四半期報告書-第86期第2四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/11/09 13:48
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、次のとおりです。
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、部品や素材の供給不足や国際物流の混乱、中国のゼロコロナ政策を受けたロックダウン(都市封鎖)、ウクライナ情勢等の影響により成長の鈍化が継続しました。当社グループの事業領域においては、自動車関連では、第1四半期連結会計期間を中心とした完成車メーカーの生産調整の影響を受け、前年同期と比較して需要が減少しました。一方、FA・ロボット関連は、自動車や半導体等の製造に関わる設備投資需要が増加しました。エレクトロニクス関連も、当第2四半期連結会計期間に入り一部で需要の鈍化がみられましたが、前年同期との比較では情報通信機器や自動車用途の需要が増加しました。こうした需要動向に加え、原材料価格上昇(価格スライド制)や外国為替が円安となった影響もあり、売上収益は前年同期比24.6%増の568,707百万円となりました。
利益面では、資源価格高騰に伴う諸経費やエネルギーコスト増加の影響がありましたが、各種コスト削減施策を推進するとともに、自社の企業努力で吸収できる水準を超える部分については販売価格改定を実施しました。また円安による利益増加等もあり、調整後営業利益※は前年同期比9,875百万円増の25,145百万円となりました。営業利益は、調整後営業利益の増加により前年同期比6,415百万円増の21,196百万円となりました。税引前四半期利益は前年同期比23,134百万円増の38,416百万円、親会社株主に帰属する四半期利益は前年同期比18,013百万円増の29,289百万円となりました。
なお、株式会社BCJ-52(以下「公開買付者」といいます。)が2022年9月27日から実施しておりました当社の普
通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が2022年10
月25日をもって終了しました。本公開買付けに応募された株券等の総数が買付予定数の下限以上となりましたの
で、本公開買付けは成立しました。本公開買付けの結果の詳細につきましては、2022年10月26日付「株式会社BCJ-52による当社株式に対する公開買付けの結果並びに主要株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」をご参照ください。なお、今後予定されている一連の取引により、公開買付者は当社を完全子会社とすることを企図しております。これにより、当社株式は上場廃止となり、当社は日立グループから離脱する予定です。当社は、新パートナーの持つグローバルな知見やネットワークを生かした投資機会の探索や資金獲得、成長戦略の立案と実行を通じて、急速な市場環境の変化にさらにスピーディーかつ高いレベルで対応することにより競争力と収益力を回復させ、持続的な成長と企業価値の向上をめざしてまいります。
セグメントの業績は、次のとおりです。各セグメントの売上収益は、セグメント間の内部売上収益を含んでおります。当第2四半期連結累計期間において、当社グループが営む事業の内容について、重要な変更はありません。
① 特殊鋼製品
当セグメントの売上収益は、前年同期比17.4%増の149,603百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、工具鋼は、国内向けの需要が減少しましたが、原材料価格上昇(価格スライド制)等により、前年同期を上回りました。産機材は、主力の自動車関連製品の需要は減少しましたが、その他の産業機器向け材料の需要が前年同期並みとなったことや原材料価格上昇(価格スライド制)等により、前年同期並みとなりました。航空機・エネルギー関連材料は、主力の航空機関連材料で中小型旅客機向け需要が大きく回復したことに加え、エネルギー関連材料の需要も堅調に推移したこと等により、前年同期を上回りました。電子材は、当第2四半期連結会計期間に入り需要の鈍化がみられましたが、前年同期との比較では、有機ELパネル関連部材が増加したことや半導体パッケージ材料の需要が堅調となったこと等により、前年同期を上回りました。
ロールは、射出成形機用部品は前年同期並みとなりましたが、各種ロールや鉄骨構造部品が前年同期を上回ったことにより、全体としては前年同期を上回りました。
調整後営業利益は、航空機・エネルギー関連材料や電子材の需要が増加したことに加え、外国為替が円安になったことや各種コスト削減施策の効果等により、前年同期比7,421百万円増の14,685百万円となりました。また、営業利益は、前年同期比7,552百万円増の14,766百万円となりました。
② 素形材製品
当セグメントの売上収益は、前年同期比39.9%増の214,019百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、自動車鋳物のうち、耐熱鋳造部品は製品構成の変化や完成車メーカーの生産調整の影響により需要が減少し、前年同期を下回りました。鋳鉄製品は、第1四半期連結会計期間は完成車メーカーの生産調整の影響を受けましたが、当第2四半期連結会計期間に入り需要が回復したことに加え、北米市場においては商用車や建設機械・農業機械向け需要が増加し、原材料価格上昇(価格スライド制)や外国為替が円安になったこと等により、前年同期を上回りました。この結果、自動車鋳物全体としては前年同期を上回りました。
配管機器のうち、主力の継手類について、国内は価格改定前の駆け込み需要があった前年同期との比較では減少しましたが、米国は住宅着工戸数が高水準で推移したため増加し、全体としては前年同期を上回りました。半導体製造装置用機器は、設備投資需要が好調に推移し、前年同期を上回りました。この結果、配管全体としては前年同期を上回りました。
調整後営業利益は、原材料・副資材価格およびエネルギー・輸送コスト等が上昇したことや、耐熱鋳造部品の需要が減少したことが利益の押し下げ要因となりましたが、北米市場における商用車や建設機械・農業機械向け需要が増加したこと等により、全体としては、前年同期比3,890百万円改善し1,586百万円となりました。また、営業利益は前年同期比4,211百万円改善し1,169百万円となりました。
③ 磁性材料・パワーエレクトロニクス
当セグメントの売上収益は、前年同期比21.4%増の79,967百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、磁性材料のうち、希土類磁石は自動車用電装部品向けの需要が減少し、FA・ロボット等産業機器向けも低調となりました。また、フェライト磁石も自動車用電装部品向けの需要が減少しました。しかし、双方とも原材料価格上昇(価格スライド制)の影響があり、磁性材料全体では前年同期と比べて増加しました。
パワーエレクトロニクスのうち、軟磁性材料およびその応用品は、スマートフォンやタブレット端末、サーバー機器等の情報通信向けが好調となりました。また、変圧器用のアモルファス金属材料もアジア向けや米州向けが増加したことから、全体として前年同期を上回りました。セラミックス製品は、自動車向けが伸長したほか、サーバー機器向けや医療機器向けも高水準となったことにより、前年同期を上回りました。この結果、パワーエレクトロニクス全体として前年同期を上回りました。
調整後営業利益は、磁性材料は需要が減少しましたが、パワーエレクトロニクスの需要が増加したことや外国為替が円安となったこと等により、前年同期並みの6,653百万円(前年同期比23百万円減)となりました。また、営業利益は前年同期比133百万円減の6,878百万円となりました。
④ 電線材料
当セグメントの売上収益は、前年同期比14.1%増の125,233百万円となりました。
売上収益について事業別に見ますと、電線のうち、鉄道車両用電線は中国向け需要の回復等により、前年同期を上回りました。医療向けは、チューブ、ケーブルとも需要が増加し前年同期を上回りました。巻線は、自動車や産業機器向けの需要が減少しましたが、原材料価格上昇(価格スライド制)により前年同期を上回りました。機器用電線はFA・ロボット向けが伸長し前年同期を上回りました。この結果、電線全体としては前年同期を上回りました。
自動車部品は、第1四半期連結会計期間は完成車メーカーの生産調整を受けましたが、当第2四半期連結会計期間に入り需要が回復傾向となったこと等により前年同期を上回りました。
調整後営業損益は、原材料・副資材価格およびエネルギー・輸送コスト等が想定を上回る速度、規模で上昇したことに加え、北米からメキシコに生産移管をした自動車部品について、移管後の一時的な生産性低迷の影響等により、前年同期比2,943百万円減の356百万円の損失となりました。また、営業損益は、前年同期比2,612百万円減の1,395百万円の損失となりました。
⑤ その他
当セグメントの売上収益は、前年同期比35.7%減の682百万円となり、調整後営業利益は前年同期比49百万円増の148百万円となりました。また、営業利益は、前年同期比5,442百万円減の184百万円となりました。
※当社グループは、事業再編等の影響を排除した経営の実態を表示するため、要約四半期連結損益計算書に表示している営業利益からその他の収益、その他の費用を除いた指標である調整後営業利益を記載しています。調整後営業利益は、当社の親会社である日立製作所を中心とする日立グループ統一の利益指標です。
財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態として、要約四半期連結財政状態計算書における増減を分析すると、以下のとおりであります。
資産合計は1,158,247百万円で、前連結会計年度末に比べ88,552百万円増加しました。流動資産は631,954百万円で、前連結会計年度末に比べ61,499百万円増加しました。これは主に売上債権が35,556百万円、棚卸資産が35,255百万円増加したこと等によるものです。非流動資産は526,293百万円で、前連結会計年度末に比べ27,053百万円増加しました。これは主にのれん及び無形資産が18,313百万円、有形固定資産が6,071百万円増加したこと等によるものです。
負債合計は563,841百万円で、前連結会計年度末に比べ25,264百万円増加しました。これは主に、償還期長期債務及び長期債務が5,000百万円減少した一方、買入債務が14,852百万円増加したこと等によるものです。資本合計は594,406百万円で、前連結会計年度末に比べ63,288百万円増加しました。これは主に利益剰余金が29,338百万円、為替円安により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等により、その他の包括利益累計額が33,794百万円増加したこと等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、投資活動及び財務活動に使用した資金が営業活動の結果得られた資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ13,783百万円減少し、110,862百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、16,915百万円となりました。これは主に四半期利益が29,312百万円、減価償却費及び無形資産償却費が24,224百万円に対して、運転資金の増加により40,496百万円を支出したこと等によるものです。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、15,811百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得により17,247百万円を支出したこと等によるものです。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、22,526百万円となりました。これは主に短期借入金が14,358百万円純減したこと及び長期借入債務の償還により8,106百万円を支出したこと等によるものです。
(3)会社の経営の基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの会社の経営の基本方針について重要な変更はありません。
(4)対処すべき課題
株式会社BCJ-52(以下「公開買付者」といいます。)が2022年9月27日から実施しておりました当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が2022年10月25日をもって終了しました。本公開買付けに応募された株券等の総数が買付予定数の下限以上となりましたので、本公開買付けは成立しました。今後予定されている一連の取引により、公開買付者は当社を完全子会社とすることを企図しております。これにより、当社株式は上場廃止となり、当社は日立グループから離脱する予定です。当社は、新パートナーの持つグローバルな知見やネットワークを生かした投資機会の探索や資金獲得、成長戦略の立案と実行を通じて、急速な市場環境の変化にさらにスピーディーかつ高いレベルで対応することにより競争力と収益力を回復させ、持続的な成長と企業価値の向上をめざしてまいります。
当第2四半期連結累計期間において、その他の当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)目標とする経営指標
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの目標とする経営指標について重要な変更はありません。
(6)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当社は、「真の開発型企業」をめざし、研究開発の強化に取り組んでいます。次世代の特殊鋼製品、素形材製品、磁性材料・パワーエレクトロニクス、電線材料の研究開発はもちろん、持続的成長と社会貢献に資する先端材料研究開発テーマに継続的に投資しており、特に環境社会に貢献する新事業および新製品創成の強化を図っています。
当社の研究開発体制はコーポレート直下の研究所であるグローバル技術革新センター(GRIT)と事業本部下の研究所である冶金研究所(MD研)、機能部材研究所(CD研)で構成されています。
GRITでは新事業の創生を目指した新材料開発及び、AIやマテリアルズインフォマティクスなど、デジタル技術を活用した革新的プロセス技術の開発を進めております。その実現のため、国内外の研究機関・大学・企業とのオープンイノベーションを加速しています。
MD研及びCD研はディビジョンラボとして事業を支える基礎技術開発から現製品の改良及び継続的な新製品開発を中心に推進し、基盤事業の強化を推進しています。
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は6,030百万円であります。各事業セグメント別の主要な研究課題は次のとおりであります。
① 特殊鋼製品
金型・工具、電子材料、産業機器材料、航空機・エネルギー関連材料等の分野に向けた高級特殊鋼、各種圧延用ロール等の開発と、金属3D積層造形に関する素材、製法並びに関連技術の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,767百万円であります。
② 素形材製品
高級ダクタイル鋳鉄製品、輸送機向け鋳鉄製品、排気系耐熱鋳鋼部品、アルミニウム部品及び管継手・バルブその他の設備配管機器の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,269百万円であります。
③ 磁性材料・パワーエレクトロニクス
高性能磁石、情報端末用高周波部品部材、アモルファス金属材料・ナノ結晶軟磁性材料、その他各種磁石及びセラミックス製品並びにそれらの応用製品等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は834百万円であります。
④ 電線材料
産業用・車輌/自動車用・機器用、医療用等の各種電線及び巻線に関連する材料、製造プロセス技術及び接続技術、並びに自動車用電装部品・ホース、工業用ゴム等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は2,160百万円であります。