有価証券報告書
Ⅰ 業績等の概要
(1) 業績
※平均補油価格
当期における世界経済は、昨年から引き続き世界全体で安定的に拡大する傾向となりました。米国経済は、良好な雇用・所得環境を背景に個人消費は回復が継続し、企業部門でも生産や輸出の回復が続き、拡大傾向を維持しました。欧州経済は、雇用環境の改善を背景に個人消費は底堅く、緩やかな回復が持続しました。中国経済は、良好な雇用・所得環境を受けて個人消費は安定的に拡大し、輸出も世界経済の回復を背景に拡大し、堅調に推移しました。わが国では、良好な雇用・所得環境が継続し個人消費は緩やかな回復を続け、企業部門では国内外の需要回復により、景気回復が継続しました。
海運市況のうち、ドライバルク船市況は、鉱石の荷動きが旺盛になり、南米東岸積穀物貨や、主要貨物である石炭の荷動きも概して好調だったため、全体的に前期より大幅に上昇した水準で堅調に推移しました。原油船市況は、船腹供給が増加する中、老齢船撤退の進捗が遅かったことよる船腹過剰感や、OPEC加盟国減産の浸透等を背景に、冬場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前期の水準を下回りました。コンテナ船については、北米、欧州、南米の各航路において需給環境の改善を背景にスポット運賃市況の回復が見られました。上記のように、一部回復基調も見られましたが、全体としては勢いが鈍く、本格的回復にまでは至りませんでした。
当期の対ドル平均為替レートは、前期比\2.51/US$円安の\111.08/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$70/MT上昇しUS$354/MTとなりました。
尚、定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)設立に伴い、次年度以降に同社への貸船に関わる損失や当社代理店の整理損失等の発生が見込まれるため、これらの損失の引当を大宗として事業再編関連損失を計上しました。
以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆6,523億円、営業損益226億円、経常損益314億円といずれも前期を上回ったものの、親会社株主に帰属する当期純損益は△473億円となりました。
セグメント毎の売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① ドライバルク船事業
ケープサイズ市況は、上半期については東豪州で発生したサイクロンの影響長期化等により下落が続きましたが、夏場からブラジル積レート反発に伴い上昇し、11月以降は鉱石の荷動きが旺盛となり更に上昇、12月半ばに約4年ぶりに30千ドル/日を記録する等、堅調に推移しました。パナマックス市況は、4月中旬に12千ドル台/日まで上昇して以降6月中旬にかけて低迷し、6月中旬以降は上昇と下落を繰り返していましたが、7月下旬以降は南米東岸積穀物貨や主要貨物である石炭の荷動きが概して好調であったため、需給が締まり堅調に推移しました。ハンディマックス船型以下も、ドライバルク市況の全体的な底上げを受けトレードの荷動きも活性化・需給改善し、滞船・天候事由による船腹緊急手配も多く、堅調に推移しました。
このような市況環境の中、従前に取り組んだ構造改革の継続的な効果、コスト削減により前期を上回る利益を確保しました。
② エネルギー輸送事業
<油送船>原油船市況は、新造船が着々と竣工する一方で老齢船撤退の進捗が遅かったことによる船腹過剰感やOPEC加盟国減産の浸透等を背景に、冬場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前期の水準を下回りました。石油製品船市況は、夏場に米国を直撃したハリケーンの影響による一時的な高騰はあったものの、東西の荷動きの低迷や新造船の供給圧力増により低調に推移し、また冬場には米国・欧州が寒波に見舞われたものの市況高騰の影響は限定的であり、前期に比べ全体的に低調に推移しました。LPG船市況も、上半期はLPG価格の地域差の縮小により、米国からアジア向けの裁定取引が縮小して下落傾向となりました。一方、秋口から冬場にかけては、需給バランスの変動により一時的な上下を繰り返しつつも、主に米国からの堅調なLPG出荷を背景に上昇基調となり、通期全体では前期と概ね同水準で推移しました。
このような事業環境下において油送船部門は、定期傭船契約等の長期契約の安定的な履行や確実な契約延長の実施、更にはプール運航による運航効率の改善やコスト削減にも継続して努めた結果、前期比で減益となったものの、通期黒字を計上しました。
LNG船部門は、長期契約からの安定的な収益を享受し黒字を確保しました。期中には、世界初の砕氷LNG船プロジェクト向け第1船を含む5隻が竣工しました。海洋事業部門においても、既存プロジェクトに加えFPSO 1隻、FSRU 1隻の期中稼働があり、前期に続き安定的に黒字を計上しました。
③ 製品輸送事業
<コンテナ船>北米航路のスポット運賃は、第1四半期は伸び悩んだものの、当期も荷動きが過去最高のペースで推移し、夏場に上昇しました。冬場は供給圧力が目立ち弱含みましたが2月の旧正月前の繁忙時に再び上向きました。欧州航路は、荷動き量の大幅な回復があったにもかかわらず各社大型船就航により上昇を抑えられ、スポット運賃は1年を通じて比較的安定して推移しました。また、アジア向け復航の貨物量増加が目立ちました。南米東岸航路はブラジル経済の底打ちにより荷動きが急回復し、スポット運賃が春先から急上昇、時に大きく跳ね上がり損益改善に大きく貢献しました。大型船投入によるスペース増加を生かすべく、春先に精力的に年間契約貨物を確保したことから、夏場以降の上昇したスポット運賃による利益享受は限定されました。尚、昨年7月に設立しました定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の設立関連費用を持分法投資損失として計上しておりますが、コンテナ船事業全体では、大型船投入によるスロットコスト低減と、従来からのコスト削減の効果もあり、前期比で損失は縮小しました。
<自動車船>完成車の荷動きは、北米・アジア・オセアニア向けが引き続き堅調に推移しましたが、資源国向けは資源価格の低迷を背景に本格的な回復の兆しは見られませんでした。減船やトレードパターンの変化に対応した運航効率改善の取り組みを継続し、前期を上回る黒字を計上しました。
<フェリー・内航RORO船>フェリー・内航RORO船については、トラックドライバーの不足や高齢化、労務管理の強化を背景としたモーダルシフトの流れは更に加速し、荷動きは堅調に推移しました。当社グループは堅調な荷動きなどビジネスの流れを堅実に掴んだだけではなく、旅客においてもカジュアルクルーズをコンセプトとしたプロモーション活動が奏功し、瀬戸内海航路・南九州航路を中心に堅調に推移しました。しかしながら、新造船の竣工遅延や燃料油価格の上昇等により、フェリー・内航RORO船事業全体では前期比で減益となりました。
④ 関連事業
客船事業は、にっぽん丸は好調な集客を続けたものの、台風によるクルーズ催行中止等の影響により、前期比で減益となりました。不動産事業は、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)の売上が増加したこと等により、前期比で増益となりました。その他の曳船や商社等の業績も総じて堅調に推移し、関連事業セグメント全体は前期比で増益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業などがありますが、前期比では増益となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、27億円増加し、1,895億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が287億円となった一方、減価償却費が866億円となったこと等から、983億円(前年同期176億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△1,008億円(前年同期△739億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により92億円(前年同期871億円)となりました。
Ⅱ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。
セグメントの売上高
(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅲ 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 財務戦略
①資金調達の方針
当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。
また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。
②資金調達の多様性
当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。
運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。
直接調達については、平成29年度に新規の社債発行は行いませんでしたが、平成30年3月末の国内普通社債発行残高は745億円、ユーロ米ドル建取得条項付転換社債型新株予約権社債発行残高は5億米ドルとなっております。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、平成30年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「BBB」、日本格付研究所(JCR)「A-」、ムーディーズ(Moody's)「Ba1」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより
「a-2」/「J-1」を取得しております。
当社は1,000億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。
更に、安定的な経常運転資金枠の確保・緊急時の流動性補完を目的に国内金融機関から円建て及び米ドル建てのコミットメントラインを設定しており、資金の流動性確保に努めております。
③グループ資金の効率化
当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。
(2) 損益状況
売上高は、円安や主にコンテナ船における市況改善等により、前連結会計年度に比べ1,480億円増収の1兆6,523億円となりました。
経常利益は、燃料油価格の上昇や油送船の市況悪化等の減益要因があったものの、コンテナ船やドライバルク船における市況改善の影響がそれらを上回り、前連結会計年度に比べ60億円増益の314億円となりました。ドライバルク船事業は、市況の改善に加え、従前に取り組んだ構造改革の継続的な効果やコスト削減により前年を上回る利益を確保し、前連結会計年度に比べ34億円増益の154億円となりました。エネルギー輸送事業では、LNG船・海洋事業において安定的な収益を引き続き確保したものの、油送船市況が大幅に悪化した結果、前連結会計年度に比べ128億円減益の136億円となりました。製品輸送事業のコンテナ船は、定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の設立関連費用を持分法投資損失として計上していますが、市況の改善に加え、大型船投入によるスロットコスト低減と従来からのコスト削減の効果もあり、前連結会計年度に比べ221億円損失が縮小し、106億円の赤字となりました。自動車船は本格的な荷動きの回復が見られない中、運航効率改善の取り組みを継続し前年を上回る黒字を計上しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は473億円の赤字となりました。経常利益が60億円の増益となりましたが、上述の定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)設立に伴い、次年度以降に同社への貸船に関わる損失や当社代理店の整理損失等の発生が見込まれるため、これらの損失の引当を大宗として事業再編関連損失を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ526億円の損益悪化となりました。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ81億円増加し、2兆2,256億円となりました。これは主に投資有価証券が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ636億円増加し、1兆5,975億円となりました。これは主に短期借入金が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ555億円減少し、6,280億円となりました。これは主に利益剰余金が減少したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、2.8ポイント減少し、23.0%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「Ⅰ.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(1) 業績
| 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 増減額 / 増減率 | |
| 売上高 (億円) | 15,043 | 16,523 | 1,480 / 9.8% |
| 営業損益 (億円) | 25 | 226 | 201 / 786.7% |
| 経常損益 (億円) | 254 | 314 | 60 / 23.8% |
| 親会社株主に帰属する 当期純損益 (億円) | 52 | △473 | △526 / - % |
| 為替レート | \108.57/US$ | \111.08/US$ | \2.51/US$ |
| 船舶燃料油価格 ※ | US$284/MT | US$354/MT | US$70/MT |
※平均補油価格
当期における世界経済は、昨年から引き続き世界全体で安定的に拡大する傾向となりました。米国経済は、良好な雇用・所得環境を背景に個人消費は回復が継続し、企業部門でも生産や輸出の回復が続き、拡大傾向を維持しました。欧州経済は、雇用環境の改善を背景に個人消費は底堅く、緩やかな回復が持続しました。中国経済は、良好な雇用・所得環境を受けて個人消費は安定的に拡大し、輸出も世界経済の回復を背景に拡大し、堅調に推移しました。わが国では、良好な雇用・所得環境が継続し個人消費は緩やかな回復を続け、企業部門では国内外の需要回復により、景気回復が継続しました。
海運市況のうち、ドライバルク船市況は、鉱石の荷動きが旺盛になり、南米東岸積穀物貨や、主要貨物である石炭の荷動きも概して好調だったため、全体的に前期より大幅に上昇した水準で堅調に推移しました。原油船市況は、船腹供給が増加する中、老齢船撤退の進捗が遅かったことよる船腹過剰感や、OPEC加盟国減産の浸透等を背景に、冬場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前期の水準を下回りました。コンテナ船については、北米、欧州、南米の各航路において需給環境の改善を背景にスポット運賃市況の回復が見られました。上記のように、一部回復基調も見られましたが、全体としては勢いが鈍く、本格的回復にまでは至りませんでした。
当期の対ドル平均為替レートは、前期比\2.51/US$円安の\111.08/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$70/MT上昇しUS$354/MTとなりました。
尚、定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)設立に伴い、次年度以降に同社への貸船に関わる損失や当社代理店の整理損失等の発生が見込まれるため、これらの損失の引当を大宗として事業再編関連損失を計上しました。
以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆6,523億円、営業損益226億円、経常損益314億円といずれも前期を上回ったものの、親会社株主に帰属する当期純損益は△473億円となりました。
セグメント毎の売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 増減額 / 増減率 | |
| ドライバルク船事業 | 2,678 | 2,729 | 50 / 1.9% | |
| 119 | 154 | 34 / 28.7% | ||
| エネルギー輸送事業 | 2,662 | 2,709 | 47 / 1.8% | |
| 264 | 136 | △128 / △48.6% | ||
| 製品輸送事業 | 8,733 | 10,130 | 1,396 / 16.0% | |
| △280 | △63 | 216 / △77.4% | ||
| うち、コンテナ船事業 | 6,225 | 7,516 | 1,290 / 20.7% | |
| △328 | △106 | 221 / -% | ||
| 関連事業 | 1,175 | 1,184 | 9 / 0.8% | |
| 123 | 126 | 3 / 2.6% | ||
| その他 | 239 | 225 | △14 / △6.0% | |
| 20 | 26 | 5 / 26.8% | ||
(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① ドライバルク船事業
ケープサイズ市況は、上半期については東豪州で発生したサイクロンの影響長期化等により下落が続きましたが、夏場からブラジル積レート反発に伴い上昇し、11月以降は鉱石の荷動きが旺盛となり更に上昇、12月半ばに約4年ぶりに30千ドル/日を記録する等、堅調に推移しました。パナマックス市況は、4月中旬に12千ドル台/日まで上昇して以降6月中旬にかけて低迷し、6月中旬以降は上昇と下落を繰り返していましたが、7月下旬以降は南米東岸積穀物貨や主要貨物である石炭の荷動きが概して好調であったため、需給が締まり堅調に推移しました。ハンディマックス船型以下も、ドライバルク市況の全体的な底上げを受けトレードの荷動きも活性化・需給改善し、滞船・天候事由による船腹緊急手配も多く、堅調に推移しました。
このような市況環境の中、従前に取り組んだ構造改革の継続的な効果、コスト削減により前期を上回る利益を確保しました。
② エネルギー輸送事業
<油送船>原油船市況は、新造船が着々と竣工する一方で老齢船撤退の進捗が遅かったことによる船腹過剰感やOPEC加盟国減産の浸透等を背景に、冬場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前期の水準を下回りました。石油製品船市況は、夏場に米国を直撃したハリケーンの影響による一時的な高騰はあったものの、東西の荷動きの低迷や新造船の供給圧力増により低調に推移し、また冬場には米国・欧州が寒波に見舞われたものの市況高騰の影響は限定的であり、前期に比べ全体的に低調に推移しました。LPG船市況も、上半期はLPG価格の地域差の縮小により、米国からアジア向けの裁定取引が縮小して下落傾向となりました。一方、秋口から冬場にかけては、需給バランスの変動により一時的な上下を繰り返しつつも、主に米国からの堅調なLPG出荷を背景に上昇基調となり、通期全体では前期と概ね同水準で推移しました。
このような事業環境下において油送船部門は、定期傭船契約等の長期契約の安定的な履行や確実な契約延長の実施、更にはプール運航による運航効率の改善やコスト削減にも継続して努めた結果、前期比で減益となったものの、通期黒字を計上しました。
③ 製品輸送事業
<コンテナ船>北米航路のスポット運賃は、第1四半期は伸び悩んだものの、当期も荷動きが過去最高のペースで推移し、夏場に上昇しました。冬場は供給圧力が目立ち弱含みましたが2月の旧正月前の繁忙時に再び上向きました。欧州航路は、荷動き量の大幅な回復があったにもかかわらず各社大型船就航により上昇を抑えられ、スポット運賃は1年を通じて比較的安定して推移しました。また、アジア向け復航の貨物量増加が目立ちました。南米東岸航路はブラジル経済の底打ちにより荷動きが急回復し、スポット運賃が春先から急上昇、時に大きく跳ね上がり損益改善に大きく貢献しました。大型船投入によるスペース増加を生かすべく、春先に精力的に年間契約貨物を確保したことから、夏場以降の上昇したスポット運賃による利益享受は限定されました。尚、昨年7月に設立しました定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の設立関連費用を持分法投資損失として計上しておりますが、コンテナ船事業全体では、大型船投入によるスロットコスト低減と、従来からのコスト削減の効果もあり、前期比で損失は縮小しました。
<自動車船>完成車の荷動きは、北米・アジア・オセアニア向けが引き続き堅調に推移しましたが、資源国向けは資源価格の低迷を背景に本格的な回復の兆しは見られませんでした。減船やトレードパターンの変化に対応した運航効率改善の取り組みを継続し、前期を上回る黒字を計上しました。
<フェリー・内航RORO船>フェリー・内航RORO船については、トラックドライバーの不足や高齢化、労務管理の強化を背景としたモーダルシフトの流れは更に加速し、荷動きは堅調に推移しました。当社グループは堅調な荷動きなどビジネスの流れを堅実に掴んだだけではなく、旅客においてもカジュアルクルーズをコンセプトとしたプロモーション活動が奏功し、瀬戸内海航路・南九州航路を中心に堅調に推移しました。しかしながら、新造船の竣工遅延や燃料油価格の上昇等により、フェリー・内航RORO船事業全体では前期比で減益となりました。
④ 関連事業
客船事業は、にっぽん丸は好調な集客を続けたものの、台風によるクルーズ催行中止等の影響により、前期比で減益となりました。不動産事業は、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)の売上が増加したこと等により、前期比で増益となりました。その他の曳船や商社等の業績も総じて堅調に推移し、関連事業セグメント全体は前期比で増益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業などがありますが、前期比では増益となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、27億円増加し、1,895億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が287億円となった一方、減価償却費が866億円となったこと等から、983億円(前年同期176億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△1,008億円(前年同期△739億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により92億円(前年同期871億円)となりました。
Ⅱ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。
セグメントの売上高
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 前年同期比(%) | ||
| ドライバルク船事業 | 272,960 | 101.9 | |
| エネルギー輸送事業 | 270,957 | 101.8 | |
| 製品輸送事業 | 1,013,030 | 116.0 | |
| うち、コンテナ船事業 | 751,624 | 120.7 | |
| 関連事業 | 118,462 | 100.8 | |
| その他 | 22,514 | 94.0 | |
| 計 | 1,697,925 | 109.6 | |
| 調整額 | (45,531) | - | |
| 合 計 | 1,652,393 | 109.8 | |
(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅲ 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 財務戦略
①資金調達の方針
当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。
また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。
②資金調達の多様性
当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。
運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。
直接調達については、平成29年度に新規の社債発行は行いませんでしたが、平成30年3月末の国内普通社債発行残高は745億円、ユーロ米ドル建取得条項付転換社債型新株予約権社債発行残高は5億米ドルとなっております。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、平成30年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「BBB」、日本格付研究所(JCR)「A-」、ムーディーズ(Moody's)「Ba1」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより
「a-2」/「J-1」を取得しております。
当社は1,000億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。
更に、安定的な経常運転資金枠の確保・緊急時の流動性補完を目的に国内金融機関から円建て及び米ドル建てのコミットメントラインを設定しており、資金の流動性確保に努めております。
③グループ資金の効率化
当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。
(2) 損益状況
売上高は、円安や主にコンテナ船における市況改善等により、前連結会計年度に比べ1,480億円増収の1兆6,523億円となりました。
経常利益は、燃料油価格の上昇や油送船の市況悪化等の減益要因があったものの、コンテナ船やドライバルク船における市況改善の影響がそれらを上回り、前連結会計年度に比べ60億円増益の314億円となりました。ドライバルク船事業は、市況の改善に加え、従前に取り組んだ構造改革の継続的な効果やコスト削減により前年を上回る利益を確保し、前連結会計年度に比べ34億円増益の154億円となりました。エネルギー輸送事業では、LNG船・海洋事業において安定的な収益を引き続き確保したものの、油送船市況が大幅に悪化した結果、前連結会計年度に比べ128億円減益の136億円となりました。製品輸送事業のコンテナ船は、定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の設立関連費用を持分法投資損失として計上していますが、市況の改善に加え、大型船投入によるスロットコスト低減と従来からのコスト削減の効果もあり、前連結会計年度に比べ221億円損失が縮小し、106億円の赤字となりました。自動車船は本格的な荷動きの回復が見られない中、運航効率改善の取り組みを継続し前年を上回る黒字を計上しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は473億円の赤字となりました。経常利益が60億円の増益となりましたが、上述の定期コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)設立に伴い、次年度以降に同社への貸船に関わる損失や当社代理店の整理損失等の発生が見込まれるため、これらの損失の引当を大宗として事業再編関連損失を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ526億円の損益悪化となりました。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ81億円増加し、2兆2,256億円となりました。これは主に投資有価証券が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ636億円増加し、1兆5,975億円となりました。これは主に短期借入金が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ555億円減少し、6,280億円となりました。これは主に利益剰余金が減少したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、2.8ポイント減少し、23.0%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「Ⅰ.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。