四半期報告書-第85期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/11/13 14:13
【資料】
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【項目】
36項目
(1) 業績の状況
(連結業績)
・グループ総取扱高は1兆3,483億円(前年比△5%)、第2四半期の3ヵ月間では前年を1%上回ったものの、新型コロナウイルス感染拡大への対応により2ヵ月近く店舗を休業したことや消費者行動の変化などにより、小売、フィンテックともに取扱高が減少しました。
・営業利益は207億円(前年比△8%)6期ぶりの減益となりました。休業した店舗の固定費については、臨時性のある費用と判断し72億円を販管費等から特別損失へ振替えています。
・また、雇用調整助成金収入を営業外収益に6億円、特別利益に9億円を計上したことや、特別損失に上記の固定費などを「感染症関連費用」として77億円計上したことなどにより、当期利益は89億円(前年比△36%)6期ぶりの減益となりました。
※「第2 事業の状況」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。
□ 連結業績

新型コロナウイルスの感染拡大への対応と影響および営業利益増減の主な特殊要因
・マルイ・モディ店舗においては、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、お客さま、お取引先さま、社員の健康と安全を最優先に考え感染拡大を防止するため、緊急事態宣言期間中は食料品売場および一部テナントを除き全店舗を休業としました。宣言が解除された後は、感染防止対策を講じたうえで順次営業を再開し、6月からは全店で営業を再開しました。
・この未曾有の危機を店舗に出店しているお取引先さまと共に乗り越えるために、休業期間中の家賃・共益費の免除などの施策を実施しました。これにより売上収益が42億円減少しています。
・店舗休業中の固定費については、小売セグメントで66億円、フィンテックセグメントで5億円を特別損失に振替えています。
・上記に加えて、小売セグメントでは定借変動収入や商品荒利の減少などにより、営業利益が推定で約33億円減少し、フィンテックセグメントではカードキャッシングの取扱高が減少したため、営業利益が約7億円減少しました。
・債権流動化にともない、債権譲渡益78億円(前年差+7億円)、償却額・費用等15億円 (前年差+7億円)を計上しています。
・カードキャッシングの利息返還に備えるため、利息返還損失引当金繰入額37億円(前年差+8億円)を計上したことにより、営業利益が8億円減少しました。
・前期の第4四半期より、エポスカードの発行にかかる費用を資産として計上し、カードの有効期間にわたり償却する方法に変更したことにより、フィンテックセグメントの営業利益が7億円増加しました。
□ 営業利益増減要因

□ 新型コロナウイルスによる営業利益と特別損失への影響

※ 「感染症関連費用」には固定費の振替額のほか、その他の対応費用4億円を計上しています。
(セグメント別の状況)
・小売セグメントの営業利益は11億円(前年比△76%)、前年を37億円下回りました。
・フィンテックセグメントの営業利益は227億円(前年比+7%)、13期連続の増益となりました。
□ セグメント営業利益

<小売セグメント>・ショッピングセンター型店舗への転換による収益改善と利益の安定化に続く新たな戦略として、モノを売る店から体験価値を提供する店への転換を進めています。D2C(ダイレクトトゥコンシューマー)ブランドやコンテンツ、サブスクリプションなどのテナント導入を拡大し、体験やエンゲージメントなどアフターデジタル時代のリアル店舗ならではの価値を提供する「売らない店」をめざしています。
・4、5月については新型コロナウイルス感染拡大にともなう店舗休業や外出自粛などにより取扱高が大きく減少しました。6月以降については、郊外店を中心に回復傾向にあるものの、上半期においては減収減益となりました。
<フィンテックセグメント>・エポスカードのご利用客数の拡大に向け、マルイ・モディ店舗やネット・サービス領域での新規入会の促進を強化するとともに、アニメコンテンツのコラボレーションカードの発行や、全国の商業施設との提携カードの発行を進め、提携施設数は30施設(前年差+2施設)に拡大しました。また、利用率・利用額のさらなる向上に向けて、家賃保証やリカーリングなどに取り組み、家計消費におけるシェア最大化をめざしています。
・取扱高については、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛等により、ショッピングクレジット取扱高が1兆120億円(前年比△4%)となりました。ECの利用は前年比36%増と伸長しましたが、トラベル・エンターテイメントの利用が前年比59%減と大きく減少しました。家賃保証などのサービス取扱高は2,169億円(前年比+31%)と引き続き拡大しました。
・カード会員数は713万人(前年比+1%)、独自の家族カード「エポスファミリーゴールドカード」の会員増加など、お得意さまづくりを着実に進めたことにより、プラチナ・ゴールド会員は262万人(前年比+14%)と大きく伸長しました。
□ フィンテックセグメントの状況

(LTVの安定性を表す指標)
当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」(非監査情報)が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」(非監査情報)としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTV(生涯利益)を重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。
・上半期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は、店舗休業中にテナントの家賃・共益費を免除したことなどにより、595億円(前年比△9%)と減少しましたが、売上総利益に占める割合は65.0%(前年差+1.8%)まで高まりました。
(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。
□ リカーリングレベニュー

・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は残契約年数、リボ・分割手数料やカードキャッシング利息は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は残居住年数をもとに行っています。
・期首時点の成約済み繰延収益は3,500億円(前年比+7%)となり、前期1年間に計上されたリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)の約2.7倍の将来収益が見込まれます。
□ 当期首時点の成約済み繰延収益

(2) 財政状態の状況
・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードキャッシングの取扱高減少により残高が減少し、5,438億円(前期末差△118億円)となりました。投資有価証券が時価の上昇等にともない201億円増加したことなどにより、総資産は8,946億円(前期末差+86億円)となりました。
・有利子負債(リース債務、預り金を除く)は4,856億円(前期末差+58億円)となり、営業債権に対する有利子負債の比率は89.3%(前期末差+2.9%)となりました。
・自己資本は3,057億円(前期末差+159億円)、自己資本比率は34.2%(前期末差+1.5%)となりました。
□バランスシートの状況

※1 流動化比率=債権流動化額/(営業債権+債権流動化額)
※2 営業債権比=有利子負債/営業債権
(注) 1 グループの事業構造に見合った最適資本構成の構築に向けて、有利子負債は営業債権の9割程度、自己資本比率は30%前後を維持することをめざしています。
2 19年3月期より営業債権の流動化による資金調達を計画的に拡大しています。2021年3月期の流動化額を営業債権の25%程度とし、総資産が1兆円以下となるように有利子負債と総資産の増加を抑制し、「めざすべきバランスシート」の実現を図っています。
(3) キャッシュ・フローの状況
・営業キャッシュ・フローは107億円の収入(前期は144億円の収入)となりました。
営業キャッシュ・フローから営業債権の増加等を除いた「基礎営業キャッシュ・フロー」(非監査情報)は、税引前利益の減少などにより、前期より115億円減少し116億円となりました。
・投資キャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出64億円、投資有価証券の取得32億円などにより101億円の支出(前期は102億円の支出)となりました。
・財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加により58億円の収入、配当金の支払47億円などから10億円の収入(前期は142億円の支出)となりました。
□ キャッシュ・フローの状況

(注) 1 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。
2 中期経営計画期間中の基礎営業キャッシュ・フローは2,300億円を計画し、持続的な成長と資本効率向上に向けて2,000億円を成長投資と株主還元に配分する予定です。
3 銀行営業日や一時的な債権債務の増減による影響を除外するため、テナントへの未払金等の増減額を基礎営業キャッシュ・フローに含めていません。当期よりその未払金等の範囲を一部見直しており、前期にも適用しています。このため前期の「基礎営業キャッシュ・フロー」が20億円増加し「営業債権等の増減(△は増加)」が20億円減少しています。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。