有価証券報告書-第77期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:08
【資料】
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【項目】
93項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境を顧みますと、景気は総じて緩やかな回復基調が続きました。地域別に見ますと、米国では個人消費の増加や雇用環境の改善を背景に着実に回復が続きました。欧州および中南米は、アルゼンチンなど景気が後退している国はありますが、全体としては緩やかに回復しました。中国は持ち直しの動きが続いていましたが、米国との貿易摩擦等の影響により、設備投資需要を中心に減速に転じました。日本では、着実な雇用情勢・所得情勢の改善を受けて個人消費が持ち直し、緩やかな回復基調が続きました。なお、今後については、米中貿易摩擦影響の拡大、Brexit動向や中南米等での政治リスクなど、先行きの不透明感は強まっており、今後更なる景気減速が懸念されます。
当連結会計年度の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ110.86円および128.40円と、米ドルは前期並み、ユーロは前期に比べ1%の円高となりました。
こうした経営環境の下、当連結会計年度の経営成績につきましては、以下のとおりとなりました。
(億円)
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減金額増減率主な増減理由
売上収益11,02110,896△124△1.1%ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントの減収および為替の影響等による減少
売上原価△7,012△6,770242-売上収益の変動および為替の影響等による減少
売上総利益4,0084,1261172.9%
販売費及び
一般管理費
△3,260△3,421△160-将来成長に向けた戦略的な費用投下等による増加
事業利益(※)747704△42△5.7%将来成長に向けた戦略的な費用投下および為替の影響等による減少
その他の営業収益・
その他の営業費用
△978106-為替差損の減少および遊休不動産の売却益等による増加
営業利益650713639.8%
金融収益・金融費用△24529-為替差損等の減少
税引前利益6267209315.0%
法人所得税費用△208△17929-米国税制改正に伴う繰延税金資産の取崩しによる増加影響を含む前連結会計年度に対して減少
当期利益41754012229.4%

※事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(プリンティングソリューションズ事業セグメント)
プリンター事業の売上収益は減少となりました。インクジェットプリンター本体は、大容量インクタンクモデルは新興国、先進国ともに販売拡大が継続し増加となった一方、インクカートリッジモデルが競合他社によるプロモーションが激しくなる中でも、必要以上のプロモーションを抑制して価格維持を図ったことなどによる減少に加えて、為替のマイナス影響を受けて、全体では前期並みとなりました。消耗品は、大容量インクタンクモデル用ボトルは増加しましたが、コンシューマー向けインクカートリッジモデル本体稼働台数の減少影響によるインクカートリッジ減少および為替のマイナス影響により、売上減少となりました。また、シリアルインパクトドットマトリクスプリンター(SIDM)についても、市場縮小に伴い売上減少となりました。
プロフェッショナルプリンティング事業の売上収益は前期並みとなりました。大判インクジェットプリンターは、成長市場であるサイネージおよびテキスタイル分野は堅調に推移しましたが、フォト・グラフィックス分野が競合他社のプロモーション影響を受けて減少となったことなどに加え、為替のマイナス影響により、全体では前期並みとなりました。POSシステム関連製品は前期並みとなりました。
プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、プリンター事業の大容量インクタンクモデル等の増収や、プリントヘッド部品に係る在庫評価減の計上方法の変更によるプラス影響があったものの、将来成長に向けた戦略的な費用投下や中南米を中心とした新興国通貨の下落による為替のマイナス影響を大きく受けたこと等により、前期並みとなりました。
以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は7,236億円(前期比1.8%減)、セグメント利益は945億円(同0.4%減)となりました。
(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)
ビジュアルコミュニケーション事業の売上収益は、液晶プロジェクターが主に高光束分野におけるレーザー光源搭載の高付加価値製品の販売数量増加によるモデルミックス改善に加え、超短焦点モデルが教育向けで堅調だったことから、為替のマイナス影響があったものの、増加となりました。
ビジュアルコミュニケーション事業セグメントのセグメント利益は、増収影響があったものの、将来成長に向けた戦略的な費用投下や為替のマイナス影響により減少となりました。
以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は2,033億円(前期比2.2%増)、セグメント利益は212億円(同13.1%減)となりました。
(ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメント)
ウエアラブル機器事業の売上収益は、ムーブメントおよび海外ウオッチを中心に市場が低調に推移したことにより、減少となりました。
ロボティクスソリューションズ事業の売上収益は、米中貿易摩擦の影響により、中華圏において設備投資需要が減退したことなどから、減少となりました。
マイクロデバイス事業の売上収益は、半導体は前期並みとなりましたが、水晶デバイスで中国を中心としたモバイル市場の縮小に加え、民生機器向けを中心とした中国等での需要減により減少となったことから、減少となりました。
ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントのセグメント利益は、水晶デバイスおよびロボティクスソリューションズ事業の減収影響や、為替のマイナス影響により、減少となりました。
以上の結果、ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントの売上収益は1,634億円(前期比2.3%減)、セグメント利益は55億円(同23.0%減)となりました。
(その他)
その他の売上収益は9億円(前期並み)、セグメント損失は5億円(前期並み)となりました。
(調整額)
報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△502億円(前期の調整額は△511億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは769億円の収入(前期は842億円の収入)となりました。これは当期利益が540億円であったのに対し、棚卸資産の増加249億円や法人所得税の支払175億円などによる減少要因があった一方で、減価償却費及び償却費の計上561億円などの増加要因があったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出903億円や、有形固定資産の売却による収入93億円などがあったことにより、827億円の支出(前期は746億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払221億円、社債の償還100億円や短期借入金の純減168億円などがあったことにより、494億円の支出(前期は0億円の収入)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、1,752億円(前期は2,296億円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
プリンティングソリューションズ事業(百万円)712,62896.1
ビジュアルコミュニケーション事業(百万円)201,30796.5
ウエアラブル・産業プロダクツ事業(百万円)154,18696.3
セグメント計(百万円)1,068,12296.2
その他(百万円)--
合計(百万円)1,068,12296.2

(注)1.上記金額は、販売価格により示しており、セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記金額には、外注製品仕入高等が含まれております。
b.受注実績
エプソンでは、製品の性質上、原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
プリンティングソリューションズ事業(百万円)722,95898.2
ビジュアルコミュニケーション事業(百万円)203,305102.2
ウエアラブル・産業プロダクツ事業(百万円)154,07497.2
セグメント計(百万円)1,080,33798.8
その他(百万円)187100.1
合計(百万円)1,080,52598.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるエプソンの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。
①経営成績等
(財政状態)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に対して50億円増加し、1兆383億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が有形固定資産・無形資産の取得や配当金の支払などにより544億円減少した一方で、棚卸資産の増加275億円、有形固定資産および無形資産の増加271億円、売上債権及びその他の債権の増加78億円があったことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に対して226億円減少し、4,956億円となりました。これは主に、社債、借入金及びリース債務の減少242億円があったことなどによるものです。
なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して274億円増加し5,401億円となりました。これは主に、配当金の支払221億円があった一方で、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期利益537億円の計上により増加したことなどによるものです。
運転資本(流動資産から流動負債を差し引いた金額)は、前連結会計年度末と比較して83億円増加し、3,251億円となりました。
(経営成績)
経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
②資金の源泉および流動性
当連結会計年度後1年間の設備投資計画金額は850億円であり、所要資金につきましては、自己資金でまかなう予定です。セグメントごとの設備投資計画金額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。なお、上記設備投資計画金額には、ファイナンス・リースおよびオペレーティング・リースによる設備投資を含めております。
エプソンでは、設備投資等の事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入と社債の発行により資金を調達しております。
有利子負債の当連結会計年度末残高は、社債の償還および借入金の減少により、前連結会計年度と比較して242億円減少し、1,423億円となりました。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度と比較して544億円減少し、1,752億円となりました。手元流動性は十分に確保しております。
なお、エプソンは、株式会社格付投資情報センターから信用格付を取得しており、当連結会計年度末において、A(シングルA)となっております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「Epson 25」の実現に向けた、第1期中期経営計画(2016年度~2018年度)の3カ年では、将来成長に向けて大きく進展した取り組みがあった一方で、計画に対する遅れや十分な成果に結びついていない取り組みなどもありました。さらに想定を上回る外部環境の変化にも影響を受け、最終年度の業績は第1期中期経営計画で掲げた目標に対して未達となりました。
エプソンは、上記の結果を踏まえ、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、長期ビジョン「Epson 25」およびこの実現に向けた中期経営計画に基づく成長戦略を推進し、事業基盤や財務構造の強化を図ることにより、2025年度の業績目標(為替レート前提:1米ドル 115円・1ユーロ 125円)として、売上収益:1兆7,000億円、事業利益:2,000億円、ROS(事業利益/売上収益):12%、ROE(当期利益/親会社所有者帰属持分):15%を目指しています。
今後、独自の強みを発揮できる各イノベーション領域において、上記の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で掲げた各事業の将来成長に向けた施策を成し遂げ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることにより、業績目標の実現に取り組んでまいります。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
退職後給付に係る費用
エプソンは、日本基準の下で、発生した数理計算上の差異および過去勤務費用を一定の期間で償却しておりました。IFRSでは、確定給付制度の再測定は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、制度改訂または縮小が発生した時あるいは関連するリストラクチャリング費用または解雇給付を認識した時のいずれか早い期において純損益として認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費および金融費用は23億円増加し、当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費および金融費用は74億円増加しております。

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