有価証券報告書-第29期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、アメリカと中国の貿易摩擦による中国経済の低迷の影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済の急激な落ち込みが進行しております。
製造業においても、中国の最終需要が落ち込んでおり、世界的に広がった新型コロナウイルスのパンデミックに終息の見通しが立たない状況にあり、景況感が大幅に悪化しております。
このような状況のもと、当社は、事業方針「高精度・高機能に特化した樹脂製品の提供」と期初に掲げた「対処すべき課題」の具体的な施策である、① 当社の強みを活かした営業力の強化、② 顧客提案力の向上と開発効率の向上、③ 生産力の強化と人材育成を引き続き推進してまいりました。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業での取組みとしましては、大手エレクトロニクス機器メーカーなどに機能性素子部品を継続的に提供するとともに、「対処すべき課題」の具体的な施策である「当社の強みを活かした営業力の強化」により機能性部品で培った強み・特徴を活かし、他市場・他分野(産業用機器、OA機器やレジャー関連分野等)への水平展開を推進してまいりました。その結果、映像機器分野に重点を置いていた売上構成が多角化いたしました。
映像機器分野においては、デジタルカメラ需要は依然として低下傾向にありますが、高付加価値用途に採用されている製品群は堅調であり、同分野の売上は横ばいとなりました。
産業機器分野、OA機器分野においては、アメリカと中国の貿易摩擦の激化により、既存製品の売上が落ち込み、量産を見込んでいた新規案件にも影響が及びました。
レジャー分野の売上においては、引き続き順調に推移しており、全体の売上の伸び悩みをカバーすることができました。
なお、前事業年度まで順調に推移していた金型の売上は、当初、量産を見込んでいた新規案件の影響により伸び悩みました。
パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、展示会や技術紹介の専門サイトなどを通じた積極的なアプローチにより、大学研究室及び各企業の研究・開発部門に対するフォローアップを強化しており、継続的なユーザーの需要を中心とした販売は順調に推移しました。しかしながら、ユーザーの研究開発費は圧縮の傾向にあり新規の装置受注は振るわず、売上は伸び悩みました。
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、高圧受配電盤などの電気設備のメンテナンス需要が重なり、碍子などの成形品及び機能性樹脂成形材料(エポハード®)ともに需要は堅調に推移しており、売上は増加いたしました。
高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材「エポクラスター®クーリエ」につきましては、引き続き半導体デバイスメーカーや産業機器メーカーなどへサンプル供給しながら事業を展開・推進しております。また、レジャー関連分野の製品においては、量産へ移行しており、売上に貢献しております。
以上の結果、当事業年度の全社の業績は売上高835百万円(前年同期比0.0%増)、売上総利益299百万円(前年同期比4.0%増)、営業利益26百万円(前年同期比6.5%増)、経常利益29百万円(前年同期比7.6%増)、当期純利益20百万円(前年同期比2.8%減)となりました。
当事業年度のセグメントの経営成績は次のとおりであります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の売上高は629百万円(前年同期比0.0%増)、セグメント利益は262百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の売上高は203百万円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益は35百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
その他事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、売上高は3百万円(前年同期比62.5%減)、セグメント利益は1百万円(前年同期比69.0%減)となりました。
このような状況下において、当社は、当事業年度においても、「対処すべき課題」の具体的な施策を推進し、営業損益は3期連続して黒字となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ37百万円減少し、当事業年度末には150百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、2百万円の減少となりました。これは主に、売上債権の増加、たな卸資産の増加、仕入債務の減少によるものです。(前事業年度は、60百万円の増加)
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、35百万円の減少となりました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出によるものです。(前事業年度は、28百万円の減少)
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローはありませんでした。(前事業年度は、0百万円の減少)
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 369,299 | 99.9 |
| マクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 173,298 | 105.5 |
| 報告セグメント計(千円) | 542,598 | 101.6 |
| その他事業(千円) | △1,190 | △19.5 |
| 合計(千円) | 541,407 | 100.3 |
(注)1.上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業 | 600,544 | 92.7 | 42,198 | 59.5 |
| マクロ・テクノロジー関連事業 | 202,027 | 98.4 | 34,641 | 96.5 |
| 報告セグメント計 | 802,571 | 94.0 | 76,839 | 71.9 |
| その他事業 | 5,012 | 81.1 | 2,124 | 895.1 |
| 合計 | 807,583 | 94.0 | 78,963 | 73.8 |
(注)1.上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 629,234 | 100.0 |
| マクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 203,301 | 102.8 |
| 報告セグメント計(千円) | 832,535 | 100.7 |
| その他事業(千円) | 3,125 | 37.5 |
| 合計(千円) | 835,661 | 100.0 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 長瀬産業株式会社 | 436,658 | 52.3 | 385,325 | 46.1 |
| ナガセエレックス株式会社 | 81,426 | 9.7 | 114,035 | 13.6 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は835百万円(前年同期は835百万円)となりました。ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、OA機器分野、産業機器分野での既存製品の落ち込みがありましたが、レジャー分野の健闘により、全体の売上の伸び悩みをカバーできました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は299百万円(前年同期は287百万円)となりました。これは主に、製造原価の見直しによるものです。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は26百万円(前年同期は24百万円)となりました。これは主に、賞与引当金と研究開発費の増額と支払手数料の減額によるものです。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は29百万円(前年同期は27百万円)となりました。営業外収益は3百万円(前年同期は3百万円)、営業外費用は1百万円(前年同期は1百万円)ともに前年同期と同様です。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は20百万円(前年同期は20百万円)となりました。これは法人税、住民税及び事業税が増加したためです。
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度より17百万円増加し、1,411百万円となりました。
これは、主に売掛金の増加23百万円、機械及び装置の増加12百万円によるものです。
(負債)
負債合計は、前事業年度より2百万円減少し、123百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前事業年度より20百万円増加し、1,287百万円となりました。これは、当期純利益20百万円の計上によるものです。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。
また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2020年3月期の資産における流動比率は867.2%となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もあります。したがって、期末時点で入手可能な情報を基に会計上の見積りを実施しております。