四半期報告書-第153期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/10 14:06
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42項目
(1)経営成績の状況の分析
業績の状況
当グループの当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
売上収益は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により悪化していた市況の回復や為替影響に加えて、日立Astemo㈱に係る経営統合(日立オートモティブシステム㈱と㈱ケーヒン、㈱ショーワ及び日信工業㈱の経営統合)やABB Ltdのパワーグリッド事業買収、GlobalLogic Inc.(以下、「GlobalLogic社」という。)買収による増収等により、前年同期に比べて23%増加し、7兆3,466億円となりました。
売上原価は、前年同期に比べて24%増加し、5兆5,322億円となり、売上収益に対する比率は、前年同期に比べて1%増加して75%となりました。売上総利益は、前年同期に比べて19%増加し、1兆8,144億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前年同期に比べて10%増加し、1兆3,299億円となり、売上収益に対する比率は、前年同期に比べて2%減少し、18%となりました。
調整後営業利益(売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標。)は、売上収益の増加等により、前年同期に比べて1,675億円増加し、4,844億円となりました。
その他の収益は、Arcelik Hitachi Home Appliances B.V.株式の一部売却による事業再編等利益を計上したものの、前年同期には日立化成㈱株式売却による事業再編等利益を計上していたこと等により、前年同期に比べて1,911億円減少して1,003億円となりました。その他の費用は、前年同期にオートモティブシステム事業における固定資産の減損損失や日立金属における磁性材料事業の収益性低下等による減損損失を計上していたこと等により、前年同期に比べて802億円減少して311億円となりました。
前年同期に為替差損を計上していましたが、当期は各国通貨の円安化等により為替差益を計上したため、金融収益(受取利息を除く)は、前年同期に比べて115億円増加して149億円となり、金融費用(支払利息を除く)は、前年同期に比べて37億円減少して5億円となりました。
持分法による投資損益は、前年同期に比べて259億円増加し、333億円の利益となりました。
これらの結果、EBIT(受取利息及び支払利息調整後税引前四半期利益。継続事業税引前四半期利益から、受取利息の額を減算し、支払利息の額を加算して算出した指標。)は、前年同期に比べて978億円増加し、6,014億円となりました。
受取利息は、前年同期に比べて10億円減少して113億円となり、支払利息は、前年同期に比べて25億円増加して195億円となりました。
継続事業税引前四半期利益は、前年同期に比べて942億円増加し、5,932億円となりました。
法人所得税費用は、事業再編に伴う税金費用の影響等により、前年同期に比べて1,031億円減少し、810億円となりました。
四半期利益は、前年同期に比べて1,981億円増加し、5,122億円となりました。
非支配持分に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて552億円増加し、614億円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて1,429億円増加し、4,507億円となりました。
セグメントごとの業績の状況
セグメントごとに業績の状況を概観すると次のとおりです。各セグメントの売上収益は、セグメント間内部売上収益を含んでいます。また、当第3四半期連結累計期間の期首より、日立Astemo㈱及びそのグループ会社から成るオートモティブシステム事業を、オートモティブシステムセグメントとしてライフセグメントから独立させており、比較する前年同期の数値も新区分に組み替えています。
(IT)
売上収益は、GlobalLogic社買収による増収を含むLumada事業の伸長等により、前年同期に比べて4%増加し、1兆4,954億円となりました。
調整後営業利益は、売上収益が増加したものの、半導体不足の影響やGlobalLogic社買収に伴う無形資産等の償却費や統合に向けた一時的費用等の関連費用の計上等により、前年同期に比べて32億円減少し、1,706億円となりました。
EBITは、調整後営業利益が減少したものの、前年同期に固定資産の減損損失を計上していたこと等により、前年同期に比べて8億円増加し、1,626億円となりました。
(エネルギー)
売上収益は、原子力事業における作業高減少や風力発電システム事業における戦略変更等の減収要因があったものの、ABB Ltdのパワーグリッド事業買収による増収等により、前年同期に比べて37%増加し、1兆363億円となりました。
調整後営業利益は、ABB Ltdのパワーグリッド事業の買収に伴う無形資産等の償却費や構造改革関連費用の計上等があったものの、当該買収による増益やコスト削減等により、前年同期に比べて156億円改善し、69億円の利益となりました。
EBITは、調整後営業利益の増加等により、前年同期に比べて309億円改善し、204億円の利益となりました。
(インダストリー)
売上収益は、市況の回復に伴って、産業・流通事業においてJR Automation Technology, LLCが増収となったほか、水・環境事業における空調システム事業やインダストリアルプロダクツ事業が増収となったこと等により、前年同期に比べて10%増加し、6,061億円となりました。
調整後営業利益は、売上収益の増加に加えて、産業・流通事業におけるデジタルソリューション事業の収益性改善等により、前年同期に比べて296億円増加し、536億円となりました。
EBITは、調整後営業利益の増加等により、前年同期に比べて286億円増加し、546億円となりました。
(モビリティ)
売上収益は、中国事業の拡大等によるビルシステム事業の増収や作業高増加等に伴う鉄道システム事業の増収に加え、為替影響等により、前年同期に比べて25%増加し、1兆777億円となりました。
調整後営業利益は、ビルシステム事業における部材価格高騰等の影響があったものの、売上収益が増加したこと等により、前年同期に比べて53億円増加し、647億円となりました。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、Agility Trains East (Holdings) Limited株式の売却益計上等により、前年同期に比べて199億円増加し、901億円となりました。
(ライフ)
売上収益は、画像診断関連事業の売却や海外家電事業の一部売却に伴う減収等に加えて、㈱日立ハイテクのインダストリアル・ソリューション事業における一部事業撤退の影響等により、前年同期に比べて17%減少し、7,433億円となりました。
調整後営業利益は、売上収益の減少に加えて、㈱日立ハイテクのナノテクノロジー・ソリューション事業における製品構成差と戦略的投資増加の影響等により、前年同期に比べて108億円減少し、519億円となりました。
EBITは、調整後営業利益は減少したものの、Arcelik Hitachi Home Appliances B.V.株式の一部売却に伴う事業再編等利益の計上等により、前年同期に比べて467億円増加し、1,100億円となりました。
(オートモティブシステム)
売上収益は、半導体不足に伴う自動車メーカーの減産やCOVID-19拡大によるインドのロックダウンに伴う部品供給減少等の減収要因があったものの、日立Astemo㈱に係る経営統合や前年度にCOVID-19拡大によって悪化した操業度の改善に伴う増収等により、前年同期に比べて104%増加し、1兆1,513億円となりました。
調整後営業利益は、半導体不足に伴う自動車メーカーの減産や部材価格の高騰等の影響があったものの、売上収益の増加等により、前年同期に比べて346億円改善し、345億円の利益となりました。
EBITは、調整後営業利益の増加や前年同期に固定資産の減損損失を計上していたこと等により、前年同期に比べて717億円改善し、319億円の利益となりました。
(日立建機)
売上収益は、市況の回復に伴う増収や米州での価格調整及び為替影響等により、前年同期に比べて29%増加し、7,203億円となりました。
調整後営業利益は、鋼材価格の高騰等の影響があったものの、売上収益の増加等により、前年同期に比べて429億円増加し、604億円となりました。
EBITは、調整後営業利益の増加や持分法による投資利益の増加等により、前年同期に比べて540億円増加し、676億円となりました。
(日立金属)
売上収益は、自動車向け製品等の市況の回復に伴う増収等により、前年同期に比べて28%増加し、6,908億円となりました。
調整後営業利益は、売上収益の増加等により、前年同期に比べて292億円改善し、206億円の利益となりました。
EBITは、調整後営業利益の増加に加え、前年同期に磁性材料事業における減損損失を計上していたこと等により、前年同期に比べて598億円改善し、215億円の利益となりました。
(その他)
売上収益は、前年同期に比べて2%増加し、3,233億円となりました。調整後営業利益は、前年同期に比べて26億円増加し、153億円となり、EBITは、前年同期に比べて74億円増加し、235億円となりました。
国内・海外売上収益の状況
国内売上収益は、ライフセクターにおける画像診断関連事業の売却による減収や㈱日立ハイテクのインダストリアル・ソリューション事業における一部事業撤退の影響等があったものの、日立Astemo㈱に係る経営統合や市況の回復によるオートモティブシステムの増収、日立金属の増収等により、前年同期に比べて3%増加し、2兆8,838億円となりました。
海外売上収益は、ライフセクターにおける画像診断関連事業の売却や海外家電事業の一部売却による減収があったものの、日立Astemo㈱に係る経営統合や市況の回復によるオートモティブシステムの増収、ABB Ltdのパワーグリッド事業を買収したエネルギーセクターの増収等により、前年同期に比べて41%増加し、4兆4,628億円となりました。
この結果、売上収益に占める海外売上収益の比率は、前年同期に比べて8%増加し、61%となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
流動性と資金の源泉
当第3四半期連結累計期間において、流動性の維持及び資金の確保の方針、資金管理の効率の改善に向けた取組み並びに資金の源泉及び資金調達の考え方に重要な変更はありません。
キャッシュ・フロー
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
四半期利益は前年同期に比べて1,981億円増加しました。買入債務が前年同期の833億円の減少に対して473億円の増加となったものの、売上債権及び契約資産の増減による収入が前年同期に比べて1,662億円減少したこと、棚卸資産の増減による支出が前年同期に比べて2,006億円増加したことに加え、法人所得税等の支払いが前年同期に比べて644億円増加したこと等により、営業活動に関するキャッシュ・フローの収入は、前年同期に比べて1,692億円減少し、2,571億円となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得による支出が、当第3四半期連結累計期間にはGlobalLogic Worldwide Holdings, Inc.株式を取得した一方、前年同期にはHitachi Energy Ltd株式を取得したこと等により、前年同期に比べて838億円減少しました。一方、固定資産関連の純投資額(注1)が前年同期に比べて451億円増加して2,574億円の支出となったことに加え、前年同期には日立化成㈱株式を売却したこと等から、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却による収入が3,253億円減少したこと等により、投資活動に関するキャッシュ・フローの支出は、前年同期に比べて2,616億円増加し、1兆277億円となりました。
(注)1.有形固定資産の取得及び無形資産の取得の合計額から、有形固定資産及び無形資産の売却を差し引いた額。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
長期借入債務の純収入額(注2)が前年同期の2,809億円の収入に対して、2,108億円の支出になったものの、短期借入金の純増減による収入が前年同期に比べて3,004億円増加したこと、非支配持分株主からの子会社持分取得による支出が、前年同期は㈱日立ハイテク株式を取得したこと等から、前年同期に比べて5,113億円減少したこと等により、財務活動に関するキャッシュ・フローの収入は、前年同期に比べて2,749億円増加し、7,101億円となりました。
(注)2.長期借入債務による調達から償還を差し引いた額。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物は、前年度末に比べて256億円減少し、9,902億円となりました。また、営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合わせた所謂フリー・キャッシュ・フローは、前年同期に比べて4,308億円減少し、7,705億円の支出となりました。
資産、負債及び資本
当グループの当第3四半期連結累計期間末の資産、負債及び資本の状況は次のとおりです。
総資産は、売上債権及び契約資産や現金及び現金同等物は減少したものの、GlobalLogic社の買収に伴うのれんの増加等により、前年度末に比べて1兆5,710億円増加し、13兆4,238億円となりました。
有利子負債(短期借入金及び長期債務の合計)は、短期借入金の増加等により、前年度末に比べて1兆1,194億円増加し、3兆5,167億円となりました。
親会社株主持分は、前年度末に比べて4,246億円増加し、3兆9,501億円となりました。この結果、親会社株主持分比率は、前年度末の29.7%に対して29.4%となりました。
非支配持分は、前年度末に比べて184億円増加し、9,512億円となりました。
資本合計は、前年度末に比べて4,431億円増加し、4兆9,013億円となり、資本合計に対する有利子負債の比率は、前年度末の0.54倍に対して0.72倍となりました。
(3)経営方針
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(4)対処すべき課題
①事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動の状況について、重要な変更はありません。当第3四半期連結累計期間における当グループの研究開発費は、売上収益の3.1%にあたる2,288億円であり、内訳は次のとおりです。
セグメントの名称研究開発費
(億円)
IT377
エネルギー279
インダストリー76
モビリティ222
ライフ356
オートモティブシステム551
日立建機185
日立金属93
その他13
全社(本社他)132
合 計2,288

(6)設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、著しい変動のあった主要な設備は、次のとおりです。
セグメントの内訳
(2021年12月31日現在)
セグメント
の名称
帳 簿 価 額 (百万円)従業員数(人)
土 地
(面積千㎡)
建物及び
構築物
機械装置
及び運搬具
工具、器具及び備品使用権資産その他の
有形固定資産
建設
仮勘定
合 計
ライフ
(注)
16,156
(2,314)
60,41030,07326,70319,142-10,285162,76918,475
オートモティブシステム
(注)
52,783
(10,397)
124,166249,39832,03624,584-76,937559,90464,819

(注)2021年4月1日より、日立Astemo㈱及びそのグループ会社から成るオートモティブシステム事業を、オートモティブシステムセグメントとしてライフセグメントから独立させており、ライフセグメントの設備の帳簿価額が著しく減少しました。
(7)設備の新設、除却等の計画
当グループ(当社及び連結子会社)は、多種多様な事業を国内外で行っており、連結会計年度末及び四半期連結累計期間末時点では設備の新設及び拡充の計画を個々の案件ごとに決定していません。そのため、セグメントごとの数値を開示する方法によっています。
当連結会計年度の設備投資(新設及び拡充。有形固定資産及び投資不動産受入ベース)の金額は、当第3四半期連結累計期間末において下表のとおり変更されています。なお、変更前の金額は、前事業年度の有価証券報告書提出日時点における設備投資計画の金額です。
セグメントの名称当連結会計年度
設備投資計画金額
(億円)
変更前変更後
IT550700
エネルギー400400
インダストリー190190
モビリティ260230
ライフ380400
オートモティブシステム1,050890
日立建機600540
日立金属400370
その他260220
全社及び消去240240
合 計4,3304,180

(注)1.上表は、使用権資産の「有形固定資産」への計上額及び投資不動産の「その他の非流動資産」への計上額を含んでいます。
2.設備投資計画の今後の所要資金については、主として自己資金をもって充当する予定です。
3.経常的な設備の更新のための除却・売却を除き、重要な設備の除却・売却の計画はありません。
(8)将来予想に関する記述
「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」等は、当社又は当グループの今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述を含んでいます。将来予想に関する記述は、当四半期報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえます。その要因のうち、主なものは以下のとおりです。
・COVID-19の流行による社会的・経済的影響の悪化
・主要市場における経済状況及び需要の急激な変動
・為替相場変動
・資金調達環境
・株式相場変動
・原材料・部品の不足及び価格の変動
・長期請負契約等における見積り、コストの変動及び契約の解除
・価格競争の激化
・人材の確保
・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社及び子会社の能力
・製品等の需給の変動
・製品等の需給、為替相場及び原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社及び子会社の能力
・信用供与を行った取引先の財政状態
・社会イノベーション事業強化に係る戦略
・企業買収、事業の合弁及び戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
・事業再構築のための施策の実施
・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国及び欧州)における政治・社会状況及び貿易規制等各種規制
・持分法適用会社への投資に係る損失
・コスト構造改革施策の実施
・地震・津波等の自然災害、気候変動、感染症の流行及びテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
・当社、子会社又は持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
・情報システムへの依存及び機密情報の管理
・自社の知的財産の保護及び他社の知的財産の利用の確保
・退職給付に係る負債の算定における見積り