有価証券報告書-第32期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、石炭や天然ガスなどの資源価格は高止まっているものの、各国の金融政策の引き締めによりインフレ抑制の兆しが出てきました。中国製造業景況感指数も今年1月以降、好・不調の境目である50を上回ってきました。国際通貨基金(IMF)は、2023年の経済成長見通しを2.9%と、昨年10月時点比0.2%上方修正し、2024年には経済成長率は3.1%へ加速する見込みと発表しました。しかし、当事業年度末には、米欧で金融システム不安がくすぶり、予断を許さない状況ではあります。
わが国製造業においては、原材料コストの負担を価格転嫁する動きで、企業物価指数は10%前後の高水準で推移しており、企業のコスト負担増は続いております。一方で5月8日の新型コロナウイルスの5類への移行や北海道に大型の最先端半導体工場の建設を発表するなど明るい兆しも見えてきました。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業については、下半期以降に好転を予想していた売上高が、中国のロックダウン(都市封鎖)による経済失速と、一部顧客製品で使用する半導体不足に伴う影響から、当社受注製品の生産調整があり、産業機器分野やインクジェット関連部品などを中心に伸び悩みました。
映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式タイプは、回復傾向をやや強めておりますが、当社においては、前期にミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、大幅に増加した反動もあり、前年同期比では減少いたしました。
OA機器分野は、主力顧客の増産体制に伴い、前年同期比で大幅に増加いたしました。
産業機器分野は、中国のロックダウンや顧客の生産調整等の影響が続き、前年同期比では減少いたしました。
レジャー分野は、引き続き海外のアウトドア需要が堅調ですが、下半期後半の売上高の伸び悩みがあり、前年同期比、横這いとなりました。
一方、「新規開拓に向けた営業力の強化」については、Web会議での打ち合わせを活用し、商社と連携しながら積極的な顧客訪問を引き続き実施し、徐々に成果が出始めております。
パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、Web会議の活用や顧客訪問により、大学研究室及び各企業の研究・開発部門へ積極的にアプローチをしております。引き続き、研究開発を支えるツールとして多分野への展開を推進いたします。
マクロ・テクノロジー関連事業については、樹脂成形品の売上高は減少しましたが、樹脂成形材料の売上高は好調に推移した結果、前年同期比では増加いたしました。
高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材「エポクラスター®クーリエ」をはじめとする固形封止材につきましては、一部顧客への納品は継続しているものの、引き続き半導体デバイスメーカーや産業機器メーカー等へサンプル供給しながら用途展開及び顧客拡大を推進しております。
利益面においては、当初予想売上高の減少に伴う利益の減少、ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業における生産効率の低下要因、さらには、減価償却費の増加、原材料価格や電気料金等の上昇による製造費用増加、設備投資や自動化への投資について、当該投資に対する本格生産の立上げ遅れなど、コスト削減効果が充分に得られていないことや販管費の増加等により営業利益、経常利益、当期純利益とも大幅に悪化しました。
以上の結果、当事業年度の全社の売上高は925百万円(前年同期比2.1%増)、売上総利益368百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益は72百万円(前年同期比27.9%減)、経常利益は74百万円(前年同期比27.1%減)、当期純利益は59百万円(前年同期比48.4%減)となりました。
当事業年度のセグメントの業績は次のとおりであります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の当事業年度の売上高は745百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント利益は320百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
マクロ・テクノロジー関連事業
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の当事業年度の売上高は178百万円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は47百万円(前年同期比22.1%増)となりました。
その他事業
その他の事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、当事業年度の売上高は1百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は0百万円(前年同期比42.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ70百万円減少し、当事業年度末には245百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、27百万円の増加となりました。
これは、主に税引前当期純利益と棚卸資産によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、95百万円の減少となりました。 これは、有形固定資産の取得による支出によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは2百万円の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 431,830 | 105.3 |
| マクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 136,161 | 113.6 |
| 報告セグメント計(千円) | 567,992 | 107.2 |
| その他事業(千円) | 502 | 74.0 |
| 合計(千円) | 568,494 | 107.1 |
(注) 上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業 | 726,676 | 94.5 | 111,295 | 85.5 |
| マクロ・テクノロジー関連事業 | 187,605 | 116.5 | 36,484 | 134.3 |
| 報告セグメント計 | 914,282 | 98.3 | 147,779 | 93.9 |
| その他事業 | 4,006 | 367.3 | 2,921 | 7,133.1 |
| 合計 | 918,289 | 98.6 | 150,700 | 95.7 |
(注) 上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 745,624 | 99.9 |
| マクロ・テクノロジー関連事業(千円) | 178,295 | 112.5 |
| 報告セグメント計(千円) | 923,920 | 102.1 |
| その他事業(千円) | 1,126 | 100.7 |
| 合計(千円) | 925,047 | 102.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 長瀬産業株式会社 | 363,066 | 40.1 | 391,029 | 42.3 |
| 黒田電気株式会社 | 169,573 | 18.7 | 156,750 | 16.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は925百万円(前年同期は905百万円)となりました。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式タイプは、回復傾向をやや強めておりますが、前期にミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、大幅に増加した反動もあり、前年同期比では減少いたしました。
OA機器分野は、主力顧客の増産体制に伴い、前年同期比で大幅に増加いたしました。
産業機器分野は、中国のロックダウンや顧客の生産調整等の影響が続き、前年同期比では減少いたしました。
レジャー分野は、引き続き海外のアウトドア需要が堅調ですが、下半期後半の売上高の伸び悩みがあり、前年同期比、横這いとなりました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は368百万円(前年同期は383百万円)となりました。これは主に、減価償却費の増加、原材料価格や電気料金等の上昇による製造費用増加、設備投資や自動化への投資について、当該投資に対する本格生産の立上げ遅れなど、コスト削減効果が充分に得られていないことなどから、大幅に悪化いたしました。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は72百万円(前年同期は100百万円)となりました。これは主に、人件費及び研究開発費の増加によるものです。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は74百万円(前年同期は102百万円)となりました。営業外収益は3百万円(前年同期は2百万円)、営業外費用は1百万円(前年同期は1百万円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は59百万円(前年同期は114百万円)となりました。これは法人税等及び繰延税金資産計上による法人税等調整額の計上によるものです。
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度より69百万円増加し、1,705百万円となりました。
これは、主に現金及び預金の減少70百万円、棚卸資産の増加21百万円、有形固定資産の増加115百万円によるものです。
(負債)
負債合計は、前事業年度より10百万円増加し、211百万円となりました。
これは、主に買掛金の減少21百万円、未払金の増加71百万円、未払法人税等の減少12百万円、未払消費税等の減少15百万円によるものです。
(純資産)
純資産は、前事業年度より59百万円増加し、1,493百万円となりました。 これは、当期純利益59百万円の計上によるものです。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。
また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2023年3月期の資産における流動比率は582.6%となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。