有価証券報告書-第107期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 14:06
【資料】
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【項目】
168項目
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるとともに、雇用・所得環境の改善が進み、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、世界的な金融引締めや、原油・原材料価格の高騰等による下振れリスクを抱えており、先行きは依然として不透明な状況のまま推移いたしました。
このような経済情勢の下におきまして、当社グループでは、2年目に入った中期経営計画「共創140計画」に基づき、引き続き各種施策への取組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
① 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、9,506億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ155億37百万円増加いたしました。これは主に、減価償却の進捗等により有形固定資産が57億24百万円減少した一方、保有上場株式の時価上昇により投資有価証券が159億42百万円増加したことや、現金及び預金が48億77百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、6,435億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ169億78百万円減少いたしました。これは主に、前受金の増加等により流動負債その他が157億73百万円、未払法人税等が59億56百万円、繰延税金負債が50億4百万円増加した一方で、有利子負債残高が435億35百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、3,071億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ325億15百万円増加いたしました。これは主に、剰余金の配当により28億33百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により239億26百万円増加したことや、保有上場株式の時価上昇によるその他有価証券評価差額金が92億70百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は30.8%(前連結会計年度末は27.9%)となりました。
② 経営成績
当連結会計年度におきましては、運輸業における輸送人員の増加や不動産業における物件販売収入の増加等により、営業収益は2,415億94百万円(前期比9.2%増)となり、営業利益は、物価の高騰による影響等があったものの、308億20百万円(前期比46.6%増)、経常利益は293億12百万円(前期比54.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は239億26百万円(前期比63.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<運輸業>鉄道事業におきましては、営業面では、昨年10月に南海線において、本年1月には高野線及び泉北高速鉄道線において、それぞれダイヤ修正を実施いたしました。特にインバウンド旅客の回復が著しい空港線におきましては、特急ラピートの運行をコロナ前の本数に戻すなど、空港輸送の強化をはかりました。また、クレジットカードによるタッチ決済の対象ブランドを拡大するとともに、駅窓口混雑緩和に向けて、二次元コードを利用した特急券付きデジタル乗車券をインバウンド旅客向けに発売するなど旅客の利便性向上に努めたほか、多くのお客さまのご要望にお応えし、昨年9月から6000系車両1編成を導入当時のステンレス無塗装に復活させて運行しております。施設・車両面では、中百舌鳥駅リニューアル工事として、上りホームと車両間の段差・隙間の解消やコンコース及び駅舎外壁の美装化をはかるとともに、同駅の安全性向上施策として、本年3月から同駅4番線においてホームドアを稼働させました。また、南海線及び高野線に8300系新造車両14両、泉北高速鉄道線に9300系新造車両16両をそれぞれ投入するとともに、車内セキュリティ向上を目的として、8300系全車両に車内防犯カメラを導入いたしました。なお、8300系及び泉北高速鉄道9300系車両については、木目調の床や2トーンの座席配色等が評価され「2023年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。このほか、デジタル技術の活用施策として、昨年6月、旅客対応を一元化する「駅総合案内センター」を開設するとともに、将来的な労働力不足の社会課題解決等をめざし、かねて準備を進めてまいりました和歌山港線の自動運転走行試験を昨年8月から開始いたしました。このような安全・安定的な輸送基盤の強化や社会からの要請に応える輸送サービスの高度化を今後も推進していくために、昨年10月1日に鉄道線の運賃改定を実施いたしました。
なお、当社及び泉北高速鉄道株式会社は、昨年12月に経営統合に関する基本合意書を締結し、2025年度早期の実施に向けて現在協議を進めております。
バス事業におきましては、南海バス株式会社において、近接エリアにおける地元バス会社の事業撤退を受け、昨年12月、新たな自治体コミュニティバス輸送を受託いたしました。また、いわゆる「2024年問題」に対応するため、各バス会社において、人財採用施策の強化をはかるとともに、働きやすい環境整備に向けた取組みに注力いたしました。
以上のような諸施策を進めました結果、運輸業の営業収益は1,018億17百万円(前期比6.6%増)となり、営業利益は81億26百万円(前期比605.3%増)となりました。
提出会社の運輸成績
区分単位当連結会計年度
(2023.4~2024.3)対前連結会計年度増減率
営業日数366%
0.3
営業キロキロ154.80.0
客車走行キロ千キロ97,9292.1
旅客人員定期外千人91,16011.1
定期千人126,1743.7
千人217,3346.7
運輸収入旅客収入定期外百万円35,14027.8
定期百万円20,4157.6
百万円55,55619.6
運輸雑収百万円2,890△4.6
収入合計百万円58,44618.1
乗車効率%28.7-

(注) 乗車効率の算出は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)によります。
営業成績
業種当連結会計年度(2023.4~2024.3)
営業収益対前連結会計年度増減率
百万円%
鉄道事業65,64016.4
軌道事業1,5332.9
バス事業23,84417.7
海運業2,10912.7
貨物運送業11,200△38.0
車両整備業4,7038.7
調整額△7,215-
営業収益計101,8176.6

<不動産業>不動産賃貸業におきましては、「グレーターなんばビジョン」の実現に向けて、難波千日前においてオフィスビルの新築工事に着手したほか、阪堺線恵美須町駅前において、シェアスタイル型賃貸マンション「サザンクレストなんば南」を開業するなど、収益物件の拡大に努めました。また、直営3店舗目となるシェアオフィス「Lieffice (リーフィス)堺東」をオープンいたしました。
駅を拠点としたまちづくりとしましては、なんばエリアでは、南側への回遊性向上と新たな機能集積を目的に、開発を進めてまいりました新街区「なんばパークス サウス」を昨年7月にグランドオープンさせましたほか、大阪市及び地域関係者と協働で進めてまいりました「なんば駅周辺における空間再編推進事業」の一環として、昨年11月、供用が開始された難波駅前「なんば広場」において、社会実験をスタートいたしました。泉北エリアにおいては、かねて進めてまいりました「泉ケ丘駅前活性化計画」の駅商業施設一部建替工事につきまして、昨今の急激な物価上昇の影響により工事費が想定を大幅に上回る見込みとなったため、本格着工を延期し、事業計画を見直すことといたしました。一方、当社も参画する「SENBOKU スマートシティコンソーシアム」の活動として、泉北ニュータウン地域における住民の移動課題解決と利便性向上に向けてAIオンデマンドバス実証事業を前期に続いて実施し、デジタル技術を活用したサステナブルなまちづくりの検討をさらに深めました。また、財務健全性を保ちながら開発資金を確保し、「地域共創型まちづくり」の加速や売却後のフィービジネスによる不動産収益の多様化等をはかることを目的として、昨年11月、当社グループが保有する物件を組み入れ、私募リートの運用を開始いたしました。
不動産販売業におきましては、和歌山県橋本市「三石台」において、新築戸建プロジェクト「ヴェリテコート三石台」の分譲を開始したほか、大阪府吹田市等において当社グループの分譲マンションブランド「ヴェリテ」シリーズを展開いたしました。
以上のような諸施策を進めました結果、不動産業の営業収益は531億40百万円(前期比19.1%増)となり、営業利益は147億20百万円(前期比17.1%増)となりました。
営業成績
業種当連結会計年度(2023.4~2024.3)
営業収益対前連結会計年度増減率
百万円%
不動産賃貸業34,7102.2
不動産販売業18,92372.9
調整額△492-
営業収益計53,14019.1

<流通業>ショッピングセンターの経営におきましては、なんばパークスにおいて、五感で自然に触れられる空間づくりに向けて、屋上公園「パークスガーデン」のリニューアルを進めましたほか、高架下商業施設「なんば EKIKAN」をリニューアルし、大阪初進出の大型ライブハウス等4店舗を新たに誘致いたしました。また、「ミナピタポイント」サービスをリニューアルし、新たに「施設・エリア限定ポイント(※)」を設け、沿線エリアでの利用促進をはかりました。
駅ビジネス事業におきましては、中百舌鳥駅リニューアル工事の一環として、日常利用に便利な8店舗からなる商業エリア「N.KLASS(エヌクラス)中百舌鳥」を昨年12月にグランドオープンさせましたほか、一昨年12月から順次進めてまいりました駅構内等のコンビニエンスストアのセブン-イレブンブランドによるフランチャイズ店への転換を昨年5月に完了いたしました。
以上のような諸施策を進めました結果、流通業の営業収益は267億60百万円(前期比13.4%増)となり、営業利益は26億61百万円(前期比55.6%増)となりました。
(※)利用可能な店舗が、堺や泉北等、特定エリア・施設に限定されたポイント
営業成績
業種当連結会計年度(2023.4~2024.3)
営業収益対前連結会計年度増減率
百万円%
ショッピングセンターの経営14,6494.8
駅ビジネス事業13,68124.3
その他217△43.8
調整額△1,788-
営業収益計26,76013.4

<レジャー・サービス業>旅行業におきましては、国内・海外ともに旅行需要が回復する中、企業の出張やMICEに際しての手配業務のほか、海外からの訪日旅行を含めた各種旅行需要の獲得に注力いたしました。
ホテル・旅館業におきましては、「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」において、和歌山県等と連携し、旅行会社による視察を積極的に受け入れたほか、海外需要の取込みを強化するため、韓国や台湾への営業活動に注力いたしました。
ビル管理メンテナンス業におきましては、既存物件において提供するサービスの品質向上に注力するとともに、複合施設や物流施設等の新規管理物件の受託と設備工事の受注に努めました。
eスポーツ事業におきましては、大阪府泉佐野市や岐阜市等において展開するeスポーツ専門施設の運営に注力するほか、体験・参加型のeスポーツイベントを開催するなど、事業基盤の確立に努めました。
海外IT人財紹介事業(「Japal」事業)におきましては、事業の成長に向けて、金融機関や不動産会社と事業提携を行い、サービス提供先の拡大と紹介した人財の定着に向けた取組みに注力いたしました。
以上のような諸施策を進めました結果、ビル管理メンテナンス業において収入が増加したこと等により、レジャー・サービス業の営業収益は431億4百万円(前期比8.2%増)となりましたが、売上原価や人件費等の増加により、営業利益は34億2百万円(前期比4.2%減)となりました。
営業成績
業種当連結会計年度(2023.4~2024.3)
営業収益対前連結会計年度増減率
百万円%
旅行業3,89618.0
ホテル・旅館業75421.7
ボートレース施設賃貸業6,259△1.9
ビル管理メンテナンス業25,7768.8
葬祭事業3,0524.2
その他5,4768.8
調整額△2,111-
営業収益計43,1048.2

<建設業>建設業におきましては、民間住宅工事のほか、物流施設、学校施設等の民間非住宅工事や公共工事の受注活動に注力いたしました。
以上の取組みを進めたものの、完成工事高は減少いたしましたが、保有物件を販売したことにより、建設業の営業収益は447億92百万円(前期比2.6%増)となりました。一方で、建設資材価格高騰等により利益率が低下したこともあり、営業利益は17億94百万円(前期比5.0%減)となりました。
営業成績
業種当連結会計年度(2023.4~2024.3)
営業収益対前連結会計年度増減率
百万円%
建設業44,8082.6
調整額△15-
営業収益計44,7922.6

<その他の事業>その他の事業におきましては、営業収益は40億89百万円(前期比38.0%増)となり、営業利益は1億79百万円(前期比2.0%増)となりました。
営業成績
業種当連結会計年度(2023.4~2024.3)
営業収益対前連結会計年度増減率
百万円%
その他4,13037.8
調整額△41-
営業収益計4,08938.0

③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ48億62百万円増加し、424億2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は622億23百万円(前期は390億86百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益337億93百万円のほか、減価償却費274億77百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は105億28百万円(前期は263億5百万円の使用)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出303億93百万円のほか、固定資産の売却による収入152億92百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は468億32百万円(前期は113億41百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出511億15百万円のほか、長期借入れによる収入199億80百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の受注及び販売品目につきましては多種多様であり、セグメントごとに金額及び数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績につきましては、「② 経営成績」におけるセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等に重要な影響を与える要因
経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、「共創140計画」における経営指標として、「営業利益」及び「純有利子負債残高/EBITDA倍率」をそれぞれ採用しております。
当連結会計年度末における各指標の状況、及び「共創140計画」で掲げる数値目標はそれぞれ以下のとおりであります。
経営指標2023年度
(実績)
2024年度
(目標)
営業利益(※1)320億円280億円
純有利子負債残高/EBITDA(※2)倍率6.5倍7.5倍以下

(※1)営業利益+受取配当金
(※2)営業利益+受取配当金+減価償却費
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.資金調達の方法及び状況
資金調達につきましては、鉄道事業等における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び金融機関からの借入金など、市場の環境や金利の動向等を総合的に勘案したうえで決定しております。
また、資金調達手法の一つとして複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております。
さらに、当社グループの資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、極力グループ内資金を有効活用する仕組みを構築しております。
このほか、大規模自然災害等が発生した場合の対処として、震災対応型コミットメントライン契約を締結しております。
b.資金需要の動向
「南海グループ経営ビジョン2027」達成に向けた10年間(2018年度~2027年度)は、特に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた期間において、コスト削減を徹底するとともに、安全性・緊急性を判断した上で設備投資の抑制に努めましたが、基本的には営業キャッシュ・フローを成長投資に優先配分し、収益力向上を通じた財務体質の強化をめざすこととしております。なお、当連結会計年度における各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。
配当の基本方針は、長期にわたる安定的な経営基盤の確保と財務体質の強化に努めつつ、収益のさらなる向上をはかることにより安定的な配当を実施することとしております(配当政策については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」をご覧下さい。)。なお、内部留保資金は、鉄道事業の安全対策を中心とする設備投資のほか、当社グループの持続的な成長のための投資、財務体質の強化等に充当する考えであります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的だと考えられるさまざまな要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループで重要であると考える会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には、以下のようなものがあります。
a.固定資産の減損損失
当社グループは、管理会計上の区分を基礎に、事業ごと又は物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額は、資産グループの事業計画に基づく将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しております(当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載しております。)。これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能価額を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
b.退職給付に係る資産・負債
当社グループは、退職給付債務及び費用について、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される仮定に基づいて算出しております(当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しております。)。これらの仮定と実際の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって費用化されます。使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実際の結果との差異又は仮定自体の変更が生じた場合には、損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について算出しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額の前提条件や仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産が増額又は減額され、損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
d.完成工事高及び完成工事原価
工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づく収益及び費用を計上しております。計上にあたっては取引価格、工事原価総額及び当連結会計年度末における履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積っております。
取引価格については、当初契約金額及び追加変更契約金額に基づいておりますが、過去に実績のある一部の工事については、自社で合理的な見積りを実施しております。工事原価総額については、図面や仕様書に基づき、詳細な積み上げ計算を行い、状況の変化に応じて見直しを実施しております。
また、当連結会計年度末における履行義務の充足に係る進捗度についてはインプット法を採用し、当連結会計年度末までに発生した工事原価累計額が予想される工事原価総額に占める割合をもって決算日における進捗度とする方法を採用しております。
この見積りが、建設資材及び労務外注の調達遅れや価格高騰、市況の変動等も含め、工事着工後の状況の変化により大きく変動した場合は、当社グループの損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。