有価証券報告書-第65期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

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2019/03/29 13:56
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(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度におけるスポーツ用品業界は、健康志向によるスポーツへの関心の高まりや、日常でのスポーツ用品利用の拡大を背景に、堅調に推移しました。
このような情勢のもと、当社グループは、更なる成長の礎を築くため中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP)2020」を修正し、その行動計画として「アクションプラン」を策定し、重点項目に「米国におけるパフォーマンスランニングへの注力」、「中国市場における成長加速」、「デジタル事業を新たな成長ドライバーへ」、「アパレル事業を利益ある成長に転換」を設定しました。
重点項目である米国を皮切りに、次世代高機能素材として注目されるセルロースナノファイバーを世界で初めて活用した高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO 25」をはじめ、クッション性と反発性に優れたミッドソール素材を搭載したランニングシューズ「HyperGEL」シリーズや、ミッドソール全面に衝撃緩衝材「GEL」を採用したランニングシューズ「GEL-QUANTUM INFINITY」などを市場投入し、ブランド価値の向上を図りました。
中国では、アシックスブランド、オニツカタイガーブランドでインフルエンサーを活用したマーケティングキャンペーンを実施しました。また、アシックスブランドの更なるイメージ向上を図るため、中国で有名な女子プロテニスプレーヤーのジャン・シューアイ選手とアドバイザリースタッフ契約を締結しました。
デジタルでは、直営店やEコマースなどすべての顧客接点で利用できる独自のメンバーシッププログラムである「OneASICS」の導入を進め、お客様との接点拡大とコミュニケーションの強化に努めました。加えて、アシックススポーツ工学研究所およびデジタル部門で開発した計測アプリ「ASICS RUNNING ANALYZER」を直営店「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」に初めて導入したほか、フィットネス・トラッキング・アプリ「ASICS Runkeeper」とソフトバンク株式会社が提供する健康管理アプリ「パーソナルカラダサポート」の機能連携を開始しました。
直営店の展開として、トロントに旗艦店を出店したほか、当社初のビジネスシューズ「Runwalk」シリーズの旗艦店「ASICS Runwalk GINZA」を銀座にオープンしました。また、海外では当社初となるレザーシューズ専門の直営店をシンガポールに出店するなど、アシックスグループの直営店舗数は、世界で899店となりました。
ブランディングの展開において、アシックス、アシックスタイガー、オニツカタイガー、それぞれのブランドで、創業者の鬼塚喜八郎の生誕100周年を記念したキャンペーンを世界で展開し、鬼塚が生前に描いたヒマワリをデザインモチーフとした記念商品を市場投入しました。
JOC・JPCゴールドパートナー(スポーツ用品)としての活動では、平昌2018冬季オリンピック・パラリンピックに出場した日本代表選手団および第3回ユースオリンピック競技大会(2018/ブエノスアイレス)に出場した日本代表選手団のオフィシャルスポーツウェアなどを供給しました。当社は、ブエノスアイレス2018ユースオリンピック競技大会および東京2020オリンピック競技大会におけるオーストラリアオリンピック委員会のオフィシャルチームパートナーに決定したほか、国際パラリンピック委員会とオフィシャルサプライヤー契約を締結しました。
世界の代表的なESG指標「Dow Jones Sustainability Indices」の「Asia/Pacific Index」対象銘柄に4年連続で選定されたのに加え、新たに設定した2030年度CO2排出量削減目標が、スポーツ用品メーカーとしては世界で初めて「Science Based Targetsイニシアチブ」に承認されました。また、国連児童基金(ユニセフ)と日本ユニセフ協会が提唱する「子どもの権利とスポーツの原則」に賛同し、国際NPO「Right To Play」と協力したプロジェクトを実施するなど、スポーツを取り巻く環境の改善、スポーツを通じた青少年の育成に貢献する活動を行いました。
また、経済産業省と日本健康会議が優良な健康経営を実践している法人を顕彰する『健康経営優良法人2018~ホワイト500~』に選定されたほか、内閣府が創設した平成30年度「女性が輝く先進企業表彰」の内閣府特命担当大臣賞に加え、厚生労働省が創設した「グッドキャリア企業アワード2018」の大賞を、それぞれ日本のスポーツ用品業界で初めて受賞しました。
アシックスブランドでは、著名なインフルエンサーや契約選手を活用したマーケティングキャンペーンを実施し、ブランドメッセージ「I MOVE ME(ワタシを、動かせ。)」を訴求しました。ウィンブルドン、全米オープン男子シングルスで優勝し、男子プロテニス協会(ATP)シングルス世界ランキング1位となったプロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手とアドバイザリースタッフ契約を締結し、ジョコビッチ選手の意見を取り入れて新たに開発したテニスシューズを市場投入しました。加えて、サッカーのヴィッセル神戸のアンドレス イニエスタ選手や野球の米国MLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手とアドバイザリースタッフ契約を締結し、サポートを行いました。そのほか、ウクライナ陸上競技連盟のパートナーシップ契約を締結したほか、東京、パリ、バルセロナ、シドニー、フランクフルトなど世界各地のマラソン大会やバレーボールのFIVB世界選手権への協賛を行いました。
当連結会計年度の財政状態および経営成績は、次のとおりです。
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産304,460百万円(前連結会計年度末比12.6%減)、負債の部合計137,631百万円(前連結会計年度末比6.3%減)、純資産の部合計166,829百万円(前連結会計年度末比17.1%減)でした。
② 経営成績
当連結会計年度における経営成績は、売上高は386,662百万円と前年同期間比3.4%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合3.5%減)、営業利益は10,515百万円と前年同期間比46.3%の減益、経常利益は8,763百万円と前年同期間比59.7%の減益、親会社株主に帰属する当期純損失は20,327百万円(前年同期間は親会社株主に帰属する当期純利益12,970百万円)となりました。
報告セグメント別の業績は、次のとおりです。
a. 日本地域
売上高は118,250百万円(前年同期間比1.0%減)、セグメント利益は4,035百万円(前年同期間比31.4%減)となりました。
b. 米州地域
売上高は90,295百万円(前年同期間比15.0%減、前年度の為替換算レートを適用した場合13.5%減)、セグメント損失は4,012百万円(前年同期間はセグメント利益2,360百万円)となりました。
c. 欧州地域
売上高は105,683百万円(前年同期間比0.6%減、前年度の為替換算レートを適用した場合3.3%減)、セグメント利益は5,099百万円(前年同期間比38.5%減、前年度の為替換算レートを適用した場合40.2%減)となりました。
d. オセアニア/東南・南アジア地域
売上高は27,155百万円(前年同期間比1.8%減、前年度の為替換算レートを適用した場合0.7%増)、セグメント利益は3,685百万円(前年同期間比9.2%減、前年度の為替換算レートを適用した場合6.3%減)となりました。
e. 東アジア地域
売上高は53,358百万円(前年同期間比8.6%増、前年度の為替換算レートを適用した場合8.2%増)、セグメント利益は、5,381百万円(前年同期間比5.6%増、前年度の為替換算レートを適用した場合5.6%増)となりました。
f. その他事業
売上高は9,283百万円(前年同期間比0.5%増、前年度の為替換算レートを適用した場合4.0%増)、セグメント損失は259百万円(前年同期間はセグメント損失253百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、65,877百万円と前連結会計年度末比12,225百万円減少しました。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
平成26年12月期平成27年12月期平成28年12月期平成29年12月期平成30年12月期
自己資本比率(%)56.557.858.357.354.1
時価ベースの自己資本比率(%)154.4139.5129.397.987.1
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)4.22.11.00.92.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ15.018.848.569.013.8

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.平成26年12月期は、決算期変更に伴い9ヶ月間の変則決算となっておりますので、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオは9ヶ月間の営業キャッシュ・フローおよび利払いに対する数値を記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、報告セグメント別の売上高につきましては、「第2 「事業の状況」 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(1) 財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、記載内容のうち将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り
当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表作成にあたり、当社グループが採用している会計方針において使用されている重要な会計上の見積りおよび前提条件は、以下のとおりであります。
① 貸倒引当金
当社グループは、支払実績および信用情報等を査定して販売先に対して与信限度額を設定しており、貸倒懸念債権等特定の債権につきましては個別に債権の回収可能性を勘案し、回収不能見込額につきましては貸倒引当金を計上しております。
販売先の財務状況および支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。
将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、これらたな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資の評価
主として当社は、余資の運用および長期的な取引関係の観点から株式等を所有しております。当社は、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施しております。すなわち、時価のある「その他有価証券」につきましては期末時価が帳簿価格を30%以上下回った場合に、また、時価のない「その他有価証券」につきましては評価対象となる純資産額が帳簿価格を50%以上下回った場合に減損処理を実施しております。
将来の株式市場の動向、投資先の業績動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画および将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基にいわゆるタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
将来の業績および課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付費用および債務
当社の従業員退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用および債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 減損損失
主として当社は、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産304,460百万円(前連結会計年度末比12.6%減)、負債の部合計137,631百万円(前連結会計年度末比6.3%減)、純資産の部合計166,829百万円(前連結会計年度末比17.1%減)でした。
流動資産は、現金及び預金、売上債権などの減少により、240,709百万円(前連結会計年度末比5.9%減)となりました。
固定資産は、事業構造改革に伴うのれんなどの無形固定資産の減少により、63,751百万円(前連結会計年度末比31.1%減)となりました。
流動負債は、短期借入金および未払費用が減少したものの、償還期限が1年以内となった新株予約権付社債の固定負債から流動負債への振り替えなどにより、96,756百万円(前連結会計年度末比29.2%増)となりました。
固定負債は、上記の振り替えによる新株予約権付社債の減少などにより、40,875百万円(前連結会計年度末比43.3%減)となりました。
株主資本は、事業構造改革費用および減損損失を計上したことなどにより、164,848百万円(前連結会計年度末比15.0%減)となりました。
その他の包括利益累計額は、繰延ヘッジ損益が増加しましたが、為替換算調整勘定などが減少したことにより、△28百万円(前連結会計年度末は5,725百万円)となりました。
今後更なる在庫管理の徹底や、売掛債権・買掛債務の継続的モニタリング体制強化により、運転資本の改善を図ります。
② 経営成績
当連結会計年度における売上高は386,662百万円と前年同期間比3.4%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合3.5%減)となりました。このうち国内売上高は、オニツカタイガーシューズが好調に推移しましたが、スポーツウエアで収益性の低い商品群を縮小したことなどにより、100,353百万円と前年同期間比0.7%の減収となりました。海外売上高は、東アジア地域およびオセアニア/東南・南アジア地域でオニツカタイガーシューズなどが好調でした。しかしながら、米州地域が低調であったことにより、286,308百万円と前年同期間比4.3%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合4.5%減)となりました。
売上総利益は原価率の改善があったものの減収の影響などにより、180,666百万円と前年同期間比1.4%の減益となりました。販売費及び一般管理費は、直営店の出店拡大に伴う費用の増加などにより、170,150百万円と前年同期間比3.9%の増加となり、営業利益は10,515百万円と前年同期間比46.3%の減益となりました。経常利益は、前年同期間は為替差益を計上しましたが、当連結会計年度は為替差損を計上したことなどにより8,763百万円と前年同期間比59.7%の減益となりました。なお、業績回復のための構造改革の一環として、当第4四半期に内外資産の整理と再評価を行った結果、親会社株主に帰属する当期純損失は事業構造改革費用および減損損失などの特別損失の計上により、20,327百万円(前年同期間は親会社株主に帰属する当期純利益12,970百万円)となりました。
報告セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
a. 日本地域
日本地域におきましては、オニツカタイガーシューズが好調に推移しましたが、スポーツウエアで収益性の低い商品群を縮小したことなどにより、売上高は118,250百万円(前年同期間比1.0%減)となりました。セグメント利益につきましては減収の影響などにより4,035百万円(前年同期間比31.4%減)となりました。東京2020オリンピック・パラリンピックの権利を最大化させるための組織体制の強化を進め、収益性の向上に繋げてまいります。
b. 米州地域
米州地域におきましては、米国が低調であったことなどにより、売上高は90,295百万円(前年同期間比15.0%減、前年度の為替換算レートを適用した場合13.5%減)となりました。減収の影響などによりセグメント損失は4,012百万円(前年同期間はセグメント利益2,360百万円)となりました。今後、米国におけるパフォーマンスランニングカテゴリー認知向上のため積極的なマーケティング投資を行い、キーアカウントとの取組みを更に強化することでシリアスランナー顧客の維持と若年層ランナーへの拡大を行います。
c. 欧州地域
欧州地域におきましては、ランニングシューズが前年並みに推移し、売上高は105,683百万円(前年同期間比0.6%減、前年度の為替換算レートを適用した場合3.3%減)となりました。セグメント利益につきましては直営店の出店拡大に伴う費用の増加などにより5,099百万円(前年同期間比38.5%減、前年度の為替換算レートを適用した場合40.2%減)となりました。パフォーマンスランニングおよびコアパフォーマンススポーツのカテゴリーでの顧客への更なる訴求を図り、また、スポーツスタイルカテゴリーにおいては限定商品の展開などを通じてキーアカウントを中心に顧客取り込みを目指してまいります。
d. オセアニア/東南・南アジア地域
オセアニア/東南・南アジア地域におきましては、東南・南アジアが好調でしたが、オーストラリアが低調であったことなどにより、売上高は27,155百万円(前年同期間比1.8%減、前年度の為替換算レートを適用した場合0.7%増)となりました。セグメント利益につきましては原価率の改善はあったものの、減収の影響などにより3,685百万円(前年同期間比9.2%減、前年度の為替換算レートを適用した場合6.3%減)となりました。オセアニアではNo.1 パフォーマンスブランドの地位をより盤石なものとします。東南アジアにおいてDTCチャネルに注力し、インドにおいてモノブランドストアの拡大を行うなど、東南・南アジア地域の将来の成長を確かなものとしてまいります。
e. 東アジア地域
東アジア地域におきましては、特に中国でランニングシューズおよびオニツカタイガーシューズなどが好調でしたが、韓国が低調に推移し、売上高は53,358百万円(前年同期間比8.6%増、前年度の為替換算レートを適用した場合8.2%増)となりました。セグメント利益につきましては、中国における積極的な広告投資および韓国の減益の影響などにより、5,381百万円(前年同期間比5.6%増、前年度の為替換算レートを適用した場合5.6%増)となりました。新たに設置した中国本部の機能を活用し、現地のニーズに迅速に対応し、セレブリティマーケティング・パフォーマンスランニング機能訴求・直営店投資などのマーケティング投資を継続することで更なる成長に繋げてまいります。
f. その他事業
その他事業におきましては、売上高は9,283百万円(前年同期間比0.5%増、前年度の為替換算レートを適用した場合4.0%増)と前年並みに推移したものの収益性が悪化し、セグメント損失は259百万円(前年同期間はセグメント損失253百万円)と赤字が継続しております。今後、マザー市場である北欧以外の欧州におけるホグロフスブランドの認知度を高めるとともに、アジアでの展開の見直しを進めてまいります。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における資金は、65,877百万円と前連結会計年度末比12,225百万円減少しました。今後、本社主導で、より精緻にキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理を強めることにより運転資本の改善を図ってまいります。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,049百万円となり、前年同期間比26,087百万円の収入減少となりました。
収入の主な内訳は、事業構造改革費用21,142百万円、減価償却費9,893百万円、減損損失2,875百万円であり、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失14,270百万円、法人税等の支払額7,654百万円、たな卸資産の増加額6,595百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,467百万円となり、前年同期間比8,321百万円の支出減少となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出4,384百万円、無形固定資産の取得による支出3,867百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は13,753百万円となり、前年同期間比2,205百万円の支出増加となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額6,714百万円、長期借入金の返済による支出4,017百万円、自己株式の取得による支出2,003百万円であります。
(3) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、当社グループは、事業活動を行うための資金の調達に際し、低コストで安定的な資金の確保を重視しております。当連結会計年度末の有利子負債は57,388百万円であります。
なお、資金効率の向上と金融費用の削減、ならびに財務面のグループガバナンス強化を目的として、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(グローバルCMS)を平成28年3月より金融機関と構築しており、グローバルCMS参加グループ会社を一体とみなして資金の預入および借入を行っております。これに伴い、従来当社から行っておりました一部子会社への貸付けを解消いたしました。当該グローバルCMSにおいて、預入金および借入金の相殺表示を行うためのすべての要件を満たしているため、相殺表示を行っております。なお、当連結会計年度末の相殺金額は9,750百万円であります。
また、平成31年3月に、スポーツ工学研究所の研究費用等サステナビリティに資する適格プロジェクトに関連する費用等に充当するため、第2回無担保社債を発行し、200億円を調達いたしました。当該社債は平成30年11月に関東財務局長に提出した2年間有効の500億円の社債発行登録書を基に発行しております。
(4) 中期経営計画の進捗
当社グループは、中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP)2020」において、2020年度の目標値として下記数値を掲げております。
指標2020年目標2018年実績2018年(目標比)
売上高5,000億円3,866億円△1,134億円
営業利益率7%3%△4ppt
ROE10%△11%△21ppt

今後当社グループでは、2019年を「攻勢」の期間と位置づけ、カテゴリー基軸の管理体制へ移行することで、機能ごとに分かれていた組織を統合し、それぞれのカテゴリートップがコミットした目標達成に向けて邁進いたします。さらに、カテゴリーNo.1奪取に向け、パフォーマンスランニングを中心とした将来成長のため、日本・米国・中国に重点を置いた戦略的なマーケティングの展開を行います。当社グループは、これらの施策を着実に実行し、収益性の改善に結び付けてまいります。