有価証券報告書-第107期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/27 14:16
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は米国で一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、収益認識、貸倒引当金、棚卸資産の評価、長期性資産の減損、のれんの減損、環境負債、繰延税金資産の評価、不確実な税務ポジション、退職給付債務、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の評価及び開示に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。
① 長期性資産の減損
当社は、長期性資産の減損または処分に関する会計処理について、会計基準編纂書360「有形固定資産」の規定を適用しています。同規定に基づき、有形固定資産や償却対象となる無形固定資産を含む長期性資産について、当該資産または資産グループの帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を行っています。会社が保有及び使用している資産の回収可能性は、帳簿価額と資産から生じる割引前の将来の見積りキャッシュ・フローとを比較することによって判定されます。資産の帳簿価額が将来のキャッシュ・フローを上回った場合、資産の帳簿価額が公正価値を上回った金額について減損が認識されます。
平成25年度に計上した長期性資産の減損損失は1,038億円であり、主として薄型テレビ事業、回路基板事業、半導体事業に関連するものです。
② のれんの減損
取得した事業に対する投資額がその事業の純資産の公正価値を超える部分が、のれんとして認識されます。当社は、会計基準編纂書350「無形資産―のれん及びその他の無形資産」の規定を適用しています。のれんについては、償却を行わずに少なくとも年1回の無形固定資産の公正価値の評価に基づく減損テストを実施しています。のれんが配分されたレポーティングユニットの減損テストの基準日は1月1日です。
のれんの減損テストは2段階で行っています。第1段階では、レポーティングユニットごとの公正価値を、のれんを含む帳簿価額と比較します。当該公正価値が当該帳簿価額を下回る場合は、のれんの減損兆候があると判断し、第2段階の減損金額の測定を行うこととなり、上回る場合は第2段階の減損金額の測定は不要となります。第2段階において、のれんの減損金額は、帳簿価額が公正価値を超過する分として認識されます。のれんの公正価値は、企業結合における買収価値の配賦に準じた方法でレポーティングユニットの公正価値を配賦し、決定されます。当該配賦後の余剰公正価値は、レポーティングユニットののれんの公正価値となります。
レポーティングユニットの公正価値は、類似取引法、類似上場会社比較法及び将来の割引キャッシュ・フロー分析等により決定されます。
平成25年度に計上したのれんの減損損失は81億円であり、平成25年度末現在、当社はのれんを4,612億円計上していますが、現在の事実及び仮定の変更に応じて、将来の期間において減損を認識する可能性があります。
③ 繰延税金資産の評価
法人税等は、資産・負債法に基づいて計上しており、連結財務諸表上での資産及び負債の計上額とそれらに対応する税務上の金額との差異、並びに繰越欠損金及び税額控除の繰延べに関連する将来の見積り税効果について、繰延税金資産及び負債が認識されます。
繰延税金資産及び負債は、それらの一時差異が解消すると見込まれる年度の課税所得に対して適用される法定税率を使用して測定しています。税率変更による繰延税金資産及び負債への影響は、その税率変更に関する法律の制定日を含む期間の損益として認識されます。
予測される将来の課税所得に基づく繰延税金資産の実現可能性の評価において、当社は繰延税金資産の一部または全部が実現しない可能性が50%超であるか否かを考慮しています。繰延税金資産の最終的な実現については、一時差異が解消するまでの期間における将来の課税所得の評価に依存します。繰延税金資産の評価に際しては、繰延税金負債の解消スケジュール、将来課税所得、タックス・プランニングを考慮しています。
平成25年度末現在の繰延税金資産・負債(純額)は1,147億円(借方)です。
④ 退職給付債務
年金制度及び一時金制度について、当社は、会計基準編纂書715「報酬―退職給付」の規定を適用しています。同規定に基づき、年金制度の財政状況(すなわち、年金資産と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、「その他の包括利益(損失)累積額」に計上しています。年金数理上の純損益については、下記を除いて、回廊(退職給付債務と年金資産の公正価値のいずれか大きい方の10%)を超える部分について、従業員の平均残存勤務年数で、定額償却しています。
当社及び一部の国内子会社は、従来の確定給付年金制度について、平成25年7月1日以降の積立分(将来分)を確定拠出年金制度へ移行しました。この決定に伴い、平成25年度に、過去の制度改定により減少した退職給付債務の全額798億円を、営業外収益として計上しています。また、従来の確定給付年金制度(過去分)に基づく年金数理上の純損益については、回廊を超える部分について、従業員及び退職者の平均余命年数で、定額償却しています。
当社は安全な固定利付債券の利回りを元に割引率を決定し、また、年金資産の運用先ごとの過去及び将来の収益率だけでなく、現在及び予想される資産配分を考慮して、期待収益率を決定しています。割引率の減少は給付債務の増加をもたらし、その結果、数理計算上の差異の償却を通じて償却費の増加につながります。0.5%の割引率の減少は約7%の退職給付債務の増加につながります。市場の株式価値の下落は、一般的に、期待収益率の低下をもたらし、その結果、将来の退職給付費用の増加につながります。
平成25年度末現在の年金資産を上回る退職給付債務(予測給付債務)は4,228億円です。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
平成25年度の世界経済は、インドなど新興国の一部で伸び悩みがみられましたが、欧州で持ち直しの動きがみられたほか、米国の株高や堅調な個人消費、日本においても株高、円安の進展に加え、消費税増税前の駆け込み需要などがあり、全体としては緩やかな景気拡大が続きました。
このような経営環境のもと、当社グループでは、平成25年度から新たな中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(略称CV2015)」をスタートさせ、事業部制を軸とした新たなグループ基本構造のもとで、以下の4つの重点施策に取り組んでまいりました。既存の枠組みを超え、異なる強みを掛け合わせる「Cross-Value Innovation」のもと、より大きなお客様価値が生み出せる姿へとグループ全体が変わりつつあります。
「赤字事業の止血」
テレビ・パネル、半導体、回路基板、光デバイス、携帯電話の、5つの主要課題事業については、事業の見極めや事業の立地を変える「転地」、アセットライト化、拠点再編など、大きな判断・方向づけを実施しました。また、新たな課題事業と位置づけたエアコン、デジタルカメラも、黒字化に向けて必要な手を打ちました。しかしながら、平成25年度には合計で1,000億円規模の赤字が残りました。今後、赤字事業止血に向け、しっかりと改革をやり切っていきます。
「財務体質改善」
ネット資金については、本業の回復に加え、全社をあげた資金創出の取り組みによって476億円のマイナスとなり、中期計画の目標である2,200億円のマイナスを上回る大幅な良化となりました。また、株主資本比率も29.7%と前年度末の23.4%から大きく改善しました。
(注)ネット資金は、「現金及び現金同等物」、定期預金(1年超含む)等の資金から有利子負債(「短期負債及び一年以内返済長期負債」と「長期負債」の合計)を差し引いて算出しております。
「脱・自前主義による成長・効率化」
5つの課題事業のうち、半導体事業については、大きな構造改革を実施しました。その中で、北陸の3工場は、イスラエルのタワージャズ社と合弁化、アジアの3工場は、シンガポールのUTAC社へ譲渡し、ファブレス化を進めていきます。半導体は、今後、我々が車載や産業分野での事業を伸ばしていく上で、極めて重要なキーデバイスです。脱・自前主義のもと、パートナー企業と手を組み、あらゆる手を尽くして競争力を強化していきます。
「お客様からの逆算による成長戦略」
パートナーであるコンビニエンスチェーンとの協業プロジェクト「次世代コンビニエンスストアの実験店舗」や、Fujisawaサスティナブル・スマートタウンの街づくり事業など、徐々にその成果が具体的な形となって出始めています。次世代コンビニエンスストアの実験店舗では、環境配慮型の設備・システムやデジタルサイネージ機器を導入したほか、購買行動分析を実施することで新たなソリューション創出に取り組んでいます。
今後も、さまざまな産業のパートナー企業と一緒になって新たな価値を創造する事例を次々に生み出していきます。
① 売上高
当年度の連結売上高は、円安による押し上げ効果もあり、前年度の7兆3,030億円に対して6%増加し、7兆7,365億円となりました。住宅関連事業が国内の消費税増税前の需要を着実に刈り取って伸長し、また、車載関連事業もグローバルでの市況回復を背景に伸長しました。一方で、デジタルコンシューマー関連事業は、収益重視の事業展開を進めていることから、減収となりました。為替の影響を除く実質ベースでは、連結売上高は、前年度比で3%の減少となりました。
地域別売上高については、国内は前年度の3兆7,904億円に比べて3%増加し、3兆8,979億円となりました。海外は、前年度の3兆5,126億円に比べて9%増加し、3兆8,386億円となりましたが、為替の影響を除く実質ベースでは、前年度比で9%の減少となりました。米州は、1兆1,346億円と前年度からは増加しましたが、実質ベースでは7%の減少となりました。欧州は、7,403億円と前年度からは増加しましたが、実質ベースでは10%の減少となりました。アジア・中国は、1兆9,637億円と前年度からは増加しましたが、実質ベースでは9%の減少となりました。
② 営業利益
売上原価は、前年度の5兆4,199億円に比べて増加し、5兆6,388億円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前年度の1兆7,222億円に比べて増加し、1兆7,926億円となりました。
これらの結果、営業利益は、前年度の1,609億円に比べて増加し、3,051億円となりました。主に、赤字事業の収益改善や、全社を挙げた固定費削減および材料合理化の取り組みなどが寄与しました。営業利益率も、前年度の2.2%から良化し、3.9%となりました。
③ 税引前利益
営業外収益については、受取利息は、前年度の93億円から増加し、106億円となりました。受取配当金は、前年度の37億円に比べて減少し、20億円となりました。また、年金制度変更に伴う一時益798億円やヘルスケア事業の売却益787億円を計上しました。
営業外費用については、支払利息は、前年度の256億円から減少し、219億円となりました。また、事業構造改革費用2,074億円を計上しました。この中には、長期性資産の減損1,038億円(回路基板関連で217億円、半導体関連で201億円)や、早期退職一時金320億円等が含まれています。
これらの結果、営業外損益は、のれん・長期性資産の減損を含む事業構造改革費用5,088億円を計上した前年度の5,593億円の損失に対し、989億円の損失となり、税引前利益は、前年度の3,984億円の損失に対し、2,062億円の利益となりました。
④ 当社株主に帰属する当期純利益
法人税等は、前年度の3,847億円に比べて減少し、897億円となりました。この減少は、前年度に、米国会計基準に基づき連結決算におけるパナソニック㈱等の繰延税金資産に対して評価引当金を計上したことによるものです。
持分法による投資利益は、前年度の79億円から減少し、51億円となりました。非支配持分帰属利益は前年度の209億円の損失に対し、12億円の利益となりました。
これらの結果、当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の7,543億円の損失に対し、1,204億円の利益となりました。また、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の326円28銭の損失に対し、52円10銭の利益となりました。
⑤ セグメントの業績
平成25年4月1日にグループ体制の再編を実施したことに伴い、従来の8セグメントから5セグメントへ変更しており、以下の分析では、当年度の形態に合わせた前年度数値と比較しています。
a アプライアンス
当セグメントの売上高は、前年度比で10%増加し、1兆1,966億円となりました。
当年度は、海外でエアコンが苦戦したほか、国内の自動販売機、調理小物なども伸び悩みましたが、国内で消費税増税前の駆け込み需要が発生したほか、円安による効果もあり、全体では増収となりました。
主な事業部の状況では、エアコン事業部が、在庫過多の中国、経済が低迷した欧州で売上が落ち込んだものの国内やその他のアジア地域で伸長し、売上は堅調に推移しました。ランドリー・クリーナー事業部では、アジアにおける洗濯機の競争激化などにより伸び悩みましたが、円安の効果により増収となりました。キッチンアプライアンス事業部では、IHクッキングヒーターや食器洗い乾燥機、炊飯器の売上が特に国内で好調に推移しました。冷蔵庫事業部では、国内はガラスドアモデルが好評を博し、さらには猛暑による特需や消費税増税前の駆け込み需要により販売が拡大し、売上は好調でした。
当セグメントの営業利益は285億円となりました。材料合理化やコスト削減に努めましたが、海外工場から輸入した製品の円安による収支悪化などから、前年度から79億円減少しました。
b エコソリューションズ
当セグメントの売上高は、前年度比で10%増加し、1兆8,466億円となりました。
当年度は、国内で消費税増税前の駆け込み需要により売上が好調に推移するとともに、海外でも電材事業を中心に中国・インド・その他のアジア地域などで販売が拡大し、全体では増収となりました。
主な事業部の状況では、ハウジングシステム事業部が、国内市場の活況を受け、システムキッチンなどの水廻り設備や内装建材、外廻り建材が好調に推移しました。エナジーシステム事業部では、太陽光発電システムや配線器具、分電盤を中心に売上が増加するとともに、家庭用エネルギーマネジメントシステム商品も好調に推移しました。海外では、中国やインドにおいて、配線器具やブレーカの売上が伸長しました。ライティング事業部では、国内ではLED照明が商品ラインアップ拡充により販売が拡大し、海外では中国の住宅照明が好調に推移しました。パナソニック エコシステムズ㈱では、国内で空気清浄機の売上が減少しましたが、換気扇などは堅調に推移し、海外では中国で空気清浄機が、中近東・北米・中南米で換気扇が伸長しました。
当セグメントの営業利益は950億円となりました。売上増や固定費削減などで円安のマイナス影響を相殺し、前年度から322億円増加しました。
c AVCネットワークス
当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、1兆5,734億円となりました。
当年度は、円安による増収効果はあったものの、一般消費者向けスマートフォンやプラズマパネルおよびプラズマテレビセット事業の撤退など抜本改革を進めたため、全体では減収となりました。
主な事業部の状況では、テレビ事業部が、米国・中国における商品の絞り込みなど利益優先の施策を実施した結果、売上は減少しました。アビオニクス事業部では、航空機内AVシステムなどの企業向け事業が、円安の効果もあり伸長しました。ITプロダクツ事業部では、欧州や国内で法人向けノートパソコンの売上が伸長し、円安の効果もあったことから、売上は好調に推移しました。セキュリティシステム事業部では、法人顧客ニーズに応えた監視カメラなどの商品・サービスが好調に推移し、売上を押し上げました。
当セグメントの営業利益は215億円となりました。企業向け事業が好調であることに加え事業構造改革効果もあり、前年度から132億円増加しました。
d オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
当セグメントの売上高は、前年度比で9%増加し、2兆7,376億円となりました。
当年度は、パソコン用デバイスの販売減などでICT(情報通信技術)分野の売上が落ち込みました。一方、自動車産業が堅調に推移したことから車載分野は総じて好調だったことに加え、設備投資の回復で産業分野も堅調に推移し、全体では増収となりました。
主な事業部の状況では、インフォテインメント事業部が、欧米・中国市場でディスプレイオーディオの販売が好調に推移したことに加え、国内でもカーディーラールートのカーナビゲーションの増販により、大きく売上を伸ばしました。小型二次電池事業部では、米国電気自動車メーカー向けの動力用リチウムイオン電池の納入が順調に推移し、売上増となりました。制御機器事業部では、ハイブリッド自動車、電気自動車向け車載リレーや、工場の省エネ・自動化に貢献する産業デバイスなどの伸長により、売上は順調でした。セミコンダクター事業部では、AV機器向けなどの需要の縮小により売上減となりました。
当セグメントの営業利益は857億円となりました。車載関連の売上増や小型二次電池事業の黒字転換、円安による増収効果などにより、前年度から562億円増加しました。
e その他
当セグメントの売上高は、前年度比で5%減少し、9,580億円となりました。
当年度は、パナホーム㈱が消費税増税前の駆け込み需要により好調でしたが、前年度に実施した三洋電機㈱子会社の事業譲渡の影響などにより、全体では減収となりました。
パナホーム㈱では、戸建請負事業において太陽光発電パネルで屋根を構成した住宅の販売を推進したほか、分譲事業ではエネルギー自立を実現する街づくりの展開や大型スマートマンションの竣工もあり、売上は好調に推移しました。パナソニック ヘルスケア㈱では、市場拡大や消費税増税前の駆け込み需要などにより、売上は堅調に推移しました。
当セグメントの営業利益は200億円となりました。徹底した固定費削減などにより、前年度から166億円増加しました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」に記載しています。
(4)経営戦略の現状と見通し
「3 対処すべき課題」に記載しています。
(5)財政状態及び流動性
① 流動性と資金の源泉
当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針とし、事業を推進しています。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資等のため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。
(資金)
当年度末の現金及び現金同等物残高は、前年度末の4,963億円から増加し、5,925億円となりました。
(有利子負債)
有利子負債は、前年度末に1,406億円であった短期社債の発行残高が当年度末はゼロとなったこと、また、第18回無担保普通社債100億円(平成15年6月三洋電機㈱発行、平成24年1月に当社承継)、第2回無担保普通社債200億円(平成16年2月旧松下電工㈱発行、平成24年1月に当社承継)、および第7回無担保普通社債2,000億円(平成21年3月発行)を満期到来によりそれぞれ償還したこと等から、前年度末の1兆1,434億円から当年度末には6,421億円へ減少しました。
なお、平成24年10月1日付で複数の取引銀行と締結した、無担保の借入設定上限を総額6,000億円とするコミットメントライン契約は、平成25年8月30日をもって終了しました。当該契約における借入実績はありませんでした。
(格付け)
当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)、およびムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。
R&I:A- (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)
S&P:BBB (長期、アウトルック:ポジティブ)、A-2 (短期)
ムーディーズ:Baa3 (長期、アウトルック:安定的)
② キャッシュ・フロー
当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な在庫削減、設備投資の絞込み、保有資産の見直し等によるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。
当年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローの合計)は5,941億円のプラス(対前年度差2,389億円増)となりました。これは、営業利益の増加や設備投資の抑制に加え、ヘルスケア事業の譲渡に伴う収入があったこと等によるものです。
なお、キャッシュ・フローの分析の詳細については、「1 業績等の概要」に記載しています。
③ 設備投資額と減価償却費
当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の3,109億円から30%減少し、2,170億円となりました。主要な設備投資は、マレーシアにおける太陽電池の生産設備や国内(大阪府)における車載用を中心とする小型二次電池の生産設備です。
減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の2,776億円とほぼ同額の、2,788億円となりました。
④ 資産、負債及び資本
当社グループの当年度末の連結総資産は、前年度末から1,848億円減少し、5兆2,130億円となりました。これは、円安の影響はありましたが、主に有形固定資産の減損やヘルスケア事業等の譲渡によるものです。
負債については、短期社債や第7回無担保普通社債の償還等の有利子負債の圧縮に加え、退職給付引当金の減少により前年度末に比べて4,669億円減少し、3兆6,266億円となりました。
当社株主資本については、前年度末から2,842億円増加し、1兆5,482億円となりました。これは、当期純利益の計上に加え、円安に伴うその他の包括利益(損失)累積額の良化によるものです。当社株主資本に非支配持分を加味した資本合計は、1兆5,864億円となりました。