有価証券報告書-第140期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/20 13:44
【資料】
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【項目】
58項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。なお、以下の経営成績等は、IFRSに準拠した連結財務諸表に基づいて記載しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の経済情勢を概観しますと、世界経済は、中国の経済成長の鈍化や地政学的リスクによる先行き不透明感はあるものの、欧米の個人消費、輸出の拡大を背景に、総じて堅調に推移しました。また、日本経済は、輸出の増加、個人消費や設備投資など国内需要の持ち直しにより、好循環に進展しました。このような情勢のなかで、当社グループは、品質第一に徹してお客様の信頼におこたえしますとともに、各市場の動きに的確に対応して、販売の拡大に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度を3,288億円(20%)上回る2兆39億円となりました。
利益につきましては、原材料の値上がりや人件費の増加などがありましたものの、営業面の努力、グループあげての原価改善活動の推進、為替変動および退職給付制度変更の影響により、営業利益は前連結会計年度を201億円(16%)上回る1,474億円、税引前利益は前連結会計年度を279億円(15%)上回る2,098億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、前連結会計年度を368億円(28%)上回る1,681億円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(自動車)
自動車におきましては、市場は、欧州・中国を中心に堅調に推移し、世界全体では拡大しました。こうしたなかで、当セグメントの売上高は前連結会計年度を324億円(6%)上回る5,950億円となりました。営業利益は前連結会計年度を47億円(19%)上回る296億円となりました。
このうち車両につきましては、ヴィッツが減少したことにより、売上高は前連結会計年度を10億円(1%)下回る721億円となりました。
エンジンにつきましては、AR型ガソリンエンジンやGD型ディーゼルエンジンが増加したことにより、売上高は前連結会計年度を87億円(10%)上回る987億円となりました。
カーエアコン用コンプレッサーにつきましては、国内・北米・中国などで増加したことにより、売上高は前連結会計年度を167億円(5%)上回る3,514億円となりました。
電子機器・鋳造品ほかにつきましては、電子機器、鋳造品ともに増加したことにより、売上高は前連結会計年度を80億円(12%)上回る727億円となりました。
(産業車両)
産業車両におきましては、市場は、中国を含む新興国や欧米が牽引し、世界全体で拡大しました。そのなかで当社は、各市場の状況に応じて、生産・販売活動を強化するとともに、新製品を投入してまいりました。昨年12月には、新型リーチタイプ電動フォークリフト「Rinova(リノバ)」を日本で発売しました。こうした取り組みの結果、主力のフォークリフトトラックの販売台数が各地域で増加したことに加え、昨年4月に米国のバスティアン ソリューションズ有限責任会社を、さらに5月にはオランダのファンダランデ インダストリーズ株式会社を子会社化したことにより、売上高は前連結会計年度を2,949億円(30%)上回る1兆2,830億円となりました。営業利益は前連結会計年度を155億円(17%)上回る1,049億円となりました。
(繊維機械)
繊維機械におきましては、市場は主力の中国・アジア新興国を中心に、低調に推移しました。そのなかで、繊維品質検査機器が増加したものの、織機、紡機が減少したことにより、売上高は前連結会計年度を7億円(1%)下回る655億円となりました。営業利益は前連結会計年度を7億円(10%)下回る61億円となりました。
資産につきましては、主に投資有価証券の評価額が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ7,003億円増加し、5兆2,585億円となりました。負債につきましては、主に社債及び借入金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ3,829億円増加し、2兆6,246億円となりました。資本につきましては、前連結会計年度末に比べ3,174億円増加し、2兆6,338億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益を2,098億円計上したことなどにより、2,685億円の資金の増加となりました。その結果、前連結会計年度の2,390億円の増加に比べ、295億円の増加となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得により2,001億円を支出したことで、3,403億円の資金が減少し、前連結会計年度の869億円の減少に比べ、2,534億円の支出の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が2,945億円あったことなどにより、1,533億円の資金の増加となりました。その結果、前連結会計年度の7億円の増加に比べ、1,526億円の増加となりました。これらの増減に加え、換算差額、期首残高を合わせますと、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,238億円となり、前連結会計年度末に比べ802億円(33%)の増加となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
自動車596,8265.9
産業車両1,293,26431.1
繊維機械65,949△0.1
その他60,5264.3
合計2,016,56720.4

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
ⅱ) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
産業車両1,580,75359.2458,195185.5
繊維機械75,84716.028,69256.2
その他60,0851.92,408△10.7
合計1,716,68553.6489,296169.5

(注) 「自動車」につきましては、トヨタ自動車株式会社および株式会社デンソーから生産計画の提示を受け、
生産能力を勘案し、見込生産を行っているため、記載を省略しております。
ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
自動車595,0195.7
産業車両1,283,06329.8
繊維機械65,517△1.2
その他60,3724.0
合計2,003,97319.6

(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
トヨタ自動車㈱194,44011.6187,2399.3


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループにおける重要な会計方針および見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 2.作成の基礎 (4) 見積りおよび判断の利用」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 3.重要な会計方針」を参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度を3,288億円(20%)上回る2兆39億円となりました。利益につきましては、営業利益は前連結会計年度を201億円(16%)上回る1,474億円、税引前利益は前連結会計年度を279億円(15%)上回る2,098億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、前連結会計年度を368億円(28%)上回る1,681億円となりました。
(売上高)
売上高の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度を201億円(16%)上回る1,474億円となりました。これは、原材料の値上がりや人件費の増加などがありましたものの、営業面の努力、グループあげての原価改善活動の推進、為替変動および退職給付制度変更の影響によります。
(税引前利益)
税引前利益は、前連結会計年度を279億円(15%)上回る2,098億円となりました。これは、主に受取配当金が前連結会計年度を35億円(6%)上回る653億円となったことによります。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を368億円(28%)上回る1,681億円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の420円78銭に対し、541円67銭となりました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、次のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社商品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要であります。
(財務政策)
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財政状態の維持を財務方針としております。
当社グループの財務状況は引き続き健全性を保っており、現金及び現金同等物、有価証券などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入れによる調達などを通じて、現行事業の拡大と新規事業の開拓に必要な資金を十分に提供できるものと考えております。
当社グループの資金マネジメントについては、日本国内におきましては、当社が国内子会社を対象に資金集中管理を実施しており、北米におきましては、トヨタ インダストリーズ ノース アメリカ株式会社(以下、「TINA」という。)が北米の子会社の資金集中管理を実施しております。また、欧州におきましては、トヨタ インダストリーズ ファイナンス インターナショナル株式会社(以下、「TIFI」という。)が、欧州の子会社の資金集中管理を実施しております。
当社とTINA、TIFIが緊密な連携をとることにより、資金効率の向上をはかっております。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表の経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりであります。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(有償支給取引)
有償支給取引について、日本基準では有償支給元への売り戻し時に売上高と売上原価を計上しておりましたが、IFRSでは加工代相当額のみを純額で収益として認識しております。この結果、売上高が570,974百万円減少し、売上原価が570,974百万円減少しております。
(のれん)
日本基準では、のれんは原則として20年以内の期間で均等償却しておりましたが、IFRSでは移行日以後償却を行わず、毎年減損テストを実施しております。この結果、販売費及び一般管理費が10,290百万円減少しております。