四半期報告書-第150期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/07 14:05
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【項目】
15項目
(1)経営成績の状況の分析
業績の状況
当グループの当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりである。
売上収益は、㈱日立国際電気の再編等があったものの、前年7月にSullairブランドの空気圧縮機事業(Sullair事業)を買収したことに加え、鉄道システム事業が欧州向けの売上を拡大した社会・産業システムセグメント、日立化成㈱及び日立金属㈱が企業買収を行った高機能材料セグメント、海外を中心に売上が拡大した建設機械セグメント等が増収となったことから、前年同期に比べて4%増加し、2兆1,658億円となった。
売上原価は、前年同期に比べて4%増加し、1兆5,863億円となり、売上収益に対する比率は、前年同期と同水準の73%となった。売上総利益は、前年同期に比べて4%増加し、5,795億円となった。
販売費及び一般管理費は、前年同期に比べて1%増加し、4,313億円となり、売上収益に対する比率は、前年同期と同水準の20%となった。
調整後営業利益(売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標。)は、オートモティブシステムセグメントや高機能材料セグメントが減益となったものの、建設機械セグメント、社会・産業システムセグメント及び情報・通信システムセグメントが増収及び収益性改善により増益となったことにより、前年同期に比べて163億円増加し、1,481億円となった。
その他の収益は、㈱日立国際電気株式の売却による事業再編等利益を計上したこと等により、前年同期に比べて389億円増加して395億円となり、その他の費用は、競争法等関連費用が減少したこと等により、前年同期に比べて5億円減少して103億円となった。
金融収益(受取利息を除く)は、前年同期に比べて97億円増加して144億円となり、金融費用(支払利息を除く)は、前年同期に比べて2億円減少して2億円となった。
持分法による投資損益は、前年同期に比べて287億円悪化し、111億円の損失となった。
EBIT(受取利息及び支払利息調整後税引前四半期利益。継続事業税引前四半期利益から、受取利息の額を減算し、支払利息の額を加算して算出した指標。)は、調整後営業利益の増加や㈱日立国際電気株式の売却益を計上したこと等により、前年同期に比べて371億円増加し、1,804億円となった。
受取利息は、前年同期に比べて13億円増加して45億円となり、支払利息は、前年同期に比べて3億円減少して45億円となった。
継続事業税引前四半期利益は、前年同期に比べて389億円増加し、1,804億円となった。
法人所得税費用は、前年同期に比べて137億円増加し、489億円となった。
非継続事業四半期損益は、前年同期の70百万円の損失に対し、58億円の利益となった。
四半期利益は、前年同期に比べて311億円増加し、1,374億円となった。
非支配持分に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて9億円増加し、321億円となった。
これらの結果、親会社株主に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて301億円増加し、1,052億円となった。
セグメントごとの業績の状況
セグメントごとに業績の状況を概観すると次のとおりである。各セグメントの売上収益は、セグメント間内部売上収益を含んでいる。
(情報・通信システム)
売上収益は、通信ネットワーク機器子会社の譲渡の影響があったものの、国内システムインテグレーション事業が増収となったこと等により、前年同期に比べて1%増加し、4,405億円となった。
調整後営業利益は、国内システムインテグレーション事業やITプラットフォーム&プロダクツ事業の収益性の改善等により、前年同期に比べて74億円増加し、345億円となった。
EBITは、為替差損の計上があったものの、調整後営業利益の増加等により、前年同期に比べて27億円増加し、286億円となった。
(社会・産業システム)
売上収益は、鉄道システム事業が欧州向けの売上を拡大したことに加え、Sullair事業の買収により産業機器事業が増収となったこと等により、前年同期に比べて8%増加し、5,183億円となった。
調整後営業利益は、中国の昇降機事業における平均売価の下落の影響等があったものの、電力・エネルギー事業及び産業・流通分野向けの事業における収益性が改善したこと等により、前年同期に比べて75億円増加し、209億円となった。
EBITは、為替影響等により、前年同期に比べて64億円減少し、101億円となった。
(電子装置・システム)
売上収益は、㈱日立ハイテクノロジーズが医用分析装置の販売増加等により増収となったことに加え、ヘルスケア事業における画像診断装置の販売増加による増収があったものの、㈱日立国際電気を持分法適用会社としたことにより、前年同期に比べて2%減少し、2,399億円となった。
調整後営業利益は、㈱日立ハイテクノロジーズ及びヘルスケア事業が増収となったものの、㈱日立国際電気を持分法適用会社としたこと等により、前年同期に比べて2億円減少し、191億円となり、EBITは、調整後営業利益の減少等により、前年同期に比べて3億円減少し、186億円となった。
(建設機械)
売上収益は、アジア・大洋州や北米、中国を中心に売上が拡大したこと等により、前年同期に比べて14%増加し、2,402億円となった。
調整後営業利益は、売上収益の増加等により、前年同期に比べて107億円増加し、273億円となった。
EBITは、為替差損及び事業構造改革関連費用の計上等があったものの、調整後営業利益の増加等により、前年同期に比べて74億円増加し、253億円となった。
(高機能材料)
売上収益は、日立化成㈱及び日立金属㈱による企業買収の影響に加え、日立金属㈱における原材料価格高騰に連動した販売価格の上昇等により、前年同期に比べて9%増加し、4,279億円となった。
調整後営業利益は、日立化成㈱における製品構成の変動や日立金属㈱における原材料価格の変動の影響等により、前年同期に比べて36億円減少し、276億円となった。
EBITは、日立金属㈱において事業再編等利益の計上があったものの、調整後営業利益の減少等により、前年同期に比べて5億円減少し、334億円となった。
(オートモティブシステム)
売上収益は、北米及び日本における販売の減少や車載情報システム事業の売上の減少等により、前年同期に比べて2%減少し、2,385億円となった。
調整後営業利益は、売上収益の減少に加え、北米における収益性の悪化や開発投資の増加等により、前年同期に比べて51億円減少し、53億円となり、EBITは、調整後営業利益の減少等により、前年同期に比べて53億円減少し、44億円となった。
(生活・エコシステム)
売上収益は、前年同期に比べて13%減少し、1,143億円となったが、調整後営業利益は、事業構造改革の効果等により、前年同期に比べて5億円増加し、26億円となった。EBITは、調整後営業利益の増加等により、前年同期に比べて2億円増加し、76億円となった。
(その他)
売上収益は、前年同期に比べて6%減少し、1,244億円となった。調整後営業利益は、前年同期に比べて8億円増加し、49億円となり、EBITは、前年同期に比べて37億円増加し、65億円となった。
国内・海外売上収益の状況
国内売上収益は、情報・通信システムセグメント及び高機能材料セグメントが増収となったこと等により、前年同期に比べて1%増加し、9,814億円となった。
海外売上収益は、アジアにおいて社会・産業システムセグメントや高機能材料セグメントを中心に増収となったことに加えて、欧州及び北米においては、社会・産業システムセグメントがそれぞれ鉄道システム事業の売上拡大及びSullair事業の買収の影響によって増収となったこと等により、前年同期に比べて6%増加し、1兆1,844億円となった。
この結果、売上収益に占める海外売上収益の比率は、前年同期に比べて2%増加し、55%となった。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
流動性と資金の源泉
当第1四半期連結累計期間において、流動性の維持及び資金の確保の方針、資金管理の効率の改善に向けた取組み並びに資金の源泉及び資金調達の考え方に重要な変更はない。
キャッシュ・フロー
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
四半期利益は前年同期に比べて311億円増加した。また、買入債務の増減による支出が前年同期に比べて53億円増加し、棚卸資産の増減による支出が前年同期に比べて424億円増加した一方、売上債権及び契約資産の増減(注1)による収入が前年同期に比べて703億円増加したこと等により、営業活動に関するキャッシュ・フローの収入は、前年同期に比べて74億円増加し、1,343億円となった。
(注)1.IFRS第15号の適用に伴い、当第1四半期連結累計期間より、「売上債権の増減」は「売上債権及び契約資産の増減」として表示されている。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
固定資産関連の純投資額(注2)が前年同期に比べて191億円増加して1,160億円の支出となったものの、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却による収入がルネサスエレクトロニクス㈱株式の売却等により前年同期に比べて211億円増加したほか、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得による支出が前年同期に比べて112億円減少したこと等により、投資活動に関するキャッシュ・フローの支出は、前年同期に比べて6億円減少し、1,039億円となった。
(注)2.有形固定資産の取得及び無形資産の取得の合計額から、有形固定資産及び無形資産の売却を差し引いた額。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
短期借入金の増減による収入が前年同期に比べて373億円増加したことに加え、長期借入債務の純支出額(注3)が前年同期に比べて359億円減少したこと等により、財務活動に関するキャッシュ・フローの収入は、前年同期に比べて689億円増加し、877億円となった。
(注)3.長期借入債務による調達から償還を差し引いた額。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物は、前年度末に比べて1,164億円増加し、8,143億円となった。また、営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合わせた所謂フリー・キャッシュ・フローは、前年同期に比べて81億円増加し、304億円の収入となった。
資産、負債及び資本
当グループの当第1四半期連結累計期間末の資産、負債及び資本の状況は次のとおりである。
総資産は、㈱日立国際電気を持分法適用会社としたことに加え、売上債権の回収を進めたこと等により、前年度末に比べて1,720億円減少し、9兆9,345億円となった。
有利子負債(短期借入金及び長期債務の合計)は、短期借入金の増加等により、前年度末に比べて1,582億円増加し、1兆2,085億円となった。
親会社株主持分は、親会社株主に帰属する四半期利益の計上等により、前年度末に比べて791億円増加し、3兆3,572億円となった。この結果、親会社株主持分比率は、前年度末に比べて1.4%増加し、33.8%となった。
非支配持分は、前年度末に比べて514億円減少し、1兆1,821億円となった。
資本合計は、前年度末に比べて277億円増加し、4兆5,393億円となり、資本合計に対する有利子負債の比率は、前年度末の0.23倍に対して0.27倍となった。
(3)経営方針
当第1四半期連結累計期間において、当グループの経営方針について、重要な変更はない。
(4)対処すべき課題
①事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当グループが対処すべき課題について、重要な変更はない。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当グループにおいては、将来を見据えた基礎研究や、先行的な製品及び事業の開発のために多くの経営資源を投下しており、これらの経営施策が成果をもたらすためには、経営方針の継続性を一定期間維持する必要がある。このため、当社では、各期の経営成績に加えて、将来を見通した経営施策に関しても、株主・投資家に対して、積極的に内容を開示することとしている。
当社は、経営支配権の異動を通じた企業活動及び経済の活性化の意義を否定するものではないが、当社又はグループ会社の株式の大量取得を目的とする買付けについては、当該買付者の事業内容及び将来の事業計画並びに過去の投資行動等から、慎重に当該買付行為又は買収提案の当社企業価値・株主共同の利益への影響を判断する必要があると認識している。
現在のところ、当社の株式を大量に取得しようとする者の存在によって、具体的な脅威が生じているわけではなく、また、当社としても、そのような買付者が出現した場合の具体的な取組み(いわゆる「買収防衛策」)をあらかじめ定めるものではないが、当社としては、株主・投資家から負託された当然の責務として、当社の株式取引や異動の状況を常に注視し、当社株式を大量に取得しようとする者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置をとる。具体的には、社外の専門家を含めて当該買収提案の評価や取得者との交渉を行い、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない場合には、具体的な対抗措置の要否及び内容等を速やかに決定し、実行する体制を整える。また、グループ会社の株式を大量に取得しようとする者に対しても、同様の対応をとることとしている。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動の状況について、重要な変更はない。当第1四半期連結累計期間における当グループの研究開発費は、売上収益の3.5%にあたる754億円であり、内訳は次のとおりである。
セグメントの名称研究開発費
(億円)
情報・通信システム113
社会・産業システム126
電子装置・システム99
建設機械55
高機能材料124
オートモティブシステム165
生活・エコシステム18
その他△2
全社(本社他)53
合 計754

(6)将来予想に関する記述
「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」等は、当社又は当グループの今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述を含んでいる。将来予想に関する記述は、当四半期報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえる。その要因のうち、主なものは以下のとおりである。
・主要市場(特に日本、アジア、米国及び欧州)における経済状況及び需要の急激な変動
・為替相場変動
・資金調達環境
・株式相場変動
・原材料・部品の不足及び価格の変動
・長期契約におけるコストの変動及び契約の解除
・信用供与を行った取引先の財政状態
・製品需給の変動
・製品需給、為替相場及び原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社及び子会社の能力
・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社及び子会社の能力
・人材の確保
・価格競争の激化
・社会イノベーション事業強化に係る戦略
・企業買収、事業の合弁及び戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
・事業再構築のための施策の実施
・持分法適用会社への投資に係る損失
・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国及び欧州)における社会状況及び貿易規制等各種規制
・コスト構造改革施策の実施
・自社の知的財産の保護及び他社の知的財産の利用の確保
・当社、子会社又は持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
・地震・津波等の自然災害、感染症の流行及びテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
・情報システムへの依存及び機密情報の管理
・退職給付に係る負債の算定における見積り