四半期報告書-第50期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進む一方で、変異株の発生やブレイクスルー感染による感染再拡大が発生するなど、感染の終息を見通すことが難しい不安定な状況で推移しました。
電子楽器事業を取り巻く環境は、新しいLife Styleの定着により、余暇時間で楽器演奏に挑戦する方、また楽器演奏を再開される方が増加し、いつでもどこでも一人でも、気軽に楽しめる電子楽器に対する堅調な需要が継続しました。
一方供給面においては、当第2四半期後半から第3四半期後半にかけ、当社主力工場の所在するマレーシアにおいて新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化したことから、政府、当局の指示に従い、マレーシア工場の稼働制限や操業停止を行いました。早期供給再開に向け、当社では従業員に対するワクチン接種や抗原検査を積極的に進め、9月前半より通常稼働を再開していますが、当第3四半期においては、当該稼働制限による生産量の減少が発生しました。また輸送面においても、米国の港湾混雑に代表される世界的な物流遅延によりリードタイムが長期化しました。なお受注残は、強い需要と供給の制約を背景として大幅に増加しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は60,668百万円(前年同期比31.0%増)となりました。損益につきましては、営業利益は9,664百万円(前年同期比77.8%増)、経常利益は8,936百万円(前年同期比85.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,741百万円(前年同期比132.4%増)となりました。
製品カテゴリーごとの販売状況は以下のとおりです。
(鍵盤楽器)
主要カテゴリーでは、電子ピアノは、ステイホームを契機に顕在化した電子ピアノ需要により、ポータブルタイプの新製品や、スタイリッシュなデザインの新製品が好調に推移し、受注残も増加しました。また、前年同期間に比べ通常営業を再開した店舗が増加したことから、店頭における中高価格帯製品の販売も復調しました。
以上により、鍵盤楽器の売上高は18,584百万円(前年同期比46.1%増)となりました。
(管打楽器)
主要カテゴリーでは、電子ドラムは、前期発売のVドラム・アコースティック・デザイン・シリーズが引き続き好調に推移し、全地域で販売が大きく伸長しました。
電子管楽器は、前期第4四半期に発売したエアロフォン・シリーズの最上位モデルや、今期発売した地域限定モデルが大変好調に推移しました。電子管楽器市場全体の盛り上がりもあり、販売は大きく伸長しました。
以上により、管打楽器の売上高は14,524百万円(前年同期比41.7%増)となりました。
(ギター関連機器)
主要カテゴリーでは、ギターエフェクトは、供給不足があるものの前期発売した新製品群や、今期発売したコンパクト・エフェクターのアニバーサリーモデル等が好調に推移し、販売は大きく伸長しました。
楽器用アンプは、欧州、北米を中心に、KATANAアンプシリーズの販売が伸長しました。また屋外使用を想定したタイプのアンプに加え、キーボードや電子ドラム向けのアンプも大変好調に推移しました。
以上により、ギター関連機器の売上高は14,782百万円(前年同期比19.9%増)となりました。
(クリエーション関連機器&サービス)
主要カテゴリーでは、シンセサイザーは、ステイホームを契機に顕在化した電子ピアノ需要と、演奏機会の回復に伴うライブ需要の復調により、電子ピアノと同様に88鍵盤を搭載したシンセサイザーや、ステージピアノが大変好調に推移しました。
ダンス&DJ関連製品においても、ステイホームを契機に音楽制作への関心が高まり、前期及び当期発売の新製品群が好調に推移し、販売は大きく伸長しました。
ソフトウエア/サービス分野では、ソフトウエア音源等を定額会費で提供するサービス、Roland Cloudにおいて、ソフトウエア音源の新製品に加え、既存電子ドラム製品の機能を拡張するアップデートソフトの販売や、当社ハードウエア用エディターの提供を行いました。
以上により、クリエーション関連機器&サービスの売上高は7,706百万円(前年同期比24.8%増)となりました。
(映像音響機器)
主要カテゴリーでは、ビデオ関連製品は、ステイホームを契機とした個人の配信需要が一巡し、また他社製品との競合も激化した結果、販売は伸び悩みました。
音響関連製品は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策の影響により設備投資需要に回復が見られず、販売は低調に推移しました。
以上により、映像音響機器の売上高は3,127百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して4,931百万円増加し、51,028百万円となりました。その主な要因は、次項に詳述するキャッシュ・フローの状況により現金及び預金が2,044百万円減少した一方、売上債権が2,400百万円、たな卸資産が4,213百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較して1,459百万円減少し、24,486百万円となりました。その主な要因は、仕入債務が1,595百万円増加した一方、借入金が2,448百万円、競争法関連損失引当金が562百万円減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して6,391百万円増加し、26,542百万円となりました。その主な要因は、剰余金の配当が2,922百万円あった一方、主要国通貨に対する円安進行により為替換算調整勘定が1,325百万円増加し、また親会社株主に帰属する四半期純利益が7,741百万円あったことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して8.4ポイント上昇し、51.5%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,044百万円減少し、8,787百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において営業活動の結果得られた資金は、主として税金等調整前四半期純利益により、4,207百万円(前年同期比1,197百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、主として有形固定資産の取得による支出により、545百万円(前年同期比196百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は、主として借入金の返済及び配当金の支払により、5,535百万円(前年同期比2,031百万円の支出増)となりました。
(4) 経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当社グループは、現在取り組んでいる2020年12月期からの3年間を対象とした中期経営計画について、電子楽器に対する堅調な需要が継続していることから、最終年度である2022年12月期の数値目標を2021年12月期において達成する見込みとなりました。この状況を踏まえ、改めて2022年12月期の数値目標を次のとおり設定しました。
・売上高 815億円
・営業利益 123億円
・親会社株主に帰属する当期純利益 86億円
・ROE 20%以上
・ROIC 15%以上
詳細につきましては、2021年8月6日に公表した「中期経営計画の数値目標修正に関するお知らせ」をご覧ください。なお、現中期経営計画で掲げた経営戦略については着実に成果を上げており、本数値目標の修正に伴う経営戦略の変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3,066百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。