有価証券報告書-第120期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の商用車市場は前年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大影響による落ち込みから特に海外市場において需要が大きく回復したものの、主に半導体不足に起因するサプライチェーンの混乱や物流の停滞による影響を大きく受けることとなりました。このような状況の中で、当社グループは国内CV及びタイ向けLCVの販売が半導体不足の影響を大きく受けたものの、新興国向けに出荷に振り替える運営により影響を最小限にとどめました。国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ125,822台(27.7%)増加の579,957台となりました。
当連結会計年度の国内車両販売台数は生産面の影響を受け、前連結会計年度に比べ6,482台(10.6%)減少の54,589台となりました。海外車両販売台数は、旺盛な需要を背景に多くの地域で販売台数が増加し、前連結会計年度に比べ132,304台(33.7%)増加の525,368台となりました。
車両以外の商品の売上高につきましては、海外生産用部品が前連結会計年度に比べ225億円(69.7%)増加し549億円となり、エンジン・コンポーネントは、主に産業用エンジンの販売基数が増加したことにより前連結会計年度に比べ207億円(13.9%)増加の1,703億円となりました。また、その他の売上高は、前連結会計年度に比べ1,385億円(32.7%)増加の5,624億円となりました。
これらの結果、売上高につきましては、前連結会計年度に比べ6,061億円(31.8%)増加の2兆5,142億円となりました。内訳は、国内が8,781億円(前連結会計年度比16.8%増)、海外が1兆6,361億円(前連結会計年度比41.5%増)です。
当連結会計年度の業績は次のとおりです。
(為替レート)
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、増収効果、原価低減活動の推進、為替環境の好転により、資材費や物流費の高騰によるコスト増加を吸収し、営業利益は1,871億円(前連結会計年度比95.5%増)となりました。また、経常利益は2,084億円(前連結会計年度比99.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,261億円(前連結会計年度比195.5%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて6,111億円増加し、2兆8,561億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて4,217億円増加し、1兆4,617億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて1,894億円増加し、1兆3,944億円となりました。
自己資本比率は41.8%(前連結会計年度末45.5%)となりました。
有利子負債につきましては、前連結会計年度末に比べて2,139億円増加の5,304億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動で1,720億円、財務活動で1,861億円それぞれ獲得した資金を、投資活動により4,208億円使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて449億円減少し、3,417億円となりました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、2,488億円の資金流出(前連結会計年度は1,295億円の資金流入)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、1,720億円(前連結会計年度比22.8%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を2,042億円、減価償却費を983億円計上し、仕入債務の増加により325億円の資金流入があった一方で、棚卸資産の増加により1,052億円、法人税等の支払により469億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、4,208億円(前連結会計年度比350.5%増)となりました。
これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得で2,905億円、固定資産の取得で1,003億円、投資有価証券の取得で429億円の資金流出があったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により獲得した資金は、1,861億円(前連結会計年度は552億円の資金流出)となりました。
これは、長期借入れの返済で581億円、配当金の支払で373億円、及び非支配株主への配当金の支払で218億円の資金流出があった一方で、長期借入れの実行で1,965億円、自己株式の処分で428億円、短期借入金の増加で417億円の資金流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から64,129台(31.9%)増加の264,858台となりました。
国内では、東南アジアにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大が部品供給に影響した結果、主に小型トラックの生産が影響を受け、前連結会計年度から6,482台(10.6%)減少の54,589台となりました。海外では、半導体不足により、主に北米向けトラックが生産制約の影響を受けたものの、全体では前連結会計年度から70,611台(50.6%)増加の210,269台となりました。
なお、サプライチェーンの混乱による生産の制約により、当社の国内の普通トラックのシェアは、前連結会計年度比0.8%減少の33.0%となりました(なお、UDトラックスを含む当社グループの国内の普通トラックのシェアは44.9%)。また、小型トラックのシェアについても、同じく生産制約の影響を大きく受け、前連結会計年度比6.9%減少の33.9%となりました。
・CV車両販売台数
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から61,693台(24.3%)増加の315,099台となりました。
アジアでは、新型LCVの生産が、第1四半期から第2四半期にかけて半導体不足の影響を受けたものの、第3四半期以降は概ね解消に向かい、多くの地域で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大前の2020年3月期の販売台数を上回りました。その結果、販売台数は前連結会計年度から25,822台(15.5%)増加の192,069台となりました。その他地域においても、半導体不足の影響が解消に向かい、新型モデルの販売が大きく拡大したこと等により、全体では前連結会計年度から35,871台(41.2%)増加の123,030台となりました。
なお、タイではLCVの全需が生産制約により前連結会計年度並みにとどまりましたが、引き続き新型モデルが高評価をいただき、販売シェアは前連結会計年度に引き続き40%台を維持いたしました。
・LCV車両販売台数
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、第3四半期以降は中国の建機需要の減速等により減少傾向に転じましたが、前連結会計年度から11,131台(8.1%)増加の149,152台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
b.当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、国内のCV販売台数が半導体不足による生産制約を受け、前連結会計年度を下回りましたが、海外CV及びLCVについては半導体不足の影響が解消に向かい、販売台数が増加したことにより前連結会計年度に比べ、6,061億円(31.8%)増加の2兆5,142億円となりました。内訳は、国内が8,781億円(前連結会計年度比16.8%増)、海外が1兆6,361億円(前連結会計年度比41.5%増)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は1,871億円(前連結会計年度比95.5%増)となりました。
当連結会計年度におけるサプライチェーンの混乱に伴う資材費・物流費等の高騰といった経済変動の影響は、前連結会計年度に対して450億円の減益となり、大幅な減益要因となりました。一方で、主に海外市場における販売量の増加による売上変動/構成差の影響は、前連結会計年度に対して825億円の増益となり、経済変動の影響を超える大幅な増益要因となりました。さらに原価低減活動として246億円の増益を実現したことに加えて、為替好転による影響が318億円と大きな増益要因となりました。なお、UDトラックスを新規連結したことによる影響は、40億円の増益要因となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は7.4%(前連結会計年度は5.0%)となりました。
なお、前連結会計年度からの営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は212億円の利益であり、前連結会計年度に比べて126億円の増益となっています。
受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額が64億円の利益となり、前連結会計年度に比べて38億円増加したほか、持分法投資利益が45億円増加したこと及び為替差益が40億円増加したことが増益要因となりました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は41億円の損失となり、前連結会計年度に比べて133億円の増益となりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、投資有価証券評価損が挙げられ、特別利益で、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では342億円の損失でしたが、当連結会計年度では475億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内の製造又は販売会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の98億円に対し、当連結会計年度は305億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,261億円となり、前連結会計年度に比べて834億円の増益となりました。1株当たり当期純利益は162.87円となりました。
c.当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて6,111億円増加し、2兆8,561億円となりました。
主な要因としましては、UDトラックスの株式取得に伴い、同社及びその子会社14社を連結の範囲に含めたことなどにより、棚卸資産が1,894億円、有形固定資産が1,513億円、売上債権が834億円、リース債権及びリース投資資産が545億円増加したことや、トヨタ自動車株式の購入及び上場株式時価の上昇により、投資有価証券が581億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて4,217億円増加し、1兆4,617億円となりました。
主な要因としましては、有利子負債が2,139億円、仕入債務が1,087億円、未払費用が429億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて1,894億円増加し、1兆3,944億円となりました。
主な要因としましては、剰余金の配当を373億円行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を1,261億円計上したことに加え、為替換算調整勘定が416億円増加したことによります。
d.経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は2兆5,142億円、営業利益は1,871億円(営業利益率7.4%)、ROEは11.4%、配当性向は40.5%となりました。
「中期経営計画2024」で掲げた目標のうち、売上高(2024年3月期に2兆7,500億円)及び営業利益(2024年3月期に2,500億円)については、半導体不足により国内CV及びタイLCVの販売が影響を大きく受けましたが、海外市場の需要が堅調に推移したことや費用の減少及び為替の好転等により、当連結会計年度の目標値に達しました。また、ROE(2024年3月期に12.5%)についても、資本効率の向上に努め、11.4%となりました。配当性向(期間平均で40%)については、株主への利益還元、経営基盤の強化及び将来への事業展開に備えるための内部留保の充実等のバランスを総合的に勘案の上、剰余金の配当を実施した結果、40.5%と目標値を上回りました。
一方で、これまで経験したことのない原材料費・物流費の高騰による経済変動に加えて、サプライチェーンにおける地政学的リスクなどといった将来の不確実性が存在します。日本では、半導体供給については徐々に正常化を見込みますが、各国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による状況によっては部品供給に支障が生じる可能性があります。また、アセアンでは、引き続き一部の部品において供給が不透明な状況の中で高水準の生産計画を予定しています。
このような中、当社グループは、既存事業の効率化やコスト低減に加えてアフターサービスの強化など事業基盤の盤石化を図るとともに、アライアンスの推進など前例にとらわれない積極的な施策を講じることにより、厳しい市場環境でも耐え抜くことができる強靭な事業基盤の構築に努めてまいります。
社会インフラであるトラックを、多くのお客様にお待ちいただき、ご迷惑をおかけしていますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、「運ぶ」を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
e.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、基本は各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「社債明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
CASEの時代を迎え、当社を取り巻くコンペティター、パートナー、ステークホルダーは多様化しかつグローバルに広がりました。このような状況変化のなかでも認められる企業であり続けるためには、今までの経営風土のあり方を変える必要性を強く認識しています。
当社は今後、「ESGを視点とした経営」を基本に置き、先行するグローバルメーカーをベンチマークし、この変革に取り組みたいと考えています。その一つの視点である「株主価値重視」として、企業価値の持続的な向上を目指した成長投資の確保、及び財務健全性維持のための内部留保の充実と、株主価値重視とのバランスを総合的に勘案の上、「中期経営計画2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)期間中の連結配当性向を平均40%に設定し、収益力の向上による着実な配当成長を目指します。また、資本効率重視の観点から、機動的な自社株取得も検討してまいります。当社グループは、「中期経営計画2024」に基づき、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に投資、借入返済、株主還元に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによってこれらの目標の実現に向け取り組んでまいります。
なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、翌連結会計年度及び翌事業年度に特に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5「経理の状況」1.「連結財務諸表等」(重要な会計上の見積り)及び第5「経理の状況」2.「財務諸表等」(重要な会計上の見積り)に記載しています。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[棚卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等の棚卸資産を保有しています。これらの棚卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っています。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の商用車市場は前年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大影響による落ち込みから特に海外市場において需要が大きく回復したものの、主に半導体不足に起因するサプライチェーンの混乱や物流の停滞による影響を大きく受けることとなりました。このような状況の中で、当社グループは国内CV及びタイ向けLCVの販売が半導体不足の影響を大きく受けたものの、新興国向けに出荷に振り替える運営により影響を最小限にとどめました。国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ125,822台(27.7%)増加の579,957台となりました。
当連結会計年度の国内車両販売台数は生産面の影響を受け、前連結会計年度に比べ6,482台(10.6%)減少の54,589台となりました。海外車両販売台数は、旺盛な需要を背景に多くの地域で販売台数が増加し、前連結会計年度に比べ132,304台(33.7%)増加の525,368台となりました。
車両以外の商品の売上高につきましては、海外生産用部品が前連結会計年度に比べ225億円(69.7%)増加し549億円となり、エンジン・コンポーネントは、主に産業用エンジンの販売基数が増加したことにより前連結会計年度に比べ207億円(13.9%)増加の1,703億円となりました。また、その他の売上高は、前連結会計年度に比べ1,385億円(32.7%)増加の5,624億円となりました。
これらの結果、売上高につきましては、前連結会計年度に比べ6,061億円(31.8%)増加の2兆5,142億円となりました。内訳は、国内が8,781億円(前連結会計年度比16.8%増)、海外が1兆6,361億円(前連結会計年度比41.5%増)です。
当連結会計年度の業績は次のとおりです。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度比 | |||||
| 売上高 | 25,142 | 億円 | 6,061 | 億円 | 31.8% | |
| 営業利益 | 1,871 | 億円 | 914 | 億円 | 95.5% | |
| 経常利益 | 2,084 | 億円 | 1,041 | 億円 | 99.9% | |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,261 | 億円 | 834 | 億円 | 195.5% | |
(為替レート)
| USD/JPY | 112.4円(106.0円) |
| THB/JPY | 3.44円 (3.42円) |
| AUD/JPY | 83.1円 (76.2円) |
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、増収効果、原価低減活動の推進、為替環境の好転により、資材費や物流費の高騰によるコスト増加を吸収し、営業利益は1,871億円(前連結会計年度比95.5%増)となりました。また、経常利益は2,084億円(前連結会計年度比99.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,261億円(前連結会計年度比195.5%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて6,111億円増加し、2兆8,561億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて4,217億円増加し、1兆4,617億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて1,894億円増加し、1兆3,944億円となりました。
自己資本比率は41.8%(前連結会計年度末45.5%)となりました。
有利子負債につきましては、前連結会計年度末に比べて2,139億円増加の5,304億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動で1,720億円、財務活動で1,861億円それぞれ獲得した資金を、投資活動により4,208億円使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて449億円減少し、3,417億円となりました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、2,488億円の資金流出(前連結会計年度は1,295億円の資金流入)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、1,720億円(前連結会計年度比22.8%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を2,042億円、減価償却費を983億円計上し、仕入債務の増加により325億円の資金流入があった一方で、棚卸資産の増加により1,052億円、法人税等の支払により469億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、4,208億円(前連結会計年度比350.5%増)となりました。
これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得で2,905億円、固定資産の取得で1,003億円、投資有価証券の取得で429億円の資金流出があったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により獲得した資金は、1,861億円(前連結会計年度は552億円の資金流出)となりました。
これは、長期借入れの返済で581億円、配当金の支払で373億円、及び非支配株主への配当金の支払で218億円の資金流出があった一方で、長期借入れの実行で1,965億円、自己株式の処分で428億円、短期借入金の増加で417億円の資金流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
| 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前連結会計年度比 | |||
| 台数 (台) | 金額 (百万円) | 台数 (%) | 金額 (%) | |
| 大型・中型車 | 59,956 | - | 22.1 | - |
| 小型車 | 503,682 | - | 45.5 | - |
| 計 | 563,638 | - | 42.6 | - |
| 海外生産用部品 | - | 56,393 | - | 65.7 |
| エンジン・コンポーネント | - | 225,937 | - | 11.7 |
| その他 | - | 149,442 | - | 4.9 |
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
| 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前連結会計年度比 | ||
| 金額(百万円) | 増減率(%) | ||
| 国 内 | 298,105 | 21.8 | |
| 海 外 | 264,579 | 76.8 | |
| 大型・中型車計 | 562,684 | 42.7 | |
| 国 内 | 96,568 | △27.6 | |
| 海 外 | 1,067,255 | 37.8 | |
| 小型車他計 | 1,163,823 | 28.2 | |
| 国 内 | 394,673 | 4.4 | |
| 海 外 | 1,331,834 | 44.1 | |
| 車両計 | 1,726,507 | 32.6 | |
| 海 外 | 54,926 | 69.7 | |
| 海外生産用部品 | 54,926 | 69.7 | |
| 国 内 | 58,296 | 13.9 | |
| 海 外 | 112,093 | 13.8 | |
| エンジン・コンポーネント | 170,390 | 13.9 | |
| 国 内 | 425,177 | 31.9 | |
| 海 外 | 137,289 | 35.2 | |
| その他 | 562,466 | 32.7 | |
| 国 内 | 878,147 | 16.8 | |
| 海 外 | 1,636,143 | 41.5 | |
| 売上高合計 | 2,514,291 | 31.8 | |
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| トリペッチ いすゞ セールス㈱ | 338,907 | 17.8 | 419,210 | 16.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から64,129台(31.9%)増加の264,858台となりました。
国内では、東南アジアにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大が部品供給に影響した結果、主に小型トラックの生産が影響を受け、前連結会計年度から6,482台(10.6%)減少の54,589台となりました。海外では、半導体不足により、主に北米向けトラックが生産制約の影響を受けたものの、全体では前連結会計年度から70,611台(50.6%)増加の210,269台となりました。
なお、サプライチェーンの混乱による生産の制約により、当社の国内の普通トラックのシェアは、前連結会計年度比0.8%減少の33.0%となりました(なお、UDトラックスを含む当社グループの国内の普通トラックのシェアは44.9%)。また、小型トラックのシェアについても、同じく生産制約の影響を大きく受け、前連結会計年度比6.9%減少の33.9%となりました。
・CV車両販売台数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | |||
| 国内 | 大型・中型 | 26,757 | 29,323 | 2,566 | 9.6 | |
| 小型 | 34,314 | 25,266 | △9,048 | △26.4 | ||
| 計 | 61,071 | 54,589 | △6,482 | △10.6 | ||
| 北米 | 大型・中型 | 1,572 | 378 | △1,194 | △76.0 | |
| 小型 | 19,765 | 25,364 | 5,599 | 28.3 | ||
| 計 | 21,337 | 25,742 | 4,405 | 20.6 | ||
| アジア | 大型・中型 | 11,986 | 22,916 | 10,930 | 91.2 | |
| 小型 | 31,180 | 51,861 | 20,681 | 66.3 | ||
| 計 | 43,166 | 74,777 | 31,611 | 73.2 | ||
| その他地域 | 大型・中型 | 15,910 | 25,797 | 9,887 | 62.1 | |
| 小型 | 59,245 | 83,953 | 24,708 | 41.7 | ||
| 計 | 75,155 | 109,750 | 34,595 | 46.0 | ||
| 合計 | 大型・中型 | 56,225 | 78,414 | 22,189 | 39.5 | |
| 小型 | 144,504 | 186,444 | 41,940 | 29.0 | ||
| 計 | 200,729 | 264,858 | 64,129 | 31.9 |
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から61,693台(24.3%)増加の315,099台となりました。
アジアでは、新型LCVの生産が、第1四半期から第2四半期にかけて半導体不足の影響を受けたものの、第3四半期以降は概ね解消に向かい、多くの地域で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大前の2020年3月期の販売台数を上回りました。その結果、販売台数は前連結会計年度から25,822台(15.5%)増加の192,069台となりました。その他地域においても、半導体不足の影響が解消に向かい、新型モデルの販売が大きく拡大したこと等により、全体では前連結会計年度から35,871台(41.2%)増加の123,030台となりました。
なお、タイではLCVの全需が生産制約により前連結会計年度並みにとどまりましたが、引き続き新型モデルが高評価をいただき、販売シェアは前連結会計年度に引き続き40%台を維持いたしました。
・LCV車両販売台数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | ||
| アジア | 166,247 | 192,069 | 25,822 | 15.5 | |
| その他地域 | 87,159 | 123,030 | 35,871 | 41.2 | |
| 計 | 253,406 | 315,099 | 61,693 | 24.3 |
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、第3四半期以降は中国の建機需要の減速等により減少傾向に転じましたが、前連結会計年度から11,131台(8.1%)増加の149,152台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
| 前連結会計年度 (台) | 当連結会計年度 (台) | 増減台数 (台) | 増減率 (%) | ||
| 計 | 138,021 | 149,152 | 11,131 | 8.1 |
b.当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、国内のCV販売台数が半導体不足による生産制約を受け、前連結会計年度を下回りましたが、海外CV及びLCVについては半導体不足の影響が解消に向かい、販売台数が増加したことにより前連結会計年度に比べ、6,061億円(31.8%)増加の2兆5,142億円となりました。内訳は、国内が8,781億円(前連結会計年度比16.8%増)、海外が1兆6,361億円(前連結会計年度比41.5%増)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は1,871億円(前連結会計年度比95.5%増)となりました。
当連結会計年度におけるサプライチェーンの混乱に伴う資材費・物流費等の高騰といった経済変動の影響は、前連結会計年度に対して450億円の減益となり、大幅な減益要因となりました。一方で、主に海外市場における販売量の増加による売上変動/構成差の影響は、前連結会計年度に対して825億円の増益となり、経済変動の影響を超える大幅な増益要因となりました。さらに原価低減活動として246億円の増益を実現したことに加えて、為替好転による影響が318億円と大きな増益要因となりました。なお、UDトラックスを新規連結したことによる影響は、40億円の増益要因となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は7.4%(前連結会計年度は5.0%)となりました。
なお、前連結会計年度からの営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
| 売上変動/構成差 | 825 |
| 為替変動 | 318 |
| 原価低減活動 | 246 |
| UDトラックス連結化影響 | 40 |
| 費用増減他 | △65 |
| 経済変動 | △450 |
| 合計 | 914 |
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は212億円の利益であり、前連結会計年度に比べて126億円の増益となっています。
受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額が64億円の利益となり、前連結会計年度に比べて38億円増加したほか、持分法投資利益が45億円増加したこと及び為替差益が40億円増加したことが増益要因となりました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は41億円の損失となり、前連結会計年度に比べて133億円の増益となりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、投資有価証券評価損が挙げられ、特別利益で、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では342億円の損失でしたが、当連結会計年度では475億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内の製造又は販売会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の98億円に対し、当連結会計年度は305億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,261億円となり、前連結会計年度に比べて834億円の増益となりました。1株当たり当期純利益は162.87円となりました。
c.当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて6,111億円増加し、2兆8,561億円となりました。
主な要因としましては、UDトラックスの株式取得に伴い、同社及びその子会社14社を連結の範囲に含めたことなどにより、棚卸資産が1,894億円、有形固定資産が1,513億円、売上債権が834億円、リース債権及びリース投資資産が545億円増加したことや、トヨタ自動車株式の購入及び上場株式時価の上昇により、投資有価証券が581億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて4,217億円増加し、1兆4,617億円となりました。
主な要因としましては、有利子負債が2,139億円、仕入債務が1,087億円、未払費用が429億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて1,894億円増加し、1兆3,944億円となりました。
主な要因としましては、剰余金の配当を373億円行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を1,261億円計上したことに加え、為替換算調整勘定が416億円増加したことによります。
d.経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は2兆5,142億円、営業利益は1,871億円(営業利益率7.4%)、ROEは11.4%、配当性向は40.5%となりました。
「中期経営計画2024」で掲げた目標のうち、売上高(2024年3月期に2兆7,500億円)及び営業利益(2024年3月期に2,500億円)については、半導体不足により国内CV及びタイLCVの販売が影響を大きく受けましたが、海外市場の需要が堅調に推移したことや費用の減少及び為替の好転等により、当連結会計年度の目標値に達しました。また、ROE(2024年3月期に12.5%)についても、資本効率の向上に努め、11.4%となりました。配当性向(期間平均で40%)については、株主への利益還元、経営基盤の強化及び将来への事業展開に備えるための内部留保の充実等のバランスを総合的に勘案の上、剰余金の配当を実施した結果、40.5%と目標値を上回りました。
一方で、これまで経験したことのない原材料費・物流費の高騰による経済変動に加えて、サプライチェーンにおける地政学的リスクなどといった将来の不確実性が存在します。日本では、半導体供給については徐々に正常化を見込みますが、各国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による状況によっては部品供給に支障が生じる可能性があります。また、アセアンでは、引き続き一部の部品において供給が不透明な状況の中で高水準の生産計画を予定しています。
このような中、当社グループは、既存事業の効率化やコスト低減に加えてアフターサービスの強化など事業基盤の盤石化を図るとともに、アライアンスの推進など前例にとらわれない積極的な施策を講じることにより、厳しい市場環境でも耐え抜くことができる強靭な事業基盤の構築に努めてまいります。
社会インフラであるトラックを、多くのお客様にお待ちいただき、ご迷惑をおかけしていますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、「運ぶ」を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
e.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、基本は各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「社債明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
CASEの時代を迎え、当社を取り巻くコンペティター、パートナー、ステークホルダーは多様化しかつグローバルに広がりました。このような状況変化のなかでも認められる企業であり続けるためには、今までの経営風土のあり方を変える必要性を強く認識しています。
当社は今後、「ESGを視点とした経営」を基本に置き、先行するグローバルメーカーをベンチマークし、この変革に取り組みたいと考えています。その一つの視点である「株主価値重視」として、企業価値の持続的な向上を目指した成長投資の確保、及び財務健全性維持のための内部留保の充実と、株主価値重視とのバランスを総合的に勘案の上、「中期経営計画2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)期間中の連結配当性向を平均40%に設定し、収益力の向上による着実な配当成長を目指します。また、資本効率重視の観点から、機動的な自社株取得も検討してまいります。当社グループは、「中期経営計画2024」に基づき、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に投資、借入返済、株主還元に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによってこれらの目標の実現に向け取り組んでまいります。
なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、翌連結会計年度及び翌事業年度に特に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5「経理の状況」1.「連結財務諸表等」(重要な会計上の見積り)及び第5「経理の状況」2.「財務諸表等」(重要な会計上の見積り)に記載しています。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[棚卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等の棚卸資産を保有しています。これらの棚卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っています。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。