有価証券報告書-第86期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 13:46
【資料】
PDFをみる
【項目】
111項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
特殊鋼製品308,2207.7
素形材製品419,32827.5
磁性材料・パワーエレクトロニクス154,963△0.4
電線材料260,3437.5
報告セグメント計1,142,85412.9
その他--
合計1,142,85412.9

b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
特殊鋼製品272,078△1.5
素形材製品407,77425.8
磁性材料・パワーエレクトロニクス146,4732.9
電線材料257,4698.6
報告セグメント計1,083,79410.6
その他618△64.4
合計1,084,41210.5

c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
特殊鋼製品287,97410.0
素形材製品415,99032.5
磁性材料・パワーエレクトロニクス157,42515.6
電線材料257,67711.9
報告セグメント計1,119,06618.8
その他1,402△35.4
調整額△1,558△2.0
合計1,118,91018.7

(注)上記の調整額にはセグメント間の内部売上収益が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる事項としては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの業績は、次のとおりです。
売上収益は、需要(重量等)は特殊鋼、希土類磁石・フェライト磁石等で減少したものの、自動車鋳物やパワーエレクトロニクスが増加しました。原材料価格上昇(価格スライド制)や円安が増収要因となり、全セグメントで売上収益は増加しました。その結果、前年度比18.7%増の1,118,910百万円となりました。
利益面では、原材料価格・エネルギーコストの高騰に加え、物流費の増加がありましたが、各種コスト削減施策の推進、販売価格の改定、円安による利益増加等があり、調整後営業利益は前年度比22,272百万円増の49,081百万円となりました。セグメント別の調整後営業利益は、特殊鋼製品、素形材製品が増加しました。磁性材料・パワーエレクトロニクス製品はほぼ横ばいとなりました。電線材料セグメントでは、自動車部品の生産性低迷等により減少しました。
※当社グループは、事業再編等の影響を排除した経営の実態を表示するため、連結損益計算書に表示している営業利益又は営業損失からその他の収益、その他の費用を除いた指標である調整後営業利益を記載しています。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 財政状態等の概要
a. 資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末における当社グループの財政状態として、連結財政状態計算書における増減を分析すると、以下のとおりであります。
資産合計は1,064,575百万円で、前連結会計年度末に比べ5,120百万円減少しました。流動資産は558,298百万円で、前連結会計年度末に比べ12,157百万円減少しました。これは主に売上債権が19,006百万円、棚卸資産が17,514百万円増加した一方、現金及び現金同等物が48,449百万円減少したこと等によるものです。非流動資産は506,277百万円で、前連結会計年度末に比べ7,037百万円増加しました。これは主にのれん及び無形資産が6,989百万円増加したこと等によるものです。
負債合計は868,301百万円で、前連結会計年度末に比べ329,724百万円増加しました。これは主に短期借入金が57,002百万円減少した一方、償還期長期債務及び長期債務が244,279百万円、その他の金融負債が139,228百万円増加したこと等によるものです。資本合計は196,274百万円で、前連結会計年度末に比べ334,844百万円減少しました。これは主に利益剰余金が23,357百万円、為替円安により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等により、その他の包括利益累計額が24,035百万円増加した一方、自己株式が380,873百万円減少したこと等によるものです。
b. キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、投資活動及び財務活動に使用した資金が営業活動の結果得られた資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ48,449百万円減少し、76,196百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、43,969百万円となりました。これは主に当期利益が23,180百万円、減価償却費及び無形資産償却費が47,667百万円に対して、運転資金の増加により42,736百万円を支出したこと等によるものです。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、30,559百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得により30,734百万円を支出したこと等によるものです。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、66,010百万円となりました。これは主に自己株式の取得により382,078百万円を支出した一方、長期借入債務による調達が286,112百万円あったこと等によるものです。
c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
現在の主要な取り組みは以下のとおりです。
ⅰ)資本効率の向上
当社グループは、需要変動に強い収益構造を構築するために、コスト削減により損益分岐点の引き下げを行い、利益拡大と投下資本の圧縮によって早期に資本効率の向上を図ってまいります。
利益拡大については、材料価格高騰に対する販売価格の引き上げに加え、引き続き、高付加価値製品、成長事業の拡大、IoTを利活用したモノづくり改革による品質改善や原価低減を実施します。加えて、ITを活用した間接業務改革等による固定費削減等も推進しています。また、低収益・ノンコア事業の縮小・撤退・切り離し等により、事業ポートフォリオを継続的に見直しております。
投下資本の圧縮については、CCC(Cash Conversion Cycle:運転資金手持日数)の短縮に向け、IoTを利活用した最適生産計画の策定や当社グループ内優秀事例の共有を進めています。棚卸資産については、当社では製造拠点と調達部門には材料在庫を、製造拠点と事業本部には仕掛品・製品等の生産棚卸資産を、国内外販社と事業本部には流通在庫を、各々の責任区分として在庫管理体制をとっております。
なお、当社は、資本再編により、2023年1月5日付で、株式会社日立製作所が所有する自己株式全てを382,042百万円で取得しました。自己株式取得の実行資金を確保するため以下を実施いたしました。
(ア)A種優先株式を発行し第三者割当の方法により株式会社BCJ-52に全て割り当てることで139,731百万円の増資を行いました。
(イ)自己株式取得に必要となる分配可能額を確保するため、第三者割当増資後の資本金96,149百万円を310百万円に減少させました。第三者割当増資後の資本準備金の額106,565百万円を78百万円に減少させました。利益準備金は6,571百万円を0円に減少させました。
(ウ)自己株式取得の実行資金の一部を調達するため、株式会社BCJ-52を総額引受会社とする286,112百万円の社債を発行しました。なお、当該社債は、2023年3月6日に株式会社BCJ-52からの借入により償還致しました。
引き続き各事業が使用する運転資金や固定資産等の投下資本に対する資本効率の向上に取り組み、グループ全体の資本効率向上につなげています。
ⅱ)キャッシュ・フローの改善
キャッシュ・フローについては、利益の拡大、運転資本効率の改善、重点領域に対する厳選投資等により、フリー・キャッシュ・フローの確保に取り組んでおります。
ⅲ)投資判断プロセスの明確化
設備投資は、事前の検討段階からコーポレート部門が参画し、意思決定の前段階での審査プロセスおよび審査部門長の責任を明確化しており、また、従来事業部門に意思決定を委任していた小規模投資についても、意思決定プロセスを見直し管理を強化しております。
投資には、設備の更新や合理化、生産能力の増強や拠点の新設、安全投資などに加え、M&Aなどが含まれますが、通常の投資と戦略投資は、投資判断や投資回収など、定義・区分を分けて実行しています。
戦略投資の計画立案にあたっては、キャッシュ・フローを重視し、ディスカウント・キャッシュ・フロー・メソッドに基づく現在価値評価(正味現在価値(NPV))やROIC・投資回収期間を用いて投資判断の意思決定を行っています。
ⅳ)バランスシートマネジメント
財務体質の改善と資本効率の向上に向け、バランスシートのスリム化を推進しています。債権流動化やファクタリングの拡大、製造リードタイム改善などCCCの短縮による運転資本の圧縮、キャッシュ・プーリング・システム(CPS)の活用による当社グループ内での余剰資金と借入金の一元化、選択と集中による構造改革を推進していきます。