有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/11 15:00
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140項目
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第48期連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で第47期連結会計年度との比較・分析を行っています。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行っています。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断をしていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。経営者が行う見積りや判断のうち、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある項目は以下の通りです。
(a) 固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討し、固定資産に減損が見込まれる場合は、将来キャッシュ・フローの現在価値又は正味売却価額に基づいて減損損失を計上しています。将来の事業計画の変更や経営環境等の悪化により将来キャッシュ・フローの見積りが著しく減少する場合は、減損損失を計上する可能性があります。
(b) 投資の減損
当社グループは、時価のある有価証券について、市場価格等が取得原価に比べて50%以上下落した場合に、原則として減損処理を行っています。また、下落率が30%以上50%未満の有価証券については、過去2年間の平均下落率においても概ね30%以上に該当した場合に減損処理を行っています。時価のない有価証券については、その発行会社の財政状態の悪化により実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合に、原則として減損処理を行っています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
(c) 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の算定にあたって、将来の業績予測やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。経営環境等の悪化により、その見積りに変更が生じた場合は、繰延税金資産が取り崩されることにより税金費用が計上される可能性があります。
(d) 退職給付費用
当社は確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプラン)を採用しており、従業員の退職給付費用及び退職給付債務について、数理計算に使用される前提条件に基づいて算定しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び昇給率、年金選択率、年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれており、特に損益に重要な影響を与えると思われる割引率については、期末における日本の長期国債の利回りを基礎として設定しています。また、長期期待運用収益率については、運用方針等に基づき設定しています。実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は累計され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来の会計期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績
第48期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度における世界経済は、地政学的なリスクを抱えながらも、引き続き底堅く推移しました。しかしながら、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の継続、また中国経済の成長鈍化など先行きは依然として不透明な状況が続きました。
このような環境下、当社グループでは「世界中の人々をワクワクさせる」というビジョンのもと、「コア分野の確実な成長」、「顧客の拡大」、「新規事業基盤の創出」、「成長を支える人と基盤作り」、「効率スピード経営の確立」に取り組みました。
「コア分野の確実な成長」においては、市場競争力強化を目指した主要製品群のリニューアル、ラインナップ追加に加え、休眠層の活性化や新規顧客の獲得を目指した製品開発に引き続き取り組みました。開発プロセスにおいては、中長期的な成長を視野に共通プラットフォームの開発を進め、より効率的に素早くアイデアを製品化できる体制作りを推進しました。また地域面では、成長の著しい中国において、現地販売子会社における販売体制/管理体制の更なる強化に加え、オンライン直販店のオープンや、パートナーディーラー(注)との協業による当社製品と顧客との接点拡大など、オンライン/オフライン双方からの効果的な営業活動に取り組みました。
(注)パートナーディーラーとは当該地域において販売規模が大きく、当社の販売戦略上重要な得意先をいいます。
「顧客の拡大」においては、引き続きデジタルマーケティングの活用を推進しました。9月には、ロンドン・アビーロードスタジオで、SNS上で影響力のある方々(キー・インフルエンサー) を招待し、新製品の発表会を実施しました。フォロワーを通じて、多くの顕在/潜在顧客の方々に情報を届けました。
「新規事業基盤の創出」においては、様々なソフトウェア音源をクラウド経由で提供するサービス、Roland Cloudのコンテンツ拡充及び、更に魅力を高める新サービス開発に向けた体制作りに注力しました。また、米国のOpen Labs, LLCから同社製品の技術資産を取得し、新規顧客の獲得につながる新製品として「Zenbeats」を開発、発売しました。
「成長を支える人と基盤作り」においては、人事面では「1.成長が実感できる、2.目指すべき姿がイメージできる、3.教え合う組織風土を作り出す」ことを目的とし、新たな人事制度を導入しました。加えて、労務管理やタレントマネジメントの強化及び生産性の向上に向け、新人事システムの稼働を本格的に開始しました。子会社ガバナンスでは、Roland VS LLC及びV-MODA, LLCを100%子会社化し、事業の再構築を推進しました。
「効率スピード経営の確立」においては、引き続きマレーシア工場への生産集約を進めました。また販売面においては、世界を米州、欧州、日本、中国・アジアの4地域に分ける統括体制を開始するなどグローバル組織体制の確立を推進しました。
(a) 売上高
当連結会計年度の売上高は63,247百万円(前期比3.4%増)となりました。主要カテゴリーの状況は次の通りです。
(鍵盤楽器)
電子ピアノにおいては、昨年末にラインナップを一新した家庭用電子ピアノが好調に推移しました。またポータブル電子ピアノについても、既存機種が好調を維持し、加えて新製品投入効果もあり、全主要地域において販売は想定を上回りました。
以上により、鍵盤楽器の売上高は17,104百万円(前期比10.0%増)となりました。
(管打楽器)
電子ドラムにおいては、新興国においては引き続き好調に推移しましたが、中・低価格帯を中心に競合が厳しさを増し伸び悩みました。電子管楽器においては、引き続き幅広い客層から高い評価をいただき、より求めやすい価格帯の新製品も貢献し、販売は伸長しました。
以上により、管打楽器の売上高は14,205百万円(前期比1.0%減)となりました。
(ギター関連機器)
エフェクターにおいては、前期発売した高価格帯マルチエフェクターの反動減があったものの、コンパクトエフェクターの新製品やワイヤレス関連製品が好調に推移しました。
楽器用アンプにおいては、発売以来世界中で高い評価を受けている「KATANA」シリーズのアップグレードや、「WAZA」シリーズのラインナップ追加等が貢献し、販売は大きく伸長しました。本格的なギターアンプのサウンドを楽しめるワイヤレス・ヘッドホン型パーソナル・ギターアンプ・システム「WAZA-AIR」は、その新規性とサウンドクオリティから大きな話題となりました。
以上により、ギター関連機器の売上高は16,744百万円(前期比2.0%増)となりました。
(クリエーション関連機器&サービス)
シンセサイザーにおいては、ワークステーションのフラグシップモデル「FANTOM」や、数々の歴史的ビンテージ・シンセ・サウンドを最新の音源技術で1台に融合した「JUPITER」等の新製品が大きな話題となり、販売は大きく伸長しました。
ダンス&DJ関連機器においては、最先端のエレクトロニック・ミュージックを1台で作り出す「GROOVEBOX」や、「モバイルDJ」向けのDJコントローラー等の新製品が貢献し、前期発売新製品の反動減はあったものの、全体として販売は堅調に推移しました。
以上により、クリエーション関連機器&サービスの売上高は8,267百万円(前期比8.1%増)となりました。
(映像音響機器)
ビデオにおいては、定番製品の安定販売に加え、AV MixerやVideo Switcher等の新製品が貢献し、販売は伸長しました。V-MODAブランドにおいては、新製品の開発遅延もあり苦戦しました。
以上により、映像音響機器の売上高は4,289百万円(前期比7.2%減)となりました。
(b) 営業利益
売上高は増加したものの、為替のマイナス影響や販売費及び一般管理費の増加等により、当連結会計年度の営業利益は5,269百万円(前期比10.0%減)となりました。
(c) 経常利益
営業外収益は265百万円、営業外費用は808百万円となりました。営業外費用では売上割引480百万円が発生しました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は4,726百万円(前期比8.6%減)となりました。
(d) 親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は188百万円、特別損失は835百万円となりました。特別損失では、競争法関連損失引当金繰入額529百万円、投資有価証券評価損185百万円を計上しました。また、税金費用は1,488百万円、法人税等の負担率(税引前当期純利益に対する税効果会計調整後の法人税等の額(税金費用)の割合)は36.5%となりましたが、以下の影響を除いた通常の事業活動に伴う法人税等の負担率は24.8%となります。
・競争法関連損失引当金繰入額、投資有価証券評価損の損金不算入
・海外子会社における移転価格課税仮納付(相互協議中)
・繰延税金資産の回収可能性検討に基づく評価性引当の変動
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,629百万円(前期比13.7%減)となりました。
「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」として位置付けているROE(自己資本利益率)及びROIC(投下資本利益率)は、上記の通り親会社株主に帰属する当期純利益は減少したものの、適切な株主還元の実施により純資産も減少し、ROEは14.4%(対前期比+1.9ポイント)となり、営業利益も上記の通り減少し、ROICは16.6%(対前期比△0.3ポイント)となりました。
第49期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により引き続き停滞しました。当社の属する楽器業界においても影響は免れず、各国の感染拡大防止策により、取引先の販売店舗の多くが休業となり、当社においても中国工場及び主力であるマレーシア工場が一時操業停止となるなど、第2四半期連結累計期間においては、売上高は前年同期比3.2%減となりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済活動の両立に向け、先進各国で段階的、制限付きではあるものの経済活動が再開されたこと、当社の中国工場及びマレーシア工場が操業再開し、部材調達制限も緩和されたこと、オンラインでの販売伸長に加え一部の販売店舗も順次営業を再開したこと、また電子楽器に対する巣ごもり需要が顕在化してきたことを受け、当第3四半期期首以降、販売に大幅な伸長が見られました。これら需要増加への対応、操業停止期間中の受注残の解消、また最も需要が高まる第4四半期に向け、大幅な増産にも取り組みました。またwithコロナの環境下において、グローバルでのテレワーク導入やオンライン会議等の積極的な活用、販売促進活動ではオフライン施策からオンライン施策へのシフト等により、感染拡大の防止と共に、業務効率の改善にも取り組みました。
(a) 売上高
当第3四半期連結累計期間の売上高は46,321百万円(前年同期比4.9%増)となりました。主要カテゴリーの状況は次の通りです。
(鍵盤楽器)
主要カテゴリーでは、ポータブルタイプの電子ピアノが、顕在化した巣ごもり需要による効果もあり、特にオンライン販売において好調に推移しました。当第3四半期には北米での販路拡大も軌道に乗り、販売は伸長しました。
以上により、鍵盤楽器の売上高は12,720百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
(管打楽器)
主要カテゴリーでは、電子ドラムは、中国において新型コロナウイルス感染症による音楽教室営業停止の影響が長期化しているものの、新製品のVドラム・アコースティック・デザイン・シリーズが、欧州、北米、日本において好調に推移しました。
電子管楽器は、顕在化した巣ごもり需要による効果もあり、引き続き好調に推移しました。
以上により、管打楽器の売上高は10,252百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
(ギター関連機器)
主要カテゴリーでは、ギターエフェクトは、欧州を中心に、コンパクトエフェクターの定番製品とルーパーシリーズが好調に推移し、販売は伸長しました。
楽器用アンプは、巣ごもり需要による小型アンプ市場の活性化が見られました。当社ではギターアンプの人気シリーズのリニューアル効果に加え、前期投入したワイヤレス・ヘッドホン型パーソナル・ギターアンプ・システムが引き続き好調に推移し、販売は伸長しました。
以上により、ギター関連機器の売上高は12,330百万円(前年同期比6.4%増)となりました。
(クリエーション関連機器&サービス)
主要カテゴリーでは、シンセサイザー及びダンス&DJ関連機器は、前期及び今期発売の新製品群が寄与し、販売は大きく伸長しました。
ソフトウェア/サービス分野は、Roland Cloudでの新料金プラン設定や、ソフトウェア音源の新たな販売プランの開始、ソフトウェアのバージョンアップ等が奏功し、販売は大きく伸長しました。
以上により、クリエーション関連機器&サービスの売上高は6,175百万円(前年同期比12.0%増)となりました。
(映像音響機器)
主要カテゴリーでは、ビデオ関連製品は、新型コロナウイルス感染症によりイベント・レンタル需要の落ち込みがあったものの、配信需要の高まりにより、関連製品の販売は大きく伸長しました。 音響関連機器は、設備投資需要の減少により苦戦しました。
以上により、映像音響機器の売上高は3,214百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
(b) 営業利益
売上高の増加に伴い売上総利益が増加したことに加え、販売費及び一般管理費を抑制したことにより、当第3四半期連結累計期間の営業利益は5,435百万円(前年同期比60.1%増)となりました。
なお、為替影響を除いた当第3四半期連結累計期間の営業利益は5,671百万円(前年同期比67.0%増)となりました。
(c) 経常利益
営業外収益は137百万円、営業外費用は756百万円となりました。営業外費用では売上割引357百万円が発生しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経常利益は4,816百万円(前年同期比67.0%増)となりました。
(d) 親会社株主に帰属する四半期純利益
特別利益は123百万円、特別損失は547百万円となりました。特別損失では、競争法関連損失343百万円、新型コロナウイルス感染症関連損失183百万円を計上しました。また、税金費用は1,059百万円でした。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は3,331百万円(前年同期比194.0%増)となりました。
(e) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは電子楽器事業の単一セグメントであるため、セグメントに関連付けては記載していません。
(イ)生産実績
品目第48期連結会計年度
(自 2019年 1月 1日
至 2019年12月31日)
前期比(%)第49期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年 1月 1日
至 2020年 9月30日)
鍵盤楽器(百万円)17,961+11.613,134
管打楽器(百万円)14,797△0.911,680
ギター関連機器(百万円)17,674+1.612,692
クリエーション関連機器&
サービス(百万円)
9,372+20.05,821
映像音響機器(百万円)3,751△1.03,040
その他(百万円)1,141+21.71,066
合計(百万円)64,698+6.147,435

(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(ロ)受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(ハ)販売実績
品目第48期連結会計年度
(自 2019年 1月 1日
至 2019年12月31日)
前期比(%)第49期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年 1月 1日
至 2020年 9月30日)
鍵盤楽器(百万円)17,104+10.012,720
管打楽器(百万円)14,205△1.010,252
ギター関連機器(百万円)16,744+2.012,330
クリエーション関連機器&
サービス(百万円)
8,267+8.16,175
映像音響機器(百万円)4,289△7.23,214
その他(百万円)2,634+2.61,628
合計(百万円)63,247+3.446,321

(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。

(3) 財政状態の分析
第48期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
総資産は、前連結会計年度末と比較して2,388百万円増加し、43,532百万円となりました。その主な要因は、次項に詳述するキャッシュ・フローの状況により現金及び預金が237百万円減少した一方で、製品及び商品が1,054百万円、売上債権が848百万円、建物及び構築物が832百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較して2,682百万円増加し、25,305百万円となりました。その主な要因は、リース債務が955百万円、未払費用が632百万円、競争法関連損失引当金が574百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して294百万円減少し、18,227百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益が2,629百万円ある一方、剰余金の配当が1,500百万円あり、また主要国通貨に対する円高進行により為替換算調整勘定が387百万円減少したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して3.9ポイント低下し、41.3%となりました。
第49期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
総資産は、前連結会計年度末と比較して376百万円増加し、43,909百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が617百万円、原材料が843百万円それぞれ増加した一方で、売上債権が427百万円、流動資産のその他に含まれる前払費用が362百万円それぞれ減少したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較して75百万円増加し、25,380百万円となりました。その主な要因は、仕入債務が1,320百万円増加した一方、借入金が1,085百万円減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して301百万円増加し、18,529百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益が3,331百万円ある一方、剰余金の配当が2,275百万円あり、また主要国通貨に対する円高進行により為替換算調整勘定が728百万円減少したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.3ポイント増加し、41.6%となりました。

(4) キャッシュ・フローの状況
第48期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、237百万円減少し、期末残高は8,815百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローでは、4,992百万円の資金の収入(前年同期は3,250百万円の資金の収入)がありました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益4,080百万円、税金等調整前当期純利益に含まれる非資金項目の減価償却費1,537百万円、たな卸資産の増加額(資金の減少)1,239百万円、競争法関連損失引当金繰入額529百万円、その他に含まれる引当金の増減額367百万円、法人税等の支払額1,044百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローでは、1,588百万円の資金の支出(前年同期は154百万円の資金の収入)がありました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,036百万円、無形固定資産の取得による支出576百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローでは、3,146百万円の資金を支出(前年同期は5,797百万円の資金を支出)しました。主な内訳は、配当金の支払額1,902百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出878百万円です。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りです。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社グループ製品を製造するための原材料の仕入、労務費、外部委託にて製造された当社グループ商品の仕入、研究開発費や広告販促費等の営業費用の運転資金及び製造設備の刷新、拡充です。
当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金について、自己資金又は外部借入で対応しています。効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクを管理しています。本書提出日現在、これらの契約に基づく当社グループの借入未実行残高は8,000百万円です。
当社グループは、今後とも営業活動によって得る自己資金を基本的な資金源としながら、資金繰りの見通しや市場金利の状況を考慮し、必要に応じて銀行借入を活用することで資金調達コストを抑制し、資本効率の最適化を図ります。
[参考情報]
当社グループは、投資家が当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値を把握するうえで有用な情報を提供することを目的として、連結財務諸表に記載された売上高以外に、当社グループの主要な市場ごとの外部顧客への売上高及び製品カテゴリーごとの外部顧客への売上高の推移を下表の通り把握しています。
(1) 地域ごとの売上高
12月31日終了会計年度9月30日終了の9か月間
2016年2017年2018年2019年2019年2020年
(単位:百万円及び%)
日本8,81717.4%8,80715.4%8,68314.2%9,23714.6%6,86915.5%6,81814.7%
北米 ※114,80329.1%17,05629.8%18,16929.7%18,91429.9%13,11229.7%14,59931.5%
欧州 ※216,29132.1%18,81032.8%19,75132.3%19,51830.9%13,01729.5%15,01232.4%
中国 ※33,5597.0%4,2677.4%6,0059.8%7,19411.4%5,14911.7%4,2539.2%
アジア・オセアニア・その他の地域7,29714.4%8,37914.6%8,54314.0%8,38113.2%6,01813.6%5,63712.2%
合計50,768100.0%57,320100.0%61,153100.0%63,247100.0%44,167100.0%46,321100.0%

(注1) アメリカ及びカナダでの売上高になります。
(注2) オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ及び英国での売上高を含みます。なお、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載されている「地域別楽器売上市場規模及び年平均成長率」ではイスラエルは欧州に含まれていますが、当社グループの地域ごとの売上高を集計するにあたっては、イスラエルはその他の地域に含まれています。
(注3) 中国本土での売上高になります。
(2) 製品カテゴリーごとの売上高
12月31日終了会計年度9月30日終了の9か月間
2016年2017年2018年2019年2019年2020年
(単位:百万円及び%)
鍵盤楽器11,89823.4%14,12624.6%15,55125.4%17,10427.0%12,08227.4%12,72027.5%
管打楽器11,90323.5%12,36321.6%14,35123.5%14,20522.4%10,01222.7%10,25222.1%
ギター関連機器12,28624.2%14,59625.5%16,41126.8%16,74426.5%11,59126.2%12,33026.6%
クリエーション関連
機器&サービス
7,87115.5%8,69315.2%7,64712.5%8,26713.1%5,51312.5%6,17513.3%
映像音響機器4,8619.6%5,1739.0%4,6247.6%4,2896.8%3,0516.9%3,2147.0%
その他1,9473.8%2,3664.1%2,5664.2%2,6344.2%1,9164.3%1,6283.5%
合計50,768100.0%57,320100.0%61,153100.0%63,247100.0%44,167100.0%46,321100.0%