有価証券報告書-第76期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/29 15:37
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

以下において当社グループの財政状態及び経営成績に関する分析を記載しております。なお、本項における将来に関する事項は当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、特に重要な会計方針及び見積りは以下のとおりであります。
① 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、その回収不能見込額について貸倒引当金を計上しております。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく見積額と取得原価との差額に相当する陳腐化の見積額について評価減を計上しております。
③ 投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しております。当社グループは投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損を計上しております。減損の計上にあたっては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、時価と取得原価との差額に相当する額について減損を計上し、30%~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損を計上することとしております。
④ 退職給付費用
従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されます。数理計算の前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び期待運用収益率などの前提条件が含まれています。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度の世界経済は、米国では堅調な成長が見られたものの中国などの新興国経済の減速や原油価格の下落などが影響し、先行き不透明感が急速に強まりました。国内経済では、海外経済の減速や米国の利上げ遅れへの懸念などの影響により円高・株安が急激に進行し、輸出や生産の停滞も加わり、企業収益は一部では陰りを見せ始めています。さらには回復傾向にあった設備投資も様子見姿勢が出るなど足踏み状況にあります。
このような状況下、当社グループは、ワールドワイドに顧客に付加価値を提供する「グローバル・ソリューション・プロバイダー」への進化を図るべく中期経営計画「GSP・15(Growth Strategy Plan 2015)」の最終年度として、グループの総力を挙げてソリューション事業への取り組み加速や販売チャネルへの対応強化を進めましたが、年度後半での中国経済の減速などに起因した市況の急激な落ち込みの影響を受けました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高2,219億90百万円、営業利益36億73百万円、経常利益32億96百万円、親会社株主に帰属する当期純利益18億46百万円となりました。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は、2,219億90百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
FAシステムでは、当社主力市場の工作機械関連の生産は堅調に推移しましたが、半導体・液晶関連製造装置関連が振るわず、また自動車関連及び太陽光発電関連の設備投資も伸び悩み、減収となりました。
冷熱住機では、卸店及び中小設備業者を中心とした販売ルート向け案件が増加し、また節電・省エネ対応のリプレース需要が堅調に推移し、増収となりました。
ビルシステム・情報通信では、メディカル、セキュリティ関連の販売は堅調に推移しましたが、基幹商品であるエレベーター・IT関連が低調で、大幅な減収となりました。
FA・環境システム関連の子会社では、国内は、冷熱品の保守・サービス案件が堅調に推移しましたが、太陽光を中心とした電気工事が伸び悩み、また海外のFAシステムも伸び悩み、減収となりました。
結果、FA・環境システムの連結売上高は707億80百万円(前年同期比3.7%減)となりました。
エレクトロニクスは、国内では、産業機器関連はFA関連ビジネスや省エネ関連ビジネスが前半堅調でしたが後半伸び悩み、自動車関連は、北米向けは堅調に推移しましたが国内向け販売が低迷し、減収となりました。
海外子会社では、OA機器関連製品はアジア地域で電子部品の販売が前半堅調に推移したものの後半は低迷し、自動車関連製品は北米地域での販売は堅調に推移しましたが、中国・アセアン地域での販売が振るわず、大幅な減収となりました。
結果、エレクトロニクスの連結売上高は1,512億10百万円(前年同期比8.0%減)となりました。
③ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高が減少したため1,988億69百万円(前年同期比7.0%減)と減少しました。売上高に対する売上原価の比率は89.6%です。
販売費及び一般管理費は、グローバル展開の積極的な推進などにより費用が増加したため、194億48百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
④ 営業利益
営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したため、36億73百万円(前年同期比26.4%減)となりました。
FA・環境システムは、冷熱住機が増益となりましたが、FAシステム及びビルシステム・情報通信が減益となったことから、15億88百万円(前年同期比8.1%減)となりました。
また、エレクトロニクスでは、自動車関連や産業機器関連が伸び悩み、海外子会社も減収となったことから、20億94百万円(前年同期比35.8%減)となりました。
⑤ 営業外損益
営業外損益は、3億76百万円の損失となりました。損失の主な要因は、為替差損益が3億76百万円の損失となったこと等によります。
⑥ 特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益77百万円であり、特別損失は、投資有価証券評価損68百万円及び関係会社株式評価損1億79百万円であります。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、18億46百万円(前年同期比36.1%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、建設関連分野・デジタル家電分野・自動車電装品関連分野をはじめ液晶・半導体・工作機械関連等の幅広い分野で事業展開をしております。当社グループの取り扱う部材・商品はその価格及び品質において競争力を有していると確信しておりますが、各々の分野における事業環境は非常に競争が激しく、為替レートの変動や価格競争並びに製造業者・商社との競合は、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
また、経営成績に特に重要な影響を与えると考えられる見積りは以下のとおりです。
① 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、その回収不能見込額について貸倒引当金を計上しておりますので、顧客の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく見積額と取得原価との差額に相当する陳腐化の見積額について評価減を計上しておりますので、実際の将来需要あるいは市場状況が見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③ 投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しており、これらの投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損を計上することとしておりますので、将来の市場悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産の計上にあたっては、将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部について将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
⑤ 退職給付費用
従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上設定される前提条件に基づいて算出されております。従って、実際の結果が前提条件と異なる場合があり、計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼします。
(4) 戦略的現状と見通し
当社グループは、第77期を始期とする新中期経営計画「CE2018(Challenge & Evolution 2018)」を策定し、グループ社員全員が「グローバル・ソリューション・プロバイダー」となり、顧客価値創造型ビジネスモデルを実践することにより、グループ連結力収益力の強化を図り、利益ある成長戦略を推進してまいります。
(5) 資本の源泉及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比12億46百万円増加し、166億60百万円の残高となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動から得られた資金は、37億47百万円(前年同期比79億16百万円収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31億26百万円の計上と、売上債権・たな卸資産・仕入債務の減少によるネット資金の減少18億34百万円、法人税等の支払10億23百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、7億77百万円(前年同期比4億53百万円支出減)となりました。これは主に、有形・無形固定資産の取得支出9億99百万円と、投資有価証券の売買によるネット収入2億14百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動に使用した資金は、15億50百万円(前年同期比4億62百万円支出増)となりました。これは主に、配当金の支払10億83百万円、短期借入金の減少4億59百万円によるものです。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売活動のための商品及び部材等購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、営業費用の主なものは人件費及び運賃諸掛であります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、事業環境の変化に適応した「グローバル・ソリューション・プロバイダー」として事業強化を図っております。顧客に徹底的に寄り添い、顧客ニーズを基点とした価値を創造していくことで、顧客や市場における当社グループの存在価値を高め、収益性の向上を図っております。第77期を始期とした新中期経営計画「CE2018(Challenge & Evolution 2018)」では、多様化するお客様のニーズを捉えながら付加価値を追求する営業スタイルに自己変革し、先進的な技術の提供により地域社会の発展に貢献する企業を目指し、グループ全体で「顧客価値創造型ビジネスモデルの実践」「グループ連結収益力の強化」「ガバナンス経営の推進」の3つの基本戦略に取り組む方針であります。