有価証券報告書-第120期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/24 12:02
【資料】
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【項目】
134項目

事業等のリスク

当社グループは、世界各国において、幅広く事業活動を行っているため、各国の政治情勢や需給の変動などによる景気動向の影響を直接・間接的に受けており、商品、為替、金利(資金)、株式などの価格変動・流動性リスク、債権の貸倒れ・回収遅延リスク、投資の回収リスク、カントリーリスク、法令・規制変更のリスクなど様々なリスクが存在しております。これらのリスクは、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを完全に排除することは困難ですが、当社グループでは内容に応じて、必要な管理体制および管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクとリスク管理体制は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に属する事項等については、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 事業活動全般に係るリスク
① 取扱商品の需給・価格変動リスク
当社グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・石油製品等や、競争による価格低下や技術革新に伴う陳腐化等が頻繁に発生する電子部品・ICT関連商品などの取扱いがあり、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生する可能性があります。
② 為替変動リスク
当社グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、取引条件として取引先へ転嫁するほか、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。
また、当社は海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は決算時の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により為替換算調整勘定を通じて、純資産を増減させる可能性があります。
③ 金利変動リスク
当社グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。
また、当社グループの退職給付債務の見積りにおいては、確定給付型の年金制度を採用している会社があり、退職給付債務計算に利用する割引率が低下することにより、退職給付債務が増加する可能性があります。
④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク
当社グループは、取引先との関係強化などの目的で株式を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他有価証券評価差額金を通じて、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの年金資産のポートフォリオには、中長期的な運用目的で株式等が組み入れられており、当該株式等の価格が下落すると運用利回りが悪化するため、予定運用利回りとの乖離が当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 貸倒れ・回収遅延リスク
当社グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。
また、これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあります。
⑥ 事業投資等に関するリスク
当社グループは、既存事業の深掘りおよび事業領域の拡大などを目的として、事業投資を行っております。これら事業投資等の実行にあたっては、投資内容および金額に応じて規定されている所定の手続きを経て実行の可否を決定しております。決定にあたっては、キャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析を行い、事業撤退の基準についても検討を行ったうえで、投資の可否を判断しております。また、投資実行後も、定期的にその事業性と投資価値の評価・見直しを行い、損失の極小化に努めております。これら事業投資については、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性がありますが、特に海外事業についてはマーケット変動の幅が大きい傾向があり、現地の法令やパートナーなどとの関係において、当社の方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もあります。
⑦ カントリーリスク
当社グループは、国外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に、各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付を付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付や案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該取引の継続が困難となり、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法令変更等に関するリスク
当社グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。しかしながら、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取り決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 訴訟・係争等に関するリスク
当社グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が、様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 情報システム・情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、さらには、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 自然災害等による商品・設備等の劣化リスクおよび事業中断リスク
当社グループは、国内外に事業所、倉庫、工場などの設備機器を有しております。また、取引を行うにあたっては、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しております。これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があり、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 法令遵守・不正行為に関するリスク
当社グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対してわが国を含む世界各国で制定、施行されている輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に、最大限の注意を払って事業を行っております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) リスク管理について
① 為替・金利・商品ポジション管理
営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引条件として取引先等に転嫁しております。あわせて、為替・金利(資金)・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、事前に定めた限度を超えた場合には速やかにポジションを縮少する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。
② 取引与信管理
国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に、取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付を付与し、格付および与信種類に応じた与信限度額を設定しております。通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が、与信限度額内に収まるよう運営することで、信用リスクをコントロールしております。また、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要とされる保全策を講じることによって、意図しない信用リスクの拡大を防ぐ体制としております。
また、商品出荷時における取引先に対する与信限度のチェックをシステム化しており、限度超過の未然防止策を講じております。
③ 安全保障貿易管理
安全保障貿易管理関連法令に関しては、その遵守違反を未然に防止するため、「安全保障輸出管理規程」ならびに遵守プログラムを設け、細心の注意を払ってプロセスの管理、運営を行っております。
④ 自然災害・偶発的事故に対するリスクヘッジ
当社グループが保有する国内外の事業所、倉庫、工場などの設備機器ならびに国内外に保管中または輸送中の貨物に対する自然災害や偶発的事故による価値の毀損ならびに賠償責任リスクについては、個別の損害保険付保によりリスクヘッジを行っております。また、地震・火災・洪水・暴動等により、事業が中断するリスクについては、安全かつ迅速な対応ができるよう定期的な訓練を実施するとともに、対策本部の設置・運営を含むマニュアルを整備し、対応策を講じております。
⑤ 情報セキュリティ
情報システムにおける情報セキュリティについては、重要な情報の漏洩・流出防止の観点から、情報セキュリティ管理に関する規程を設け、企業情報ならびに個人情報の保護を行うため、PC、ネットワーク、電子メールなどの利用方法について統一的な規範を定めております。また、セキュリティレベルを高めるためのシステム的な基盤については常時見直しを行い、必要かつ適切なセキュリティレベルを確保するよう維持・運営を行っております。
⑥ コンプライアンス
各種の法規制や規則遵守を包括的にモニタリングするために、内部統制・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス維持の状況について、定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。また、コンプライアンスハンドブックを整備のうえ、社員へ配布し、コンプライアンス意識の周知徹底を図るとともに、報告・相談窓口として、社内ホットラインおよび社外弁護士ホットラインを設置しております。
⑦ オペレーション管理
営業事務から生じるオペレーショナルリスクを防止するため、業務フロー改革(Business Process Re-engineering=BPR)を実施し、受渡業務以降のすべての起票行為を一括して処理するなど、業務フローにおける誤計上やルール違反、不正などを防止する体制を構築しております。
(3) 中期経営計画について
当社グループは、3ヵ年の中期経営計画(平成25年4月~平成28年3月)を策定しておりますが、定量目標については、一定の仮定や前提に基づき策定されたものであり、経済や産業の動向が想定されたものと大きく異なる場合や、それらの環境の変化に対して有効な施策を講ずることができなかった場合など、様々な要因によって、達成できない可能性があります。