有価証券報告書-第159期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/23 13:12
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139項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、引き続き先行きの不透明な状況が続いたものの、ウィズコロナへの移行に伴い行動制限が緩和され人流が回復し始める中、交通事業においては前期と比べ輸送人員が増加したほか、流通事業やレジャー・サービス事業においても前期と比べ営業収益が増加いたしました。
しかしながら、2022年9月に発生した台風15号による被害や原材料価格の高騰、電気料の上昇によるコスト増など、依然として厳しい状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、利益確保や財務立て直しに重点を置いた「2カ年計画」の最終年度として、営業利益の黒字化という目標達成を目指し、各事業において着実に業績を回復させることに注力したアクションプランに沿った取り組みを引き続き推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりになりました。
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は69,084,388千円となり、前連結会計年度末に比べ4,517,414千円の増加となりました。主な要因は売掛金の増加であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は102,404,888千円となり、前連結会計年度末に比べ916,830千円の増加となりました。主な要因は土地の取得による増加であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は136,379,076千円となり、前連結会計年度末に比べ、4,714,411千円の増加となりました。流動負債は78,901,658千円(前連結会計年度末は75,274,465千円)、固定負債は57,477,418千円(前連結会計年度末は56,390,200千円)となっております。主な要因は、借入金の増加であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は35,110,199千円となり、前連結会計年度末に比べ、719,834千円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります。
b. 経営成績
当連結会計年度においては、原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇、自動車販売事業におけるメーカーからの車両の供給不足の影響を大きく受け、年度を通じて厳しい事業環境が続きました。しかしながら、人流の回復により経済活動が活発化していく中で、行動変容に合わせたサービスをお客様に提供し、各事業を推進してまいりました。
業績につきましては、交通事業や観光売店事業、レジャー・サービス事業を中心に、利用者数が回復基調であることなどから、売上高は154,593,454千円(前連結会計年度比3.2%増)、経常利益は1,632,875千円(前連結会計年度比45.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は840,936千円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。
なお、当社グループは、交通事業、流通事業、自動車販売事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、建設事業の6つの事業セグメントで構成されています。事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
(a)交通事業
交通事業共通
・2022年11月に「COOL CHOICE 2022 in しずおか~みんなではじめる、エコな選択~」を開催
(静岡市内の静鉄電車・静鉄バスを無料にし、「CO2の少ない電車・バスに乗る」という行動をきっかけに、さまざまなゼロカーボンアクションを提案するワンデーイベント)
鉄道事業
・2022年12月にダイヤ改正を実施(各駅における停車時間の見直し、21時30分以降の増便)
・2023年3月31日より"静岡ゆかりの徳川家康公に関するプロジェクト"のひとつとしてラッピングトレイン「動く歴史絵巻~どうする静鉄号」の運行開始
索道事業
・「ドローン自動飛行による設備点検サービス」を活用した日本平ロープウェイ通信線の設備点検業務のDX化を実施
乗合バス事業:しずてつジャストライン
・2023年1月より高速路線静岡羽田空港線の運行を開始
・2023年2月に大型路線EVバスを1台導入
・2023年3月より高速路線藤枝・焼津・静岡~「東京ディズニーリゾートⓇ」線の運行を開始
以上の結果、交通事業の売上高は12,787,502千円(前連結会計年度比10.0%増)、セグメント損失は1,347,645千円(前連結会計年度はセグメント損失1,442,546千円)となりました。
(b)流通事業
スーパーマーケット事業:静鉄ストア
・2022年4月よりしずてつストアネットスーパーを順次開業
・2022年6月より移動スーパー「とくし丸」を順次開業
・2022年10月より新ブランドの小型店舗「KITE-GO」を開業
・「エコアクション21オブザイヤー2022」ソーシャル部門において「金賞(環境大臣賞)」を受賞
食堂売店事業:静鉄リテイリング
・静岡市大河ドラマ「どうする家康」活用推進協議会より、静岡浅間神社境内の物販店「家康公初恋の地しずおかギフトショップ」の運営を受託
以上の結果、流通事業の売上高は44,626,355千円(前連結会計年度比1.1%増)、セグメント利益は438,600千円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。
(c)自動車販売事業
自動車販売事業:トヨタユナイテッド静岡
・2022年8月に旧静岡トヨペット小笠店跡地へトヨタユナイテッド静岡初のダイハツショップ「ダイハツ小笠中央」を開業
・カーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として「スープラ」に3年間のCO2排出量相当分のクレジットを付与し販売
以上の結果、自動車販売事業の売上高は71,816,346千円(前連結会計年度比3.3%増)、セグメント利益は1,983,663千円(前連結会計年度比11.9%減)となりました。
(d)不動産事業
不動産事業共通
・2022年5月に改正された宅地建物取引業法等に対応し、不動産取引における署名、押印が不要となる電子契約サービスを導入
・「静鉄不動産」ホームページのリニューアルの実施により、電子契約による取引をはじめとしたオンラインサービス機能を拡充するなど、従来の不動産事業活動のDX化を推進し、多様化するニーズに対応する体制を整備
不動産流通事業
・月極駐車場の検索・申込・契約を完結するオンラインサービスを導入
・賃貸オーナーアプリの運用を開始
不動産販売事業
・カーボンニュートラルの実現に向け、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)建売住宅の販売を開始
・「エバースクエア千代田五丁目」のほか、5物件が好評のうち完売
不動産販売事業:静鉄ホームズ
・ZEH基準(断熱等性能等級5)を上回る断熱等性能等級6「HEAT20 G2」を標準採用とする注文住宅の新商品
「シン・静鉄ホームズHEAT20 G2」の販売を開始
ショッピングセンター事業:静鉄プロパティマネジメント
・新静岡セノバにおいて、劇団四季ミュージカル「リトルマーメイド」とのタイアップ企画「CENOVA SEA」および日本平動物園とのタイアップ企画「セノバ動物園」を実施
以上の結果、不動産事業の売上高は11,756,659千円(前連結会計年度比2.5%減)、セグメント利益は908,178千円(前連結会計年度比30,3%増)となりました。
(e)レジャー・サービス事業
ビジネスホテル事業
・2022年9月26日から9月30日の期間において、静鉄ホテルプレジオ静岡駅北および静鉄ホテルプレジオ静岡駅南の2店舗にて、台風15号に伴う災害への支援として「被災者支援特別宿泊プラン」を販売
・2023年1月より静鉄ホテルプレジオ静岡駅南にて「徳川家康公コンセプトルーム」の販売を開始
広告代理事業:静鉄アド・パートナーズ
・静岡市大河ドラマ「どうする家康」活用推進協議会より「どうする家康静岡大河ドラマ館」の運営を受託
以上の結果、レジャー・サービス事業の売上高は8,818,200千円(前連結会計年度比9.8%増)、セグメント損失は356,548千円(前連結会計年度はセグメント損失770,692千円)となりました。
(f)建設事業
建設事業:静鉄建設
・清水両河内小中一貫校整備事業小学校棟校舎増築等工事などを施工
・草薙駅北口(学園口)自転車等駐車場建設工事ほか、3つの工事において、静岡市より「優良建設工事表彰」を受賞
以上の結果、建設事業の売上高は4,788,389千円(前連結会計年度比8.5%増)、セグメント利益は347,745千円(前連結会計年度比20.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,061,432千円増加し、当連結会計年度末の残高は3,743,819千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、9,005,864千円(前連結会計年度は6,910,299千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,876,854千円や減価償却費7,857,916千円等により得られた資金が、売上債権の増加2,376,648千円や法人税等の支払額1,205,529千円等の資金支出を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、10,002,293千円(前連結会計年度は7,661,554千円の支出)となりました。これは主に、自動車リース事業におけるリース車両及びレンタル車両の更新やバス事業における車両の更新など、有形固定資産の取得に10,263,722千円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,057,861千円(前連結会計年度は111,465千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金及び長期借入金による収入が、ファイナンス・リース債務や長期借入金の返済、及び配当金の支払による支出を2,058,227千円上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループにおける生産及び受注実績は事業の性質上表示が困難なため記載を省略しております。
なお、セグメントごとの売上高は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(千円)
前年同期比(%)
交通事業12,787,50210.0
流通事業44,626,3551.1
自動車販売事業71,816,3463.3
不動産事業11,756,659△2.5
レジャー・サービス事業8,818,2009.8
建設事業4,788,3898.5
合計154,593,4543.2


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異加減算前課税所得の十分性及び将来の将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、当社グループ内部で用いている「中期経営計画2025」と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、見積っております。外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、顧客の減少傾向が続いております。翌連結会計年度以降の業績にも影響が見込まれますが、需要は徐々に回復し、新型コロナウイルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定を置いております。
また、ウクライナ情勢等を起因とする原材料価格やエネルギー価格の高騰により、一部の営業費が増加しております。翌連結会計年度以降においても一定の費用の増加を見込んでおりますが、価格は徐々に正常化し、長期的な利益に与える影響は乏しいとの仮定を置いております。
しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大やエネルギー価格高騰の影響が長期化する場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、見積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、顧客の減少傾向が続いております。翌連結会計年度以降の業績にも影響が見込まれますが、需要は徐々に回復し、新型コロナウイルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定を置いております。
また、ウクライナ情勢等を起因とする原材料価格やエネルギー価格の高騰により、一部の営業費が増加しております。翌連結会計年度以降においても一定の費用の増加を見込んでおりますが、価格は徐々に正常化し、長期的な利益に与える影響は乏しいとの仮定を置いております。しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大やエネルギー価格高騰の影響が長期化する場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、多額の減損損失が生じる可能性があります。
なお、当社グループでは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)※8減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失1,136,854千円を計上いたしました。回収可能価額は、使用価値と市場価格を反映していると考えられる公正な評価額を用いた正味売却価額のいずれか高い価額により算定しておりますが、その際に用いられる割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積り値から乖離するリスクの両方を反映したものであります。
(c)棚卸資産の正味売却価額
棚卸資産の連結貸借対照表計上額は、市場価額が観察できる場合は市場価額を用い、市場価額を観察できない場合には、現在の販売状況や将来の合理的な販売計画と、経営環境等の外部要因に関する情報とを整合的に修正し、正味売却価額を見積っております。
外部要因では、新型コロナウイルス感染拡大及びそれに伴う外出控えにより、顧客の減少傾向が続いております。翌連結会計年度以降の業績にも影響が見込まれますが、需要は徐々に回復し、新型コロナウイルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定を置いております。
また、ウクライナ情勢等を起因とする原材料価格やエネルギー価格の高騰により、一部の営業費が増加しております。翌連結会計年度以降においても一定の費用の増加を見込んでおりますが、価格は徐々に正常化し、長期的な利益に与える影響は乏しいとの仮定を置いております。しかしながら、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大やエネルギー価格高騰の影響が長期化する場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、多額の評価損失が生じる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態及び経営成績の分析
当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、引き続き先行きの不透明な状況が続いたものの、ウィズコロナのもと行動制限が緩和され人流が回復し始める中、交通事業においては前期と比べ輸送人員が増加したほか、流通事業やレジャー・サービス事業においても前期と比べ営業収益が増加するなど、堅調に推移いたしました。
しかしながら、2022年9月に発生した台風15号による被害や原材料価格の高騰、電気料の上昇によるコスト増など、依然として厳しい状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、利益確保や財務立て直しに重点を置いた「2カ年計画」の最終年度として、営業利益の黒字化という目標達成を目指し、各事業において着実に業績を回復させることに注力したアクションプランに沿った取り組みを引き続き推進してまいりました。
しかしながら、ウクライナ情勢などに起因する原材料価格の高騰、電気代を中心とするエネルギー価格の大幅な上昇は当社グループの事業環境に大きな影響を与えており、加えて人件費の増加なども懸念されることから、今後のコスト上昇への対策が急務となっております。
そこで過年度からの財務的な課題、新型コロナウイルス感染拡大による顧客の価値観や行動の変容、「2ヵ年計画」では考慮できなかった中長期的な視点を踏まえ、2023年度から2025年度までの3年間の計画として「中期経営計画2025」を策定いたしました。DX活用などによる業務の効率化、仕入れ方法の見直し、原材料価格・エネルギーコスト等に係る適切な価格転嫁等を実施することにより、コスト上昇への対応をしてまいります。
結果、当連結会計年度の財政状態及び業績につきましては、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(b)キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度中に必要な資金は自己資金及び借入金にて充当し、増資あるいは社債発行による資金調達はありません。
なお、当社グループの資金調達は、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローの他、金融機関からの短期借入および長期借入を基本としております。また、当社グループ内でCMS(キャッシュマネジメントシステム)を採用し、各社における余剰資金を集中管理することで資金を有効に活用し、有利子負債の圧縮による支払利息の削減を図っております。
結果、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
翌連結会計年度以降、当社グループのキャッシュ・フローに重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルスの感染拡大およびエネルギー価格高騰の影響の長期化があります。旅客の減少や電気料の高騰等により、営業活動によるキャッシュ・フローの減少が長期化する可能性があります。