有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による急激な減速に始まり、感染の第2波、第3波、変異株の発生・拡散と続く中、年度を通じて全般的に低調に推移しました。一方そのような推移の中で、リモートワークの拡大やDX、脱炭素化の加速やSDGs達成に向けた需要が増大し、また年度後半にかけて設備投資や輸出が回復基調となるなど、依然不透明感が強く予断は許されないものの、将来に向けてのキーワードが明確になり、回復への期待を抱かせる状況となりました。
このような情勢の中で、当社グループでは、年度前半において新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け業績が落ち込んだものの、中期経営計画2年目の当連結会計年度において「ファーマ事業」の呼称を「ヘルスケア事業」に変更するとともに事業領域を拡大し、また車載用LIB製造設備関連の需要、5G通信システムやDX関連の需要を取り込むなど時流に合った活動を堅実かつ積極的に行いました。その結果、年度後半において業績は回復基調となったものの前半の落ち込みを取り戻すまでには至らず、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べて214億47百万円減少の1,400億29百万円(前期比13.3%減)となりました。
売上原価は、189億65百万円減少の1,185億72百万円(前期比13.8%減)となりました。なお、売上総利益率は、プラント・エネルギー事業の粗利率向上などにより、前期の14.8%から15.3%へと増加しました。この結果、売上総利益は24億81百万円減少の214億57百万円(前期比10.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、旅費、交際費などが減少したことなどにより、12億13百万円減少の157億27百万円(前期比7.2%減)となりました。
この結果、営業利益は12億68百万円減少の57億29百万円(前期比18.1%減)となり、営業利益率は前期の4.3%から4.1%へと減少しました。
営業外損益においては、営業外収益は、補助金収入が増加したことなどにより1億3百万円増加の9億31百万円(前期比12.5%増)となりました。営業外費用は、為替差損が減少したことなどにより2億3百万円減少の1億97百万円(前期比50.7%減)となりました。この結果、営業外損益は前期より3億6百万円増加の7億34百万円の収益となり、経常利益は9億61百万円減少の64億64百万円(前期比13.0%減)となりました。
特別損益においては、特別利益として投資有価証券売却益等3億37百万円を計上したものの、特別損失として投資有価証券評価損等72百万円を計上したため、差引き2億65百万円の収益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益67億29百万円から法人税等(法人税等調整額を含む)19億71百万円並びに非支配株主に帰属する当期純利益3百万円を差引き、1億21百万円減少の47億54百万円(前期比2.5%減)となりました。
当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、前期の10.4%から9.3%へと減少しました。今後も、中期経営計画の基本方針に則り、更なる収益性の向上を目指し、自己資本の充実を図りつつ、ROEの維持・向上を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
プラント・エネルギー事業
各種プラント用設備や車載用LIB製造設備等の大型案件が減少したことから、売上高は31億44百万円減少の396億90百万円(前期比7.3%減)となりましたが、粗利率が向上したため、セグメント利益(営業利益)は4億21百万円増加の15億33百万円(前期比37.9%増)となりました。
本事業では、LIB製造関連ビジネスの成長が続く中、当連結会計年度において、欧州で活況を呈しているLIB製造関連で、粉体系エンジニアリングを含めたプロセス機器の大規模プロジェクトを欧州大手化学メーカーより受注するなど、今後のさらなる成長に向け非常に大きな手応えを感じております。そのことから、2021年4月より、LIB製造関連分野を本事業より独立させ、エナジーソリューションズ事業としてビジネスを開始しております。化学プラント関連ビジネスでは、生活必需品に用いられる素材や材料が生成されていることが多い中で環境課題に対応する装置へのニーズも高く、設備投資計画が続いております。また材料生成において環境負荷を低減する新たな工法の実用化も進んでおり、当社もそうしたテーマへの投資も実施しながら、お客様に提案できるバリエーションを増やしていきたいと考えております。
産業機械事業
プラスチックス製品・食品関連業界向けの成形機及び周辺機器、自動加工機等の売上が大幅に減少したため、売上高は71億23百万円減少の176億82百万円(前期比28.7%減)、セグメント損益(営業損益)は5億22百万円減少の68百万円の損失となりました。
本事業では、従来、プラスチックス製品の成形技術に関わる分野を主力に展開しておりますが、多様な人財を補強しながら、既存ビジネスの成長のみならず、カテーテルや注射針等を含む医療用機器関連や、イチゴの育苗技術に取り組むなど、ビジネス領域の拡大を進めております。医療用機器関連については、医薬から健康食品、注射剤・点滴等の液剤、ⅰPS細胞培養装置等に領域を拡大しているヘルスケア事業や一部プラント・エネルギー事業の取り組みとの交わりが想定されることから、事業軸を超えたクロスポイントからの新たなバリュー創出に向け、グローバルに会議体を設置し、幅広く事業を展開していくこととしております。
エレクトロニクス事業
IT及びデジタル関連機器製造会社向けの電子部品製造関連設備等の販売が減少したため、売上高は56億3百万円減少の352億72百万円(前期比13.7%減)、セグメント利益(営業利益)は2億55百万円減少の19億73百万円(前期比11.5%減)となりました。
本事業では、前年度に見られていた、中国に偏りつつあったサプライチェーンの見直しの動きが新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて停滞した一方で、この影響により第5世代移動通信システム(5G)への移行やDXの動きが加速しました。年度後半においては、コロナ禍からいち早く回復した中国に向けた電子部品実装機の販売が好調となりました。今後も業界の動向を注視し、グローバルレベルでの受注獲得に取り組んでまいります。電子部品実装の前後工程を含めた、スマートファクトリー化に向けたシステムの販売については、得意先のニーズを的確に捉えながら改良のための提案・協力をサプライヤーに行うことにより、ビジネスのさらなる拡大を図ってまいります。
自動車事業
自動車関連業界向けの自動組立ライン、塗装ライン、車載電子部品製造関連設備等の販売が少なかったため、売上高は43億24百万円減少の314億21百万円(前年同期比12.1%減)、セグメント利益(営業利益)は4億99百万円減少の9億92百万円(前年同期比33.5%減)となりました。
本事業では、脱炭素、EV化が加速する米国で国内への投資シフトが進み、また米国向け輸出の多いメキシコで一部投資凍結の案件がありながらも好調な業績となるなど、米州地域での業績が下支えする結果となりました。サプライチェーンの裾野が広い業界を次世代自動車の主要なセグメントに基づいて細分化し、深堀した成果をグローバルに展開していることが実を結びつつあります。今後も商材・パートナーのさらなる開拓を進め競争力を高めると同時に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きい地域・取引先の生産回復へのサポートを積極的に行うことにより、存在感を高めることにも注力してまいります。
ヘルスケア事業
錠剤印刷検査装置やパッケージング用機器・装置等の売上が増加したため、売上高は3億55百万円増加の106億50百万円(前期比3.5%増)となりましたが、セグメント利益(営業利益)は21百万円減少の11億7百万円(前期比1.9%減)となりました。
本事業では、まず、当連結会計年度より、「ファーマ事業」の名称を「ヘルスケア事業」に変更し、事業領域、活動領域の拡大を図りました。新型コロナウイルス感染症の影響による健康意識の高まり、新薬の特許切れに伴うジェネリックメーカーや受託メーカーへの生産シフトにより錠剤印刷機市場が拡大したことが、年度を通じた堅調な業績の要因と考えております。エンジニアリング力を生かした医療用品組立設備・検査ライン等の受注も堅調であり、今後もグループ会社の第一実業ビスウィル㈱(メーカー機能)と㈱第一メカテック(サービス機能)との三位一体により生産ラインを一括受注するビジネススタイルをさらに強化してまいります。
航空事業
航空機地上支援機材及び空港施設関連機器等の売上が大幅に減少したため、売上高は17億18百万円減少の50億57百万円(前期比25.4%減)、セグメント利益(営業利益)は1億82百万円減少の3億52百万円(前期比34.1%減)となりました。
本事業では、旅客数の落ち込みによる便数の大幅減という極端な状況に陥っており、航空業界全体として投資抑制が続いていることから、当社グループ事業の中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最も大きく受けました。一方、本事業はこれまでも救急・消防、道路清掃、防災、災害対応等の領域における商材の扱いを拡大させており、当連結会計年度においても新型救急車「C-CABIN」の開発プロジェクトに投資・参画し、全国の各自治体消防本部に向けて取り扱いを開始いたしました。このような、航空施設を離れた場で活躍する、社会インフラともいうべき商材が拡充してきていることから、2021年4月より本事業は「航空・インフラ事業」に名称を変更しております。
その他
売上高は1億12百万円増加の2億54百万円(前期比79.3%増)、セグメント利益(営業利益)は23百万円増加の1百万円となりました。
今後も、中期経営計画の基本方針であります「時流に適合した事業軸の進化と収益力のさらなる向上」、「経営推進力の強化」及び「会社の『品質』向上」を念頭に、事業拡大と収益力強化をより一層図ってまいります。
受注、販売及び仕入の実績は、次のとおりであります。
① 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
注 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
注 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は、販売実績と概ね連動しているため記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、84億71百万円増加の1,199億58百万円(前期比7.6%増)となりました。流動資産は58億6百万円増加の1,028億39百万円(前期比6.0%増)、固定資産は26億65百万円増加の171億18百万円(前期比18.4%増)となりました。
流動資産の増加は、債権回収に伴う受取手形及び売掛金の減少があったものの、現金及び預金、商品及び製品の増加が主な要因であります。固定資産の増加は、有形及び無形固定資産の減価償却による減少があったものの、時価評価による投資有価証券の増加が主な要因であります。
負債の合計は30億73百万円増加の661億13百万円(前期比4.9%増)となりました。流動負債は18億64百万円増加の638億89百万円(前期比3.0%増)、固定負債は12億9百万円増加の22億24百万円(前期比119.1%増)となりました。
流動負債の増加は、債務支払いに伴う支払手形及び買掛金の減少があったものの、前受金の増加が主な要因であります。固定負債の増加は、繰延税金負債の増加が主な要因であります。
純資産の合計は53億98百万円増加の538億45百万円(前期比11.1%増)となりました。配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益47億54百万円を計上したことが主な要因であります。この結果、自己資本比率は前期の43.4%から44.8%へと増加しました。
有利子負債は、前期比45百万円減少の78億05百万円(前期比0.6%減)となりました。内訳は短期借入金71億13百万円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、長期借入金4億80百万円、その他2億11百万円であります。長期借入金は新ERPシステム導入に対応するものであります。なお、当連結会計年度末における有利子負債比率(DER)は0.15倍となり、前期の0.16倍から減少しております。
今後も、中期経営計画「FACE2021」のビジョンと基本方針に沿って、実施計画を着実に実践しながら、当社グループ全体の資金をグローバルレベルで有効に活用することにより、財務体質の更なる強化を図ってまいります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、81億29百万円の増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は312億67百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、111億41百万円の増加(前期比61億35百万円増)となりました。これは主に、仕入債務の減少があったものの、売上債権の減少、前受金の増加、税金等調整前当期純利益の計上があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、15億45百万円の減少(前期比6億35百万円減)となりました。これは主に、定期預金の増加、無形固定資産の取得支出があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、15億35百万円の減少(前期比90百万円増)となりました。これは主に、借入金の返済や配当金の支払いがあったことによるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金は、商品やサービスの購入のために費やされており、他には販売費及び一般管理費、設備並びに新規事業分野への投資、M&Aやアライアンスにも活用しております。これらの資金需要について、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資本並びに銀行その他の金融機関からの短期・長期借入による資金調達にて対応していくこととしております。
資金の流動性については、取引銀行5行と120億円の貸出コミットメント契約を締結し、機動的かつ安定的な調達手段を確保しております。世界情勢の急激な変化等による資金需要に対応するため、また事業の拡大に伴う受注案件の大型化によるリスクに備えるため必要となる資金を十分確保しております。
株主還元については、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置づけており、業績に応じた適正な配当を実施することを基本方針としております。今後とも、投資家等との対話を通じて適切な資本コストの把握に努め、事業投資や株主還元に生かしてまいります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産及び負債の金額、報告期間における収益及び費用の金額に影響を与える様々な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験や新型コロナウイルス感染症の影響を含むその時点の状況として妥当と考えられるさまざまな要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社グループの判断の基礎となっております。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる可能性があります。
当社グループの経営成績等に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
① 投資有価証券
投資有価証券については、時価又は実質価額が帳簿価額を下回り、かつ、時価又は実質価額の低下が一時的でないと判断される場合は、評価損が計上されます。当社グループは、投資有価証券の時価又は実質価額の下落が一時的であるかどうかを、下落の期間や程度、発行体の財政状態や業績の見通し、又は時価の回復が予想される十分な期間にわたって保有する意思、などを含めた基準により四半期毎に判断しております。
当社グループは、評価損を判断する基準は合理的なものであると考えておりますが、市場の変化や、予測できない経済及びビジネス上の前提条件の変化によって個々の投資に関する状況の変化があった場合には、投資有価証券の評価額は影響を受ける可能性があります。
② 固定資産の減損
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しておりますが、回収可能価額は、資産グループの時価から処分費用見込み額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、今後固定資産の使用方法を変更した場合、又は、市場価値が変動した場合には、新たに減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付債務及び費用
退職給付債務及び費用の計算には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。これらの仮定と実績の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって償却するため、原則として将来の会計期間に費用化されます。
退職給付債務及び費用の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率と年金資産の長期期待運用収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される優良債券の利回りなどを考慮して決定しております。長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して決定しております。
使用した前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、これらの前提条件には管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は、前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性は、将来加算・減算一時差異の解消、課税所得の見積り、及びタックスプランニング等を要素として評価されます。当社グループは、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。
現時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っていると判断しておりますが、予想し得ない要因や変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による急激な減速に始まり、感染の第2波、第3波、変異株の発生・拡散と続く中、年度を通じて全般的に低調に推移しました。一方そのような推移の中で、リモートワークの拡大やDX、脱炭素化の加速やSDGs達成に向けた需要が増大し、また年度後半にかけて設備投資や輸出が回復基調となるなど、依然不透明感が強く予断は許されないものの、将来に向けてのキーワードが明確になり、回復への期待を抱かせる状況となりました。
このような情勢の中で、当社グループでは、年度前半において新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け業績が落ち込んだものの、中期経営計画2年目の当連結会計年度において「ファーマ事業」の呼称を「ヘルスケア事業」に変更するとともに事業領域を拡大し、また車載用LIB製造設備関連の需要、5G通信システムやDX関連の需要を取り込むなど時流に合った活動を堅実かつ積極的に行いました。その結果、年度後半において業績は回復基調となったものの前半の落ち込みを取り戻すまでには至らず、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べて214億47百万円減少の1,400億29百万円(前期比13.3%減)となりました。
売上原価は、189億65百万円減少の1,185億72百万円(前期比13.8%減)となりました。なお、売上総利益率は、プラント・エネルギー事業の粗利率向上などにより、前期の14.8%から15.3%へと増加しました。この結果、売上総利益は24億81百万円減少の214億57百万円(前期比10.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、旅費、交際費などが減少したことなどにより、12億13百万円減少の157億27百万円(前期比7.2%減)となりました。
この結果、営業利益は12億68百万円減少の57億29百万円(前期比18.1%減)となり、営業利益率は前期の4.3%から4.1%へと減少しました。
営業外損益においては、営業外収益は、補助金収入が増加したことなどにより1億3百万円増加の9億31百万円(前期比12.5%増)となりました。営業外費用は、為替差損が減少したことなどにより2億3百万円減少の1億97百万円(前期比50.7%減)となりました。この結果、営業外損益は前期より3億6百万円増加の7億34百万円の収益となり、経常利益は9億61百万円減少の64億64百万円(前期比13.0%減)となりました。
特別損益においては、特別利益として投資有価証券売却益等3億37百万円を計上したものの、特別損失として投資有価証券評価損等72百万円を計上したため、差引き2億65百万円の収益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益67億29百万円から法人税等(法人税等調整額を含む)19億71百万円並びに非支配株主に帰属する当期純利益3百万円を差引き、1億21百万円減少の47億54百万円(前期比2.5%減)となりました。
当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、前期の10.4%から9.3%へと減少しました。今後も、中期経営計画の基本方針に則り、更なる収益性の向上を目指し、自己資本の充実を図りつつ、ROEの維持・向上を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
プラント・エネルギー事業
各種プラント用設備や車載用LIB製造設備等の大型案件が減少したことから、売上高は31億44百万円減少の396億90百万円(前期比7.3%減)となりましたが、粗利率が向上したため、セグメント利益(営業利益)は4億21百万円増加の15億33百万円(前期比37.9%増)となりました。
本事業では、LIB製造関連ビジネスの成長が続く中、当連結会計年度において、欧州で活況を呈しているLIB製造関連で、粉体系エンジニアリングを含めたプロセス機器の大規模プロジェクトを欧州大手化学メーカーより受注するなど、今後のさらなる成長に向け非常に大きな手応えを感じております。そのことから、2021年4月より、LIB製造関連分野を本事業より独立させ、エナジーソリューションズ事業としてビジネスを開始しております。化学プラント関連ビジネスでは、生活必需品に用いられる素材や材料が生成されていることが多い中で環境課題に対応する装置へのニーズも高く、設備投資計画が続いております。また材料生成において環境負荷を低減する新たな工法の実用化も進んでおり、当社もそうしたテーマへの投資も実施しながら、お客様に提案できるバリエーションを増やしていきたいと考えております。
産業機械事業
プラスチックス製品・食品関連業界向けの成形機及び周辺機器、自動加工機等の売上が大幅に減少したため、売上高は71億23百万円減少の176億82百万円(前期比28.7%減)、セグメント損益(営業損益)は5億22百万円減少の68百万円の損失となりました。
本事業では、従来、プラスチックス製品の成形技術に関わる分野を主力に展開しておりますが、多様な人財を補強しながら、既存ビジネスの成長のみならず、カテーテルや注射針等を含む医療用機器関連や、イチゴの育苗技術に取り組むなど、ビジネス領域の拡大を進めております。医療用機器関連については、医薬から健康食品、注射剤・点滴等の液剤、ⅰPS細胞培養装置等に領域を拡大しているヘルスケア事業や一部プラント・エネルギー事業の取り組みとの交わりが想定されることから、事業軸を超えたクロスポイントからの新たなバリュー創出に向け、グローバルに会議体を設置し、幅広く事業を展開していくこととしております。
エレクトロニクス事業
IT及びデジタル関連機器製造会社向けの電子部品製造関連設備等の販売が減少したため、売上高は56億3百万円減少の352億72百万円(前期比13.7%減)、セグメント利益(営業利益)は2億55百万円減少の19億73百万円(前期比11.5%減)となりました。
本事業では、前年度に見られていた、中国に偏りつつあったサプライチェーンの見直しの動きが新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて停滞した一方で、この影響により第5世代移動通信システム(5G)への移行やDXの動きが加速しました。年度後半においては、コロナ禍からいち早く回復した中国に向けた電子部品実装機の販売が好調となりました。今後も業界の動向を注視し、グローバルレベルでの受注獲得に取り組んでまいります。電子部品実装の前後工程を含めた、スマートファクトリー化に向けたシステムの販売については、得意先のニーズを的確に捉えながら改良のための提案・協力をサプライヤーに行うことにより、ビジネスのさらなる拡大を図ってまいります。
自動車事業
自動車関連業界向けの自動組立ライン、塗装ライン、車載電子部品製造関連設備等の販売が少なかったため、売上高は43億24百万円減少の314億21百万円(前年同期比12.1%減)、セグメント利益(営業利益)は4億99百万円減少の9億92百万円(前年同期比33.5%減)となりました。
本事業では、脱炭素、EV化が加速する米国で国内への投資シフトが進み、また米国向け輸出の多いメキシコで一部投資凍結の案件がありながらも好調な業績となるなど、米州地域での業績が下支えする結果となりました。サプライチェーンの裾野が広い業界を次世代自動車の主要なセグメントに基づいて細分化し、深堀した成果をグローバルに展開していることが実を結びつつあります。今後も商材・パートナーのさらなる開拓を進め競争力を高めると同時に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きい地域・取引先の生産回復へのサポートを積極的に行うことにより、存在感を高めることにも注力してまいります。
ヘルスケア事業
錠剤印刷検査装置やパッケージング用機器・装置等の売上が増加したため、売上高は3億55百万円増加の106億50百万円(前期比3.5%増)となりましたが、セグメント利益(営業利益)は21百万円減少の11億7百万円(前期比1.9%減)となりました。
本事業では、まず、当連結会計年度より、「ファーマ事業」の名称を「ヘルスケア事業」に変更し、事業領域、活動領域の拡大を図りました。新型コロナウイルス感染症の影響による健康意識の高まり、新薬の特許切れに伴うジェネリックメーカーや受託メーカーへの生産シフトにより錠剤印刷機市場が拡大したことが、年度を通じた堅調な業績の要因と考えております。エンジニアリング力を生かした医療用品組立設備・検査ライン等の受注も堅調であり、今後もグループ会社の第一実業ビスウィル㈱(メーカー機能)と㈱第一メカテック(サービス機能)との三位一体により生産ラインを一括受注するビジネススタイルをさらに強化してまいります。
航空事業
航空機地上支援機材及び空港施設関連機器等の売上が大幅に減少したため、売上高は17億18百万円減少の50億57百万円(前期比25.4%減)、セグメント利益(営業利益)は1億82百万円減少の3億52百万円(前期比34.1%減)となりました。
本事業では、旅客数の落ち込みによる便数の大幅減という極端な状況に陥っており、航空業界全体として投資抑制が続いていることから、当社グループ事業の中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最も大きく受けました。一方、本事業はこれまでも救急・消防、道路清掃、防災、災害対応等の領域における商材の扱いを拡大させており、当連結会計年度においても新型救急車「C-CABIN」の開発プロジェクトに投資・参画し、全国の各自治体消防本部に向けて取り扱いを開始いたしました。このような、航空施設を離れた場で活躍する、社会インフラともいうべき商材が拡充してきていることから、2021年4月より本事業は「航空・インフラ事業」に名称を変更しております。
その他
売上高は1億12百万円増加の2億54百万円(前期比79.3%増)、セグメント利益(営業利益)は23百万円増加の1百万円となりました。
今後も、中期経営計画の基本方針であります「時流に適合した事業軸の進化と収益力のさらなる向上」、「経営推進力の強化」及び「会社の『品質』向上」を念頭に、事業拡大と収益力強化をより一層図ってまいります。
受注、販売及び仕入の実績は、次のとおりであります。
① 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前期比(%) |
| プラント・エネルギー事業 | 43,849 | △7.6 | 49,410 | +9.2 |
| 産業機械事業 | 17,250 | △9.3 | 8,588 | △4.8 |
| エレクトロニクス事業 | 47,900 | +15.4 | 23,338 | +117.9 |
| 自動車事業 | 28,275 | △22.4 | 21,269 | △12.9 |
| ヘルスケア事業 | 12,785 | +18.9 | 7,357 | +40.9 |
| 航空事業 | 2,215 | △65.4 | 1,477 | △65.8 |
| その他 | 51 | △86.8 | 253 | △44.5 |
| 合計 | 152,328 | △6.0 | 111,695 | +12.4 |
注 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| プラント・エネルギー事業 | 39,690 | △7.3 |
| 産業機械事業 | 17,682 | △28.7 |
| エレクトロニクス事業 | 35,272 | △13.7 |
| 自動車事業 | 31,421 | △12.1 |
| ヘルスケア事業 | 10,650 | +3.5 |
| 航空事業 | 5,057 | △25.4 |
| その他 | 254 | +79.3 |
| 合計 | 140,029 | △13.3 |
注 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は、販売実績と概ね連動しているため記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、84億71百万円増加の1,199億58百万円(前期比7.6%増)となりました。流動資産は58億6百万円増加の1,028億39百万円(前期比6.0%増)、固定資産は26億65百万円増加の171億18百万円(前期比18.4%増)となりました。
流動資産の増加は、債権回収に伴う受取手形及び売掛金の減少があったものの、現金及び預金、商品及び製品の増加が主な要因であります。固定資産の増加は、有形及び無形固定資産の減価償却による減少があったものの、時価評価による投資有価証券の増加が主な要因であります。
負債の合計は30億73百万円増加の661億13百万円(前期比4.9%増)となりました。流動負債は18億64百万円増加の638億89百万円(前期比3.0%増)、固定負債は12億9百万円増加の22億24百万円(前期比119.1%増)となりました。
流動負債の増加は、債務支払いに伴う支払手形及び買掛金の減少があったものの、前受金の増加が主な要因であります。固定負債の増加は、繰延税金負債の増加が主な要因であります。
純資産の合計は53億98百万円増加の538億45百万円(前期比11.1%増)となりました。配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益47億54百万円を計上したことが主な要因であります。この結果、自己資本比率は前期の43.4%から44.8%へと増加しました。
有利子負債は、前期比45百万円減少の78億05百万円(前期比0.6%減)となりました。内訳は短期借入金71億13百万円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、長期借入金4億80百万円、その他2億11百万円であります。長期借入金は新ERPシステム導入に対応するものであります。なお、当連結会計年度末における有利子負債比率(DER)は0.15倍となり、前期の0.16倍から減少しております。
今後も、中期経営計画「FACE2021」のビジョンと基本方針に沿って、実施計画を着実に実践しながら、当社グループ全体の資金をグローバルレベルで有効に活用することにより、財務体質の更なる強化を図ってまいります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、81億29百万円の増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は312億67百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、111億41百万円の増加(前期比61億35百万円増)となりました。これは主に、仕入債務の減少があったものの、売上債権の減少、前受金の増加、税金等調整前当期純利益の計上があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、15億45百万円の減少(前期比6億35百万円減)となりました。これは主に、定期預金の増加、無形固定資産の取得支出があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、15億35百万円の減少(前期比90百万円増)となりました。これは主に、借入金の返済や配当金の支払いがあったことによるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金は、商品やサービスの購入のために費やされており、他には販売費及び一般管理費、設備並びに新規事業分野への投資、M&Aやアライアンスにも活用しております。これらの資金需要について、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資本並びに銀行その他の金融機関からの短期・長期借入による資金調達にて対応していくこととしております。
資金の流動性については、取引銀行5行と120億円の貸出コミットメント契約を締結し、機動的かつ安定的な調達手段を確保しております。世界情勢の急激な変化等による資金需要に対応するため、また事業の拡大に伴う受注案件の大型化によるリスクに備えるため必要となる資金を十分確保しております。
株主還元については、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置づけており、業績に応じた適正な配当を実施することを基本方針としております。今後とも、投資家等との対話を通じて適切な資本コストの把握に努め、事業投資や株主還元に生かしてまいります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産及び負債の金額、報告期間における収益及び費用の金額に影響を与える様々な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験や新型コロナウイルス感染症の影響を含むその時点の状況として妥当と考えられるさまざまな要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社グループの判断の基礎となっております。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる可能性があります。
当社グループの経営成績等に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
① 投資有価証券
投資有価証券については、時価又は実質価額が帳簿価額を下回り、かつ、時価又は実質価額の低下が一時的でないと判断される場合は、評価損が計上されます。当社グループは、投資有価証券の時価又は実質価額の下落が一時的であるかどうかを、下落の期間や程度、発行体の財政状態や業績の見通し、又は時価の回復が予想される十分な期間にわたって保有する意思、などを含めた基準により四半期毎に判断しております。
当社グループは、評価損を判断する基準は合理的なものであると考えておりますが、市場の変化や、予測できない経済及びビジネス上の前提条件の変化によって個々の投資に関する状況の変化があった場合には、投資有価証券の評価額は影響を受ける可能性があります。
② 固定資産の減損
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しておりますが、回収可能価額は、資産グループの時価から処分費用見込み額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、今後固定資産の使用方法を変更した場合、又は、市場価値が変動した場合には、新たに減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付債務及び費用
退職給付債務及び費用の計算には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。これらの仮定と実績の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって償却するため、原則として将来の会計期間に費用化されます。
退職給付債務及び費用の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率と年金資産の長期期待運用収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される優良債券の利回りなどを考慮して決定しております。長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して決定しております。
使用した前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、これらの前提条件には管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は、前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性は、将来加算・減算一時差異の解消、課税所得の見積り、及びタックスプランニング等を要素として評価されます。当社グループは、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。
現時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っていると判断しておりますが、予想し得ない要因や変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。