有価証券報告書-第30期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している「重要な会計方針」については、「第5[経理の状況][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。なお、将来の見通しに関する記述については、現在入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績・結果は異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループは、基幹事業である鉄道事業において安全性の向上に全力で取り組むとともに、その他のグループ事業においては、各事業の特性を活かした様々な施策の展開及び保有資産の有効活用等に努めてまいりました。
当期については、運輸収入において昨年4月の熊本地震の影響、北陸新幹線の開業効果の反動減の影響等があったものの、年度後半にかけて収入が順調に回復し、前期並みの収入となりました。しかしながら、非鉄道事業の工事業において前期の大型件名受注の反動減があったことなどにより、営業収益、営業利益、経常利益が減少しました。一方、法人税等の減少により親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。
① 営業収益
営業収益は、前連結会計年度に比べ0.7%、98億円減少の1兆4,414億円となりました。
運輸業セグメントについては、当社の運輸収入が昨年4月の熊本地震の影響、北陸新幹線の開業効果の反動減の影響等を受けたものの、年度後半にかけて収入が順調に回復したことなどにより、前連結会計年度並み、3億円増加の9,291億円となりました。
このうち、新幹線については、山陽新幹線において安全性を前提とした競争力の強化に向けて、新ATCの使用を開始して所要時間の短縮を図ったほか、熊本地震により減退した観光需要の復興に向けて「九州観光復興キャンペーン」等各種キャンペーンを実施しました。また、北陸新幹線においては開業2年目における効果の定着化に向けた「開業1周年キャンペーン」「出張応援キャンペーン」の開催、テレビCMの実施など各種営業施策に取り組んでまいりましたが、昨年4月の熊本地震の影響、北陸新幹線の開業効果の反動減の影響等から、前連結会計年度に比べ0.6%、26億円減少の4,346億円となりました。
一方、在来線については、訪日観光客需要の獲得に向けた取り組みのほか、大阪環状線改造プロジェクトや「京都鉄道博物館」の開業など線区価値向上に向けた施策の実施、可部線の電化延伸及び新駅開業等の取り組みの結果、前連結会計年度に比べ0.6%、23億円増加の4,150億円となりました。
流通業セグメントについては、セブン-イレブン・ジャパンとの提携店舗が当期新たに142店舗開業し、売上げも好調に推移したことや、飲食店の市中展開を目的に、連結子会社の株式会社ジェイアール西日本フードサービスネットが「からふね屋珈琲株式会社」を吸収合併したことなどにより、前連結会計年度に比べ0.8%、18億円増加の2,339億円となりました。
不動産業セグメントについては、「LUCUA osaka」及び「OSC」のさらなるにぎわいの向上に向けた取り組みのほか、将来の成長に向け、各拠点駅や市中において商業施設の新規開業とリニューアルを順次進め、これらの効果が堅調に推移しましたが、前年のマンション分譲の反動減などにより、前連結会計年度に比べ0.6%、6億円増加の1,095億円となりました。
その他セグメントについては、旅行業で訪日観光客需要の獲得に向けた営業展開の強化、販売の充実等を図るとともに、鉄道利用商品の販売拡大に取り組みましたが、工事業における大型件名の受注の反動減により、前連結会計年度に比べ7.0%、127億円減少の1,688億円となりました。
② 営業費
営業費については、新幹線鉄道大規模改修引当金の積立てに伴う増加があったものの、工事業において営業収益の減少に伴い売上原価が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ0.4%、47億円減少の1兆2,650億円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ2.8%、51億円減少の1,763億円となりました。
④ 営業外損益
営業外損益については、支払利息の減少などにより、前連結会計年度に比べ36億円改善し、156億円の損失となりました。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ0.9%、14億円減少の1,607億円となりました。
⑥ 特別損益
特別損益については、鉄道事業廃止後の三江線における橋梁及び電気設備の撤去等の費用を線区整理損失引当金として繰り入れたことや、減損損失の増加などにより、前連結会計年度に比べ59億円悪化し、230億円の損失となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ6.3%、54億円増加の912億円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因
① 収益に影響する要因
ア.運輸業
運輸業セグメントは鉄道運輸収入が大宗を占めております。鉄道運輸収入は、主に鉄道利用者数により左右され、航空機を含めた他の輸送モード、同業他社との競争や、経済情勢、少子高齢化等、多くの要因により影響を受けます。また、鉄道利用者は、安全性、信頼性をベースに、所要時間・ネットワーク性・運賃・快適性を基準として選択を行うと考えております。
新幹線の収入は、主として、ビジネスや観光旅行客の数に左右され、経済環境や航空機との競争、訪日観光客の動向などに影響を受けます。
アーバンネットワークの収入は通勤・通学客が多いことから、経済情勢の影響を受けにくいと考えておりますが、少子高齢化や都市化等の人口推移による影響を受けると考えております。
その他在来線のうち、都市間輸送の収入は経済情勢や高速バス、自家用車との競争による影響を受けます。また、ローカル線の収入は自家用車との競争や地域の経済情勢及び人口の推移による影響を受けます。
イ.流通業
流通業セグメントの収入は、主に百貨店業、物品販売業及び飲食業からの収入で構成されております。当セグメントの収入は、経済情勢及び他の百貨店、物販店舗、レストランとの競争に左右されます。当セグメントの事業の多くが駅やその周辺で行われているため、鉄道輸送量も影響を受ける要因です。しかし、駅は比較的安定したご利用があるため、当セグメントの収益は同業他社に比べ、これらの影響は少ないと考えております。また、新規店舗の開発や既存店舗の廃止によっても左右されます。
ウ.不動産業
不動産業セグメント収入の大部分は、駅やその周辺施設の賃貸収入により得られます。当セグメントは、経済情勢の影響は受けるものの、駅は比較的安定したご利用があり、テナントは立地の利便性から駅構内及びその周辺のオフィスを好むことから、同業他社に比べ、その影響は少ないと考えております。当社グループの賃貸借契約の多くは、固定賃料及び売上歩合賃料によって構成されていることにより、不動産業の収益はテナントの売上げに左右されます。人気店舗の導入は、売上歩合賃料の増加のほか、駅やショッピングセンターへの集客力を向上させるために重要であります。また、店舗の改装も集客力の向上に重要な要素であります。
エ.その他
その他セグメントの収入は、主としてホテル業及び旅行業によるものです。ホテル業の収益は、経済情勢や宿泊料金、他ホテルとの競争、訪日観光客の動向に影響されます。また、旅行業による収入は主に他旅行業者との競争、経済情勢やテロなど旅行を妨げる状況により影響を受けます。
その他セグメントには、ホテル業、旅行業のほか、建設事業、広告業等がありますが、そのほとんどが基幹事業である鉄道事業の顧客基盤、駅及びその他の施設の強化を目的としたものであります。
② 費用に影響する要因
ア.人件費
当社は、年齢構成等により退職者数が多い状況にある中で、新規採用等により事業運営に必要な社員数を確保してきております。当事業年度の人件費は2,233億円となっております。
なお、高年齢層の人材を確保し、一層円滑な技術継承を図ること及び高年齢者雇用安定法など法令への対応の観点から、定年後の再雇用制度を設定しております。また、将来にわたり事業を運営しうる体制を構築するという視点で、新卒採用を中心に採用を行うほか、多様な人材確保等の観点から、契約社員からの採用、中途採用等を実施しており、当事業年度においては850名を超える採用を行いました。
イ.物件費
当社は、鉄道事業の特徴である、(ⅰ)多くの設備を有し、安全の確保のために必要なメンテナンスに係るコストの比重が大きい、(ⅱ)収益に連動しない「固定費用」の割合が高いなどの事情から、安全性の確保を大前提として、メンテナンスが容易な車両及び設備の導入、機械化、既存のインフラの改良などにより、これらの経費を構造的に削減する取り組みを行っております。
しかしながら、福知山線列車事故の責任とその重大性を重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、当分の間、安全性の向上に必要となる費用の増加が想定されます。
また、対抗輸送機関との競争力向上のため、サービスレベルの向上、販売促進のためのIT化、効率化に寄与する外注化などによる費用の増加も想定されます。
さらに、電気料金の値上げによる費用の増加が想定されます。
ウ.線路使用料等
当社は、JR東西線を関西高速鉄道株式会社から借り受けており、平成16年度以降の線路使用料の年額については、3年度毎に協議し、金利変動等を勘案して決定することとなっております。また、平成23年度以降の線路使用料については減額を行い、当事業年度の費用は約152億円となっております。
エ.支払利息
営業外費用のうち、重要なものとして支払利息があります。当社グループとしては、経営の安定性を保つために長期債務残高や支払利息の水準を注視しております。当連結会計年度の当社グループの支払利息については223億円となり、前連結会計年度に比べ18億円減少しております。
(4) 流動性と資本の源泉
① キャッシュ・フロー
ア.営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益が減少したことなどから、営業活動において得た資金は前連結会計年度に比べ257億円少ない2,341億円となりました。
イ.投資活動によるキャッシュ・フロー
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどから、投資活動において支出した資金は前連結会計年度に比べ625億円多い2,958億円となりました。
ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー
社債の発行による収入が増加したことなどから、財務活動において得た資金は前連結会計年度に比べ756億円多い443億円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ173億円少ない633億円となりました。
② 資本需要と設備投資
当社グループは、当連結会計年度において総額2,115億円の設備投資を実施し、そのうち運輸業では1,704億円、流通業、不動産業及びその他では、50億円、233億円及び127億円をそれぞれ実施しました。運輸業に関する設備投資においては、安全性の向上を中心とした鉄道インフラの整備や、老朽車両の更新等を目的とした新型車両の購入を行っております。流通業、不動産業及びその他における当社グループの設備投資においては、新設備の建設や老朽設備の改築等を行っております。
さらに、福知山線列車事故の責任とその重大性を重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、安全をより一層高めるために必要な運転保安設備の整備等ハード対策を盛り込むとともに、今後も様々な検討を行うこととしております。
③ 流動性
当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金が潤沢にあり、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。
一方、資金効率の向上は企業経営にとって極めて重要と認識しており、その一環として、平成14年10月からキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を導入し、グループ内資金の有効活用を図っております。
④ 資金調達
資金調達については、既存債務の返済資金や設備投資資金等のうち当社グループのキャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主としており、その調達手段は社債及び銀行等からの長期借入金など、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。また、短期的に資金を必要とする場合には、主として短期社債で賄うことを基本としております。
さらに、地震が発生した場合でも、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能なコミットメントライン契約を締結しております。
(1) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している「重要な会計方針」については、「第5[経理の状況][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。なお、将来の見通しに関する記述については、現在入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績・結果は異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループは、基幹事業である鉄道事業において安全性の向上に全力で取り組むとともに、その他のグループ事業においては、各事業の特性を活かした様々な施策の展開及び保有資産の有効活用等に努めてまいりました。
当期については、運輸収入において昨年4月の熊本地震の影響、北陸新幹線の開業効果の反動減の影響等があったものの、年度後半にかけて収入が順調に回復し、前期並みの収入となりました。しかしながら、非鉄道事業の工事業において前期の大型件名受注の反動減があったことなどにより、営業収益、営業利益、経常利益が減少しました。一方、法人税等の減少により親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。
① 営業収益
営業収益は、前連結会計年度に比べ0.7%、98億円減少の1兆4,414億円となりました。
運輸業セグメントについては、当社の運輸収入が昨年4月の熊本地震の影響、北陸新幹線の開業効果の反動減の影響等を受けたものの、年度後半にかけて収入が順調に回復したことなどにより、前連結会計年度並み、3億円増加の9,291億円となりました。
このうち、新幹線については、山陽新幹線において安全性を前提とした競争力の強化に向けて、新ATCの使用を開始して所要時間の短縮を図ったほか、熊本地震により減退した観光需要の復興に向けて「九州観光復興キャンペーン」等各種キャンペーンを実施しました。また、北陸新幹線においては開業2年目における効果の定着化に向けた「開業1周年キャンペーン」「出張応援キャンペーン」の開催、テレビCMの実施など各種営業施策に取り組んでまいりましたが、昨年4月の熊本地震の影響、北陸新幹線の開業効果の反動減の影響等から、前連結会計年度に比べ0.6%、26億円減少の4,346億円となりました。
一方、在来線については、訪日観光客需要の獲得に向けた取り組みのほか、大阪環状線改造プロジェクトや「京都鉄道博物館」の開業など線区価値向上に向けた施策の実施、可部線の電化延伸及び新駅開業等の取り組みの結果、前連結会計年度に比べ0.6%、23億円増加の4,150億円となりました。
流通業セグメントについては、セブン-イレブン・ジャパンとの提携店舗が当期新たに142店舗開業し、売上げも好調に推移したことや、飲食店の市中展開を目的に、連結子会社の株式会社ジェイアール西日本フードサービスネットが「からふね屋珈琲株式会社」を吸収合併したことなどにより、前連結会計年度に比べ0.8%、18億円増加の2,339億円となりました。
不動産業セグメントについては、「LUCUA osaka」及び「OSC」のさらなるにぎわいの向上に向けた取り組みのほか、将来の成長に向け、各拠点駅や市中において商業施設の新規開業とリニューアルを順次進め、これらの効果が堅調に推移しましたが、前年のマンション分譲の反動減などにより、前連結会計年度に比べ0.6%、6億円増加の1,095億円となりました。
その他セグメントについては、旅行業で訪日観光客需要の獲得に向けた営業展開の強化、販売の充実等を図るとともに、鉄道利用商品の販売拡大に取り組みましたが、工事業における大型件名の受注の反動減により、前連結会計年度に比べ7.0%、127億円減少の1,688億円となりました。
② 営業費
営業費については、新幹線鉄道大規模改修引当金の積立てに伴う増加があったものの、工事業において営業収益の減少に伴い売上原価が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ0.4%、47億円減少の1兆2,650億円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ2.8%、51億円減少の1,763億円となりました。
④ 営業外損益
営業外損益については、支払利息の減少などにより、前連結会計年度に比べ36億円改善し、156億円の損失となりました。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ0.9%、14億円減少の1,607億円となりました。
⑥ 特別損益
特別損益については、鉄道事業廃止後の三江線における橋梁及び電気設備の撤去等の費用を線区整理損失引当金として繰り入れたことや、減損損失の増加などにより、前連結会計年度に比べ59億円悪化し、230億円の損失となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ6.3%、54億円増加の912億円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因
① 収益に影響する要因
ア.運輸業
運輸業セグメントは鉄道運輸収入が大宗を占めております。鉄道運輸収入は、主に鉄道利用者数により左右され、航空機を含めた他の輸送モード、同業他社との競争や、経済情勢、少子高齢化等、多くの要因により影響を受けます。また、鉄道利用者は、安全性、信頼性をベースに、所要時間・ネットワーク性・運賃・快適性を基準として選択を行うと考えております。
新幹線の収入は、主として、ビジネスや観光旅行客の数に左右され、経済環境や航空機との競争、訪日観光客の動向などに影響を受けます。
アーバンネットワークの収入は通勤・通学客が多いことから、経済情勢の影響を受けにくいと考えておりますが、少子高齢化や都市化等の人口推移による影響を受けると考えております。
その他在来線のうち、都市間輸送の収入は経済情勢や高速バス、自家用車との競争による影響を受けます。また、ローカル線の収入は自家用車との競争や地域の経済情勢及び人口の推移による影響を受けます。
イ.流通業
流通業セグメントの収入は、主に百貨店業、物品販売業及び飲食業からの収入で構成されております。当セグメントの収入は、経済情勢及び他の百貨店、物販店舗、レストランとの競争に左右されます。当セグメントの事業の多くが駅やその周辺で行われているため、鉄道輸送量も影響を受ける要因です。しかし、駅は比較的安定したご利用があるため、当セグメントの収益は同業他社に比べ、これらの影響は少ないと考えております。また、新規店舗の開発や既存店舗の廃止によっても左右されます。
ウ.不動産業
不動産業セグメント収入の大部分は、駅やその周辺施設の賃貸収入により得られます。当セグメントは、経済情勢の影響は受けるものの、駅は比較的安定したご利用があり、テナントは立地の利便性から駅構内及びその周辺のオフィスを好むことから、同業他社に比べ、その影響は少ないと考えております。当社グループの賃貸借契約の多くは、固定賃料及び売上歩合賃料によって構成されていることにより、不動産業の収益はテナントの売上げに左右されます。人気店舗の導入は、売上歩合賃料の増加のほか、駅やショッピングセンターへの集客力を向上させるために重要であります。また、店舗の改装も集客力の向上に重要な要素であります。
エ.その他
その他セグメントの収入は、主としてホテル業及び旅行業によるものです。ホテル業の収益は、経済情勢や宿泊料金、他ホテルとの競争、訪日観光客の動向に影響されます。また、旅行業による収入は主に他旅行業者との競争、経済情勢やテロなど旅行を妨げる状況により影響を受けます。
その他セグメントには、ホテル業、旅行業のほか、建設事業、広告業等がありますが、そのほとんどが基幹事業である鉄道事業の顧客基盤、駅及びその他の施設の強化を目的としたものであります。
② 費用に影響する要因
ア.人件費
当社は、年齢構成等により退職者数が多い状況にある中で、新規採用等により事業運営に必要な社員数を確保してきております。当事業年度の人件費は2,233億円となっております。
なお、高年齢層の人材を確保し、一層円滑な技術継承を図ること及び高年齢者雇用安定法など法令への対応の観点から、定年後の再雇用制度を設定しております。また、将来にわたり事業を運営しうる体制を構築するという視点で、新卒採用を中心に採用を行うほか、多様な人材確保等の観点から、契約社員からの採用、中途採用等を実施しており、当事業年度においては850名を超える採用を行いました。
イ.物件費
当社は、鉄道事業の特徴である、(ⅰ)多くの設備を有し、安全の確保のために必要なメンテナンスに係るコストの比重が大きい、(ⅱ)収益に連動しない「固定費用」の割合が高いなどの事情から、安全性の確保を大前提として、メンテナンスが容易な車両及び設備の導入、機械化、既存のインフラの改良などにより、これらの経費を構造的に削減する取り組みを行っております。
しかしながら、福知山線列車事故の責任とその重大性を重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、当分の間、安全性の向上に必要となる費用の増加が想定されます。
また、対抗輸送機関との競争力向上のため、サービスレベルの向上、販売促進のためのIT化、効率化に寄与する外注化などによる費用の増加も想定されます。
さらに、電気料金の値上げによる費用の増加が想定されます。
ウ.線路使用料等
当社は、JR東西線を関西高速鉄道株式会社から借り受けており、平成16年度以降の線路使用料の年額については、3年度毎に協議し、金利変動等を勘案して決定することとなっております。また、平成23年度以降の線路使用料については減額を行い、当事業年度の費用は約152億円となっております。
エ.支払利息
営業外費用のうち、重要なものとして支払利息があります。当社グループとしては、経営の安定性を保つために長期債務残高や支払利息の水準を注視しております。当連結会計年度の当社グループの支払利息については223億円となり、前連結会計年度に比べ18億円減少しております。
(4) 流動性と資本の源泉
① キャッシュ・フロー
ア.営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益が減少したことなどから、営業活動において得た資金は前連結会計年度に比べ257億円少ない2,341億円となりました。
イ.投資活動によるキャッシュ・フロー
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどから、投資活動において支出した資金は前連結会計年度に比べ625億円多い2,958億円となりました。
ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー
社債の発行による収入が増加したことなどから、財務活動において得た資金は前連結会計年度に比べ756億円多い443億円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ173億円少ない633億円となりました。
② 資本需要と設備投資
当社グループは、当連結会計年度において総額2,115億円の設備投資を実施し、そのうち運輸業では1,704億円、流通業、不動産業及びその他では、50億円、233億円及び127億円をそれぞれ実施しました。運輸業に関する設備投資においては、安全性の向上を中心とした鉄道インフラの整備や、老朽車両の更新等を目的とした新型車両の購入を行っております。流通業、不動産業及びその他における当社グループの設備投資においては、新設備の建設や老朽設備の改築等を行っております。
さらに、福知山線列車事故の責任とその重大性を重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、安全をより一層高めるために必要な運転保安設備の整備等ハード対策を盛り込むとともに、今後も様々な検討を行うこととしております。
③ 流動性
当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金が潤沢にあり、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。
一方、資金効率の向上は企業経営にとって極めて重要と認識しており、その一環として、平成14年10月からキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を導入し、グループ内資金の有効活用を図っております。
④ 資金調達
資金調達については、既存債務の返済資金や設備投資資金等のうち当社グループのキャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主としており、その調達手段は社債及び銀行等からの長期借入金など、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。また、短期的に資金を必要とする場合には、主として短期社債で賄うことを基本としております。
さらに、地震が発生した場合でも、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能なコミットメントライン契約を締結しております。