有価証券報告書-第158期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/24 14:19
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首か
ら適用しております。前連結会計年度との比較は、基準の異なる算定方法にもとづいた数値を用いております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるなど、昨年度に引き続き先行き不透明かつ厳しい状況のなか、経営理念「安全・安心・快適のあくなき追求」に基づき、各種感染防止対策を講じるなど、安全で質の高い商品・サービスを提供し、地域のお客様に安心や快適をもたらすため事業活動を行ってまいりました。
また、各種政策の効果や新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の促進により、前期に比べ交通事業では輸送人員が増加したほか、レジャー・サービス事業では、ビジネスホテルの稼働率上昇や広告売上の増加など社会経済活動の復調がみられました。しかしながら、サプライチェーンの混乱や原油をはじめとするエネルギー価格の高騰、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響により、厳しい状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループの収益体質、財務体質の立て直しに早急に取り組み、2022年度に、連結、単体ともに営業黒字に回復することを最重要課題と定め、2021年度を初年度とする「2カ年計画」に取り組んでおります。この厳しい状況を新たなチャンスと捉え、各事業における徹底的な経費削減、業務や働き方の見直し、適切な投資によるキャッシュフローの改善など、社員一丸となってアクションプランを実行いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりになりました。
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は64,566,973千円となり、前連結会計年度末に比べ4,776,100千円の
減少となりました。主な要因は割賦未収金の減少であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は101,488,057千円となり、前連結会計年度末に比べ483,094千円の減
少となりました。主な要因は固定資産の減価償却による減少であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は131,664,665千円となり、前連結会計年度末に比べ、8,439,202千円の減
少となりました。流動負債は75,274,465千円(前連結会計年度末は83,208,156千円)、固定負債は56,390,200千円
(前連結会計年度末は56,895,710千円)となっております。主な要因は、買掛金の減少であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は34,390,365千円となり、前連結会計年度末に比べ、3,180,008千円の
増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります。
b. 経営成績
当連結会計年度においては、緊急事態宣言の再発令やまん延防止等重点措置の発出、オミクロン株拡大の影響 の長期化などにより、依然として厳しい経営環境が続きました。
こうした状況の中、当社グループではお客様と従業員への感染拡大防止策を講じながら、事業の根幹である安全・安心・快適を最優先に各事業を推進してまいりました。
業績につきましては、流通事業および自動車販売事業が減収となったことなどにより、売上高は149,841,127千円(前連結会計年度比4.0%減)、経常利益は1,120,371千円(前連結会計年度は経常損失2,338,232千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,027,500千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3,711,070千円)となりました。
なお、当社グループは、交通事業、流通事業、自動車販売事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、建設事業の6つの事業セグメントで構成されています。事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
(a)交通事業
鉄道事業
・2021年10月にダイヤ改定を実施(平日日中の運行を10分間隔から8分間隔へ変更など)
索道事業
・2021年4月に運賃改定を実施(大人往復1,100円から1,250円へ変更)
乗合バス事業:しずてつジャストライン
・中部横断自動車道新清水JCT~双葉JCT間の全線開通に伴い、2021年8月に静岡甲府線の運行を再開
・お客様の利用実態に応じた運行間隔および運行本数の調整によるダイヤ改定など運行の効率化を実施
以上の結果、交通事業の売上高は11,628,342千円(前連結会計年度比4.6%増)、セグメント損失は1,442,546千円(前連結会計年度はセグメント損失2,110,168千円)となりました。
(b)流通事業
スーパーマーケット事業:静鉄ストア
・2021年7月に沼津市へ大岡店を新規オープン
・2021年9月に新静岡セノバ店を改装オープン
・2021年12月から全店舗でバーコード決済を開始
・2021年12月からお買い得情報の発信やルルカポイント残高が確認できるアプリを導入
食堂売店事業:静鉄リテイリング
・2021年7月に藤枝市へ自動販売機22台を設置した無人販売店舗である「OLE Self & Cafè」を新規オープン
・2022年2月に日本平ロープウェイ駅売店「門前の恵みたいらぎ」において、飲食エリア「はなあおい」を新規
オープン
以上の結果、流通事業の売上高は44,162,318千円(前連結会計年度比9.2%減)、セグメント利益は372,284千円(前連結会計年度比53.7%減)となりました。
(c)自動車販売事業
自動車販売事業:トヨタユナイテッド静岡
・2021年4月に経営資源の最適活用や経営効率の向上に取り組むため販売店3社を統合し、「トヨタユナイテッ
ド静岡株式会社」が誕生
以上の結果、自動車販売事業の売上高は69,550,767千円(前連結会計年度比8.5%減)、セグメント利益は2,251,479千円(前連結会計年度比617.5%増)となりました。
(d)不動産事業
不動産流通事業
・住宅再生事業の「RENOVUS(リノウス)」において、衛生面に配慮した設備や抗ウイルス・抗菌加工を施した
フローリング、壁紙を採用したリノベーション物件を販売
ショッピングセンター事業:静鉄プロパティマネジメント
・開業から10周年を迎えた新静岡セノバにおいて、2021年6月と2021年9月に飲食および食物販を中心に大規模
なリニューアルを実施
・2021年9月から10周年記念事業を開始
・2021年5月から新静岡セノバ各テナントに営業時間の裁量をもたせる「トライ!はたらく時間PROJECT」を開

以上の結果、不動産事業の売上高は12,055,548千円(前連結会計年度比23.5%増)、セグメント利益は697,020千円(前連結会計年度はセグメント損失134,255千円)となりました。
(e)レジャー・サービス事業
ビジネスホテル事業
・新型コロナウイルス感染症の感染再拡大等の影響を受けたものの、昨年度に比べ稼働率は上昇(全7施設の平
均稼働率55.9%:前期比13.4ポイント増)
・2021年4月からクーポンの発信や各店舗の予約などができるホテル専用アプリを導入
広告代理事業:静鉄アド・パートナーズ
・静岡市新型コロナワクチン接種支援事務局の運営を受託
ゴルフ事業:藤枝ゴルフクラブ
・レジャー需要の高まりが好影響となり、利用人員が前期に比べ好調に推移(利用人員57,180人:前期比8.7%
増)
以上の結果、レジャー・サービス事業の売上高は8,031,836千円(前連結会計年度比30.7%増)、セグメント損失は770,692千円(前連結会計年度はセグメント損失1,187,508千円)となりました。
(f)建設事業
建設事業:静鉄建設
・清水江尻小学校南校舎大規模改修・構造保全工事などを施工
・富士見小学校北校舎大規模改修・構造保全工事ほか、3つの工事において、静岡市より「優良建設工事表彰」
を受賞
以上の結果、建設事業の売上高は4,412,312千円(前連結会計年度比2.8%増)、セグメント利益は288,033千円(前連結会計年度比16.4%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ862,721千円減少し、当連結会計年度末の残高は2,682,386千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、6,910,299千円(前連結会計年度は6,671,696千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,807,805千円や減価償却費7,887,393千円等により得られた資金が、仕入債務の減少2,302,078千円やその他の負債の減少2,805,929千円等の資金支出を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、7,661,554千円(前連結会計年度は7,739,631千円の支出)となりました。これは主に、自動車リース事業におけるリース車両及びレンタル車両の更新やレジャー・サービス事業における事業用資産の取得など、有形固定資産の取得に8,662,530千円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、111,465千円(前連結会計年度は1,477,131千円の収入)となりました。これは主に、ファイナンス・リース債務や長期借入金の返済、及び配当金の支払による支出が、短期借入金及び長期借入金による収入を111,132千円上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループにおける生産及び受注実績は事業の性質上表示が困難なため記載を省略しております。
なお、セグメントごとの売上高は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
(千円)
前年同期比(%)
交通事業11,628,3424.6
流通事業44,162,318△ 9.2
自動車販売事業69,550,767△ 8.5
不動産事業12,055,54823.5
レジャー・サービス事業8,031,83630.7
建設事業4,412,3122.8
合計149,841,127△ 4.0


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該
判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異加減
算前課税所得の十分性及び将来の将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかにより判断しておりま
す。
収益力に基づく一時差異等加減算前所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰
戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、当社グループ内部で用いている「2カ年計
画」と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、見積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、前連結会計年度から当連結会計
年度にかけて顧客の急激な減少が生じております。翌連結会計年度以降の業績にも影響が見込まれますが、翌連
結会計年度は需要が徐々に回復・正常化し、翌連結会計年度末までには新型コロナウイルスの感染拡大前の状況
に戻るとの仮定を置いております。
また、ウクライナ情勢等を起因とする原材料価格や公共料金の上昇が懸念され、翌連結会計年度において一定
の費用の増加を見込んでおりますが、適正価格の設定等を通じて長期的な利益に与える影響は乏しいとの仮定を
置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する場合には、翌
連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与え
る可能性があります。
(b)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、資産
グループの現在の使用状況や合理的な使用計画と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、見
積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、前連結会計年度から当連結会計
年度にかけて顧客の急激な減少が生じております。翌連結会計年度以降の業績にも影響が見込まれますが、翌連
結会計年度は需要が徐々に回復・正常化し、翌連結会計年度末までには新型コロナウイルスの感染拡大前の状況
に戻るとの仮定を置いております。
また、ウクライナ情勢等を起因とする原材料価格や公共料金の上昇が懸念され、翌連結会計年度において一定
の費用の増加を見込んでおりますが、適正価格の設定等を通じて長期的な利益に与える影響は乏しいとの仮定を
置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する場合には、翌
連結会計年度以降の連結財務諸表において、多額の減損損失が生じる可能性があります。
なお、当社グループでは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益
計算書関係)※9減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失1,387,365千円を計上いたしまし
た。回収可能価額は使用価値により算定しておりますが、その際に用いられる割引率は、貨幣の時間価値と将来
キャッシュ・フローがその見積り値から乖離するリスクの両方を反映したものであります。
(c)棚卸資産の正味売却価額
棚卸資産の連結貸借対照表計上額は、市場価額が観察できる場合は市場価額を用い、市場価額を観察できな
い場合には、現在の販売状況や将来の合理的な販売計画と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修
正し、正味売却価額を見積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、前連結会計年度から当連結会計
年度にかけて顧客の急激な減少が生じております。翌連結会計年度以降の業績にも影響が見込まれますが、翌連
結会計年度は需要が徐々に回復・正常化し、翌連結会計年度末までには新型コロナウイルスの感染拡大前の状況
に戻るとの仮定を置いております。
また、ウクライナ情勢等を起因とする原材料価格や公共料金の上昇が懸念され、翌連結会計年度において一定
の費用の増加を見込んでおりますが、適正価格の設定等を通じて長期的な利益に与える影響は乏しいとの仮定を
置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する場合には、翌
連結会計年度以降の連結財務諸表において、多額の評価損失が生じる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態及び経営成績の分析
当社グループは、2013年度から、2021年度を最終年度とする中長期経営ビジョン「GT-100」をスタートさせ、目指すべき姿「信頼され、選ばれる静鉄グループ」の実現に向け、3年を期間とする中期経営計画を3期にわた
り実施してまいりました。
7年間の中期経営計画推進の結果、当社グループの連結営業収益は154,684,469千円(2012年度)から
169,111,543千円(2019年度)と9.3%増収し、総資産は29.2%増加いたしました。また、自己資本比率は20%台
まで増加し、「選択と集中」など、当初認識していた経営課題の多くを解決することができました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、計画の前提条件が当初の想定と大きく乖離し、計画の
実効性が損なわれたことから、2020年度をもって第3期中期経営計画を取り下げ、2021年度を初年度とする「2
カ年計画」に取り組んでおります。
当連結会計年度は、各種政策の効果や新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の促進により、交通事業で輸
送人員が増加したほか、レジャー・サービス事業においても、ビジネスホテルの稼働率上昇や広告売上が増加な
ど、社会経済活動の復調が見られました。
しかしながら、ウクライナ情勢などを起因とする原材料価格の上昇や、新型コロナウイルス感染症の感染再拡
大の影響により、厳しい状況が続いております。この厳しい状況を新たなチャンスと捉え、各事業における徹底
的な経費削減、業務や働き方の見直し、適切な投資によるキャッシュ・フローの改善など、社員一丸となってア
クションプランを実行いたしました。
結果、当連結会計年度の財政状態及び業績につきましては、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状
態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(b)キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度中に必要な資金は自己資金及び借入金にて充当し、増資あるいは社債発行による資金調達はありません。
なお、当社グループの資金調達は、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローの他、金融機関からの短期借入および長期借入を基本としております。また、当社グループ内でCMS(キャッシュマネジメントシステム)を採用し、各社における余剰資金を集中管理することで資金を有効に活用し、有利子負債の圧縮による支払利息の削減を図っております。
結果、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
翌連結会計年度以降、当社グループのキャッシュ・フローに重要な影響を与える要因として、新型コロナウイ
ルスの感染拡大の影響の長期化があります。交通事業における旅客の減少等により、営業活動によるキャッシュ
・フローの減少が長期化する可能性があります。