有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 14:37
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以
下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大にともない、過去に無い厳しい状況で推移しました。また、リーマンショックを上回る戦後最大のマイナス成長が見込まれるなど、先行き不透明な状況が続くと予想されます。
当社グループにおいては、コロナ禍における外出自粛の影響を受け、鉄道や乗合バスの輸送人員が前期比約3割減となりました。また、県境を跨ぐ移動制限の影響を受け、ビジネスホテルの稼働率が前期比約3割減となったほか、旅行代理店、観光売店においても需要が大幅に減少いたしました。なお、静鉄観光サービス株式会社は直近の需要の大幅な減少に加え、今後のビジネスモデルの変化を踏まえ、2021年3月をもって解散いたしました。
このような状況のなか、テレワーク、時差出勤などの推奨や各種感染防止対策を講じることで従業員の新型コロナウイルスへの感染を最小限に食い止め、お客様と従業員の安全を第一に考え事業活動を行ってまいりました。その一方で、投資や開発計画の見直し、経費について徹底した削減をいたしました。また、外部環境が大きく変化したため、中長期経営ビジョン「GT-100」に基づき推進してまいりました第3期中期経営計画を取り下げ、2021年度を初年度とする「2カ年計画」を新たに策定いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりになりました。
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は69,343,073千円となり、前連結会計年度末に比べ2,304,544千円の
増加となりました。主な要因は割賦未収金の増加であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は101,971,151千円となり、前連結会計年度末に比べ715,214千円の
増加となりました。主な要因はリース資産の増加であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は140,103,867千円となり、前連結会計年度末に比べ、5,681,184千円の増
加となりました。流動負債は83,208,156千円(前連結会計年度末は80,417,559千円)、固定負債は56,895,710千円
(前連結会計年度末は54,005,123千円)となっております。主な要因は、リース債務の増加であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は31,210,357千円となり、前連結会計年度末に比べ、2,661,424千円の
減少となりました。これは親会社株主に帰属する当期純損失の計上によるものであります。
b. 経営成績
当連結会計年度においては、下期に入り一部業績回復の兆しが見えたものの、新型コロナウイルスの影響による外出や県境を越える移動の自粛などにより、年度を通じて厳しい事業環境が続きました。こうした状況の中、当社グループでは各事業において感染防止対策を徹底するとともに、テレワークや時差出勤の推奨などを講じて、お客様と従業員の安全を第一に考え事業活動を行ってまいりました。
業績につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、交通事業及びレジャー・サービス事業が大幅な減収となったことなどにより、売上高は156,017,212千円(前連結会計年度比7.7%減)、経常損失は2,338,232千円(前連結会計年度は経常利益1,430,320千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,711,070千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,281,626千円)となりました。
なお、当社グループは、交通事業、流通事業、自動車販売事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、建設事業の6つの事業セグメントで構成されています。事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
(a)交通事業
鉄道事業では、新型車両A3000形の第9号、第10号車両の運行を2021年3月に開始いたしました。また、安全性のさらなる向上に向け、静岡清水線全49か所の踏切において、接近する列車へ踏切内での異常を知らせる踏切支障報知装置の設置工事が完了したほか、新型コロナウイルス感染症の流行下でもお客様に安心してご乗車いただけるよう、全車両へ光触媒による抗ウイルス・抗菌加工を実施するなど、感染予防対策の徹底に努めました。
索道事業の日本平ロープウェイでは、2021年3月に日本平駅をリニューアルオープンいたしました。景勝地日本平の自然景観を意識した木目調のモダンなデザインを採用したほか、駐車場の拡大や周辺施設への移動ルートの整備を行うなど、さらなる観光誘客および日本平エリアのにぎわいの創出に取り組みました。
乗合バス事業では、地震及び津波への対策として2020年10月にしずてつジャストライン相良営業所を牧之原市の内陸側へ移転いたしました。2021年1月から特急静岡相良線において、浜岡営業所までの直通便の運行を開始し利便性の向上に努めました。また、お客様に安心してご乗車いただけるよう2021年3月にプラズマクラスターおよび換気扇の搭載、光触媒による抗ウイルス・抗菌加工を実施した車両の導入を行ったほか、全てのバス車内において定期的な消毒や窓への換気バイザーの設置による換気を行うなど、感染予防対策の徹底に努めました。
交通事業におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や行動様式の変化などの影響を受け、鉄道事業の輸送人員は前連結会計年度比28.5%減、索道事業では前連結会計年度比57.6%減、乗合バス事業では前連結会計年度比28.5%減となったほか、観光バス事業の稼働数が前連結会計年度比69.8%減、タクシー事業の運送回数が前連結会計年度比32.9%減となり、厳しい事業環境となりました。
以上の結果、交通事業の売上高は11,114,516千円(前連結会計年度比27.3%減)、セグメント損失は2,110,168千円(前連結会計年度はセグメント損失514,769千円)となりました。
(b)流通事業
スーパーマーケット事業の㈱静鉄ストアでは、2020年5月に茶町店および薮田店を閉店、2021年3月には駒形店を閉店し、経営資源の集約による経営の効率化を図りました。また、食品ロス削減に向けた啓発活動に積極的に取り組んできたことが評価され、消費者庁の「食品ロス削減推進大賞」において、「食品ロス削減推進大賞審査委員会委員長賞」を受賞いたしました。
食堂売店事業の㈱静鉄リテイリングでは、日本平ロープウェイの日本平駅リニューアルオープンにともない、2021年3月に「門前の恵みたいらぎ」としてリニューアルオープンいたしました。
流通事業におきましては、食堂売店事業について新型コロナウイルス感染拡大による、観光需要の減少や外出自粛の影響を大きく受け、観光売店各店舗で売り上げが前連結会計年度に比べ大幅に減少するなど、厳しい事業環境となりました。
以上の結果、流通事業の売上高は48,646,931千円(前連結会計年度比4.5%減)、セグメント利益は804,368千円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。
(c)自動車販売事業
自動車販売事業では、新型車種「ヤリスクロス」やフルモデルチェンジした「ハリアー」などを中心に積極的な販売活動を展開いたしました。2020年5月より開始された全車種併売化をはじめとする、急速に変化する事業環境に対応するため、2020年4月に静岡トヨペット㈱、トヨタカローラ東海㈱、ネッツトヨタスルガ㈱の持株会社として、「静鉄GTホールディングス㈱」を設立し3社の新たな物流拠点として「牧之原総合・物流センター」の運用開始や中古車販売における在庫の共通管理を開始するなど、共通業務の協業推進による経営基盤の強化に取り組みました。2021年1月には、経営資源の最適活用や経営効率の向上を目的に、上記3社の統合を決定いたしました。
自動車販売事業におきましては、各店舗で積極的な営業活動に努めたものの、自動車リース事業については新型コロナウイルス感染拡大により、外出自粛や行動様式の変化などの影響を受け、レンタカーの貸渡件数が前連結会計年度比43.0%減となり、厳しい事業環境となりました。
以上の結果、自動車販売事業の売上高は76,053,196千円(前連結会計年度比2.9%減)、セグメント利益は313,775千円(前連結会計年度比71.8%減)となりました。
(d)不動産事業
不動産賃貸事業では、空室へのテナント誘致を積極的に行い、賃貸物件稼働率の維持向上に努めました。収益性のさらなる強化に向けた取り組みとして、2020年9月に開業した、コワーキングスペース・シェアオフィス「=ODEN(イコールオデン)」では、各種セミナーやイベントの開催など、静岡における新たな人的交流やイノベーションの創出に向けた拠点づくりに努めました。また、2020年11月より自立型サービス付き高齢者向け住宅「アルシア鷹匠」の入居を開始し、不動産事業と介護事業のノウハウを活かした住宅開発として、24時間有人管理や居宅
介護支援事業所の併設など、安全・安心な生活環境の提供に努めたほか、約600冊の書籍を備えたブックラウンジなど充実した共用部分を用意するなど、新たなシニアライフの提案に努めました。
不動産販売事業では、戸建住宅について、2020年6月より静岡市清水区において「エバースクエア青葉町」(4棟)のほか、7物件の販売を開始いたしました。また、2020年7月より静岡市葵区において販売を開始した「エバースクエア銭座町」(2棟)のほか、5物件が好評のうち完売となり、引渡しがそれぞれ完了いたしました。
ショッピングセンター事業では、静岡を応援するプロジェクト「ガンバロウシズオカ!」を立ち上げ、茶産業をはじめとする地域の商業者に新静岡セノバ内に短期出店していただいたほか、この活動に賛同していただいた多くの商業施設や団体が、プロジェクトのロゴマークを各所に掲出していただくなど、コロナ禍における地域の一体感の醸成に努めました。このほか、行政との協業の一環として、2021年3月より「駿府ホリノテラス」の運営を受託し、新たな街づくりによるにぎわいの創出に取り組みました。
不動産事業におきましては、不動産販売事業、不動産流通事業について各店舗で積極的な営業活動に努めたものの、新型コロナウイルス感染拡大による、賃貸業における賃料の減額などによる収入の減少や、新静岡セノバの緊急事態宣言下の1カ月にわたる臨時休館や外出自粛などの影響により館内売り上げが前連結会計年度比18.8%減となるなど、厳しい事業環境となりました。
以上の結果、不動産事業の売上高は9,764,973千円(前連結会計年度比15.9%減)、セグメント損失は134,255千円(前連結会計年度はセグメント利益445,130千円)となりました。
(e)レジャー・サービス事業
ビジネスホテル事業では、2020年7月に東京都港区において、開業準備を進めてまいりました「静鉄ホテルプレジオ東京田町」を開業いたしました。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一部ホテルの臨時休業を実施いたしましたが、同一エリアにおいて営業を集約するなど運営の効率化に努めました。
広告代理事業の㈱静鉄アド・パートナーズでは、静岡県広告協会の「第24回静岡県CMグランプリ」ラジオ部門において、同社が制作に携わった広告が最優秀賞を受賞いたしました。
葬祭事業では、2020年11月より静岡県内初となる「オンライン葬儀」のサービスを開始いたしました。葬儀のオンライン中継やクレジットカード決済による香典受付機能を備えるなど、インターネットを活用した新たなサービスの提供に努めました。
レジャー・サービス事業においては、ビジネスホテル事業について新型コロナウイルス感染拡大による観光需要の減少や外出自粛の影響を受け、稼働率が前連結会計年度比29.5ポイント減となったほか、広告代理事業については、イベントの中止をはじめとするクライアントの広告費削減などにより、厳しい事業環境となりました。
以上の結果、レジャー・サービス事業の売上高は6,146,096千円(前連結会計年度比22.8%減)、セグメント損失は1,187,508千円(前連結会計年度はセグメント損失554,925千円)となりました。
(f)建設事業
建設事業では、富士見小学校北校舎大規模改修・構造保全工事などを施工したほか、井川湖御幸線道路改良工事において、静岡市より「優良建設工事表彰」を受賞いたしました。
建設事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による民間の建設投資の見直しや先送りの影響を受け、厳しい事業環境となりました。
以上の結果、建設事業の売上高は4,291,499千円(前連結会計年度比14.6%減)、セグメント利益は344,718千円(前連結会計年度比11.5%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ409,196千円増加し、当連結会計年度末の残高は3,545,107千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、6,671,696千円(前連結会計年度は3,628,631千円の収入)となりました。これは主に、負債の増加1,573,133千円や減価償却費8,475,304千円等により得られた資金が、売上債権の増加2,171,859千円及び法人税等の支払1,047,206千円等の資金の使用を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、7,739,631千円(前連結会計年度は10,935,982千円の支出)となりました。これは主に、自動車リース事業におけるリース車両及びレンタル車両の更新や不動産事業における賃貸用不動産の取得など、有形固定資産の取得に9,398,325千円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,477,131千円(前連結会計年度は6,121,939千円の収入)となりました。これは主に、短期及び長期借入による収入が、長期借入金の返済を2,212,479千円上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループにおける生産及び受注実績は事業の性質上表示が困難なため記載を省略しております。
なお、セグメントごとの売上高は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(千円)
前年同期比(%)
交通事業11,114,516△27.3
流通事業48,646,931△4.5
自動車販売事業76,053,196△2.9
不動産事業9,764,973△15.9
レジャー・サービス事業6,146,096△22.8
建設事業4,291,499△14.6
合計156,017,212△7.7

(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該
判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異加減
算前課税所得の十分性及び将来の将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかにより判断しておりま
す。
収益力に基づく一時差異等加減算前所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰
戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、当社グループ内部で用いている「2カ年計
画」と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、見積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、当連結会計年度においては、顧
客の急激な減少が生じておりますが、翌中間連結会計期間以降は需要が徐々に回復・正常化し、新型コロナウイ
ルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定を置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する場合には、翌
連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与え
る可能性があります。
(b)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、資産
グループの現在の使用状況や合理的な使用計画と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、見
積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、現在、一部資産グループにおい
て収益の急激な減少が生じておりますが、翌中間連結会計期間以降は需要が徐々に回復・正常化し、新型コロナ
ウイルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定を置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する場合には、翌
連結会計年度以降の連結財務諸表において、多額の減損損失が生じる可能性があります。
なお、当社グループでは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益
計算書関係)※8減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失1,076,302千円を計上いたしまし
た。回収可能価額は使用価値により算定しておりますが、その際に用いられる割引率は、貨幣の時間価値と将来
キャッシュ・フローがその見積り値から乖離するリスクの両方を反映したものであります。
(c)たな卸資産の正味売却価額
たな卸資産の連結貸借対照表計上額は、市場価額が観察できる場合は市場価額を用い、市場価額を観察できな
い場合には、現在の販売状況や将来の合理的な販売計画と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修
正し、正味売却価額を見積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、当連結会計年度においては、顧
客の急激な減少が生じておりますが、翌中間連結会計期間以降は需要が徐々に回復・正常化し、新型コロナウイ
ルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定を置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する場合には、翌
連結会計年度以降の連結財務諸表において、多額の評価損失が生じる可能性があります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態及び経営成績の分析
当社グループは、2013年度から、2021年度を最終年度とする中長期経営ビジョン「GT-100」をスタートさせ、目指すべき姿「信頼され、選ばれる静鉄グループ」の実現に向け、3年を期間とする中期経営計画を3期にわた
り実施してまいりました。
7年間の中期経営計画推進の結果、当社グループの連結営業収益は154,684,469千円(2012年度)から
169,111,543千円(2019年度)と9.3%増収し、総資産は29.2%増加いたしました。また、自己資本比率は20%台
まで増加し、「選択と集中」など、当初認識していた経営課題の多くを解決することができました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、計画の前提条件が当初の想定と大きく乖離し、計画の
実効性が損なわれたことから、2020年度をもって第3期中期経営計画を取り下げることといたしました。
リーマンショックを上回る戦後最大のマイナス経済成長の中、新型コロナウイルスの感染拡大により消費者の
行動が劇的に変容するなど、これまで以上に多くの経営課題に直面しております。
結果、当連結会計年度の財政状態及び業績につきましては、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状
態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(b)キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度中に必要な資金は自己資金及び借入金にて充当し、増資あるいは社債発行による資金調達はありません。
なお、当社グループの資金調達は、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローの他、金融機関からの短期借入および長期借入を基本としております。また、当社グループ内でCMS(キャッシュマネジメントシステム)を採用し、各社における余剰資金を集中管理することで資金を有効に活用し、有利子負債の圧縮による支払利息の削減を図っております。
結果、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況に前述つきましては、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
翌連結会計年度以降、当社グループのキャッシュ・フローに重要な影響を与える要因として、新型コロナウイ
ルスの感染拡大の影響の長期化があります。交通事業における旅客の減少等により、営業活動によるキャッ
シュ・フローの減少が長期化する可能性があります。