有価証券報告書-第119期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の経済状況は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響を大きく受けました。商用車市場も、第3四半期以降は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルスの感染症の感染拡大により需要が大きく落ち込みました。
このような経営環境の中、当社は前中期経営計画(2019年3月期から2021年3月期まで)(以下、「前中計」という)で掲げた中長期に目指す姿「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレント・カンパニーとして広く愛される会社」を目指し、取り組んでまいりました。
具体的には、アライアンス体制の構築に引き続き、取り組みました。2020年10月にボルボ・グループと商用車分野における戦略的提携に関する基本契約を締結し、2021年4月より本格的な協業を開始しております。この戦略的提携によりそれぞれが得意とする領域を相互に補完しながら、お互いの持つ優れた技術とスケールメリットを活かし、商用車における既存技術および先進技術開発の協業を進めます。共に物流の将来課題に挑み、社会とお客様に提供する価値の最大化と、商用車業界の新たな価値の創造を目指してまいります。加えて、2021年3月には日野自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社と新たな協業で輸送課題の解決やカーボンニュートラル実現への貢献を目指すことで合意しました。当社と日野自動車株式会社が培った商用事業基盤に、トヨタ自動車株式会社のCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、商用車を使って人・モノの移動を支える輸送業が直面する、輸送効率の向上、ドライバーの人手不足や長時間労働をはじめとする様々な課題やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指していきます。
当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車はシェア40.8%と高い評価を得たものの、全需減少にともない販売台数は減少しており、前連結会計年度に比べ10,282台(14.4%)減少の61,071台となりました。
海外車両販売台数は、主にアジアで全需が減少したことを受け、前連結会計年度に比べ44,806台(10.2%)減少の393,064台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ55,088台(10.8%)減少の454,135台となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は次のとおりです。
(為替レート)
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、原価低減活動による採算改善や費用削減を進めたものの、売上高減少を受け、営業利益は957億円(前連結会計年度比31.9%減)となりました。また、経常利益は1,042億円(前連結会計年度比30.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は427億円(前連結会計年度比47.4%減)となりました。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて928億円増加し、2兆2,449億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて212億円増加し、1兆399億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて716億円増加し、1兆2,050億円となりました。
自己資本比率は45.5%(前連結会計年度末44.3%)となりました。
有利子負債につきましては、前連結会計年度末に比べて201億円減少の3,165億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により獲得した2,229億円を、投資活動に934億円、財務活動に552億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて826億円増加し、3,866億円となりました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、1,295億円の資金流入(前連結会計年度比317.2%増)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、2,229億円(前連結会計年度比80.2%増)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を868億円、減価償却費を823億円計上し、たな卸資産の減少により384億円、仕入債務の増加により159億円の資金流入があった一方で、売上債権の増加により112億円、法人税等の支払により306億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、934億円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。
これは、固定資産の取得による支出が978億円あったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、552億円(前連結会計年度比119.8%増)となりました。
これは、長期借入の返済で848億円、配当金の支払で214億円、及び非支配株主への配当金の支払で162億円の資金流出があった一方で、長期借入の実行で433億円、社債の発行で500億円の資金流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から44,537台(18.2%)減少の200,729台となりました。
国内では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、前半期に全需が大きく落ち込みました。後半期はほぼ前年並みまで回復しましたが、前半期の全需の減少による影響を受け、前連結会計年度から10,282台(14.4%)減少の61,071台となりました。海外でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、前半期は全需が大きく落ち込みましたが、後半期からは市場は総じて回復基調へ転じました。その結果、全体では前連結会計年度から34,255台(19.7%)減少の139,658台となりました。
なお、国内の普通トラックのシェアは、安定した販売を行い、前連結会計年度比+1.3%の33.8%と増加しました。また、小型トラックのシェアは、排ガス規制対応前の駆け込み需要による反動減もあり、前連結会計年度比△1.6%の40.8%と減少しました。
・CV車両販売台数
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から10,551台(4.0%)減少の253,406台となりました。
アジアでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を受け、前半期に全需が大きく落ち込みましたが、第2四半期以降は回復基調が続きました。その結果、販売台数は前連結会計年度から14,475台(8.0%)減少の166,247台となりました。その他地域においては、後半期より新型モデルの販売が本格化したこと等により、全体では前連結会計年度から3,924台(4.7%)増加の87,159台となりました。
なお、タイではLCVの全需が減少しましたが、引き続き新型モデルが高評価をいただき、シェアは42.3%(※)と前年を上回りました。
(※前連結会計年度までは1月~12月までの累計実績を表示しておりましたが、当連結会計年度より4月~
3月までの累計実績を表示しています。)
・LCV車両販売台数
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、好調な中国の建機需要を受け、前連結会計年度から15,135台(12.3%)増加の138,021台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
(ロ)当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、主に国内・海外における車両販売台数の減少等により前連結会計年度に比べ、1,717億円(8.3%)減少の1兆9,081億円となりました。内訳は、国内が7,516億円(前連結会計年度比9.1%減)、海外が1兆1,565億円(前連結会計年度比7.7%減)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は957億円(前連結会計年度比31.9%減)となりました。
主な変動要因としては、原価低減活動による90億円および新型コロナウイルス感染症に関する特別損失を含む費用増減他による121億円が増益要因となった一方で、販売量の減少等による売上変動/構成差による660億円が減益要因になったことによるものです。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は5.0%(前連結会計年度6.8%)となりました。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は85億円の利益であり、前連結会計年度に比べて17億円減益となっています。
主に支払補償費が前連結会計年度に比べて22億円減少し増益要因となった一方で、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は25億円の利益となりましたが、受取利息等の減少により前連結会計年度に比べて21億円減少したほか、持分法による投資利益が29億円減少したことが減益要因となりました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は174億円の損失となり、前連結会計年度に比べて100億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、新型コロナウイルス感染症に関する損失が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では410億円の損失でしたが、当連結会計年度では342億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の212億円に対し、当連結会計年度は98億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は427億円となり、前連結会計年度に比べて385億円の減益となりました。1株当たり当期純利益は57.91円となりました。
(ハ)当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて928億円増加し、2兆2,449億円となりました。
主な要因といたしましては、たな卸資産が355億円、繰延税金資産が146億円減少した一方で、現金及び預金が833億円、投資有価証券が371億円、売上債権が208億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて212億円増加し、1兆399億円となりました。
主な要因といたしましては、有利子負債が201億円減少した一方で、仕入債務が259億円、その他流動負債が117億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて716億円増加し、1兆2,050億円となりました。
主な要因といたしましては、剰余金の配当を214億円行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を427億円計上したことに加え、その他有価証券評価差額金が273億円、為替換算調整勘定が133億円増加したことによります。
(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は1兆9,081億円、営業利益率は5.0%、自己資本利益率は4.3%、総還元性向は51.8%となりました。 前中計で掲げた目標のうち総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、安定的・継続的な剰余金の配当を実施したことで、目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)、営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)、自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響に加え、新興国の通貨安や需要の低迷などにより、目標値を下回りました。
このような中、当社グループは、既存事業の効率化やコスト低減に加えてアフターサービスの強化など事業基盤の盤石化を図るとともに、アライアンスの推進など前例にとらわれない積極的な施策を講じることにより、厳しい市場環境でも耐え抜くことができる強靭な事業基盤の構築に努めてまいりました。
なお、依然として世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響については、地域によって差はあるものの、当連結会計年度を底として、概ね2022年度までに需要が回復するものと想定しています。
一部の地域において、事業活動の制約は継続するものと考えられますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、「運ぶ」を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
(ホ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「社債明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
CASEの時代を迎え、当社を取り巻くコンペティター、パートナー、ステークホルダーは多様化しかつグローバルに広がりました。このような状況変化のなかでも認められる企業であり続けるためには、今までの経営風土のあり方を変える必要性を強く認識しています。
当社は今後、「ESGを視点とした経営」を基本に置き、先行するグローバルメーカーをベンチマークし、この変革に取り組みたいと考えています。グローバル化、多様化するステークホルダーの皆様と共に発展するため、安定した自己資本の積み上がりを背景に、資本効率をより重視する経営を目指し、変化の激しい不透明な時代にあっても持続安定的な株主還元の実現を目指してまいります。
具体的には、当社が提供する商品とサービス力の強化を通じ社会的価値を高めることにより資本効率を高め、5年後のROE15%を目指します。
また、変化の激しい不透明な時代にあっても持続安定的な株主還元を実現するため、「中期経営計画 2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)の期間中の配当性向は平均40%を目指します。さらに、資本の効率を重視する経営の一環として、機動的な自社株取得も検討してまいります。
当社グループは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に投資、借入返済、株主還元に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによってこれらの目標の実現に向け取り組んでまいります。
なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る費用及び負債、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の拡がり方や収束時期等を予見することは困難なことから、重要な会計上の見積りにあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う不確実性を加味し、一部の市場において当連結会計年度の需要減少が翌連結会計年度以降継続することを前提としています。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[たな卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等のたな卸資産を保有しております。これらのたな卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[固定資産]
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、資産グループを事業用資産、遊休資産及び賃貸用資産に区分し、遊休資産及び賃貸用資産については、個々の物件ごとにグルーピングしております。
当該事業用資産及び賃貸用資産について、市場価格の下落、収益性の低下等により減損の兆候を把握した場合には、個別に回収可能性を検討しております。
有形固定資産の回収可能価額の決定にあたっては、使用価値または正味売却価額のいずれか高い方の金額としています。
使用価値の算定にあたっては、当該製造・販売子会社の経営者によって承認された事業計画を基礎として、資産グループから生じる将来キャッシュ・フローを見積り、これを現在価値に割引いています。将来キャッシュ・フローの算定に重要な影響を与える仮定は、主に市場における総需要やシェア並びに成長率です。また、使用価値の算定に重要な影響を与える仮定は割引率です。市場における総需要やシェア並びに成長率は、当社グループの過去の実績や外部情報機関による予測データを参考に、関係する市場動向や現時点で入手可能な情報に基づく経営環境の変化等を考慮しています。割引率は、加重平均資本コストを使用しています。
正味売却価額の算定にあたっては、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して行っています。その時価は、第三者による鑑定評価額に基づき、原則として観察可能な市場価格に基づく価額としていますが、市場価格が観察できない場合には、インカム・アプローチや陳腐化を加味したコスト・アプローチによって算定された価額など資産の特性等にしたがって合理的に算定された価額としております。
なお、算定にあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う不確実性を加味し、当連結会計年度の当該新興国市場の需要減少が翌連結会計年度以降継続することを前提としています。これらについて、当社グループは入手可能な最新の情報を基に継続的に見直しています。
[投資]
当社グループでは、投資有価証券として非公開会社の株式を保有しております。非公開株式をはじめとする時価のない有価証券については、原則として移動平均法による原価法によって評価しておりますが、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下し、かつ回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合は、当該有価証券に対する減損処理を行い、実質価額をもって貸借対照表価額としています。
関係会社株式等時価のない有価証券の実質価額は、原則として一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成された発行会社の直近の財務諸表にその後の状況で財政状態に重要な影響を及ぼす事項を加えたものを基礎に、資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味した1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じることにより算定しています。実質価額が著しく低下したときとは、実質価額が取得価額に比べて50%程度以上低下した場合としています。
回復可能性の判定にあたっては、発行会社の取締役会等といった意思決定機関で承認された中長期の事業計画等の実行可能性や合理性についても検討を行います。
回復可能性の判定を行った結果、実質価額が著しく低下し、かつ回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない有価証券については、取得価額を実質価額まで減額しています。
回復可能性の判定に用いる事業計画の見積りに重要な影響を与える仮定は、主に市場における総需要やシェアです。これらについて、当社は入手可能な最新の情報を基に継続的に見直しています。
自動車の需要は経済状況の影響を強く受けるため、景気後退及びそれに伴う市場における総需要の縮小により将来の投資先の業績不振等が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
[市場措置(リコール等)に関連する債務]
当社グループでは、製品のリコール等が発生した際にその費用の支出に充てるために、未払費用を計上しています。当該未払費用は、リコール等となる見積り対象台数に台当たり市場措置額を乗じることで算出しています。リコール等に関連する債務の算出に用いた主要な仮定は、個別案件ごとの見積り対象台数、台当たり市場措置額です。
見積り対象台数は、主務官庁への届出等に基づく台数に個別の無償補修作業の実施率を考慮すること等によって算出をしています。台当たり市場措置額は、主務官庁への届出等に基づく個別の無償補修作業に必要となる部品代、作業工数等を見積ることによって算出しています。
これらについて、当社グループは個々のリコール等に対する実際の費用の発生状況を精査することによって継続的に見直しております。
当社グループは、リコール等に関連する債務について妥当な算定ができており、これまでの実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。
しかしながら、リコール等に関連する債務の見積りにあたっては、主要な仮定の見積りに不確実性が存在することから、実際のリコール等の費用が見積りの金額から乖離した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
また、万が一大規模なリコール等を新たに実施する場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の経済状況は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響を大きく受けました。商用車市場も、第3四半期以降は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルスの感染症の感染拡大により需要が大きく落ち込みました。
このような経営環境の中、当社は前中期経営計画(2019年3月期から2021年3月期まで)(以下、「前中計」という)で掲げた中長期に目指す姿「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレント・カンパニーとして広く愛される会社」を目指し、取り組んでまいりました。
具体的には、アライアンス体制の構築に引き続き、取り組みました。2020年10月にボルボ・グループと商用車分野における戦略的提携に関する基本契約を締結し、2021年4月より本格的な協業を開始しております。この戦略的提携によりそれぞれが得意とする領域を相互に補完しながら、お互いの持つ優れた技術とスケールメリットを活かし、商用車における既存技術および先進技術開発の協業を進めます。共に物流の将来課題に挑み、社会とお客様に提供する価値の最大化と、商用車業界の新たな価値の創造を目指してまいります。加えて、2021年3月には日野自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社と新たな協業で輸送課題の解決やカーボンニュートラル実現への貢献を目指すことで合意しました。当社と日野自動車株式会社が培った商用事業基盤に、トヨタ自動車株式会社のCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、商用車を使って人・モノの移動を支える輸送業が直面する、輸送効率の向上、ドライバーの人手不足や長時間労働をはじめとする様々な課題やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指していきます。
当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車はシェア40.8%と高い評価を得たものの、全需減少にともない販売台数は減少しており、前連結会計年度に比べ10,282台(14.4%)減少の61,071台となりました。
海外車両販売台数は、主にアジアで全需が減少したことを受け、前連結会計年度に比べ44,806台(10.2%)減少の393,064台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ55,088台(10.8%)減少の454,135台となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は次のとおりです。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度比 | |||||
| 売上高 | 19,081 | 億円 | △1,717 | 億円 | △8.3% | |
| 営業利益 | 957 | 億円 | △448 | 億円 | △31.9% | |
| 経常利益 | 1,042 | 億円 | △466 | 億円 | △30.9% | |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 427 | 億円 | △385 | 億円 | △47.4% | |
(為替レート)
| USD/JPY | 106.0円(108.7円) |
| THB/JPY | 3.42円(3.51円) |
| AUD/JPY | 76.2円(74.2円) |
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、原価低減活動による採算改善や費用削減を進めたものの、売上高減少を受け、営業利益は957億円(前連結会計年度比31.9%減)となりました。また、経常利益は1,042億円(前連結会計年度比30.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は427億円(前連結会計年度比47.4%減)となりました。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて928億円増加し、2兆2,449億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて212億円増加し、1兆399億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて716億円増加し、1兆2,050億円となりました。
自己資本比率は45.5%(前連結会計年度末44.3%)となりました。
有利子負債につきましては、前連結会計年度末に比べて201億円減少の3,165億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により獲得した2,229億円を、投資活動に934億円、財務活動に552億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて826億円増加し、3,866億円となりました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、1,295億円の資金流入(前連結会計年度比317.2%増)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、2,229億円(前連結会計年度比80.2%増)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を868億円、減価償却費を823億円計上し、たな卸資産の減少により384億円、仕入債務の増加により159億円の資金流入があった一方で、売上債権の増加により112億円、法人税等の支払により306億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、934億円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。
これは、固定資産の取得による支出が978億円あったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、552億円(前連結会計年度比119.8%増)となりました。
これは、長期借入の返済で848億円、配当金の支払で214億円、及び非支配株主への配当金の支払で162億円の資金流出があった一方で、長期借入の実行で433億円、社債の発行で500億円の資金流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
| 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前連結会計年度比 | |||
| 台数 (台) | 金額 (百万円) | 台数 (%) | 金額 (%) | |
| 大型・中型車 | 49,102 | - | △14.8 | - |
| 小型車 | 346,282 | - | △13.9 | - |
| 計 | 395,384 | - | △14.0 | - |
| 海外生産用部品 | - | 34,039 | - | △20.2 |
| エンジン・コンポーネント | - | 202,211 | - | 6.8 |
| その他 | - | 142,517 | - | △2.2 |
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
| 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前連結会計年度比 | ||
| 金額(百万円) | 増減率(%) | ||
| 国 内 | 244,683 | △11.9 | |
| 海 外 | 149,653 | △17.7 | |
| 大型・中型車計 | 394,337 | △14.2 | |
| 国 内 | 133,424 | △13.5 | |
| 海 外 | 774,484 | △7.4 | |
| 小型車他計 | 907,909 | △8.4 | |
| 国 内 | 378,108 | △12.5 | |
| 海 外 | 924,138 | △9.3 | |
| 車両計 | 1,302,246 | △10.2 | |
| 海 外 | 32,358 | △24.9 | |
| 海外生産用部品 | 32,358 | △24.9 | |
| 国 内 | 51,198 | △25.7 | |
| 海 外 | 98,463 | 57.0 | |
| エンジン・コンポーネント | 149,661 | 13.7 | |
| 国 内 | 322,326 | △1.2 | |
| 海 外 | 101,556 | △21.0 | |
| その他 | 423,883 | △6.8 | |
| 国 内 | 751,633 | △9.1 | |
| 海 外 | 1,156,517 | △7.7 | |
| 売上高合計 | 1,908,150 | △8.3 | |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| トリペッチ いすゞ セールス㈱ | 387,774 | 18.6 | 338,907 | 17.8 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から44,537台(18.2%)減少の200,729台となりました。
国内では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、前半期に全需が大きく落ち込みました。後半期はほぼ前年並みまで回復しましたが、前半期の全需の減少による影響を受け、前連結会計年度から10,282台(14.4%)減少の61,071台となりました。海外でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、前半期は全需が大きく落ち込みましたが、後半期からは市場は総じて回復基調へ転じました。その結果、全体では前連結会計年度から34,255台(19.7%)減少の139,658台となりました。
なお、国内の普通トラックのシェアは、安定した販売を行い、前連結会計年度比+1.3%の33.8%と増加しました。また、小型トラックのシェアは、排ガス規制対応前の駆け込み需要による反動減もあり、前連結会計年度比△1.6%の40.8%と減少しました。
・CV車両販売台数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | |||
| 国内 | 大型・中型 | 28,945 | 26,757 | △2,188 | △7.6 | |
| 小型 | 42,408 | 34,314 | △8,094 | △19.1 | ||
| 計 | 71,353 | 61,071 | △10,282 | △14.4 | ||
| 北米 | 大型・中型 | 1,422 | 1,572 | 150 | 10.5 | |
| 小型 | 27,561 | 19,765 | △7,796 | △28.3 | ||
| 計 | 28,983 | 21,337 | △7,646 | △26.4 | ||
| アジア | 大型・中型 | 16,061 | 11,986 | △4,075 | △25.4 | |
| 小型 | 45,283 | 31,180 | △14,103 | △31.1 | ||
| 計 | 61,344 | 43,166 | △18,178 | △29.6 | ||
| その他地域 | 大型・中型 | 19,375 | 15,910 | △3,465 | △17.9 | |
| 小型 | 64,211 | 59,245 | △4,966 | △7.7 | ||
| 計 | 83,586 | 75,155 | △8,431 | △10.1 | ||
| 合計 | 大型・中型 | 65,803 | 56,225 | △9,578 | △14.6 | |
| 小型 | 179,463 | 144,504 | △34,959 | △19.5 | ||
| 計 | 245,266 | 200,729 | △44,537 | △18.2 |
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から10,551台(4.0%)減少の253,406台となりました。
アジアでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を受け、前半期に全需が大きく落ち込みましたが、第2四半期以降は回復基調が続きました。その結果、販売台数は前連結会計年度から14,475台(8.0%)減少の166,247台となりました。その他地域においては、後半期より新型モデルの販売が本格化したこと等により、全体では前連結会計年度から3,924台(4.7%)増加の87,159台となりました。
なお、タイではLCVの全需が減少しましたが、引き続き新型モデルが高評価をいただき、シェアは42.3%(※)と前年を上回りました。
(※前連結会計年度までは1月~12月までの累計実績を表示しておりましたが、当連結会計年度より4月~
3月までの累計実績を表示しています。)
・LCV車両販売台数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | ||
| アジア | 180,722 | 166,247 | △14,475 | △8.0 | |
| その他地域 | 83,235 | 87,159 | 3,924 | 4.7 | |
| 計 | 263,957 | 253,406 | △10,551 | △4.0 |
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、好調な中国の建機需要を受け、前連結会計年度から15,135台(12.3%)増加の138,021台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | ||
| 計 | 122,886 | 138,021 | 15,135 | 12.3 |
(ロ)当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、主に国内・海外における車両販売台数の減少等により前連結会計年度に比べ、1,717億円(8.3%)減少の1兆9,081億円となりました。内訳は、国内が7,516億円(前連結会計年度比9.1%減)、海外が1兆1,565億円(前連結会計年度比7.7%減)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は957億円(前連結会計年度比31.9%減)となりました。
主な変動要因としては、原価低減活動による90億円および新型コロナウイルス感染症に関する特別損失を含む費用増減他による121億円が増益要因となった一方で、販売量の減少等による売上変動/構成差による660億円が減益要因になったことによるものです。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は5.0%(前連結会計年度6.8%)となりました。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
| 費用増減他 | 122 |
| 原価低減活動 | 90 |
| 為替変動 | 0 |
| 経済変動 | 0 |
| 売上変動/構成差 | △660 |
| 合計 | △448 |
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は85億円の利益であり、前連結会計年度に比べて17億円減益となっています。
主に支払補償費が前連結会計年度に比べて22億円減少し増益要因となった一方で、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は25億円の利益となりましたが、受取利息等の減少により前連結会計年度に比べて21億円減少したほか、持分法による投資利益が29億円減少したことが減益要因となりました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は174億円の損失となり、前連結会計年度に比べて100億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、新型コロナウイルス感染症に関する損失が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では410億円の損失でしたが、当連結会計年度では342億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の212億円に対し、当連結会計年度は98億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は427億円となり、前連結会計年度に比べて385億円の減益となりました。1株当たり当期純利益は57.91円となりました。
(ハ)当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて928億円増加し、2兆2,449億円となりました。
主な要因といたしましては、たな卸資産が355億円、繰延税金資産が146億円減少した一方で、現金及び預金が833億円、投資有価証券が371億円、売上債権が208億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて212億円増加し、1兆399億円となりました。
主な要因といたしましては、有利子負債が201億円減少した一方で、仕入債務が259億円、その他流動負債が117億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて716億円増加し、1兆2,050億円となりました。
主な要因といたしましては、剰余金の配当を214億円行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を427億円計上したことに加え、その他有価証券評価差額金が273億円、為替換算調整勘定が133億円増加したことによります。
(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は1兆9,081億円、営業利益率は5.0%、自己資本利益率は4.3%、総還元性向は51.8%となりました。 前中計で掲げた目標のうち総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、安定的・継続的な剰余金の配当を実施したことで、目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)、営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)、自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響に加え、新興国の通貨安や需要の低迷などにより、目標値を下回りました。
このような中、当社グループは、既存事業の効率化やコスト低減に加えてアフターサービスの強化など事業基盤の盤石化を図るとともに、アライアンスの推進など前例にとらわれない積極的な施策を講じることにより、厳しい市場環境でも耐え抜くことができる強靭な事業基盤の構築に努めてまいりました。
なお、依然として世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響については、地域によって差はあるものの、当連結会計年度を底として、概ね2022年度までに需要が回復するものと想定しています。
一部の地域において、事業活動の制約は継続するものと考えられますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、「運ぶ」を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
(ホ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「社債明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
CASEの時代を迎え、当社を取り巻くコンペティター、パートナー、ステークホルダーは多様化しかつグローバルに広がりました。このような状況変化のなかでも認められる企業であり続けるためには、今までの経営風土のあり方を変える必要性を強く認識しています。
当社は今後、「ESGを視点とした経営」を基本に置き、先行するグローバルメーカーをベンチマークし、この変革に取り組みたいと考えています。グローバル化、多様化するステークホルダーの皆様と共に発展するため、安定した自己資本の積み上がりを背景に、資本効率をより重視する経営を目指し、変化の激しい不透明な時代にあっても持続安定的な株主還元の実現を目指してまいります。
具体的には、当社が提供する商品とサービス力の強化を通じ社会的価値を高めることにより資本効率を高め、5年後のROE15%を目指します。
また、変化の激しい不透明な時代にあっても持続安定的な株主還元を実現するため、「中期経営計画 2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)の期間中の配当性向は平均40%を目指します。さらに、資本の効率を重視する経営の一環として、機動的な自社株取得も検討してまいります。
当社グループは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に投資、借入返済、株主還元に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによってこれらの目標の実現に向け取り組んでまいります。
なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る費用及び負債、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の拡がり方や収束時期等を予見することは困難なことから、重要な会計上の見積りにあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う不確実性を加味し、一部の市場において当連結会計年度の需要減少が翌連結会計年度以降継続することを前提としています。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[たな卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等のたな卸資産を保有しております。これらのたな卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[固定資産]
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、資産グループを事業用資産、遊休資産及び賃貸用資産に区分し、遊休資産及び賃貸用資産については、個々の物件ごとにグルーピングしております。
当該事業用資産及び賃貸用資産について、市場価格の下落、収益性の低下等により減損の兆候を把握した場合には、個別に回収可能性を検討しております。
有形固定資産の回収可能価額の決定にあたっては、使用価値または正味売却価額のいずれか高い方の金額としています。
使用価値の算定にあたっては、当該製造・販売子会社の経営者によって承認された事業計画を基礎として、資産グループから生じる将来キャッシュ・フローを見積り、これを現在価値に割引いています。将来キャッシュ・フローの算定に重要な影響を与える仮定は、主に市場における総需要やシェア並びに成長率です。また、使用価値の算定に重要な影響を与える仮定は割引率です。市場における総需要やシェア並びに成長率は、当社グループの過去の実績や外部情報機関による予測データを参考に、関係する市場動向や現時点で入手可能な情報に基づく経営環境の変化等を考慮しています。割引率は、加重平均資本コストを使用しています。
正味売却価額の算定にあたっては、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して行っています。その時価は、第三者による鑑定評価額に基づき、原則として観察可能な市場価格に基づく価額としていますが、市場価格が観察できない場合には、インカム・アプローチや陳腐化を加味したコスト・アプローチによって算定された価額など資産の特性等にしたがって合理的に算定された価額としております。
なお、算定にあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う不確実性を加味し、当連結会計年度の当該新興国市場の需要減少が翌連結会計年度以降継続することを前提としています。これらについて、当社グループは入手可能な最新の情報を基に継続的に見直しています。
[投資]
当社グループでは、投資有価証券として非公開会社の株式を保有しております。非公開株式をはじめとする時価のない有価証券については、原則として移動平均法による原価法によって評価しておりますが、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下し、かつ回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合は、当該有価証券に対する減損処理を行い、実質価額をもって貸借対照表価額としています。
関係会社株式等時価のない有価証券の実質価額は、原則として一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成された発行会社の直近の財務諸表にその後の状況で財政状態に重要な影響を及ぼす事項を加えたものを基礎に、資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味した1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じることにより算定しています。実質価額が著しく低下したときとは、実質価額が取得価額に比べて50%程度以上低下した場合としています。
回復可能性の判定にあたっては、発行会社の取締役会等といった意思決定機関で承認された中長期の事業計画等の実行可能性や合理性についても検討を行います。
回復可能性の判定を行った結果、実質価額が著しく低下し、かつ回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない有価証券については、取得価額を実質価額まで減額しています。
回復可能性の判定に用いる事業計画の見積りに重要な影響を与える仮定は、主に市場における総需要やシェアです。これらについて、当社は入手可能な最新の情報を基に継続的に見直しています。
自動車の需要は経済状況の影響を強く受けるため、景気後退及びそれに伴う市場における総需要の縮小により将来の投資先の業績不振等が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
[市場措置(リコール等)に関連する債務]
当社グループでは、製品のリコール等が発生した際にその費用の支出に充てるために、未払費用を計上しています。当該未払費用は、リコール等となる見積り対象台数に台当たり市場措置額を乗じることで算出しています。リコール等に関連する債務の算出に用いた主要な仮定は、個別案件ごとの見積り対象台数、台当たり市場措置額です。
見積り対象台数は、主務官庁への届出等に基づく台数に個別の無償補修作業の実施率を考慮すること等によって算出をしています。台当たり市場措置額は、主務官庁への届出等に基づく個別の無償補修作業に必要となる部品代、作業工数等を見積ることによって算出しています。
これらについて、当社グループは個々のリコール等に対する実際の費用の発生状況を精査することによって継続的に見直しております。
当社グループは、リコール等に関連する債務について妥当な算定ができており、これまでの実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。
しかしながら、リコール等に関連する債務の見積りにあたっては、主要な仮定の見積りに不確実性が存在することから、実際のリコール等の費用が見積りの金額から乖離した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
また、万が一大規模なリコール等を新たに実施する場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。