有価証券報告書-第109期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/27 14:28
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は米国会計基準に基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、収益認識、貸倒引当金、棚卸資産の評価、長期性資産の減損、のれんの減損、環境負債、繰延税金資産の評価、不確実な税務ポジション、退職給付債務、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の評価及び開示に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。
① 長期性資産の減損
当社は、長期性資産の減損または処分に関する会計処理について、会計基準編纂書360「有形固定資産」の規定を適用しています。同規定に基づき、有形固定資産や償却対象となる無形固定資産を含む長期性資産について、当該資産または資産グループの帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を行っています。会社が保有及び使用している資産の回収可能性は、帳簿価額と資産から生じる割引前の将来の見積りキャッシュ・フローとを比較することによって判定されます。資産の帳簿価額が将来のキャッシュ・フローを上回った場合、資産の帳簿価額が公正価値を上回った金額について減損が認識されます。
平成27年度に計上した長期性資産の減損損失は367億円であり、主として「エコソリューションズ」セグメントに関連するものです。
② のれんの減損
取得した事業に対する投資額がその事業の純資産の公正価値を超える部分が、のれんとして認識されます。当社は、会計基準編纂書350「無形資産―のれん及びその他の無形資産」の規定を適用しています。のれんについては、償却を行わずに少なくとも年1回の無形固定資産の公正価値の評価に基づく減損テストを実施しています。のれんが配分されたレポーティングユニットの減損テストの基準日は1月1日です。
のれんの減損テストは2段階で行っています。第1段階では、レポーティングユニットごとの公正価値を、のれんを含む帳簿価額と比較します。当該公正価値が当該帳簿価額を下回る場合は、のれんの減損兆候があると判断し、第2段階の減損金額の測定を行うこととなり、上回る場合は第2段階の減損金額の測定は不要となります。第2段階において、のれんの減損金額は、帳簿価額が公正価値を超過する分として認識されます。のれんの公正価値は、企業結合における買収価値の配賦に準じた方法でレポーティングユニットの公正価値を配賦し、決定されます。当該配賦後の余剰公正価値は、レポーティングユニットののれんの公正価値となります。
レポーティングユニットの公正価値は、類似取引法、類似上場会社比較法及び将来の割引キャッシュ・フロー分析などにより決定されます。
平成27年度に計上したのれんの減損損失は120億円であり、「AVCネットワークス」セグメントに関連するものです。平成27年度末現在、当社はのれんを4,620億円計上していますが、現在の事実及び仮定の変更に応じて、将来の期間において減損を認識する可能性があります。
③ 繰延税金資産の評価
法人税等は、資産・負債法に基づいて計上しており、連結財務諸表上での資産及び負債の計上額とそれらに対応する税務上の金額との差異、並びに繰越欠損金及び税額控除の繰延べに関連する将来の見積り税効果について、繰延税金資産及び負債が認識されます。
繰延税金資産及び負債は、それらの一時差異が解消すると見込まれる年度の課税所得に対して適用される法定税率を使用して測定しています。税率変更による繰延税金資産及び負債への影響は、その税率変更に関する法律の制定日を含む期間の損益として認識されます。
予測される将来の課税所得に基づく繰延税金資産の実現可能性の評価において、当社は繰延税金資産の一部または全部が実現しない可能性が50%超であるか否かを考慮しています。繰延税金資産の最終的な実現については、一時差異が解消するまでの期間における将来の課税所得の評価に依存します。繰延税金資産の評価に際しては、繰延税金負債の解消スケジュール、将来課税所得、タックス・プランニングを考慮しています。
平成27年度において、パナソニック㈱の繰延税金資産に対して132,822百万円の評価引当金の減少を認識しました。これは、足下の収益状況の改善に加え、国内連結納税導入の決定により利益の安定性が向上したことで、繰延税金資産が実現する可能性がより確からしいと認められたためです。今後、繰延税金資産に影響を及ぼす事象を認識した場合、評価引当金の修正を適時行います。もし将来予測課税所得が現時点の見積りより大幅に悪化した場合は、繰延税金資産を減額し、見積りより良化した場合については、評価引当金を減少します。
平成27年度末現在の繰延税金資産・負債(純額)は3,948億円(借方)です。
④ 退職給付債務
年金制度及び一時金制度について、当社は、会計基準編纂書715「報酬―退職給付」の規定を適用しています。同規定に基づき、年金制度の財政状況(すなわち、年金資産と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、「その他の包括利益(損失)累積額」に計上しています。
年金数理上の純損益については、回廊(退職給付債務と年金資産の公正価値のいずれか大きい方の10%)を超える部分について、従業員の平均残存勤務年数で、定額償却しています。ただし、移行日以降の積立分(将来分)を確定拠出年金制度へ移行した当社及び一部の国内子会社については、従来の確定給付年金制度(過去分)に基づく年金数理上の純損益のうち、回廊を超える部分を、従業員及び退職者の平均余命年数で、定額償却しています。
当社は安全な固定利付債券の利回りを元に割引率を決定し、また、年金資産の運用先ごとの過去及び将来の収益率だけでなく、現在及び予想される資産配分を考慮して、期待収益率を決定しています。割引率の減少は給付債務の増加をもたらし、その結果、数理計算上の差異の償却を通じて償却費の増加につながります。0.5%の割引率の減少は約7%の退職給付債務の増加につながります。市場の株式価値の下落は、一般的に、期待収益率の低下をもたらし、その結果、将来の退職給付費用の増加につながります。
平成27年度末現在の年金資産を上回る退職給付債務(予測給付債務)は4,600億円です。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
平成27年度の世界経済は、中国や資源国などで景気が減速した一方、米国や欧州では内需が支えとなり、概ね緩やかな景気回復が続きました。日本では、消費回復に鈍さもみられましたが、雇用状況の改善は進みました。各国金融政策の変化や資源価格の下落、地政学的な不安要因などの経済環境の変化はありましたが、全体としては緩やかな回復基調となりました。
当社グループは、平成27年度までの3ヵ年の中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(略称 CV2015)」については、営業利益3,500億円以上、営業利益率5%以上、フリーキャッシュ・フロー累計6,000億円以上の経営目標を、平成26年度に1年前倒しで達成しており、平成27年度を、「売上成長による利益創出」へ舵を切り「持続的な成長」に移行する年と位置づけました。特に、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、 インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの「大規模6事業部」を中心に、売上高・営業利益の改善と、戦略投資の仕込み・実行に取り組んでまいりました。
しかし、中国市況の減速など、当社グループを取り巻く事業環境の変化とその対応の遅れなども影響し、結果として「大規模6事業部」は増収の牽引役とはなれず、当初目論んだ増収による増益の構図を作るには至りませんでした。
① 売上高
当年度の連結売上高は、前年度の7兆7,150億円に比べて減少し、7兆5,537億円となりました。国内売上は、白物家電は堅調でしたが、住宅用太陽光発電システムの販売減などにより、全体では減収となりました。海外売上も、BtoBソリューション事業は伸長しましたが、収益改善に向けて販売を絞り込んだテレビ事業などの影響もあり、全体では減収となりました。為替の影響を除く実質ベースでは、連結売上高は、前年度比で4%の減少となりました。
地域別売上高については、国内は、白物家電の販売は好調でしたが、住宅用太陽光発電システムやICT関連デバイスの落ち込みもあり、前年度の3兆6,920億円に比べて2%減少し、3兆6,018億円となりました。海外は、前年度の4兆230億円に比べて2%減少し、3兆9,519億円となりました。為替の影響を除く実質ベースでは、前年度比で5%の減少となりました。米州は、1兆2,414億円と前年度から2%増加しましたが、実質ベースでは4%の減少となりました。欧州は、7,019億円と前年度から4%減少しましたが、実質ベースでは1%の増加となりました。アジア・中国は、2兆86億円と前年度から3%減少し、実質ベースでも7%の減少となりました。
② 営業利益
売上原価は、前年度の5兆5,272億円に比べて減少し、5兆3,400億円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前年度の1兆8,059億円に比べて減少し、1兆7,980億円となりました。
これらの結果、営業利益は、前年度の3,819億円に比べて増加し、4,157億円となりました。売上が伸びないなかで、構造改革などによる固定費の削減や、材料合理化の取り組みおよび事業構成の良化などにより、増益を確保しました。営業利益率も、前年度の5.0%から良化し、5.5%となりました。
③ 税引前利益
営業外収益については、受取利息は、前年度の150億円から増加し、189億円となりました。受取配当金は、前年度の15億円に比べて増加し、16億円となりました。
営業外費用については、支払利息は、前年度の176億円から減少し、170億円となりました。また、事業構造改革費用658億円に加え、二次電池、ブラウン管等に関する訴訟関連費用として、691億円を計上しました。
これらの結果、営業外損益は、前年度の1,995億円の損失に対し、1,987億円の損失となり、税引前利益は、前年度の1,825億円に対し、2,170億円となりました。
④ 当社株主に帰属する当期純利益
法人税等は、前年度の20億円の益に対し、145億円の損となりました。当年度の法人税等には、足下の収益状況の改善および国内連結納税導入の決定による利益の安定性の向上により、連結決算におけるパナソニック㈱の繰延税金資産を1,328億円再計上(法人税等の減少)した影響が含まれています。なお、前年度にも同規模の繰延税金資産を再計上しています。
持分法による投資利益は、前年度の119億円から増加し、126億円となりました。非支配持分に帰属する当期純利益は前年度の169億円に対し、218億円となりました。
これらの結果、当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,795億円に対し、1,933億円となりました。また、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の77円65銭に対し、83円40銭となりました。
⑤ セグメントの業績
当社グループのセグメントは、「アプライアンス」、「エコソリューションズ」、「AVCネットワークス」、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」、「その他」の5セグメントで構成されています。セグメントごとの業績は以下のとおりです。なお、平成27年4月1日に、一部の事業をセグメント間で移管しており、以下の分析では、当年度の形態に合わせた前年度数値と比較しています。
a アプライアンス
当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、2兆2,694億円となりました。
当年度は、国内において白物家電の販売が堅調に推移しましたが、テレビ事業における販売絞込みおよび大幅な戦略変更により、全体では減収となりました。
主な事業部の状況では、エアコンカンパニーは、中国市況の悪化が影響したものの、国内での家庭用空調および大型空調の好調に加え、アジア・オセアニア市場を中心に販売が伸長し、前年度と同水準となりました。
ランドリー・クリーナー事業部では、洗濯機、掃除機の販売が国内市場およびアジア市場で好調に推移し、増収となりました。
テレビ事業部では、中国での自社生産中止、三洋電機㈱のテレビ事業の中国メーカーへの事業譲渡など、事業戦略を大幅に変更したことや、中南米の景気悪化などにより、減収となりました。
キッチンアプライアンス事業部では、国内市場で炊飯器や電子レンジなどの高付加価値商品が、海外市場で業務用機器や日本製商品の販売が、それぞれ堅調に推移し、前年度と同水準となりました。
当セグメントの営業利益は、722億円となりました。円安などの為替影響による悪化があった一方で、テレビ事業の収益改善、白物家電の増販益などにより、前年度から224億円増加しました。
b エコソリューションズ
当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、1兆6,108億円となりました。
当年度は、国内の住宅用太陽光発電システムの販売減少が影響し、全体では減収となりました。
主な事業部の状況では、ライティング事業部は、国内は非住宅向けを中心としたLED照明器具の販売が伸長し、海外はアジア市場でのLED照明器具・ランプの販売が伸長した結果、増収となりました。
エナジーシステム事業部では、国内の住宅用太陽光発電システムの販売減少を、配線器具などの国内基盤事業や海外販売の伸長では補えず、減収となりました。
ハウジングシステム事業部では、国内の住宅市場が緩やかに回復するなかで、タンクレストイレを含むサニタリー商品など、中高級商品の販売が好調であった一方で、普及価格帯商品や内装建材の販売が減少し、減収となりました。
パナソニック エコシステムズ㈱では、国内および中国で空気清浄機の販売が減少し、また、エンジニアリング事業における新規事業の立上げ遅れや納入遅れの影響があったものの、北米での換気設備の販売が伸長したことにより、前年度並みの販売となりました。
当セグメントの営業利益は、784億円となりました。材料などの合理化や事業構造改革などによる体質強化を推進してきましたが、住宅用太陽光発電システムの販売減少が影響し、前年度から169億円減少しました。
c AVCネットワークス
当セグメントの売上高は、前年度比で1%増加し、1兆1,698億円となりました。
当年度は、前年度の事業構造改革に伴う販売減少を、バーティカルソリューション事業や映像・イメージング事業の販売伸長と円安効果によりカバーし、全体では増収となりました。
主な事業の状況では、アビオニクス事業部などのバーティカルソリューション事業は、堅調な航空機需要に支えられた航空機内AVシステムの販売伸長などに円安効果も加わり、増収となりました。
映像・イメージング事業では、デジタルカメラにおいて、コンパクト機などの普及価格帯商品が市場縮小の影響を受け販売減少したものの、ミラーレス機などの高付加価値商品の販売伸長に加え、高輝度プロジェクターの好調な推移や、統合セキュリティ事業の国内と北米での市場成長以上の販売伸長により、増収となりました。
モビリティ事業では、主力市場の北米地域における堅牢パソコンの販売台数が減少したことによる影響が大きく、減収となりました。
コミュニケーション事業では、固定電話の世界的な市場縮小に伴う販売減少、従来型アナログPBX(構内交換機)市場縮小および新興国における為替悪化の影響によるPBXの販売減少などで、減収となりました。
当セグメントの営業利益は、747億円となりました。バーティカルソリューション事業の増販益に加え、前年度までの事業構造改革の効果が寄与し、前年度から229億円増加しました。
d オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、2兆7,086億円となりました。
当年度は、車載および産業分野への転換を進めるなか、北米において好調な車両販売が、自動車メーカーや自動車部品メーカー向けの販売を牽引した一方で、ICT(情報通信技術)向け需要の落ち込みが影響して、全体では減収となりました。
主な事業の状況では、オートモーティブ事業は、国内の車両販売低迷の影響はあったものの、好調な北米市場に支えられ、ネットワーク接続型ディスプレイオーディオや車載カメラモジュール、スイッチなどの販売伸長により、増収となりました。
エナジー事業では、乾電池やマイクロ電池などの販売が堅調に伸長し、リチウムイオン電池が車載分野および蓄電向けなどの産業分野へシフトを進めたものの、ノートパソコンなどICT向け需要の減少が大きく影響し、減収となりました。
インダストリアル事業では、車載リレーなど車載用デバイスの販売は堅調に伸長したものの、前年度に回路基板事業などから撤退したことに加え、光ディスクドライブ事業の縮小やICT向けの需要減少により、減収となりました。
ファクトリーソリューション事業では、自動車部品メーカー向け実装機や産業用モーターの販売が伸長したものの、中国の景気減速の影響により前年度並みの販売となりました。
当セグメントの営業利益は、1,027億円となりました。当年度は車載、蓄電など将来の成長に向けた先行開発投資を積極的に行ったことに加え、エナジー事業、インダストリアル事業における販売減少の影響などから、前年度から137億円減少しました。
e その他
当セグメントの売上高は、前年度比で13%減少し、6,614億円となりました。
当年度は、パナホーム㈱では、従来商品のエコ性能を超える「ゼロエコ」商品などの高付加価値商品や、多層階住宅などの都市部型住宅、集合住宅の販売が伸長したことに加え、既築の「パナホーム」や在来木造住宅およびマンションのリフォーム事業を推進したことにより増収となりましたが、全体では事業譲渡の影響を受け、減収となりました。
当セグメントの営業利益は、161億円となりました。部材原価や工事原価の合理化によってパナホーム㈱の収益性が改善したことなどにより、前年度から15億円増加しました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」に記載しています。
(4)経営戦略の現状と見通し
「3 対処すべき課題」に記載しています。
(5)財政状態及び流動性
① 流動性と資金の源泉
当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としております。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などのため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。
(資金)
当年度末の現金及び現金同等物残高は、前年度末の1兆2,804億円から減少し、1兆143億円となりました。
(有利子負債)
有利子負債は、社債償還等により、前年度末の9,729億円から当年度末には7,259億円へ減少しました。
(格付け)
当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)、およびムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。
R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)
S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期)
ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:ポジティブ)
② キャッシュ・フロー
当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは3,987億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは2,743億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、 1,244億円(対前年度差2,291億円減)となりました。前年度差の主な要因は、戦略投資としての子会社・関連会社株式の取得や設備投資の増加があったことに加え、前年度に多額の事業、株式および有形固定資産の売却収入があったことです。
なお、キャッシュ・フローの分析の詳細については、「1 業績等の概要」に記載しています。
③ 設備投資額と減価償却費
当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の2,267億円から10%増加し、2,488億円となりました。主要な設備投資は、車載用の小型二次電池の生産設備(米国)です。
減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の2,421億円から3%減少し、2,350億円となりました。
④ 資産、負債及び資本
当社グループの当年度の連結総資産は、前年度末から3,600億円減少し、5兆5,970億円となりました。これは、繰延税金資産の再計上がありましたが、円高の影響に加え、普通社債の償還などに伴う現金及び現金同等物の減少や売上債権の減少などによるものです。
負債は、割引率低下に伴う退職給付引当金の増加がありましたが、普通社債の償還などにより前年度末に比べ2,217億円減少し、3兆7,427億円となりました。
当社株主資本は、前年度末に比べ1,182億円減少し、1兆7,051億円となりました。これは、当社株主に帰属する当期純利益を計上した一方で、円高に伴う為替換算調整額の悪化および割引率低下に伴う年金債務調整額の悪化により、その他の包括利益(損失)累積額が大きく減少したことによるものです。この結果、当社株主資本比率は前年度末の30.6%から減少し、30.5%となりました。また、当社株主資本に非支配持分を加味した資本合計は1兆8,543億円となりました。