有価証券報告書-第155期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/21 14:43
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以
下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や雇用・所得環境の改善が続くなど、引き続き緩やかな回復基調で推移しております。しかしながら、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱問題などの海外の政治・経済の不確実性、相次ぐ自然災害の景気への影響など、依然として景気下振れのリスクに留意が必要な状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、中長期経営ビジョン「GT-100」に基づき、将来にわたり持続的な成長を図るため、さらなる「安全・安心・快適」を追求するとともに、競争力の向上に取り組み、収益の確保や企業価値の向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりになりました。
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は64,035,061千円となり、前連結会計年度末に比べ1,538,112千円の
減少となりました。主な要因は棚卸資産の減少であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は97,434,524千円となり、前連結会計年度末に比べ1,857,230千円の
増加となりました。主な要因は土地の増加であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は128,303,408千円となり、前連結会計年度末に比べ、990,689千円の減
少となりました。流動負債は75,373,307千円(前連結会計年度末は80,642,243千円)、固定負債は52,930,100千円
(前連結会計年度末は48,651,854千円)となっております。主な要因は、短期借入金の減少であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は33,166,177千円となり、前連結会計年度末に比べ、1,309,807千円の
増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります。
b. 経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、流通事業における前期の新規出店店舗の通年寄与や建設事業における完成工事の増加などにより、売上高は176,282,966千円(前連結会計年度比2.2%増)、経常利益は3,503,482千円(前連結会計年度比26.9%増)となったものの、固定資産の減損処理等により、財務体質の一層の健全化を図った結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,192,716千円(前連結会計年度比11.8%減)となりました。
なお、当社グループは、交通事業、流通事業、自動車販売事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、建設事業の6つの事業セグメントで構成されています。事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
(a)交通事業
鉄道事業では、新型車両A3000形の第5号、第6号車両の運行を2019年3月に開始いたしました。また、2018年10月には、国土交通省の運輸安全マネジメント優良事業者等表彰において、経営トップから現場まで一丸となって安全管理体制の構築に努めるとともに、他の運輸事業者の模範となり得る先進的な取り組みを実施していることを評価され、「大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官表彰」を受賞いたしました。
索道事業の日本平ロープウェイでは、静岡デスティネーションキャンペーンのプレキャンペーン企画として、2018年4月から6月に久能山東照宮と合同で夜間特別拝観「天下泰平の竹あかり」を開催したほか、展望施設「日本平夢テラス」の2018年11月の開館に合わせた誘客施策を積極的に展開するなど、さらなる観光誘客および日本平エリアの活性化に取り組みました。
乗合バス事業のしずてつジャストラインでは、運行情報をリアルタイムに提供する「スマートバス停」の運用を2019年3月に開始いたしました。バスロケーションシステムを活用し、運行情報をリアルタイムに提供するバスのりば表示機を主要停留所へ順次設置したほか、表示言語を従前の日本語・英語に中国語・韓国語を加えた4ヶ国語とするなど、お客様の利便性の向上に努めました。また、2019年2月には同社の中から選抜した10名が運転技術を競う「静鉄バスドライバーズコンテスト」を開催し、運転技術や安全意識の向上に取り組みました。
貸切バス事業の静鉄ジョイステップバスでは、2018年6月に道路交通安全マネジメントシステムの国際規格である「ISO39001」を静岡県バス協会加盟の貸切バス会社としてはじめて取得いたしました。
タクシー事業の静鉄タクシーでは、2018年11月に静岡地区、12月に藤枝地区において、ユニバーサルデザインの次世代型タクシー「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」の運行をそれぞれ開始し、快適な交通サービスの提供に努めました。
以上の結果、交通事業の売上高は15,545,973千円(前連結会計年度比0.2%減)、セグメント損失は234,083千円(前連結会計年度はセグメント損失282,423千円)となりました。
(b)流通事業
スーパーマーケット事業の静鉄ストアでは、2018年5月に安東店、10月に草薙店を改装オープンいたしました。また、経済産業省の「おもてなし規格認証制度」において、接客をはじめとする高品質なサービスの提供を評価され、前期の3店舗に続き、当期は31店舗で「金」認証を取得し、全店舗での「金」認証取得となりました。2019年2月には、経済産業省と日本健康会議が優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人2019~ホワイト500~」に選定されました。
食堂売店事業の静鉄リテイリングでは、東急ハンズ静岡店において、年に一度の感謝バーゲン「ハンズメッセ」の開催など各種営業施策を積極的に展開し、収益拡大に努めました。また、富士山静岡空港内の売店において、名称を「f-air(エフ・エアー)」から「しずおかマルシェ富士山静岡空港店」へ変更し、2018年8月に同空港施設内にて移転オープンいたしました。
以上の結果、流通事業の売上高は52,110,541千円(前連結会計年度比1.0%増)、セグメント利益は740,863千円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。
(c)自動車販売事業
自動車販売事業では、自動車販売事業では、マイナーチェンジした「プリウス」や「シエンタ」などを中心に積極的な販売活動を展開いたしました。静岡トヨペットでは、新型車種「LEXUS ES」および「LEXUS UX」の販売を開始したほか、2018年8月にレクサス静岡葵、2018年9月に浜松宮竹店をそれぞれ改装オープンいたしました。レクサス静岡葵では、職人の手仕事によるオリジナル工芸ガラスを内装に用いるなどモノづくりへのこだわりを表現した空間としたほか、浜松宮竹店では、映像を活用した体験コーナーや一日中遊べるキッズスペースの設置などファミリー層への訴求に重点を置いた改装を行い、魅力的な店舗の創出による集客力の向上に努めました。トヨタカローラ東海では、2018年6月に販売を開始した「カローラスポーツ」の販売が堅調に推移したほか、2018年9月にカーランド袋井、2018年12月に浜松市のカーランド葵をそれぞれリニューアルオープンいたしました。両店舗では、内装を一新したほか、新たに導入したナンバー認証システムを顧客管理システムと連動させ、来店客を迅速に把握できるようにするなど、接客品質のさらなる向上に取り組みました。
自動車リース事業のトヨタレンタリース静岡では、レンタル、リースともに好調に推移したほか、トヨタ自動車より、営業成績や顧客満足度など総合的な観点で特に優れていると評価され、全国のトヨタレンタリース63社の中から6社のみに贈られる、「優秀店賞」を受賞いたしました。準優秀店賞を含め、5年連続の受賞となりました。
以上の結果、自動車販売事業の売上高は78,110,861千円(前連結会計年度比0.1%増)、セグメント利益は1,711,228千円(前連結会計年度比25.3%増)となりました。
(d)不動産事業
不動産賃貸事業では、空室へのテナント誘致を積極的に行い、賃貸物件の稼働率の維持向上に努めたほか、収益性のさらなる強化に向けた取り組みとして、スポーツクラブの入居していたビルをリノベーションし、賃貸用オフィスビル「静鉄鷹匠アネックス」として新たに稼働を開始いたしました。
不動産販売事業では、分譲マンションにおいて、2018年6月より販売を開始した「グランアネシス藤枝サウス」(地上15階建・97戸)がJR藤枝駅前に完成し、2019年3月より順次引渡しを開始いたしました。また、2018年4月に「グランアネシス藤枝」(地上17階建・96戸)、2018年5月に「グランアネシス富士」(地上14階建・47戸)、2018年9月に「グランアネシス沼津」(地上15階建・42戸)の全戸引渡しがそれぞれ完了いたしました。戸建住宅では、2018年4月より静岡市清水区において販売を開始した「エバースクエア楠」(4棟)など3物件が好評のうちに完売となり、引渡しがそれぞれ完了したほか、2018年10月より静岡市葵区において販売を開始した「エバースクエア北安東四丁目」(4棟)など4物件の販売を新たに開始いたしました。また、注文住宅の静鉄ホームズでは、2019年1月に静岡市駿河区の「SBSマイホームセンター静岡展示場」へ出展している同社のフラッグシップモデルハウス「Authent(オーセント)」をリニューアルオープンいたしました。
不動産流通事業では、中古住宅の売買仲介において、お客様がより安全、安心に中古住宅をお取引いただけるよう、2018年7月より建物状況調査の無償サービスを開始いたしました。また、静鉄不動産住まいの情報ライブラリー静岡南店・草薙店・藤枝店において、経済産業省の「おもてなし規格認証制度」の「金」認証を取得いたしました。
ショッピングセンター事業の静鉄プロパティマネジメントでは、新静岡セノバにおいて、2018年10月に開業7周年を記念する「7th Anniversary」としてメディアとのタイアップ企画などの施策を実施したほか、前期に実施した大規模リニューアルの効果もあり、館内売上高が過去最高を更新するなど、引き続き好調に推移いたしました。また、企業内保育所「セノバ保育園」の開園をはじめ、テナント従業員の就労環境の整備に取り組み、テナント店舗の運営を支援する体制のさらなる強化に努めました。
以上の結果、不動産事業の売上高は14,507,348千円(前連結会計年度比4.3%減)、セグメント利益は913,526千円(前連結会計年度比25.7%増)となりました。
(e)レジャー・サービス事業
ビジネスホテル事業では、静岡県内で運営する「静鉄ホテルプレジオ」3店舗において引き続き高稼働率を維持し、好調に推移したほか、さらなる事業エリアの拡大に向けた取り組みとして、福岡県福岡市において、「静鉄ホテルプレジオ博多駅前」を2018年8月に開業いたしました。また、京都府京都市において、2019年6月の開業を予定している「静鉄ホテルプレジオ京都烏丸御池」の予約受付を開始したほか、京都市内2店舗目となる「静鉄ホテルプレジオ京都四条」、東京都港区の「(仮称)静鉄ホテルプレジオ東京田町」、大阪府大阪市の「(仮称)静鉄ホテルプレジオ大阪心斎橋」の出店をそれぞれ決定いたしました。
広告代理事業の静鉄アド・パートナーズでは、2018年8月に静岡県広告協会の「第22回静岡県CMグランプリ」テレビ部門において、同社が制作に携わった広告が応募総数71作品の中で最優秀賞を受賞いたしました。
カード事業では、株式会社ぐるなびと連携し、ルルカ会員向けに飲食店情報を提供するウェブサイトを開設いたしました。飲食店情報に加え、ルルカ会員限定特典を設定するなど、ルルカカードのさらなる価値向上に努めました。
以上の結果、レジャー・サービス事業の売上高は7,305,254千円(前連結会計年度比1.7%増)、セグメント損失は267,705千円(前連結会計年度はセグメント利益41,895千円)となりました。
(f)建設事業
建設事業の静鉄建設では、日本平公園展望回廊設置工事などを施工したほか、同工事において、静岡市より「建設業担い手確保・育成貢献工事表彰」を受賞いたしました。
以上の結果、建設事業の売上高は8,702,987千円(前連結会計年度比78.1%増)、セグメント利益は462,909千円(前連結会計年度比82.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ508,279千円減少し、当連結会計年度末の残高は4,321,323千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、14,023,419千円(前連結会計年度は8,233,678千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,731,184千円や減価償却費8,173,978千円、棚卸資産の減少3,284,274千円等により得られた資金が、売上債権の増加2,259,613千円及び法人税等の支払910,400千円等の資金の使用を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、11,130,093千円(前連結会計年度は10,065,384千円の支出)となりました。これは主に、自動車リース事業におけるリース車両及びレンタル車両の更新や自動車販売事業における事業用地の取得など、有形固定資産の取得に11,911,921千円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、3,401,605千円(前連結会計年度は3,269,040千円の収入)となりました。これは主に、短期及び長期借入の返済による支出が、長期借入による収入を2,548,179千円上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループにおける生産及び受注実績は事業の性質上表示が困難なため記載を省略しております。
なお、セグメントごとの売上高は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
(千円)
前年同期比(%)
交通事業15,545,973△0.2
流通事業52,110,5411.0
自動車販売事業78,110,8610.1
不動産事業14,507,348△4.3
レジャー・サービス事業7,305,2541.7
建設事業8,702,98778.1
合計176,282,9662.2

(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(b)経営成績の分析
前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(c)キャッシュ・フローの分析
前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。