有価証券報告書-第111期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)を取り巻く環境は、北陸新幹線福井・敦賀延伸開業による効果が一段落したことによる移動需要の減少が見られましたが、4月~10月に開催された大阪・関西万博による需要増加により高速バス大阪線や貸切バス事業を中心に観光利用・団体利用が比較的堅調に推移しました。一方で、国際情勢の不安定化や為替市場の円安傾向による原材料価格や物価の上昇、従業員待遇改善による人件費増加等の要因によって営業コストの上昇傾向も続きました。
当連結会計年度末における当社グループの資産合計は、前年度末より76,807千円減少し5,293,773千円、負債合計は前年度末より186,630千円減少し4,615,233千円、純資産合計は前年度末より109,822千円増加し678,539千円となりました。
当連結会計年度の当社グループの売上高は3,571,516千円(前連結会計年度比94.1%)、営業費は4,366,886千円(前連結会計年度比97.5%)となり、営業損失は795,370千円(前連結会計年度比116.8%)と前年より114,284千円悪化しました。経常損失は756,325千円(前連結会計年度比118.8%)と前年より119,551千円の悪化となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ55,751千円悪化し102,595千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(運輸事業)
鉄道事業においては、沿線イベント時の臨時列車の運行やお得なきっぷの設定、団体貸切列車の運行や鉄道イベント開催など観光・行楽需要の取り込みを積極的に実施しました。また、通学生向けに「通学年度定期券」を設定するなど通学利用の促進を図ったほか、10月にはICOCAのWeb定期券サービス「iCONPASS」を導入し、定期券の利便性向上を図りました。設備面では福井変電所更新など老朽化した各種設備の更新工事、橋梁改修など安全対策工事を実施しました。当期の利用者数は、定期外利用や通勤定期は堅調に推移しましたが、沿線高校の統合や他交通機関への転移、学生数の減少等により通学定期が大きく減少し、年間利用者数は1,851千人(前連結会計年度比97.8%)となりました。
旅客自動車運送事業においては、北陸新幹線福井・敦賀延伸開業による効果が一段落したものの、大阪・関西万博開催による移動需要の増加に伴い、概ね堅調に推移しました。
乗合バス事業については、高速バス名古屋線の利用が引き続き好調に推移したほか、大阪線を大阪・関西万博会場まで延伸運行し、大変多くの利用をいただきました。なお、大阪線は万博終了後に再度運行休止といたしました。一般路線バスにおいては、三方五湖エリアの観光に便利な「ゴコイチバス」の運行を行うなど利用促進に努めました。一方でお客様のご利用状況や運転士不足の状況等を考慮し、一部路線の廃止やダイヤ見直しを実施しました。期間中は一般路線バスは定期・定期外ともに利用減少となりましたが、高速バス各線は好調に推移しました。
貸切バス事業については、北陸新幹線福井・敦賀延伸開業による効果が一段落したことによる移動需要の減少が見られましたが、一方で大阪・関西万博開催による移動需要の増加に伴い、概ね堅調に推移しました。旅行会社によるバスツアーやインバウンド向けツアーなどのほか、企業や地域のグループなどによる団体旅行についても堅調に推移しました。営業活動を積極的に行い、新規案件や企業等の契約輸送を積極的に受注したほか、コンサート等のイベント輸送についても積極的に実施しました。これらの結果、利用状況は概ね前年並みの水準となりました。
タクシー事業については、タクシー配車アプリの利用や送迎輸送の受注を積極的に行うなど、利用増に向けた営業活動を実施しました。また、行政によるデマンド交通の運行受託により安定的な収入の確保に努めました。利用状況は一般利用のほか企業・学校等の送迎輸送も伸び悩み、前年より減収となりました。
運輸事業セグメント全体では、概ね堅調に推移したことにより、売上高は1,798,688千円(前連結会計年度比101.9%)とやや増収となりました。一方で物価上昇による燃料費・修繕費等諸経費の増加や待遇改善を目的とした人件費の上昇により営業費が大きく増加し、セグメント利益は△799,829千円(前連結会計年度比115.9%)と大幅に悪化しました。
提出会社の運輸成績表(鉄道事業)
| 項目 | 単位 | 当事業年度 (自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 100.0 | |
| 営業キロ | キロ | 21.4 | 100.0 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 1,767 | 104.0 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 1,053 | 95.1 |
| 定期外 | 〃 | 798 | 101.6 | |
| 計 | 〃 | 1,851 | 97.8 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 千円 | 170,370 | 98.3 |
| 定期外 | 〃 | 191,765 | 102.4 | |
| 計 | 〃 | 362,136 | 100.5 | |
| 運輸雑収 | 〃 | 16,319 | 84.5 | |
| 運輸収入合計 | 〃 | 378,456 | 99.7 | |
提出会社の運輸成績表(自動車事業)
| 項目 | 単位 | 当事業年度 (自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 営業日数 | 日 | 365 | 100.0 |
| 乗合 | |||
| 営業キロ | キロ | 791.0 | 89.6 |
| 車両走行キロ | 千キロ | 1,694 | 94.2 |
| 旅客人員 | 千人 | 891 | 99.3 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 438,564 | 112.7 |
| 運送雑収 | 〃 | 9,382 | 97.2 |
| 計 | 〃 | 447,946 | 112.3 |
| 貸切 | |||
| 車両走行キロ | 千キロ | 684 | 86.4 |
| 旅客人員 | 千人 | 187 | 88.6 |
| 収入合計 | 千円 | 352,363 | 87.3 |
(流通事業)
主力の石油類・ガス販売事業においては、スタンドでの販売量は自動車の環境性能向上やハイブリッド車などの増加により減少傾向にあるほか、当期は降雪が比較的少なかったことから灯油販売や除雪機械燃料など冬季の需要が伸び悩みました。利用の増加を図るため、洗車や物販、車検整備取扱いやタイヤ販売といった給油以外のサービス利用の取り込みを積極的に行いました。期間中の原油価格は為替市場で円安傾向が続いたほか、中東情勢の不安定化による石油製品供給減少などの要因によって調達コストが上昇し、引き続き高い水準で推移しました。物価高対策として、石油元売り各社へ国による補助金支給により小売価格水準を抑制する政策が採られたことにより、小売価格の変動は小さくなりましたが、人件費等の営業コストの上昇が続いており、収支を圧迫する状況となりました。当期は大口販売数量の減少により、大幅な減収となりました。
物品販売業では、スタンドでの物販や、鉄道グッズの商品販売やネット販売を行っておりますが、事業者向け大口販売の取扱い縮小や大型量販店の増加、ネット通販等の普及に伴う一般顧客向けの販売減少により、全般的に販売量の減少傾向が続いております。当期においても販売量の減少に伴い、売上高は減収となりました。
流通事業セグメント全体では、売上高は1,688,048千円(前連結会計年度比87.8%)と前年よりも大幅な減収となりました。セグメント利益は、仕入コスト上昇や人件費増加などの要因があったものの、販売数量減少により営業費は減少し、△45,322千円(前連結会計年度比74.1%)と前年より大幅な改善となりました。
(不動産事業)
不動産事業においては、賃貸借契約の変更はありませんでしたが、賃貸先売上の増加に伴う賃料の増加があったため、売上高は増収となりました。
不動産事業セグメント全体では、売上高は31,584千円(前連結会計年度比101.7%)、セグメント利益は35,340千円(前連結会計年度比98.2%)となりました。
(その他事業)
旅行事業においては、北陸新幹線福井・敦賀延伸開業が一段落したことにより観光需要、ビジネス需要が減少傾向となり、手配旅行の取扱いが減少しました。主催旅行では各種自社企画ツアーの展開を積極的に実施しましたが、ご利用は減少となりました。旅行事業全体では前年より大幅な減収となりました。
自動車整備事業においては、当社グループの営業車両の整備業務のほか、スタンドでの一般顧客向けの車検や車両整備の受付を行い取扱い数の増加を図りました。また、整備作業の一層の内製化を推進しました。当期は大口顧客よりのバス整備関係の受注がやや減少したことから、前年より減収となりました。
広告・その他事業においては、広告事業においては電車車体、バス車体のラッピング広告の受注が継続的にあったものの、前年より取扱いが減少したため、前年より減収となりました。保険事業においては取扱件数、取扱額に大きな変動はなく、ほぼ前年並みとなりました。
その他事業セグメント全体では、売上高は53,194千円(前連結会計年度比67.9%)、セグメント利益は19,488千円(前連結会計年度比50.1%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期と比較して93,149千円減少し、336,102千円(前連結会計年度比78.3%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は914,828千円(前連結会計年度993,473千円)となりました。賞与引当金の増減額が14,088千円(前連結会計年度△410千円)、支払利息が74,919千円(前連結会計年度67,723千円)、売上債権の増減額が127,743千円(前連結会計年度△60,845千円)、棚卸資産の増減額が13,543千円(前連結会計年度△32,584千円)となった一方で、税金等調整前当期純利益が106,111千円(前連結会計年度160,708千円)、退職給付に係る負債の増減額が△23,515千円(前連結会計年度11,837千円)、未収消費税等の増減額が△1,418千円(前連結会計年度42,382千円)、その他の資産・負債の増減額が△147,399千円(前連結会計年度76,205千円)となったことが主な要因となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は△503,364千円(前連結会計年度△804,952千円)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が△479,791千円(前連結会計年度△834,830千円)となったことが主な要因となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は△504,613千円(前連結会計年度△159,046千円)となりました。借入金償還が進み総額が減少したことから、短期借入金の純増減額が△120,000千円(前連結会計年度10,000千円)、長期借入金の返済による支出が△387,672千円(前連結会計年度△256,683千円)となったことが主な要因となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの業務はサービス業であり、その性格上、生産、受注を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末より76,807千円減少し5,293,773千円となりました。
流動資産は2,100,703千円(前連結会計年度末2,229,281千円)と前年度より128,577千円減少しました。これは主に、当社運輸事業における補助金受給額の増加により未収入金が109,592千円増加した一方で、現金及び預金が93,149千円減少、石油製品売上の減少や横領事案に関連して債権回収が進んだことにより売掛金が127,511千円減少したことなどによるものであります。固定資産は3,193,069千円(前連結会計年度末3,141,299千円)と前年度より51,770千円増加しました。これは主に、グループ各社において設備関係投資やバス車両更新等を進めたことにより、有形固定資産が53,454千円増加、株価上昇に伴い投資有価証券が11,760千円増加した一方で、減価償却が進んだことにより無形固定資産が12,587千円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末より186,630千円減少し4,615,233千円となりました。
流動負債は3,041,729千円(前連結会計年度末3,005,417千円)と前年度より36,312千円増加しました。これは主に、当社運輸事業において設備投資が増加したことにより未払金が194,286千円増加した一方で、償還が進んだことにより短期借入金が184,115千円減少したことによるものであります。固定負債は1,573,504千円(前連結会計年度末1,796,446千円)と前年度より222,942千円減少しました。これは主に、借入金償還が進んだことにより長期借入金が193,557千円減少、対象者の減少に伴い退職給付に係る負債が23,515千円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末より109,822千円増加し678,539千円となりました。これは主に、当期純利益を計上したことで利益剰余金が102,595千円増加したことによるものであります。
ⅱ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前年度より225,858千円減少し3,571,516千円となりました。流通事業において石油類の大口販売数量の減少により、前年よりも減収となったものであります。
(営業費)
当連結会計年度の営業費は、前年度より111,574千円減少し4,366,886千円となりました。物価上昇によるコスト増加や賃上げによる人件費増加があったものの、石油製品の大口販売数量の減少により売上原価が減少したことが主な要因であります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度より55,751千円悪化し102,595千円となりました。流通事業における減収によるものであります。
ⅲ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの主要事業である運輸事業及び流通事業が置かれている経営環境は、地域人口の減少や石油製品の需要減少などによる市場規模の縮小により、大変厳しい状況にあると認識しております。
運輸事業においては、従来より地域人口の減少に伴う利用減少の傾向が続いております。また、近年労働力不足が深刻な状況となっており、乗務員不足による運行ダイヤ削減、営業体制縮小により需要に応えられない場面が増えるなど、経営上の大きな課題となっております。費用面でも燃料費や電気代、人件費、製品価格の上昇が続いていることによる営業コストの増加が収支を圧迫する状況となっております。当期は北陸新幹線福井・敦賀延伸開業による効果が一段落したことにより移動需要の減少が見られました。大阪・関西万博開催による移動需要の増加があったことから落ち込みをカバーすることができましたが、以降も減少傾向は続くことが想定されることから、今後のご利用状況を注視し、積極的な利用促進活動・営業活動による増収と、コスト削減や業務効率化による収支改善をより一層図る必要があると考えております。
流通事業においては、主力の石油類・ガス販売事業について、自動車の性能が向上していること、ハイブリッド車や電気自動車といったエコカーが普及したこと、オール電化住宅が増加したことなどの要因により、需要の減少傾向が続いております。当社グループでは、スタンド設備の更新、社員教育による接客レベル向上、個別配送取扱いの強化、車検や洗車、物販といった給油以外のサービス充実、廃業した事業者の取引先譲受、大口販売先の開拓など様々な取り組みを行い、販売量の増加と油以外のサービス強化を図っております。今後もお客様に選んでいただけるよう、引き続き営業活動や他にない独自のサービス提供等積極的に行動してまいります。また、安定的な収益を確保するため、適切な小売価格の設定に努めるとともに、車検取扱い、洗車、物販といったスタンド給油以外のサービスの更なる充実を図っていく必要があると考えております。
引き続き多くのお客様に当社グループのサービスをご利用いただけるよう、安全・安心で魅力あるサービスの提供や営業活動の強化に積極的に取り組んでまいります。また、グループ各社で連携しつつ経営効率化や財務体制の強化を図り、収支改善・経営安定化に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、石油製品類の販売量の減少や借入金の減少等により、現金及び現金同等物の期末残高は減少しました。
当社グループの運転資金需要の主なものは、運輸事業における運営費(人件費、動力費、修繕費、賃借料等)、流通事業における石油類購入費及び各事業に関する一般管理費等であります。設備投資資金需要の主なものは、運輸事業における輸送用設備更新、流通事業における給油設備等更新であります。
当社グループの運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本として、資金需要を見極めつつ対応しております。設備投資資金については、金融機関からの長期借入を基本として、投資計画を勘案し必要に応じて対応しております。なお、主に運輸事業において国及び自治体の補助金を受給しており、受給した補助金の事業内容に基づき、運転資金又は設備投資資金に充当しております。
当社グループでは、借入金残高について基本的に圧縮する方針でおります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響によりコロナ流行前の水準と比較して売上が減少したことから、借入金残高が大きく増加することとなりました。現在、新型コロナウイルス感染症対応の長期借入金の償還が進んでいることや、売上増加のため借入金残高は減少傾向にあります。引き続き資金需要の状況や設備投資計画、長期借入の返済予定等を勘案した資金計画を立て、運営に支障を生ずることの無いよう必要に応じ適切に対応してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。