有価証券報告書-第75期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 16:13
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業績等の概要
(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度末の3月に入り、輸出や生産の一部に弱さもみられますが、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある状況となっております。特に中国経済におきましては、景気が緩やかに減速しており、先行きにつきましても、当面はその傾向が続くことが見込まれますが、各種政策効果が次第に発現することが期待されております。ただし、通商問題の動向と影響などによっては、景気が下振れするリスクがある状況となっております。
当社の事業環境としましては、政府が2020年の訪日外国人旅客数を4,000万人とする目標の中、航空路線の新規就航や増便などによる航空座席供給量の増加に加え、継続的に展開されている訪日旅行プロモーションの効果もあった一方で、昨年夏から秋にかけての自然災害により、9月以降は被災地域への旅行控えなどの影響が見受けられましたが、訪日外国人旅客数は2018年累計(1月~12月)で3,000万人を超え、過去最多となりました。
その中で、当連結会計年度の航空旅客数につきましては、各航空会社による羽田空港国際線の深夜時間帯でのさらなる増便や座席仕様の改修による提供座席数の増加、需要に応じた各種割引運賃設定の効果で、羽田空港国内線、国際線ともに前年を上回りました。また、成田空港の国際線も、関西空港被災時の臨時便運航による航空旅客数の増加があった9月以降におきましても、堅調な航空需要に支えられ前年を上回っております。
このような状況のもと、当社グループは、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指す長期的な経営ビジョン「To Be a World Best Airport」の実現に向けて、2020年度を視野に入れた5年間の成長戦略として中期経営計画を策定し、昨年4月の東京国際空港ターミナル株式会社(以下、「TIAT」という。)の第三者割当増資の引き受けに伴う連結子会社化と、2020年以降の羽田空港の国際線需要のさらなる高まりに対する空港機能強化に、当社の成長戦略を重ね合わせて、中期経営計画の見直しを行いました。そして、当連結会計年度の経営上の主な課題として、TIATの連結子会社化による効果、目的の具現化と影響の適正化、環境変化への対応、空港型市中免税店のさらなる業績改善を掲げて、「戦略の3本柱」である「羽田空港の“あるべき姿”の追求」、「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」、「収益基盤再構築・競争優位の確立」に基づいて、さまざまな施策に取り組んでおります。
「羽田空港の“あるべき姿”の追求」におきましては、羽田空港の国際線再拡張に向けた旅客ターミナル整備を進めており、その一環として昨年5月に国内線旅客用の第2ターミナル北側ボーディングステーション、12月には第2ターミナルサテライトを供用開始しました。それ以外の拡張部分につきましても2020年3月の供用開始に向けて、計画通り工事を進めております。また昨年、想定を超える自然災害が発生し、空港ターミナル機能の安全性にも重大な影響を及ぼしたことを受けて、当社ではこれまでの取り組みから、さらに一歩踏み込んだ対策として、ターミナル地下への浸水防止のために止水板を設置しました。今後もさらなる安全対策への投資を積極的に行い、経営方針である旅客ターミナルにおける絶対安全の確立を目指してまいります。その他にも、昨年10月からは館内環境の向上などのために第1ターミナルでリニューアル工事を実施していることに加え、本年3月にはP4駐車場の増築により収容台数を増加するなど、さらなる旅客利便性の向上に取り組んでおります。また、これらに加えて今後の事業環境が大きく変革している中で、羽田空港の立地という資源を最大限活用し、当社の事業をより安定的に成長へと結びつけるために、これまで培った経験とノウハウをより広範囲に活用するとともに、外部の知見を生かしてさらなる事業領域を拡大することを目的に、昨年7月2日に「株式会社羽田未来総合研究所」を設立しました。現在、アートや文化などをオリンピック後の日本経済を支えていくジャンルとして位置づけ、羽田空港というロケーションの優位性を活かし、全国の自治体等と羽田空港とを繋ぎ、地域再生や地域創生を展開する一方、優れた日本製品やアート、日本文化を海外へ発信するなど、新たな価値創造の推進に取り組んでおります。また、時代の求める人財教育やシンクタンクとしての機能を十分に発揮しつつ、新たなライフスタイルの提案など、日本の未来予想図を具体的に提案してまいります。その他にも、羽田空港の機能性や利便性の向上に向けてロボット事業を展開する「Haneda Robotics Lab」では、これまでの実証実験を経て各種サービスロボットの製品改良や試験導入を行っており、また情報発信のために国内外の展示会に出展するなどの取り組みを進めてまいりました。これらの取り組みが、昨年11月にシンガポールで開催された「Future Travel Experience Asia EXPO 2018」におきまして、空港の地上業務で旅客体験向上へ良いインパクトをもたらした活動として評価され、「Best Passenger Experience Initiative 賞」を受賞しました。当社では今後も、羽田空港における先端技術活用の取り組みを推進してまいります。
「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」では、昨年4月に羽田空港国際線の到着エリア内に到着時免税店を出店し、加えて7月より改修工事を進めていた出発エリア内の総合免税店が、本年3月28日にグランドオープンしました。訪日外国人旅客に人気が高い日本ブランドをはじめ、多数の新規ブランドを展開するなど、化粧品コーナーを中心にさらなる品揃えの強化と利便性の向上した店舗として、売上も好調に推移しております。一方で昨年10月以降、中国で免税品の持ち込みに対する規制強化や人民元安等の変動の影響により、当社免税店舗における中国人旅客の売上増加率の鈍化が続いておりました。さらに本年1月以降は、中国での景気の緩やかな減速や法整備などの環境変化が消費マインドに影響し、成田空港の当社免税店や空港型市中免税店「Japan Duty Free GINZA」では、商品売上が前年を下回る状況となりました。しかし中国人旅客は、今後も訪日需要の伸びが期待されていることから、売上増進に向けた各種施策を展開するとともにeコマース事業との連携により、包括的な取り組みを進めてまいります。また、日本人旅客につきましても、昨年には出国者数が過去最高となり、今後も堅調に推移すると見込まれているため、日本人の嗜好も十分に取り込んだ商品戦略を展開してまいります。その他に、熊本空港特定運営事業等におきましては、当社の属するMSJA・熊本コンソーシアムが、本年3月に優先交渉権を獲得しました。今後、特別目的会社(SPC)により、本年7月の空港ビル施設等の事業開始に向けて準備を進めてまいります。また、パラオ国際空港の運営事業につきましても、現地合弁会社の「パラオ・インターナショナル・エアポート株式会社」が4月14日よりターミナルの運営を開始し、2020年度中の完了を目途とした空港ターミナル施設等の改修、拡張工事に取り組んでおります。ハバロフスク国際空港での旅客ターミナル整備・運営事業におきましても、昨年12月に当社も参加する日本企業連合がロシア連邦ハバロフスク空港会社と事業参画のための株主間協定書に調印しており、今後もパートナー企業とともに事業開始に向け、取り組みを加速してまいります。
さらに「収益基盤再構築・競争優位の確立」では、昨年12月19日に新たな商業施設として、羽田空港第1ターミナル5階に全14店舗が入居する「THE HANEDA HOUSE」をグランドオープンし、「コト体験」施設を集約して、羽田空港での新しい時間の過ごし方を提案するエリアを展開しております。また、昨年4月と6月に中部空港で出店した「Air Bic Camera」は、さらに本年3月18日に那覇空港に出店し、訪日外国人旅客を主要ターゲットとした商品戦略により好調に推移しております。空港外でも東京お台場のアクアシティお台場店に続いて、昨年11月2日にダイバーシティ東京プラザ店も出店しており、訪日外国人による国内消費の機会を捉えて収益の確保に努めております。
その他の取り組みとして、財務安定性及び資本効率の向上を両立する戦略的な手法であるハイブリッドローン(劣後特約付ローン)による資金調達300億円を昨年8月31日に実行しております。格付機関より一定の資本性が認められることから、株式の希薄化なしに実質的な財務体質の強化を図っております。また、当社ではコーポレートガバナンスへの取り組みとして、CEOをはじめとした会社役員が参加するガバナンス法制セミナーの開催や、取締役会規程など諸規程の見直し、第三者機関による外部客観評価を交えた取締役会の実効性に関する分析・評価を行うなど、今後もガバナンス体制の強化に向けて努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、TIATの連結子会社化による収益構造の変化や特別損益の発生もあり、営業収益は 2,736億1千8百万円(前年比 21. 1%増)、営業利益は 224億8千1百万円(前年比 67. 4%増)、経常利益は 203億7千9百万円(前年比 22. 1%増)、親会社株主に帰属する当期利益は 330億4百万円(前年比 180. 3%増)となりました。
なお、昨年9月に羽田空港旅客ターミナルは英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”において、5年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに本年3月には2019年国際空港評価の空港総合評価である「The World's Best Airports」でも世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「The World's Cleanest Airports」(4年連続)と、「The World's Best Domestic Airports」(7年連続)に加え、今回より新設された高齢者、障害のある方や怪我をされた方に配慮された施設の評価部門である「World's Best PRM / Accessible Facilities」でも、世界第1位となりました。当社では東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えている中で、首都圏の空の玄関口としてオール羽田で連携し、国内線と国際線ターミナルともに、利便性や快適性、機能性に優れた施設とサービスを提供し、羽田空港の“あるべき姿”を追求し、世界中のお客さまから信頼され続ける空港を目指してまいります。
セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、営業利益はセグメント利益に該当します。
(施設管理運営業)
TIATの連結子会社化に伴い、羽田空港国際線ターミナルにおける家賃収入、国際線旅客取扱施設利用料収入、駐車場収入、広告・ラウンジ収入等が追加される一方で、これまでの国際線業務受託料収入は相殺されております。
連結子会社化以外の影響では、家賃収入につきましては、第2ターミナルの拡張部分における工事の影響で、一部店舗の閉鎖に伴う家賃収入の減少がありましたが、航空会社等事務室への貸室増や、第1ターミナル5階の「THE HANEDA HOUSE」の開業などにより、前年を上回りました。
施設利用料収入につきましては、自然災害などの影響による国内線の欠航もありましたが、堅調なビジネス需要や訪日旅客の国内移動需要などによる国内線航空旅客数の増加により、国内線旅客取扱施設利用料収入が増加して、前年を上回りました。
その他の収入につきましては、国内線でのラウンジ収入の増加等により、前年を上回りました。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 875億8千4百万円(前年比 44. 9%増)、営業利益は 143億3千9百万円(前年比 113. 5%増)となりました。
(物 品 販 売 業)
TIATの連結子会社化に伴い、羽田空港国際線ターミナルにおける免税売店売上が追加される一方で、これまでの卸売上が相殺されております。
連結子会社化以外の影響では、国内線売店売上につきましては、国内線航空旅客数の増加、及び購買単価を引き上げる施策を実施した結果、前年を上回りました。
国際線売店売上につきましては、昨年10月以降、中国で免税品の持ち込みに対する規制強化や人民元安等の変動の影響により、中国人旅客の購入点数の減少や高額品の買い控えで商品売上の伸びの鈍化が続いておりましたが、羽田空港国際線では、航空旅客数の増加に加え、到着時免税店の開業や総合免税店の改装など品揃えの強化や店舗オペレーションの効率化に取り組んだことと、中部空港での新規店舗の開業効果などで、前年を上回りました。
その他の売上につきましては、地方空港への卸売上が好調に推移しており、前年を上回りました。
その結果、物品販売業の営業収益は 1,729億9千6百万円(前年比 16. 4%増)、営業利益は 157億6千万円(前年比 39. 2%増)となりました。
(飲 食 業)
TIATの連結子会社化に伴い、羽田空港国際線ターミナルにおける飲食店舗売上が追加される一方で、これまでの国際線業務受託料収入が相殺されております。
連結子会社化以外の影響では、飲食店舗売上につきましては、国内線ターミナルで飲食店舗のリニューアルや国際化工事の進展に伴う一部飲食店舗の閉鎖等により前年を下回りました。
機内食売上につきましては、顧客である外国航空会社の前期からの増便や新規取引開始等により、前年を上回りました。
その結果、飲食業の営業収益は 226億1千3百万円(前年比 1. 5%増)、営業利益は 8億8千万円(前年比 1. 8%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ449億4千3百万円増加し、872億7千3百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 120億3千1百万円増加(前期比 54.1%増)し、342億8千8百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 199億8千5百万円減少(前期比 70. 2%減)し 84億8千9百万円となりました。
これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 97億1千4百万円増加し、191億5千2百万円(前期比 102.9%増)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入等によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
施設管理運営業(百万円)82,05058,44340.4
家賃収入(百万円)17,45413,27831.4
施設利用料収入(百万円)43,50518,754132.0
その他の収入(百万円)21,09026,410△20.1
物品販売業(百万円)171,472147,78716.0
国内線売店売上(百万円)36,21235,1533.0
国際線売店売上(百万円)98,51535,497177.5
その他の売上(百万円)36,74577,136△52.4
飲食業(百万円)20,09519,7221.9
飲食店舗売上(百万円)12,5149,84627.1
機内食売上(百万円)6,7646,5882.7
その他の売上(百万円)8163,286△75.2
合計(百万円)273,618225,95321.1

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度において、営業収益実績に著しい変動がありました。これは、施設管理運営業、物品販売
業、飲食業セグメントにおいて東京国際空港ターミナル株式会社を連結子会社化したこと等によるもので
あります。
4.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。
区 分当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
比率(%)比率(%)
所有総面積 (㎡)874,602616,142
貸付可能面積(㎡)274,206100.0232,648100.0
貸付面積 (㎡)268,74098.0221,25895.1
航空会社 (㎡)149,54554.5122,75452.8
一般テナント (㎡)63,38123.156,29124.2
当社グループ使用(㎡)55,81420.442,21218.1

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、退職給付債務や退職給付費用を測定するための数理計算上の基礎率や計算方法は当社グループの状況から適切なものであると考えております。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(2)財政状態の分析
① 資産面では、TIATの連結子会社化等により投資有価証券が 151億1千8百万円減少したものの、現金及び預金が 449億7千1百万円及び有形固定資産が 1,744億5百万円、借地権が 370億5千万円増加いたしました。
これらの結果、総資産は 4,846億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ 2,452億6千5百万円増加いたしました。
② 負債面では、TIATの連結子会社化等により長期借入金が 1,331億3千5百万円増加及び繰延税金負債が 142億4百万円増加いたしました。
これらの結果、負債合計は 2,832億6千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ 1,800億3千1百万円増加いたしました。
(3)経営成績の分析
TIATの連結子会社化による収益構造の変化や特別損益の発生もあり、営業収益は 2,736億1千8百万円(前年比 21. 1%増)、営業利益は 224億8千1百万円(前年比 67. 4%増)、経常利益は 203億7千9百万円(前年比 22. 1%増)、親会社株主に帰属する当期利益は 330億4百万円(前年比 180. 3%増)となりました。
なお、セグメント別の売上につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の業績の概要」に記載しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナルビル等への大型設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
運転資金は、自己資金を基本としており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。
また、シングルAプラス以上の格付け(日本の格付け機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化および資金調達コストの低減を図っており、設備投資に対応する借入の一部については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。
さらに、不足の事態に対応したコミット期間付タームローンおよびコミットライン契約を合計90億円の極度額で設定しており、当面の資金繰りに支障が生ずることがないと考えております。
一方、当連結会計年度に連結子会社となりましたTIATにつきましては、PFI事業であることから事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資についてはプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金による調達等を実施しております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は 872億7千3百万円、借入金等を含む有利子負債残高は 2,158億5千1百万円となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、中期経営計画において以下の目標指標を定めており、2020年度の目標指標達成を重要課題として取り組んでおります。総合力指標であるROA(EBITDA)につきましては、世界的に評価の高い空港をベンチマークとし12.0%を目標としております。収益性指標につきましては、従来持分法適用会社であったTIATの連結子会社化を踏まえまして、営業利益率を8.0%以上を目標としております。安定性指標である自己資本比率につきましては、同じくプロジェクトファイナンスで事業運営を行うTIATを連結子会社化したことにより自己資本比率が低下したため、早期の安定をめざすという目標としております。
2019年度につきましては、第2ターミナルの国際線化工事等による一過性の費用等が発生するため減益となることを想定しており指標の悪化が予想されますが、第2ターミナルの国際線化施設の通期供用開始により2020年度の目標指標の達成を目指してまいります。
各種指標の推移は以下のとおりです。
中期経営計画の進捗 (億円)
区分2018年度実績2019年度予想2020年度計画
売上高2,7362,7753,000
営業利益224160250
経常利益203142220
親会社株主に帰属する当期純利益33080130

各種指標
各指標2018年度実績2020年度目標
総合力指標:ROA(EBITDA)13.0%12.0%
収益性指標:営業利益率8.2%8.0%以上
安定性指標:自己資本比率33.7%早期の安定性を目指す

(7)経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し
次期におけるわが国経済は、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある状況となっております。
航空業界におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックとその先を見据えた首都圏空港の機能強化に向けた取り組みや、「観光先進国」の実現に向けて訪日外国人旅行者の目標2020年4,000万人、2030年6,000万人に向けた地方空港等のゲートウェイ機能強化が進められています。また、テロ対策の強化や安全な運航の確保に向けたセキュリティ・セイフティの万全な確保の取り組みも進められています。
当社としましては、このような状況に確実に対応するため、羽田国際化施設の供用開始後の運用に関する準備の推進、訪日中国人の消費動向の変化への着実な対応、2020年度のガイドラインの確実な達成を見据えた利益計画の遂行を経営課題と掲げて、取り組んでまいります。現在、見込まれるセグメント別の収益は以下のとおりです。
施設管理運営業につきましては、昨年12月に開業した「THE HANEDA HOUSE」の通年営業や、2019年度中の第2ターミナルでの事務室増床による航空会社事務室への貸室増による家賃収入の増加、羽田空港国内線と国際線の航空旅客数増加による施設利用料収入の増加により、収益は前年を上回ると予想されます。一方で、営業利益につきましては、国際化施設等の完成による一過性費用の発生により、前年を下回ると予想されます。
物品販売業につきましては、本年1月以降は一部免税店舗におきまして商品売上が前年を下回る状況の中、引き続き訪日外国人の旅客数の増加は見込まれるものの、購買単価の伸びが鈍化していることや、羽田空港第2ターミナルの拡張部分における工事の影響による国内線売店での売上の減少、羽田国際線でのブランドブティック店舗と成田空港の総合免税店でリニューアル工事を計画していることから、商品売上は厳しい環境にあります。ただし、本年3月末にグランドオープンした羽田国際線の総合免税店の改装による効果のほか、IT活用によるeコマースの取り組みの推進や地方空港への卸売を強化することで、収益は前年とほぼ同水準と予想されます。
飲食業につきましては、第2ターミナルの一部国際化工事の進展に伴う飲食店舗の閉鎖等の影響がありますが、収益は前年とほぼ同水準と予想されます。

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