に合わせた在庫調整を実施せざるを得ず、特に生産規模の小さい室蘭工場と下関工場では採算確保が図り難いところに、新型コロナウイルス感染症拡大という極めて不透明な環境に直面し、18億67百万円の減損損失を特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は20億84百万円(前年同期は同当期純損失90百万円)と極めて不本意な結果となりました。
原材料等の仕入れ価格や物流コストが高騰していることを受け、コスト吸収を図るべく昨年6月に石こうボードの価格引き上げを発表し、顧客の理解を得られるよう交渉を重ねてまいりましたが、国内トップ企業である競合他社が価格引き上げに動かなかったことから顧客の理解が得られず、かえって競合他社の低価格攻勢を受けたことで、消費税率増税により落ち込み始めていた施工案件をシェア以上に逃してしまったこともあり得ると受け止めています。
次に、当社グループが経営指標として採用している、売上高に対するEBITDA比率(EBITDAマージン)ですが、2015年3月期から2017年3月期にかけて6%台半ばで推移していましたが、本業の儲けである営業損益が2018年3月期より減益傾向となり、2020年3月期には約3%まで低下しました。
その要因の一つとして、これまでも重要な課題に位置付けて改善に取り組んできた物流コストは、売上高に占める比率が約1/4と高く、収益回復を図る上でどうしても是正を図らなければなりません。2018年度においては、効率的な物流体制を構築するために、製品在庫を的確に把握することを目的とした社内システムを国内5工場に導入しました。2019年度は次のステップとして、営業が受注し納材する際に、配送するトラックが不足するため急遽庸車を活用することで高いコスト負担が発生する防止策に取り組みました。会社の対処すべき課題において記載しました通り、配送業務について当社自身がより関与度を高めて、効率的な配送体制を構築するよう各地の実状に応じ整備を進め、2020年度以降に改善効果を一定程度見込めるメドがつきました。メーカーとして製造した製品を受注し納材し終えるところまでの運用体制をあらためて見直すことにより、高止まりしている物流費を引き下げたいと考えています。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの入出金日は、連結会計年度末日が金融機関の休日である場合、おおむね入金日が休日前、支払日が休日後となることから、前期末会計年度が休日であった為、当連結会計年度の仕入債務が大きく減少していることが主因となり、営業活動によるキャッシュ・フローが約1億円のマイナスとなりました。
メーカーとしてメンテナンスも含め継続的な設備更新が発生する為、キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持することを前提に、投資活動によるキャッシュ・フローをその範囲内とすることに留意し、その両方を足し込んだフリーキャッシュ・フローをプラスにすることを経営課題に位置付けております。年度の減価償却費の推移に大きな変動はなく、その範囲内の設備投資を実施することで毎期計画を策定しており、当連結会計年度は主力石こうボード事業の販売活動が低調だったことが、営業活動によるキャッシュ・フローの低下を招き、フリーキャッシュ・フローがマイナスとなった要因であると認識しています。
但し、メーカーとして収益効果を生むことが確実な設備投資案件がある場合は、フリーキャッシュ・フローが一時的にマイナスとなっても借入金等で資金調達を行い、将来のキャッシュ獲得に向けた事業活動を推進することも必要と考えており、その場合は投資効果や効果が現れる時期の蓋然性を保守的に計画したうえで実施することが重要であると考えています。
当社は、2020年1月に増資により約25億円の資金を調達し、一旦は全額を借入金の返済に充当し財務基盤の強化を図りましたが、調達した資金を今後の戦略的投資に活用することを予定しており、収益力の確実な回復に繋げて営業活動によるキャッシュ・フローの水準を高め、一定水準の設備投資支出を維持しながら、5円配当を復元し安定して継続して行けるよう配当原資の確保に努めてまいります。
また、当社グループは、事業活動のための適切な資金調達及び適切な流動性の維持を安定的に確保することを基本方針としております。
資金調達につきましては、金融機関からの借入や社債の発行により調達しており、市場の環境や金利の動向等を総合的に勘案したうえで決定しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、海外経済の減速に伴う輸出低迷を背景に横這い圏での推移が続いてきたものの、2019年秋の消費税率引き上げに加え新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、年度末にかけて急速に悪化し、政府は2020年3月の月例経済報告で、これまでの「緩やかに回復している」との景気基調判断を「厳しい状況にある」と下方修正しました。
住宅市場におきましては、金融機関のアパートローンに対する慎重姿勢を背景に、貸家が年度末まで19ヶ月連続の長期にわたって前年同月実績を下回る状況が継続したことに加え、持家が消費税率引き上げに伴い、年度初めにおいては旧税率の適用が受けられることによる緩やかな駆け込み需要の影響が窺えたものの、その後年度末までに8ヶ月連続で減少する等、全体としては厳しい情勢が続き、2019年度の新設住宅着工戸数は883千戸(前年度比7.3%減)と5年ぶりに900千戸を下回りました。
石こうボード業界におきましては、低調な住宅市場の動向とやや異なり、2019年度における製品出荷量は500百万㎡(前年度比0.1%減)と前年度と同水準となりました。これは、出荷量の動向が新設住宅着工戸数の増減より数ヶ月程度遅れる為、消費税率引き上げによる駆け込み需要の影響が一部当期の押し上げ効果として表れたことや、非住宅分野における底堅い動きによるものと推察されます。
一方で業界全体の石こうボードの出荷量が前年度とほぼ変わりがなかったにもかかわらず、当社グループの主力事業である石こうボードの出荷量は、前年度比で減少しており、業界内での当社シェア低下が窺われます。新設住宅着工戸数が将来的に頭打ちとなる見通しも踏まえると、当社取扱いが相対的に小さい非住宅分野で、製品の認知度向上は喫緊の課題であり、建設業界の就労者数減少や高齢化という構造的な悩みが聞かれる中で、現場の手間削減等に繋がる製品開発に注力しております。他の建材への代替が利かない石こうボードに、現場の声を拾い上げ付加価値を高めることができるよう一層の取り組みを進めてまいります。
当連結会計年度においては、販売面では数量減とともに価格引き上げを予定通りに進展できず、製造面では低調な販売量に合わせた生産調整を実施した結果、原価低減策を十分に推進することができませんでした。加えて急激な景気落ち込みに直面したことから、室蘭工場と下関工場について、他工場への生産シフトを段階的に進めて他工場の効率化を向上させつつ、大幅減産を図ることを決定したことから、2工場の固定資産の減損損失を計上するという極めて不本意な結果に終わりました。しかしながら一方で、経費負担の最も大きい物流費の対策にも着手しており、配送を担う運転手の確保や作業効率化と合わせ、配送サービスの適正な対価確保を関係者の皆様にご理解頂くことを要請しており、業績改善に向けた取り組みを着実に進めております。
この結果、当社グループにおける業績は、売上高は288億91百万円(前年同期比4.2%減)となりました。また、営業損失は4億29百万円(前年同期は営業損失3億円)、経常損失は1億39百万円(前年同期は経常損失84百万円)となりました。減損損失の計上等により親会社株主に帰属する当期純損失は20億84百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失90百万円)となりました。
当社グループは、単一セグメントであるため、セグメントの業績は記載を省略しております。
また、事業部門等の区分による記載は「石膏ボード」と「その他」の区分により記載しており、業務区分については記載が困難なため記載を省略しております。
財政状態の状況
(資産)
資産合計は、307億76百万円(前年同期比46億49百万円減)となりました。
流動資産の減少(前年同期比19億39百万円減)は、現金及び預金の減少(前年同期比13億78百万円減)、受取手形及び売掛金の減少(前年同期比6億38百万円減)が主な要因であります。
固定資産の減少(前年同期比27億3百万円減)は、減損損失の計上等による機械装置及び運搬具の減少(前年同期比14億13百万円減)、建物及び構築物の減少(前年同期比2億96百万円減)、リース資産の減少(前年同期比4億41百万円減)、土地の減少(前年同期比1億68百万円減)、時価の下落等による投資有価証券の減少(前年同期比2億36百万円減)が主な要因であります。
(負債)
負債合計は、178億94百万円(前年同期比49億91百万円減)となりました。
流動負債の減少(前年同期比44億29百万円減)は、短期借入金の減少(前年同期比17億91百万円減)、支払手形及び買掛金の減少(前年同期比11億94百万円減)が主な要因であります。
固定負債の減少(前年同期比5億61百万円減)は、社債の減少(前年同期比3億30百万円減)、長期借入金の減少(前年同期比1億8百万円減)が主な要因であります。
(純資産)
純資産合計は、128億81百万円(前年同期比3億41百万円増)となりました。
これは、配当金の支払、親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少(前年同期比21億35百万円減)、第三者割当による株式発行の資本金の増加(前年同期比12億86百万円増)及び資本剰余金の増加(前年同期比12億77百万円増)が主な要因であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、15億50百万円と前連結会計年度末に比べ13億70百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、減損損失の計上(18億67百万円)、減価償却費の計上(13億4百万円)等の資金収入がありましたものの、税金等調整前当期純損失(19億69百万円)、仕入債務の減少(10億77百万円)等の資金支出により1億4百万円の支出(前連結会計年度は10億28百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形固定資産の取得による支出(8億円)、貸付による支出(1億96百万円)等の資金支出がありましたものの、貸付金の回収による収入(1億26百万円)等の資金収入により6億62百万円の支出(前連結会計年度は2億50百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、株式の発行による収入(25億66百万円)、長期借入れによる収入(10億43百万円)等の資金収入がありましたものの、長期借入金の返済による支出(19億92百万円)、短期借入金の減少(16億51百万円)等の資金支出により6億3百万円の支出(前連結会計年度は1億79百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
| 区分 | 製品製造原価(千円) | 前年同期比(%) |
| 石膏ボード | 12,657,685 | 95.3 |
| その他 | 1,774,142 | 83.2 |
| 合計 | 14,431,827 | 93.6 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
| 区分 | 売上高(千円) | 前年同期比(%) |
| 石膏ボード | 22,039,073 | 97.4 |
| その他 | 6,852,480 | 91.2 |
| 合計 | 28,891,553 | 95.8 |
(注) 1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 売上高(千円) | 割合(%) | 売上高(千円) | 割合(%) | |
| SMB建材株式会社 | 4,332,892 | 14.4 | 3,751,461 | 13.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
年度末にかけて新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の停滞に伴い、一部特定業界において、急激に需要が落ち込む等の影響が出始めております。住宅・建設業界に及ぼす影響に関しても極めて不透明で見通し難い状況にあり、報道で伝えられている通り、ワクチン開発による根本的な対応策が確立するまでは、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束の動向を見極めながら、安全配慮を意識した事業活動を慎重に進めざるを得ず、少なくとも2020年度内いっぱいは事業活動に及ぼす影響が続くものと予想しております。
具体的には、施行現場の職人不足が続く中、感染拡大予防の観点から、更に職人のやり繰りが厳しくなることで工期が長引き、当社グループの主力商材である石こうボードの納入時期が遅れることが想定されます。また、雇用面の不安定に起因し、住宅建設を予定していた方が建設を見合わせることで、昨年秋の消費税増税に加えて住宅市場の頭打ち状態を長引かせ、本来予定されていた需要が繰り越されていくこともあり得ます。
こうした不安定な事業環境にあっても、安定した収益を計上できるよう、当社グループの課題をしっかり認識しソリューション活動を推進してまいります。
①重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項」の「追加情報」に記載しております。
② 財政状態の分析
当社グループは、2015年3月に当社が第三者割当増資を実施の際、流動比率や固定長期適合率等の財務指標の改善ならびに有利子負債の圧縮など財務体質の改善という課題を明確にして、取り組んでまいりました。
また、2020年1月に、当社はクナウフ・グループとのより一層強固な提携関係を構築することを目的に、筆頭株主であるKnauf International GmbHを引受先とする第三者割当増資を実施しました。
この2020年1月の増資に至る背景として、建設業界では職人不足による建築コストの高止まりが続く中、建築資材を納入するメーカーの販売価格引き上げをご了解頂くことが難しかったという事情があります。販売単価の是正ができない状況下にあって、原材料等の仕入れ価格や物流コストの上昇に迫られ採算が急激に悪化したことを主因に、2018年3月期決算で連結・単体ともに営業損失を計上し、2019年度に入っても会社の置かれた状況に改善の兆しが見られませんでした。住宅市場の規模が縮小して行くことが見込まれ、トップラインを伸ばしていくことがなかなか容易でない中、経費抑制の取り組みは急務であり、一層の業務改善を強力に進めて行くには、省力化投資や生産設備の更新を通じた生産性向上やIT技術活用による業務の大幅な効率化に従来にも増して取り組まねばならず、それを進めるには相応の資金力が必要であると判断したことが増資の一因です。
但し増資により調達した資金使途について、当社と提携先のクナウフ・グループとの間で、具体的な研究開発や生産設備更新、および業務改善に向けたIT投資を策定し執行するまでは、全額借入金の返済に充当し、財務基盤の強化を図ることが今後の資金調達を進める上において最も有効であると判断しました。すなわち、増資資金を戦略的な投資に備え財務基盤の改善の実現に資することで、今後策定する投資計画に合わせて機動的に資金調達が可能となるよう財務基盤の構築を進めました。この結果、これまで取り組んできた財務指標の安全性分析で活用される流動比率(標準値として100%超が望ましい)、固定長期適合率(標準値として100%未満が望ましい)が目標とする標準値を2020年3月期末において達成することができました。
[流動比率・固定長期適合率]
2014年3月期末の貸借対照表(連結)で流動比率が68.3%、固定長期適合率が127.0%と調達資金のアンバランスが生じており、これは市場金利連動型の短期資金を低利で借入可能なことを背景に、本来長期性資金で調達すべきところを金利の低い短期借入で賄ってきたことが要因の一つでした。
2015年3月の第三者割当増資により調達した資金約10億円を短期借入返済に充当した後も、資金需要の要因や投資計画のキャッシュー・フローを検討しながら調達資金の長短アンバランスの是正に取り組んできました。その結果、2019年3月期末の貸借対照表(連結)で、流動比率が88.9%、固定長期適合率が106.1%まで徐々にではありますが改善してきたところであります。
そして2020年1月の増資資金約25億円を全額短期借入の返済に充当した結果、2020年3月期末の貸借対照表(連結)で、112.2%、固定長期適合率95.2%と目標としてきた標準値を達成するところまで改善を果たすことができました。
今後予定する設備投資は、個別の投資効果を慎重に検討の上、その効果の発現期間を考慮して長期性資金で調達をすることが適当と考えており、今後とも長短の資金調達アンバランスを生じさせないよう留意してまいります。
[有利子負債]
有利子負債の総額は、2014年3月期末(連結)において147億円であり、この圧縮に向けた取り組みも課題に挙げていました。必要な設備投資を適切に執行しつつ、事業収入によるキャッシュ・フローを高めながら、有利子負債の抑制に向けたコントロールに努めてきた結果、2019年3月期末(連結)の有利子負債の総額は130億円となりました。
そして2020年3月期末(連結)では、増資資金の借入返済実行により、98億円となり、この6年間で約50億円の有利子負債を削減することができました。増資資金という資本コストの高い資金を活用しての有利子負債削減ではありますが、財務基盤の安定に資するものであり、ステークホルダー各位のご理解が頂けるものであると考えております。
③ 経営成績の分析
当連結会計年度の業績は、売上高は288億91百万円(前年同期比4.2%減)と前年に比べ大幅な減収となり、営業損失は4億29百万円(前年同期は営業損失3億円)、経常損失は1億39百万円(前年同期は営業損失84百万円)と前年比減益となりました。
この主な要因は、石こうボード事業で、2019年秋の消費税増税の影響により、2019年7月から年度末にかけて9ヶ月連続で新設住宅着工戸数が前年同月対比で落ち込んだ結果、販売数量が計画を下回り、予定した販売価格引き上げも計画通りに進展せず、原材料等の仕入れ価格や運送コストの経費増加を吸収できなかったことに因ります。
また、販売数量の減少に伴い、工場では出荷動向に合わせた在庫調整を実施せざるを得ず、特に生産規模の小さい室蘭工場と下関工場では採算確保が図り難いところに、新型コロナウイルス感染症拡大という極めて不透明な環境に直面し、18億67百万円の減損損失を特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は20億84百万円(前年同期は同当期純損失90百万円)と極めて不本意な結果となりました。
原材料等の仕入れ価格や物流コストが高騰していることを受け、コスト吸収を図るべく昨年6月に石こうボードの価格引き上げを発表し、顧客の理解を得られるよう交渉を重ねてまいりましたが、国内トップ企業である競合他社が価格引き上げに動かなかったことから顧客の理解が得られず、かえって競合他社の低価格攻勢を受けたことで、消費税率増税により落ち込み始めていた施工案件をシェア以上に逃してしまったこともあり得ると受け止めています。
次に、当社グループが経営指標として採用している、売上高に対するEBITDA比率(EBITDAマージン)ですが、2015年3月期から2017年3月期にかけて6%台半ばで推移していましたが、本業の儲けである営業損益が2018年3月期より減益傾向となり、2020年3月期には約3%まで低下しました。
その要因の一つとして、これまでも重要な課題に位置付けて改善に取り組んできた物流コストは、売上高に占める比率が約1/4と高く、収益回復を図る上でどうしても是正を図らなければなりません。2018年度においては、効率的な物流体制を構築するために、製品在庫を的確に把握することを目的とした社内システムを国内5工場に導入しました。2019年度は次のステップとして、営業が受注し納材する際に、配送するトラックが不足するため急遽庸車を活用することで高いコスト負担が発生する防止策に取り組みました。会社の対処すべき課題において記載しました通り、配送業務について当社自身がより関与度を高めて、効率的な配送体制を構築するよう各地の実状に応じ整備を進め、2020年度以降に改善効果を一定程度見込めるメドがつきました。メーカーとして製造した製品を受注し納材し終えるところまでの運用体制をあらためて見直すことにより、高止まりしている物流費を引き下げたいと考えています。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの入出金日は、連結会計年度末日が金融機関の休日である場合、おおむね入金日が休日前、支払日が休日後となることから、前期末会計年度が休日であった為、当連結会計年度の仕入債務が大きく減少していることが主因となり、営業活動によるキャッシュ・フローが約1億円のマイナスとなりました。
メーカーとしてメンテナンスも含め継続的な設備更新が発生する為、キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持することを前提に、投資活動によるキャッシュ・フローをその範囲内とすることに留意し、その両方を足し込んだフリーキャッシュ・フローをプラスにすることを経営課題に位置付けております。年度の減価償却費の推移に大きな変動はなく、その範囲内の設備投資を実施することで毎期計画を策定しており、当連結会計年度は主力石こうボード事業の販売活動が低調だったことが、営業活動によるキャッシュ・フローの低下を招き、フリーキャッシュ・フローがマイナスとなった要因であると認識しています。
但し、メーカーとして収益効果を生むことが確実な設備投資案件がある場合は、フリーキャッシュ・フローが一時的にマイナスとなっても借入金等で資金調達を行い、将来のキャッシュ獲得に向けた事業活動を推進することも必要と考えており、その場合は投資効果や効果が現れる時期の蓋然性を保守的に計画したうえで実施することが重要であると考えています。
当社は、2020年1月に増資により約25億円の資金を調達し、一旦は全額を借入金の返済に充当し財務基盤の強化を図りましたが、調達した資金を今後の戦略的投資に活用することを予定しており、収益力の確実な回復に繋げて営業活動によるキャッシュ・フローの水準を高め、一定水準の設備投資支出を維持しながら、5円配当を復元し安定して継続して行けるよう配当原資の確保に努めてまいります。
また、当社グループは、事業活動のための適切な資金調達及び適切な流動性の維持を安定的に確保することを基本方針としております。
資金調達につきましては、金融機関からの借入や社債の発行により調達しており、市場の環境や金利の動向等を総合的に勘案したうえで決定しております。