有価証券報告書-第94期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況
当期における世界経済は、米中貿易摩擦問題の長期化や米国とイランの対立激化による中東情勢の緊迫などの地政学的リスク等、不確実性の高まりから景気の減速傾向が強まりました。更には、中国武漢市を発生源とする新型コロナウイルスは、世界中で急速に感染が拡大し、特に米国や欧州においては強力な外出禁止令のもと、人々の移動が制限されるなど、経済活動を停止せざるを得ない状況となっております。
わが国経済におきましても、米中貿易摩擦問題の影響から製造業を中心に悪化傾向が続きました。また、1月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、個人消費の鈍化やサプライチェーンの寸断により、製造・非製造業ともに企業の景況感は急速に悪化しており、更なる景気減速への懸念が強まっています。
当社グループにおきましては、中期経営計画のもと、家庭用機器事業では高付加価値製品の販売に一層注力し、産業機器事業においては新規顧客開拓による更なる販路拡大を目指すなど、各種施策を講じてまいりましたが、当社グループを取り巻く厳しい経営環境にあって情勢を好転させるまでには及びませんでした。
この結果、当社グループの当期の売上高は35,521百万円(前期比2,631百万円減)となったものの、利益率の改善、製造コストの低減、販売管理費の削減により、営業利益は1,158百万円(前期比7百万円増)となりました。経常利益は1,049百万円(前期比309百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は424百万円(前期比456百万円減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・家庭用機器事業
家庭用機器事業におきましては、当期新規投入した海外向けコンピュータミシン「Continental M7 Professional」が世界で有数のデザイン賞を受賞し、国際的に高い評価を得ており、特に北米市場ではこれら高付加価値製品の拡販に努めたことで、販売台数は減少したものの、売上高は前期と比べ増加するなど、緩やかな回復傾向が続きました。対して、欧州市場は低価格帯ミシンが伸びず販売台数が減少するなど、依然として苦戦が続き、新興国市場においても現地通貨安の影響から低調な動きとなりました。ロシア市場は第4四半期において復調を見せたものの、販売台数は前期に比べ減少しております。これは好調だった前期の反動によるもので、ロシア市場全体が不調とは見ておりません。他地域の販売不振をカバーするまでには至りませんでしたが、地域別販売台数は25%以上を占めております。国内市場においては、販売台数は前期に比べ3千台減少し、約16万台となりましたが、依然として国内トップシェアは維持しております。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、特に海外販売子会社においては顕著であり、企業活動を一部制限せざるを得ない状況となるなど、厳しい環境となりました。
一方で、感染対策による外出制限下、家での過ごし方が注目され、また手作りマスクに関心が集まるなど、新たなミシン需要への契機ともなっております。
その結果、海外・国内ミシンの販売台数は133万台(前期比12万台減)、家庭用機器事業全体の売上高は26,856百万円(前期比1,364百万円減)となったものの、特に北米市場で好調だった高付加価値製品の売上が寄与し、営業利益は1,209百万円(前期比476百万円増)となりました。
・産業機器事業
産業機器事業におきましては、メキシコにおける新たな営業拠点の開設など、有望市場での販売拡大に向けた施策を着実に実行してまいりました。また、卓上ロボット・サーボプレスともに顧客ニーズに対応した新製品を投入し、積極的な販売活動を展開いたしました。さらには自動化を進めたい中小企業からの要望に応え、ねじ締めロボット自動化設備一式を提供し、すぐに稼働できる新たな導入サポートサービスも開始いたしました。
しかしながら長期化する米中貿易摩擦問題の影響から中国市場の停滞が続く中、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、経済の先行き不透明感が増し、国内外で設備投資を手控える動きが強まりました。また、主要取引先である自動車関連企業の生産停止による影響から、ロボットの販売台数は前期に比べ876台減少し、2,910台となり、サーボプレスは前期に比べ495台減少し、1,264台となりました。また、ダイカスト鋳造関連事業におきましても、産業機器メーカー等、取引先の生産が戻っておらず、ロボット部品などの受注が伸び悩み苦戦が続きました。
以上の結果、産業機器事業全体の売上高は5,789百万円(前期比1,127百万円減)、営業損失は335百万円(前期は203百万円の営業利益)となりました。
・IT関連事業
ITソフトウェア開発や情報処理サービス、システム運用管理の受託等を行うIT関連事業においては、新規顧客の獲得、品質管理の徹底、採用の強化や人材育成などを実施し、積極的な営業を展開するとともに、経営基盤の更なる安定強化を図りました。主力のソフト開発事業は大型案件が保守体制に移行したことなどから、売上高は2,180百万円(前期比111百万円減)となりました。しかしながらプロジェクト管理強化、生産性向上、採算性の改善、プレミアム付き商品券の特需などが寄与して、営業利益は247百万円(前期比36百万円増)と過去最高水準を計上いたしました。
② 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年3月期から2022年3月期を対象とした中期経営計画「JANOME 2021 Navigation for the Future」において、「企業価値の向上」を経営方針の一つに揚げ、営業利益率8%、自己資本純利益率(ROE)8%、総資産経常利益率(ROA)7%を中期目標としております。
中期経営計画の初年度である2020年3月期は、家庭用機器事業において、北米を中心に新製品の販売が好調に推移するなど、高付加価値製品に主軸を置いた販売活動に一定の成果が出たものの、欧州やロシアを含めた新興国では苦戦が続きました。国内においてはシェアNo.1を堅持したものの、販売台数の減少傾向を食い止められずにいます。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要が国内外においてミシン販売の契機となりました。産業機器事業においては、米中貿易摩擦問題から続く設備投資を手控える動きが新型コロナウイルスの影響により、さらに加速し、市場環境は悪化しております。このような中、有望市場であるメキシコに営業拠点を新設するなど、各種施策を実行したものの、ロボット・サーボプレスにダイカスト関連事業を含めて大幅な受注の減少が続き、営業損失を計上いたしました。
この結果、2020年3月期の実績は、営業利益率3.3%、自己資本純利益率(ROE)1.7%、総資産経常利益率(ROA)2.1%となり、目標値から大きく乖離いたしました。当社グループといたしましては、今後も中期経営計画の達成に向けて積極的に取り組んでまいりますが、新型コロナウイルスの感染拡大など、同計画を策定した際には予見できなかった新たな事象も発生しており、これらを踏まえ目標数値等の見直しを行うことも必要であると考えております。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を合理的に見積もることが困難な現状において、2021年3月期の業績予想も未定としており、中計経営計画の見直しについてはこれらの影響を精査する必要もあると考えております。今後、計画の見直し等が決まりましたら改めて公表いたします。
③ 財政状態
当社グループにおける財政状態の概況は次の通りであります。
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、49,360百万円(前期比1,297百万円減)となりました。
資産の部では、流動資産が商品及び製品の減少等により、22,078百万円(前期比610百万円減)となりました。固定資産は有形及び無形固定資産の減価償却等により27,281百万円(前期比686百万円減)となりました。
負債の部では、支払手形及び買掛金の減少等により、23,979百万円(前期比804百万円減)となりました。
純資産の部(非支配株主持分を含む)は、為替換算調整勘定の減少等により、25,381百万円(前期比492百万円減)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から395百万円増加し、6,487百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、たな卸資産の減少等により1,512百万円の資金の増加となりました。(前期は2,073百万円の資金の増加)
投資活動によるキャッシュ・フローは、製造子会社の機械設備や新機種に係る金型等の有形固定資産取得による支出709百万円、ソフトウェア等の無形固定資産取得による支出173百万円などにより、677百万円の資金の減少となりました。(前期は1,108百万円の資金の減少)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により298百万円の資金の減少となりました。(前期は943百万円の資金の減少)
⑤ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は製造価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注状況
当社グループの生産は、主として見込み生産によっているため、記載を省略しております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産および負債または損益の状況に影響を与えるような会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(a)繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産に関しては将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しておりますが、将来の業績変動により課税所得が減少し繰越欠損金が計画通り解消できなかった場合、繰延税金資産の取崩しが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社グループは、多数の店舗や賃貸物件を有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しております。従って、地価が大幅に下落した場合や店舗等のキャッシュ・フローが著しく悪化した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
⑦ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、安定した財務基盤を確保した上で、有利子負債を効果的に活用し、資本構成のバランスを図ることで、財務の健全性と資本効率の向上の両立を図ることを財務戦略としています。自己資本比率50%を目標とし、資本の健全性を維持するとともに、銀行借入を有効に利用することで資本コストの低減を進め、ROEの向上を目指します。
主な資金需要には、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用と売掛債権の回収までを繋ぐ運転資金や、生産能力・機能の維持・拡大を目的とする設備投資があります。また、新製品や新技術開発のための研究開発費も挙げられます。事業活動により得られた資金は、これらの運転資金の圧縮や生産性向上をもたらす設備投資、更には主力事業である家庭用機器事業と産業機器事業を市場競争力強化に導く研究開発に再投入いたします。
適正な手元現預金の水準につきましては、概ね月商の1.5ヶ月相当としております。これは、可能な限り資金活用の効率化を図ったものですが、当社は主力金融機関によるシンジケーション方式のコミットメントライン(総額120億円)を設定しており、緊急の資金需要が発生した場合も機動的な資金調達が可能なことから、流動性の確保については対処されております。現在、新規の資金調達は、短期資金の銀行融資のみとしておりますが、今後、これとは別に、大型の事業案件などのまとまった資金需要が発生した場合には、株式発行による調達や社債発行などの直接金融による市場からの長期資金調達も含め、資本構成や資本コストへの影響を踏まえて検討してまいります。
株主還元につきましては、2017年3月期決算期の再開以降実施しております配当を、安定的に継続していく方針です。配当性向は、経常的かつ安定的な業績拡大を前提としたうえで、連結ベースの当期純利益の30%、個別の同40%を目標としております。なお、本質的な株主還元は、総資本を効率的かつ有効に活用することで事業の成長を図り、企業価値の向上、時価総額の増大を目指すことであると考えております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況
| (百万円) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 率(%) |
| 売上高 | 38,153 | 35,521 | △2,631 | △6.9 |
| 営業利益 | 1,150 | 1,158 | 7 | 0.7 |
| 経常利益 | 1,359 | 1,049 | △309 | △22.8 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 880 | 424 | △456 | △51.8 |
| 為替レート(対USD) | 110.90円 | 108.74円 | △2.16円 |
当期における世界経済は、米中貿易摩擦問題の長期化や米国とイランの対立激化による中東情勢の緊迫などの地政学的リスク等、不確実性の高まりから景気の減速傾向が強まりました。更には、中国武漢市を発生源とする新型コロナウイルスは、世界中で急速に感染が拡大し、特に米国や欧州においては強力な外出禁止令のもと、人々の移動が制限されるなど、経済活動を停止せざるを得ない状況となっております。
わが国経済におきましても、米中貿易摩擦問題の影響から製造業を中心に悪化傾向が続きました。また、1月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、個人消費の鈍化やサプライチェーンの寸断により、製造・非製造業ともに企業の景況感は急速に悪化しており、更なる景気減速への懸念が強まっています。
当社グループにおきましては、中期経営計画のもと、家庭用機器事業では高付加価値製品の販売に一層注力し、産業機器事業においては新規顧客開拓による更なる販路拡大を目指すなど、各種施策を講じてまいりましたが、当社グループを取り巻く厳しい経営環境にあって情勢を好転させるまでには及びませんでした。
この結果、当社グループの当期の売上高は35,521百万円(前期比2,631百万円減)となったものの、利益率の改善、製造コストの低減、販売管理費の削減により、営業利益は1,158百万円(前期比7百万円増)となりました。経常利益は1,049百万円(前期比309百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は424百万円(前期比456百万円減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・家庭用機器事業
| (万台、百万円) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 販売台数 | 北米、欧州、大洋州 | 50 | 47 | △3.6 |
| 中南米、ロシア、 中東・アジア | 79 | 71 | △8.5 | |
| 日本 | 16 | 16 | △0.3 | |
| 計 | 146 | 133 | △12.4 | |
| 売上高 | 28,220 | 26,856 | △1,364 | |
| 営業利益 | 733 | 1,209 | 476 | |
家庭用機器事業におきましては、当期新規投入した海外向けコンピュータミシン「Continental M7 Professional」が世界で有数のデザイン賞を受賞し、国際的に高い評価を得ており、特に北米市場ではこれら高付加価値製品の拡販に努めたことで、販売台数は減少したものの、売上高は前期と比べ増加するなど、緩やかな回復傾向が続きました。対して、欧州市場は低価格帯ミシンが伸びず販売台数が減少するなど、依然として苦戦が続き、新興国市場においても現地通貨安の影響から低調な動きとなりました。ロシア市場は第4四半期において復調を見せたものの、販売台数は前期に比べ減少しております。これは好調だった前期の反動によるもので、ロシア市場全体が不調とは見ておりません。他地域の販売不振をカバーするまでには至りませんでしたが、地域別販売台数は25%以上を占めております。国内市場においては、販売台数は前期に比べ3千台減少し、約16万台となりましたが、依然として国内トップシェアは維持しております。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、特に海外販売子会社においては顕著であり、企業活動を一部制限せざるを得ない状況となるなど、厳しい環境となりました。
一方で、感染対策による外出制限下、家での過ごし方が注目され、また手作りマスクに関心が集まるなど、新たなミシン需要への契機ともなっております。
その結果、海外・国内ミシンの販売台数は133万台(前期比12万台減)、家庭用機器事業全体の売上高は26,856百万円(前期比1,364百万円減)となったものの、特に北米市場で好調だった高付加価値製品の売上が寄与し、営業利益は1,209百万円(前期比476百万円増)となりました。
・産業機器事業
| (台、百万円) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 販売台数 | ロボット | 3,786 | 2,910 | △876 |
| プレス | 1,759 | 1,264 | △495 | |
| ロボット プレス | 売上高 | 4,372 | 3,500 | △872 |
| 営業利益 | 147 | △279 | △426 | |
| ダイカスト | 売上高 | 2,544 | 2,288 | △255 |
| 営業利益 | 55 | △56 | △112 | |
| 計 | 売上高 | 6,917 | 5,789 | △1,127 |
| 営業利益 | 203 | △335 | △538 | |
産業機器事業におきましては、メキシコにおける新たな営業拠点の開設など、有望市場での販売拡大に向けた施策を着実に実行してまいりました。また、卓上ロボット・サーボプレスともに顧客ニーズに対応した新製品を投入し、積極的な販売活動を展開いたしました。さらには自動化を進めたい中小企業からの要望に応え、ねじ締めロボット自動化設備一式を提供し、すぐに稼働できる新たな導入サポートサービスも開始いたしました。
しかしながら長期化する米中貿易摩擦問題の影響から中国市場の停滞が続く中、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、経済の先行き不透明感が増し、国内外で設備投資を手控える動きが強まりました。また、主要取引先である自動車関連企業の生産停止による影響から、ロボットの販売台数は前期に比べ876台減少し、2,910台となり、サーボプレスは前期に比べ495台減少し、1,264台となりました。また、ダイカスト鋳造関連事業におきましても、産業機器メーカー等、取引先の生産が戻っておらず、ロボット部品などの受注が伸び悩み苦戦が続きました。
以上の結果、産業機器事業全体の売上高は5,789百万円(前期比1,127百万円減)、営業損失は335百万円(前期は203百万円の営業利益)となりました。
・IT関連事業
| (百万円) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 売上高 | 2,292 | 2,180 | △111 | |
| 営業利益 | 210 | 247 | 36 | |
ITソフトウェア開発や情報処理サービス、システム運用管理の受託等を行うIT関連事業においては、新規顧客の獲得、品質管理の徹底、採用の強化や人材育成などを実施し、積極的な営業を展開するとともに、経営基盤の更なる安定強化を図りました。主力のソフト開発事業は大型案件が保守体制に移行したことなどから、売上高は2,180百万円(前期比111百万円減)となりました。しかしながらプロジェクト管理強化、生産性向上、採算性の改善、プレミアム付き商品券の特需などが寄与して、営業利益は247百万円(前期比36百万円増)と過去最高水準を計上いたしました。
② 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年3月期から2022年3月期を対象とした中期経営計画「JANOME 2021 Navigation for the Future」において、「企業価値の向上」を経営方針の一つに揚げ、営業利益率8%、自己資本純利益率(ROE)8%、総資産経常利益率(ROA)7%を中期目標としております。
中期経営計画の初年度である2020年3月期は、家庭用機器事業において、北米を中心に新製品の販売が好調に推移するなど、高付加価値製品に主軸を置いた販売活動に一定の成果が出たものの、欧州やロシアを含めた新興国では苦戦が続きました。国内においてはシェアNo.1を堅持したものの、販売台数の減少傾向を食い止められずにいます。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要が国内外においてミシン販売の契機となりました。産業機器事業においては、米中貿易摩擦問題から続く設備投資を手控える動きが新型コロナウイルスの影響により、さらに加速し、市場環境は悪化しております。このような中、有望市場であるメキシコに営業拠点を新設するなど、各種施策を実行したものの、ロボット・サーボプレスにダイカスト関連事業を含めて大幅な受注の減少が続き、営業損失を計上いたしました。
この結果、2020年3月期の実績は、営業利益率3.3%、自己資本純利益率(ROE)1.7%、総資産経常利益率(ROA)2.1%となり、目標値から大きく乖離いたしました。当社グループといたしましては、今後も中期経営計画の達成に向けて積極的に取り組んでまいりますが、新型コロナウイルスの感染拡大など、同計画を策定した際には予見できなかった新たな事象も発生しており、これらを踏まえ目標数値等の見直しを行うことも必要であると考えております。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を合理的に見積もることが困難な現状において、2021年3月期の業績予想も未定としており、中計経営計画の見直しについてはこれらの影響を精査する必要もあると考えております。今後、計画の見直し等が決まりましたら改めて公表いたします。
③ 財政状態
当社グループにおける財政状態の概況は次の通りであります。
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、49,360百万円(前期比1,297百万円減)となりました。
資産の部では、流動資産が商品及び製品の減少等により、22,078百万円(前期比610百万円減)となりました。固定資産は有形及び無形固定資産の減価償却等により27,281百万円(前期比686百万円減)となりました。
負債の部では、支払手形及び買掛金の減少等により、23,979百万円(前期比804百万円減)となりました。
純資産の部(非支配株主持分を含む)は、為替換算調整勘定の減少等により、25,381百万円(前期比492百万円減)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から395百万円増加し、6,487百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、たな卸資産の減少等により1,512百万円の資金の増加となりました。(前期は2,073百万円の資金の増加)
投資活動によるキャッシュ・フローは、製造子会社の機械設備や新機種に係る金型等の有形固定資産取得による支出709百万円、ソフトウェア等の無形固定資産取得による支出173百万円などにより、677百万円の資金の減少となりました。(前期は1,108百万円の資金の減少)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により298百万円の資金の減少となりました。(前期は943百万円の資金の減少)
⑤ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
| 家庭用機器事業(百万円) | 13,015 | △10.4 |
| 産業機器事業(百万円) | 4,388 | △12.4 |
| 報告セグメント計(百万円) | 17,403 | △10.9 |
| その他(百万円) | 113 | 8.7 |
| 合計(百万円) | 17,516 | △10.8 |
(注) 1.金額は製造価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注状況
当社グループの生産は、主として見込み生産によっているため、記載を省略しております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
| 家庭用機器事業(百万円) | 26,856 | △4.8 |
| 産業機器事業(百万円) | 5,789 | △16.3 |
| IT関連事業(百万円) | 2,180 | △4.9 |
| 報告セグメント計(百万円) | 34,826 | △7.0 |
| その他(百万円) | 695 | △3.9 |
| 合計(百万円) | 35,521 | △6.9 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産および負債または損益の状況に影響を与えるような会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(a)繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産に関しては将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しておりますが、将来の業績変動により課税所得が減少し繰越欠損金が計画通り解消できなかった場合、繰延税金資産の取崩しが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社グループは、多数の店舗や賃貸物件を有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しております。従って、地価が大幅に下落した場合や店舗等のキャッシュ・フローが著しく悪化した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
⑦ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、安定した財務基盤を確保した上で、有利子負債を効果的に活用し、資本構成のバランスを図ることで、財務の健全性と資本効率の向上の両立を図ることを財務戦略としています。自己資本比率50%を目標とし、資本の健全性を維持するとともに、銀行借入を有効に利用することで資本コストの低減を進め、ROEの向上を目指します。
主な資金需要には、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用と売掛債権の回収までを繋ぐ運転資金や、生産能力・機能の維持・拡大を目的とする設備投資があります。また、新製品や新技術開発のための研究開発費も挙げられます。事業活動により得られた資金は、これらの運転資金の圧縮や生産性向上をもたらす設備投資、更には主力事業である家庭用機器事業と産業機器事業を市場競争力強化に導く研究開発に再投入いたします。
適正な手元現預金の水準につきましては、概ね月商の1.5ヶ月相当としております。これは、可能な限り資金活用の効率化を図ったものですが、当社は主力金融機関によるシンジケーション方式のコミットメントライン(総額120億円)を設定しており、緊急の資金需要が発生した場合も機動的な資金調達が可能なことから、流動性の確保については対処されております。現在、新規の資金調達は、短期資金の銀行融資のみとしておりますが、今後、これとは別に、大型の事業案件などのまとまった資金需要が発生した場合には、株式発行による調達や社債発行などの直接金融による市場からの長期資金調達も含め、資本構成や資本コストへの影響を踏まえて検討してまいります。
株主還元につきましては、2017年3月期決算期の再開以降実施しております配当を、安定的に継続していく方針です。配当性向は、経常的かつ安定的な業績拡大を前提としたうえで、連結ベースの当期純利益の30%、個別の同40%を目標としております。なお、本質的な株主還元は、総資本を効率的かつ有効に活用することで事業の成長を図り、企業価値の向上、時価総額の増大を目指すことであると考えております。