四半期報告書-第80期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/01 10:21
【資料】
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【項目】
40項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に対して425億円増加し、1兆2,038億円となりました。これは主に、有形固定資産が132億円減少した一方で、棚卸資産の増加307億円、現金及び現金同等物の増加112億円があったことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に対して131億円減少し、5,952億円となりました。これは主に、仕入債務及びその他の債務が112億円増加した一方で、社債、借入金及びリース負債の減少231億円があったことなどによるものです。
なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して576億円増加し、6,085億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期利益615億円の計上、および在外営業活動体の換算差額を主因としたその他の包括利益176億円の計上があった一方で、配当金の支払い214億円があったことなどによるものです。
②経営成績
当第3四半期連結累計期間における経済環境を顧みますと、世界経済は多くの国でロックダウン解除による需要回復が進むなか、前年マイナス成長からの反動で記録的な高水準の経済成長となりましたが、国・エリア別にみますと、財政・金融支援策の効果消失、サプライチェーン混乱の拡大から、中国・欧州・米国等では、これまでの急速な回復の勢いが足元では弱まりつつあります。また、サプライチェーン混乱の長期化に加え、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染拡大、インフレ圧力等、世界経済の失速につながるリスクが顕在化してきておりますので、今後の動向をさらに注視していきます。
当第3四半期連結累計期間の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ111.08円および130.58円と前年同期に比べ、米ドルは5%の円安、ユーロは7%の円安に推移しました。また、中国や南米など新興国の通貨については円安に推移しました。
このような状況の中、売上収益は、物流遅延や部品調達難が継続し、製品供給不足によるマイナス影響が拡大していますが、新型コロナウイルスによる市場需要減の影響を大きく受けた前年同期からは回復し、8,467億円(前年同期比17.9%増)となりました。事業利益(※)は、サプライチェーン混乱や半導体を中心とした部品調達難による売上への影響に加え、輸送費・部品価格が高騰して製造コストアップとなっていますが、値上げによる高値販売、広告販促費を中心とした費用抑制、さらに為替のプラス影響などにより、769億円(同67.8%増)となりました。営業利益は784億円(同131.5%増)、税引前利益は790億円(同165.0%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は615億円(同203.1%増)となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」(2021年3月策定)に基づき報告セグメントの区分を変更し、「プリンティングソリューションズ事業」、「ビジュアルコミュニケーション事業」および「マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業」の3つを報告セグメントとしております。各報告セグメントは、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(プリンティングソリューションズ事業セグメント)
オフィス・ホームプリンティング事業の売上収益は増加となりました。大容量インクタンクモデルおよびインクカートリッジモデル本体は、在宅勤務・在宅学習需要が昨年度からは落ち着きつつあるものの、当年度も継続しており、物流遅延や部品調達難に伴う供給不足による影響は受けつつも、北米等で大容量インクタンクモデル本体の販売数量を伸ばし、また値上げによる高値販売も継続していることから、大幅な売上増となりました。なお、消耗品売上につきましては、在宅印刷特需により大幅な売上増となった前年同期に対し、減少となりました。
商業・産業プリンティング事業の売上収益は大幅な増加となりました。大判インクジェットプリンター本体は、ロックダウンや経済活動制限により、本体販売活動・設置の遅延、店舗内ポスター等の印刷需要の落ち込みが発生した前年同期に対し、需要の回復と新製品投入効果により、売上増となりました。消耗品は、欧米を中心に売上が回復し、製品供給不足の影響はありますが、売上増となりました。小型プリンターは、部品調達難により製品供給不足の影響を大きく受けましたが、欧米や中国を中心に小売店や飲食店向けの需要増に対応し、売上増となりました。また、プリントヘッド外販ビジネスは、中国向けを中心に好調な販売を継続し、売上増となりました。
プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、インクカートリッジモデル消耗品売上の減少、輸送費・部品価格の高騰等による採算悪化がありましたが、大容量インクタンクモデル、および大判インクジェットプリンター・小型プリンターでの増収、値上げによる高値販売と広告販促費を中心とした固定費抑制の継続、さらに為替のプラス影響があり、増加となりました。
以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は5,809億円(前年同期比17.1%増)、セグメント利益は859億円(同8.8%増)となりました。
(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)
ビジュアルコミュニケーション事業の売上収益は、新型コロナ感染拡大に伴い大きく需要が落ち込んだ前年同期に対し、欧州を中心とする教育案件の回復および好調なホーム需要の継続や、モデルミックスの良化などにより、部品調達難等による供給不足影響は継続しているものの、大幅な増加となりました。
ビジュアルコミュニケーション事業のセグメント利益は、増収影響に加えて、事業構造改革に伴う費用抑制の継続および為替のプラス影響などにより、大幅な増加となりました。
以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は1,243億円(前年同期比22.0%増)、セグメント利益は132億円(前年同期は8億円のセグメント損失)となりました。
(マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)
マニュファクチャリングソリューションズ事業の売上収益は、ICテストハンドラー事業の事業譲渡に伴う売上減があるものの、中国での売上増に加え、台湾での電子機器製造受託サービス向けや欧米での自動車関連向けの需要回復もあり、増加となりました。
ウエアラブル機器事業の売上収益は、国内市場は引き続き低調な状況が続いていますが、海外での需要回復に加え、ムーブメントの需要も回復となり、増加となりました。
マイクロデバイス事業の売上収益のうち、水晶デバイスは、車載向け、および幅広い用途向けでの需要増が継続しており、大幅な売上増となりました。また、半導体も旺盛な需要で売上増となり、事業全体で大幅な増加となりました。
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントのセグメント利益は、増収影響に加え、ウエアラブル機器事業では事業構造改革に伴う費用抑制を進め、大幅な増加となりました。
以上の結果、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントの売上収益は1,428億円(前年同期比17.8%増)、セグメント利益は174億円(同281.4%増)となりました。
(調整額)
報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る収益、費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△396億円(前年同期の調整額は△368億円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは873億円の収入(前年同期は931億円の収入)となりました。これは四半期利益が615億円であったのに対し、棚卸資産の増加227億円などによる減少要因があった一方で、減価償却費及び償却費の計上485億円などの増加要因があったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出314億円などがあったことにより、317億円の支出(前年同期は456億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い214億円、社債の償還による支出200億円などがあったことにより、496億円の支出(前年同期は251億円の収入)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、3,153億円(前年同期は2,665億円)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、エプソンが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、エプソンが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるエプソンの研究開発活動の金額は344億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、エプソンの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。