有価証券報告書-第118期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の経済状況は、米中貿易摩擦問題を契機とした中国市場の景気減速が、周辺新興国・資源国に波及するなど、全体的に厳しい状況が続きました。加えて、第4四半期には新型コロナウイルス感染症が急速に広まり、世界経済に大きな影響を及ぼしました。
商用車市場は、これまで順調な回復を続けてきたタイ市場が悪化に転じた他、資源国市場も景気低迷を受け伸び悩むなど、多くの地域で需要が減少しました。また国内も、小型車において排ガス規制対応の反動減があり、全需が減少しました。なお、新型コロナウイルス感染症による影響は、当連結会計年度においては軽微なものにとどまりました。
このような経営環境の中、当社は中期経営計画で掲げた中長期に目指す姿「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレント・カンパニーとして広く愛される会社」を目指し、お客様の使用条件や利用方法の変化に対応できる車両づくりに取り組んでまいりました。
主な成果として、第一に、生産台数が400万台を超え、世界約100カ国以上に展開しているピックアップ・トラック「D-MAX」を8年ぶりにフルモデルチェンジいたしました。ピックアップ・トラックは、私的な乗用車として使うことができると同時に、商用車としても使用できる貨客兼用車で、特にタイにおいて、幅広い支持を得ております。これまでにD-MAXは、タイ国内において、2019年度モストポピュラーピックアップ、最優秀省燃費ピックアップ、ベストライフピックアップを受賞するなど、トップブランドとしての地位を確立してまいりました。今回のフルモデルチェンジでは、‘Efficient and Robust’を開発コンセプトとし、燃費性能、安全性を高めつつ、多様な使用環境、様々な使い方に耐えうる車を実現いたしました。第二に、「ぶつからない」「つかれない」「こわれない」を開発コンセプトに、大型トラック「ギガ」を改良し発売いたしました。歩行者検知機能付プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減/衝突回避支援)をはじめとした各種先進安全装備や、遠隔地でも確認可能な車両モニタリング項目(コネクテッド機能)を拡充し、レーンキープアシスト(LKA)の機能を追加することで、運転自動化レベル2相当の高度運転支援を実現しております。さらには、効率的な大量輸送を実現するため、路線バスでは世界初の「ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)」を搭載し、安心・安全な交通社会の実現に貢献する国産初のハイブリッド連節バス「エルガデュオ」を日野自動車と共同開発し、発売いたしました。また、当社は安全性の向上や、交通事故の解消といった社会課題の解決に取り組むため、ドライバー異常時対応システム(EDSS)やBOA(ブレーキ・オーバーライド・アクセラレーター)を全車標準装備した大型路線バス「エルガ」および中型路線バス「エルガミオ」を発売しました。大型観光バス「ガーラ」もドライバー異常時対応システム(EDSS)の性能が向上するなど、各種先進安全装置の充実により、総合的な商品力を強化いたしました。
当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車はシェア42.4%と高い評価を得たものの、全需減少にともない販売台数は減少しており、前連結会計年度に比べ3,078台(4.1%)減少の71,353台となりました。
海外車両販売台数は、主にアジアで全需が減少したことを受け、前連結会計年度に比べ20,021台(4.4%)減少の437,870台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ23,099台(4.3%)減少の509,223台となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は次のとおりです。
(為替レート)
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、原価低減活動を進めたものの、販売台数の減少に加え、ピックアップトラックの輸出拠点となるタイのバーツ高や米ドル・豪ドル安による為替影響を受け、営業利益は1,405億円(前連結会計年度比20.5%減)となりました。また、経常利益は1,508億円(前連結会計年度比20.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は812億円(前連結会計年度比28.4%減)となりました。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて211億円増加し、2兆1,520億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて41億円増加し、1兆187億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて170億円増加し、1兆1,333億円となりました。
自己資本比率は44.3%(前連結会計年度末43.6%)となりました。
有利子負債については、前連結会計年度末に比べて393億円増加の3,367億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により獲得した資金1,237億円を、投資活動に926億円、財務活動に251億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて13億円減少し、3,039億円となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、310億円の資金流入(前連結会計年度比55.6%減)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、1,237億円(前連結会計年度比21.0%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を1,435億円、減価償却費を762億円計上し、売上債権の減少により232億円の資金流入があった一方で、たな卸資産の増加により250億円、リース債権及びリース投資資産の増加により191億円、仕入債務の減少により140億円、法人税等の支払により441億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、926億円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。
これは、固定資産の取得による支出が1,034億円あったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、251億円(前連結会計年度比76.5%減)となりました。
これは、長期借入の返済で372億円、配当金の支払で280億円、及び非支配株主への配当金の支払で206億円の資金の流出があった一方で、長期借入の実行で590億円の資金の流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から13,564台(5.2%)減少の245,266台となりました。
国内では、小型車において排ガス規制対応の反動減を受けた全需の減少により販売台数が減少し、前連結会計年度から3,078台(4.1%)減少の71,353台となりました。海外では、中近東やアフリカでは回復が見られたものの、市場悪化によりアジアでの販売台数が減少した結果、全体では前連結会計年度から10,486台(5.7%)減少の173,913台となりました。
なお、国内の普通トラックのシェアは、安定した販売を行い、前連結会計年度比+0.7%の32.5%と増加しました。また、小型トラックのシェアは、排ガス規制対応前の駆け込み需要を効果的に取り込み、前連結会計年度比+1.8%の42.4%と増加しました。
・CV車両販売台数
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から9,535台(3.5%)減少の263,957台となりました。
アジアでは、主にタイの景気減速の影響などを受け、販売台数は前連結会計年度から微減の180,722台となりました。その他地域においては、豪州や欧州での販売台数が減少した結果、全体では前連結会計年度から9,007台(9.8%)減少の83,235台となりました。
なお、タイではLCVの全需が減少しましたが、後半期から新型モデルの生産が始まり、モデル切替の影響があった中、シェアは31.1%と前年のレベルを維持しました。
・LCV車両販売台数
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、中国の建機需要の不透明感を受け減少し、前連結会計年度から12,691台(9.4%)減少の122,886台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
(ロ)当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、主にアジアをはじめとする海外車両販売台数の減少等により前連結会計年度に比べ、692億円(3.2%)減少の2兆799億円となりました。内訳は、国内が8,272億円(前連結会計年度比1.0%増)、海外が1兆2,526億円(前連結会計年度比5.8%減)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は1,405億円(前連結会計年度比20.5%減)となりました。
主な変動要因としては、原価低減活動による120億円などが増益となった一方で、販売量の減少等による売上変動/構成差による209億円、為替変動による163億円、経済変動による85億円、費用増減他による24億円などで減益になったことによるものです。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は6.8%(前連結会計年度8.2%)となりました。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は102億円の利益であり、前連結会計年度に比べて19億円減益となっています。
支払補償費が前連結会計年度に比べて8億円増加したことが主な減益要因です。
また、支払利息の増加にともない、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は46億円の利益となりましたが、前連結会計年度に比べて5億円悪化しました。為替差損益は前連結会計年度は為替差損を計上したのに対して、今期は3億円の為替差益を計上しました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は73億円の損失となり、前連結会計年度に比べて44億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、投資有価証券評価損等が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では480億円の損失でしたが、当連結会計年度では410億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の246億円に対し、当連結会計年度は212億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は812億円となり、前連結会計年度に比べて322億円の減益となりました。1株当たり当期純利益は110.14円となりました。
(ハ)当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて211億円増加し、2兆1,520億円となりました。
主な要因といたしましては、売上債権が338億円、投資有価証券が213億円減少した一方で、有形固定資産が305億円、リース債権及びリース投資資産が191億円、たな卸資産が162億円、その他流動資産が115億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて41億円増加し、1兆187億円となりました。
主な要因といたしましては、仕入債務が252億円、未払費用が42億円、未払法人税等が35億円減少した一方で、有利子負債が393億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて170億円増加し、1兆1,333億円となりました。
これは利益剰余金が528億円増加した一方、為替換算調整勘定が157億円、その他有価証券評価差額金が131億円、非支配株主持分が61億円減少したことなどによります。
(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は2兆799億円、営業利益率は6.8%、自己資本利益率は8.6%、総還元性向は34.5%となりました。 中期経営計画で掲げた目標のうち総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、安定的・継続的な剰余金の配当を実施したことで、目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)、営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)、自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)については、市場環境の悪化による販売台数の減少に、タイバーツ高や米ドル・豪ドル安など為替相場の変動による採算性の悪化も加わった結果、目標値を下回りました。
このうち、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は、当連結会計年度においては軽微なものにとどまりました。各国の需要は今後落ち込みが本格化し、厳しい時期が続くものの、物流は動いており今年度中のどこかで需要回復は始まると想定しています。
事業活動の制約は長期化すると考えられますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
(ホ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
当連結会計年度を含む3ヵ年で生み出される当社グループのキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローの合計額の見通し)は累計4,000億円から5,000億円になると見込まれ、このうち、総額3,500億円程度を事業投資に充てる予定であります。具体的には、これまでの拠点投資に代わり、商品力強化やデジタルイノベーションに向けた投資が求められることに加えて、先進技術開発の推進や新事業創出を目的とした戦略投資を加速していきます。
市場への還元は安定的・継続的であることを旨とし、自己資本利益率の改善とセットでバランスを取っていきます。各年度の総還元性向について当連結会計年度を含む3ヵ年平均として30%を目標としています。
また、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る費用及び負債、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症は、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難なことから、当連結会計年度末以後、2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[たな卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等のたな卸資産を保有しております。これらのたな卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[固定資産]
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、生産用資産及び販売関連資産は主として事業会社単位、遊休資産は個々の資産グループとしてそれぞれグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュフローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。
[投資]
当社グループでは、投資有価証券として非公開会社の株式を保有しております。非公開株式をはじめとする時価のない有価証券については、原則として移動平均法による原価法によって評価しておりますが、投資先の財政状態が著しく悪化し、かつ回復可能性が見込めない場合に投資先の純資産額等を基に減損処理を行っています。
従って、将来の投資先の業績不振等が発生した場合、現在反映されていない評価損の計上が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
[リコールに関連する債務]
当社グループでは、製品のリコール等が発生した際にその費用の支出に充てるために、未払費用を計上しています。当該債務は、リコールとなる対象台数・不具合の内容・発生する費用・当社グループの責任の有無等を基に、個別に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の経済状況は、米中貿易摩擦問題を契機とした中国市場の景気減速が、周辺新興国・資源国に波及するなど、全体的に厳しい状況が続きました。加えて、第4四半期には新型コロナウイルス感染症が急速に広まり、世界経済に大きな影響を及ぼしました。
商用車市場は、これまで順調な回復を続けてきたタイ市場が悪化に転じた他、資源国市場も景気低迷を受け伸び悩むなど、多くの地域で需要が減少しました。また国内も、小型車において排ガス規制対応の反動減があり、全需が減少しました。なお、新型コロナウイルス感染症による影響は、当連結会計年度においては軽微なものにとどまりました。
このような経営環境の中、当社は中期経営計画で掲げた中長期に目指す姿「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレント・カンパニーとして広く愛される会社」を目指し、お客様の使用条件や利用方法の変化に対応できる車両づくりに取り組んでまいりました。
主な成果として、第一に、生産台数が400万台を超え、世界約100カ国以上に展開しているピックアップ・トラック「D-MAX」を8年ぶりにフルモデルチェンジいたしました。ピックアップ・トラックは、私的な乗用車として使うことができると同時に、商用車としても使用できる貨客兼用車で、特にタイにおいて、幅広い支持を得ております。これまでにD-MAXは、タイ国内において、2019年度モストポピュラーピックアップ、最優秀省燃費ピックアップ、ベストライフピックアップを受賞するなど、トップブランドとしての地位を確立してまいりました。今回のフルモデルチェンジでは、‘Efficient and Robust’を開発コンセプトとし、燃費性能、安全性を高めつつ、多様な使用環境、様々な使い方に耐えうる車を実現いたしました。第二に、「ぶつからない」「つかれない」「こわれない」を開発コンセプトに、大型トラック「ギガ」を改良し発売いたしました。歩行者検知機能付プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減/衝突回避支援)をはじめとした各種先進安全装備や、遠隔地でも確認可能な車両モニタリング項目(コネクテッド機能)を拡充し、レーンキープアシスト(LKA)の機能を追加することで、運転自動化レベル2相当の高度運転支援を実現しております。さらには、効率的な大量輸送を実現するため、路線バスでは世界初の「ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)」を搭載し、安心・安全な交通社会の実現に貢献する国産初のハイブリッド連節バス「エルガデュオ」を日野自動車と共同開発し、発売いたしました。また、当社は安全性の向上や、交通事故の解消といった社会課題の解決に取り組むため、ドライバー異常時対応システム(EDSS)やBOA(ブレーキ・オーバーライド・アクセラレーター)を全車標準装備した大型路線バス「エルガ」および中型路線バス「エルガミオ」を発売しました。大型観光バス「ガーラ」もドライバー異常時対応システム(EDSS)の性能が向上するなど、各種先進安全装置の充実により、総合的な商品力を強化いたしました。
当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車はシェア42.4%と高い評価を得たものの、全需減少にともない販売台数は減少しており、前連結会計年度に比べ3,078台(4.1%)減少の71,353台となりました。
海外車両販売台数は、主にアジアで全需が減少したことを受け、前連結会計年度に比べ20,021台(4.4%)減少の437,870台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ23,099台(4.3%)減少の509,223台となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は次のとおりです。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度比 | |||
| 売上高 | 20,799億円 | △692億円 | △3.2% | |
| 営業利益 | 1,405億円 | △361億円 | △20.5% | |
| 経常利益 | 1,508億円 | △381億円 | △20.2% | |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 812億円 | △322億円 | △28.4% | |
(為替レート)
| USD/JPY | 109円(111円) |
| THB/JPY | 3.51円(3.43円) |
| AUD/JPY | 74円(81円) |
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、原価低減活動を進めたものの、販売台数の減少に加え、ピックアップトラックの輸出拠点となるタイのバーツ高や米ドル・豪ドル安による為替影響を受け、営業利益は1,405億円(前連結会計年度比20.5%減)となりました。また、経常利益は1,508億円(前連結会計年度比20.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は812億円(前連結会計年度比28.4%減)となりました。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて211億円増加し、2兆1,520億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて41億円増加し、1兆187億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて170億円増加し、1兆1,333億円となりました。
自己資本比率は44.3%(前連結会計年度末43.6%)となりました。
有利子負債については、前連結会計年度末に比べて393億円増加の3,367億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により獲得した資金1,237億円を、投資活動に926億円、財務活動に251億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて13億円減少し、3,039億円となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、310億円の資金流入(前連結会計年度比55.6%減)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、1,237億円(前連結会計年度比21.0%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を1,435億円、減価償却費を762億円計上し、売上債権の減少により232億円の資金流入があった一方で、たな卸資産の増加により250億円、リース債権及びリース投資資産の増加により191億円、仕入債務の減少により140億円、法人税等の支払により441億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、926億円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。
これは、固定資産の取得による支出が1,034億円あったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、251億円(前連結会計年度比76.5%減)となりました。
これは、長期借入の返済で372億円、配当金の支払で280億円、及び非支配株主への配当金の支払で206億円の資金の流出があった一方で、長期借入の実行で590億円の資金の流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
| 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前連結会計年度比 | |||
| 台数 (台) | 金額 (百万円) | 台数 (%) | 金額 (%) | |
| 大型・中型車 | 57,629 | - | △5.3 | - |
| 小型車 | 402,027 | - | △5.1 | - |
| 計 | 459,656 | - | △5.1 | - |
| 海外生産用部品 | - | 42,662 | - | △26.1 |
| エンジン・コンポーネント | - | 189,410 | - | △7.5 |
| その他 | - | 145,720 | - | 2.5 |
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
| 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前連結会計年度比 | ||
| 金額(百万円) | 増減率(%) | ||
| 国 内 | 277,689 | 2.0 | |
| 海 外 | 181,818 | △13.8 | |
| 大型・中型車計 | 459,507 | △4.9 | |
| 国 内 | 154,269 | 0.7 | |
| 海 外 | 836,563 | △4.8 | |
| 小型車他計 | 990,833 | △4.0 | |
| 国 内 | 431,959 | 1.5 | |
| 海 外 | 1,018,381 | △6.6 | |
| 車両計 | 1,450,341 | △4.3 | |
| 海 外 | 43,112 | △24.9 | |
| 海外生産用部品 | 43,112 | △24.9 | |
| 国 内 | 68,951 | △13.2 | |
| 海 外 | 62,695 | △2.1 | |
| エンジン・コンポーネント | 131,647 | △8.3 | |
| 国 内 | 326,337 | 3.8 | |
| 海 外 | 128,498 | 8.3 | |
| その他 | 454,835 | 5.1 | |
| 国 内 | 827,247 | 1.0 | |
| 海 外 | 1,252,688 | △5.8 | |
| 売上高合計 | 2,079,936 | △3.2 | |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| トリペッチ いすゞ セールス㈱ | 397,869 | 18.5 | 387,774 | 18.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から13,564台(5.2%)減少の245,266台となりました。
国内では、小型車において排ガス規制対応の反動減を受けた全需の減少により販売台数が減少し、前連結会計年度から3,078台(4.1%)減少の71,353台となりました。海外では、中近東やアフリカでは回復が見られたものの、市場悪化によりアジアでの販売台数が減少した結果、全体では前連結会計年度から10,486台(5.7%)減少の173,913台となりました。
なお、国内の普通トラックのシェアは、安定した販売を行い、前連結会計年度比+0.7%の32.5%と増加しました。また、小型トラックのシェアは、排ガス規制対応前の駆け込み需要を効果的に取り込み、前連結会計年度比+1.8%の42.4%と増加しました。
・CV車両販売台数
| 前連結会計年度(台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | |||
| 国内 | 大型・中型 | 28,864 | 28,945 | 81 | △0.3 | |
| 小型 | 45,567 | 42,408 | △3,159 | △6.9 | ||
| 計 | 74,431 | 71,353 | △3,078 | △4.1 | ||
| 北米 | 大型・中型 | 1,371 | 1,422 | 51 | 3.7 | |
| 小型 | 28,683 | 27,561 | △1,122 | △3.9 | ||
| 計 | 30,054 | 28,983 | △1,071 | △3.6 | ||
| アジア | 大型・中型 | 22,509 | 16,061 | △6,448 | △28.6 | |
| 小型 | 47,818 | 45,283 | △2,535 | △5.3 | ||
| 計 | 70,327 | 61,344 | △8,983 | △12.8 | ||
| その他地域 | 大型・中型 | 19,456 | 19,375 | △81 | △0.4 | |
| 小型 | 64,562 | 64,211 | △351 | △0.5 | ||
| 計 | 84,018 | 83,586 | △432 | △0.5 | ||
| 合計 | 大型・中型 | 72,200 | 65,803 | △6,397 | △8.9 | |
| 小型 | 186,630 | 179,463 | △7,167 | △3.8 | ||
| 計 | 258,830 | 245,266 | △13,564 | △5.2 |
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から9,535台(3.5%)減少の263,957台となりました。
アジアでは、主にタイの景気減速の影響などを受け、販売台数は前連結会計年度から微減の180,722台となりました。その他地域においては、豪州や欧州での販売台数が減少した結果、全体では前連結会計年度から9,007台(9.8%)減少の83,235台となりました。
なお、タイではLCVの全需が減少しましたが、後半期から新型モデルの生産が始まり、モデル切替の影響があった中、シェアは31.1%と前年のレベルを維持しました。
・LCV車両販売台数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | ||
| アジア | 181,250 | 180,722 | △528 | △0.3 | |
| その他地域 | 92,242 | 83,235 | △9,007 | △9.8 | |
| 計 | 273,492 | 263,957 | △9,535 | △3.5 |
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、中国の建機需要の不透明感を受け減少し、前連結会計年度から12,691台(9.4%)減少の122,886台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | ||
| 計 | 135,577 | 122,886 | △12,691 | △9.4 |
(ロ)当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、主にアジアをはじめとする海外車両販売台数の減少等により前連結会計年度に比べ、692億円(3.2%)減少の2兆799億円となりました。内訳は、国内が8,272億円(前連結会計年度比1.0%増)、海外が1兆2,526億円(前連結会計年度比5.8%減)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は1,405億円(前連結会計年度比20.5%減)となりました。
主な変動要因としては、原価低減活動による120億円などが増益となった一方で、販売量の減少等による売上変動/構成差による209億円、為替変動による163億円、経済変動による85億円、費用増減他による24億円などで減益になったことによるものです。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は6.8%(前連結会計年度8.2%)となりました。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
| 原価低減活動 | 120 |
| 売上変動/構成差 | △209 |
| 為替変動 | △163 |
| 経済変動 | △85 |
| 費用増減他 | △24 |
| 合計 | △361 |
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は102億円の利益であり、前連結会計年度に比べて19億円減益となっています。
支払補償費が前連結会計年度に比べて8億円増加したことが主な減益要因です。
また、支払利息の増加にともない、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は46億円の利益となりましたが、前連結会計年度に比べて5億円悪化しました。為替差損益は前連結会計年度は為替差損を計上したのに対して、今期は3億円の為替差益を計上しました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は73億円の損失となり、前連結会計年度に比べて44億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、投資有価証券評価損等が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では480億円の損失でしたが、当連結会計年度では410億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の246億円に対し、当連結会計年度は212億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は812億円となり、前連結会計年度に比べて322億円の減益となりました。1株当たり当期純利益は110.14円となりました。
(ハ)当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて211億円増加し、2兆1,520億円となりました。
主な要因といたしましては、売上債権が338億円、投資有価証券が213億円減少した一方で、有形固定資産が305億円、リース債権及びリース投資資産が191億円、たな卸資産が162億円、その他流動資産が115億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて41億円増加し、1兆187億円となりました。
主な要因といたしましては、仕入債務が252億円、未払費用が42億円、未払法人税等が35億円減少した一方で、有利子負債が393億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて170億円増加し、1兆1,333億円となりました。
これは利益剰余金が528億円増加した一方、為替換算調整勘定が157億円、その他有価証券評価差額金が131億円、非支配株主持分が61億円減少したことなどによります。
(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は2兆799億円、営業利益率は6.8%、自己資本利益率は8.6%、総還元性向は34.5%となりました。 中期経営計画で掲げた目標のうち総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、安定的・継続的な剰余金の配当を実施したことで、目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)、営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)、自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)については、市場環境の悪化による販売台数の減少に、タイバーツ高や米ドル・豪ドル安など為替相場の変動による採算性の悪化も加わった結果、目標値を下回りました。
このうち、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は、当連結会計年度においては軽微なものにとどまりました。各国の需要は今後落ち込みが本格化し、厳しい時期が続くものの、物流は動いており今年度中のどこかで需要回復は始まると想定しています。
事業活動の制約は長期化すると考えられますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
(ホ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
当連結会計年度を含む3ヵ年で生み出される当社グループのキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローの合計額の見通し)は累計4,000億円から5,000億円になると見込まれ、このうち、総額3,500億円程度を事業投資に充てる予定であります。具体的には、これまでの拠点投資に代わり、商品力強化やデジタルイノベーションに向けた投資が求められることに加えて、先進技術開発の推進や新事業創出を目的とした戦略投資を加速していきます。
市場への還元は安定的・継続的であることを旨とし、自己資本利益率の改善とセットでバランスを取っていきます。各年度の総還元性向について当連結会計年度を含む3ヵ年平均として30%を目標としています。
また、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る費用及び負債、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症は、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難なことから、当連結会計年度末以後、2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[たな卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等のたな卸資産を保有しております。これらのたな卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[固定資産]
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、生産用資産及び販売関連資産は主として事業会社単位、遊休資産は個々の資産グループとしてそれぞれグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュフローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。
[投資]
当社グループでは、投資有価証券として非公開会社の株式を保有しております。非公開株式をはじめとする時価のない有価証券については、原則として移動平均法による原価法によって評価しておりますが、投資先の財政状態が著しく悪化し、かつ回復可能性が見込めない場合に投資先の純資産額等を基に減損処理を行っています。
従って、将来の投資先の業績不振等が発生した場合、現在反映されていない評価損の計上が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
[リコールに関連する債務]
当社グループでは、製品のリコール等が発生した際にその費用の支出に充てるために、未払費用を計上しています。当該債務は、リコールとなる対象台数・不具合の内容・発生する費用・当社グループの責任の有無等を基に、個別に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。