有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中通商問題などが継続する中、総じて緩やかな回復が続きましたが、本年に入り、世界的に新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、厳しい経済環境へと一変しました。感染症の影響により、中国やその他のアジア地域では、景気が下押しされ、米国でも景気が大きく減速しました。
日本では、個人消費の持ち直しや設備投資の増加によって緩やかな回復が見られましたが、年度終盤から感染症の影響により急速に景気が悪化しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、年明け以降であるため、当連結会計年度の経営成績に与える影響は限定的でした。
昇降機業界におきましては、中国では、価格競争は継続する中、台数ベースでの需要は堅調に増加し、その他の地域では総じて市場は安定して推移しました。日本では、ホテルや事務所向けの需要が伸びましたが、マンションや店舗向けは低調に推移しました。
このような情勢のもと、当社グループでは、中期経営計画“Innovation, Quality & Speed”における4つの行動ビジョンに取り組み、業績の向上に努めました。「地域戦略」では、中国にて顧客層の見直し、販売価格改定および代理店政策の見直しなどにより、受注拡大と利益率の向上を進めました。「商品・技術戦略」では、日本向けの新標準機種「エクシオール」の開発が完了しました。同機種は、感染症対策にも効果が期待できる機能など、最新の技術トレンドが盛り込まれ、翌連結会計年度の4月から販売を開始しています。「オペレーション戦略」では、インドに第2工場と研究塔の建設をスタートしました。同工場は、インド国内および南アジア・中東に向けたグローバル標準機種の供給拠点として、2,000台体制に向けた整備を進めます。「コーポレート戦略」では、英国昇降機市場での事業拡大を目指し、昇降機の販売・据付・保守を行う非公開会社Amalgamated Lifts Limitedを2020年2月に買収いたしました。また、フィールド人材のスキル向上にむけて研修施設「エクスペリエンスセンター」をシンガポール、インド、東京にオープンしました。
この結果、当社グループの経営成績の状況は、以下の通りとなりました。
当期の国内市場は、新設事業では、ホテル、マンション向けの受注が堅調に推移する一方で、店舗向けが減少し、事務所向けでは前期の大型案件の反動減となったため、新設受注は減少しました。また、保守・サービス事業は増加したものの、既設のエレベータやエスカレータの安全性・快適性・デザイン性を向上させるモダニゼーション工事の受注は、微減となりました。
海外市場では、中国でのエレベータ新設工事の増加に加えて、香港で新設工事とアフターマーケット事業がともに増加し、東アジアでの受注が大きく増加しました。南アジアは、シンガポールではモダニゼーション工事、インドでは新設工事の受注がそれぞれ減少しました。北米・欧州では、米国のエレベータ新設工事やアフターマーケット事業の伸長、英国でのエレベータ新設工事の増加により、受注は増加しました。
以上の結果、国内受注高723億25百万円(前期比2.8%減)、海外受注高1,139億94百万円(同9.0%増)となり、受注高合計は1,863億20百万円(同4.1%増)となりました。なお、海外受注高は為替変動による影響を除くと、実質13.0%増となっています。
売上高は、国内売上高725億19百万円(前期比5.0%増)、海外売上高1,087億12百万円(同6.9%増)となり、合計で1,812億32百万円(同6.1%増)となりました。なお、海外売上高は為替変動による影響を除くと、実質10.9%増となっています。
受注残高は、国内受注残高657億23百万円(前連結会計年度末比0.2%減)、海外受注残高1,420億93百万円(同0.2%減)となり、合計で2,078億17百万円(同0.2%減)となりました。なお、海外受注残高は為替変動による影響を除くと、実質3.8%増となっています。
損益面では、営業利益は日本の減少に対し、東アジアの増加により、133億75百万円(前期比29.7%増)、経常利益は、146億82百万円(同23.2%増)となりました。税金等調整前当期純利益は、関係会社株式および関係会社出資金評価損の計上などで、144億93百万円(同15.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、99億16百万円(同7.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、以下は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(日 本)
売上高は、新設事業、アフターマーケット事業ともに順調に増加し、747億51百万円(前期比3.1%増)となりました。営業利益は、アフターマーケット事業は堅調に推移しましたが、新設事業では、物流費や人件費などが増加し、48億91百万円(同3億14百万円減)となりました。
(東アジア)
売上高は、中国のエレベータ新設工事が増加したことにより、747億48百万円(前期比7.8%増)となりました。営業利益は、中国の売上高増加や原価低減、韓国での輸出採算の改善により、52億97百万円(同30億27百万円増)となりました。なお、為替変動による影響を除いた売上高は、実質13.1%増となりました。
(南アジア)
売上高は、インドでの増加に対し、シンガポール、マレーシアのエレベータ新設工事が減少し、163億79百万円(前期比1.2%減)となりました。営業利益は、シンガポールのエレベータ新設工事の採算改善などで、21億35百万円(同2億83百万円増)となりました。なお、為替変動による影響を除いた売上高は実質1.5%増となりました。
(北米・欧州)
売上高は、米国のモダニゼーションなどアフターマーケット事業の増加、カナダのエレベータ新設工事の増加により、254億43百万円(前期比5.8%増)となりました。営業利益は、米国およびカナダでの売上高の増加により、10億45百万円(同1億52百万円増)となりました。なお、為替変動による影響を除いた売上高は、実質7.5%増となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は平均販売価格によっています。
2 上記の金額に消費税等は含めていません。
3 当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、前期比は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
4 調整額△9,288百万円は、セグメント間の内部振替額です。
(受注実績)
当社グループは、主として受注生産を行っていますが、一部見込み生産を行っています。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額に消費税等は含めていません。
2 当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、前期比は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
3 受注高の調整額△9,674百万円および受注残高の調整額△2,177百万円は、それぞれセグメント間の内部振替額です。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 相手先別の販売実績が、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
2 上記の金額に消費税等は含めていません。
3 当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、前期比は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
4 調整額△10,091百万円は、セグメント間の内部振替額です。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産額は、1,935億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ88億91百万円増加しました。これは主に、商品及び製品など、たな卸資産の減少に対し、現金及び預金が47億79百万円、受取手形及び売掛金が69億46百万円、増加したことによります。
負債合計は、前連結会計年度に比べ40億99百万円増加し、748億66百万円となりました。これは主に、短期借入金が6億91百万円、工事損失引当金が5億11百万円、前受金が22億40百万円、増加したことによります。
純資産額は、1,187億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億91百万円増加しました。これは主に、その他有価証券評価差額金が10億5百万円、為替換算調整勘定が9億35百万円の減少に対し、利益剰余金が62億68百万円の増加によります。
また、当連結会計年度末の自己資本比率は55.2%(前連結会計年度末0.5ポイント減)となり、1株当たり純資産額は、1,318.59円(同47.31円増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、281億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億78百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益144億93百万円、減価償却費31億31百万円、たな卸資産の減少11億90百万円に対し、売上債権の増加などで、110億78百万円の収入(前期比14億88百万円の収入増)となりました。その主な要因は、売上債権が前期比46億95百万円の増加に対し、税金等調整前当期純利益が前期比19億69百万円、前受金が前期比20億39百万円の増加、たな卸資産が18億90百万円、減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入れ・払戻しの純額26億44百万円の支出、有形固定資産の取得25億62百万円に対し、利息及び配当金の受取などにより、43億41百万円の支出(前期比21億81百万円の支出増)となりました。その主な要因は、定期預金の預入れ・払戻しの純支出増額14億16百万円、投資有価証券の売却による収入が5億72百万円、減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、38億円の支出(前期比3億98百万円の支出減)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出が4億94百万円、減少したことによります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成は、決算日における資産、負債の計上金額および報告期間における収益・費用の計上金額に影響を与える見積り、判断、仮定を必要とします。当社グループは、過去の実績や状況に応じて合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づき、継続的に見積りの検証を行っています。これらの見積りには不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる見積り項目は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、感染拡大の収束時期を予想することは困難でありますが、翌連結会計年度の後半から徐々に収束に向かうとの前提により、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性などの会計上の見積りを行っております。
収益及び費用の計上
当社グループでは、当連結会計年度末までの進捗部分についての成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)により、完成工事高を計上しております。原価比例法では、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から工事原価総額を見積り、進捗率を算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂が工事の進捗率に影響することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
工事損失引当金
当社グループでは、当連結会計年度末における未引渡工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能な工事について、損失見込額を計上しています。損失見込額は、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から見積った工事原価総額により算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂により、工事損失引当金が増額または減額することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
貸倒引当金
当社グループでは、売掛金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合は、追加の引当を行うことで、当社グループ業績に影響する可能性があります。
固定資産の減損
当社グループでは、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しています。固定資産の回収可能価額は、経営計画や割引率などを前提条件として算定する将来キャッシュ・フローおよび時価などに基づく正味売却価額を用いて見積ります。当初想定していた収益が見込めない場合や時価の変動などにより前提条件が変化した場合は、回収可能価額の見積りを変更します。将来、見積りの変更により減損処理が必要となった場合は、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、その結果回収の実現が困難と考えられる資産については、評価性引当金を計上しております。回収可能性の判断については、経営計画や将来減算(加算)一時差異の解消スケジュールなどを検討して課税所得見込額を予測し、実現可能性を評価しています。課税所得の予測は、市場動向や当社グループの業績などの影響を受けるため、それらの要因の変化により、繰延税金資産の回収が困難になったと判断した場合は、評価性引当金の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
退職給付債務および退職給付費用
当社グループでは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産を控除した金額を計上しています。退職給付債務および退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率などの前提条件に基づき算定します。実際の運用結果が想定と異なる場合や割引率などの前提条件が変更された場合、その計算上の差異は将来に渡って規則的に認識され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
投資有価証券
当社グループでは、投資有価証券を保有しております。時価のある有価証券は決算日の市場価格等による時価法を、時価のない有価証券は移動平均法による原価基準により評価しています。時価のある有価証券の連結会計年度末の時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合は原則減損処理を行い、30%から50%未満下落した場合は、回収可能性等を考慮して必要な額を減損しています。また、時価のない有価証券については、実質価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合は、回収可能性等を考慮して減損処理を行います。将来、市況悪化や投資先の業績悪化などの状況変化により減損処理が必要と判断した場合には、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績の分析
売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比104億73百万円増加して、1,812億32百万円となりました。これは主に、日本、東アジアでの増加によります。この結果、海外売上高の連結売上高に占める割合は、前期59.6%から0.4ポイント増加して、60.0%となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前期比62億16百万円増加して、1,410億9百万円となりました。売上原価率は同1.1ポイント減少し、77.8%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比11億94百万円増加して、268億47百万円となり、売上高に対する割合(売上高販管費率)は同0.2ポイント減少して、14.8%となりました。
以上の結果、営業利益は、133億75百万円(前期比29.7%増)となりました。
営業外損益
営業外損益は、前期の16億8百万円の利益(純額)から、3億1百万円減少して、13億7百万円の利益(純額)となりました。これは主として、前期の為替差益から、当期は為替差損の計上となったことによるものです。
この結果、経常利益は、146億82百万円(前期比23.2%増)となりました。
特別損益
特別損益は、前期の6億2百万円の利益(純額)から1億89百万円の損失(純額)となり、前期に比べ、利益が5億21百万円減少、損失が2億69百万円増加しました。これは主に、投資有価証券売却益が6億83百万円の減少、前期の事務所移転費用1億65百万円がなくなったことに対し、関係会社株式評価損4億39百万円を計上したことによります。
以上の要因を反映して、税金等調整前当期純利益は、144億93百万円(前期比15.7%増)となりました。
法人税等(法人税等調整額を含む。)
法人税等は、前期に比べ4億46百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は8億26百万円、増加しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、99億16百万円(前期比7.6%増)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は、前期の114.14円から8.32円増加して、122.46円となりました。
③資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループは、運転資金および設備投資資金については、内部資金または借入により調達しています。このうち、運転資金の借入による調達は、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が運転資金として使用する現地通貨で調達することが一般的であります。2020年3月31日現在、短期借入金残高は39億90百万円であります。これに対して、生産設備などの長期資金の借入による調達は、原則として、長期借入金で行っています。2020年3月31日現在、長期借入金残高(1年内返済予定の長期借入金を含む)は2億17百万円であり、米ドルによる借入であります。
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび借入、必要に応じて資本市場等よりの調達により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および生産設備などの長期資金を調達することが可能と考えています。
なお、当社は現在、社債発行枠が100億円の発行登録を継続しています。
④財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、②財政状態の状況」に記載のとおりです。
⑤キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年4月17日に公表しました、2020年3月期を初年度とする3カ年中期経営計画“Innovation, Quality & Speed”において、売上高、営業利益、営業利益率、ROEを重要な経営指標として位置付けています。
中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、売上高1,710億円、営業利益104億円、営業利益率6.1%を目標としてスタートしました。しかし、中国の新設工事の増加や販売価格の改善などによる採算性向上により、東アジアでの増収増益を考慮し、2020年2月6日付で、目標を売上高1,800億円、営業利益135億円、営業利益率7.5%に修正しました。
当連結会計年度における修正目標に対する達成状況は、売上高は修正目標比0.7%増の1,812億32百万円、営業利益は目標から1億24百万円減の133億75百万円、営業利益率は目標から0.1ポイント低下して7.4%となりました。なお、ROEにつきましては、中期経営計画の最終年度2022年3月期の目標値として8.0%以上と設定しておりますが、当連結会計年度末では9.5%となっています。
中期経営計画“Innovation, Quality & Speed”の初年度にて、最終年度2022年3月期の目標数値(売上高1,800億円、営業利益130億円、営業利益率7.2%、ROE8.0%以上)を達成いたしました。しかし、第2年度の2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減収減益が見込まれ、また、感染症の収束時期は不透明であることから、最終年度の目標数値は据え置いております。
なお、同計画の経営戦略については変更なく、引き続き推進していきます。
経営目標および経営戦略につきましては、「第2 事業の状況、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」および「(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題」に記載のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中通商問題などが継続する中、総じて緩やかな回復が続きましたが、本年に入り、世界的に新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、厳しい経済環境へと一変しました。感染症の影響により、中国やその他のアジア地域では、景気が下押しされ、米国でも景気が大きく減速しました。
日本では、個人消費の持ち直しや設備投資の増加によって緩やかな回復が見られましたが、年度終盤から感染症の影響により急速に景気が悪化しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、年明け以降であるため、当連結会計年度の経営成績に与える影響は限定的でした。
昇降機業界におきましては、中国では、価格競争は継続する中、台数ベースでの需要は堅調に増加し、その他の地域では総じて市場は安定して推移しました。日本では、ホテルや事務所向けの需要が伸びましたが、マンションや店舗向けは低調に推移しました。
このような情勢のもと、当社グループでは、中期経営計画“Innovation, Quality & Speed”における4つの行動ビジョンに取り組み、業績の向上に努めました。「地域戦略」では、中国にて顧客層の見直し、販売価格改定および代理店政策の見直しなどにより、受注拡大と利益率の向上を進めました。「商品・技術戦略」では、日本向けの新標準機種「エクシオール」の開発が完了しました。同機種は、感染症対策にも効果が期待できる機能など、最新の技術トレンドが盛り込まれ、翌連結会計年度の4月から販売を開始しています。「オペレーション戦略」では、インドに第2工場と研究塔の建設をスタートしました。同工場は、インド国内および南アジア・中東に向けたグローバル標準機種の供給拠点として、2,000台体制に向けた整備を進めます。「コーポレート戦略」では、英国昇降機市場での事業拡大を目指し、昇降機の販売・据付・保守を行う非公開会社Amalgamated Lifts Limitedを2020年2月に買収いたしました。また、フィールド人材のスキル向上にむけて研修施設「エクスペリエンスセンター」をシンガポール、インド、東京にオープンしました。
この結果、当社グループの経営成績の状況は、以下の通りとなりました。
当期の国内市場は、新設事業では、ホテル、マンション向けの受注が堅調に推移する一方で、店舗向けが減少し、事務所向けでは前期の大型案件の反動減となったため、新設受注は減少しました。また、保守・サービス事業は増加したものの、既設のエレベータやエスカレータの安全性・快適性・デザイン性を向上させるモダニゼーション工事の受注は、微減となりました。
海外市場では、中国でのエレベータ新設工事の増加に加えて、香港で新設工事とアフターマーケット事業がともに増加し、東アジアでの受注が大きく増加しました。南アジアは、シンガポールではモダニゼーション工事、インドでは新設工事の受注がそれぞれ減少しました。北米・欧州では、米国のエレベータ新設工事やアフターマーケット事業の伸長、英国でのエレベータ新設工事の増加により、受注は増加しました。
以上の結果、国内受注高723億25百万円(前期比2.8%減)、海外受注高1,139億94百万円(同9.0%増)となり、受注高合計は1,863億20百万円(同4.1%増)となりました。なお、海外受注高は為替変動による影響を除くと、実質13.0%増となっています。
売上高は、国内売上高725億19百万円(前期比5.0%増)、海外売上高1,087億12百万円(同6.9%増)となり、合計で1,812億32百万円(同6.1%増)となりました。なお、海外売上高は為替変動による影響を除くと、実質10.9%増となっています。
受注残高は、国内受注残高657億23百万円(前連結会計年度末比0.2%減)、海外受注残高1,420億93百万円(同0.2%減)となり、合計で2,078億17百万円(同0.2%減)となりました。なお、海外受注残高は為替変動による影響を除くと、実質3.8%増となっています。
損益面では、営業利益は日本の減少に対し、東アジアの増加により、133億75百万円(前期比29.7%増)、経常利益は、146億82百万円(同23.2%増)となりました。税金等調整前当期純利益は、関係会社株式および関係会社出資金評価損の計上などで、144億93百万円(同15.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、99億16百万円(同7.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、以下は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
| 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | |||||
| 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減率(%) | 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減額 | |
| 日 本 | 72,485 | 74,751 | 3.1 | 5,206 | 4,891 | △314 |
| 東アジア | 69,308 | 74,748 | 7.8 | 2,269 | 5,297 | 3,027 |
| 南アジア | 16,572 | 16,379 | △1.2 | 1,851 | 2,135 | 283 |
| 北米・欧州 | 24,045 | 25,443 | 5.8 | 893 | 1,045 | 152 |
| 小 計 | 182,411 | 191,323 | 4.9 | 10,220 | 13,370 | 3,149 |
| 調 整 額 | △11,652 | △10,091 | ― | 92 | 5 | △87 |
| 合 計 | 170,759 | 181,232 | 6.1 | 10,313 | 13,375 | 3,061 |
(日 本)
売上高は、新設事業、アフターマーケット事業ともに順調に増加し、747億51百万円(前期比3.1%増)となりました。営業利益は、アフターマーケット事業は堅調に推移しましたが、新設事業では、物流費や人件費などが増加し、48億91百万円(同3億14百万円減)となりました。
(東アジア)
売上高は、中国のエレベータ新設工事が増加したことにより、747億48百万円(前期比7.8%増)となりました。営業利益は、中国の売上高増加や原価低減、韓国での輸出採算の改善により、52億97百万円(同30億27百万円増)となりました。なお、為替変動による影響を除いた売上高は、実質13.1%増となりました。
(南アジア)
売上高は、インドでの増加に対し、シンガポール、マレーシアのエレベータ新設工事が減少し、163億79百万円(前期比1.2%減)となりました。営業利益は、シンガポールのエレベータ新設工事の採算改善などで、21億35百万円(同2億83百万円増)となりました。なお、為替変動による影響を除いた売上高は実質1.5%増となりました。
(北米・欧州)
売上高は、米国のモダニゼーションなどアフターマーケット事業の増加、カナダのエレベータ新設工事の増加により、254億43百万円(前期比5.8%増)となりました。営業利益は、米国およびカナダでの売上高の増加により、10億45百万円(同1億52百万円増)となりました。なお、為替変動による影響を除いた売上高は、実質7.5%増となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 日 本 | 73,958 | 3.7 |
| 東アジア | 74,340 | 8.3 |
| 南アジア | 16,889 | 11.1 |
| 北米・欧州 | 25,432 | 5.8 |
| 小 計 | 190,621 | 6.4 |
| 調整額(注4) | △9,288 | ― |
| 合 計 | 181,333 | 7.7 |
(注) 1 金額は平均販売価格によっています。
2 上記の金額に消費税等は含めていません。
3 当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、前期比は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
4 調整額△9,288百万円は、セグメント間の内部振替額です。
(受注実績)
当社グループは、主として受注生産を行っていますが、一部見込み生産を行っています。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 日 本 | 74,634 | △4.1 | 65,819 | △0.1 |
| 東アジア | 77,173 | 10.9 | 97,675 | △2.3 |
| 南アジア | 16,134 | △4.5 | 16,478 | △4.2 |
| 北米・欧州 | 28,053 | 7.0 | 30,020 | 7.7 |
| 小 計 | 195,995 | 2.9 | 209,994 | △0.4 |
| 調整額(注3) | △9,674 | ― | △2,177 | ― |
| 合 計 | 186,320 | 4.1 | 207,817 | △0.2 |
(注) 1 上記の金額に消費税等は含めていません。
2 当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、前期比は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
3 受注高の調整額△9,674百万円および受注残高の調整額△2,177百万円は、それぞれセグメント間の内部振替額です。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 日 本 | 74,751 | 3.1 |
| 東アジア | 74,748 | 7.8 |
| 南アジア | 16,379 | △1.2 |
| 北米・欧州 | 25,443 | 5.8 |
| 小 計 | 191,323 | 4.9 |
| 調整額(注4) | △10,091 | ― |
| 合 計 | 181,232 | 6.1 |
(注) 1 相手先別の販売実績が、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
2 上記の金額に消費税等は含めていません。
3 当連結会計年度より、従来の報告セグメント「北米」と「欧州」は、「欧州」の量的な重要性が乏しくなったため、「北米・欧州」に集約して記載する方法に変更しています。なお、前期比は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
4 調整額△10,091百万円は、セグメント間の内部振替額です。
②財政状態の状況
| 前連結会計年度 (2019年3月31日) | 当連結会計年度 (2020年3月31日) | 増減 | ||
| 総資産額 | (百万円) | 184,690 | 193,581 | 8,891 |
| 純資産額 | (百万円) | 113,923 | 118,714 | 4,791 |
| 自己資本比率 | (%) | 55.7 | 55.2 | ― |
| 1株当たり純資産額 | (円) | 1,271.28 | 1,318.59 | 47.31 |
当連結会計年度末における総資産額は、1,935億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ88億91百万円増加しました。これは主に、商品及び製品など、たな卸資産の減少に対し、現金及び預金が47億79百万円、受取手形及び売掛金が69億46百万円、増加したことによります。
負債合計は、前連結会計年度に比べ40億99百万円増加し、748億66百万円となりました。これは主に、短期借入金が6億91百万円、工事損失引当金が5億11百万円、前受金が22億40百万円、増加したことによります。
純資産額は、1,187億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億91百万円増加しました。これは主に、その他有価証券評価差額金が10億5百万円、為替換算調整勘定が9億35百万円の減少に対し、利益剰余金が62億68百万円の増加によります。
また、当連結会計年度末の自己資本比率は55.2%(前連結会計年度末0.5ポイント減)となり、1株当たり純資産額は、1,318.59円(同47.31円増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | ||
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | (百万円) | 9,589 | 11,078 | 1,488 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | (百万円) | △2,160 | △4,341 | △2,181 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | (百万円) | △4,198 | △3,800 | 398 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | (百万円) | △1,371 | △657 | 714 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | (百万円) | 1,858 | 2,278 | 420 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | (百万円) | 25,902 | 28,181 | 2,278 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、281億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億78百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益144億93百万円、減価償却費31億31百万円、たな卸資産の減少11億90百万円に対し、売上債権の増加などで、110億78百万円の収入(前期比14億88百万円の収入増)となりました。その主な要因は、売上債権が前期比46億95百万円の増加に対し、税金等調整前当期純利益が前期比19億69百万円、前受金が前期比20億39百万円の増加、たな卸資産が18億90百万円、減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入れ・払戻しの純額26億44百万円の支出、有形固定資産の取得25億62百万円に対し、利息及び配当金の受取などにより、43億41百万円の支出(前期比21億81百万円の支出増)となりました。その主な要因は、定期預金の預入れ・払戻しの純支出増額14億16百万円、投資有価証券の売却による収入が5億72百万円、減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、38億円の支出(前期比3億98百万円の支出減)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出が4億94百万円、減少したことによります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成は、決算日における資産、負債の計上金額および報告期間における収益・費用の計上金額に影響を与える見積り、判断、仮定を必要とします。当社グループは、過去の実績や状況に応じて合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づき、継続的に見積りの検証を行っています。これらの見積りには不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる見積り項目は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、感染拡大の収束時期を予想することは困難でありますが、翌連結会計年度の後半から徐々に収束に向かうとの前提により、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性などの会計上の見積りを行っております。
収益及び費用の計上
当社グループでは、当連結会計年度末までの進捗部分についての成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)により、完成工事高を計上しております。原価比例法では、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から工事原価総額を見積り、進捗率を算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂が工事の進捗率に影響することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
工事損失引当金
当社グループでは、当連結会計年度末における未引渡工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能な工事について、損失見込額を計上しています。損失見込額は、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から見積った工事原価総額により算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂により、工事損失引当金が増額または減額することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
貸倒引当金
当社グループでは、売掛金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合は、追加の引当を行うことで、当社グループ業績に影響する可能性があります。
固定資産の減損
当社グループでは、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しています。固定資産の回収可能価額は、経営計画や割引率などを前提条件として算定する将来キャッシュ・フローおよび時価などに基づく正味売却価額を用いて見積ります。当初想定していた収益が見込めない場合や時価の変動などにより前提条件が変化した場合は、回収可能価額の見積りを変更します。将来、見積りの変更により減損処理が必要となった場合は、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、その結果回収の実現が困難と考えられる資産については、評価性引当金を計上しております。回収可能性の判断については、経営計画や将来減算(加算)一時差異の解消スケジュールなどを検討して課税所得見込額を予測し、実現可能性を評価しています。課税所得の予測は、市場動向や当社グループの業績などの影響を受けるため、それらの要因の変化により、繰延税金資産の回収が困難になったと判断した場合は、評価性引当金の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
退職給付債務および退職給付費用
当社グループでは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産を控除した金額を計上しています。退職給付債務および退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率などの前提条件に基づき算定します。実際の運用結果が想定と異なる場合や割引率などの前提条件が変更された場合、その計算上の差異は将来に渡って規則的に認識され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
投資有価証券
当社グループでは、投資有価証券を保有しております。時価のある有価証券は決算日の市場価格等による時価法を、時価のない有価証券は移動平均法による原価基準により評価しています。時価のある有価証券の連結会計年度末の時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合は原則減損処理を行い、30%から50%未満下落した場合は、回収可能性等を考慮して必要な額を減損しています。また、時価のない有価証券については、実質価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合は、回収可能性等を考慮して減損処理を行います。将来、市況悪化や投資先の業績悪化などの状況変化により減損処理が必要と判断した場合には、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績の分析
売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比104億73百万円増加して、1,812億32百万円となりました。これは主に、日本、東アジアでの増加によります。この結果、海外売上高の連結売上高に占める割合は、前期59.6%から0.4ポイント増加して、60.0%となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前期比62億16百万円増加して、1,410億9百万円となりました。売上原価率は同1.1ポイント減少し、77.8%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比11億94百万円増加して、268億47百万円となり、売上高に対する割合(売上高販管費率)は同0.2ポイント減少して、14.8%となりました。
以上の結果、営業利益は、133億75百万円(前期比29.7%増)となりました。
営業外損益
営業外損益は、前期の16億8百万円の利益(純額)から、3億1百万円減少して、13億7百万円の利益(純額)となりました。これは主として、前期の為替差益から、当期は為替差損の計上となったことによるものです。
この結果、経常利益は、146億82百万円(前期比23.2%増)となりました。
特別損益
特別損益は、前期の6億2百万円の利益(純額)から1億89百万円の損失(純額)となり、前期に比べ、利益が5億21百万円減少、損失が2億69百万円増加しました。これは主に、投資有価証券売却益が6億83百万円の減少、前期の事務所移転費用1億65百万円がなくなったことに対し、関係会社株式評価損4億39百万円を計上したことによります。
以上の要因を反映して、税金等調整前当期純利益は、144億93百万円(前期比15.7%増)となりました。
法人税等(法人税等調整額を含む。)
法人税等は、前期に比べ4億46百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は8億26百万円、増加しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、99億16百万円(前期比7.6%増)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は、前期の114.14円から8.32円増加して、122.46円となりました。
③資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループは、運転資金および設備投資資金については、内部資金または借入により調達しています。このうち、運転資金の借入による調達は、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が運転資金として使用する現地通貨で調達することが一般的であります。2020年3月31日現在、短期借入金残高は39億90百万円であります。これに対して、生産設備などの長期資金の借入による調達は、原則として、長期借入金で行っています。2020年3月31日現在、長期借入金残高(1年内返済予定の長期借入金を含む)は2億17百万円であり、米ドルによる借入であります。
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび借入、必要に応じて資本市場等よりの調達により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および生産設備などの長期資金を調達することが可能と考えています。
なお、当社は現在、社債発行枠が100億円の発行登録を継続しています。
④財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、②財政状態の状況」に記載のとおりです。
⑤キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年4月17日に公表しました、2020年3月期を初年度とする3カ年中期経営計画“Innovation, Quality & Speed”において、売上高、営業利益、営業利益率、ROEを重要な経営指標として位置付けています。
中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、売上高1,710億円、営業利益104億円、営業利益率6.1%を目標としてスタートしました。しかし、中国の新設工事の増加や販売価格の改善などによる採算性向上により、東アジアでの増収増益を考慮し、2020年2月6日付で、目標を売上高1,800億円、営業利益135億円、営業利益率7.5%に修正しました。
当連結会計年度における修正目標に対する達成状況は、売上高は修正目標比0.7%増の1,812億32百万円、営業利益は目標から1億24百万円減の133億75百万円、営業利益率は目標から0.1ポイント低下して7.4%となりました。なお、ROEにつきましては、中期経営計画の最終年度2022年3月期の目標値として8.0%以上と設定しておりますが、当連結会計年度末では9.5%となっています。
| 実績 | 修正目標 (2020年2月6日公表) | 当初目標 (2019年5月10日公表) | ||
| 売上高 | (百万円) | 181,232 | 180,000 | 171,000 |
| 営業利益 | (百万円) | 13,375 | 13,500 | 10,400 |
| 営業利益率 | (%) | 7.4 | 7.5 | 6.1 |
| ROE | (%) | 9.5 | ― | ― |
中期経営計画“Innovation, Quality & Speed”の初年度にて、最終年度2022年3月期の目標数値(売上高1,800億円、営業利益130億円、営業利益率7.2%、ROE8.0%以上)を達成いたしました。しかし、第2年度の2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減収減益が見込まれ、また、感染症の収束時期は不透明であることから、最終年度の目標数値は据え置いております。
なお、同計画の経営戦略については変更なく、引き続き推進していきます。
経営目標および経営戦略につきましては、「第2 事業の状況、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」および「(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題」に記載のとおりです。