有価証券報告書-第76期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
業績等の概要
(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、本年2月までは緩やかに回復していたものの、3月に入り新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は足下で大幅に下押しされ、厳しい状況にあります。先行きにつきましても、感染症の影響により急速に悪化しており、極めて厳しい状況が続いていくことが見込まれます。
当社の事業環境としましては、訪日外国人旅客数は昨年12月までは、2019年累計(1月~12月)で3,188万人と、過去最高となりました。しかし本年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の流行により、中国などで団体ツアーの禁止や航空便の減便等が相次ぎ、訪日客数は大きく減少し本年2月は約60%減となりました。さらに3月には、感染症の影響が世界的に拡大し、多くの国で海外渡航制限や外出禁止等の措置が取られ、日本でも検疫強化や査証の無効化等が実施されたこと等により世界各国からの訪日客数が前年を下回り、約90%減となりました。4月以降も感染症収束の見通しは立たず、世界的にも旅行控えが発生して人の動きが抑制されており、厳しい環境が続いております。
特に羽田空港国際線におきましては、本年2月に中国便の約半数が欠航、3月には中国便と韓国便が全便欠航したことに加え、欧米諸国など他の路線にも欠航便が広がり、旅客数は対前年同月比80%以上の減となりました。羽田空港国内線におきましても、2月までは欠航便が無かったものの、3月上旬より計画減便が実施され、3月の旅客数は対前年同月比で約60%の減となりました。さらに、当社が事業を営む成田空港等の国際拠点空港におきましても、本年2月以降は国際線旅客を中心に、大幅に減少しております。
その中で、当社グループでは、本年1月末から2月にかけて、中国・武漢市からの邦人帰国のために日本政府が派遣したチャーター便の受け入れにあたり、関係省庁や航空会社と連携して対応を行いました。その他にも、旅客ターミナル内の一部施設の閉鎖や直営店舗の営業時間の短縮及び一時休業など、状況に応じて速やかに対応しております。
このような状況のもと、当社グループは、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し、持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして「To Be a World Best Airport」を掲げ、その長期ビジョンに基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し、「羽田空港の“あるべき姿”の追求」、「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」、「収益基盤再構築・競争優位の確立」を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んでまいりました。
当期の主な課題としましては、「羽田国際化施設の供用開始後の運用に関する準備の推進」、「訪日中国人の消費動向の変化への着実な対応」、「2020年度のガイドラインの確実な達成を見据えた利益計画の遂行」に取り組んでまいりました。特に、「羽田国際化関連の準備」では、国土交通省による羽田空港国際線の発着枠の増枠に合わせ、本年3月14日には国際線ターミナルを第3ターミナルへ名称変更し、3月29日には第2ターミナル国際線施設を供用開始しました。その他にも、昨年10月の第2ターミナル北側に事務室増床や、12月の第3ターミナルの拡張に加え、最先端技術を活用したストレスフリーで快適な搭乗手続き「FAST TRAVEL」の推進、ユニバーサルデザインの強化、多言語対応の整備など、円滑な輸送の確保に必要な施設整備を行いました。
営業面におきましては、国内線と国際線の店舗で、新規オープンやリニューアルを行うほか、第2ターミナル国際線施設の商業エリアにおいて、「消費動向の変化への対応」として、「TOKYO AIR」をコンセプトに、東京の空気を体感いただける34の店舗を展開し、国内免税市場において初となるリアルとデジタルを融合させたバーチャルブティック「HANEDA VIRTUAL BOUTIQUE」をオープンしました。
その他の取り組みとしましては、本年2月に株式会社エージーピーの株式を取得し、持分法適用会社としました。今後、当社の事業領域の拡大や国内外空港の運営事業への展開などにおいて、新たなシナジー効果が創出できるものと考えております。さらに3月には、株式会社JTBと、羽田空港を起点とした新たな魅力づくりや交流創造、体験価値の向上につながる事業共創に向けて、包括的業務提携契約を締結しました。今後、第2ターミナルに新設したウェルカムセンターでの観光案内やプロモーション、食材を起点に地域の魅力を伝えるカフェのプロデュースなど、羽田空港における新たなサービスの提供に加え、地域の活性化にも貢献してまいります。
ESGとしての取り組みでは、今後の羽田空港のゴミの排出の増大への対策として、地球環境に配慮し、より効率的なゴミ処理を目指して、本年2月に新リサイクル棟建設に着工し、2020年度内の稼働を予定しております。また、3月には国内空港では初めて、ショッピングバッグを石灰石と植物由来樹脂を主原料とする「Bio LIMEX Bag」に切り替え、6月までに全ての直営店舗で導入する予定です。これにより、羽田空港では石油由来プラスチックの年間使用量を約462t、CO2の年間排出量を約1,000tの削減効果を見込んでおります。さらに、人材育成における社会貢献活動として、官民協働プロジェクト「官民協働海外留学支援制度(トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム)」へ支援を行ってまいりました。
最後に、本年3月に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催延期が決定されましたが、これに伴う当社業績の影響は軽微なものと見ております。今後も首都圏の空の玄関口として、大会の円滑な開催に向けて、準備を進めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は2,497億5千6百万円(前年比 8.7%減)、営業利益は98億9千2百万円(前年比 56.0%減)、経常利益は、87億5百万円(前年比 57.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年のTIATの連結子会社化に伴う一過性の特別損益が無くなり、50億1千2百万円(前年比 84.8%減)となりました。
営業収益につきましては、施設管理運営業では家賃収入の増収があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内線と国際線の旅客数が減少したことで、物品販売業、飲食業で減収となりました。営業利益につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、利益計画を遂行すべく、直営店舗の営業時間の短縮及び一時休業のほか、空港内における無料連絡バスの運行本数の削減や既存施設の設備更新工事の実施時期の先送りなど、さまざまなコスト削減策を実施しましたが、減収の影響のほか、第2ターミナル国際線施設の供用開始に伴う一時費用の発生などにより、減益となりました。
(単位:百万円)
なお、羽田空港旅客ターミナルは昨年11月に、英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”において、6年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに本年5月には2020年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」でも世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「World's Cleanest Airports」(5年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(8年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(2年連続)でも、世界第1位となりました。当社では今後も、オール羽田で連携し、全ての旅客ターミナルで利便性や快適性、機能性に優れた施設とサービスを提供し、羽田空港の“あるべき姿”を追求し、世界中のお客様から信頼され続ける空港を目指してまいります。
セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、営業利益はセグメント利益に該当します。
(施設管理運営業)
(単位:百万円)
家賃収入につきましては、昨年度の「THE HANEDA HOUSE」の開業に加え、昨年10月の第2ターミナル北側の事務室増床などによる航空会社への貸室増等で、前年を上回りました。
施設利用料収入につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内線と国際線の旅客数が減少したことで、旅客取扱施設利用料収入が減少し、前年を下回りました。
その他の収入につきましては、第2ターミナル国際線施設等の建設工事に関連して、請負工事や警備料等の業務受託料収入が増加したことにより、前年を上回りました。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 886億4千万円(前年比 1.2%増)となりました。営業利益は、昨年度より供用開始した第2ターミナルボーディングステーションやサテライト施設、P4駐車場の増床部、昨年12月に供用開始した国際線ターミナルの増築部における減価償却費や運用経費の増加、また9月の第1ターミナルのリニューアル工事完了や、10月の第2ターミナル北側事務室の増床に伴う修繕費の増加に加え、本年3月の第2ターミナル国際線施設の供用開始に伴う不動産取得税など一時費用の発生などにより、69億3千2百万円(前年比 51.7%減)となりました。
(物 品 販 売 業)
(単位:百万円)
国内線売店売上につきましては、第2ターミナル国際化工事に伴い「イセタン羽田ストア(メンズ)ターミナル2」などの店舗を閉鎖していたことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少で、前年を下回りました。
国際線売店売上につきましては、羽田空港免税店では、昨年12月までは総合免税店などのリニューアル効果もあり、訪日中国人の消費動向が減退する中でも前年をわずかに上回っていたものの、本年2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響で、特に中国便の欠航による中国人旅客の減少の影響が大きく、売上は前年を下回りました。また、成田空港や空港型市中免税店「Japan Duty Free GINZA」でも、上期での店舗改修に伴う一時閉鎖の影響や中国人の消費動向の減退に加え、本年2月以降の感染症の影響による旅客数の減少で、前年を大きく下回っております。
その他の売上につきましては、成田空港における卸売事業と業務受託店舗の縮小に加え、地方空港では昨年7月からの韓国人旅客の減少もあり各空港への卸売上が減少しました。さらに、感染症の拡大に伴う国際線の減便等の影響で卸売上が減少し、前年を大きく下回っております。
その結果、物品販売業の営業収益は 1,492億7千2百万円(前年比 13.7%減)となりました。営業利益は減収の影響に加え、成田空港の免税店舗と空港型市中免税店での店舗リニューアル、羽田空港第2ターミナルにおける免税店等の新規オープンに伴う一時費用の増加で、108億2千3百万円(前年比 31.3%減)となりました。
(飲 食 業)
(単位:百万円)
飲食店舗売上につきましては、第2ターミナル国際化工事に伴う店舗閉鎖の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少で、店舗の営業時間の短縮や臨時休業を行ったことなどにより、前年を下回りました。
機内食売上につきましては、昨年12月までは顧客である外国航空会社の旅客数増加で前年を上回っていたものの、本年2月以降の旅客数の減少により、前年を下回っております。
その結果、飲食業の営業収益は 215億6千1百万円(前年比 4.7%減)となりました。営業利益は調達コスト等の低減に取り組んだものの、減収の影響が大きく、4億5千1百万円(前年比 48.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ
154億7千7百万円減少し、 717億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 140億6千6百万円減少(前期比 41. 0%減)し、 202億2千2百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 488億4千4百万円増加(前期比 575. 4%増)し、573億3千4百万円となりました。
これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 24億9千1百万円増加(前期比 13. 0%増)し、216億4千4百万円となりました。
これは主に、社債発行による収入等によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。
本年3月に供用開始いたしました第2ターミナルの一部の面積につきましては、求積が完了していないため概算で記載しており今後変更となる可能性があります。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、退職給付債務や退職給付費用を測定するための数理計算上の基礎率や計算方法は当社グループの状況から適切なものであると考えております。
本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「5[経理の状況][注記事項](追加情報)」に記載しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、建設工事代の支払い等により現金及び預金が減少しました。固定資産は、建物及び構築物等の減価償却が進んだ一方で、羽田国際化投資として取り組んでおりました第2ターミナル国際線施設、第3ターミナルの増築部、第2ターミナル北側の事務室増床などの施設の完成に伴い、建物及び構築物等が増加しました。また、株式会社エージーピーの株式の取得などもあり、その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 367億8百万円増加し、5,213億6千3百万円となりました。
(負債)
新株予約権付社債の償還や長期借入金の返済等がありましたが、無担保普通社債を発行したほか長期借入金を追加で調達したことにより増加しました。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 361億9千9百万円増加し、3,194億6千4百万円となりました。
(純資産)
配当金の支払いやその他有価証券評価差額金で減少した一方で、当期純利益の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が増加しました。
その結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ 5億9百万円増加し、2,018億9千9百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、31.2%(前連結会計年度末は 33.7%)となりました。
(3)経営成績の分析
営業収益は2,497億5千6百万円(前年比 8.7%減)、営業利益は98億9千2百万円(前年比 56.0%減)、経常利益は、87億5百万円(前年比 57.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年のTIATの連結子会社化に伴う一過性の特別損益が無くなり、50億1千2百万円(前年比 84.8%減)となりました。
なお、セグメント別の売上につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の業績の概要」に記載しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナル等への大型設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
運転資金は、自己資金を基本としておりますが、不測の事態に対応したコミット期間付タームローン及びコミットメントライン契約を合計90億円の極度額で設定しており、当面の資金繰りに支障が生じることがないと考えております。新型コロナウイルス感染症の影響による減収で資金不足となるリスクを回避する対策として複数行との間で200億円の短期借入枠を設定しており、今後も減収影響が長期化した場合に備えて、さらなる資金確保の取り組みを検討していく予定です。
投資については、定常的な投資を削減する一方で、将来に向けた成長投資も含め、計画を検討しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、決定してまいります。
旅客ターミナル等の大規模設備投資の調達については、金融機関からの長期借入、社債等を基本としており、シングルAプラス以上の格付け(日本の格付け機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化及び資金調達コストの低減を図っており、設備投資に対応する借入の一部については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。なお、連結子会社のうち、PFI事業であるTIATにつきましては、事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナル等の大規模設備投資についてはプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金による調達等を実施しております。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行っております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高が717億9千5百万円、借入金等を含む有利子負債残高は2,435億5千8百万円となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2016年度から2020年度に係る中期経営計画において、以下の目標指標を定めており、2020年度(最終年度)の目標指標達成を重要課題として取り組んでおります。総合力指標であるROA(EBITDA)につきましては、世界的に評価の高い空港をベンチマークとし12.0%を目標としております。収益性指標につきましては、営業利益率を8.0%以上を目標としております。安定性指標である自己資本比率につきましては、2018年5月にTIATを連結子会社化したことにより低下したため、早期の安定をめざすという目標としております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、現時点において目標指標の達成は非常に困難な状況にございます。新型コロナウイルス感染症に伴う当連結会計年度業績への影響額は、主に旅客数の減少に伴う施設利用料収入や商品売上の減収により、売上高は約210億円の減、営業利益は約70億円の減となります。
この影響は、旅客数の回復に従い、徐々に減少していくことが考えられますが、今後も一定期間影響が継続するものと認識しております。
各種指標の推移は以下のとおりです。
中期経営計画の進捗 (億円)
各種指標
(7)経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し
新型コロナウイルス感染症の影響により、航空業界におきましては全世界における渡航制限や、国内での移動の自粛が求められたこともあり、航空需要の著しい減退が続いております。
羽田空港におきましても4月7日の緊急事態宣言発出後、国際線で90%以上、国内線で70%以上の旅客便が欠航しており、羽田空港利用者も大幅に減少しております。当社では空港利用者や従業員の健康と安全確保、感染拡大防止の観点から、旅客ターミナル内の一部店舗、施設の臨時休業または営業時間の短縮を行っております。また、航空会社や物販飲食店などの入居テナントに対しては、家賃減免措置を実施しております。その影響で、家賃収入、施設利用料収入、駐車場収入、有料ラウンジ売上、商品売上、飲食売上の減収が続くなど、当社グループの業績に大きな影響が生じております。
これらの対策として、当社グループでは、旅客ターミナル等において運用区域を限定することによる運営管理費用の削減などのコスト削減策を実施するとともに、役員報酬の一部を返上しております。また、財務面におきましては、既存のコミットメントライン契約の90億円に加え、本年4月に複数行との間で200億円の短期借入枠を設定し、減収による資金不足のリスクを回避する対策をとっております。今後も、減収影響が長期化した場合に備えて、さらなる資金確保の取り組みを検討していく予定です。
業績予想につきましては、緊急事態宣言が解除されたものの、国内線、国際線ともに航空需要の回復の見通しを見極めることが困難であることから、2021年3月期の業績予想は未定とさせていただきました。今後、業績予想を合理的に算定することが可能になった段階でお示しすることといたします。
今回の新型コロナウイルス感染症の影響は、テレワークの進展など社会全体の在り方を大きく変える方向性にあり、航空業界におきましてもその先行きには不透明なところがあります。しかしながら、中長期的には航空需要の高まりはますます期待出来るところであり、当社としましては、引き続き首都圏の空の玄関口である羽田空港旅客ターミナルの利便性、機能性、快適性をより一層向上させて、羽田空港の価値向上に向けて取り組んでまいります。
(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、本年2月までは緩やかに回復していたものの、3月に入り新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は足下で大幅に下押しされ、厳しい状況にあります。先行きにつきましても、感染症の影響により急速に悪化しており、極めて厳しい状況が続いていくことが見込まれます。
当社の事業環境としましては、訪日外国人旅客数は昨年12月までは、2019年累計(1月~12月)で3,188万人と、過去最高となりました。しかし本年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の流行により、中国などで団体ツアーの禁止や航空便の減便等が相次ぎ、訪日客数は大きく減少し本年2月は約60%減となりました。さらに3月には、感染症の影響が世界的に拡大し、多くの国で海外渡航制限や外出禁止等の措置が取られ、日本でも検疫強化や査証の無効化等が実施されたこと等により世界各国からの訪日客数が前年を下回り、約90%減となりました。4月以降も感染症収束の見通しは立たず、世界的にも旅行控えが発生して人の動きが抑制されており、厳しい環境が続いております。
特に羽田空港国際線におきましては、本年2月に中国便の約半数が欠航、3月には中国便と韓国便が全便欠航したことに加え、欧米諸国など他の路線にも欠航便が広がり、旅客数は対前年同月比80%以上の減となりました。羽田空港国内線におきましても、2月までは欠航便が無かったものの、3月上旬より計画減便が実施され、3月の旅客数は対前年同月比で約60%の減となりました。さらに、当社が事業を営む成田空港等の国際拠点空港におきましても、本年2月以降は国際線旅客を中心に、大幅に減少しております。
その中で、当社グループでは、本年1月末から2月にかけて、中国・武漢市からの邦人帰国のために日本政府が派遣したチャーター便の受け入れにあたり、関係省庁や航空会社と連携して対応を行いました。その他にも、旅客ターミナル内の一部施設の閉鎖や直営店舗の営業時間の短縮及び一時休業など、状況に応じて速やかに対応しております。
このような状況のもと、当社グループは、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し、持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして「To Be a World Best Airport」を掲げ、その長期ビジョンに基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し、「羽田空港の“あるべき姿”の追求」、「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」、「収益基盤再構築・競争優位の確立」を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んでまいりました。
当期の主な課題としましては、「羽田国際化施設の供用開始後の運用に関する準備の推進」、「訪日中国人の消費動向の変化への着実な対応」、「2020年度のガイドラインの確実な達成を見据えた利益計画の遂行」に取り組んでまいりました。特に、「羽田国際化関連の準備」では、国土交通省による羽田空港国際線の発着枠の増枠に合わせ、本年3月14日には国際線ターミナルを第3ターミナルへ名称変更し、3月29日には第2ターミナル国際線施設を供用開始しました。その他にも、昨年10月の第2ターミナル北側に事務室増床や、12月の第3ターミナルの拡張に加え、最先端技術を活用したストレスフリーで快適な搭乗手続き「FAST TRAVEL」の推進、ユニバーサルデザインの強化、多言語対応の整備など、円滑な輸送の確保に必要な施設整備を行いました。
営業面におきましては、国内線と国際線の店舗で、新規オープンやリニューアルを行うほか、第2ターミナル国際線施設の商業エリアにおいて、「消費動向の変化への対応」として、「TOKYO AIR」をコンセプトに、東京の空気を体感いただける34の店舗を展開し、国内免税市場において初となるリアルとデジタルを融合させたバーチャルブティック「HANEDA VIRTUAL BOUTIQUE」をオープンしました。
その他の取り組みとしましては、本年2月に株式会社エージーピーの株式を取得し、持分法適用会社としました。今後、当社の事業領域の拡大や国内外空港の運営事業への展開などにおいて、新たなシナジー効果が創出できるものと考えております。さらに3月には、株式会社JTBと、羽田空港を起点とした新たな魅力づくりや交流創造、体験価値の向上につながる事業共創に向けて、包括的業務提携契約を締結しました。今後、第2ターミナルに新設したウェルカムセンターでの観光案内やプロモーション、食材を起点に地域の魅力を伝えるカフェのプロデュースなど、羽田空港における新たなサービスの提供に加え、地域の活性化にも貢献してまいります。
ESGとしての取り組みでは、今後の羽田空港のゴミの排出の増大への対策として、地球環境に配慮し、より効率的なゴミ処理を目指して、本年2月に新リサイクル棟建設に着工し、2020年度内の稼働を予定しております。また、3月には国内空港では初めて、ショッピングバッグを石灰石と植物由来樹脂を主原料とする「Bio LIMEX Bag」に切り替え、6月までに全ての直営店舗で導入する予定です。これにより、羽田空港では石油由来プラスチックの年間使用量を約462t、CO2の年間排出量を約1,000tの削減効果を見込んでおります。さらに、人材育成における社会貢献活動として、官民協働プロジェクト「官民協働海外留学支援制度(トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム)」へ支援を行ってまいりました。
最後に、本年3月に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催延期が決定されましたが、これに伴う当社業績の影響は軽微なものと見ております。今後も首都圏の空の玄関口として、大会の円滑な開催に向けて、準備を進めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は2,497億5千6百万円(前年比 8.7%減)、営業利益は98億9千2百万円(前年比 56.0%減)、経常利益は、87億5百万円(前年比 57.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年のTIATの連結子会社化に伴う一過性の特別損益が無くなり、50億1千2百万円(前年比 84.8%減)となりました。
営業収益につきましては、施設管理運営業では家賃収入の増収があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内線と国際線の旅客数が減少したことで、物品販売業、飲食業で減収となりました。営業利益につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、利益計画を遂行すべく、直営店舗の営業時間の短縮及び一時休業のほか、空港内における無料連絡バスの運行本数の削減や既存施設の設備更新工事の実施時期の先送りなど、さまざまなコスト削減策を実施しましたが、減収の影響のほか、第2ターミナル国際線施設の供用開始に伴う一時費用の発生などにより、減益となりました。
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年比増減率(%) | |
| 営 業 収 益 | 273,618 | 249,756 | △ 8.7 | |
| (施設管理運営業) | (82,050) | (82,942) | 1.1 | |
| (物品販売業) | (171,472) | (147,893) | △ 13.8 | |
| (飲食業) | (20,095) | (18,920) | △ 5.8 | |
| 営 業 利 益 | 22,481 | 9,892 | △ 56.0 | |
| 経 常 利 益 | 20,379 | 8,705 | △ 57.3 | |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 33,004 | 5,012 | △ 84.8 | |
なお、羽田空港旅客ターミナルは昨年11月に、英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”において、6年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに本年5月には2020年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」でも世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「World's Cleanest Airports」(5年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(8年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(2年連続)でも、世界第1位となりました。当社では今後も、オール羽田で連携し、全ての旅客ターミナルで利便性や快適性、機能性に優れた施設とサービスを提供し、羽田空港の“あるべき姿”を追求し、世界中のお客様から信頼され続ける空港を目指してまいります。
セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、営業利益はセグメント利益に該当します。
(施設管理運営業)
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年比 増減率 (%) | |
| 施設管理運営業 | 82,050 | 82,942 | 1.1 | |
| 家賃収入 | 17,454 | 18,259 | 4.6 | |
| 施設利用料収入 | 43,505 | 41,019 | △ 5.7 | |
| その他の収入 | 21,090 | 23,662 | 12.2 | |
| セグメント間の内部売上高 | 5,533 | 5,697 | 3.0 | |
| 売上高 合計 | 87,584 | 88,640 | 1.2 | |
| セグメント利益 | 14,339 | 6,932 | △ 51.7 | |
家賃収入につきましては、昨年度の「THE HANEDA HOUSE」の開業に加え、昨年10月の第2ターミナル北側の事務室増床などによる航空会社への貸室増等で、前年を上回りました。
施設利用料収入につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内線と国際線の旅客数が減少したことで、旅客取扱施設利用料収入が減少し、前年を下回りました。
その他の収入につきましては、第2ターミナル国際線施設等の建設工事に関連して、請負工事や警備料等の業務受託料収入が増加したことにより、前年を上回りました。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 886億4千万円(前年比 1.2%増)となりました。営業利益は、昨年度より供用開始した第2ターミナルボーディングステーションやサテライト施設、P4駐車場の増床部、昨年12月に供用開始した国際線ターミナルの増築部における減価償却費や運用経費の増加、また9月の第1ターミナルのリニューアル工事完了や、10月の第2ターミナル北側事務室の増床に伴う修繕費の増加に加え、本年3月の第2ターミナル国際線施設の供用開始に伴う不動産取得税など一時費用の発生などにより、69億3千2百万円(前年比 51.7%減)となりました。
(物 品 販 売 業)
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年比 増減率 (%) | |
| 物品販売業 | 171,472 | 147,893 | △ 13.8 | |
| 国内線売店売上 | 36,212 | 33,148 | △ 8.5 | |
| 国際線売店売上 | 98,515 | 84,420 | △ 14.3 | |
| その他の売上 | 36,745 | 30,323 | △ 17.5 | |
| セグメント間の内部売上高 | 1,523 | 1,378 | △ 9.5 | |
| 売上高 合計 | 172,996 | 149,272 | △ 13.7 | |
| セグメント利益 | 15,760 | 10,823 | △ 31.3 | |
国内線売店売上につきましては、第2ターミナル国際化工事に伴い「イセタン羽田ストア(メンズ)ターミナル2」などの店舗を閉鎖していたことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少で、前年を下回りました。
国際線売店売上につきましては、羽田空港免税店では、昨年12月までは総合免税店などのリニューアル効果もあり、訪日中国人の消費動向が減退する中でも前年をわずかに上回っていたものの、本年2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響で、特に中国便の欠航による中国人旅客の減少の影響が大きく、売上は前年を下回りました。また、成田空港や空港型市中免税店「Japan Duty Free GINZA」でも、上期での店舗改修に伴う一時閉鎖の影響や中国人の消費動向の減退に加え、本年2月以降の感染症の影響による旅客数の減少で、前年を大きく下回っております。
その他の売上につきましては、成田空港における卸売事業と業務受託店舗の縮小に加え、地方空港では昨年7月からの韓国人旅客の減少もあり各空港への卸売上が減少しました。さらに、感染症の拡大に伴う国際線の減便等の影響で卸売上が減少し、前年を大きく下回っております。
その結果、物品販売業の営業収益は 1,492億7千2百万円(前年比 13.7%減)となりました。営業利益は減収の影響に加え、成田空港の免税店舗と空港型市中免税店での店舗リニューアル、羽田空港第2ターミナルにおける免税店等の新規オープンに伴う一時費用の増加で、108億2千3百万円(前年比 31.3%減)となりました。
(飲 食 業)
(単位:百万円)
| 区 分 | 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年比 増減率 (%) | |
| 飲食業 | 20,095 | 18,920 | △ 5.8 | |
| 飲食店舗売上 | 12,514 | 11,514 | △ 8.0 | |
| 機内食売上 | 6,764 | 6,543 | △ 3.3 | |
| その他の売上 | 816 | 863 | 5.8 | |
| セグメント間の内部売上高 | 2,518 | 2,641 | 4.9 | |
| 売上高 合計 | 22,613 | 21,561 | △ 4.7 | |
| セグメント利益 | 880 | 451 | △ 48.7 | |
飲食店舗売上につきましては、第2ターミナル国際化工事に伴う店舗閉鎖の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少で、店舗の営業時間の短縮や臨時休業を行ったことなどにより、前年を下回りました。
機内食売上につきましては、昨年12月までは顧客である外国航空会社の旅客数増加で前年を上回っていたものの、本年2月以降の旅客数の減少により、前年を下回っております。
その結果、飲食業の営業収益は 215億6千1百万円(前年比 4.7%減)となりました。営業利益は調達コスト等の低減に取り組んだものの、減収の影響が大きく、4億5千1百万円(前年比 48.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ
154億7千7百万円減少し、 717億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 140億6千6百万円減少(前期比 41. 0%減)し、 202億2千2百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 488億4千4百万円増加(前期比 575. 4%増)し、573億3千4百万円となりました。
これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 24億9千1百万円増加(前期比 13. 0%増)し、216億4千4百万円となりました。
これは主に、社債発行による収入等によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 施設管理運営業(百万円) | 82,942 | 82,050 | 1.1 | |
| 家賃収入(百万円) | 18,259 | 17,454 | 4.6 | |
| 施設利用料収入(百万円) | 41,019 | 43,505 | △5.7 | |
| その他の収入(百万円) | 23,662 | 21,090 | 12.2 | |
| 物品販売業(百万円) | 147,893 | 171,472 | △13.8 | |
| 国内線売店売上(百万円) | 33,148 | 36,212 | △8.5 | |
| 国際線売店売上(百万円) | 84,420 | 98,515 | △14.3 | |
| その他の売上(百万円) | 30,323 | 36,745 | △17.5 | |
| 飲食業(百万円) | 18,920 | 20,095 | △5.8 | |
| 飲食店舗売上(百万円) | 11,514 | 12,514 | △8.0 | |
| 機内食売上(百万円) | 6,543 | 6,764 | △3.3 | |
| その他の売上(百万円) | 863 | 816 | 5.8 | |
| 合計(百万円) | 249,756 | 273,618 | △8.7 | |
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。
| 区 分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |||
| 比率(%) | 比率(%) | ||||
| 所有総面積 (㎡) | 953,957 | 874,602 | |||
| 貸付可能面積(㎡) | 308,951 | 100.0 | 274,206 | 100.0 | |
| 貸付面積 (㎡) | 304,359 | 98.5 | 268,740 | 98.0 | |
| 航空会社 (㎡) | 158,917 | 51.4 | 149,545 | 54.5 | |
| 一般テナント (㎡) | 63,152 | 20.4 | 63,381 | 23.1 | |
| 当社グループ使用(㎡) | 82,289 | 26.6 | 55,814 | 20.4 | |
本年3月に供用開始いたしました第2ターミナルの一部の面積につきましては、求積が完了していないため概算で記載しており今後変更となる可能性があります。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、退職給付債務や退職給付費用を測定するための数理計算上の基礎率や計算方法は当社グループの状況から適切なものであると考えております。
本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「5[経理の状況][注記事項](追加情報)」に記載しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、建設工事代の支払い等により現金及び預金が減少しました。固定資産は、建物及び構築物等の減価償却が進んだ一方で、羽田国際化投資として取り組んでおりました第2ターミナル国際線施設、第3ターミナルの増築部、第2ターミナル北側の事務室増床などの施設の完成に伴い、建物及び構築物等が増加しました。また、株式会社エージーピーの株式の取得などもあり、その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 367億8百万円増加し、5,213億6千3百万円となりました。
(負債)
新株予約権付社債の償還や長期借入金の返済等がありましたが、無担保普通社債を発行したほか長期借入金を追加で調達したことにより増加しました。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 361億9千9百万円増加し、3,194億6千4百万円となりました。
(純資産)
配当金の支払いやその他有価証券評価差額金で減少した一方で、当期純利益の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が増加しました。
その結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ 5億9百万円増加し、2,018億9千9百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、31.2%(前連結会計年度末は 33.7%)となりました。
(3)経営成績の分析
営業収益は2,497億5千6百万円(前年比 8.7%減)、営業利益は98億9千2百万円(前年比 56.0%減)、経常利益は、87億5百万円(前年比 57.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年のTIATの連結子会社化に伴う一過性の特別損益が無くなり、50億1千2百万円(前年比 84.8%減)となりました。
なお、セグメント別の売上につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の業績の概要」に記載しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナル等への大型設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
運転資金は、自己資金を基本としておりますが、不測の事態に対応したコミット期間付タームローン及びコミットメントライン契約を合計90億円の極度額で設定しており、当面の資金繰りに支障が生じることがないと考えております。新型コロナウイルス感染症の影響による減収で資金不足となるリスクを回避する対策として複数行との間で200億円の短期借入枠を設定しており、今後も減収影響が長期化した場合に備えて、さらなる資金確保の取り組みを検討していく予定です。
投資については、定常的な投資を削減する一方で、将来に向けた成長投資も含め、計画を検討しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、決定してまいります。
旅客ターミナル等の大規模設備投資の調達については、金融機関からの長期借入、社債等を基本としており、シングルAプラス以上の格付け(日本の格付け機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化及び資金調達コストの低減を図っており、設備投資に対応する借入の一部については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。なお、連結子会社のうち、PFI事業であるTIATにつきましては、事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナル等の大規模設備投資についてはプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金による調達等を実施しております。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行っております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高が717億9千5百万円、借入金等を含む有利子負債残高は2,435億5千8百万円となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2016年度から2020年度に係る中期経営計画において、以下の目標指標を定めており、2020年度(最終年度)の目標指標達成を重要課題として取り組んでおります。総合力指標であるROA(EBITDA)につきましては、世界的に評価の高い空港をベンチマークとし12.0%を目標としております。収益性指標につきましては、営業利益率を8.0%以上を目標としております。安定性指標である自己資本比率につきましては、2018年5月にTIATを連結子会社化したことにより低下したため、早期の安定をめざすという目標としております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、現時点において目標指標の達成は非常に困難な状況にございます。新型コロナウイルス感染症に伴う当連結会計年度業績への影響額は、主に旅客数の減少に伴う施設利用料収入や商品売上の減収により、売上高は約210億円の減、営業利益は約70億円の減となります。
この影響は、旅客数の回復に従い、徐々に減少していくことが考えられますが、今後も一定期間影響が継続するものと認識しております。
各種指標の推移は以下のとおりです。
中期経営計画の進捗 (億円)
| 区分 | 2019年度予想 | 2019年度実績 | 2019年度差額 | 2020年度計画 | (参考)当初計画 |
| 売上高 | 2,775 | 2,497 | △278 | - | 3,000 |
| 営業利益 | 160 | 98 | △62 | - | 250 |
| 経常利益 | 142 | 87 | △55 | - | 220 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 80 | 50 | △30 | - | 130 |
各種指標
| 各指標 | 2018年度実績 | 2019年度実績 | 2020年度目標 |
| 総合力指標:ROA(EBITDA) | 13.0% | 7.5% | 12.0% |
| 収益性指標:営業利益率 | 8.2% | 4.0% | 8.0%以上 |
| 安定性指標:自己資本比率 | 33.7% | 31.2% | 早期の安定性を目指す |
(7)経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し
新型コロナウイルス感染症の影響により、航空業界におきましては全世界における渡航制限や、国内での移動の自粛が求められたこともあり、航空需要の著しい減退が続いております。
羽田空港におきましても4月7日の緊急事態宣言発出後、国際線で90%以上、国内線で70%以上の旅客便が欠航しており、羽田空港利用者も大幅に減少しております。当社では空港利用者や従業員の健康と安全確保、感染拡大防止の観点から、旅客ターミナル内の一部店舗、施設の臨時休業または営業時間の短縮を行っております。また、航空会社や物販飲食店などの入居テナントに対しては、家賃減免措置を実施しております。その影響で、家賃収入、施設利用料収入、駐車場収入、有料ラウンジ売上、商品売上、飲食売上の減収が続くなど、当社グループの業績に大きな影響が生じております。
これらの対策として、当社グループでは、旅客ターミナル等において運用区域を限定することによる運営管理費用の削減などのコスト削減策を実施するとともに、役員報酬の一部を返上しております。また、財務面におきましては、既存のコミットメントライン契約の90億円に加え、本年4月に複数行との間で200億円の短期借入枠を設定し、減収による資金不足のリスクを回避する対策をとっております。今後も、減収影響が長期化した場合に備えて、さらなる資金確保の取り組みを検討していく予定です。
業績予想につきましては、緊急事態宣言が解除されたものの、国内線、国際線ともに航空需要の回復の見通しを見極めることが困難であることから、2021年3月期の業績予想は未定とさせていただきました。今後、業績予想を合理的に算定することが可能になった段階でお示しすることといたします。
今回の新型コロナウイルス感染症の影響は、テレワークの進展など社会全体の在り方を大きく変える方向性にあり、航空業界におきましてもその先行きには不透明なところがあります。しかしながら、中長期的には航空需要の高まりはますます期待出来るところであり、当社としましては、引き続き首都圏の空の玄関口である羽田空港旅客ターミナルの利便性、機能性、快適性をより一層向上させて、羽田空港の価値向上に向けて取り組んでまいります。