有価証券報告書-第34期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や内需を中心とした緩やかな回復がみられた一方で、物価上昇やエネルギー価格の高止まり、各国の通商政策等の影響もあり、先行きは依然として不透明な状況にあります。
当社グループの属する医療業界では、物価・人件費の上昇や人手不足を背景に医療機関の経営環境は引き続き厳しく、医療DXの推進や業務効率化、持続可能な医療提供体制の構築が求められております。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「SHIP VISION 2030」の初年度として、「グループ経営資源の最適化によるポートフォリオ経営」を基本方針に掲げ、新規事業創出、再編統合、成長領域の拡大に取り組んでまいりました。具体的には、シニア向け分譲マンション事業の第2号・第3号案件の準備、海外ODA事業への参入、医療情報系ソリューションビジネスの拡大を進めるとともに、キングラングループならびに調剤薬局事業及び給食事業を中心としたグループ内再編・統合を推進しました。また、首都圏医療材料物流拠点の開設、複数病院との一括契約によるSPD案件の開始等により、成長領域の拡大を図りました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は718,163百万円(前連結会計年度比5.9%増)、営業利益は24,482百万円(前連結会計年度比1.2%減)、経常利益は26,331百万円(前連結会計年度比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13,394百万円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a トータルパックプロデュース事業
トータルパックプロデュース事業におきましては、2025年5月にグループ入りしたODA専門商社の業績が寄与したことに加え、医療情報系ソリューションビジネスが堅調に推移しました。一方で、前期には大型案件であるシニア向け分譲マンションの竣工・販売がありましたが当期は竣工案件がなかったこと、リニューアル案件において特に省エネ関連工事の部材の納期遅延等により利益率確保が低調に推移したこと、メーカー系では部品の価格高騰と一部生産遅延が生じたこと等に加え、M&A手数料等の一過性費用を計上したこと等から、利益面では前年を下回りました。
以上の結果、売上高は136,604百万円(前連結会計年度比2.6%増)、セグメント利益(営業利益)は10,812百万円(前連結会計年度比10.0%減)となりました。
b メディカルサプライ事業
メディカルサプライ事業におきましては、新規SPD受託施設が上期より稼働を開始したことに加え、経営母体の異なる複数病院との一括契約SPD案件がスタートし、売上の拡大に寄与しました。加えて、2024年10月1日付の5社統合による経営効率化の進展や、新たな首都圏の医療材料物流拠点の稼働も事業基盤の強化につながりました。一方で、一部では病院経営の厳しさを背景に備品購入の先送りの影響も見られました。
以上の結果、売上高は509,569百万円(前連結会計年度比7.3%増)、セグメント利益(営業利益)は7,484百万円(前連結会計年度比7.4%増)となりました。
c ライフケア事業
ライフケア事業におきましては、食事提供サービスでは契約施設数の伸長や、不採算施設の厨房業務撤退・運営転換を進めました。一方で、介護サービスでは水道光熱費・労務費上昇の影響を受けました。
以上の結果、売上高は37,322百万円(前連結会計年度比1.8%増)、セグメント利益(営業利益)は2,216百万円(前連結会計年度比1.2%増)となりました。
d 調剤薬局事業
調剤薬局事業におきましては、小規模なM&Aや再編統合による経営効率化等により、業績は堅調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は34,666百万円(前連結会計年度比3.6%増)、セグメント利益(営業利益)は4,004百万円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。
当社グループにおける財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,406百万円増加し、385,109百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,259百万円増加し、232,681百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,147百万円増加し、152,428百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高の74,857百万円から3,746百万円増加し、78,604百万円となっております。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは 22,078百万円の収入(前連結会計年度比1,693百万円収入増)となりました。これは主に、「法人税等の支払額」を9,468百万円計上し、「売上債権」が6,031百万円増加した一方、「税金等調整前当期純利益」を23,106百万円計上、「仕入債務」が7,132百万円増加したこと等によるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは 2,075百万円の支出(前連結会計年度比1,950百万円支出減)となりました。これは主に、「定期預金の払戻による収入」が1,419百万円、「長期貸付金の回収による収入」が1,130百万円あった一方、「有形固定資産の取得による支出」が4,281百万円あったこと等によるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは 16,334百万円の支出(前連結会計年度比8,288百万円支出減)となりました。これは主に、「長期借入れによる収入」が776百万円あった一方、「長期借入金の返済による支出」が6,136百万円、「配当金の支払額」が5,472百万円、「自己株式の取得による支出」が4,999百万円あったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| トータルパックプロデュース事業 | 16,026 | △5.7 |
| メディカルサプライ事業 | - | - |
| ライフケア事業 | - | - |
| 調剤薬局事業 | - | - |
| 合計 | 16,026 | △5.7 |
(注) 金額は製造原価によっております。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| トータルパックプロデュース事業 | 134,242 | +1.7 | 17,820 | △11.7 |
| メディカルサプライ事業 | 509,569 | +7.3 | - | - |
| ライフケア事業 | 37,322 | +1.8 | - | - |
| 調剤薬局事業 | 34,666 | +3.6 | - | - |
| 合計 | 715,800 | +5.7 | 17,820 | △11.7 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| トータルパックプロデュース事業 | 100,971 | +4.1 |
| メディカルサプライ事業 | 489,750 | +8.2 |
| ライフケア事業 | 6,799 | +1.5 |
| 調剤薬局事業 | 22,599 | +3.3 |
| 合計 | 620,120 | +7.3 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
d 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| トータルパックプロデュース事業 | 136,604 | +2.6 |
| メディカルサプライ事業 | 509,569 | +7.3 |
| ライフケア事業 | 37,322 | +1.8 |
| 調剤薬局事業 | 34,666 | +3.6 |
| 合計 | 718,163 | +5.9 |
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は718,163百万円、売上総利益は66,703百万円、営業利益は24,482百万円、経常利益は26,331百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は13,394百万円となりました。
売上高の構成は、トータルパックプロデュース事業が136,604百万円で全体の19.0%、メディカルサプライ事業が509,569百万円で全体の71.0%、ライフケア事業が37,322百万円で全体の5.2%、調剤薬局事業が34,666百万円で全体の4.8%となりました。また、営業利益につきましては、消去または全社費用控除前でトータルパックプロデュース事業が10,812百万円、メディカルサプライ事業が7,484百万円、ライフケア事業が2,216百万円、調剤薬局事業が4,004百万円となりました。(セグメント別の内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照下さい。)
営業外損益につきましては、金融収支(受取利息配当金と支払利息の純額)が182百万円の収入、「持分法による投資利益」を613百万円計上しております。
特別損益につきましては、「貸倒引当金繰入額」を2,415百万円、「投資有価証券評価損」を738百万円計上しております。
b 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、270,599百万円(前連結会計年度末残高は259,457百万円)となり、前連結会計年度末に比べ11,141百万円増加いたしました。
その主な要因は、「売掛金」が4,605百万円、「現金及び預金」が3,063百万円、「電子記録債権」が2,284百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、114,510百万円(前連結会計年度末残高は122,245百万円)となり、前連結会計年度末に比べ7,734百万円減少いたしました。
その主な要因は、「機械装置及び運搬具」が1,039百万円増加した一方、「貸倒引当金」が2,572百万円増加し、「投資有価証券」が1,691百万円、「賃貸不動産」が1,571百万円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、195,914百万円(前連結会計年度末残高は188,013百万円)となり、前連結会計年度末に比べ7,900百万円増加いたしました。
その主な要因は、「1年内返済予定の長期借入金」が2,593百万円減少した一方、「支払手形及び買掛金」が6,272百万円、「電子記録債務」が1,230百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、36,767百万円(前連結会計年度末残高は43,408百万円)となり、前連結会計年度末に比べ6,640百万円減少いたしました。
その主な要因は、「長期借入金」が5,013百万円、「繰延税金負債」が1,026百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、152,428百万円(前連結会計年度末残高は150,280百万円)となり、前連結会計年度末に比べ2,147百万円増加いたしました。
その主な要因は、配当金の支払により「利益剰余金」が5,472百万円、「その他有価証券評価差額金」が714百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により「利益剰余金」が13,394百万円増加したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照下さい。
b 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については、銀行借入の他、連結会社間での資金融通を行う事で資金効率を高め、流動性を保持しております。
一方、設備資金、投資資金等の長期的な資金については、国内外で資金調達について、市場金利動向や為替動向、既存借入金の償還時期、あるいは株式市場動向、機関投資家動向、株主還元等を総合的に勘案し、長期借入金による安定的な資金確保を主としつつ、社債の発行、株式市場からの調達も含め、低コストで調達しつつ安定的な財務基盤を維持できる方法を柔軟に検討・選択してまいります。
c 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、売上高及び営業利益を重要な経営指標として位置付けており、経営目標として、2027年3月期において売上高740,000百万円、営業利益26,000百万円を見込んでおります。
| 2026年3月期(当連結会計年度) | 2027年3月期 | |||
| (予想) | (実績) | (予想比)(%) | (予想) | |
| 売上高(百万円) | 700,000 | 718,163 | 102.6 | 740,000 |
| 営業利益(百万円) | 26,000 | 24,482 | 94.2 | 26,000 |
また、当社グループは、2026年3月期~2030年3月期の5年間を計画期間とする中期経営計画「SHIP VISION 2030」を策定しております。「グループ経営資源の最適化によるポートフォリオ経営」を基本方針とし、売上高年平均成長率(CAGR)は5年間で5%、営業利益率は2030年3月期に4%、ROEは2030年3月期に12%をそれぞれ目指してまいります。
d 今後の事業戦略と財政状態及び経営成績への影響について
トータルパックプロデュース事業につきましては、大学病院を始めとした地域中核病院における新築・移転・増改築、再開発及び機器更新需要に的確に対応していくとともに、当社グループの基幹事業として、収益力の維持・向上に努めてまいります。医療機関を取り巻く環境変化やDX化の進展を踏まえ、コンサルティング機能の強化、人材の確保及び育成、メーカー系子会社による新製品開発や新システムの構築を進め、経営資源の有効活用を図ってまいります。
メディカルサプライ事業につきましては、SPD機能の拡充や専門領域の特定診療材料の取り扱い拡大に伴う棚卸資産の増加に対応しつつ、適正在庫の管理及び物流・供給体制の効率化を進めてまいります。また、償還価格改定等の影響を踏まえ、販売価格と仕入価格の継続的な適正化に取り組むとともに、再編統合の推進等を通じて、安定した収益の確保に努めてまいります。
ライフケア事業につきましては、安全・安心を重視した運営のもと、社員教育の徹底及びサービス品質の向上を図り、入居率・利用率向上に注力してまいります。また、介護記録システムや見守りシステム等の活用を進めるとともに、物価上昇や労務費上昇等を踏まえた費用管理を徹底し、施設運営の効率化を進めてまいります。新規開設及び投資につきましては、採算性等を見極めながら慎重に進めてまいります。
調剤薬局事業につきましては、薬剤師の確保及び育成を進めるとともに、訪問調剤等を含む既存店舗の運営効率化を図ってまいります。また、薬価改定及び調剤報酬改定への対応を進めるとともに、新規出店、M&A、店舗統合等を通じて取り扱い数量の確保を図り、あわせて医薬品調達の効率化を進めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。