訂正有価証券報告書-第67期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の主要な取り組み
当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大により、各種競技大会の中止や規模の縮小、直営店の一時的な閉店、個人消費の冷え込み等、感染症の影響を大きく受ける年となりました。
中国にて感染症が確認されると、急速に全世界へと拡大しました。3月には欧州や米州でロックダウンを実施、日本でも感染者数は増加の一途を辿り、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期が決定しました。7月以降、当社が事業を行っている地域にて徐々に状況は改善に向かっていましたが、11月頃から感染症が再拡大し厳しい状況が再来しました。しかしながら、欧州を中心に主にパフォーマンスランニングが好調に推移したこと等により、11月に発表した前回予想を上方修正いたしました。なお、前期比での売上高は13%の減収となりました。
✓ コロナ禍における取組み
① デジタル
全世界におけるECの売上高は大きく伸長し、前期比では北米は+112%、欧州は+133%、連結は+86%でした。多くのマラソン大会が中止される中、バーチャルレースという新しいランニングスタイルが拡大しました。当社においても、ASICS Runkeeperを活用し、Gold Coast Virtual Marathon等の約1,190大会ものバーチャルマラソン大会をサポートしました。また、11月に開催したバーチャル駅伝レース「ASICS World Ekiden 2020(アシックスワールドエキデン2020)」では、56,000人の方にご参加をいただき、世界最大規模のVirtual Raceとなりました。これは、オンライン上で結成されたチームで「デジタルたすき」を繋ぐ新しい形のランニングイベントであり、全世界の人々と共にランニングを楽しむことができる機会を提供しました。
② 販管費コントロール
筋肉質な財務体質の構築と収益性改善を目指し、グローバルで販管費の徹底的なコントロールに取組みました。マーケティング費用や人件費等の削減を実施し、前期比で123億円、計画比で313億円の販管費削減を実施しました。
③ 在庫管理の強化
上半期に今後の販売予測を鑑み、生産および発注の一部をキャンセルする等在庫圧縮管理を強化しました。併せて新商品の発売時期を変更し販売機会の適正化を図りました。これらの取組みの結果、当連結会計年度末の在庫高は、881億円と前期比で50億円の削減となりました。なお、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連在庫の増加45億円が含まれております。
✔ パフォーマンスランニング
パフォーマンスランニングでは、カーボンプレートを内蔵したアシックス史上最も先進的なランニングシューズの「METARACER(メタレーサー)」に続き、軽量で反発性に優れたモデルである「BLAST BEYOND SERIES(ブラストビヨンドシリーズ)」として、「DYNABLAST(ダイナブラスト)」と「VERSABLAST(バーサブラスト)」を市場投入しました。また、独自のセンシング機能により「走り方」をデータ化しランナーをサポートする先進的なスマートシューズ、「EVORIDE ORPHE(エボライドオルフェ)」の販売を開始しました。内蔵されたセンサーによりランニング時の動きの評価、そしてその評価に基づきより良い走りに近づくためのおすすめのトレーニングメニューの提案まで行うことができます。
✔ オニツカタイガー
ヴァレンティノの2020年秋冬メンズコレクションにて発表された、ヴァレンティノとのコラボレーションスニーカーを発売いたしました。また、6月10日に上海の南京路に旗艦店、7月27日にロンドンの中心街であるリージェントストリートに直営店、12月18日にはミラノに旗艦店をオープンしました。
✔ 主要地域の状況
中華圏では、主にパフォーマンスランニングの売上が25%以上成長(為替影響を除く)したことにより、前期比+4%の増収となりました。
✔ サステナビリティ
世界の代表的なESG投資指標である「Dow Jones Sustainability Indices」(DJSI)の「Asia/Pacific Index」対象銘柄に6年連続で選出されました。また、気候変動問題への積極的な取組みとして、ファッション産業の環境負荷低減に向けた国際的枠組みであるTHE FASHION PACTに日本企業として初めて加盟をしました。
✔ 「VISION2030」の策定
アシックスが将来ありたい姿を長期的な視点で表した、2030年までの10年間にわたる長期ビジョン「VISION2030」を策定しました。これからの10年とその先に向けて、「プロダクト」「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス(分析と診断)」の3つの事業ドメインを成長させ、それぞれのドメインが交わり相乗効果を生み出すことで価値の最大化を図ります。そして、あらゆる角度からお客さま一人ひとりに最適な価値を提供することで、健康的で豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指します。
当連結会計年度の財政状態および経営成績は、次のとおりです。
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産333,180百万円(前期比5.4%増)、負債の部合計206,417百万円(前期比26.0%増)、純資産の部合計126,763百万円(前期比16.8%減)でした。
② 経営成績
当連結会計年度における経営成績は、売上高は328,784百万円と前期比13.0%の減収、営業損失は3,953百万円(前期は営業利益10,634百万円)、経常損失は6,923百万円(前期は経常利益10,101百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は16,126百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益7,097百万円)となりました。
報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。
a. 日本地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、94,398百万円(前期比22.0%減)となりました。上記減収の影響などにより、セグメント損失は3,791百万円となりました。
b. 北米地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、65,377百万円(前期比17.2%減)となりました。セグメント損失は4,548百万円でした。
c. 欧州地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、87,342百万円(前期比8.6%減)となりました。粗利益率の改善に加え、販売費及び一般管理費削減などもあり、セグメント利益は4,572百万円(前期比59.5%増)となりました。
d. 中華圏地域
売上高は、感染症の影響を受けたものの、パフォーマンスランニングが好調であったことにより、41,118百万円(前期比4.2%増)となりました。
セグメント利益は4,305百万円(前期比20.3%減)となりました。
e. オセアニア地域
売上高は、パフォーマンスランニングおよびスポーツスタイルが好調であったことにより、19,926百万円(前期比8.0%増)となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、2,707百万円(前期比39.3%増)となりました。
f. 東南・南アジア地域
売上高は、感染症拡大の影響もあり、8,553百万円(前期比24.3%減)となり、セグメント利益は152百万円(前期比80.7%減)となりました。
g. その他地域
売上高は、韓国および南米における感染症拡大の影響もあり、28,260百万円(前期比22.2%減)となり、セグメント利益は467百万円(前期比42.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、80,474百万円と前期比42,489百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は19,330百万円となり、前期比4,538百万円の増加となりました。
収入の主な内訳は、減価償却費13,713百万円であり、売上債権の減少額12,312百万円、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失16,060百万円、法人税等の支払額4,258百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9,634百万円となり、前期比2,551百万円の減少となりました。
支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出5,094百万円、有形固定資産の取得による支出3,768百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は31,336百万円となり、前期比60,807百万円の増加となりました。
収入の主な内訳は、社債の発行による収入39,834百万円、支出の主な内訳は、リース債務の返済による支出7,599百万円、配当金の支払額3,294百万円です。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、報告セグメント別の売上高につきましては、「第2 「事業の状況」 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、記載内容のうち将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産333,180百万円(前期比5.4%増)、負債の部合計206,417百万円(前期比26.0%増)、純資産の部合計126,763百万円(前期比16.8%減)でした。
a. 流動資産
現金及び預金などの増加により、235,812百万円(前期比9.9%増)となりました。
b. 固定資産
店舗等資産の減損を実施したことなどにより、97,368百万円(前期比4.2%減)となりました。
c. 流動負債
1年内償還予定の社債の増加などにより、101,516百万円(前期比25.2%増)となりました。
d. 固定負債
固定負債は、社債の新規発行などにより、104,901百万円(前期比26.9%増)となりました。
e. 株主資本
利益剰余金の減少などにより、136,501百万円(前期比12.2%減)となりました。
f. その他の包括利益累計額
繰延ヘッジ損益の減少などにより、△10,280百万円となりました。
② 経営成績
当連結会計年度における売上高は328,784百万円と前期比13.0%の減収、営業損失は3,953百万円(前期は営業利益10,634百万円)、経常損失は6,923百万円(前期は経常利益10,101百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は16,126百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益7,097百万円)となりました。
a. 売上高
感染症拡大の影響もあり、売上高は328,784百万円と前期比13.0%の減収となりました。
b. 売上総利益
上記減収の影響により、152,858百万円と前期比14.9%の減益となりました。
c. 営業損失
販売費及び一般管理費などの減少はあるものの、上記減収の影響により、営業損失は3,953百万円となりました。
d. 経常損失
上記に加え、支払利息の計上などにより、経常損失は6,923百万円となりました。
e. 親会社株主に帰属する当期純損失
上記に加え、米国子会社において法人税等還付税額の計上があったものの、直営店舗等の減損損失および感染症拡大に伴う店舗休止等損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失は16,126百万円となりました。
カテゴリー別の業績は、次のとおりです。
なお、一部カテゴリーについて算出方法を変更したことに伴い、前期実績を組み替えて表示しております。
a. パフォーマンスランニング
売上高は、中華圏、オセアニア地域で好調でしたが、他の地域では感染症拡大の影響により低調となり、160,170百万円と前期比5.9%の減収となりました。営業利益につきましては、欧州、中華圏地域での増益に加え、北米地域の赤字幅が縮小したことにより9,047百万円(前期比98.0%の増益)と倍増しました。
b. コアパフォーマンススポーツ
売上高は、33,501百万円と前期比19.7%の減収となりました。営業損失は2,804百万円となりました。
c. スポーツスタイル
売上高は29,639百万円と前期比13.5%の減収となりました。営業損失は264百万円となりました。
d. アパレル・エクィップメント
売上高は、29,659百万円と前期比24.4%の減収となり、引き続き営業損失となりました。
e. オニツカタイガー
売上高は、33,935百万円と前期比25.6%の減収となりました。営業利益につきましては、725百万円(前期比91.3%の減益)となりました。
報告セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
a. 日本地域
売上高は、感染症拡大の影響もあり、94,398百万円(前期比22.0%減)となりました。上記減収の影響などにより、セグメント損失は3,791百万円となりました。
カテゴリーに則した組織改編を実施したことにより、今後はよりカテゴリー毎に適した戦略を立案、推進してまいります。また、ECビジネスの加速など、収益改善に向け、原価率の改善および販管費コントロールに努めてまいります。
b. 北米地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、65,377百万円(前期比17.2%減)となりました。セグメント損失は4,548百万円でした。
今後は、キーアカウントとの取組みを更に強化することでシリアスランナーと若年層ランナーへの拡大を行い、米国パフォーマンスランニング市場No.1を目指します。さらに、ECチャネルの成長を加速させるべく物流オペレーションの改善を実行します。また、収益改善に向け、原価率の改善および販管費コントロールに努めてまいります。
c. 欧州地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、87,342百万円(前期比8.6%減)となりました。粗利益率の改善に加え、販売費及び一般管理費削減などもあり、セグメント利益は4,572百万円(前期比59.5%増)となりました。
今後は、パフォーマンスランニングを中心に、マーケットシェアの拡大を図ります。また、ECチャネルを中心としたデジタル戦略の更なる強化を継続してまいります。
d. 中華圏地域
売上高は、感染症の影響を受けたものの、パフォーマンスランニングが好調であったことにより、41,118百万円(前期比4.2%増)となりました。
セグメント利益は4,305百万円(前期比20.3%減)となりました。
今後は、キーアカウントおよびパートナーストアの選択と集中を行い、主要都市のみならず、内陸の中規模都市へも展開を図ります。主要都市における旗艦店の出店も計画し、ブランド訴求を強化します。
また、中国本部の機能を活用した、現地のニーズに適合した製品の企画・開発は継続的に強化します。加えて、パフォーマンスランニングの機能訴求など、セレブリティの活用やマラソン大会の協賛を通して積極的なマーケティング投資を行い、更なる成長に繋げてまいります。
e. オセアニア地域
売上高は、パフォーマンスランニングおよびスポーツスタイルが好調であったことにより、19,926百万円(前期比8.0%増)となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、2,707百万円(前期比39.3%増)となりました。
今後は、豪州におけるパフォーマンスランニング市場No.1のブランドの地位を堅持するとともに、更なる収益性の改善を図るため、直営店舗およびECチャネルの拡大に努めてまいります。
f. 東南・南アジア地域
売上高は、感染症拡大の影響もあり、8,553百万円(前期比24.3%減)となり、セグメント利益は152百万円(前期比80.7%減)となりました。
今後は、東南アジアにおいてはパフォーマンスランニング、オニツカタイガーに注力し、インドにおいては主にパフォーマンスランニングの成長に注力してまいります。また、パートナーストアの更なる展開による収益改善およびECチャネルの拡大により、将来の成長を目指してまいります。
g. その他地域
売上高は、韓国および南米における感染症拡大の影響もあり、28,260百万円(前期比22.2%減)となり、セグメント利益は467百万円(前期比42.3%減)となりました。
今後は、南米ではパフォーマンスランニングに注力し、キーアカウントを中心に顧客の取り込みを目指してまいります。また、収益改善に向け、現地生産比率の向上を図り、原価率の改善に努めてまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、80,474百万円と前期比42,489百万円増加しました。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、当社グループは、事業活動を行うための資金の調達に際し、低コストで安定的な資金の確保を重視しております。当連結会計年度末の有利子負債は122,999百万円であります。
資金効率の向上と金融費用の削減、ならびに財務面のグループガバナンス強化を目的として、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(グローバルCMS)を2016年3月より金融機関と構築しており、グローバルCMS参加グループ会社を一体とみなして資金の預入および借入を行っております。これに伴い、従来当社から行っておりました一部子会社への貸付けを解消いたしました。当該グローバルCMSにおいて、預入金および借入金の相殺表示を行うためのすべての要件を満たしているため、相殺表示を行っております。なお、当連結会計年度末の相殺金額は20,177百万円であります。
2020年7月に、資金の手元流動性を高めるため、第3回・第4回無担保社債を発行し、それぞれ150億円、250億円を調達いたしました。当該社債は2020年6月に関東財務局長に提出した2年間有効の500億円の社債発行登録書を基に発行しております。
(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表作成にあたり、当社グループが採用している会計方針において使用されている重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に関する会計上の見積りへの反映については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載したとおりであります。
① 貸倒引当金
当社グループは、支払実績および信用情報等を査定して販売先に対して与信限度額を設定しており、貸倒懸念債権等特定の債権につきましては個別に債権の回収可能性を勘案し、回収不能見込額につきましては貸倒引当金を計上しております。
販売先の財務状況および支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。
将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、これらたな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資の評価
主として当社は、余資の運用および長期的な取引関係の観点から株式等を所有しております。当社は、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施しております。すなわち、時価のある「その他有価証券」につきましては期末時価が帳簿価額を30%以上下回った場合に、また、時価のない「その他有価証券」につきましては評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施しております。
将来の株式市場の動向、投資先の業績動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画および将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基にいわゆるタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
将来の業績および課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付費用および債務
当社の従業員退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用および債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 減損損失
主として当社は、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5)今後の見通し
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社グループの国内外の直営店舗・商業施設での臨時休業や時短営業、外出自粛による来店客数の減少、イベント開催の中止や延期等、引き続き当社経済活動に影響を及ぼしております。
当社グループは10年先を見据えた「VISION2030」を制定いたしました。2023年12月期を最終年度とする中期経営計画で「連結営業利益250億円」「連結営業利益率6.0%以上」「ROA4.0%」を数値目標に設定しております。
将来の持続的成長可能性に向けて、まずはランニングにおいてプロダクトを軸に「プロダクト」「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス」の3つの事業ドメインの連携を強めることに注力いたします。また、収益性にフォーカスすることで、安定した財務基盤の確立を目指します。
(1) 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の主要な取り組み
当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大により、各種競技大会の中止や規模の縮小、直営店の一時的な閉店、個人消費の冷え込み等、感染症の影響を大きく受ける年となりました。
中国にて感染症が確認されると、急速に全世界へと拡大しました。3月には欧州や米州でロックダウンを実施、日本でも感染者数は増加の一途を辿り、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期が決定しました。7月以降、当社が事業を行っている地域にて徐々に状況は改善に向かっていましたが、11月頃から感染症が再拡大し厳しい状況が再来しました。しかしながら、欧州を中心に主にパフォーマンスランニングが好調に推移したこと等により、11月に発表した前回予想を上方修正いたしました。なお、前期比での売上高は13%の減収となりました。
✓ コロナ禍における取組み
① デジタル
全世界におけるECの売上高は大きく伸長し、前期比では北米は+112%、欧州は+133%、連結は+86%でした。多くのマラソン大会が中止される中、バーチャルレースという新しいランニングスタイルが拡大しました。当社においても、ASICS Runkeeperを活用し、Gold Coast Virtual Marathon等の約1,190大会ものバーチャルマラソン大会をサポートしました。また、11月に開催したバーチャル駅伝レース「ASICS World Ekiden 2020(アシックスワールドエキデン2020)」では、56,000人の方にご参加をいただき、世界最大規模のVirtual Raceとなりました。これは、オンライン上で結成されたチームで「デジタルたすき」を繋ぐ新しい形のランニングイベントであり、全世界の人々と共にランニングを楽しむことができる機会を提供しました。
② 販管費コントロール
筋肉質な財務体質の構築と収益性改善を目指し、グローバルで販管費の徹底的なコントロールに取組みました。マーケティング費用や人件費等の削減を実施し、前期比で123億円、計画比で313億円の販管費削減を実施しました。
③ 在庫管理の強化
上半期に今後の販売予測を鑑み、生産および発注の一部をキャンセルする等在庫圧縮管理を強化しました。併せて新商品の発売時期を変更し販売機会の適正化を図りました。これらの取組みの結果、当連結会計年度末の在庫高は、881億円と前期比で50億円の削減となりました。なお、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連在庫の増加45億円が含まれております。
✔ パフォーマンスランニング
パフォーマンスランニングでは、カーボンプレートを内蔵したアシックス史上最も先進的なランニングシューズの「METARACER(メタレーサー)」に続き、軽量で反発性に優れたモデルである「BLAST BEYOND SERIES(ブラストビヨンドシリーズ)」として、「DYNABLAST(ダイナブラスト)」と「VERSABLAST(バーサブラスト)」を市場投入しました。また、独自のセンシング機能により「走り方」をデータ化しランナーをサポートする先進的なスマートシューズ、「EVORIDE ORPHE(エボライドオルフェ)」の販売を開始しました。内蔵されたセンサーによりランニング時の動きの評価、そしてその評価に基づきより良い走りに近づくためのおすすめのトレーニングメニューの提案まで行うことができます。
✔ オニツカタイガー
ヴァレンティノの2020年秋冬メンズコレクションにて発表された、ヴァレンティノとのコラボレーションスニーカーを発売いたしました。また、6月10日に上海の南京路に旗艦店、7月27日にロンドンの中心街であるリージェントストリートに直営店、12月18日にはミラノに旗艦店をオープンしました。
✔ 主要地域の状況
中華圏では、主にパフォーマンスランニングの売上が25%以上成長(為替影響を除く)したことにより、前期比+4%の増収となりました。
✔ サステナビリティ
世界の代表的なESG投資指標である「Dow Jones Sustainability Indices」(DJSI)の「Asia/Pacific Index」対象銘柄に6年連続で選出されました。また、気候変動問題への積極的な取組みとして、ファッション産業の環境負荷低減に向けた国際的枠組みであるTHE FASHION PACTに日本企業として初めて加盟をしました。
✔ 「VISION2030」の策定
アシックスが将来ありたい姿を長期的な視点で表した、2030年までの10年間にわたる長期ビジョン「VISION2030」を策定しました。これからの10年とその先に向けて、「プロダクト」「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス(分析と診断)」の3つの事業ドメインを成長させ、それぞれのドメインが交わり相乗効果を生み出すことで価値の最大化を図ります。そして、あらゆる角度からお客さま一人ひとりに最適な価値を提供することで、健康的で豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指します。
当連結会計年度の財政状態および経営成績は、次のとおりです。
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産333,180百万円(前期比5.4%増)、負債の部合計206,417百万円(前期比26.0%増)、純資産の部合計126,763百万円(前期比16.8%減)でした。
② 経営成績
当連結会計年度における経営成績は、売上高は328,784百万円と前期比13.0%の減収、営業損失は3,953百万円(前期は営業利益10,634百万円)、経常損失は6,923百万円(前期は経常利益10,101百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は16,126百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益7,097百万円)となりました。
報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。
a. 日本地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、94,398百万円(前期比22.0%減)となりました。上記減収の影響などにより、セグメント損失は3,791百万円となりました。
b. 北米地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、65,377百万円(前期比17.2%減)となりました。セグメント損失は4,548百万円でした。
c. 欧州地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、87,342百万円(前期比8.6%減)となりました。粗利益率の改善に加え、販売費及び一般管理費削減などもあり、セグメント利益は4,572百万円(前期比59.5%増)となりました。
d. 中華圏地域
売上高は、感染症の影響を受けたものの、パフォーマンスランニングが好調であったことにより、41,118百万円(前期比4.2%増)となりました。
セグメント利益は4,305百万円(前期比20.3%減)となりました。
e. オセアニア地域
売上高は、パフォーマンスランニングおよびスポーツスタイルが好調であったことにより、19,926百万円(前期比8.0%増)となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、2,707百万円(前期比39.3%増)となりました。
f. 東南・南アジア地域
売上高は、感染症拡大の影響もあり、8,553百万円(前期比24.3%減)となり、セグメント利益は152百万円(前期比80.7%減)となりました。
g. その他地域
売上高は、韓国および南米における感染症拡大の影響もあり、28,260百万円(前期比22.2%減)となり、セグメント利益は467百万円(前期比42.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、80,474百万円と前期比42,489百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は19,330百万円となり、前期比4,538百万円の増加となりました。
収入の主な内訳は、減価償却費13,713百万円であり、売上債権の減少額12,312百万円、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失16,060百万円、法人税等の支払額4,258百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9,634百万円となり、前期比2,551百万円の減少となりました。
支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出5,094百万円、有形固定資産の取得による支出3,768百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は31,336百万円となり、前期比60,807百万円の増加となりました。
収入の主な内訳は、社債の発行による収入39,834百万円、支出の主な内訳は、リース債務の返済による支出7,599百万円、配当金の支払額3,294百万円です。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、報告セグメント別の売上高につきましては、「第2 「事業の状況」 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、記載内容のうち将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産333,180百万円(前期比5.4%増)、負債の部合計206,417百万円(前期比26.0%増)、純資産の部合計126,763百万円(前期比16.8%減)でした。
a. 流動資産
現金及び預金などの増加により、235,812百万円(前期比9.9%増)となりました。
b. 固定資産
店舗等資産の減損を実施したことなどにより、97,368百万円(前期比4.2%減)となりました。
c. 流動負債
1年内償還予定の社債の増加などにより、101,516百万円(前期比25.2%増)となりました。
d. 固定負債
固定負債は、社債の新規発行などにより、104,901百万円(前期比26.9%増)となりました。
e. 株主資本
利益剰余金の減少などにより、136,501百万円(前期比12.2%減)となりました。
f. その他の包括利益累計額
繰延ヘッジ損益の減少などにより、△10,280百万円となりました。
② 経営成績
当連結会計年度における売上高は328,784百万円と前期比13.0%の減収、営業損失は3,953百万円(前期は営業利益10,634百万円)、経常損失は6,923百万円(前期は経常利益10,101百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は16,126百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益7,097百万円)となりました。
a. 売上高
感染症拡大の影響もあり、売上高は328,784百万円と前期比13.0%の減収となりました。
b. 売上総利益
上記減収の影響により、152,858百万円と前期比14.9%の減益となりました。
c. 営業損失
販売費及び一般管理費などの減少はあるものの、上記減収の影響により、営業損失は3,953百万円となりました。
d. 経常損失
上記に加え、支払利息の計上などにより、経常損失は6,923百万円となりました。
e. 親会社株主に帰属する当期純損失
上記に加え、米国子会社において法人税等還付税額の計上があったものの、直営店舗等の減損損失および感染症拡大に伴う店舗休止等損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失は16,126百万円となりました。
カテゴリー別の業績は、次のとおりです。
なお、一部カテゴリーについて算出方法を変更したことに伴い、前期実績を組み替えて表示しております。
(単位:百万円) |
(カテゴリー) | 売上高 | 営業利益 | ||||
前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減額 (△は減) | 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減額 (△は減) | |
パフォーマンスランニング | 170,150 | 160,170 | △9,980 | 4,569 | 9,047 | 4,477 |
コアパフォーマンススポーツ | 41,737 | 33,501 | △8,236 | △914 | △2,804 | △1,890 |
スポーツスタイル | 34,272 | 29,639 | △4,633 | △286 | △264 | 22 |
アパレル・エクィップメント | 39,227 | 29,659 | △9,568 | 赤字 | 赤字 | - |
オニツカタイガー | 45,597 | 33,935 | △11,662 | 8,303 | 725 | △7,577 |
a. パフォーマンスランニング
売上高は、中華圏、オセアニア地域で好調でしたが、他の地域では感染症拡大の影響により低調となり、160,170百万円と前期比5.9%の減収となりました。営業利益につきましては、欧州、中華圏地域での増益に加え、北米地域の赤字幅が縮小したことにより9,047百万円(前期比98.0%の増益)と倍増しました。
b. コアパフォーマンススポーツ
売上高は、33,501百万円と前期比19.7%の減収となりました。営業損失は2,804百万円となりました。
c. スポーツスタイル
売上高は29,639百万円と前期比13.5%の減収となりました。営業損失は264百万円となりました。
d. アパレル・エクィップメント
売上高は、29,659百万円と前期比24.4%の減収となり、引き続き営業損失となりました。
e. オニツカタイガー
売上高は、33,935百万円と前期比25.6%の減収となりました。営業利益につきましては、725百万円(前期比91.3%の減益)となりました。
報告セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
a. 日本地域
売上高は、感染症拡大の影響もあり、94,398百万円(前期比22.0%減)となりました。上記減収の影響などにより、セグメント損失は3,791百万円となりました。
カテゴリーに則した組織改編を実施したことにより、今後はよりカテゴリー毎に適した戦略を立案、推進してまいります。また、ECビジネスの加速など、収益改善に向け、原価率の改善および販管費コントロールに努めてまいります。
b. 北米地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、65,377百万円(前期比17.2%減)となりました。セグメント損失は4,548百万円でした。
今後は、キーアカウントとの取組みを更に強化することでシリアスランナーと若年層ランナーへの拡大を行い、米国パフォーマンスランニング市場No.1を目指します。さらに、ECチャネルの成長を加速させるべく物流オペレーションの改善を実行します。また、収益改善に向け、原価率の改善および販管費コントロールに努めてまいります。
c. 欧州地域
売上高は、感染症拡大の影響を受け、87,342百万円(前期比8.6%減)となりました。粗利益率の改善に加え、販売費及び一般管理費削減などもあり、セグメント利益は4,572百万円(前期比59.5%増)となりました。
今後は、パフォーマンスランニングを中心に、マーケットシェアの拡大を図ります。また、ECチャネルを中心としたデジタル戦略の更なる強化を継続してまいります。
d. 中華圏地域
売上高は、感染症の影響を受けたものの、パフォーマンスランニングが好調であったことにより、41,118百万円(前期比4.2%増)となりました。
セグメント利益は4,305百万円(前期比20.3%減)となりました。
今後は、キーアカウントおよびパートナーストアの選択と集中を行い、主要都市のみならず、内陸の中規模都市へも展開を図ります。主要都市における旗艦店の出店も計画し、ブランド訴求を強化します。
また、中国本部の機能を活用した、現地のニーズに適合した製品の企画・開発は継続的に強化します。加えて、パフォーマンスランニングの機能訴求など、セレブリティの活用やマラソン大会の協賛を通して積極的なマーケティング投資を行い、更なる成長に繋げてまいります。
e. オセアニア地域
売上高は、パフォーマンスランニングおよびスポーツスタイルが好調であったことにより、19,926百万円(前期比8.0%増)となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、2,707百万円(前期比39.3%増)となりました。
今後は、豪州におけるパフォーマンスランニング市場No.1のブランドの地位を堅持するとともに、更なる収益性の改善を図るため、直営店舗およびECチャネルの拡大に努めてまいります。
f. 東南・南アジア地域
売上高は、感染症拡大の影響もあり、8,553百万円(前期比24.3%減)となり、セグメント利益は152百万円(前期比80.7%減)となりました。
今後は、東南アジアにおいてはパフォーマンスランニング、オニツカタイガーに注力し、インドにおいては主にパフォーマンスランニングの成長に注力してまいります。また、パートナーストアの更なる展開による収益改善およびECチャネルの拡大により、将来の成長を目指してまいります。
g. その他地域
売上高は、韓国および南米における感染症拡大の影響もあり、28,260百万円(前期比22.2%減)となり、セグメント利益は467百万円(前期比42.3%減)となりました。
今後は、南米ではパフォーマンスランニングに注力し、キーアカウントを中心に顧客の取り込みを目指してまいります。また、収益改善に向け、現地生産比率の向上を図り、原価率の改善に努めてまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、80,474百万円と前期比42,489百万円増加しました。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | |
自己資本比率(%) | 58.3 | 57.3 | 54.1 | 48.0 | 37.9 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 129.3 | 97.9 | 87.1 | 105.0 | 108.8 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 1.0 | 0.9 | 2.5 | 5.4 | 6.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | 48.5 | 69.0 | 13.8 | 11.5 | 11.6 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、当社グループは、事業活動を行うための資金の調達に際し、低コストで安定的な資金の確保を重視しております。当連結会計年度末の有利子負債は122,999百万円であります。
資金効率の向上と金融費用の削減、ならびに財務面のグループガバナンス強化を目的として、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(グローバルCMS)を2016年3月より金融機関と構築しており、グローバルCMS参加グループ会社を一体とみなして資金の預入および借入を行っております。これに伴い、従来当社から行っておりました一部子会社への貸付けを解消いたしました。当該グローバルCMSにおいて、預入金および借入金の相殺表示を行うためのすべての要件を満たしているため、相殺表示を行っております。なお、当連結会計年度末の相殺金額は20,177百万円であります。
2020年7月に、資金の手元流動性を高めるため、第3回・第4回無担保社債を発行し、それぞれ150億円、250億円を調達いたしました。当該社債は2020年6月に関東財務局長に提出した2年間有効の500億円の社債発行登録書を基に発行しております。
(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表作成にあたり、当社グループが採用している会計方針において使用されている重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に関する会計上の見積りへの反映については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載したとおりであります。
① 貸倒引当金
当社グループは、支払実績および信用情報等を査定して販売先に対して与信限度額を設定しており、貸倒懸念債権等特定の債権につきましては個別に債権の回収可能性を勘案し、回収不能見込額につきましては貸倒引当金を計上しております。
販売先の財務状況および支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。
将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、これらたな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資の評価
主として当社は、余資の運用および長期的な取引関係の観点から株式等を所有しております。当社は、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施しております。すなわち、時価のある「その他有価証券」につきましては期末時価が帳簿価額を30%以上下回った場合に、また、時価のない「その他有価証券」につきましては評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施しております。
将来の株式市場の動向、投資先の業績動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画および将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基にいわゆるタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
将来の業績および課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付費用および債務
当社の従業員退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用および債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 減損損失
主として当社は、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5)今後の見通し
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社グループの国内外の直営店舗・商業施設での臨時休業や時短営業、外出自粛による来店客数の減少、イベント開催の中止や延期等、引き続き当社経済活動に影響を及ぼしております。
当社グループは10年先を見据えた「VISION2030」を制定いたしました。2023年12月期を最終年度とする中期経営計画で「連結営業利益250億円」「連結営業利益率6.0%以上」「ROA4.0%」を数値目標に設定しております。
将来の持続的成長可能性に向けて、まずはランニングにおいてプロダクトを軸に「プロダクト」「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス」の3つの事業ドメインの連携を強めることに注力いたします。また、収益性にフォーカスすることで、安定した財務基盤の確立を目指します。