有価証券報告書-第84期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(連結業績)
・EPSは117.58円(前年比+1%、前年差+1.59円)、利益成長と資本政策により前年を上回り2期連続で過去最高を更新しました。ROEは8.8%(前年差△0.3%)となり、2期連続で株主資本コスト(6.9%)を上回り、ROICは3.7%(前年差+0.0%)となり、4期連続で資本コスト(WACC 3.0%)を上回りました。
・グループ総取扱高は2兆9,037億円(前年比+14%)、フィンテックのショッピングクレジット取扱高が全体を牽引し、前年を3,641億円上回りました。
・営業利益は419億円(前年比+2%)11期連続の増益、当期利益は254億円(前年比+0%)9期連続の増益となりました。
※「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。
□ 連結業績

□ ROE・ROICの状況

新型コロナウイルスの感染拡大への影響および営業利益増減の主な特殊要因
・店舗休業期間中の固定費については、臨時性のある費用と判断し販管費から特別損失に4億円振替えています。
・当期における新型コロナウイルス感染拡大の影響で、小売セグメントでは売上の減収と変動費減少により営業利益が推定で約15億円減少しました。また、フィンテックセグメントでは営業債権の貸倒損失を見積り貸倒引当金を4億円追加計上した一方で、変動費が減少したため、営業利益が約2億円増加しました。
・債権流動化にともない計上した債権譲渡益71億円(前年差+10億円)、償却額・費用等22億円(前年差+15億円)により、営業利益が5億円減少しました。
・カードキャッシング利息の返還に備えるため、利息返還損失引当金繰入額44億円(前年差+11億円)を計上したことにより、営業利益が11億円減少しました。
・第4四半期より、エポスカードの発行にかかる費用を資産として計上し、カードの有効期間にわたり償却する方法に変更したことにより、フィンテックセグメントの営業利益が5億円増加しました。
□ 営業利益増減要因

(セグメント別の状況)
・小売セグメントの営業利益は100億円(前年比△12%)、前年を14億円下回りました。
・フィンテックセグメントの営業利益は384億円(前年比+10%)、ショッピングクレジットが好調に推移し8期連続の増収増益となりました。
□ セグメント営業利益

<小売セグメント>・前期までの5年間にわたるショッピングセンター型店舗への転換により、収益改善と利益の安定化が進みました。当期より新たな店舗戦略「デジタル・ネイティブ・ストア」の実現に向け、D2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)やシェアリングサービスなどのブランドの導入を進め、ネットでは提供できない体験やコミュニケーションの場を提供する店舗をめざしています。定借区画の収益の安定化は着実に進みましたが、収益改善が一巡したことに加え、下半期においては消費増税や天候不順による不振、さらには新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛や店舗休業にともなう売上減少により減収減益となりました。
□ 小売セグメントの営業利益増減要因

(注) プラットフォームは、店舗内装や物流、ビルマネジメントなど小売で培ったノウハウを統合的に運営する
BtoBビジネスです
<フィンテックセグメント>・エポスカードのご利用客数の拡大に向け、丸井店舗やネット・サービス領域での新規入会の促進を強化するとともに、全国の商業施設との提携カードの発行を進め、提携施設数は30施設(前年差+5施設)に拡大しました。また、利用率・利用額のさらなる向上に向けて、家賃保証やリカーリング、サブスクリプション企業との提携、協業に取り組み、家計消費におけるシェアの最大化をめざしています。
・その結果、カード会員数は720万人(前年比+5%)、独自の家族カード「エポスファミリーゴールドカード」の会員増加などお得意さまづくりを着実に進め、プラチナ・ゴールド会員は250万人(前年比+16%)と大きく伸長し、カード会員全体の35%まで拡大しました。
・取扱高については、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛等により伸びは鈍化したものの、ショッピングクレジットが引き続き伸長し2兆1,710億円(前年比+16%)となったことに加え、家賃保証などのサービス取扱高が3,539億円(前年比+26%)と順調に拡大しました。
□ フィンテックセグメントの状況

(LTVの安定性を表す指標)
当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」(非監査情報)が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」(非監査情報)としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTV(生涯利益)を重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。
・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,311億円(前年比+7%)となり、売上総利益に占める割合は65.3%(前年差+2.4%)まで高まりました。
(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。
□ リカーリングレベニュー

・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は残契約年数、リボ・分割手数料やカードキャッシング利息は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は残居住年数をもとに行っています。
・当期末の成約済み繰延収益は3,500億円(前年比+7%)となり、当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)の約2.7倍の将来収益が見込まれます。
□ 当期末時点の成約済み繰延収益

(財政状態)
・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、ショッピングクレジットの拡大により前期末から526億円増加しましたが、債権流動化の実施により残高は101億円の減少となりました。総資産は42億円減少し8,860億円となりました。
・有利子負債(リース債務、預り金を除く)は上記の債権流動化による資金調達を行ったことで前期末から68億円の減少となりました。営業債権に対する有利子負債の比率は86.4%(前期末差+0.4%)となりました。
・自己株式の取得を70億円実施したことなどにより、自己資本は前年に対し50億円増加の2,898億円に留まり、自己資本比率は32.7%(前期末差+0.7%)となりました。
□ バランスシートの状況

※1 流動化比率=債権流動化額/(営業債権+債権流動化額)
※2 営業債権比=有利子負債/営業債権
(注) 1 グループの事業構造に見合った最適資本構成の構築に向けて、有利子負債は営業債権の9割程度、自己資 本比率は30%前後を維持することをめざしています。
2 前期より営業債権の流動化による資金調達を計画的に拡大しています。2021年3月期の流動化額を営業債権の25%程度とし、総資産が1兆円以下となるように有利子負債と総資産の増加を抑制し、「めざすべきバランスシート」の実現を図っています。
□ めざすべきバランスシート

(キャッシュ・フローの状況)
・営業キャッシュ・フローは、399億円の収入(前期は264億円の収入)となりました。
・営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた「基礎営業キャッシュ・フロー」(非監査情報)は、税引前利益は前年並みであったもののポイント引当金の増加などにより、前期より4億円増加し390億円となりました。
・投資キャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出110億円、投資有価証券の取得による支出90億円などにより203億円の支出(前期は92億円の支出)となりました。
・財務キャッシュ・フローは、配当金の支払を117億円、BIP・ESOP信託含む自己株式の取得を79億円実施したことなどから255億円の支出(前期は159億円の支出)となりました。
□ キャッシュ・フローの状況

(注) 1 当社グループのクレジットカード「エポスカード」は、会員数拡大と利用率・利用額が向上しています。このような成長局面においては、営業キャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があるため、当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。
2 中期経営計画期間中の基礎営業キャッシュ・フローは2,300億円を計画し、持続的な成長と資本効率向上に向 けて2,000億円を成長投資と株主還元に配分する予定です。
3 基礎営業キャッシュ・フローの算出方法を変更し、①債権流動化の債権譲渡益・償却等を基礎営業キャッシュ・フローに含めています。②銀行営業日や一時的な債権債務の増減による影響を除外するため、テナントへの未払金等の増減額を基礎営業キャッシュ・フローに含めていません。これにともない前期の「基礎営業キャッシュ・フロー」が41億円減少し「営業債権等の増減(△は増加)」が41億円増加しています。
(生産、受注及び販売の状況)
① 生産の状況
連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。
② 受注の状況
「小売」および「フィンテック」の一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は12,297百万円(前年比87.1%)、当連結会計年度末の受注残高は3,111百万円(前年比86.0%)です。
(注) 上記の金額には消費税等を含めていません。
③ 販売の状況
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 上記の金額には消費税等を含めていません。
2 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。
④ 仕入の状況
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 上記の金額には消費税等を含めていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染拡大にともなう会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。
固定資産の減損処理
減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。
減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかにより判断しています。
当該見積りおよび仮定について、外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
貸倒引当金
貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
なお、期末日現在に保有する債権の信用リスクが、外部環境等の変化によって過去に有していた債権の信用リスクと著しく異なる場合には、貸倒実績率を補正すること等が必要となり、貸倒引当金の金額が増減する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)の貸倒リスクを検討した結果、当連結会計年度において貸倒引当金を430百万円増額しています。
利息返還損失引当金
利息返還損失引当金は、利息返還請求に備えるため、将来における返還見込額を合理的に見積り一括して計上しています。
見積りにあたっては、決算期ごとに過去の利息返還額の発生状況等を分析し、将来の利息返還損失額を合理的に予想して計算することから、現在の引当額が将来の返還請求額に対して不十分である場合は、追加の費用が発生する可能性があります。
② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。
資本の財源および資金の流動性については「2 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(連結業績)
・EPSは117.58円(前年比+1%、前年差+1.59円)、利益成長と資本政策により前年を上回り2期連続で過去最高を更新しました。ROEは8.8%(前年差△0.3%)となり、2期連続で株主資本コスト(6.9%)を上回り、ROICは3.7%(前年差+0.0%)となり、4期連続で資本コスト(WACC 3.0%)を上回りました。
・グループ総取扱高は2兆9,037億円(前年比+14%)、フィンテックのショッピングクレジット取扱高が全体を牽引し、前年を3,641億円上回りました。
・営業利益は419億円(前年比+2%)11期連続の増益、当期利益は254億円(前年比+0%)9期連続の増益となりました。
※「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。
□ 連結業績

□ ROE・ROICの状況

新型コロナウイルスの感染拡大への影響および営業利益増減の主な特殊要因
・店舗休業期間中の固定費については、臨時性のある費用と判断し販管費から特別損失に4億円振替えています。
・当期における新型コロナウイルス感染拡大の影響で、小売セグメントでは売上の減収と変動費減少により営業利益が推定で約15億円減少しました。また、フィンテックセグメントでは営業債権の貸倒損失を見積り貸倒引当金を4億円追加計上した一方で、変動費が減少したため、営業利益が約2億円増加しました。
・債権流動化にともない計上した債権譲渡益71億円(前年差+10億円)、償却額・費用等22億円(前年差+15億円)により、営業利益が5億円減少しました。
・カードキャッシング利息の返還に備えるため、利息返還損失引当金繰入額44億円(前年差+11億円)を計上したことにより、営業利益が11億円減少しました。
・第4四半期より、エポスカードの発行にかかる費用を資産として計上し、カードの有効期間にわたり償却する方法に変更したことにより、フィンテックセグメントの営業利益が5億円増加しました。
□ 営業利益増減要因

(セグメント別の状況)
・小売セグメントの営業利益は100億円(前年比△12%)、前年を14億円下回りました。
・フィンテックセグメントの営業利益は384億円(前年比+10%)、ショッピングクレジットが好調に推移し8期連続の増収増益となりました。
□ セグメント営業利益

<小売セグメント>・前期までの5年間にわたるショッピングセンター型店舗への転換により、収益改善と利益の安定化が進みました。当期より新たな店舗戦略「デジタル・ネイティブ・ストア」の実現に向け、D2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)やシェアリングサービスなどのブランドの導入を進め、ネットでは提供できない体験やコミュニケーションの場を提供する店舗をめざしています。定借区画の収益の安定化は着実に進みましたが、収益改善が一巡したことに加え、下半期においては消費増税や天候不順による不振、さらには新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛や店舗休業にともなう売上減少により減収減益となりました。
□ 小売セグメントの営業利益増減要因

(注) プラットフォームは、店舗内装や物流、ビルマネジメントなど小売で培ったノウハウを統合的に運営する
BtoBビジネスです
<フィンテックセグメント>・エポスカードのご利用客数の拡大に向け、丸井店舗やネット・サービス領域での新規入会の促進を強化するとともに、全国の商業施設との提携カードの発行を進め、提携施設数は30施設(前年差+5施設)に拡大しました。また、利用率・利用額のさらなる向上に向けて、家賃保証やリカーリング、サブスクリプション企業との提携、協業に取り組み、家計消費におけるシェアの最大化をめざしています。
・その結果、カード会員数は720万人(前年比+5%)、独自の家族カード「エポスファミリーゴールドカード」の会員増加などお得意さまづくりを着実に進め、プラチナ・ゴールド会員は250万人(前年比+16%)と大きく伸長し、カード会員全体の35%まで拡大しました。
・取扱高については、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛等により伸びは鈍化したものの、ショッピングクレジットが引き続き伸長し2兆1,710億円(前年比+16%)となったことに加え、家賃保証などのサービス取扱高が3,539億円(前年比+26%)と順調に拡大しました。
□ フィンテックセグメントの状況

(LTVの安定性を表す指標)
当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」(非監査情報)が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」(非監査情報)としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTV(生涯利益)を重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。
・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,311億円(前年比+7%)となり、売上総利益に占める割合は65.3%(前年差+2.4%)まで高まりました。
(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。
□ リカーリングレベニュー

・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は残契約年数、リボ・分割手数料やカードキャッシング利息は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は残居住年数をもとに行っています。
・当期末の成約済み繰延収益は3,500億円(前年比+7%)となり、当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)の約2.7倍の将来収益が見込まれます。
□ 当期末時点の成約済み繰延収益

(財政状態)
・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、ショッピングクレジットの拡大により前期末から526億円増加しましたが、債権流動化の実施により残高は101億円の減少となりました。総資産は42億円減少し8,860億円となりました。
・有利子負債(リース債務、預り金を除く)は上記の債権流動化による資金調達を行ったことで前期末から68億円の減少となりました。営業債権に対する有利子負債の比率は86.4%(前期末差+0.4%)となりました。
・自己株式の取得を70億円実施したことなどにより、自己資本は前年に対し50億円増加の2,898億円に留まり、自己資本比率は32.7%(前期末差+0.7%)となりました。
□ バランスシートの状況

※1 流動化比率=債権流動化額/(営業債権+債権流動化額)
※2 営業債権比=有利子負債/営業債権
(注) 1 グループの事業構造に見合った最適資本構成の構築に向けて、有利子負債は営業債権の9割程度、自己資 本比率は30%前後を維持することをめざしています。
2 前期より営業債権の流動化による資金調達を計画的に拡大しています。2021年3月期の流動化額を営業債権の25%程度とし、総資産が1兆円以下となるように有利子負債と総資産の増加を抑制し、「めざすべきバランスシート」の実現を図っています。
□ めざすべきバランスシート

(キャッシュ・フローの状況)
・営業キャッシュ・フローは、399億円の収入(前期は264億円の収入)となりました。
・営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた「基礎営業キャッシュ・フロー」(非監査情報)は、税引前利益は前年並みであったもののポイント引当金の増加などにより、前期より4億円増加し390億円となりました。
・投資キャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出110億円、投資有価証券の取得による支出90億円などにより203億円の支出(前期は92億円の支出)となりました。
・財務キャッシュ・フローは、配当金の支払を117億円、BIP・ESOP信託含む自己株式の取得を79億円実施したことなどから255億円の支出(前期は159億円の支出)となりました。
□ キャッシュ・フローの状況

(注) 1 当社グループのクレジットカード「エポスカード」は、会員数拡大と利用率・利用額が向上しています。このような成長局面においては、営業キャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があるため、当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。
2 中期経営計画期間中の基礎営業キャッシュ・フローは2,300億円を計画し、持続的な成長と資本効率向上に向 けて2,000億円を成長投資と株主還元に配分する予定です。
3 基礎営業キャッシュ・フローの算出方法を変更し、①債権流動化の債権譲渡益・償却等を基礎営業キャッシュ・フローに含めています。②銀行営業日や一時的な債権債務の増減による影響を除外するため、テナントへの未払金等の増減額を基礎営業キャッシュ・フローに含めていません。これにともない前期の「基礎営業キャッシュ・フロー」が41億円減少し「営業債権等の増減(△は増加)」が41億円増加しています。
(生産、受注及び販売の状況)
① 生産の状況
連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。
② 受注の状況
「小売」および「フィンテック」の一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は12,297百万円(前年比87.1%)、当連結会計年度末の受注残高は3,111百万円(前年比86.0%)です。
(注) 上記の金額には消費税等を含めていません。
③ 販売の状況
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年比(%) |
小売 | ||
定期借家テナント収入等 | 42,497 | 102.2 |
商品売上高 | 36,195 | 72.9 |
消化仕入売上高(純額) | 7,355 | 76.7 |
関連事業収入 | 24,912 | 101.3 |
小売計 | 110,960 | 88.5 |
フィンテック | 136,622 | 108.4 |
合計 | 247,582 | 98.5 |
(注) 1 上記の金額には消費税等を含めていません。
2 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。
④ 仕入の状況
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年比(%) |
小売 | 22,844 | 79.6 |
(注) 上記の金額には消費税等を含めていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染拡大にともなう会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。
固定資産の減損処理
減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。
減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかにより判断しています。
当該見積りおよび仮定について、外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
貸倒引当金
貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
なお、期末日現在に保有する債権の信用リスクが、外部環境等の変化によって過去に有していた債権の信用リスクと著しく異なる場合には、貸倒実績率を補正すること等が必要となり、貸倒引当金の金額が増減する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)の貸倒リスクを検討した結果、当連結会計年度において貸倒引当金を430百万円増額しています。
利息返還損失引当金
利息返還損失引当金は、利息返還請求に備えるため、将来における返還見込額を合理的に見積り一括して計上しています。
見積りにあたっては、決算期ごとに過去の利息返還額の発生状況等を分析し、将来の利息返還損失額を合理的に予想して計算することから、現在の引当額が将来の返還請求額に対して不十分である場合は、追加の費用が発生する可能性があります。
② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。
資本の財源および資金の流動性については「2 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。