有価証券報告書-第108期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 16:46
【資料】
PDFをみる
【項目】
167項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当行グループは「限りなくクリア(透明)、サウンド(健全)、フェア(公平)」を経営理念として、お客さま、株主さま、地域の皆さまから愛され、市場から評価される銀行を目指して「健全経営・効率経営」に積極的に取り組んでまいりました。
この方針を堅持しつつ、従来にも増して地域発展のための金融機能を発揮することで一層の経営体質の強化を図り、経営理念に基づいた業務活動を推進してまいります。
また、こうした経済的価値に加え、社会的価値の一層の向上を図る観点から、コンプライアンス態勢の徹底やコーポレートガバナンスの強化により、引き続きお客さま、株主さま、地域の皆さまから信頼され、評価される銀行を目指してまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
2018年度を振り返ると、海外経済は、米国経済の拡大と欧州、中国やその他新興国経済の回復により景気の着実な拡大を実現しました。日本経済も、輸出が増加し、企業収益が高水準で推移する中、雇用・所得環境の改善が続き個人消費や住宅投資が増加するなど景気の拡大が持続しました。
当行の主たる営業基盤である北陸地域においても、公共投資や企業の設備投資が増加し、雇用・所得環境の着実な改善を背景に住宅投資や個人消費も持ち直しを示すなど、景気は緩やかながら着実な回復を示しました。
国内の金融環境に目を向けると、日本銀行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策の下、短期市場金利はマイナス圏内で推移し、長期金利についても10年物国債利回りがゼロ近傍で推移するなど、極めて低い金利水準と量的緩和の状況が続きました。
2019年度の国内経済は、経済・通商政策を巡る米国とその他諸国との摩擦による悪影響のほか、オリンピック関連投資の一巡による設備投資の鈍化などにより減速感を強めてスタートしております。先行きについても消費税率引き上げが実施された場合の影響への懸念もあり、これまでの景気の緩やかな拡大という流れを維持できるかが注目されます。
また、日本経済には人口減少、産業構造の変化、高度情報化社会への移行などの社会経済環境の変化への対処という中長期的な課題があります。
このような金融経済環境の下、当行グループは第14次中期経営計画の中間年度となる昨年度においても経営全般のさらなる効率化、健全化の実現を目指し、計画に定めた重点施策やアクションプランの実行に努めてまいりました。これらの取り組みについては相応の成果をみましたが、業績に関しては低金利状態長期化による影響などから厳しい経過、結果を余儀なくされました。
当行は第14次中期経営計画において、基本理念「地域とともに。さらなる信認、さらなる進化を」を掲げ、2017年度から、(1)地域経済の変化をお客様のニーズの変化と捉え、お客様のニーズの変化に対して柔軟に対応することによりお客様と地域の発展に貢献する、(2)総合金融機関としてフィデューシャリー・デューティーを徹底し金融サービスの質を高めることによってお客様からさらなる信認を頂戴する、(3)役職員一人ひとりが個を磨き進化することによって当行グループがお客様に真に必要とされる金融機関に進化する、の3つの基本方針を定め「Never Say Never」のキャッチフレーズの下、業務運営を進めてまいりました。中期経営計画の最終年度となる2019年度につきましては、厳しい金融情勢が持続することを想定し、以下の取り組みを進めることにより当行グループの持続的な発展を実現してまいります。
具体的には、第一に、お客様サービスの拠点であります営業店(66ヵ店)の役割と機能を明確化するとともに専門性を備えた人材を再配置することにより中小企業や個人のお客様それぞれのニーズを深く丁寧に把握し、課題解決に資するソリューションを提案してまいります。また、業務の合理化・効率化を推進するとともにフィンテック(FinTech)を積極的に導入することにより、地域社会の金融インフラの整備・活性化の一翼を担ってまいります。
収益基盤を支える業務に成長している有価証券運用業務につきましては、内外金融資本市場の分析力の強化を図るとともに、収益やリスク管理の水準向上を企図したリスクアペタイト・フレームワークを導入することにより、基盤業務として更に進化させてまいります。
また、人材について、専門知識や能力に長けた人材を育成し、お客様の幅広いニーズに対応できる多数精鋭の体制整備を目指します。併せて人材のキャリアアップと働き方改革への取り組みを継続し、働き甲斐のある職場づくりを図ってまいります。
当行はこれらの課題を対処すべき課題と位置づけ、その実現によって企業価値と株主価値の持続的な拡大を目指してます。