有価証券報告書-第77期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
業績等の概要
(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある中で持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られます。先行きについては、感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、国内外の感染拡大による下振れリスクの高まりや、金融資本市場の変動等の影響に注視する必要があります。
このような経済情勢のもと、昨年末からの感染症の再拡大により「Go To トラベル」が全国で一斉停止し、2021年1月には緊急事態宣言が再発出されたことで、国内観光需要は再び落ち込みました。この中で羽田空港国内線の旅客数は、第3四半期では前期比約54%減であったのに対し、本年1月以降は75%以上の減少となりましたが、昨年の緊急事態宣言期間中ほどの落ち込みではなく、年度末にかけて航空需要は徐々に回復しました。一方、国際線では本年1月より外国人の新規入国が全面的に停止され、コロナウイルスに対する厳格な水際措置も継続しております。これに伴い羽田空港国際線の旅客数は、年間を通じて前期比95%以上の減少となりました。また、当社グループが事業を営む成田空港等の国際線拠点空港でも同様の状況にあり、各空港で国際線旅客の大幅な減少が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは「航空分野における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(定期航空協会及び全国空港ビル事業者協会共同作成)に基づき、空港利用者・従業員の安全・安心の確保に努めております。これまでにターミナル内の換気能力の向上や館内各所への消毒液配置、飛沫感染防止シートの設置、保安検査場での体温測定用サーモグラフィー導入などに取り組み、第3ターミナルでは国による入国前PCR検査体制拡充の動きに合わせて一部エリアを検査用スペースとして提供してまいりました。また、東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックでは、海外渡航者向けにPCR検査を行い、最短2時間での陰性証明書発行が可能な体制を整えております。さらに、第1、第2ターミナルにおいて、本年4月より株式会社木下グループによるPCR検査センターが開設され、約15分で結果がわかるクイック検査を提供するなど、空港利用客に対する安心安全な旅のサポートとなる、さまざまな取り組みを進めております。なお、羽田空港のこれらの取り組みは、ACI(国際空港評議会)が実施する「Airport Health Accreditation (AHA) プログラム」の認証を取得いたしました。
一方で、航空需要の落ち込みが続く中で売上回復に向けて、国内線売店を中心に売上増進策を進め、「HANEDA CHOCOLATE JOURNEY」等の新たなオリジナルブランドを立ち上げるなど、羽田空港限定商品の展開強化に努めております。また、EC事業では既存のショッピングサイト展開商品の拡充を進める中で、新たに当社グループ会社が製造する機内食を限定で販売するなどの取り組みを推進しております。なお、旅客数が著しく減少する中で、航空会社や入居テナント等に対する支援措置として、昨年4月から家賃減免措置を実施し、旅客動向に応じて減免内容を見直しながら現在も継続しております。
また、減収影響を最小限に留めるべく徹底的なコスト削減策を実施しており、これまでに不要不急コストの削減に加え、旅客動向に合わせたターミナルの一部閉鎖や運営方法の見直しによる施設維持管理費用の削減、業務内製化による外部委託費の削減を実施し、人件費についても役員報酬の一部返上や従業員賞与及び臨時給料の削減を行ってまいりました。引き続き削減効果の維持に努めるとともに、今後の旅客回復に伴うコスト増加を抑制し、より効率的に利益創出する体制を構築すべくコスト構造の見直しに取り組んでまいります。
財務面では、既存コミットメントライン契約の90億円に加えて、手元流動性の確保のために昨年6月までに長期借入金50億円の調達や短期借入枠200億円の設定を行いました。さらに、本年3月には、減収影響が長期化する中で、アフターコロナを見据えた羽田空港の機能向上のための設備投資資金の確保を目的とし、公募増資等により総額567億円の資金調達を行いました。これにより、財務体質は新型コロナ拡大以前の水準まで回復し、投資余力を確保できる堅固な財務基盤の確立につながりました。
当社グループはこれまでに、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し持続的成長を果たすべく、長期ビジョンである「To Be a World Best Airport」に基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し取り組みを進めてまいりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で計画の前提である事業環境が著しく変化し、さらに、社会全体が「ニューノーマル(新常態)」へ移行する中で、当社グループとしては旅客ターミナルの運営方法や事業内容について、従来の枠組みにとらわれない発想で抜本的な見直しを行っております。
当期は、羽田空港国際線においてストレスフリーで快適な搭乗手続きを実現する「FAST TRAVEL」の推進や、顔認証技術を活用した「One ID」の導入を進めてまいりました。これらの取り組みを経て、本年4月からは「One ID」を「Face Express」との呼称に改めて実証実験を行い、利便性の向上に加えて非対面・非接触化による感染防止策の強化の一環として、東京オリンピック・パラリンピックが開催される本年7月からの本格運用を目指しております。同様に、本大会の開催とその後の需要拡大を見据えた取り組みとして、約10億円を投じて第3ターミナルにビジネスジェット専用施設の整備を進めており、本年7月に供用開始する予定です。また、2016年より進めている「Haneda Robotics Lab」でのロボット技術の活用については、自動運転車椅子、遠隔案内ロボット、消毒作業ロボットを導入し、翻訳ロボット技術を応用した多言語翻訳スマートマスク「C-FACE」は、昨年12月より販売も開始しております。なお、これらの取り組みが評価され、内閣府より「クールジャパン・マッチングアワード2021」にて特別賞を受賞しました。今後もデジタル技術を積極的に活用し、柔軟で効率的なターミナル運営を推進するとともに、こうした羽田空港を舞台に共同開発してきた世界に誇れる技術や製品を他空港などへ展開する販売代理店事業にも取り組んでまいります。また、本年3月末には、羽田空港公式アプリを公開しました。当該アプリは空港情報や店舗特典情報などの提供に加えオンラインショッピングも可能であり、今後も追加機能をアップデートすることにより利便性の向上を図ってまいります。
ESG関連では、脱炭素社会へ向けたCO2削減の取り組みとして、従来から行っている照明のLED化などに加え、羽田空港におけるゴミ排出量増大対策として進めていた新リサイクル棟の建設が昨年12月に完了しました。さらに、旅客利便性向上と大規模災害への備えとして、国内線の到着ロビー及びゲートラウンジ内に本年2月より順次、蓄電池内蔵充電設備を整備しております。また、ユニバーサルデザインサービス施設の充足を目指して、国内線では、障がいのある方が気持ちを落ち着かせることが必要になった場合にご利用いただける「カームダウン・クールダウンスペース」を手荷物検査場通過後の保安区域内に設置し、国際線では、指差しにてコミュニケーションが出来る「コミュニケーション支援ボード」を改訂したほか、「手で見るフロアマップ(点字マップ)」出国エリア編を発行するなど、さまざまな取り組みを進めております。
以上の結果、当連結会計年度の業績については、国内線と国際線の旅客数の大幅な減少で、施設利用料収入や商品売上高、飲食売上高などの落ち込みが続き、営業収益は 525億7千2百万円(前年比 79.0%減)となり、また、徹底的なコスト削減に取り組みましたが、減収の影響と昨年度に供用開始した羽田国際化関連施設の減価償却費の増加などにより、営業損失は 590億2千万円(前年は営業利益 98億9千2百万円)、経常損失は 573億2千万円(前年は経常利益 87億5百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は 365億7千8百万円(前年は親会社株主に帰属する当期純利益 50億1千2百万円)となりました。
(単位:百万円)
なお、羽田空港旅客ターミナルは2019年11月に、英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”で、6年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに昨年5月には2020年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」で、2年連続で世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「World's Cleanest Airports」(5年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(8年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(2年連続)でも、世界第1位となりました。
引き続き航空業界は厳しい状況にありますが、国内線では本年3月の緊急事態宣言の全面解除前から、航空需要が着実に回復しております。一方、国際線では日本政府による感染症の水際対策強化の一環として、1日当たりの入国者数が制限され、航空会社には到着旅客数の抑制が要請されるなど、航空需要の回復には未だ時間を要する見通しです。当社グループとしてはこれらの動向を踏まえて、羽田空港利用者の安全・安心を確保していくとともに、需要を的確に捉えた旅客ターミナル運営を進めてまいります。なお、長期的には航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、今後も日本及び首都圏の空の玄関口である羽田空港の利便性、快適性、機能性をより一層向上させて、羽田空港の価値向上に向けて取り組んでまいります。
セグメント別の業績は次のとおりです。なお、営業利益(損失)はセグメント利益(損失)に該当します。
(施設管理運営業)
(単位:百万円)
家賃収入については、第3ターミナルでのPCR検査用スペース貸出に伴う増収がありましたが、昨年4月より実施している入居テナント等に対する家賃減免措置を継続していることもあり、前年を下回っております。
施設利用料収入については、国内線の旅客数は本年3月以降、再び回復傾向にありますが、年間では大きな減少となり、国際線の旅客数も落ち込みが続いていることで、旅客取扱施設利用料収入が大幅に減少し、前年を大きく下回っております。
その他の収入については、旅客数の減少に伴う駐車料収入やラウンジ収入、ホテル収入、広告料収入の減少の影響で、前年を大きく下回っております。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 375億3千2百万円(前年比 57.7%減)となりました。また減収の影響と昨年度に供用開始した羽田空港第2ターミナル国際線施設と第3ターミナル拡張部の減価償却費の増加などにより、営業損失は 362億8千3百万円(前年は営業利益 69億3千2百万円)となりました。
(物 品 販 売 業)
(単位:百万円)
国内線売店売上については、第3四半期には旅客回復が続いていたことで商品売上も回復傾向にありましたが、第4四半期では旅客動向とともに再び売上が落ち込み、コロナ禍における消費マインドの変化などの影響もあり、前年を大きく下回っております。
国際線売店売上については、国際線旅客数の大幅な減少と当社直営免税店の多くで休業が続いていることで前年を大きく下回っております。なお、羽田空港第3ターミナルや成田空港等の当社直営店舗では、総合免税店を中心に営業を再開し、ブランドブティックでも曜日を限定して営業するなど、年間を通じて航空便の運航に合わせた営業体制を整えてまいりました。また、市中免税店「Japan Duty Free GINZA」でも昨年6月以降は営業を継続しておりましたが、各店舗で商品売上が厳しい状況は続いております。
その他の売上については、地方空港での旅客数減少による卸売上の落ち込みが続き、前年を大きく下回っております。
その結果、物品販売業の営業収益は 144億3千6百万円(前年比 90.3%減)となりました。また、売上減に加え、不透明な国際線旅客数見通しを反映し、翌期以降に発生が見込まれる一部の免税品の処分損を当期の評価損として取り込んだことなどにより、営業損失は 113億2千2百万円(前年は営業利益 108億2千3百万円)となりました。
(飲 食 業)
(単位:百万円)
飲食店舗売上については、羽田空港国内線、国際線ともに旅客数の減少に加え、旅客動向に合わせて臨時休業や営業時間短縮を実施したことにより、前年を大きく下回りました。
機内食売上については、顧客である多くの外国航空会社の成田及び羽田路線における旅客数の大幅な減少が続いていることで、前年を大きく下回っております。
その結果、飲食業の営業収益は 40億9千1百万円(前年比 81.0%減)となり、営業損失は 41億5千万円(前年は営業利益 4億5千1百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ
485億5千9百万円増加し、 1,203億5千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 246億9百万円減少(前連結会計年度は
202億2千2百万円の収入)し、43億8千7百万円の支出となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 320億6千6百万円支出が減少(前年比
55.9%減)し、252億6千8百万円の支出となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の減少等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 565億8千4百万円収入が増加(前年比
261.4%増)し、782億2千8百万円の収入となりました。
これは主に、株式の発行による収入等によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、棚卸資産評価損については滞留品に対して評価損率を乗じて計算し、計上しております。
本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「5[経理の状況][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、営業収益の落ち込みに伴う売掛金の減少があったものの、本年3月に公募増資等により総額567億円の資金を調達したことにより増加しました。固定資産は、建物及び構築物等の減価償却が進んだことなどにより減少しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 21億7千万円減少し、5,191億9千3百万円となりました。
(負債)
昨年度に完了した羽田空港国際線施設の拡張工事代金の支払いがあった一方で、長期借入により約300億円を調達した影響により増加しました。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 41億8千4百万円増加
し、3,236億4千8百万円となりました。
(純資産)
公募増資等により資本金および資本剰余金が増加した一方で、配当金の支払いや、当期純損失の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が減少した結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ 63億5千5百万円減少し、1,955億4千4百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、34.3%(前連結会計年度末は 31.2%)となりました。
(3)経営成績の分析
国内線と国際線の旅客数の大幅な減少で、施設利用料収入や商品売上高、飲食売上高などの落ち込みが続き、営業収益は 525億7千2百万円(前年比 79.0%減)、徹底的なコスト削減に取り組みましたが、減収の影響と昨年度に供用開始した羽田国際化関連施設の減価償却費の増加などにより、営業損失は 590億2千万円(前年は営業利益 98億9千2百万円)、経常損失は 573億2千万円(前年は経常利益 87億5百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は 365億7千8百万円(前年は親会社株主に帰属する当期純利益 50億1千2百万円)となりました。
なお、セグメント別の売上につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の業績の概要」に記載しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナルビル等への大型設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
運転資金は自己資金を基本としておりますが、不測の事態に対応したコミット期間付タームローンおよびコミットメントライン契約を合計90億円の極度額で設定しており、当面の資金繰りに支障が生じることがないと考えております。
旅客ターミナルビル等の大規模設備投資の調達については、金融機関からの長期借入、社債等を基本としており、シングルAプラス以上の格付け(日本の格付け機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化および資金調達コストの低減を図っており、設備投資に対応する借入の一部については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。なお、連結子会社のうち、PFI事業である東京国際空港ターミナル株式会社につきましては、事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資についてはプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金による調達等を実施しております。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により当社グループの事業は甚大な影響を受けており、資金不足となるリスクを回避する対策として複数行との間で200億円の短期借入枠を設定し、さらに財務健全性を早期に回復し、コロナ禍に耐えうる財務体質を維持しつつ投資余力を確保するために公募増資等により、567億円を調達しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高が1,203億5千5百万円、借入金等を含む有利子負債残高は2,650億4千万円となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2016年度から2020年度に係る中期経営計画において、以下の目標指標を定めており、2020年度(最終年度)の目標指標達成を重要課題として取り組んでまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業環境、特に当社の業績に大きな影響を与える旅客数の見通しが極めて不透明な状況となり、目標指標の前提から見直しが必要な状況となっております。
次期中期経営計画における目標指標につきましては、中長期的な旅客需要は見込めると考えるものの、足元の旅客動向は極めて不確実であるため、確度のある事業計画の策定が可能になった段階でお示しさせていただきたいと考えております。
依然航空業界は厳しい状況にありますが、長期的には航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、引き続きコスト削減の堅持や収益事業の改善及び多様化を進めることで、航空需要の回復時にはコロナ禍前以上の営業利益率を確保できるよう取り組んでまいります。
各種指標の推移は以下のとおりです。
各種指標
(7)経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し
新型コロナウイルス感染症の影響で航空業界においても厳しい状況が続く中、日本を含む世界各国でワクチン接種が進むことにより航空需要の持ち直しが期待される一方、本年4月には東京都や大阪府等でまん延防止等重点措置が適用され、その後さらに緊急事態宣言が発出されるなど、引き続き国内外の感染動向に留意すべき状況となっております。
羽田空港においても、国内線では段階的に需要回復が進んでいく一方で、国際線では1日当たりの入国者数制限や航空会社の国際線到着旅客数の抑制などもあり、需要回復には時間を要する見込みです。これに伴い、当社においても国内線事業は黒字化する一方で、国際線事業は厳しい状況が続くと見ております。
この中で当社は、羽田空港限定商品の拡充やEC事業の強化などの積極的な売上増進策の実行とコスト削減の継続により収支改善に努めるとともに、徹底した感染防止策に取り組むことで空港利用客に対する安心安全な旅のサポートを行い、東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催にもつなげてまいります。さらにアフターコロナを見据えた設備投資として、第3ターミナルのビジネスジェット専用施設の整備や第1ターミナル北サテライトの新設、第2ターミナルの本館とサテライトの接続工事などに取り組み、羽田空港のさらなる機能向上を目指してまいります。
なお、現在、見込まれるセグメント別の収益は以下のとおりです。
施設管理運営業については、入居テナントに対する家賃減免措置を継続予定ではありますが家賃収入全体では増加し、羽田空港国内線と国際線での旅客数の回復等による施設利用料収入の増加などもあり、営業収益は前年を上回る予想です。
物品販売業及び飲食業については、主に国内線における旅客数回復による商品売上や飲食売上の増加等で、営業収益は前年を上回ると予想しております。
(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある中で持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られます。先行きについては、感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、国内外の感染拡大による下振れリスクの高まりや、金融資本市場の変動等の影響に注視する必要があります。
このような経済情勢のもと、昨年末からの感染症の再拡大により「Go To トラベル」が全国で一斉停止し、2021年1月には緊急事態宣言が再発出されたことで、国内観光需要は再び落ち込みました。この中で羽田空港国内線の旅客数は、第3四半期では前期比約54%減であったのに対し、本年1月以降は75%以上の減少となりましたが、昨年の緊急事態宣言期間中ほどの落ち込みではなく、年度末にかけて航空需要は徐々に回復しました。一方、国際線では本年1月より外国人の新規入国が全面的に停止され、コロナウイルスに対する厳格な水際措置も継続しております。これに伴い羽田空港国際線の旅客数は、年間を通じて前期比95%以上の減少となりました。また、当社グループが事業を営む成田空港等の国際線拠点空港でも同様の状況にあり、各空港で国際線旅客の大幅な減少が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは「航空分野における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(定期航空協会及び全国空港ビル事業者協会共同作成)に基づき、空港利用者・従業員の安全・安心の確保に努めております。これまでにターミナル内の換気能力の向上や館内各所への消毒液配置、飛沫感染防止シートの設置、保安検査場での体温測定用サーモグラフィー導入などに取り組み、第3ターミナルでは国による入国前PCR検査体制拡充の動きに合わせて一部エリアを検査用スペースとして提供してまいりました。また、東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックでは、海外渡航者向けにPCR検査を行い、最短2時間での陰性証明書発行が可能な体制を整えております。さらに、第1、第2ターミナルにおいて、本年4月より株式会社木下グループによるPCR検査センターが開設され、約15分で結果がわかるクイック検査を提供するなど、空港利用客に対する安心安全な旅のサポートとなる、さまざまな取り組みを進めております。なお、羽田空港のこれらの取り組みは、ACI(国際空港評議会)が実施する「Airport Health Accreditation (AHA) プログラム」の認証を取得いたしました。
一方で、航空需要の落ち込みが続く中で売上回復に向けて、国内線売店を中心に売上増進策を進め、「HANEDA CHOCOLATE JOURNEY」等の新たなオリジナルブランドを立ち上げるなど、羽田空港限定商品の展開強化に努めております。また、EC事業では既存のショッピングサイト展開商品の拡充を進める中で、新たに当社グループ会社が製造する機内食を限定で販売するなどの取り組みを推進しております。なお、旅客数が著しく減少する中で、航空会社や入居テナント等に対する支援措置として、昨年4月から家賃減免措置を実施し、旅客動向に応じて減免内容を見直しながら現在も継続しております。
また、減収影響を最小限に留めるべく徹底的なコスト削減策を実施しており、これまでに不要不急コストの削減に加え、旅客動向に合わせたターミナルの一部閉鎖や運営方法の見直しによる施設維持管理費用の削減、業務内製化による外部委託費の削減を実施し、人件費についても役員報酬の一部返上や従業員賞与及び臨時給料の削減を行ってまいりました。引き続き削減効果の維持に努めるとともに、今後の旅客回復に伴うコスト増加を抑制し、より効率的に利益創出する体制を構築すべくコスト構造の見直しに取り組んでまいります。
財務面では、既存コミットメントライン契約の90億円に加えて、手元流動性の確保のために昨年6月までに長期借入金50億円の調達や短期借入枠200億円の設定を行いました。さらに、本年3月には、減収影響が長期化する中で、アフターコロナを見据えた羽田空港の機能向上のための設備投資資金の確保を目的とし、公募増資等により総額567億円の資金調達を行いました。これにより、財務体質は新型コロナ拡大以前の水準まで回復し、投資余力を確保できる堅固な財務基盤の確立につながりました。
当社グループはこれまでに、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し持続的成長を果たすべく、長期ビジョンである「To Be a World Best Airport」に基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し取り組みを進めてまいりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で計画の前提である事業環境が著しく変化し、さらに、社会全体が「ニューノーマル(新常態)」へ移行する中で、当社グループとしては旅客ターミナルの運営方法や事業内容について、従来の枠組みにとらわれない発想で抜本的な見直しを行っております。
当期は、羽田空港国際線においてストレスフリーで快適な搭乗手続きを実現する「FAST TRAVEL」の推進や、顔認証技術を活用した「One ID」の導入を進めてまいりました。これらの取り組みを経て、本年4月からは「One ID」を「Face Express」との呼称に改めて実証実験を行い、利便性の向上に加えて非対面・非接触化による感染防止策の強化の一環として、東京オリンピック・パラリンピックが開催される本年7月からの本格運用を目指しております。同様に、本大会の開催とその後の需要拡大を見据えた取り組みとして、約10億円を投じて第3ターミナルにビジネスジェット専用施設の整備を進めており、本年7月に供用開始する予定です。また、2016年より進めている「Haneda Robotics Lab」でのロボット技術の活用については、自動運転車椅子、遠隔案内ロボット、消毒作業ロボットを導入し、翻訳ロボット技術を応用した多言語翻訳スマートマスク「C-FACE」は、昨年12月より販売も開始しております。なお、これらの取り組みが評価され、内閣府より「クールジャパン・マッチングアワード2021」にて特別賞を受賞しました。今後もデジタル技術を積極的に活用し、柔軟で効率的なターミナル運営を推進するとともに、こうした羽田空港を舞台に共同開発してきた世界に誇れる技術や製品を他空港などへ展開する販売代理店事業にも取り組んでまいります。また、本年3月末には、羽田空港公式アプリを公開しました。当該アプリは空港情報や店舗特典情報などの提供に加えオンラインショッピングも可能であり、今後も追加機能をアップデートすることにより利便性の向上を図ってまいります。
ESG関連では、脱炭素社会へ向けたCO2削減の取り組みとして、従来から行っている照明のLED化などに加え、羽田空港におけるゴミ排出量増大対策として進めていた新リサイクル棟の建設が昨年12月に完了しました。さらに、旅客利便性向上と大規模災害への備えとして、国内線の到着ロビー及びゲートラウンジ内に本年2月より順次、蓄電池内蔵充電設備を整備しております。また、ユニバーサルデザインサービス施設の充足を目指して、国内線では、障がいのある方が気持ちを落ち着かせることが必要になった場合にご利用いただける「カームダウン・クールダウンスペース」を手荷物検査場通過後の保安区域内に設置し、国際線では、指差しにてコミュニケーションが出来る「コミュニケーション支援ボード」を改訂したほか、「手で見るフロアマップ(点字マップ)」出国エリア編を発行するなど、さまざまな取り組みを進めております。
以上の結果、当連結会計年度の業績については、国内線と国際線の旅客数の大幅な減少で、施設利用料収入や商品売上高、飲食売上高などの落ち込みが続き、営業収益は 525億7千2百万円(前年比 79.0%減)となり、また、徹底的なコスト削減に取り組みましたが、減収の影響と昨年度に供用開始した羽田国際化関連施設の減価償却費の増加などにより、営業損失は 590億2千万円(前年は営業利益 98億9千2百万円)、経常損失は 573億2千万円(前年は経常利益 87億5百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は 365億7千8百万円(前年は親会社株主に帰属する当期純利益 50億1千2百万円)となりました。
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年比増減率(%) | |
| 営 業 収 益 | 249,756 | 52,572 | △ 79.0 | |
| (施設管理運営業) | (82,942) | (35,917) | △ 56.7 | |
| (物品販売業) | (147,893) | (13,657) | △ 90.8 | |
| (飲食業) | (18,920) | (2,998) | △ 84.2 | |
| 営 業 損 益 | 9,892 | △ 59,020 | - | |
| 経 常 損 益 | 8,705 | △ 57,320 | - | |
| 親会社株主に帰属する当期純損益 | 5,012 | △ 36,578 | - | |
なお、羽田空港旅客ターミナルは2019年11月に、英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”で、6年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに昨年5月には2020年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」で、2年連続で世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「World's Cleanest Airports」(5年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(8年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(2年連続)でも、世界第1位となりました。
引き続き航空業界は厳しい状況にありますが、国内線では本年3月の緊急事態宣言の全面解除前から、航空需要が着実に回復しております。一方、国際線では日本政府による感染症の水際対策強化の一環として、1日当たりの入国者数が制限され、航空会社には到着旅客数の抑制が要請されるなど、航空需要の回復には未だ時間を要する見通しです。当社グループとしてはこれらの動向を踏まえて、羽田空港利用者の安全・安心を確保していくとともに、需要を的確に捉えた旅客ターミナル運営を進めてまいります。なお、長期的には航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、今後も日本及び首都圏の空の玄関口である羽田空港の利便性、快適性、機能性をより一層向上させて、羽田空港の価値向上に向けて取り組んでまいります。
セグメント別の業績は次のとおりです。なお、営業利益(損失)はセグメント利益(損失)に該当します。
(施設管理運営業)
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年比 増減率 (%) | |
| 施設管理運営業 | 82,942 | 35,917 | △ 56.7 | |
| 家賃収入 | 18,259 | 17,712 | △ 3.0 | |
| 施設利用料収入 | 41,019 | 7,644 | △ 81.4 | |
| その他の収入 | 23,662 | 10,560 | △ 55.4 | |
| セグメント間の内部売上高 | 5,697 | 1,614 | △ 71.7 | |
| 売上高 合計 | 88,640 | 37,532 | △ 57.7 | |
| セグメント損益 | 6,932 | △ 36,283 | - | |
家賃収入については、第3ターミナルでのPCR検査用スペース貸出に伴う増収がありましたが、昨年4月より実施している入居テナント等に対する家賃減免措置を継続していることもあり、前年を下回っております。
施設利用料収入については、国内線の旅客数は本年3月以降、再び回復傾向にありますが、年間では大きな減少となり、国際線の旅客数も落ち込みが続いていることで、旅客取扱施設利用料収入が大幅に減少し、前年を大きく下回っております。
その他の収入については、旅客数の減少に伴う駐車料収入やラウンジ収入、ホテル収入、広告料収入の減少の影響で、前年を大きく下回っております。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 375億3千2百万円(前年比 57.7%減)となりました。また減収の影響と昨年度に供用開始した羽田空港第2ターミナル国際線施設と第3ターミナル拡張部の減価償却費の増加などにより、営業損失は 362億8千3百万円(前年は営業利益 69億3千2百万円)となりました。
(物 品 販 売 業)
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年比 増減率 (%) | |
| 物品販売業 | 147,893 | 13,657 | △ 90.8 | |
| 国内線売店売上 | 33,148 | 8,559 | △ 74.2 | |
| 国際線売店売上 | 84,420 | 2,751 | △ 96.7 | |
| その他の売上 | 30,323 | 2,345 | △ 92.3 | |
| セグメント間の内部売上高 | 1,378 | 779 | △ 43.5 | |
| 売上高 合計 | 149,272 | 14,436 | △ 90.3 | |
| セグメント損益 | 10,823 | △ 11,322 | - | |
国内線売店売上については、第3四半期には旅客回復が続いていたことで商品売上も回復傾向にありましたが、第4四半期では旅客動向とともに再び売上が落ち込み、コロナ禍における消費マインドの変化などの影響もあり、前年を大きく下回っております。
国際線売店売上については、国際線旅客数の大幅な減少と当社直営免税店の多くで休業が続いていることで前年を大きく下回っております。なお、羽田空港第3ターミナルや成田空港等の当社直営店舗では、総合免税店を中心に営業を再開し、ブランドブティックでも曜日を限定して営業するなど、年間を通じて航空便の運航に合わせた営業体制を整えてまいりました。また、市中免税店「Japan Duty Free GINZA」でも昨年6月以降は営業を継続しておりましたが、各店舗で商品売上が厳しい状況は続いております。
その他の売上については、地方空港での旅客数減少による卸売上の落ち込みが続き、前年を大きく下回っております。
その結果、物品販売業の営業収益は 144億3千6百万円(前年比 90.3%減)となりました。また、売上減に加え、不透明な国際線旅客数見通しを反映し、翌期以降に発生が見込まれる一部の免税品の処分損を当期の評価損として取り込んだことなどにより、営業損失は 113億2千2百万円(前年は営業利益 108億2千3百万円)となりました。
(飲 食 業)
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年比 増減率 (%) | |
| 飲食業 | 18,920 | 2,998 | △ 84.2 | |
| 飲食店舗売上 | 11,514 | 2,363 | △ 79.5 | |
| 機内食売上 | 6,543 | 365 | △ 94.4 | |
| その他の売上 | 863 | 269 | △ 68.8 | |
| セグメント間の内部売上高 | 2,641 | 1,093 | △ 58.6 | |
| 売上高 合計 | 21,561 | 4,091 | △ 81.0 | |
| セグメント損益 | 451 | △ 4,150 | - | |
飲食店舗売上については、羽田空港国内線、国際線ともに旅客数の減少に加え、旅客動向に合わせて臨時休業や営業時間短縮を実施したことにより、前年を大きく下回りました。
機内食売上については、顧客である多くの外国航空会社の成田及び羽田路線における旅客数の大幅な減少が続いていることで、前年を大きく下回っております。
その結果、飲食業の営業収益は 40億9千1百万円(前年比 81.0%減)となり、営業損失は 41億5千万円(前年は営業利益 4億5千1百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ
485億5千9百万円増加し、 1,203億5千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 246億9百万円減少(前連結会計年度は
202億2千2百万円の収入)し、43億8千7百万円の支出となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 320億6千6百万円支出が減少(前年比
55.9%減)し、252億6千8百万円の支出となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の減少等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 565億8千4百万円収入が増加(前年比
261.4%増)し、782億2千8百万円の収入となりました。
これは主に、株式の発行による収入等によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 施設管理運営業(百万円) | 35,917 | 82,942 | △56.7 | |
| 家賃収入(百万円) | 17,712 | 18,259 | △ 3.0 | |
| 施設利用料収入(百万円) | 7,644 | 41,019 | △81.4 | |
| その他の収入(百万円) | 10,560 | 23,662 | △55.4 | |
| 物品販売業(百万円) | 13,657 | 147,893 | △90.8 | |
| 国内線売店売上(百万円) | 8,559 | 33,148 | △74.2 | |
| 国際線売店売上(百万円) | 2,751 | 84,420 | △96.7 | |
| その他の売上(百万円) | 2,345 | 30,323 | △92.3 | |
| 飲食業(百万円) | 2,998 | 18,920 | △84.2 | |
| 飲食店舗売上(百万円) | 2,363 | 11,514 | △79.5 | |
| 機内食売上(百万円) | 365 | 6,543 | △94.4 | |
| その他の売上(百万円) | 269 | 863 | △68.8 | |
| 合計(百万円) | 52,572 | 249,756 | △79.0 | |
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。
| 区 分 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 比率(%) | 比率(%) | ||||
| 所有総面積 (㎡) | 966,191 | 953,957 | |||
| 貸付可能面積(㎡) | 311,414 | 100.0 | 308,951 | 100.0 | |
| 貸付面積 (㎡) | 302,547 | 97.2 | 304,359 | 98.5 | |
| 航空会社 (㎡) | 157,744 | 50.7 | 158,917 | 51.4 | |
| 一般テナント (㎡) | 62,556 | 20.1 | 63,152 | 20.4 | |
| 当社グループ使用(㎡) | 82,245 | 26.4 | 82,289 | 26.6 | |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、棚卸資産評価損については滞留品に対して評価損率を乗じて計算し、計上しております。
本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「5[経理の状況][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、営業収益の落ち込みに伴う売掛金の減少があったものの、本年3月に公募増資等により総額567億円の資金を調達したことにより増加しました。固定資産は、建物及び構築物等の減価償却が進んだことなどにより減少しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 21億7千万円減少し、5,191億9千3百万円となりました。
(負債)
昨年度に完了した羽田空港国際線施設の拡張工事代金の支払いがあった一方で、長期借入により約300億円を調達した影響により増加しました。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 41億8千4百万円増加
し、3,236億4千8百万円となりました。
(純資産)
公募増資等により資本金および資本剰余金が増加した一方で、配当金の支払いや、当期純損失の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が減少した結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ 63億5千5百万円減少し、1,955億4千4百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、34.3%(前連結会計年度末は 31.2%)となりました。
(3)経営成績の分析
国内線と国際線の旅客数の大幅な減少で、施設利用料収入や商品売上高、飲食売上高などの落ち込みが続き、営業収益は 525億7千2百万円(前年比 79.0%減)、徹底的なコスト削減に取り組みましたが、減収の影響と昨年度に供用開始した羽田国際化関連施設の減価償却費の増加などにより、営業損失は 590億2千万円(前年は営業利益 98億9千2百万円)、経常損失は 573億2千万円(前年は経常利益 87億5百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は 365億7千8百万円(前年は親会社株主に帰属する当期純利益 50億1千2百万円)となりました。
なお、セグメント別の売上につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の業績の概要」に記載しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナルビル等への大型設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
運転資金は自己資金を基本としておりますが、不測の事態に対応したコミット期間付タームローンおよびコミットメントライン契約を合計90億円の極度額で設定しており、当面の資金繰りに支障が生じることがないと考えております。
旅客ターミナルビル等の大規模設備投資の調達については、金融機関からの長期借入、社債等を基本としており、シングルAプラス以上の格付け(日本の格付け機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化および資金調達コストの低減を図っており、設備投資に対応する借入の一部については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。なお、連結子会社のうち、PFI事業である東京国際空港ターミナル株式会社につきましては、事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資についてはプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金による調達等を実施しております。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により当社グループの事業は甚大な影響を受けており、資金不足となるリスクを回避する対策として複数行との間で200億円の短期借入枠を設定し、さらに財務健全性を早期に回復し、コロナ禍に耐えうる財務体質を維持しつつ投資余力を確保するために公募増資等により、567億円を調達しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高が1,203億5千5百万円、借入金等を含む有利子負債残高は2,650億4千万円となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2016年度から2020年度に係る中期経営計画において、以下の目標指標を定めており、2020年度(最終年度)の目標指標達成を重要課題として取り組んでまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業環境、特に当社の業績に大きな影響を与える旅客数の見通しが極めて不透明な状況となり、目標指標の前提から見直しが必要な状況となっております。
次期中期経営計画における目標指標につきましては、中長期的な旅客需要は見込めると考えるものの、足元の旅客動向は極めて不確実であるため、確度のある事業計画の策定が可能になった段階でお示しさせていただきたいと考えております。
依然航空業界は厳しい状況にありますが、長期的には航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、引き続きコスト削減の堅持や収益事業の改善及び多様化を進めることで、航空需要の回復時にはコロナ禍前以上の営業利益率を確保できるよう取り組んでまいります。
各種指標の推移は以下のとおりです。
各種指標
| 各指標 | 2018年度実績 | 2019年度実績 | 2020年度実績 |
| 総合力指標:ROA(EBITDA) | 13.0% | 7.5% | △4.7% |
| 収益性指標:営業利益率 | 8.2% | 4.0% | △112.3% |
| 安定性指標:自己資本比率 | 33.7% | 31.2% | 34.3% |
(7)経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し
新型コロナウイルス感染症の影響で航空業界においても厳しい状況が続く中、日本を含む世界各国でワクチン接種が進むことにより航空需要の持ち直しが期待される一方、本年4月には東京都や大阪府等でまん延防止等重点措置が適用され、その後さらに緊急事態宣言が発出されるなど、引き続き国内外の感染動向に留意すべき状況となっております。
羽田空港においても、国内線では段階的に需要回復が進んでいく一方で、国際線では1日当たりの入国者数制限や航空会社の国際線到着旅客数の抑制などもあり、需要回復には時間を要する見込みです。これに伴い、当社においても国内線事業は黒字化する一方で、国際線事業は厳しい状況が続くと見ております。
この中で当社は、羽田空港限定商品の拡充やEC事業の強化などの積極的な売上増進策の実行とコスト削減の継続により収支改善に努めるとともに、徹底した感染防止策に取り組むことで空港利用客に対する安心安全な旅のサポートを行い、東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催にもつなげてまいります。さらにアフターコロナを見据えた設備投資として、第3ターミナルのビジネスジェット専用施設の整備や第1ターミナル北サテライトの新設、第2ターミナルの本館とサテライトの接続工事などに取り組み、羽田空港のさらなる機能向上を目指してまいります。
なお、現在、見込まれるセグメント別の収益は以下のとおりです。
施設管理運営業については、入居テナントに対する家賃減免措置を継続予定ではありますが家賃収入全体では増加し、羽田空港国内線と国際線での旅客数の回復等による施設利用料収入の増加などもあり、営業収益は前年を上回る予想です。
物品販売業及び飲食業については、主に国内線における旅客数回復による商品売上や飲食売上の増加等で、営業収益は前年を上回ると予想しております。