有価証券報告書-第154期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/24 13:32
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125項目

対処すべき課題

(1) 企業価値の向上
当社グループは、平成25年4月よりあらたに平成28年3月期までの中期経営計画をスタートさせました。かかる中期経営計画では、平成28年の創立100周年に向け、売上高1兆円とそれを支える経営基盤の確立を目指し「1兆円を支える企業基盤の確立」を中期ビジョンとして掲げました。そして、「安全・品質・コンプライアンス」という基礎の上に、従来から取り組んでまいりました「成長戦略」と「体質強化」を一歩進め、「収益重視の成長」と「1兆円の物量を回す管理能力の構築」を目指すことにより、事業環境の大きな変化の中での次なる成長に向けた事業戦略と経営基盤の強化を図ってまいります。
また、中期ビジョンの達成に向けて、
「収益重視の成長」の施策として
・新興国での成長
・顧客戦略、セクター戦略強化
・生産力、技術開発力強化
・戦略的提携
「1兆円の物量を回す管理能力の構築」の施策として
・ガバナンス充実、コンプライアンス強化
・事業構造改革
・グローバルマネジメントの進化
の7つの経営課題を推進してまいります。
また、当社は、事業を通じて世界中のエネルギーロスを削減することが当社グループの社会的責任と捉え、地球環境の保全と社会の持続可能な発展に向けて貢献すべく環境経営のレベルアップを着実に推進し、様々なステークホルダーとの信頼関係構築に努めています。
(2) コーポレートガバナンス・コードへの対応
東京証券取引所が策定したコーポレートガバナンス・コードについては、当社の持続的成長と企業価値の長期的な向上に資するものであると判断しています。その趣旨と精神を尊重し当社のコーポレートガバナンスの充実と情報開示とを適切に行えるよう取り組みを進めています。
(3) コンプライアンス強化
当社及び当社グループは、平成23年の日本の公正取引委員会による立入検査以来、全社をあげて、コンプライアンス強化をグローバルに実施してきました。
平成26年8月に、中国当局より過去の軸受取引に同国独占禁止法違反があったとして、1億7,492万人民元の制裁金支払い命令を受け、これを納付しました。
また、同年9月に、日本の公正取引委員会による他社に対する処分の発表の中で、当社子会社株式会社天辻鋼球製作所について、過去の鋼球製品取引に独占禁止法違反があった旨の言及がありました。同年11月には、当社及び当社子会社のNSK韓国社が、韓国当局から過去の軸受取引に同国公正取引法違反があったとする決定を受けました。いずれも当局調査に全面的な協力を行った結果、是正命令等は受けていません。
今後も継続して、法令遵守の徹底及び企業の社会的責任に基づいた事業活動の推進に努めてまいります。
(4)「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」について
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループは、株主・投資家、顧客、国内外の製造・販売会社、地域社会、従業員等の様々なステークホルダーとの相互関係に基づき成り立っています。当社は、当社グループの使命は、社会・環境・経済の全ての面においてバランスのとれた経営を行い、全てのステークホルダーに対する社会的責任を果たすと同時に、本業に徹することにより当社グループの企業価値を増大させることであると考えています。
当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社に対して投資をしていただいている株主の皆様には、当社のかかる考えにご賛同いただいた上で、そのご判断により当社の経営を当社経営陣に対して委ねていただいているものと理解しています。かかる理解のもと、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、最終的には、株主の皆様のご判断によるべきであると考えています。従いまして、当社株式の大量の買付行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かは、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えます。
しかしながら、近年のわが国の資本市場の状況を考慮すると、対象となる企業の株主の皆様及び投資家の皆様に対する必要十分な情報開示や熟慮のための機会が与えられることなく、あるいは対象となる企業の取締役会が意見表明を行い、代替案を提示するための情報や時間が提供されずに、突如として、株式の大量の買付行為が強行される可能性も否定できません。このような株式の大量の買付行為の中には、真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する買付行為もあり得ます。
かかる当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する当社株式の大量の買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要
(イ)中期経営計画等による企業価値向上への取り組み
当社の中期経営計画等による企業価値向上への取り組みについては、上記(2)企業価値の向上に記載のとおりです。
(ロ)コーポレート・ガバナンスに関する取り組み
当社は、社会的責任を果たし、企業としての適切な利益を確保し続け、企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保・向上させるために、経営の透明性と健全性を高めていく具体的な体制を積極的に採用しています。平成11年には、当社は執行役員制度を導入の上、社外取締役を招聘し、任意に報酬委員会を設置しました。また、平成15年には、任意に監査委員会を設置しています。そして、平成16年には委員会等設置会社に移行し、平成18年には会社法に基づく委員会設置会社、さらに平成27年の会社法改正に伴い指名委員会等設置会社となっています。監査・報酬・指名の3つの委員会は、それぞれ2名の社外取締役と1名の社内取締役で構成され、透明性と健全性の向上に大きな役割を果たしています。
なお、当社の社外取締役については4名全員を独立役員として東京証券取引所に届け出ています。
また、コーポレートガバナンス・コードにも適切に対応し、当社グループ全体のガバナンス体制の更なる充実を継続して図っていきます。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号柱書に規定されるものをいい、以下「基本方針」といいます。)に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(同規則第118条第3号ロ(2))として、平成20年6月25日開催の当社定時株主総会において、当社株式の大量買付行為に関する対応策を導入し、その後3年の有効期間が満了するに当たり、平成23年6月24日開催の当社定時株主総会において株主の皆様のご賛同を得て、当社株式の大量買付行為に関する対応策(以下「旧プラン」といいます。)を継続しました。旧プランは、平成26年6月25日開催の当社定時株主総会終結の時をもって有効期間が満了することから、当社は、社会・経済情勢の変化、買収防衛策をめぐる種々の議論、法令の改正等を踏まえ、買収防衛策を継続するか否かについて検討を続けてまいりました。
その結果、平成26年5月23日開催の当社取締役会において、当社定款第35条に基づき、同年6月25日開催の当社定時株主総会において株主の皆様のご賛同を得て承認可決されることを条件として、旧プランから継続して、当社株式の大量買付行為に関する対応策(以下「本プラン」といいます。)を導入することを決議し、同株主総会において承認され、本プランが導入されました。
(イ)本プランの対象となる大量買付行為
本プランは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為(市場取引、公開買付けその他具体的な買付方法の如何を問いません。以下同じとします。)、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為を適用対象とします。但し、あらかじめ当社取締役会が同意した買付行為は、本プランの適用対象からは除外します。なお、本プランの適用を受ける買付行為を以下「大量買付行為」といい、大量買付行為を行いまたは行おうとする者を以下「大量買付者」といいます。
(ロ)大量買付ルールの設定
ⅰ.意向表明書の事前提出
大量買付者には、大量買付行為の実行に先立ち、当社代表執行役社長宛に、本プランに定められた所定の手続(以下「大量買付ルール」といいます。)に従う旨の誓約等を日本語で記載した意向表明書をご提出いただきます。
ⅱ.本必要情報の提供
当社取締役会は、上記ⅰ.の意向表明書受領後10営業日(初日不算入)以内に、大量買付者から提供していただくべき、大量買付行為に対する株主の皆様のご判断及び当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報(以下「本必要情報」といいます。)を記載したリスト(以下「本必要情報リスト」といいます。)を当該大量買付者に対して交付します。大量買付者には、当社代表執行役社長宛に、本必要情報リストに従って十分な情報を提供していただきます。
次いで、当社取締役会は、大量買付者から提供された情報を精査し、必要に応じて当社取締役会から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、その他の専門家を含みます。以下「外部専門家等」といいます。)の助言を受けた上で、当該情報だけでは本必要情報として不十分であると合理的に判断する場合には、大量買付者に対して追加的に情報提供を求めることができるものとし、大量買付者から追加的に受領した情報についても同様とします。
ⅲ.取締役会による評価期間の設定等
当社取締役会は、本必要情報の提供が完了した後、必要に応じて外部専門家等の助言を受けた上で、大量買付行為の内容に応じて最長60日間または最長90日間(いずれの場合も初日不算入)を当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案作成のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)として設定します。但し、当社取締役会が、当初設定した取締役会評価期間内に当社取締役会としての意見をとりまとめることができないことについてやむを得ない事由がある場合には、当社取締役会は、必要に応じて外部専門家等の助言を受けた上で、当社取締役全員が出席する取締役会の全会一致の決議により、取締役会評価期間を合理的に必要な範囲内で、最長30日間(初日不算入)延長できるものとします(なお、当該延長は原則として一度に限るものとします。)。
大量買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。
取締役会評価期間中、当社取締役会は、必要に応じて外部専門家等の助言を受けながら、大量買付者から提供された情報を十分に評価・検討し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の確保・向上の観点から、当社取締役会としての意見をとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件改善について交渉し、また当社取締役会として当社株主の皆様に対し代替案を提示することもあります。
(ハ)対抗措置の発動
大量買付者が大量買付ルールを遵守した場合、当社取締役会は、仮に当該大量買付行為に反対であったとしても、反対意見の表明、代替案の提示、株主の皆様への説明等を行うことはあり得るものの、原則として、当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。
但し、当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる場合には、取締役会評価期間満了後に、株主総会を開催し、大量買付行為に対し、対抗措置を発動すべきか否かを株主の皆様のご判断に委ねることができるものとします。
また、当社取締役会は、大量買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合、大量買付者の提案する買収の方法が、いわゆる強圧的二段階買付けに代表される、構造上株主の皆様の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主の皆様に当社株券等の売却を強要するおそれがある場合等、大量買付行為が一定の類型に該当し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると合理的に認められる場合には、例外的に対抗措置を発動することがあります。
これに対して、大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上することを目的として、対抗措置を発動する場合があります。大量買付者が大量買付ルールを遵守したか否か及び対抗措置の発動の是非は、外部専門家等の助言を受けた上で、当社取締役会が合理的に判断し、決議します。
但し、当社取締役会が、株主の皆様のご意思を確認することが実務上可能であり、かつ、当社取締役会が株主の皆様のご意思を確認するために株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくことが適切であると合理的に判断した場合には、取締役会評価期間満了後に、株主総会を開催し、大量買付行為に対し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様のご判断に委ねるものとします。
なお、当社は、本プランにおける対抗措置として、原則として、新株予約権無償割当てを行います。
また、対抗措置発動にかかる当社取締役会の決議(株主総会の決議に基づく場合を除きます。)は、取締役全員が出席する取締役会において、全会一致により行うものとします。
(ニ)株主意思の確認手続
当社取締役会は、上記(ハ)に記載のとおり、株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただく場合には、取締役会評価期間満了後に、法令及び当社定款の定めに従って、速やかに株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様のご判断に委ねるものとします。当社取締役会は、取締役会評価期間満了後60日以内に株主総会を開催し、大量買付行為への対抗措置の発動に関する議案を株主総会に上程するものとしますが、事務手続上の理由から60日以内に開催できない場合は、事務手続上可能な最も早い日において開催するものとします。
株主総会を開催する場合には、大量買付者は、当該株主総会終結時まで、大量買付行為を開始してはならないものとします。
(ホ)本プランの有効期間
本プランの有効期間は、平成26年6月25日開催の当社定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで(平成29年6月に開催予定の定時株主総会終結の時まで)とし、以降、本プランの継続(一部修正した上での継続を含みます。)については、3年ごとに定時株主総会の承認を得ることとします。
なお、本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイト(http://www.jp.nsk.com/investors/)に掲載しています、平成26年5月23日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」をご参照ください。
④ 上記②の取り組みについての取締役会の判断及びその理由
上記②の取り組みは、当社の中長期的な企業価値の向上のための基本的な取り組みの一環であり、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることを目的として実施しているものです。かかる取り組みを通じて、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることにより、上記①記載の当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する当社株式の大量の買付行為は困難になるものと考えられ、よって、上記②の取り組みは、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えています。
従いまして、上記②の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
⑤ 上記③の取り組みについての取締役会の判断及びその理由
上記③の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為に関する必要な情報の提供、及び、その内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求め、最終判断を行う当社株主の皆様が、株式の大量の買付行為の提案の内容を十分に理解し、適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)を行うことができるようにするために導入されるものです。また、上記③の取り組みにおいては、そのような情報提供と検討等の期間の確保の要請に応じない大量買付者に対して取締役会決議により対抗措置を発動できることとするとともに、かかる要請に応じた大量買付者であっても、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる場合には、株主総会決議により対抗措置を発動できる(但し、一定の類型に該当し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると合理的に認められる場合には、取締役会決議により発動できます。)こととすることで、これらの大量買付者による大量買付行為を防止するものであり、よって、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みです。さらに、上記③の取り組みにおいては、大量買付者が大量買付ルールを遵守している場合において対抗措置を発動しようとする場合には、原則として、株主総会を開催して、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくこととしており、また、大量買付者が大量買付ルールを遵守していない場合を含め、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、独立性のある社外取締役を含む取締役全員が出席する当社取締役会において、全会一致により行うこととしており、当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記③の取り組みの合理性及び公正性を確保するための様々な制度及び手続が確保されているものです。
さらに、当社は、本プランの運用における取締役会の判断の恣意性を排除し、本プランの運用の合理性を確保することを目的として、本プランの運用に関して取締役会が準拠すべき手続等を定めた「大量買付行為への対応に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます。)を制定しています。ガイドラインの制定により、大量買付ルールの適用、対抗措置の発動または不発動等に関する取締役会の判断の客観性が高まり、本プランの運用につき十分な合理性が確保されることになります。
従いまして、上記③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。