有価証券報告書-第149期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営計画の進捗
①経営上の目標として掲げた指標の状況
当連結会計年度は、当グループが成長へのギアチェンジを実現し、「2018中期経営計画」で掲げた調整後営業利益率8%超、親会社株主に帰属する当期利益4,000億円超、ROA5%超の達成に向けて着実に進捗した年となった。経営上の目標として用いた主な指標の当連結会計年度の状況は次のとおりである。
②グローバルでの事業拡大
当グループは、各地域で主力事業をより一層成長・拡大させることにより、グローバルでの事業拡大を図っている。当連結会計年度における主な状況は、次のとおりである。
鉄道事業
・英国において都市間高速鉄道計画(IEP)向け車両をはじめ売上を拡大
・北米においてマイアミメトロ向け車両納入開始、ボルチモア地下鉄向けの車両・信号システムの受注
産業機器事業
・Sullairブランドの空気圧縮機事業の買収によって北米における販売網を獲得
ITプロダクツ事業
・北米においてフラッシュストレージ製品の販売が好調
建設機械事業
・中国において市況の回復を捉えて売上を拡大
③事業再編成
当グループは、社会イノベーション事業への経営資源の重点的配分を推進するため、継続的に事業の再編成に取り組んでいる。主な取組みは、次のとおりである。
当社は、2017年4月、Accudyne Industries Borrower, S.C.A.(以下「アキュダイン社」という。)と、アキュダイン社の子会社及び保有資産で運営され、Sullairブランドの空気圧縮機の製造・販売を手がけるSullair事業を日立が買収する契約を締結し、同年7月、Sullair事業を取得した。
当社は、2017年4月、Kohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.によって間接的に保有・運営されている関連投資ファンドが持分の全てを所有するHKEホールディングス合同会社(以下「HKE」という。)及び日本産業パートナーズ株式会社が管理・運営・情報提供等を行うファンドが出資するHVJホールディングス株式会社(以下「HVJ」という。)との間で、(i)HKEが実施する予定である株式会社日立国際電気(以下「日立国際電気」という。)の普通株式(以下「日立国際電気株式」という。)に対する公開買付け及び株式併合等並びに日立国際電気による自己株式の取得を通じた日立国際電気の完全子会社化、(ⅱ)当該完全子会社化後にHKE及び日立国際電気が予定しているHKEを承継法人とする日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業の吸収分割(以下「本会社分割」という。)、並びに(ⅲ)本会社分割後のHKEによる日立国際電気株式の20%ずつの当社及びHVJへの譲渡、その他これらに付随又は関連する取引等に関して基本契約書を締結し、2018年6月をもって上記(i)乃至(ⅲ)の一連の取引は全て完了した。
また、当グループは、課題事業への対策として、低収益事業の縮小・撤退及び収益性改善や人員の適正配置等の事業構造改革を継続して推進している。
(2)経営成績の状況の分析
①業績の状況
売上収益は、前年度に日立キャピタル㈱及び㈱日立物流を持分法適用会社とし、日立工機㈱を連結対象外とするなどの事業ポートフォリオの見直しを進めた影響があったものの、中国を中心に海外市場での販売が増加した建設機械セグメントやエレクトロニクス及び自動車関連製品の販売が増加した高機能材料セグメントが増収となったことを主因として、前年度に比べて2%増加し、9兆3,686億円となった。
売上原価は、前年度に比べて1%増加し、6兆8,665億円となり、売上収益に対する比率は、前年度に比べて1%減少し、73%となった。売上総利益は、前年度に比べて5%増加し、2兆5,020億円となった。
販売費及び一般管理費は、前年度と同水準の1兆7,874億円となり、売上収益に対する比率は、前年度の20%に対して、19%となった。
調整後営業利益は、建設機械セグメントが増収に伴い増益となったこと、社会・産業システムセグメントにおいて産業・流通分野、電力・エネルギー事業、産業機器事業の収益性が改善したこと、情報・通信システムセグメントが前年度に実施した事業構造改革の効果や国内システムインテグレーション事業の収益性改善により増益となったこと等から、前年度に比べて1,273億円増加し、7,146億円となった。
その他の収益は、前年度に比べて886億円減少して120億円となり、その他の費用は、前年度に比べて58億円減少して1,406億円となった。主な内訳は、以下のとおりである。固定資産損益は、前年度に比べて176億円悪化し、25億円の損失となった。減損損失は、前年度に比べて199億円減少し、486億円となった。主な内容は、情報・通信システムセグメントにおいて計上した無形資産等の減損損失である。事業再編等利益は、㈱日立物流株式の一部売却や日立工機㈱株式の売却等を実施した前年度に比べて715億円減少し、97億円となった。特別退職金は、前年度に比べて89億円減少し、157億円となった。競争法等関連費用は、前年度に比べて75億円増加し、142億円となった。
金融収益(受取利息を除く)は、前年度と同水準の70億円となり、金融費用(支払利息を除く)は、前年度に比べて149億円減少して112億円となった。
持分法による投資損益は、社会・産業システムセグメントにおいて米国の持分法適用会社が取り組むウラン濃縮事業に関する減損損失に伴って471億円の損失を計上した前年度に対して1,096億円改善し、624億円の利益となった。
これらの結果、EBITは、前年度に比べて1,690億円増加し、6,442億円となった。
受取利息は、前年度に比べて20億円増加して149億円となり、支払利息は、前年度に比べて15億円増加して205億円となった。
継続事業税引前当期利益は、前年度に比べて1,695億円増加し、6,386億円となった。
法人所得税費用は、継続事業税引前当期利益の増加等により、前年度に比べて65億円増加し、1,317億円となった。
非継続事業当期損失は、前年度に比べて100億円増加し、160億円となった。
当期利益は、前年度に比べて1,528億円増加し、4,909億円となった。
非支配持分に帰属する当期利益は、前年度に比べて211億円増加し、1,279億円となった。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期利益は、前年度に比べて1,317億円増加し、3,629億円となった。
②セグメントごとの業績の状況
セグメントごとに業績の状況を概観すると次のとおりである。各セグメントの売上収益は、セグメント間内部売上収益を含んでいる。
(情報・通信システム)
売上収益は、国内システムインテグレーション事業の増収や為替換算影響等により、前年度に比べて1%増加し、2兆89億円となった。
調整後営業利益は、国内システムインテグレーション事業の収益性の改善やITプラットフォーム&プロダクツ事業の事業構造改革の効果等により、前年度に比べて362億円増加し、1,892億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、事業構造改革関連費用の減少等により、前年度に比べて628億円増加し、1,392億円となった。
(社会・産業システム)
売上収益は、電力・エネルギー事業が減収となり、産業・流通分野において低収益事業からの撤退を進めた一方で、鉄道システム事業が英国向けの売上の拡大等により増収となったことに加え、産業機器事業がSullairブランドの空気圧縮機事業(Sullair事業)の買収に伴い増収となったこと等により、前年度に比べて2%増加し、2兆3,750億円となった。
調整後営業利益は、中国での昇降機事業において平均売価の下落や資材費の高騰の影響があったものの、産業・流通分野向けの事業や電力・エネルギー事業、産業機器事業の収益性が改善したこと等により、前年度に比べて385億円増加し、1,155億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、前年度に計上した米国の持分法適用会社におけるウラン濃縮事業に関する減損損失がなくなった影響等により、前年度の199億円の損失から1,212億円改善し、1,012億円の利益となった。
(電子装置・システム)
売上収益は、㈱日立国際電気及び㈱日立ハイテクノロジーズが半導体製造装置の販売増加により増収となったものの、前年度に日立工機㈱が連結対象から外れたことにより、前年度に比べて7%減少し、1兆865億円となった。
調整後営業利益は、半導体製造装置の販売増加により㈱日立国際電気が増益となったこと等により、前年度に比べて53億円増加し、869億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、㈱日立国際電気において事業構造改革関連費用が減少したこと等により、前年度に比べて220億円増加し、888億円となった。
(建設機械)
売上収益は、中国をはじめとする海外市場での建設機械の販売増加に加え、前年度に日立建機㈱がオーストラリアや米国で企業買収を行った影響や為替影響等により、前年度に比べて27%増加し、9,591億円となった。
調整後営業利益は、建設機械の販売増加に伴う増収や前年度に企業買収を行った影響等により、前年度に比べて662億円増加し、925億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、持分法利益の増加等により、前年度に比べて743億円増加し、970億円となった。
(高機能材料)
売上収益は、日立金属㈱及び日立化成㈱の両社において、エレクトロニクス及び自動車関連製品の販売が増加したことに加え、日立化成㈱がイタリア等で企業買収を行った影響や日立金属㈱における原材料価格高騰に連動した販売価格の上昇等により、前年度に比べて13%増加し、1兆6,575億円となった。
調整後営業利益は、日立金属㈱において原材料価格の上昇や耐熱鋳造部品事業、アルミホイール事業の収益性の低下の影響があったものの、売上収益の増加に伴い、前年度に比べて19億円増加し、1,218億円となった。
EBITは、日立金属㈱においてアルミホイール事業の収益性低下に伴う減損損失を計上したことや前年度に事業再編等利益を計上していたことに加え、日立化成㈱において競争法等関連費用を計上したこと等により、前年度に比べて246億円減少し、986億円となった。
(オートモティブシステム)
売上収益は、車載情報システム事業における販売低迷や北米での自動車部品需要の減退の影響があったものの、中国向けの自動車部品の販売が伸長したことや為替換算影響等により、前年度に比べて1%増加し、1兆10億円となった。
調整後営業利益は、クラリオン㈱における車載情報システム事業の収益性の低下や北米における販売減少等により、67億円減少し、495億円となった。
EBITは、調整後営業利益の減少に加え、前年度に固定資産利益を計上していたこと等により、前年度に比べて234億円減少し、424億円となった。
(生活・エコシステム)
売上収益は、前年度に比べて3%減少し、5,401億円となった。
調整後営業利益は、売上収益が減少したものの、コスト低減の効果や事業構造改革の効果等により、26億円増加の251億円となった。
EBITは、前年度に計上していた固定資産利益がなくなったものの、調整後営業利益の増加や空調システム事業に係る持分法利益の増加等により、前年度に比べて15億円増加し、333億円となった。
(その他)
売上収益は、前年度に比べて15%減少し、5,577億円となり、調整後営業利益は、前年度に比べて9億円減少し、214億円となった。これは㈱日立物流を持分法適用会社としたことを主因とする。EBITは、固定資産損益の改善等により、前年度に比べて12億円増加し、218億円となった。
③地域ごとの売上収益の状況
仕向地別に外部顧客向け売上収益の状況を概観すると次のとおりである。
国内
前年度に比べて2%減少し、4兆6,430億円となった。高機能材料セグメントが増収となったものの、社会・産業システムセグメント等が減収となったことや前年度に㈱日立物流及び日立キャピタル㈱を持分法適用会社としたこと等によるものである。
海外
(アジア)
前年度に比べて12%増加し、2兆811億円となった。㈱日立物流及び日立キャピタル㈱を持分法適用会社としたことに伴う減収があったものの、電子装置・システムセグメント、建設機械セグメント、高機能材料セグメント等が増収となったことによるものである。
(北米)
前年度に比べて3%増加し、1兆1,775億円となった。日立工機㈱が連結対象から外れた電子装置・システムセグメントが減収となったものの、産業機器事業が企業買収により増加した社会・産業システムセグメントや建設機械セグメントが増収となったことによるものである。
(欧州)
前年度に比べて1%減少し、9,644億円となった。鉄道システム事業が大きく増加した社会・産業システムセグメントや高機能材料セグメントが企業買収等により増収となったものの、日立工機㈱が連結対象から外れたことや日立キャピタル㈱を持分法適用会社としたことに伴う減収等によるものである。
(その他の地域)
前年度に比べて18%増加し、5,023億円となった。建設機械セグメントが企業買収等により増収となったこと等によるものである。
これらの結果、海外売上収益は、前年度に比べて7%増加し、4兆7,255億円となり、売上収益に占める比率は、前年度に比べて2%増加し、50%となった。
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
①流動性と資金の源泉
当社は、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としている。当社は、運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金の管理を当社や海外の金融子会社に集中させることを推進しており、グループ内の資金管理の効率改善に努めている。当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えており、短期投資についても、直ちに利用できる財源となりうると考えている。また、資金需要に応じて、国内及び海外の資本市場における債券の発行及び株式等の資本性証券の発行並びに金融機関からの借入により資金を調達することが可能である。設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて社債や株式等の発行により資金を調達することとしている。当社は、機動的な資金調達を可能とするため、3,000億円を上限とする社債の発行登録を行っている。
当社及び一部の子会社は、資金需要に応じた効率的な資金の調達を確保するため、複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定している。当社においては、契約期間1年で期間満了時に更新するコミットメントライン契約と、契約期間3年で2019年7月29日を期限とするコミットメントライン契約を締結している。2018年3月31日現在における当社及び子会社のコミットメントライン契約に係る借入未実行残高の合計は5,032億円であり、このうち当社は4,000億円である。
当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)及び㈱格付投資情報センター(R&I)から債券格付けを取得している。2018年3月31日現在における格付けの状況は、次のとおりである。
当社は、現在の格付け水準の下で、引き続き、国内及び海外の資本市場から必要な資金調達が可能であると考えており、格付け水準の維持・向上を図っていく。
②キャッシュ・フロー
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当期利益が前年度に比べて1,528億円増加した。棚卸資産の増減による支出が前年度に比べて1,584億円増加し、買入債務の増減に伴う収支が136億円悪化した一方、売上債権の増減に伴う資金収支が2,440億円改善した結果、運転資本の増減による支出は減少した。営業活動に関するキャッシュ・フローは、前年度に比べて975億円増加し、7,271億円の収入となった。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
固定資産関連の純投資額(注1)が前年度に比べて561億円減少し、4,064億円となったことに加えて、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却による収入が、㈱日立物流及び日立キャピタル㈱株式の一部売却や日立工機㈱株式の全部売却を実施した前年度に比べて707億円減少し、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得による支出が、Sullair事業の買収費用の支払い等により658億円増加したこと等により、投資活動に関するキャッシュ・フローの支出は、前年度に比べて1,363億円増加し、4,743億円となった。
(注)1.有形固定資産の取得及び無形資産の取得並びに有形及び無形賃貸資産の取得の合計額から、有形固定資産及び無形資産の売却、有形及び無形賃貸資産の売却並びにリース債権の回収の合計額を差し引いた額。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
短期借入金の増減による支出が、前年度に比べて1,289億円減少したほか、長期借入債務の純収入額(注2)が前年度の1,155億円の収入に対して、1,135億円の支出となったこと等により、財務活動に関するキャッシュ・フローの支出は、前年度に比べて1,119億円増加し、3,214億円となった。
(注)2.長期借入債務による調達から償還を差し引いた額。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年度末に比べて672億円減少し、6,979億円となった。また、営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合わせた所謂フリー・キャッシュ・フローは、前年度に比べて387億円減少し、2,528億円の収入となった。
③資産、負債及び資本
当連結会計年度末の総資産は、前年度末に比べて4,426億円増加し、10兆1,066億円となった。これは主として、社会・産業システムにおけるSullair事業買収や高機能材料セグメントにおける日立化成㈱による企業買収等によるものである。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年度末に比べて672億円減少し、6,979億円となった。
当連結会計年度末の有利子負債(短期借入金及び長期債務の合計)は、社債の償還及び借入金の返済等により、前年度末に比べて1,263億円減少し、1兆502億円となった。金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー等から成る短期借入金は、前年度末に比べて749億円減少し、1,214億円となった。償還期長期債務は、前年度末に比べて730億円減少し、1,171億円となった。社債及び銀行や保険会社からの借入等から成る長期債務(償還期を除く)は、前年度末に比べて216億円増加し、8,116億円となった。
当連結会計年度末の親会社株主持分は、前年度末に比べて3,109億円増加し、3兆2,780億円となった。親会社株主に帰属する当期利益を計上したこと等によるものである。この結果、当連結会計年度末の親会社株主持分比率は、前年度末の30.7%に対して、32.4%となった。
当連結会計年度末の非支配持分は、前年度末に比べて1,037億円増加し、1兆2,336億円となった。
当連結会計年度末の資本合計は、前年度末に比べて4,146億円増加し、4兆5,116億円となり、資本合計に対する有利子負債の比率は、前年度末の0.29倍に対して、0.23倍となった。
(4)生産、受注及び販売の状況
当グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていない。また、販売の状況については、「(2)経営成績の状況の分析」において各セグメントの業績に関連付けて示している。
(5)重要な会計方針及び見積り
IFRSに基づく連結財務諸表の作成においては、期末日における資産・負債の報告金額及び偶発的資産・債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響するような見積り及び仮定が必要となる。いくつかの会計上の見積りは、次の二つの理由により、連結財務諸表に与える重要性及びその見積りに影響する将来の事象が現在の判断と著しく異なる可能性があり、当社の財政状態、財政状態の変化又は業績の表示に重大な影響を及ぼす可能性がある。第一は、会計上の見積りがなされる時点においては、不確実性がきわめて高い事項についての仮定が必要になるため、第二は、当連結会計年度における会計上の見積りに合理的に用いることがありえた別の見積りが存在し、又は時間の経過により会計上の見積りの変化が合理的に起こりうるためである。重要な会計方針及び見積りの内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 注3.主要な会計方針の概要」に記載している。
(6)将来予想に関する記述
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「2 事業等のリスク」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」等は、当社又は当グループの今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述を含んでいる。将来予想に関する記述は、当社又は当グループが当有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえる。その要因のうち、主なものは以下のとおりである。
・主要市場(特に日本、アジア、米国及び欧州)における経済状況及び需要の急激な変動
・為替相場変動
・資金調達環境
・株式相場変動
・原材料・部品の不足及び価格の変動
・長期契約におけるコストの変動及び契約の解除
・信用供与を行った取引先の財政状態
・製品需給の変動
・製品需給、為替相場及び原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社及び子会社の能力
・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社及び子会社の能力
・人材の確保
・価格競争の激化
・社会イノベーション事業強化に係る戦略
・企業買収、事業の合弁及び戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
・事業再構築のための施策の実施
・持分法適用会社への投資に係る損失
・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国及び欧州)における社会状況及び貿易規制等各種規制
・コスト構造改革施策の実施
・自社の知的財産の保護及び他社の知的財産の利用の確保
・当社、子会社又は持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
・地震・津波等の自然災害、感染症の流行及びテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
・情報システムへの依存及び機密情報の管理
・退職給付に係る負債の算定における見積り
①経営上の目標として掲げた指標の状況
当連結会計年度は、当グループが成長へのギアチェンジを実現し、「2018中期経営計画」で掲げた調整後営業利益率8%超、親会社株主に帰属する当期利益4,000億円超、ROA5%超の達成に向けて着実に進捗した年となった。経営上の目標として用いた主な指標の当連結会計年度の状況は次のとおりである。
| 当連結会計年度 (2017年度) | 2018年度目標 | |
| 売上収益 | 93,686億円 | 100,000億円 |
| 調整後営業利益 | 7,146億円 | 8,000億円超 |
| 調整後営業利益率 | 7.6% | 8%超 |
| EBIT | 6,442億円 | 8,000億円超 |
| EBIT率 | 6.9% | 8%超 |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 3,629億円 | 4,000億円超 |
| 海外売上比率 | 50% | 55%超 |
| ROA | 5.0% | 5%超 |
②グローバルでの事業拡大
当グループは、各地域で主力事業をより一層成長・拡大させることにより、グローバルでの事業拡大を図っている。当連結会計年度における主な状況は、次のとおりである。
鉄道事業
・英国において都市間高速鉄道計画(IEP)向け車両をはじめ売上を拡大
・北米においてマイアミメトロ向け車両納入開始、ボルチモア地下鉄向けの車両・信号システムの受注
産業機器事業
・Sullairブランドの空気圧縮機事業の買収によって北米における販売網を獲得
ITプロダクツ事業
・北米においてフラッシュストレージ製品の販売が好調
建設機械事業
・中国において市況の回復を捉えて売上を拡大
③事業再編成
当グループは、社会イノベーション事業への経営資源の重点的配分を推進するため、継続的に事業の再編成に取り組んでいる。主な取組みは、次のとおりである。
当社は、2017年4月、Accudyne Industries Borrower, S.C.A.(以下「アキュダイン社」という。)と、アキュダイン社の子会社及び保有資産で運営され、Sullairブランドの空気圧縮機の製造・販売を手がけるSullair事業を日立が買収する契約を締結し、同年7月、Sullair事業を取得した。
当社は、2017年4月、Kohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.によって間接的に保有・運営されている関連投資ファンドが持分の全てを所有するHKEホールディングス合同会社(以下「HKE」という。)及び日本産業パートナーズ株式会社が管理・運営・情報提供等を行うファンドが出資するHVJホールディングス株式会社(以下「HVJ」という。)との間で、(i)HKEが実施する予定である株式会社日立国際電気(以下「日立国際電気」という。)の普通株式(以下「日立国際電気株式」という。)に対する公開買付け及び株式併合等並びに日立国際電気による自己株式の取得を通じた日立国際電気の完全子会社化、(ⅱ)当該完全子会社化後にHKE及び日立国際電気が予定しているHKEを承継法人とする日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業の吸収分割(以下「本会社分割」という。)、並びに(ⅲ)本会社分割後のHKEによる日立国際電気株式の20%ずつの当社及びHVJへの譲渡、その他これらに付随又は関連する取引等に関して基本契約書を締結し、2018年6月をもって上記(i)乃至(ⅲ)の一連の取引は全て完了した。
また、当グループは、課題事業への対策として、低収益事業の縮小・撤退及び収益性改善や人員の適正配置等の事業構造改革を継続して推進している。
(2)経営成績の状況の分析
①業績の状況
売上収益は、前年度に日立キャピタル㈱及び㈱日立物流を持分法適用会社とし、日立工機㈱を連結対象外とするなどの事業ポートフォリオの見直しを進めた影響があったものの、中国を中心に海外市場での販売が増加した建設機械セグメントやエレクトロニクス及び自動車関連製品の販売が増加した高機能材料セグメントが増収となったことを主因として、前年度に比べて2%増加し、9兆3,686億円となった。
売上原価は、前年度に比べて1%増加し、6兆8,665億円となり、売上収益に対する比率は、前年度に比べて1%減少し、73%となった。売上総利益は、前年度に比べて5%増加し、2兆5,020億円となった。
販売費及び一般管理費は、前年度と同水準の1兆7,874億円となり、売上収益に対する比率は、前年度の20%に対して、19%となった。
調整後営業利益は、建設機械セグメントが増収に伴い増益となったこと、社会・産業システムセグメントにおいて産業・流通分野、電力・エネルギー事業、産業機器事業の収益性が改善したこと、情報・通信システムセグメントが前年度に実施した事業構造改革の効果や国内システムインテグレーション事業の収益性改善により増益となったこと等から、前年度に比べて1,273億円増加し、7,146億円となった。
その他の収益は、前年度に比べて886億円減少して120億円となり、その他の費用は、前年度に比べて58億円減少して1,406億円となった。主な内訳は、以下のとおりである。固定資産損益は、前年度に比べて176億円悪化し、25億円の損失となった。減損損失は、前年度に比べて199億円減少し、486億円となった。主な内容は、情報・通信システムセグメントにおいて計上した無形資産等の減損損失である。事業再編等利益は、㈱日立物流株式の一部売却や日立工機㈱株式の売却等を実施した前年度に比べて715億円減少し、97億円となった。特別退職金は、前年度に比べて89億円減少し、157億円となった。競争法等関連費用は、前年度に比べて75億円増加し、142億円となった。
金融収益(受取利息を除く)は、前年度と同水準の70億円となり、金融費用(支払利息を除く)は、前年度に比べて149億円減少して112億円となった。
持分法による投資損益は、社会・産業システムセグメントにおいて米国の持分法適用会社が取り組むウラン濃縮事業に関する減損損失に伴って471億円の損失を計上した前年度に対して1,096億円改善し、624億円の利益となった。
これらの結果、EBITは、前年度に比べて1,690億円増加し、6,442億円となった。
受取利息は、前年度に比べて20億円増加して149億円となり、支払利息は、前年度に比べて15億円増加して205億円となった。
継続事業税引前当期利益は、前年度に比べて1,695億円増加し、6,386億円となった。
法人所得税費用は、継続事業税引前当期利益の増加等により、前年度に比べて65億円増加し、1,317億円となった。
非継続事業当期損失は、前年度に比べて100億円増加し、160億円となった。
当期利益は、前年度に比べて1,528億円増加し、4,909億円となった。
非支配持分に帰属する当期利益は、前年度に比べて211億円増加し、1,279億円となった。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期利益は、前年度に比べて1,317億円増加し、3,629億円となった。
②セグメントごとの業績の状況
セグメントごとに業績の状況を概観すると次のとおりである。各セグメントの売上収益は、セグメント間内部売上収益を含んでいる。
(情報・通信システム)
売上収益は、国内システムインテグレーション事業の増収や為替換算影響等により、前年度に比べて1%増加し、2兆89億円となった。
調整後営業利益は、国内システムインテグレーション事業の収益性の改善やITプラットフォーム&プロダクツ事業の事業構造改革の効果等により、前年度に比べて362億円増加し、1,892億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、事業構造改革関連費用の減少等により、前年度に比べて628億円増加し、1,392億円となった。
(社会・産業システム)
売上収益は、電力・エネルギー事業が減収となり、産業・流通分野において低収益事業からの撤退を進めた一方で、鉄道システム事業が英国向けの売上の拡大等により増収となったことに加え、産業機器事業がSullairブランドの空気圧縮機事業(Sullair事業)の買収に伴い増収となったこと等により、前年度に比べて2%増加し、2兆3,750億円となった。
調整後営業利益は、中国での昇降機事業において平均売価の下落や資材費の高騰の影響があったものの、産業・流通分野向けの事業や電力・エネルギー事業、産業機器事業の収益性が改善したこと等により、前年度に比べて385億円増加し、1,155億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、前年度に計上した米国の持分法適用会社におけるウラン濃縮事業に関する減損損失がなくなった影響等により、前年度の199億円の損失から1,212億円改善し、1,012億円の利益となった。
(電子装置・システム)
売上収益は、㈱日立国際電気及び㈱日立ハイテクノロジーズが半導体製造装置の販売増加により増収となったものの、前年度に日立工機㈱が連結対象から外れたことにより、前年度に比べて7%減少し、1兆865億円となった。
調整後営業利益は、半導体製造装置の販売増加により㈱日立国際電気が増益となったこと等により、前年度に比べて53億円増加し、869億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、㈱日立国際電気において事業構造改革関連費用が減少したこと等により、前年度に比べて220億円増加し、888億円となった。
(建設機械)
売上収益は、中国をはじめとする海外市場での建設機械の販売増加に加え、前年度に日立建機㈱がオーストラリアや米国で企業買収を行った影響や為替影響等により、前年度に比べて27%増加し、9,591億円となった。
調整後営業利益は、建設機械の販売増加に伴う増収や前年度に企業買収を行った影響等により、前年度に比べて662億円増加し、925億円となった。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、持分法利益の増加等により、前年度に比べて743億円増加し、970億円となった。
(高機能材料)
売上収益は、日立金属㈱及び日立化成㈱の両社において、エレクトロニクス及び自動車関連製品の販売が増加したことに加え、日立化成㈱がイタリア等で企業買収を行った影響や日立金属㈱における原材料価格高騰に連動した販売価格の上昇等により、前年度に比べて13%増加し、1兆6,575億円となった。
調整後営業利益は、日立金属㈱において原材料価格の上昇や耐熱鋳造部品事業、アルミホイール事業の収益性の低下の影響があったものの、売上収益の増加に伴い、前年度に比べて19億円増加し、1,218億円となった。
EBITは、日立金属㈱においてアルミホイール事業の収益性低下に伴う減損損失を計上したことや前年度に事業再編等利益を計上していたことに加え、日立化成㈱において競争法等関連費用を計上したこと等により、前年度に比べて246億円減少し、986億円となった。
(オートモティブシステム)
売上収益は、車載情報システム事業における販売低迷や北米での自動車部品需要の減退の影響があったものの、中国向けの自動車部品の販売が伸長したことや為替換算影響等により、前年度に比べて1%増加し、1兆10億円となった。
調整後営業利益は、クラリオン㈱における車載情報システム事業の収益性の低下や北米における販売減少等により、67億円減少し、495億円となった。
EBITは、調整後営業利益の減少に加え、前年度に固定資産利益を計上していたこと等により、前年度に比べて234億円減少し、424億円となった。
(生活・エコシステム)
売上収益は、前年度に比べて3%減少し、5,401億円となった。
調整後営業利益は、売上収益が減少したものの、コスト低減の効果や事業構造改革の効果等により、26億円増加の251億円となった。
EBITは、前年度に計上していた固定資産利益がなくなったものの、調整後営業利益の増加や空調システム事業に係る持分法利益の増加等により、前年度に比べて15億円増加し、333億円となった。
(その他)
売上収益は、前年度に比べて15%減少し、5,577億円となり、調整後営業利益は、前年度に比べて9億円減少し、214億円となった。これは㈱日立物流を持分法適用会社としたことを主因とする。EBITは、固定資産損益の改善等により、前年度に比べて12億円増加し、218億円となった。
③地域ごとの売上収益の状況
仕向地別に外部顧客向け売上収益の状況を概観すると次のとおりである。
国内
前年度に比べて2%減少し、4兆6,430億円となった。高機能材料セグメントが増収となったものの、社会・産業システムセグメント等が減収となったことや前年度に㈱日立物流及び日立キャピタル㈱を持分法適用会社としたこと等によるものである。
海外
(アジア)
前年度に比べて12%増加し、2兆811億円となった。㈱日立物流及び日立キャピタル㈱を持分法適用会社としたことに伴う減収があったものの、電子装置・システムセグメント、建設機械セグメント、高機能材料セグメント等が増収となったことによるものである。
(北米)
前年度に比べて3%増加し、1兆1,775億円となった。日立工機㈱が連結対象から外れた電子装置・システムセグメントが減収となったものの、産業機器事業が企業買収により増加した社会・産業システムセグメントや建設機械セグメントが増収となったことによるものである。
(欧州)
前年度に比べて1%減少し、9,644億円となった。鉄道システム事業が大きく増加した社会・産業システムセグメントや高機能材料セグメントが企業買収等により増収となったものの、日立工機㈱が連結対象から外れたことや日立キャピタル㈱を持分法適用会社としたことに伴う減収等によるものである。
(その他の地域)
前年度に比べて18%増加し、5,023億円となった。建設機械セグメントが企業買収等により増収となったこと等によるものである。
これらの結果、海外売上収益は、前年度に比べて7%増加し、4兆7,255億円となり、売上収益に占める比率は、前年度に比べて2%増加し、50%となった。
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
①流動性と資金の源泉
当社は、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としている。当社は、運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金の管理を当社や海外の金融子会社に集中させることを推進しており、グループ内の資金管理の効率改善に努めている。当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えており、短期投資についても、直ちに利用できる財源となりうると考えている。また、資金需要に応じて、国内及び海外の資本市場における債券の発行及び株式等の資本性証券の発行並びに金融機関からの借入により資金を調達することが可能である。設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて社債や株式等の発行により資金を調達することとしている。当社は、機動的な資金調達を可能とするため、3,000億円を上限とする社債の発行登録を行っている。
当社及び一部の子会社は、資金需要に応じた効率的な資金の調達を確保するため、複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定している。当社においては、契約期間1年で期間満了時に更新するコミットメントライン契約と、契約期間3年で2019年7月29日を期限とするコミットメントライン契約を締結している。2018年3月31日現在における当社及び子会社のコミットメントライン契約に係る借入未実行残高の合計は5,032億円であり、このうち当社は4,000億円である。
当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)及び㈱格付投資情報センター(R&I)から債券格付けを取得している。2018年3月31日現在における格付けの状況は、次のとおりである。
| 格付会社 | 長期会社格付け | 短期会社格付け |
| ムーディーズ | A3 | P-2 |
| S&P | A- | A-2 |
| R&I | A+ | a-1 |
当社は、現在の格付け水準の下で、引き続き、国内及び海外の資本市場から必要な資金調達が可能であると考えており、格付け水準の維持・向上を図っていく。
②キャッシュ・フロー
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当期利益が前年度に比べて1,528億円増加した。棚卸資産の増減による支出が前年度に比べて1,584億円増加し、買入債務の増減に伴う収支が136億円悪化した一方、売上債権の増減に伴う資金収支が2,440億円改善した結果、運転資本の増減による支出は減少した。営業活動に関するキャッシュ・フローは、前年度に比べて975億円増加し、7,271億円の収入となった。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
固定資産関連の純投資額(注1)が前年度に比べて561億円減少し、4,064億円となったことに加えて、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却による収入が、㈱日立物流及び日立キャピタル㈱株式の一部売却や日立工機㈱株式の全部売却を実施した前年度に比べて707億円減少し、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得による支出が、Sullair事業の買収費用の支払い等により658億円増加したこと等により、投資活動に関するキャッシュ・フローの支出は、前年度に比べて1,363億円増加し、4,743億円となった。
(注)1.有形固定資産の取得及び無形資産の取得並びに有形及び無形賃貸資産の取得の合計額から、有形固定資産及び無形資産の売却、有形及び無形賃貸資産の売却並びにリース債権の回収の合計額を差し引いた額。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
短期借入金の増減による支出が、前年度に比べて1,289億円減少したほか、長期借入債務の純収入額(注2)が前年度の1,155億円の収入に対して、1,135億円の支出となったこと等により、財務活動に関するキャッシュ・フローの支出は、前年度に比べて1,119億円増加し、3,214億円となった。
(注)2.長期借入債務による調達から償還を差し引いた額。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年度末に比べて672億円減少し、6,979億円となった。また、営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合わせた所謂フリー・キャッシュ・フローは、前年度に比べて387億円減少し、2,528億円の収入となった。
③資産、負債及び資本
当連結会計年度末の総資産は、前年度末に比べて4,426億円増加し、10兆1,066億円となった。これは主として、社会・産業システムにおけるSullair事業買収や高機能材料セグメントにおける日立化成㈱による企業買収等によるものである。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年度末に比べて672億円減少し、6,979億円となった。
当連結会計年度末の有利子負債(短期借入金及び長期債務の合計)は、社債の償還及び借入金の返済等により、前年度末に比べて1,263億円減少し、1兆502億円となった。金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー等から成る短期借入金は、前年度末に比べて749億円減少し、1,214億円となった。償還期長期債務は、前年度末に比べて730億円減少し、1,171億円となった。社債及び銀行や保険会社からの借入等から成る長期債務(償還期を除く)は、前年度末に比べて216億円増加し、8,116億円となった。
当連結会計年度末の親会社株主持分は、前年度末に比べて3,109億円増加し、3兆2,780億円となった。親会社株主に帰属する当期利益を計上したこと等によるものである。この結果、当連結会計年度末の親会社株主持分比率は、前年度末の30.7%に対して、32.4%となった。
当連結会計年度末の非支配持分は、前年度末に比べて1,037億円増加し、1兆2,336億円となった。
当連結会計年度末の資本合計は、前年度末に比べて4,146億円増加し、4兆5,116億円となり、資本合計に対する有利子負債の比率は、前年度末の0.29倍に対して、0.23倍となった。
(4)生産、受注及び販売の状況
当グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていない。また、販売の状況については、「(2)経営成績の状況の分析」において各セグメントの業績に関連付けて示している。
(5)重要な会計方針及び見積り
IFRSに基づく連結財務諸表の作成においては、期末日における資産・負債の報告金額及び偶発的資産・債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響するような見積り及び仮定が必要となる。いくつかの会計上の見積りは、次の二つの理由により、連結財務諸表に与える重要性及びその見積りに影響する将来の事象が現在の判断と著しく異なる可能性があり、当社の財政状態、財政状態の変化又は業績の表示に重大な影響を及ぼす可能性がある。第一は、会計上の見積りがなされる時点においては、不確実性がきわめて高い事項についての仮定が必要になるため、第二は、当連結会計年度における会計上の見積りに合理的に用いることがありえた別の見積りが存在し、又は時間の経過により会計上の見積りの変化が合理的に起こりうるためである。重要な会計方針及び見積りの内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 注3.主要な会計方針の概要」に記載している。
(6)将来予想に関する記述
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「2 事業等のリスク」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」等は、当社又は当グループの今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述を含んでいる。将来予想に関する記述は、当社又は当グループが当有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえる。その要因のうち、主なものは以下のとおりである。
・主要市場(特に日本、アジア、米国及び欧州)における経済状況及び需要の急激な変動
・為替相場変動
・資金調達環境
・株式相場変動
・原材料・部品の不足及び価格の変動
・長期契約におけるコストの変動及び契約の解除
・信用供与を行った取引先の財政状態
・製品需給の変動
・製品需給、為替相場及び原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社及び子会社の能力
・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社及び子会社の能力
・人材の確保
・価格競争の激化
・社会イノベーション事業強化に係る戦略
・企業買収、事業の合弁及び戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
・事業再構築のための施策の実施
・持分法適用会社への投資に係る損失
・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国及び欧州)における社会状況及び貿易規制等各種規制
・コスト構造改革施策の実施
・自社の知的財産の保護及び他社の知的財産の利用の確保
・当社、子会社又は持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
・地震・津波等の自然災害、感染症の流行及びテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
・情報システムへの依存及び機密情報の管理
・退職給付に係る負債の算定における見積り